殲滅のために 一隊
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/05/16 20:14



■オープニング本文

 強さとはなんだろうか。それは開拓者にとっては命題の一つだと言っても良いだろう。
 もちろん、アヤカシの強さも同じ。
 その膂力か? 技の鋭さか? 特殊な能力の恐ろしさか?
 今回の敵は、そのどれでもない。
 しかし、だからこそ強い敵。それを開拓者は討たねばならないのだ。

 理穴のとある廃村。
 十数年前に魔の森の範囲内に飲み込まれてしまってからは寄る人間のいなかった場所。
 そこが、魔の森の縮小によって此度再発見されたという。
 立地は悪くない。
 森と森の間の平野部にあり、近くには綺麗な川が流れている。
 そして、狭くはない平地や丘も多く、再度開拓を行えば再び街道沿いの町として栄えることだろう。
 だが、そこはアヤカシの巣窟であった。
 強いアヤカシがいるわけではない。だが、数が多くしつこかった。
 近くの川は徐々にかつての姿を取り戻しているとはいえ、周囲一体に氾濫し沼地を形成。
 建物が残る廃村の跡も、半分ほどその沼に飲み込まれてしまっているようであった。
 そして、廃村に溢れているのは下級アヤカシの群れであった。
 かつて激しい戦闘があったことを物語るように、狂骨たちの群れがそこに。
 それだけではない。アヤカシがアヤカシを呼ぶように、怪狼や剣狼といった下級の獣アヤカシ。
 そして、沼地には厄介な増殖能力を持つ、余り情報のない粘泥状のアヤカシがいるという。
 さらに、空中を舞うのは大毒蛾の群れ。
 個々はそれほど強いというアヤカシではないだろう。
 だが、これだけ集まればそれを駆逐するのは並大抵の力では無理だろう。
 そこで、ギルドは2隊の開拓者を派遣してその殲滅に当たることとした。
 しかも、相棒を連れての一大作戦である。
 目的はアヤカシの殲滅。それも完璧な殲滅だ。

 さて、どうする? 


■参加者一覧
鈴梅雛(ia0116
12歳・女・巫
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
キース・グレイン(ia1248
25歳・女・シ
からす(ia6525
13歳・女・弓
ジルベール・ダリエ(ia9952
27歳・男・志
シュヴァリエ(ia9958
30歳・男・騎
琥龍 蒼羅(ib0214
18歳・男・シ
オドゥノール(ib0479
15歳・女・騎


■リプレイ本文


 開拓者の一人、からす(ia6525)は言う。
「『数の暴力』という言葉がある。個々が弱くともそれが集団ともなれば強大な個にも勝る力となるのだ」
 それはまさしく今回の敵アヤカシたちに当てはまる。
 数が脅威となる今回の状況。如何に相棒がいるといえども戦い方を誤れば孤立し負けてしまうだろう。
 だが、彼女はこう続ける。
「数の暴力、此れを最も表しているのは何か? ‥‥人間だ」
 然り。
「敵が数なら、此方も数で応えよう。連携、結束した人間と相棒達の力を示そう」
 そういう彼女の言葉の通り、人と人の連携、そして人と相棒の連携を力に変えて開拓者達は戦場に立った。
 相棒に頼れる仲間、それ以外に何が必要だろう。
 気力と勝算を胸に、開拓者達は厳しい戦いに踏み込んでいくのであった。

「こちらには巫女がいませんので、負傷者が出たときはお任せしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんですよ。‥‥そのために、まず拠点として丘を奪取するのですね?」
「はい、そのつもりです」
「二隊の方には、巫女が居ないんですね。回復が必要な時は、ひいなで良ければ、遠慮なく呼んで下さい」
 第二隊の剣桜花による要請に応えているのは鈴梅雛(ia0116)だ。
 最初の作戦は単純、拠点として使う予定の丘の奪取だ。 そして、今回要なのは役割分担だ。
 戦闘力で勝る第一隊、相棒と連携すれば第二隊の軽く二倍の戦力をつぎ込めるこちらを遊撃とするのだ。
 その利とはなにか、それは飛行部隊と地上部隊を分けることによって第二隊を援護しうると言うことだ。
 経験の低い開拓者が散見される第二隊を主攻として運用し、練度で勝る第二隊を危険ながら分割して運用。
 危険度は高いが理に適った運用であると言えるだろう。

 早朝、作戦開始のために集まった開拓者達はまず目指すべき丘を見据えていた。
「長閑でエエとこやないの」
 ぽつりとそう言ったのは、景色を眺めていたジルベール(ia9952)だ。
 隣に控えるのは駿龍のネイト。
 すらりとした精悍な龍で、その青灰色の瞳をジルベールと同じように丘に向けていた。
「‥‥まぁ、アヤカシがおらへんければの話やけどな。悪いけど、取り戻させてもらうで」
 決意も新たに、ジルベールが言えば、ネイトも応えるように唸って。
 まず先陣をきってジルベールら龍を駆る開拓者による空戦部隊が戦闘を開始するのだった。
「結構な規模の戦闘になりそうだな‥‥グレイブ、無茶するなよ?」
 キース・グレイン(ia1248)はそういって、甲龍のグレイブの首筋を撫でた。
 一人と一匹はすでに空にあった。
 先行する他の四匹の龍は駿龍。速力で勝る駿龍に対して、甲龍はその厚い鱗による装甲が特徴だ。
 今回丘の奪取のためには、その上空を舞う大毒蛾ら飛行アヤカシが邪魔である。
 故に、それを排除する必要があるのだが、その最も効率の良い方法、それはおびき寄せることだ。
 そのためキースとグレイブの策は一つ。咆哮による囮作戦。
 拠点を作るためにも失敗できない作戦として、キースとグレイブはその身を危険にさらす覚悟なのである。
 グレイブはその主に無茶するなと言われて、翼をはためかせながらもちらりと自身の背のキースを見やって。
 それはまるで、抗議するかのような視線。龍は賢く主の言葉を理解するのだ。
「‥‥何だ、俺の方が無理しそうだとでも言いたいのか?」
 グレイブの視線に、大丈夫だと改めてキースは応えるのだった。

「たしかにこれだけの数は、厄介すぎるな。逃げられたら、混乱間違いなしだ」
 先行する駿龍四騎、そのうち一つの背にあるのは黒髪の少女、オドゥノール(ib0479)であった。
 駆る龍は主の髪と同じく黒い鱗を輝かせるゾリグ。
 彼女とその龍は朝靄の中を飛行しつつ周辺一帯の様子を確かめているようだ。
 地上に目を向ければ、集団戦法をとり敵を引きつけて殲滅戦に引き込んで戦い始めた二隊が見える。
 そしてその周囲を移動しながら援護したり、はぐれた敵を排除しているのは、一隊の地上部隊だろう。
 それを見ながら、オドゥノールは仲間とその龍たちと連携し敵に当たるときが近づいているのを感じていた。
 今回の敵飛行戦力の大多数を占めるのは大毒蛾だ。
 それなりに強力な飛行アヤカシであり、さらに厄介なのはその毒。
 討ちもらせば地上部隊への被害は確実。となれば空戦部隊の奮闘が期待されるわけで。
 オドゥノールはくるりと口を覆うように布でマスクを作り、弓を構えて。
「‥‥いくぞ、ゾリグ」
 主の言葉に応えて、駿龍ゾリグはいっそう速度を上げ、敵集団を目指すのであった。

 一方地上では、丘の奪取がすんなりと進行していた。
 一隊のうち地上に残っているのはわずか三名だ。
 そのうち攻撃を担当するのは二名、霊騎の深影に跨り弓をあつかうからすと、
「今回の戦いは長引きそうだしな、迅速に占領するのが重要だろうな」
 酒を呷って酔拳使いの本領を発揮せんとしている水鏡 絵梨乃(ia0191)であった。
 上空を見上げれば、徐々に高くなる早朝の日の光の中で、龍たちが大毒蛾をおびき寄せ各個撃破へ。
 それを確認して水鏡は遊撃として、迅鷹の花月と連携しながら、周辺の警戒と殲滅に努めるのだった。
 第二隊がじりじりと丘に近寄りながら敵をおびき寄せ殲滅していく。
 ならば、鈴梅を守りながらからすと水鏡は周辺の警戒に努めれば良いというわけである。
「‥‥さ、丘をひとまず占領できたら、芋羊羹あげるからな。それまでは頑張ってくれ」
 花月を励ます水鏡の言葉に、迅鷹の花月は高く鳴くと、襲いかかってきた剣狼を攻撃。
 予想外の方向から攻撃され、勢いを殺された剣狼の牙は水鏡の酔拳にかるがると避けられて、反撃の拳。
 水鏡は、同じく迅鷹を使う鈴梅を護衛しつつ、丘の確保のために歩を進めるのだった。
「深影、『追い回せ』」
 からすの言葉をしっかりと理解して、霊騎の深影はさらに加速。
 水鏡の役割が地上の遊撃と回復役の鈴梅の護衛であるなら、遠距離攻撃が出来るからすの役割は早期警戒だ。
 機動力に優れる霊騎との連携で、地上の広範囲を警戒する役割に深影とからすは適役。
「いいぞ深影。こちらにはもういないようだ。一度戻ろう」
 手綱を引くまでもなく、鐙にかけた足の体重移動だけで、頭を巡らす深影。
 霊騎も龍と同じく人の言葉を話すわけではないが非常に賢い相棒なのである。
 練達の弓術士と、縦横に駆ける霊騎。この組み合せ非常に強力であるといえるだろう。

 そして、上空での戦闘も激しさを増していた。
「こっちだアヤカシ! ‥‥こりゃ風上にいてもきついな。グレイブ、少しの辛抱だからな」
 咆哮を使って大毒蛾をおびき寄せたキースは、他の鳥形アヤカシなどの攻撃をグレイブの装甲で凌いでいた。
 長柄斧を振るい眼前に躍り出てきた大毒蛾を両断。だが舞い散る毒が危険だ。
 装甲と耐久力に優れる甲龍とはいえ、毒や打撃の集中攻撃を喰らえば持たないだろう。
 だが、もちろんそんな状況は想定内なわけで。
「墜ちろ、蚊トンボ」
 キースとグレイブを追いかける大毒蛾の群れ、それに真っ向から突っ込む二つの影があった。
 先行したのは火炎を放つドミニオンと、その背にあって斧槍を振るうのはシュヴァリエ(ia9958)。
 そしてそのすぐ後ろを飛ぶのは駿龍の陽淵とその背に乗った琥龍 蒼羅(ib0214)だ。
 火炎で大毒蛾を焼き払ったドミニオン、今が好機とシュヴァリエが武器を振るい撃破していく。
 そしてそのうしろから、逃げようとする大毒蛾を追うのが陽淵と琥龍だ。
「いつも通り、任せるぞ‥‥陽淵」
 ぐんと速度を上げる琥龍の相棒、陽淵。琥龍の言葉のとおり一気に敵を追って。
「駆けろ飛燕、その名の如く」
 ソニックブームを放ちながら一気に敵陣を貫いて、そして大物相手には琥龍の刃が。
「斬竜刀‥‥抜刀両断」
 抜き放った長大な刃は、斬竜刀「天墜」。この一撃には大毒蛾程度が太刀打ちできるわけもなく。
 あっというまに切り払われて、アヤカシ達は消えていくのだった。
 空中で駿龍と連携して接近戦にもちこんでいるのが琥龍とシュヴァリエ。
 では残る二騎の駿龍はどうしているのかというと、こちらは遠距離攻撃担当だ。
 回避力と速力に優れた駿龍、その優位性を攻撃に活かすのが琥龍とシュヴァリエ。
 そして防御に活かすのが遠距離攻撃につとめるオドゥノールとジルベールであった。
「わんさかおいでなすったで。俺あんまし虫好きやないんやけどなぁ」
 空中での戦闘は、地上の戦闘に比べると全方位から敵の接近が行われることが問題だ。
 それに対処するため、ジルベールらは弓での牽制と警戒につとめているのである。
 同時に今回は敵を逃がすわけにはいかない。
 琥龍やシュヴァリエに負われて逃げようとする敵を落とすのもジルベールとオドゥノールの役割なのだ。
 そうして連携して空戦に務めれば、陽が翳る前に丘の上空は綺麗に掃討されて。
 やっと一行は丘の拠点へとその体と翼を休めるために降り立つのであった。


 相棒たちを含めれば二隊で16名と龍5匹、霊騎一騎に、迅鷹二羽という大所帯だ。
 そんな面々はまずは拠点の設営と、次なる作戦の準備に入るのであった。
「悪い、助かった」
「いえ、毒は厄介ですからね」
 遠慮しないで下さいね、と鈴梅に言われつつ、毒の治療を受けるシュヴァリエ。
 空戦にて、大毒蛾と戦ったシュヴァリエや琥龍、キースらはその龍も含めて毒の治療をうけているようで。
「ここからが本番ですね、皆さん頑張りましょう」
 にっこりと微笑む鈴梅と、その相棒の迅鷹ぺんぎん皇帝に見送られて、再び龍たちは空に舞い上がるのだった。
 といっても一度拠点が出来てれば、休憩を挟みつつの交代制だ。
 連戦で最初から飛ばしてしまえば、疲労がかさむだろうとのことで、慎重な滑り出し。
 とりあえず地上に残っているのは設営を手伝うジルベールや地上戦担当の水鏡が残っているようで。
「‥‥鳴子の罠ですか? 手伝いますよ」
「おう、一応丘周辺にぐるっと罠を仕掛けたいんやけどな」
 迅鷹の花月に芋羊羹をもしゃもしゃ食べさせていた水鏡も手伝って警戒用の罠をつくる様子。
 そんな中、鈴梅は第一隊や第二隊の怪我人に備えて待機していれば、
「周囲の警戒も、お願いしますね。閣下」
「閣下?」
「はい、ひいなは閣下って呼んでるんです」
 彼女が指さすのは上空を飛んぶ、白いお腹が特徴的な大柄な迅鷹、相棒であるぺんぎん皇帝だ。
 なるほどと水鏡やジルベールは笑いあいつつ、ちゃくちゃくと準備を進めるのであった。


 その後、戦闘は開拓者の予定通り進んでいた。
 粘泥を最後に、という戦略も非常に理に適っていたのだろう。
 地上戦は、第二隊の奮闘によって開拓者有利に進み、分散した敵は空戦部隊の援護によって殲滅が進行中。
「頭上注意ってな」
 第二隊の側面から攻め込もうとしていた狂骨の集団。
 そこに上空から急降下して攻撃したのはシュヴァリエとドミニオンであった。
 龍を使っての戦闘は非常に強烈な攻撃を発揮することが出来る。
 まずは急降下しつつ、上空の雑魚アヤカシを蹴散らしつつ地上へ。
 そしてそのまま龍の火炎で地上を払えば、突然の攻撃に対処できないその真ん中に、シュヴァリエが降り立つ。
 まだ炎がくすぶり熱波が広がるその中にあって、斧槍「ヴィルヘルム」を一閃。
 あっというまに数匹いた狂骨は纏めてなぎ払われて糸合うのだった。
 だが、孤立したと見てシュヴァリエとドミニオンに殺到する敵集団。
 それぞれは余り強くないと言えども、数が多い。囲まれてしまえば危険だが、
「ちょっと盛り上がりすぎたな。一旦退くぜ?」
 ひょいとシュヴァリエはドミニオンに跨ると、ドミニオンは尻尾を振るって飛びかかってきた怪狼を返り討ち。
 そのまま翼を広げて、一気に空に飛び上がるのだった。
 上空には大毒蛾や、鳥系アヤカシの姿。
 飛び上がるシュヴァリエとドミニオンを妨害しようというわけなのだが、
「大丈夫。邪魔はさせない」
 高速飛行で近づいてきたのはオドゥノールとその龍ゾリグ。
 ソニックブームの一撃で、大毒蛾を毒ごと蹴散らせば、雑魚は弓で打ち落とす。
 上空を掃討すれば、そこでシュヴァリエらと合流して、二騎はあっという間に上空へ。
 地上部隊を上空から牽制しつつ、再び飛行アヤカシの掃討と地上の援護の任務へと戻るのだった。

 そうして空中の敵を繰り返し倒し、第二隊の援護をしていれば、数日で掃討任務は完了した。
 これは役割分担により効率良く敵を倒せたことと、無理をしない配分であったことが効果あったといえるだろう。
 残るのは沼地での粘泥たちだ。
「周囲の警戒は任せてな。殆ど倒したというても、まだ残っとるからな」
 上空と周囲の警戒のために、射撃系のジルベールとネイトらが警戒。
 ジルベールは残った剣狼や狂骨を、スカイダイブとガトリングボウで仕留めさらには鏡弦を使用。
 沼地に潜む姿無き粘泥を警戒して。
 そして、一気に粘泥をうつための最後の掃討作戦が始まるのだった。

「‥‥粘泥のアヤカシには物理攻撃は効果が薄そうだな。いけるか陽淵?」
 まずは上空から、点在する深くなった沼地に向かって、まっすぐ向かう陽淵と琥龍の姿。
 ソニックブームを放ち沼地を攻撃、まずなぎ払ってから地上に降り立って。
「じゃあ、陽淵。上空は任せたぞ」
 守りを龍に任せて琥龍は地上の粘泥退治に取りかかるのであった。
 同じように地上に降り立って粘泥を探して倒しているのはシュヴァリエだ。
「っと、足下にも注意だな」
 こちらはドミニオンと協力しつつ、地上の掃討。シュヴァリエが追い込みそこに火炎を放つという連携だ。
「物理が利き辛いってのはやりにくくて仕方が無い」
 思わず文句も出るが、戦いは佳境。最後の力を振り絞ってシュヴァリエは粘泥を追い込むのだった。
「さあ思いっきりなぎ払っていいぞ、グレイブ!」
 地上に降り立ち、粘泥を引きつけているのはキースだ。
 待ち構えるのは甲龍のグレイブ。粘泥を待ち構え龍尾でのなぎ払い!
 同じようにキースも長柄斧を振るって、粘泥を撃破していくのだった。
 といっても粘泥たちは軟体の体、あまり打撃が効果を上げないのだが、彼らの目的は追い込むことでもあった。
 攻撃を受けて逃げていく粘泥たち。その先に待ち構えているのは水鏡だ。
「花月、こっちにおいで!」
 水鏡は、周辺を飛んで警戒していた迅鷹の花月を呼び寄せる。
 今まで粘泥系の注意をそらして貰っていたのだが、これだけ集まれば御の字だ。
 煌きの刃を使って花月は水鏡と同化。拳や足に光を纏った水鏡は、まず渾身の崩震脚!
 第二隊において、剣が使ったのと同じように集めた粘泥たちを一気に攻撃。
 そして、続いては気功派に寄って次々に粘泥を撃破していくのだった。
「数が多くてなかなかしんどいけど‥‥無限にいるわけじゃないからね」
 早く終わらせて芋羊羹をたべよう、と花月と同化しつつ考える水鏡は、練力の限り戦い続けるのだった。

 そして、粘泥を囲んでいくように一隊二隊合同で沼を潰していって。
 その周囲を疾駆するのはからすと深影。
「『汝、逃げる事許さず』この地で朽ち果てよ」
 放った矢は朧月によってぼんやりとぶれて、逃げようとしていた粘泥を撃破。
 粘泥らは一気に掃討されつつあり、残ったのはしらみつぶしに残党を倒すだけのようで。
 まだもうしばらく敵との面倒な戦いは続くようであるが、一段落ついたのをからすは満足げにみるのだった。
「さて、一足先にもどり準備をしておくか」
 こんな時だからこそ、休まねばならないからなと良いながら拠点に戻るからす。
 味噌汁でもつくって仲間たちの期間をまつのだろう。
 そんなからすと深影を拠点から見つけて、ぱたぱたと手を振る鈴梅。
 日が落ちて、今日の戦いも一段落する頃には拠点に良い匂いが漂っていたとか。
 連携と協力の力で無事依頼を終えつつある開拓者達。
 死力を尽くし、疲労困憊しながらの毎日であったが、見事目的は果たせそうだ。
 もうしばらく戦いは続きそうであったが、終わりが見えたことで開拓者達も一息ついて。
 また明日からの残敵掃討に向けて英気を養うのであった。