大掃討作戦決行!
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: イベント
危険
難易度: 普通
参加人数: 26人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/02/15 20:54



■オープニング本文

 天儀の北方にある森林多き土地、理穴。
 理穴にはかつて、強力な大アヤカシによる魔の森が広がっていた。
 しかし、近年開拓者をはじめ各勢力の協力によりなんと、大アヤカシを撃破。
 現在広がっていた魔の森の一部が減少傾向にあるのだという。
 こうして、人類はアヤカシに対して大きな勝利を収めたのだが‥‥。
 魔の森がじわじわと減少しているとはいえ、今だ彼の地にはアヤカシが多いという。
 そんな中、ギルドにとって気になる情報がもたらされた。
 かつて魔の森であったとある地帯において、大勢のアヤカシが集っているのだという。
 急ぎギルドの調査役たちは現地に向かい、詳細を調査したところ、その情報は真実で。
 魔の森の置き土産か、ほかの理由か、とにかく大勢のアヤカシを討つ必要が生じたのである。

 集っているアヤカシ達は、殆どが低級な怪狼に、一部その上異種である剣狼だとか。
 獣型のアヤカシは、総じて攻めに強く、防御には難があるのだが、今回はその数が問題なのだ。
 百を軽く超えるほど集まっていると言うことで、ギルドは異例の作戦を立案した。
 それは、こちらも数で勝負すると言うのだ。
 狼系のアヤカシは集団戦法を使うのが得意とのこと、少人数で挑むのは非常に危険。
 となれば、こちらも集団戦法を駆使して敵を討つべきであろうという作戦なのである。

 さて、どうする?


■参加者一覧
/ 井伊 貴政(ia0213) / 羅喉丸(ia0347) / ヘラルディア(ia0397) / 礼野 真夢紀(ia1144) / 羅轟(ia1687) / 氷那(ia5383) / からす(ia6525) / 只木 岑(ia6834) / 和奏(ia8807) / 琥龍 蒼羅(ib0214) / 十野間 月与(ib0343) / 明王院 浄炎(ib0347) / 明王院 未楡(ib0349) / 明王院 千覚(ib0351) / 国乃木 めい(ib0352) / 明王院 玄牙(ib0357) / ワイズ・ナルター(ib0991) / 琉宇(ib1119) / 御鏡 雫(ib3793) / 遠野 凪沙(ib5179) / ヴェルナー・ガーランド(ib5424) / 白仙(ib5691) / 早(ib6056) / 佐戸 志郎(ib6062) / 九一(ib6063) / 下弦(ib6067


■リプレイ本文

●集
「炎羅‥‥討てども‥‥未だ‥‥平穏‥‥成らず‥‥か」
 前方に広がる平野を見据えて、羅轟(ia1687)は呟いた。
 眼前にあるのは百を優に超える数のアヤカシ達の群。
 40名弱の開拓者達は、そのアヤカシの群を掃討のためにこの平野へとやってきたのである。
 開拓者達は、すでにそれぞれの役割に従い配置についていて。
「ああ、まだ平穏は遠いか。だが、この力必要とあらば何度でも戦おう」
 羅轟の言葉を聞き、開拓者達の先陣で待ち構えていた羅喉丸(ia0347)がそう決意を込めれば。
「さーて、暴れるぞ〜」
 井伊 貴政(ia0213)は刀を抜いて、静かに戦いの始まりを待つのだった。

 今回の作戦において肝となるのは連携だ。
 開拓者同士の連携に綻びが生まれれば、そこが狼型アヤカシの集団戦法の餌食となるだろう。
 だが逆に開拓者が連携しアヤカシ達を分断すれば、それはそのままこちらの優位となるわけで。
 開拓者達は、決して孤立しないことを最重要として作戦を組んだのである。
 そして、作戦の要はなにも個々の連携だけではない。
 知力の低いアヤカシには不可能な戦術が開拓者達のもう一つの武器なのである。

「弓も砲も、集まるほど効果があるのだ‥‥かかれ」
 からす(ia6525)の言葉とともに、まず奇襲の第一撃目が放たれた。
 どこからどう見ても少女にしか見えないからすだが、実際は歴戦の弓術士。
 彼女の弓「緋凰」から放たれた強烈な一撃に続いて、つぎつぎに放たれる開拓者の矢や銃撃。
 まだこちらに気付いていなかったアヤカシ達はその猛攻を受けて、多くが被害を受けたようであった。
 だがしかし、最初の奇襲はそれまで。
 速度に優れた獣型のアヤカシたちは即座に反応し、待ち構える開拓者達に襲いかかっていく。
 それを待ち受ける前衛役の開拓者達。
 こうして、戦場は様相は乱戦へと移り変わっていくのだった。

●戦
「いつまでもしつこい。けど、こっちも、しつこく退治するだけだ」
 長くアヤカシの害が絶えない理穴の状況を想い、只木 岑(ia6834)はそう呟いて。
 彼の居る戦場はすでに乱戦と化しているのだが、開拓者達の基本戦術は孤立を避けること。
 そのため、只木は10名ほどの開拓者集団の後衛として協力しつつ行動しているのだった。
「‥‥左翼上がって。囲い込もう!」
 只木の声と同時に、集団は敵アヤカシの集団を誘い込むように移動。
 結果、十体ほどのアヤカシを上手く囲い込んで。
「一匹でも多く‥‥怪我をした人は一旦引いて下さいね」
 刀「鬼神丸」を振るい、その集団の中核を担っているのは和奏(ia8807)だ。
 のんびりした様子でありながら、彼が振るう刀の技は熟達の域。
 手負いのアヤカシが一体、自ら突出して仲間を守った和奏を狙うのだが、応えたのは神速の剣閃だ。
 秋水と呼ばれる高速の一撃で、見事アヤカシは瘴気へ還るのであった。
 だが、迎え撃つ敵の数は多く、油断は許されない。
「少し引いて、敵を引きつけよう! このままの陣形を維持して微速後退!!」
 ジルベリアの銃兵隊仕込みの集団戦法で戦況を見極めるヴェルナー・ガーランド(ib5424)がそう言って。
 只木とヴェルナーらの遠距離攻撃で牽制しつつ、残るアヤカシ達を撃破しながら一団は移動開始。
 他の集団との連携をとるのであった。


 戦場において、個々の戦力は確かに大事だが、数はその優位を時に上回る。
 個の力が優れた開拓者が、弱いアヤカシの群に後れを取ることの多さは、それを示していると言えよう。
 戦場において、通常5名程度の人数が居れば、円滑な連携が取れると言われている。
 全方位を警戒しつつ、柔軟に動くための最低人数がこの5名であると言えるのだろう。
 それ故に、開拓者達は最低限5名ほどで連携しつつ、敵のアヤカシを迎え撃っているのだ。
 しかし、連携して襲いかかってくる今回の敵アヤカシを侮ってはいけない。
 こちらが連携しているように、向こうも連携してくれば、あとは連携力の差が如実に表れる。
 そのため、怪我もなく一方的な戦闘というわけには行かないようであった。

「行き過ぎないで! 危ないわよ」
 仲間に檄を飛ばしながらアヤカシに向かってサンダーの一撃を放つのはワイズ・ナルター(ib0991)。
 魔術師の彼女が居るため、必然的にこの集団においては前衛と後衛がはっきりと別れてくる。
 基本戦術は、前衛が防御役を務めて敵を足止め。そこを後衛が攻撃するわけだ。
 しかし、そうした場合の前衛は危険にさらされることが多い。
「ここでがんばらねば!」
 迎え撃った前衛は九一(ib6063)、敵の間合いに踏み込むスタッキングでアヤカシに接近。
 器用に長柄斧を振るって、アヤカシをなぎ倒したのだが、如何せん突出したため側面から別の敵が。
 咄嗟に回避したものの、牙の一撃が肩口をかすってしまい体勢を崩す九一。しかし、
「っしゃー! 間に合ったぜぇ!」
 まず九一に襲いかかったアヤカシを白霊弾で攻撃し、その隙に接近してきたのは巫女の白仙(ib5691)。
 基本、後衛で援護役につとめることが多い巫女なのだが、彼女は別だ。
「さて、師匠に叩き込まれた剣術、どこまで通用するか試すとすっかね!」
 そういって、九一と肩を並べて霊刀「カミナギ」を手に前衛役を務めているのだ。
 九一と白仙は襲ってくるアヤカシ達を撃破すると一度距離をとって、戦線を下げるのであった。。
 アヤカシ達の武器は、獣型故の動きの速さと波状攻撃。連続して戦線を維持し続けることは危険。
 数で劣る開拓者達よりも継続戦闘能力はアヤカシ達が上、そのためじりじりと消耗してしまうのだ。
 ならば、開拓者達はどうやってアヤカシに立ち向かうのか。
 その要を担うのは、回復能力に長けた面々で形成された後方支援部隊の存在であった。

●癒
「ふぅ、練力を大量に使っちゃうから連発は出来ないけど、道を開くよ」
 琉宇(ib1119)が奏でるのは精霊の狂想曲。敵を混乱させる吟遊詩人の調べが響き渡った。
 その威力は長く続かないものだが、時間を稼ぐには非常に有利だ。
 生じた隙に駆け抜けていくのは琥龍 蒼羅(ib0214) 。
 練達の志士である琥龍は、居合を駆使して前線を押し上げる。
 混乱せずにこちらを狙ってきた剣狼ら群の中での強敵相手には、確実に対処し居合の妙技で撃破。
「統率された集団を相手にするならば、頭を潰すのは定石だ」
 そう仲間たちと連携しながら、一気に他の仲間のために道を造るのだった。
 もちろん熟練の開拓者である琥龍といえども1人でその仕事をこなせるわけではない。
 琥龍と連携しているのは下弦(ib6067)と遠野 凪沙(ib5179)だ。
 2人とも、まだ経験の少ない開拓者であるようで、
「初仕事が、大規模戦とはね‥‥これは武者震い? それとも恐れ?」
 そう言いながらも、下弦は手にした太刀をしっかりと握り、琥龍に横合いから飛びかかった敵を迎撃。
 炎魂縛武で強化した刃の一撃で、仲間の背を守るのであった。
 同じように、遠野も周囲を見渡しながら先輩開拓者の背中を守って移動して。
 だが、運悪く遠野が気付かない角度から飛びかかってくる敵アヤカシ。
 それを迎撃したのは、別の咆哮から飛来した手裏剣であった。
「大丈夫? こっちの援護をお願い」
 現れたのは氷那(ia5383)、シノビの彼女は貴重な伝達役として戦場を縦横に移動していた。
「ありがとう」
 小さく遠野はそう礼を言うと、彼女の先導に従って琥龍と下弦らと協力しつつ前線を押し上げて。
 実は彼らは、後ろに続く支援部隊を前線まで護衛するため、危険な突破作戦を敢行しているのだった。
 後ろに続く集団は、前衛を援護しながら縦横に動く支援部隊で。
 今回は乱戦となるのが必然な作戦のため、後方支援の部隊ものんびりと待っているわけにはいかない。
 自ら動きつつ、前線を助けなければいけないのであった。

「ここは任せて」
 後方支援部隊の中核を担うのは一つの家族であった。
 護衛役の明王院 月与(ib0343)は一家の長女。刀を片手に仲間を守っているようで。
「もう少し先だ、道を開こう」
 明王院 浄炎(ib0347)は一家の父親だ。泰拳士の突破力で、琥龍や遠野、下弦の後を追って道を切り開く。
 そして、一気に前線の激戦区に到着すると、怪我の大きい仲間を守りながらその場で治癒するようであった。
「一体‥‥一体‥‥脅威では‥‥ないが‥‥」
 そういいつつも、まず最初に治療されたのは、羅轟であった。
 前衛でその体躯を生かして壁役を務めた羅轟は、並の開拓者ではない。
 仲間と連携しつつ、多くのアヤカシを撃破しつつ最前線で戦い続けていたのだが、やはり消耗したようで。
 特に、仲間を救うため咆哮を使用し、自分に敵を引きつけたためかなりの怪我を負ったのであった。
「浄炎さん‥‥後はお願いしますね」
 明王院 未楡(ib0349)がそういって夫の浄炎とともに護衛につけば、
「誰もが皆、無事に帰れるように‥‥私達に出来る最善を尽くさなきゃ、め〜ですよね」
 にこりと笑みを浮かべて、治療に当たるのは明王院 千覚(ib0351)だ。
 だが、怪我人はそれだけではない。
 一騎当千の活躍をしていた井伊や、羅喉丸など経験の豊富な開拓者等をはじめ、多くが怪我を負っていた。
 それを治療するのは国乃木 めい(ib0352)や御鏡 雫(ib3793)だ。
「すぐ、救護の者がきます。今しばらく耐えてください」
 明王院 玄牙(ib0357)がそういって前線と後衛部隊の間の道をなんとか切り開けば。
「医師として出来る事をしなければな」
 医師であると同時に、サムライとしての腕も確かな御鏡が怪我人の護衛に当たる。
 そして、怪我人の治療は御鏡の友でもある老練の国乃木が行うようで。
 巫女たちの危険を顧みない治療によって、前衛は総崩れになることなく戦い続けるのであった。

●決
「怪我をしている人はいませんか?」
 ヘラルディア(ia0397)は長く続く戦闘で、仲間の治療を続けながら前線に立ち続けていた。
 幾度となく危険な目にあい、時には杖でアヤカシを攻撃しながらもなんとか仲間を援護していて。
 だが、どうやら戦場の様子は徐々に開拓者有利に傾いてきているようであった。
「端には術者や経験が少ない人を置かないように。はぐれたりしたら大変ですから」
 そう指示を飛ばしながら援護しているのは礼野 真夢紀(ia1144)だ。
 高い回復力を生かして、仲間を治療していた礼野もヘラルディアと同じく戦場の変化に気付いたようで。
「‥‥どうやら、かなりの数を撃破したようですね。皆さん、一気に攻めましょう!」
 その言葉と同時に、開拓者達は連携しながら、強烈な反撃にでるのであった。

「凶弾と化し全て貫け」
 からすの放った月涙をはじめ、遠距離攻撃の面々がまず反撃の一斉射撃だ。
 小集団として遊撃していた只木らの一団も、それに合わせて側面からの集中攻撃。
 和奏ら前衛が敵を押し込んで距離を広げれば、不利になったアヤカシは逃げようとするが。
「やれやれ、やっと勝ちが見えてきたね」
 ヴェルナーはそう言いながら、逃げるアヤカシを狙い撃つのだった。

 ガンガン殲滅だと、突貫する白仙。その横で同じく反撃を撃退するのは大きな身体を生かした九一。
「あと、少し‥‥」
 太刀を持つ手に疲れを感じつつも、懸命に刃を振るい続けるのは下弦だ。
「‥‥両断‥‥あるのみ」
 復活した羅轟など、前衛たちが一気呵成に攻め上げれば、
「あとすこしだ!」
 崩震脚で敵の出鼻をくじき仲間たちを援護する羅喉丸。
 明王院らの一族も後方支援をしながら、アヤカシ達を包囲して。
「‥‥あらあら、もう終わりですか〜」
 フローズで前衛の援護をしていたワイズは、ほっと一息つきながらそう言って。
 とうとう、開拓者達はアヤカシの群を撃破したのであった。

 巫女が多かった今回はその回復力によってなんとか数の不利を覆すことが出来たようで。
 大きな怪我を負ったものも、治療されみな無事に依頼を終えることができたようであった。
 熟練の開拓者はまだ経験の少ない開拓者に支えられ、また時には逆に救われて。
 見事な連携を見せた開拓者達は、無事依頼を完遂したのであった。