雪に閉ざされた宿にて
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/02/09 19:26



■オープニング本文

 あなたは偶然、その宿に居合わせた。
 それは、商談の帰りか、はたまた雪中の修行か、とにかく理由は人それぞれ。
 ほど近い街道が雪のため通行止めとなり、たまたまその宿に泊まることとなったのである。
 街道から外れた古びた宿に客の姿はまばらだ。
 特に温泉があるわけでもなく、宿も無名とあればそれもそのはず。
 だが、客の少なさの割にはどうにも従業員の数は多いようだ。
 しかも妙に強面で厳つい従業員ばかり、はて、いったいそれはどういう理由だろうと思っていれば。
 その理由はすぐに判明することとなった。

「おい、おまえら騒ぐなよ。なぁに、声を出したって誰も聞きつけたりはしねぇがな」
「お前たちは宿の‥‥、こ、これは一体どういうことだ!」
 夜中にたたき起こされた客たちは驚いてそう言って。しかしそんな客の横っ面を宿の従業員はがつんと殴り、
「騒ぐなって言っただろう? すぐに殺しゃしねぇよ。金目の物を調べてからだ」
 どうやら宿の人間は全て盗賊だったよう。彼らは盗賊たちの巣に迷い込んでしまったのである。
 声を失って恐怖に実を堅くする客たち、そんな様子を見て盗賊は、
「そうそう、大人しくしてりゃいいのさ。さて、他の客たちも捕まえて来な!!」
 そういって、盗賊団の頭らしき、壮年の男は部下たちを怒鳴りつけるのであった。

 開拓者であるあなたはこの状況を打破できる唯一の希望である。
 偶然、それとも最初から宿の怪しさを看破していたあなたにはまだ盗賊たちの手が及んでいない。
 どうやらすでに捕まってしまった宿の客たちは一階の広い座敷に集められているよう。
 急がなければ、盗賊たちが凶行に及ぶのは間違いないだろう。
 どう行動すればこの状況を打破できるか、それが重要だ。

 さて、どうする?


■参加者一覧
梢・飛鈴(ia0034
21歳・女・泰
鷲尾天斗(ia0371
25歳・男・砂
煌夜(ia9065
24歳・女・志
龍水仙 凪沙(ib5119
19歳・女・陰
猪 雷梅(ib5411
25歳・女・砲
天ケ谷 昴(ib5423
16歳・男・砲
赤い花のダイリン(ib5471
25歳・男・砲
春吹 桜花(ib5775
17歳・女・志


■リプレイ本文

●雪の中で
 唐突に牙を剥いた盗賊たちと、突然の恐怖で声も出ない客たち。
 最悪の状況だと思われるこの状況なのだが‥‥はたして、最悪な思いをするのはどちらだろう?

「騒ぐんじゃねぇぞ!!」
 がなり声で叫ぶ盗賊たちは、客たちを次々に縛り上げているようで。
 だがその様子を静かに影からうかがう姿が一つ。
「おやおや、こいつは驚きでやんすね。盗賊宿だったとは‥‥胸騒ぎが大当たりでやしたね」
 べらんめぇ口調で小さく呟いたのは春吹 桜花(ib5775)。
 彼女は、急ぎ離れの自分の部屋に戻ると、布団の中に他の布団を詰めて細工をして。
 あっというまに誰かが寝ているような形にすると、明かりを消して影で待ち伏せる春吹。
 まず1人、目端の利く開拓者を盗賊たちは取り逃がしてしまったのである。

 もちろん、全員が逃げ延びたわけではない。
 捕まって集められている客たちの中には一目を引く姿もちらほらと。
「人を見た目で判断しちゃいけないとは思うけど‥‥場合によっては疑うことも必要かしらね‥‥」
 小さく1人呟いているのは後ろ手にしっかりしばりあげられてしまった煌夜(ia9065)だ。
 眠っているところを縛られてしまったようで、まだすこし眠たげで。
 だが、ぐるりと周りを見回せば、幾人か目立つ姿が。
「寒い! 上着くれ!」
 大声でそういって、盗賊から五月蠅い! と怒鳴り返されている大柄な男の姿。
 こんな状況にあっても堂々とした姿を崩さないのは赤い花のダイリン(ib5471)だ。
 そして、もう1人目立つ風体の男は、
「‥‥ふわァァァァ」
 と大あくびする鷲尾天斗(ia0371)だ。それをみた煌夜は、
「‥‥天斗さん、何かするつもりかしらね‥‥」
 とぽつり。どうやら煌夜の見知った顔のようであった。
 そして、さらにもう1人。こちらは目立っていないような小さな姿。
 すっぽりとまるごとうさぎ姿の子供が1人。こちらは身を小さく縮めてうずくまっていて。
 はたからみれば子供が恐怖で身を縮めているように見えるだろう。
 だが、実際の所はただの子供ではない。れっきとした開拓者の龍水仙 凪沙(ib5119)だ。
 陰陽師の彼女はじつは人魂を使って外と連絡中であった。
「はて‥‥なにやら様子がおかしいとおもったら、そういうことカイ」
 小さな鼠を前に、宿の外に潜んでいるのは梢・飛鈴(ia0034)。
「碌でもねー事になっとるカンジアルなァ‥‥まあいいカ。締め上げれば報酬も出そうだシ」
 鼠さんは賢明に、見張りがたくさんいるから、と説明中のようで。
「‥‥ふん、なら状況が変わってから動こうカ。‥‥他の面子はよー知らんガ、鷲は何やってんだか‥‥」
 どうやら梢も鷲尾の知り合いのよう、とりあえずは静観するようであった。

●急展開
「ったく、ドカ雪で帰れねえ、泊まった宿は賊の溜まり場だ‥‥」
 そう愚痴って、さらには酒の入った徳利をぽいと放って。
「それに、酒も不味いし最悪の気分だ‥‥上等だ、暴れてやるよ」
 廊下を歩いてくる賊の足音に気付いて、そう呟いたのは猪 雷梅(ib5411)だった。
 彼女は、早々と盗賊宿だと気付いていたよう。離れだったので遅れて賊がやってきたのだが。
 賊が部屋の襖に手をかけようとした瞬間、襖は向こうから蹴っ飛ばされたのだった。
 襖ごと、まとめて吹っ飛ぶ賊の1人、慌てて他の賊は粗末な刀を引き抜いて構えれば、
「おい、何客に物騒なもん向けてんだてめぇ!」
 ズドンとマスケットで胸に向かって一撃、吹っ飛ぶ盗賊。
 そしてそのまま襖でつぶれている賊をげしっと踏んづけて、ずんずんと廊下を歩いて行くのだった。

 猪の放った銃声が響き渡れば、警戒していた盗賊たちも色めき立って。
「おい、今のは銃か? 見てくるぞ、付いてこい!」
 どうやら頭目格は数名いるようで、そのうち1人が数名の部下をつれて部屋を出て行ってしまうのだった。
 それでも、まだ見張りの数は多い。下手に動けば開拓者以外に被害が出そうで。
「んん‥‥‥あ、あの、すいません‥‥縄が痛くて‥‥」
 ちいさな声で、そう盗賊に言ったのは煌夜だった。
 妙に色っぽく身をよじり、そう盗賊に訴えれば、思わず視線はあつまるもので。
 銀の髪に緑の眼という外見で警戒されていたのだが、弱そうな様子に多少警戒は弱まり、
「‥‥殺されるくらいなら、何でもするから‥‥」
 と、しおらしくそう言う煌夜。そんな言葉には、思わず盗賊たちの引き寄せられるようで、
「なぁ、どうする‥‥‥いまならお頭たち居ないし‥‥」
「ああ、だよなぁ。たまにはいい目を見てもいいよな‥‥」
 自分たちに言い聞かせるようにを言う数名の盗賊たち。
 彼らはまんまと煌夜の誘いに載って彼女を連れていくのだった。
 さらに、見張りの人数が減った大広間‥‥そんな隙を逃す開拓者達ではなかった。
「‥‥っつーかよォ、馬鹿みてェな三下のお前ら何ですか?」
 声を上げたのは鷲尾だ。
 危険そうな鷲尾を警戒して2人も見張りが付いていたのだが、それを挑発する鷲尾。
「俺をヤれるとでも思ってんの?」
「てめぇ、縛られてるクセにやけに威勢が良いな。そのざまで何かできるのか?」
「‥‥確かに今の俺は槍使いなのに槍は無ェ」
「へっ、槍使いたぁ恐れ入るな。後ろ手に縛られても使える槍がありゃ良かったんだがな」
 何がおかしいのかげらげら笑う見張りたち。しっかりと警戒しているからか、余裕なようで。
「しかも腕は拘束されて身動きが取れネェ。マッタク、どうしようもない状況だよなァ」
「自分でわかってるんだったら世話ぁねえじゃねぇか。そろそろだまりやがれ!」
 凄む盗賊、だがそれにニィッと歪んだ笑みを向けて
「だけどよォ‥‥‥俺が弱くなってもさァ、別にお前が俺より強いってワケじゃねェだろォが!」
 座り込んだ状態から、素手での座敷払で瞬時に立ち上がり蹴りでの平突で見張りの1人を蹴り飛ばす鷲尾。
 鳩尾に蹴りを食い込ませた盗賊はそのまま壁にぶちあたると血反吐を吐いて動かなくなって。
 あまりの早業にもう1人の盗賊、一瞬唖然とするのだが、慌てて手にした刀で斬りかかるのだが。
「悪りィが、この世は弱肉強食だァ! 大人しく俺の糧になりやがれェ!」
 すでに1人目の取り落とした刀で縄を切っていた鷲尾は2人目の手を受けて刀を封じそのままへし折って。
 わめいて倒れ込んだそいつの刀も取り上げて、すぐさま刀を投擲。
「助かったぜ! よし、俺も相手してやるぜ!!」
 投げた刀が断ち切ったのはダイリンの縄で、あっという間に2人が自由に。
「てめぇら、調子に乗りやがって! おい、人質を‥‥」
 そういって頭目格が他の客に近づこうとした瞬間。
「‥‥今日は冷えるねえ♪」
 にっこりと微笑んでそういったのは龍水仙、いつのまにか落ちていた刀に近づいて縄を切っていたよう。
 発動した氷柱に足下を凍らされて、転げる頭目格。
 そして他の客に近づこうとした盗賊たちは呪縛符で動きを止められて。
「ふん、開拓者には見えなかった? お前たちの好きにさせるものか。ギャフンと言わせてやる」
 そういって龍水仙は符を引き抜くと油断無く構えるのだった。

 一階の広間でそんな騒動が巻き起こっているとき、二階の一室ではすでに他の騒動も発生していた。
「おい、まだ寝てるヤツがいたぞ。ずいぶんと神経が図太いヤツだな」
 げらげらと笑いあう盗賊たち。
 どうやら一階の騒動も、一部の客が騒いでる程度にしか思っていないよう。
 いままで、同じ手口で成功してる油断があるのだろう、刀を突きつけつつ布団をめくれば。
「お、おい! これ偽モノだぞ!」
 次の瞬間、隠れていた春吹が飛び出してきて峰打ち一撃。
「やいやいやい、べらぼうめぃっ! あっしらを騙して金を巻きあげようって奴はお前かー!?」
「てっ、てめぇ隠れてやがったのか!!」
「雪に足止めされて落ち着かないのにこの状況! あっしが成敗してやらぁいっ!」
 あっというまに3人いた盗賊たちを蹴散らした春吹は、他の面々を手伝おうと部屋を抜け出すのだった。

●乱戦
「俺の名はダイリン! 人呼んで赤い花のダイリン様よ!」
 とりあえず手近にいた見張りの盗賊を拳の一撃でぶっとばしながらダイリンは大音声で名乗りつつ、
「テメェらをブッ飛ばす男の名前だ! 覚えておきな、盗賊ども!」
 もう1人、刀を手にした盗賊相手でも、顔面に鉄拳一撃。蹴散らしていって、
 そして広間に残る盗賊たちの数も減ってきたところで、気になるのは他の盗賊たちの行方だった。
「‥‥あとは任せたぞ! ここは大丈夫そうだしな!」
「ああ、任せときな。誰1人逃がしゃしねえからよ‥‥」
 ダイリンがそう言いながら広間を飛び出せば、答える鷲尾。
 鷲尾は龍水仙に援護されつつ、次々に盗賊たちを蹴散らして。
 素手とは言え、鍛えられた開拓者の拳は凶器そのものだ。
 裏拳の一撃は顎を砕き、刀を振りかざす雑魚盗賊は、蹴りの一撃で骨をへし折られて地を這って。
「まったく、偉そうなお前ぐらいは、ちと歯ごたえがあってくれよ?」
 頭目格の1人に向かって、歪んだ笑みを向ける鷲尾であった。

 同時に、騒ぎが持ち上がったことで、他の面々も動き出していた。
「て、てめぇ、どこにいやがった!!」
「何事かと思ったら、従業員がご乱心とはね」
 広間に戻ろうとしていた盗賊の前にふらりと裏口から現れたのは天ケ谷 昴(ib5423)だ。
 軽装で非武装、捕まえ損ねた客の1人かと盗賊が侮った瞬間。
「‥‥なんて、冗談言ってる場合じゃないか。ま、たかが賊程度、さっさと片付けてやりますか」
 その手に魔法のようにいつの間にか握られているバーストハンドガン。
 早撃ちで抜き放った短銃を構えると、即座にショートカットファイアで発砲。
 まさに一瞬の早業で賊を1人倒すと、驚いている他の面々にも次々に銃弾を放って。
「‥‥浅知恵働かせて頑張ったみたいだけど、あんたらの運もここまでだよ」
 火薬の匂いとともに、あっというまにその場を制圧してしまうのだった。
「さて、腕に覚えがあります、なんて言わんばかりの奴らが混ざってたし、大丈夫だろうけど‥‥」
 角を曲がってはっと天ケ谷に気付いた盗賊に、銃弾を一発お見舞いして、
「一応見に行かないと。‥‥巻き込まれたんだろうけど、運が良いんだか悪いんだか」
 すたすたと、この状況に全く動じていない天ケ谷であった。

「ぞろぞろと雑魚ばかりカイ。コイツ等数だけは多いナァ。面倒くさくなってきたアルぜ」
 こちらは二階のハズレにひらりと侵入した梢だ。
 廊下の端っこの部屋に忍び込んでみれば、荷物を物色中の賊とご対面。
 蹴り一撃で昏倒させて、廊下に出てみれば、銃声を聞きつけて猪を捜していた面々と遭遇したのであった。
 飛び込んで旋風脚、蹴散らしてまだ元気そうなヤツに旋蹴落。
 そして、
「てめぇどこから入り込みやがった!」
 どうやら頭目格の1人らしく、それなりに良い装備の男が刀を抜き放ったのだが、
「ふん、偉そうな割に、隙だらけアルね」
 一足飛びに踏み込んだ梢、極神点穴で一撃。頭目格の1人はあっさりと崩れ落ちるのだった。
「‥‥さて、鷲の援護にでもいくカ。面倒だがナ」
 ひょいと再び窓から飛び降りるとまっすぐ広間に向かう梢であった。

「な、なんだ? おいだれか、見てこいよ‥‥」
 こちらは煌夜を連れて行った集団。ちょっと離れた座敷で、良からぬコトに及ぼうとしていたのだが。
 運悪く響いたのは、梢の突貫した音に鷲尾が雑魚を痛めつけている叫び、それに天ケ谷の短銃の音。
 いざお楽しみ、というところで一瞬注意が逸れた瞬間、
「‥‥はい、そこまで。なんでもする、っていったけど‥‥」
 縄を解かれた煌夜は、そういって
「趣味じゃない演技だったけど、一瞬でも良い夢見た?」
 一気に身体のバネを使って、跳ね起きると紅蓮紅葉。燐光を放つ拳で鼻の下を伸ばした盗賊を一撃。
 首筋を強かに打たれた雑魚たちは次々に、何が何だか分からないまま蹴散らされるのだった。

「‥‥そんな構えでそいつを撃とうってか? 舐めんじゃねぇぞド素人!」
 こちらはダイリン。彼は、他の盗賊を追って進めば、丁度戦利品を運んでいる一団と遭遇して。
 ちょうどダイリンのものであるマスケットを手にしていた盗賊。
 それを持ち主のダイリンに向けたところで、この一喝である。
「俺は素手だろうが強ぇのさ! この俺の休日を台無しにしやがった元凶中の元凶だから、お前は許さねぇ!」
 拳で雑魚をなぎ倒し、装填に手間取っていた頭目格に詰め寄ると銃をがっしりと掴んで。
 そのまま、梃子のように銃を奪い、銃身をつかって頭目格のド頭を強烈にかっ飛ばすのだった。
「よし、残るはあと少しだな‥‥っでぇ! くっそ、誰だこの痛ぇ!!」
 振り向いたダイリン、なんと予想外の方向から拳が飛んできて咄嗟に銃を向けたのだが、
「‥‥あ? なんだおめぇかよ。悪ぃ悪ぃ、人相悪ぃから盗賊と間違えた」
 けらけらとそう答えたのは答えたのは猪であった。
「てめ、雷梅! 人が最高に格好良く決めようとしてた時に‥‥」
「おー、そりゃ悪かったなぁ。俺はちょいと強そうな賊に用があったんでな」
「俺みたいに格好良い奴を盗賊なんぞと間違えんなよ、まったく‥‥」
 ぶちぶちと言うダイリン。だがそんな彼を放って置いて猪は、頭目格に近づくと、
「‥‥それじゃ、金品のありかを聞かねぇと。早く言えよぅ、鼻の穴三つに増やしてほしーか?」
 と銃を顔に向けてそう言うのだが。
「おい、雷梅。さすがに賊の盗んだもの横取りやったらギルドに捕まるぞ」
「えー、なんだよそれ!」
「こいつら捕まえりゃ、多少なりとも報奨金がでるだろうよ。それで我慢することだな」
「‥‥ちぇ、つまんねえの」
 と不満げな猪をダイリンはそう腐るなと、笑い飛ばすのだった。

●終息
「オヤ、もう終わったのカ? 案外歯ごたえなかったナァ」
 梢が広間に顔を出せば、立っている姿は鷲尾に龍水仙、そして戻ってきた煌夜ぐらいで。
「ええ、私が戻ってきた時にはもう全員この有様。‥‥縛るの手伝ってくれる?」
 いろいろへし折られて昏倒している頭目格の1人を縛り上げてる煌夜はそう梢に答えて。
 逃げようとした他の盗賊も、春吹に迎え撃たれたり天ケ谷に迎撃されたりと全員倒されたようで。
「いや、みなさんさすがでやんしたね。おっちゃん、平気でやんすか?」
 春吹も合流して、客たちを気遣って。
「ま、一番不幸だったのは賊だったみたいだね。俺達を泊めたのが運の尽き、と」
 そういう天ケ谷の言葉に、客を含めて一同はまったくだと頷くのであった。