【轟拳】奴隷解放!
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 難しい
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/11/17 17:49



■オープニング本文

 泰国のとある一地方。
 そこは、華やかで賑やかな泰国の他の地方とは微妙に異なる空気が漂っていた。
 その原因はこの地を支配しているとある門派にあった。
 門派の名は「八極轟拳」、そしてその長の名は「轟煉」という。
 轟煉の思想は単純明快である。
 強者は弱者を支配すべきであり、自力で生きていけぬ弱い者に価値は無い。
 力こそ全てであり、逆らう者はその力でもってねじ伏せる。
 そんな生粋の強者にして覇者が、轟煉という男である。
 彼は、その本人の力と彼の門派に加わった大勢の門弟とともに、その一地方を支配していた。
 彼に逆らう者は容赦なく粛正され、逆らわなくても奴隷として扱われる。
 仙人骨を持ち、その中でも強き者だけが優遇されるという社会が形成されているのであった。

 そんな地の鉱山にて。
 日々奴隷として働かされて、力尽きれば捨てられる生活に住人たちは力を失っていた。
 しかし、逆らえば死あるのみ。
 鉱山を支配している門弟たちも轟煉や幹部には劣るが、それなりに強力な泰拳士たちである。
 生半可な力では対抗できず、住民たちはただ耐え凌ぐしかないのだ。
 だが、そんな状況においても、闘志を失わない者も居た。
 それは、奴隷たちの精神的支柱となっているガランという男であった。
 彼はかつて名の知れた泰拳士であったが、轟煉に挑み敗れ奴隷とされたのだ。
 今では、こうして奴隷の一人としてこの鉱山で暮らしているのである。
 その手足には常人の数倍の重しや枷がつけられて、生活するにも一苦労。
 しかし、彼の魂は折れていなかったのである。

 秘密裏にギルドへと届けられた手紙によると、密かに反抗計画が進行中とのこと。
 しかし、敵の泰拳士に対抗する戦力が決定的に不足しているらしい。
 そのため、ガランはギルドに助けを求めたのである。
 反抗計画の要は、密かに八極轟拳の新米として潜り込んだガランの弟子だ。
 今では鉱山の見張りの一人として密かに加わっているとのこと。
 彼を通じて、ガランは外と連絡をとっているとのことである。
 未だに彼らに轟煉に挑むほどの力は無く、今回の目的は鉱山の開放のみ。
 しかし、いつの日か実を結ぶことを願いつつ、ガランは反抗の狼煙を上げるのであった。

 さて、どうする?


■参加者一覧
梢・飛鈴(ia0034
21歳・女・泰
恵皇(ia0150
25歳・男・泰
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
海神 江流(ia0800
28歳・男・志
焔 龍牙(ia0904
25歳・男・サ
輝夜(ia1150
15歳・女・サ
露草(ia1350
17歳・女・陰
喪越(ia1670
33歳・男・陰
以心 伝助(ia9077
22歳・男・シ
色 愛(ib3722
17歳・女・シ


■リプレイ本文

●静かな始まり
 その日もガランは静かに地面を見上げながら、黙々と作業を続けていた。
 周囲には八極轟拳の門弟たちによる監視、手足には枷。
 しかし、彼はそれでもその瞳から生気を失っていなかった。
 夜になれば、奴隷たちが集められて暮らす粗末な小屋で、仲間たちに語りかけ。
 苦しい生活の中でも、同じ境遇の仲間たちを励まし勇気づけ続けるのだった。
 そして、いよいよ彼が待ち望んでいた時機がやってくる。
 静かに忍耐を重ねてその時を待っていた乾坤一擲の反撃の時が‥‥。

「いいか、働き方は他の奴隷に習え! 抵抗は無駄だからな!!」
 鉱山には今日も新しく奴隷が連れられて来ていた。
 八極轟拳の門弟らは近隣の村から健康な者を集めてきて奴隷として使っているようで。
 気候温暖な泰国といえど、この季節の山は冷え込み、体調を崩す者も少なくない。
 そうなれば、鉱山の維持のためにも、新しい奴隷を連れてくるのが早いというわけである。
 そんな奴隷の中にあって、どんよりと死んだ魚のような目をして働く女が1人。
「‥‥‥久々に骨がありそうな依頼アルな。仕合が主じゃないのがチト残念ダガ‥‥」
 誰にも聞こえないような声で呟いて、黙々と作業しているのは梢・飛鈴(ia0034)。
 奴隷として潜り込む際に、装備類は全て置いてきたので、身にしているのは粗末な衣服だけ。
 もちろん実ははいくつか武器を隠し持っているのだが。
「演技するのも疲れるガ‥‥今は大人しくしておくアルね」
 梢はそう思いつつ、油断無く周囲の見張りに視線を向けながら、作業を続けるのだった。
 彼女を含め、すでに鉱山には10名の開拓者達が潜入していた。
 もちろん全員奴隷としての潜入である。殆どの装備は持たずに、その身体と知略のみが頼りだ。
 彼らの働きにこそ、ガランが望む反撃の成功がかかっているのだが、これは非常に危うい賭けであった。
 今回、もっとも避けるべきなのは、計画が露見することだ。
 人数が増えればそれだけ計画が破綻する可能性が増えるのだが、開拓者は重要な役割を担っていた。
 そもそも、今回開拓者が必要とされているのは、敵の泰拳士に対する戦力としてである。
 鉱山を開放するためと同時に、なんとしても奴隷として働く人々を救うこと。
 それこそがガランの望みで、そのためには敵を倒すだけではなく奴隷たちを救わねばならない。
 つまり開拓者は巧妙に身を隠しながら時機を待つべきで、敵側との無駄な接近は避けるべきなのだが‥‥。
「まずは、監視員に取り入ろうかしら‥‥」
 非常に危険な綱渡りをしているのは、色 愛(ib3722)であった。
 確かに上手く敵を騙し取り入ることが出来れば、効果は絶大かもしれない。
 だが、すでに敵内部にはガランの弟子が1人潜り込んでいる。
 十分な連携がとれない現状で、色愛の動きがどう影響してくるか、それはまだ誰にも分からないのであった。

●騒ぎと邂逅
「誰かっ!! 人を、人を呼んで下さいっ!!」
 作業中、魂消るような叫びと共に挙がったのは助けを呼ぶ声だった。
 取り巻く奴隷たちをかき分けるようにして、現場にやってきた監視役たちが見たのは2人の女性だ。
 どうやら疲労から倒れてしまった娘をもう1人が介抱するようにして抱き起こしているところで。
 その2人を見て、最近入った新顔だと気付いた監視役は周りの奴隷たちを怒鳴りつけながら居丈高に、
「‥‥良いから作業に戻れっ! ほら、お前らも何を見ているっ!」
「で、ですが彼女は身体が弱くて‥‥」
 倒れて荒い息をついている娘は水鏡 絵梨乃(ia0191)、そしてそれを庇うのは露草(ia1350)であった。
 少しでも休ませてくれないかと懇願する露草だったが、それを承知する監視員ではなく。
「そんなこと関係ない! 作業が遅れたら承知せんぞ!」
 乱暴に露草を突き飛ばして、水鏡の方に押しやると、
「さぁ、他人を庇う気力があるなら、作業もはかどるんだろうな! 寝てるやつもとっとと連れて行け!!」
 そういって、乱暴に2人を追い立てるのだった。
 こうして水鏡と露草の2人が身を挺して作り出したのは、ほんの小さな隙であった。
 監視員たちの注意が2人に向いているその時、実は秘密裏に動く姿があったのだ。

「あんたがガランか?」
「そうか、とうとう時機が来たのだな‥‥手を貸してくれてありがとう、開拓者の青年よ」
 坑道の奧で、恵皇(ia0150)が声をかけた男はそういって小さく笑みを浮かべたのだった。
 そう、水鏡と露草の2人が監視役を引き寄せたのは、恵皇がガランに連絡をとるためだったのである。
 坑道の奧で、枷をはめられたまま鉱石の積まれた車を引くガランは堂々たる偉丈夫であった。
 背は大柄な恵皇と同じほど、白髪交じりの髪や髭を蓄えた壮年の男に恵皇は書付けを渡して、
「大体の流れはそこに有るとおりだ。今、仲間が時間を稼いでくれているんだが‥‥」
「成る程、外の騒ぎはお仲間のおかげか。では今のうちにいくつか打ち合わせをしておこうか」
 そういって、2人は監視がゆるんだ隙に、いくつかの情報を交換するのだった。
 すでに開拓者達は、一丸となってまとまっているはずである。
 後は細部を詰めるだけ、その結果数夜待ってからの作戦決行と決定して。
「あとは、どれだけ決行時にどれだけ敵の足を止められるかだな‥‥」
 そう恵皇が心配する言葉に、ガランも頷いて。
「なに、ここまで来れば怖じ気づいても仕方あるまい。一蓮托生なのだ、私も死ぬ気で働くとするよ」
 そういって、改めて協力を頼むのであった。

●いくつかの夜を越えて
「おー、いてて。まったく、あいつらは容赦ってもんがないんだよなぁ。なあ、アミーゴ」
 仕事の終わった後、奴隷たちはいくつかの小屋に分けて生活させられていた。
 その中で、むち打たれた背中を痛そうにさすりながら、陽気に話しているのは喪越(ia1670)だ。
 鉱山に来て数日しか経っていないものの、彼はすぐさま溶け込んだようで。
 喪越は身も心もすり減る暮らしを余儀なくされている奴隷たちに親しく接しているのであった。
「ま、明日に備えて俺はさっさと寝ることにするサ、おやすみ〜」
 そういって、薄暗い小屋の中でぼろぼろの毛布に包まれて眠る喪越。
 だが、彼は気楽に、時には胡散臭く振る舞いつつ、実は非常に重要な役割を担っていた。
 それは、人魂によって作り出した小動物で連絡役を務めることだ。
 秘密裏に相互の連絡を取れるのは開拓者にとって有利な点なのだが、そんな彼のもとに気になる情報が。
 それは八極轟拳の門弟たちがなにかに備えて緊張しているとの情報だった。
 断片的な情報から分かったのは、どうやらかなり門派の中で上位の人間がくるようだということ。
「‥‥となると、もう少し計画は延期となりそうだなぁ‥‥」
 喪越はその情報を仲間に広めるために再び人魂を動かしつつ、
「‥‥轟煉‥‥力こそ全て、か。ある意味浮世の心理だろうが‥‥だからこそ抗ってみたくなるのよ」
 と静かに思うのだった。

 次の日の昼、奴隷として働きながら周囲の様子を注意深くうかがう焔 龍牙(ia0904)の姿が。
 彼がたまたま入り口付近で工具を運ばされているとき、その男はやってきた。
 身の丈は背の高い龍牙ですら見上げるほどの偉丈夫。銀の短髪に金の瞳を持つその男は轟煉だ。
 この鉱山を支配する八極轟拳の長が直々に鉱山へと視察に来たようで。
 見るからに強そうなその男は、この鉱山で作っている金属の質に文句があるようであった。
 差し出された兜を、紙切れのようにぐしゃりと潰してその場を去っていくのだった。
 多くの部下たちも後を追っていったようで、また鉱山にはいつもの静寂が戻ってきて。
 もちろん監視はしっかりと残っているため、油断する焔たちではないのだが、
「‥‥これは、さっきの兜‥‥」
 ふと焔が見れば、そこに落ちていたのはさっき捨てられた兜であった。
 みれば、分厚い金属で作られたその兜にはくっきりと轟煉の手の形をつけて潰されていて。
 直接対峙していないのにもかかわらず、その戦闘力を焔は空恐ろしく感じるのだった。

 そして次の日の夜、
「‥‥大丈夫、必ず僕らで何とかしてみせるさ」
 静かに奴隷たちを励ましているのは海神 江流(ia0800)だ。
 こっそりと情報共有をした結果、轟煉が去った日の次の夜が好機と決まった。
 これは轟煉が鉱山を去ったため、鉱山の門弟たちの緊張がゆるんだ隙につけいるための決定であった。
 開拓者達は辛うじて情報を共有することが出来ていたため足並みはそろっているようで。
 しかし、共有できるのは最低限、油断は出来ないのだが、時機は今しかなく。
 いよいよ草木も眠る丑三つ時、開拓者達は行動を開始したのだった。

●大脱出
「このような安物の鍵なぞ、ちと力を入れれば‥‥この通りじゃ」
 示し合わせて、まず開拓者達が開始したのは拘束の解除だ。
 強引に力任せで拘束をぶっちぎっているのは、輝夜(ia1150)。
 彼女は女性の奴隷たちの房にて、奴隷たちの拘束を解き脱出に備えているようで。
「よし、これでみんな大丈夫だね?」
 水鏡は拳に拳布を巻き付けて準備して、そして露草は体力の少ない人を助けながら準備を進めていた。
「ええ、怪我をしていた人は出来る限り治療しましたし‥‥ですが、大丈夫ですか?」
 そう露草が心配するのは武器を持たない輝夜だ。
 泰拳士と違い、サムライの彼女は武器を持たねば戦闘力が下がるのではと思ったのだが、
「なに、武器が無ければ現地調達すればよいのじゃ」
 そういって、女性陣は、それぞれの役割のために脱出を開始するのだった。

「よし、今だ、早く脱出しろ‥‥あとのことは俺たちに任せて!」
 焔はそういって奴隷たちを逃がしつつ、作戦は進んでいた。
 その中で重要なのは破錠術を持つ以心 伝助(ia9077)だった。
 彼はガランの強力な枷や、外への道をふさぐ鍵を解除するのにうってつけで。
「‥‥力こそ全て、と八極轟拳の方々はいいますが、本当に強いのは‥‥」
 伝助はガランの拘束を解除しているところであった。
「ガランさんみたいに逆境に折れない方だと思いやすけどね。さあ、脱出しやしょう!」
 ぱきんと音を立てて、ガランの拘束は解かれ、彼は自由の身に。
「‥‥ふむ、久しぶりの自由だが楽しんでもいられんな。以心殿、先導宜しく頼む」
 そうして2人は、仲間たちと合流するために走り出すのだった。
 まずは奴隷たちをつれて逃げなければならない。そのために重要なのは足止めと時間稼ぎだ。
 開拓者はそれぞれ、自分の役割を果たすために動き出すのだが‥‥。

「‥‥私としたことが不覚をとったわ」
 時間稼ぎのために独自行動をしていた色愛は、危機的状況をガランの弟子に救われていた。
 色愛は、監視員たちの混乱を狙うために色仕掛けで1人の若い八極轟拳の門弟に近づいたのだが。
 結果は失敗。素手での戦闘に長ける泰拳士を暗殺するのは、そもそも難しく。
 それに新しく入った奴隷である色愛が信用されるわけもなく見破られたのだ。
 そこをガランの弟子に救われた形になった色愛は、
「そうだ、丁度良かったわ。一つ頼みたいのだけど」
 とガランの弟子に頼み込むのだった。
 色愛の策は弟子に嘘の報告をさせて時を稼がせるという容赦ないものだった。
 確かに時間は稼げるだろうが、弟子本人はどうなる? もちろん生きては帰れないだろう。
 だが、それを聞いた上でガランの弟子は、
「‥‥わかりました。では、師匠によろしくお伝え下さい」
 そういって、弟子は師匠のために命を賭けるのだった。

「フハハハ、アディオス・アミ〜ゴ〜! 戦闘は避けるに限る!」
 集団をつれて逃げるのは大変だが、そこで援護するのは陰陽師の喪越。
 結界呪符によって、障壁を作り出して追いすがる敵を妨害していた。
 1カ所しか出口がないことは、今回限りは開拓者有利に働いているようで。
 なんとか1人の脱落者を出さぬままに開拓者達は逃げ延びているのだった。
 先頭を行くのは伝助。鍵の解除と聴覚による警戒で皆を先導し、時には漸刃を放ち敵を蹴散らして。
 その伝助を援護するのは海神だ。調べておいた経路を活用し、さらには心眼を使って警戒。
「もう少しですから‥‥頑張って下さい」
 露草は、ガランらと一緒に奴隷たちを助けつつ進んでいるのだった。
 そして、殿を務めるのは輝夜だ。鎖つき鉄球で作った即席の武器を振り回し、追ってきた敵を撃退しつつ、
「うむ、上手い具合に追っては足止めされているようじゃ‥‥あと少し持ちこたえてくれば!」
 そう、陽動班の面々を心配するのだった。

「さーて、もうちょいと時間を稼がんとナァ」
 のらりくらりと敵を回避しつつ、牽制している梢。彼ら陽動班は敵の只中にあった。
 彼らこそが今回もっとも危険な役目だが、予想より敵の数は少なくて。
 向かってくる手練れを足払いし、気功掌を叩き込んで距離を取りながら、梢は幽かに首をかしげるのだった。
「オマエだけは直接この手で倒すと決めてたんだ!」
 陽動班の水鏡は、眼前の泰拳士とにらみ合っていた。
 彼女の眼前に居る手練れの泰拳士は、実は時間稼ぎの演技の時に、露草を傷つけた因縁の相手で。
 その相手に対し、水鏡はもてる技の全てを使ってぶちのめすのだった。
 危なげなく敵を倒した水鏡が、周りを見回せば、
「‥‥力で支配するとは、いつの時代にやっている。時代錯誤も甚だしいな!」
 武器を持たなくとも知恵で補って闘うのは焔。作業中に集めた道具を使っての攻防で泰拳士を撃破し、
「退路は確保してあるぞ!」
 そこに飛び込んでくる恵皇。彼は瞬脚で接近し、極神点穴で1人を撃破していた。
 彼らは知るよしもなかったが、敵の数が少ないのはガランの弟子が嘘の情報で敵をおびき出しているからで。
 結果として、彼らは余裕を持って足止めをはたして。
「‥‥‥みんな、今の聞こえた?!」
 最初に気付いたのは水鏡だ。彼女が聞いたのは、撤退完了を告げる呼子笛の音で。
「ああ、どうやら無事に逃げおおせたようだな。では我々も逃げるとするか」
 陽動班の面々は、途中合流した色愛とともに、焔を先頭にして一気に撤退するのだった。

●失ったものは
「‥‥そうか」
 無事逃げ延びた色愛と開拓者の陽動班から話を聞いたガランはただ一言そういって。
 今回、開拓者達は無事、奴隷を全員逃がし鉱山を開放することに成功した。
 だが、それはガランの弟子の命を賭けた陽動によるところも大きかったようで。
 この先、ガランは轟煉に対抗するため身を隠し、戦い続けるとのこと。
 奴隷たちはガランの支配圏の外に連れて行くことが決まったのだが。
「‥‥弟子が師より先に逝くとはな‥‥」
 ガランは何度か遠くの山を振り返っているのを開拓者達は見るのだった。