ぶちこわせ!
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 易しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/07/20 00:47



■オープニング本文

 昨今、開拓者達の活躍はめざましい。
 となれば、彼らを狙った商売が生まれるのも必然、ここにもそんな夢を追う男が1人。
 武天のとある街、芳野。そのはずれにある景勝地、六色の谷。
 そのはずれもはずれ、微妙に安かった土地を買った男はあることを企んでいた。
 そう、それは開拓者達をあてにした新商売だ。
 命を張って活躍する彼らは結構なお金持ちであることも少なくない。
 ということで、彼が新しく考えたのはちょっと特殊な景勝地の宿である。

 六色の谷は、季節事に様々色を変えることからその名がついた景勝地だ。
 春の桜に夏の緑、谷を流れる川の青さに秋の紅葉、冬の雪。
 温泉もあるというそんな優れた景勝地なのだが、彼は奮発して土地を買って。
 なんとそこに、朋友を連れてくることの出来る宿を作ろうというのだ。
 開拓者達は、命を預け共に闘う朋友との絆を大事にするという話。
 ならば、その絆を深め、疲れを癒す施設があっても良いだろう。
 これならばきっと一山当てられる! そう考えて現地に向かった男だったのだが。

「なんじゃこりゃ!!」

 彼が見たのは、廃墟と化した古びた建物のあとであった。
 どうやら、彼が買い取った土地にはかつて大きな建物があったようで。
 すでにぼろぼろではあるものの、まだしっかりと柱も屋根も壁ものこった頑丈そうな建物であった。
 どうやら古い砦の跡のよう。
 今では平和な景勝地だが、過去におそらくは戦いがあったことを物語る建物が鎮座していたのである。
 ということで、彼はまずその新たな商売を前に、この建物の撤去をしなければいけないわけで。

「なら、纏めて開拓者に頼むか。ついでに、どんな施設が欲しいかを聞けば一石二鳥だ!」

 ということで、今回の依頼となったわけである。
 まずは、建物の撤去。開拓者と朋友の全力で破壊し更地にするのが目的。
 そして、朋友と共にくつろげる施設の新案大募集。なにか希望があれば話し合ってみるのも良いだろう。

 さてどうする?


■参加者一覧
深山 千草(ia0889
28歳・女・志
喪越(ia1670
33歳・男・陰
シエラ・ダグラス(ia4429
20歳・女・砂
からす(ia6525
13歳・女・弓
ルーティア(ia8760
16歳・女・陰
サーシャ(ia9980
16歳・女・騎
ブローディア・F・H(ib0334
26歳・女・魔
明王院 浄炎(ib0347
45歳・男・泰


■リプレイ本文

●準備はしっかりと
 悠々と空を舞う翼影。
 それは、開拓者達の連れてきた龍たちの姿であった。
 それを見上げて、思わず凄いと呟く依頼人。
 とにもかくにも、龍をはじめ様々な相棒を連れた開拓者達が集ったわけで。
「えー‥‥ともかく、今回はよろしくお願い致します。あの、安全‥‥ですよね?」
 大人しい龍たちはともかく、怪しげに拳法の構えを取るもふらやら、ふりふりの土偶ゴーレムやら。
 賑やかな相棒たちの姿に、依頼人は夏の陽気にもかかわらず、冷や汗をかくのであった。

「たまにはこういう機会を持つのも良かろう」
 そういって、依頼に参加したのは明王院 浄炎(ib0347)だ。
 連れてきた相棒は甲龍の玄武。
 そんな明王院はまず開拓者を代表して、壊すための手順を確認しているようで。
「ときに、依頼人。この石壁の石や床柱などをただ捨ててしまうのは少々勿体なくないか?」
「ええ‥‥たしかにそうですが、これだけの重量物になりますと、形を残したまま運ぶのも一苦労ですし」
 そう、依頼人は言うのだが。
「ふむ、ならばそれならば大丈夫だ。とりあえず仕えそうなものは一時避けておけばいいだろう」
 ということで、取り壊しの前にひとまず宝探しということになったのである。

「とりあえずは宝探しごっこね。楽しい依頼ねえ」
 おっとりと微笑みながら、相棒の忍犬・茉莉花をもふもふと撫でているのは深山 千草(ia0889)。
 取り壊し前に、使えそうな建材を避けることになったので、身軽な彼女と忍犬の茉莉花は建物の中へ。
 雨ざらしとなっていたり、壁が崩れ落ちている所も多いのだが、2人は身軽に中に進んでいって。
「あら、茉莉花。何か見つけたの?」
 見れば、茉莉花がかしかしと崩れた壁の一画を掘り起こそうとしているようで。
 ぼろぼろになった木材やら瓦のかけらをどかしてみれば、そこにはおそらく小さな通路が。
 室内に作った茶室への入り口を見つけたようで。
「茉莉花、お手柄ね。はい、ご褒美のお団子よ」
 そういって、深山は茉莉花に好物の団子をあげるのであった。
 さて、彼女たちが見つけたのは、壁の奧にあって、まだそれほど傷んでいない茶室のあとだ。
 おそらくはこの砦のような建物における偉い人間が使っていた場所のようで。
「ふむ、この床柱は使えそうだ‥‥」
 そこにちまっと入り込んで、部屋の様子を確認するのはからす(ia6525)。
 相棒の駿龍、鬼鴉は外で待機中のようだ。
 そこに依頼人も入り込んできて、
「おお、これはなかなかに立派な。確かに再利用できそうですね、でもどうやって外に出しましょう?」
「うむ、それならば、出口を作ればいいのだ」
 そういって、からすはふっと笑みを浮かべたのであった。

「イー君はそのまま待機していて下さいね。では‥‥」
 屋根の上を舞う龍の姿が一つ。サーシャ(ia9980)の相棒、イズゥムルートだ。
 サーシャは、相棒のイー君に一声かけると、手にしたグランドソードを地面に向けつつ。
 えいっと屋根めがけて飛び降りたのだった!
 身軽にひらりと飛び降りるも、サーシャは人並み外れた大柄な女性。
 みるみる加速して、勢いよく屋根に着地するその瞬間、サーシャは屋根めがけてスマッシュ一閃!
 屋根の瓦や古びた梁や真っ二つにぶった切ったサーシャは、そのまま部屋の中に着地して。
「‥‥案外、もろいものですね〜」
 何ごともなかったかのように立ち上がるのだった。
 ということで、部屋の屋根をぶち破って開口部を設けたあとは簡単なもの。
「すまぬが声をかけたら引き上げては貰えぬか」
 そう明王院が玄武に声をかければ、玄武は床柱に引っかけた縄をひっぱりあげたり。
 そのほか皆で協力して、無事床柱やら使えそうな建材の避難は完了するのだった。
 のこるは、傷んで使い物にならなくなった建材や汚れの酷い石材ばかり。
 つまりは、全部破壊し、捨てる予定のものだけとなって。
「崩落したりするのは怖ぇが、とりあえず端から崩していけば大丈夫そうだな」
 にかっと笑う喪越(ia1670)に、依頼人は冷や汗をかきつつ、お願いしますと小声で応えるのだった。

●破壊はがっつりと
 依頼人の冷や汗の意味は、破壊の様子がどんなかを説明すればきっとわかって貰えるだろう。
「オホホホホホホ! 無機物如きがしゃらくさいですわ!!!」
 大暴れする、ふりふり衣装のゴーレムが一体‥‥名をジュリエットというお嬢様である。
 彼女はその巨体で豪快な蹴りを放っていた。
 漆喰の壁に蹴りをどーん! 木っ端微塵。古びた床梁に踵落としどーん! 劇的粉砕。
「‥‥いやいや、お前さんの身体も分類的には無機物だし」
 同族嫌悪? と思わず突っ込んでいるのはジュリエットの相棒の喪越。
 ジュリエット曰く、小汚い使用人だとか。なので、さっぱり喪越の言葉も聞かずに、
「こんな汗臭い現場でも、可憐に舞うような蹴り技で優雅さを忘れないワタクシ‥‥」
 うっとりそんなことを呟いているジュリエットを見て、聞いてねぇと思わず膝をつく喪越だったり。
 そんな喪越も、破壊活動の大半はジュリエット任せだったが、こんな時に便利な陰陽師。
 鉄製の鍵や、邪魔な金属部品を錆壊符で腐食させて破壊するのが彼の仕事で。
「よし、あとはコレで爆破すれば、蔵の方は片付くな」
 といって、焙烙玉を仕掛けて、どかんと爆破解体をしてみれば、
「‥‥モコス、なにか恨みでもあるのかしら?」
「おや、ジュリエット。そんなところに居ると、漆喰が‥‥って遅かったか」
 運悪く爆破した漆喰の粉塵が、ジュリエットに直撃したりして追いかけ回されていたり。

「ほら、パティもあんまり暴れちゃだめですよ」
 礼儀正しそうな女騎士風の志士、シエラ・ダグラス(ia4429)。
 彼女は、相棒の駿龍パトリシアと共に別の棟で作業中であった。
 モコス&ジュリエットの大暴れに巻き込まれないように逃げてきた依頼人がちょうどそこにやってきて。
 危ないですから、というシエラの言葉に、遠巻きに様子をみることにしたのだが。
「‥‥さぁパティ、いきますよ」
 地上から、優美に刀「翠礁」を構えるシエラとその頭上で建物の外壁に目を向けるパトリシア。
 そして、シエラは刀を振るってカマイタチを放てば、それに合わせてパトリシアもソニックブーム。
 両者の放った二重のカマイタチは、頑丈そうな外壁をぶち抜くと、がらがらと漆喰の壁は崩れて。
 さすがと感心する依頼人だったのだが、そのあとが少々過激だったのである。
「‥‥目標確認、目標確認、サーチアンド・デストロイ、サーチアンド・デストロイ‥‥」
 暴れん坊のパトリシアが突っ込んで、大暴れし始めると同時にシエラもスイッチが入ったようで。
 どうやら昔の血が目覚めてちょっといろいろ性格がかわってるよう。
 パトリシアが全身を使って、周囲を粉々にしてる中を、シエラは縦横無尽に飛び回り。
 身軽な動作で、柱や強固な石材を粉砕している様子を見た依頼人は、再び逃亡するのだった。

 そして、逃げた先で三度目の正直‥‥否、二度あることは三度ある。
「龍たちと一緒に遊べる場所ができるんだな! よーし、がんばるぞー」
 そういって、元気に作業を開始したのはルーティア(ia8760)だ。
 その横には、しゃきーんと構えるもふらが一匹。
 人の背丈を優に超える巨大な斬馬刀を片手に、豪快に建材の破壊を始めたのだが、数分後。
「暑い! 一気にぶっ壊して温泉入りに行く! うおー!」
 早くも夏の暑さにお手上げのようであった。
 その様子を見ていたもふらのチャールズは、すたこらと彼女から距離を取って。
「依頼人の旦那、ちょいと離れておくことをオススメするぜ」
「はぁ‥‥」
 きょとんと応える依頼人だったが、すぐに彼はその意味を理解したのだった。
 斬馬刀を担ぐようにして構えて、彼女が使ったのは焔陰という技。
 熱いといいつつ、さらに熱くなるのじゃないだろうかというこの技は武器に炎を纏わせるものだ。
 だがたんなる炎ではない。攻撃力を遥かに高める技である。
 そして、ルーティアは豪快に炎を纏った斬馬刀を振り回し、砦の一角を粉々にしていくようで。
「な? 離れててよかっただろ?」
 そんなチャールズの言葉に、かくかく頷く依頼人なのであった。
 そしてチャールズは再び作業に戻るようで、怪しげな構えを取りつつ、壁に拳をぺしぺしと。
 ふわふわの毛のせいで、ぽふぽふもきゅもきゅとあまり効果がないようだがそれはそれ。
 しっかりとガレキの運び出しやらでお手伝いをするチャールズに別れを告げて。
 依頼人は次の現場に移動するのだった。

「吼えろ、『天狼星』」
 からすはその小さい身体で大型の機械弓を手に構えていた。
 放ったのは機会弓の一撃に精神力を込めて、衝撃波を放つ最強の一撃を放つ技、烈射「天狼星」だ。
 龍の鬼鴉に背をあずけ、衝撃を吸収して貰いながら放った一撃は、壁を何枚もぶちぬいたようで。
「うむ」
 そう頷いて、からすは威力に満足したようで。
 その横を、あまりの威力にびびりながら通り抜けた依頼人は、まだ崩れていない二階部分に人影を発見。
「茉莉花、すこし下がっていてね」
 残っていた二階部分に居たのは深山だ。
 忍犬の茉莉花と一緒にのんびりしていると思いきや、深山は殲刀「朱天」で桔梗を放つ。
 鋭いカマイタチは、二階部分の構造物を真っ二つに断ち割り、そのガレキは下に崩れ落ち。
「あら、怪我なさいませんでしたか?」
 やはり、穏やかそうな外見でも開拓者は強いんだなぁと改めてびっくりしている依頼人なのであった。
 そんな彼が最後に到着したのは、彼が設けた廃材捨て場。
 丁度、サーシャがオーラドライブを全開で細切れにした痛んだ大黒柱を明王院と玄武が運びにいくよう。
 その運んだ先には、地面に大きく掘られた穴と。
「暑いわ‥‥でも、炎は良いわ」
 ちょうどブローディア・F・H(ib0334)がその穴に、ファイヤーボールを投げ込んでいるところだった。
 炎の魔術を得意とする魔術師であるブローディアの仕事は、廃材の処理だ。
 傷んだ廃材などを燃やして灰にしているようで。
 灰は、依頼人が設けた資材捨て場に協力して運んでいるとか。
 本来であれば、大人数でなければなし得ない仕事である解体作業。
 それを分担しつつ、いろいろ派手ではあるもののこなしてしまう開拓者に、
「いやぁ、やっぱり開拓者さんたちはすごいものですね」
 そうつくづく依頼人は呟くのであった。
 とにもかくにも作業は進み。
 数日がかりになるだろうということで、日が暮れるころには彼らは作業を繰り上げて。
 一行は、依頼人から紹介された、朋友も一緒に入れる温泉宿に赴いたのであった。

●温泉でゆっくりと
 施設案を話し合うのは一休みした後で、ということで。
「‥‥‥茉莉花も気持ちいい?」
 広々とした浴場の岩陰の隅っこにて、深山は茉莉花と一緒に温泉を堪能していたり。
「疲れたか? 鬼鴉。戻ったらぐっすり眠るといい」
 洗い場の方では、湯帷子を宿で借りて身につけているからすが龍の鬼鴉を洗ってやっているようで。
 おつかれさまと声をかけながら今日の働きをねぎらっているようであった。
 日中は、日差しも強く、その中で激しい運動をしたわけで。
 こうして、湯に浸かってみるとその疲れも溶けていくようである。
 そして、広々とした露天風呂を吹く風は、さすがに夕暮れ過ぎとなればすこし涼しく。
 肌を撫でるそんな涼風を満喫しつつ、温泉でくつろぐ一行であった。
 日中は熱さで溶けていたルーティアも、温泉ではくつろいでいる様子で。
 シエラは、すみっこの深山と、この温泉を観察しつつ、どういう案があるかを相談中。
 そしてサーシャは、久々にお湯をと龍のイー君を存分に洗ってあげているようで。
 そんな一行の女性陣を照らし出すのは、ブローディアが連れてきた鬼火玉だ。
 そして鬼火玉を前に、豊満すぎる胸をなんとかタオルで隠そうとするブローディア。
 開拓者の女性陣はのんびりと温泉を満喫するのであった。

 そして、なぜか一人で女湯からあがって来たジュリエットと鉢合わせの喪越。
 ジュリエットは、どことなく湯上がり卵肌、陶器だけど。
 そんな様子を、喪越が言葉もなく眺めていれば。
「モコス‥‥使用人の分際で主に劣情をもよおすなど、恥を知りなさい!」
「もよおしてねぇよ!!」
 思わず突っ込んだ喪越をみて、もういろいろとさっぱりした湯上がりの依頼人が吹き出すのだった。

 そうしていよいよ湯上がりのまま座敷に場所を移して、作戦会議である。
「依頼人さん、新しく建てる施設には温泉は引くのかしら?」
 湯上がりでふっかふかの茉莉花の毛を梳ってあげつつ深山がそう問えば。
「そうですね、源泉や水回りがどうなるか分かりませんが‥‥」
「ん‥‥温泉が駄目なら、水遊びが出来る場所も良いんじゃあないかしら?」
 龍をつれている人には喜ばれるかもしれない、と深山が言えば。
「たしかに衛生面とかで色々難しいと思いますが」
 そう前置きしたのはサーシャだ。庭先で羽を休めているイズゥムルートを見ながら、
「温泉に限らずですが、得てして朋友と一緒の宿でも、寝泊まりは別室だったりすることが多いので」
 うんうんと一同が頷くのは、おそらく同じような経験があるからだろう。
「本当に同じ部屋で、寝泊まりできる客室が欲しいですね」
「なるほど、同じ部屋で‥‥」
 と依頼人も頷くが、やはり外にいる大きな龍をみるとはたしてどうすればいいのだろうと首をかしげ。
「そうそう。龍でも寝そべれるような広い場所があれば良いのではなくて?」
 そういったのは、喪越の朋友であるジュリエットだ。
「土間やら石畳に藁を敷き詰めてベッド代わりとか」
「なんてまともな意見、まさか変なモノでも食ったぐは!」
 そんなジュリエットに思わず喪越が突っ込んだらげんこつで制裁。
 しかし、なかなか目の付け所は良いようで。
「たしかに近くで眠れるというのはいいかもしれないな」
「そうですね。あんまりそういう施設は見かけませんし」
 からすやシエラもそう賛同すれば。
「ふむ、資材として残しておいた石壁や漆喰なんかを活用すれば衛生的にも良いかもしれないな」
 大型朋友用の水場や鍛錬場所にも使えるんじゃないかと明王院もいって。
 たしかに、広さだけはたくさんある現在の建築予定地。
 すでに建造物が建っていたために、土地の土台はしっかりしているはずである。
 そこでならば、一緒に入る大きな部屋を作ることも不可能ではないのではないかと依頼人は感じたようで。
「それなら、さらにもう一声だ」
 そういったのはルーティアの朋友、もふらのチャールズだ。
「俺は普段からルーティアと一緒に同じ物食ってるけど、人間と同じモンは食えない奴らも居るだろ」
 そういわれてみればと一度はうなずいて。
「景色の良くて広い所で、朋友と一緒に季節の味と風景を楽しむ‥‥悪くない案だと思わねーかい?」
 そんな意見が当の朋友たちから出てくれば、依頼人もなるほどと手を打って。
 その後、冬場はスケートがと深山が言えば、焚き火があればとブローディア。
 ますますに意見は盛り上がり、依頼人は大いに満足するのであった。

●終わりはさっぱりと
「きみにはこの景色がどう見えている?」
 思わずからすはとなりの鬼鴉にそう聞いて。
 解体作業は進み、殆ど現場は更地になっていた。
 そんな作業最終日、景色を見ながら、ふとからすはそんな事を朋友に聞いてみたのだ。
 シエラは作業の合間、龍のパトリシアを空高く舞わせながら最後の片付けを終わらせて。
 どうやらパトリシアは、景色の綺麗なこの辺りをとびまわるのが気に入ったようで。
 いろいろな意見をもとに、キレイになったこの土地に、きっと良い施設が出来るのだろう。
 良い環境に良い施設がそろえば、それはきっと開拓者にとっても快適な場所となるはずで。
 そんな風に一同は思いながら、現場を後にするのだった。