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■オープニング本文 何ごとにも終わりがあれば、始まりもある。 悲しいかな、魔の森やアヤカシに負われて村を失うことは珍しいことではない。 だが、村を失っても人は諦めるわけではない。 そういった者たちが集まり、新たな村が立てられることもあるのだ。 そんなわけで、ここ武天の片田舎では、今まさに新たな村が作られつつあった。 山間の小さな窪地、近くを流れる清涼な河。 すでに、村の開拓作業は進み、日々新たな家が建っているその村に、名前はまだ無かった。 そこに住むことになるのは70名ほど。 アヤカシの被害や魔の森の拡大によってかつて住む村を失った者たちばかりだ。 そんな避難民たちを武天の芳野という街が援助して、新たな村を立てることになったわけで。 その新たな村の住民となる人々の顔は、辛い過去を経験していながらどこか晴れやかだった。 立地は、そう悪いわけではない。 街道筋からは外れてはいるものの、材木や炭作り、養蚕などが村の産業となるだろう。 芳野までなら村に一台だけある荷馬車ならば朝出て夜には着くと言った距離も、魅力の一つで。 そんな未来に思いを馳せながら、村人たちは村を新たにつくって行くのだ。 開墾した土地に、春から米作りのための田んぼを準備し新たな家を建てるという日々。 だが、やはり村人たちにも不安があった。 それは、またこの村も襲われるのではないだろうかというものだ。 さて、村人からそんな不安を知らされた芳野の領主代行、伊住穂澄は考えた。 どうすれば、村の不安を取り除くことが出来るだろうか。 少し前には、利点で大規模なアヤカシとの戦いがあり、多くの避難民が生じたとのこと。 武天でも同じことが起きないとは限らないのだ。 となれば、こうした難民による新たな村の成功は非常に重要となる。 なぜなら、これから先アヤカシの被害が拡大し避難民が増えた時の指針となり得るからで。 そこで、領主代行はアヤカシ対策の専門家として、開拓者達に手伝いを頼んだのだった。 その名の通り開拓者。 彼らの仕事は、アヤカシが跳梁跋扈するこの危険な土地を切り開き開拓していくことでもある。 ということで、今回の依頼は村の設立に際し、様々な手伝いをして欲しいとのこと。 さて、どうする? |
■参加者一覧
からす(ia6525)
13歳・女・弓
紅明(ia8335)
20歳・女・弓
セドリック・ナルセス(ia9155)
29歳・男・陰
李 風龍(ia9598)
24歳・男・泰
和紗・彼方(ia9767)
16歳・女・シ
ユリア・ソル(ia9996)
21歳・女・泰
アレン・シュタイナー(ib0038)
20歳・男・騎
白 桜香(ib0392)
16歳・女・巫
羽流矢(ib0428)
19歳・男・シ
ニクス・ソル(ib0444)
21歳・男・騎 |
■リプレイ本文 ●村への第一歩 遙か遠くまで広がる緑の山野。 そんな山中の窪地にぽつりと村、その村の名はまだ無いのだが。 名はなくとも、その村は今だけは、とてつもなく目立っていた。 悠々と、もしくは泰然と。時に素早く、時にゆったりと村の上空を舞う10の影。 それは大きく力強い龍であった。 それぞれの背に、開拓者を乗せて、思い思いの軌道を描きながら悠然と空を舞う龍たち。 村人たちも、その威容には思わず空を見上げているようで。 大人たちは眼を細め、春の空に舞う頼もしい龍たちに感謝をするような表情で。 そして、子供たちはあこがれと夢を顔一杯に輝かせて、そんな龍たちを見上げているのであった。 「村が新しく始まる手伝いか‥‥そんな場に立ち会えるのは光栄と言うものだな」 シックザールという名の龍の背にあるのは、ニクス(ib0444)。 春の晴れ晴れとした青空の下、時折子供たちが手を振ってくるのを見つつ。 彼は、全員そろっての見回りの最中、村の絵を描いているようだ。 すでに大分村の周囲は開けているようで、木々の生い茂る窪地にぽっかりと村が見え。 近くの河から水路を引いていたり、田んぼのために段々畑を切り開いていたり。 村人みんなが力を合わせて働いている様子が空からはよく見えるようである。 彼をはじめとして、10名の開拓者は全員、自身の龍を連れてこの依頼を受けたのであった。 そしてその龍を駆るのは開拓者10名。 村人たちはそれだけでも、大いに安心を覚えるのである。 彼らの中には開拓者に救われたものも少なくないのだろう。 初日、村の周囲をぐるりと見回った開拓者達は、挨拶もそこそこに。 村人たちの熱烈な歓迎を受けることとなったのである。 「こんにちはーよろしくだよっ‥‥と、わぁっ!!」 「「「おねーーーちゃーん! りゅうにさわらせてーーーー!」」」 うじゃーとやってきた子供たちに群がられているのは和紗・彼方(ia9767)と天舞だ。 きゃーと目を回している和紗に、やれやれと大人しくしている天舞だったり。 「あらあら、こんな可愛い娘さんまで、よう来たねぇ」 村のご老人たちに大人気なからす(ia6525)は、撫でられようと大人しくしていたり。 ともかく、村への第一印象は大いに賑やかで楽しく彩られたのであった。 といっても、開拓者達は仕事を請け負ってきたわけで。 遊んでばかりもいられない。 賑やかに歓迎されたものの、まずは周辺の調査を全員で行うとのことで、空に舞い上がる10頭の龍。 再び、その堂々たる姿に村人一同は力強く思うのであった。 ●村での生活 初日、開拓者達は村の周囲をぐるりと何度も巡り、危機がないかを確かめ続けた。 結果分かったことは、大きな脅威は存在しないだろうと言うことだ。 だからこそ、この場所に村を建てようとしたのだから、当たり前と言えば当たり前だろう。 だが、アヤカシ退治の専門家である開拓者達の御墨付きとあれば、なお安心できるわけで。 しかし、アヤカシというのは不意にどこにでもわき出るものである。 はぐれアヤカシがどこに居るか分からない。 周囲の山野は広く、それならばさらに交代で精査しようということになったわけで。 村での開拓者達の朝は早い。 常人より体力に勝る志体を持つ彼らにとって、それほど大変というわけではない。 ということで、今日も今日とてまずは周囲の調査に飛び立つ龍たちが。 どうやら開拓者達は二人一組の交代で調査を行うことにしたようであった。 「じゃ、行って来まーす」 「‥‥いってきます」 まず飛び立ったのは羽流矢(ib0428)とその龍、鳴風。 後に続いたのは紅明(ia8335)とその龍、銀助である。 彼らを見送る、早起きな村人たち、そして何処か眠そうな開拓者達も村人に加わり。 それぞれ沢山の仕事を抱えているのだ。一日は長いといえどのんびりしている暇は無い。 こうして、忙しい一日が始まるのである。 「お、見つけたぞ! 鳴風急げっ」 空を行けば、時にはぐれた飛行アヤカシを見つけることもあるものだ。 もし、それが強力なアヤカシであれば、すぐに連絡をつけて総出で対処する予定である。 だが、相手がたいしたことのない小物であれば‥‥。 「これでもくらえっ!」 急接近した鳴風が見舞ったのは爪の一撃、鳥形のアヤカシはかろうじてそれを避けたのだが。 「逃がさない‥‥」 そこに飛来したのは、優秀な弓術師である紅明の矢だ。 見事射貫かれて、瘴気と化して崩れながら消え去るアヤカシ。 それきり二人はさらに数刻周囲を見回っても、他に怪しい姿は見受けられなかったようだ。 そろそろ時刻は昼頃、一度村に戻って交代の時間である。 こうして、開拓者達は交代で、龍を使っての周辺調査を進めるのだった。 「お、ちょうど帰ってみたみたいだな。作業中断だ、飯にしよう」 青空の下、薪をぼんぼん燃やして大鍋で何かを作っていたのはからすたち開拓者と村のおばさまがた。 彼女たちは、丁度帰ってきた羽流矢と紅明の二人を見上げてそう一同に声をかけた。 場所は、集落の外周沿いだ。 どうやら開拓者一同は、いの一番に用水路の整備を手伝っていたようだ。 近くの河から水路を延ばしてそれを村近くの農地に引く予定とのことで。 「いやー、さすが開拓者さんたちの龍だねぇ。うちのとこの牛よりもよっぽど力持ちだ」 見ればちょうど龍がその強靱な尻尾でもって材木を軽々と持ち上げているところで。 「ほらポチ、お昼だそうだ。少し休憩しよう」 ごしごしと龍の首筋を撫でてやりながらそう言ったのはセドリック・ナルセス(ia9155)。 彼のように、龍と一緒にさまざまな作業に開拓者達は従事しているようである。 志体を持つ開拓者の力や体力は常人を遙かに超えるため、まさしく何人分もの働きをこなせるわけで。 作業はあっという間に進んでいる模様であった。 「おおー、大分進んだなっ! よーし、午後からは俺も手伝うからなっ!」 やる気十分の羽流矢だが、まずは一休みと言うことで。 「さあさあ、お茶でもいかが?」 からすが淹れたお茶を飲みつつ、しばしの休憩と相成ったわけである。 そして午後。 「‥‥天舞、疲れてない? 一緒にがんばろーね」 後に続いたのは和紗と天舞。そしてもう一組は。 「頑張りましょうね、真勇」 白 桜香(ib0392)とその龍、真勇である。 午後、彼女たちは空中の巡回ではなく、こんどは周辺地域の精密調査を行うとのことであった。 羽流矢がさっそく元気に水路を拡張しているのを上空から見つつ、二人が向かった先は用水路の上流。 生き物は水辺に集まり、その生き物を狙うアヤカシも同じく集まるのがこうした水場である。 そこで、彼女たちは彼女たちにしか出来ない技能を使っての調査を開始したのだ。 それは巫女による瘴気を探る結界での調査であった。 和紗がシノビの鋭い感覚で周囲を探り、巫女の白が周辺の瘴気を探る。 そうして、村の周囲に異変がないかを探っていくわけである。 彼女たちを守るのは、若い龍である真勇と老練な龍、天舞。 ゆっくりと周囲をめぐりつつ、要所要所での調査は時間がかかったものの、地図の空白はすぐに埋まって。 「‥‥ふぅ、こんな所でしょうか?」 「まだすこし調べたいところもあるけど、今日はこの辺までだね!」 練力を大分使った白は少々疲れ気味の様子で。 「‥‥大丈夫ですよ、真勇。それじゃ帰りましょうか」 大丈夫? とばかりにすりすりと額をすり寄せて心配そうな様子を見せた真勇を撫でる白。 それに答えて、和紗も天舞の首を撫でてからひょいと飛び乗って。 「うんっ、あと少しだから天舞も頑張ってね」 そういって、親しい二人は一緒に村へと向かって帰路につくのだった。 ●村の成長 「美人と一緒の行動は嬉しいね。お前もそう思わないか、アッシュ?」 天空を舞う一騎の竜騎士、絵になるその一組は、アレン・シュタイナー(ib0038)とアッシュ。 そして、その後ろを追って空を行く、これまた絵になる女竜騎士はユリア・ヴァル(ia9996)だ。 彼女は、前方のアレンとアッシュを見つつ。 「‥‥良い男、歓迎ね♪ ねえ、エアリアル」 同じように、自分の龍エアリアルに語りかけていたり。 絵になる竜騎士2人、どうやら似たもの同士のようであった。 さて、そんな2人は今日も日課の周辺調査なのだが、今日は急いで帰る予定で。 「一緒の行動は楽しいが‥‥今日ばかりは急がなければならないのが口惜しいな」 ふっと笑ってアレンが言うのには理由があった。 今日は、村で昼過ぎからちょっとした祭りがあるというのである。 「そうね、私も残念だけど‥‥と、これでよし。ちょっと気になった足跡も兎だったし、もう大丈夫」 そういうと、アレンとユリアはそれぞれの龍に乗って空を駆けるのだった。 すぐに見えてくる村、そこにはアレンや紅明が中心となって作りつつある物見櫓もあって。 「‥‥ふむ、いっそのこと、村の周囲に堀でも作って水を流して‥‥入り口は跳ね橋がいいだろうか」 「あら、アレン。そこまですると村じゃなくて、要塞よ?」 ふとアレンが零した言葉に、おもわずユリアがくすくすと笑いながら言えば。 「‥‥たしかに、そこまですると村じゃないな」 ふっとアレンも笑って、そして二騎は村へと降下していくのだった。 「行くぞ、ナルセス殿‥‥せーのっ!」 「よいしょぉっ!」 力を合わせて、杭を打ち込んでいるのは李 風龍(ia9598)とセドリックの二人だ。 李の横では彼の龍、風皇も健気に手伝っているようで。 如何に速さが身上の駿龍といえどもその膂力はすさまじいもの。 李の指示に合わせて、ぐいぐいと大きな杭を運んできて、水路の整備のお手伝いだ。 そして決して体力仕事が得意そうにも見えないセドリックも、今日は腕まくりして野良仕事である。 さすがに村全域を囲う柵を作るのには時間がかかるだろうが、要所要所には柵や段差を作って。 そして、そんな作業と平行して行われていた水路作りもいよいよ佳境のようで。 そう、アレンとユリアが急いでいたのもこのことが理由だ。 今日の午後、開拓者達の発案で水鎮の儀式を執り行うことが決まっていたのである。 水は貴重であり、また時には怖いものでもある。 幸いにして精霊の加護のある巫女が一同の中にいたと言うことで、せっかくならという今回の計らい。 「前田さんもでるんだよね?」 「ああ、せっかく巫女さんがいるってことだからな、たぶん村中総出で来ると思うぞ?」 羽流矢の言葉に、村長の前田忠蔵はそう答えて。 見れば昼過ぎからとの話なのにも関わらず、ぞろぞろと村人たちが集まりつつあった。 さて、そんな賑わいを見た当の巫女本人はといえば。 「‥‥な、何分1人でやるのは初めてで‥‥」 「桜香ちゃん、大丈夫だよ!」 なんだか微妙にに緊張しているようであった。 巫女といっても白はまだ幼さが残ると言っても良い年齢だ。緊張するのもしかたないわけで。 しかし、緊張で固まっても居られない。彼女はきりっと覚悟を決めると、 「‥‥何とかやり果せてみます」 そういって、先ほどから李とセドリックが作っていた簡易的な祭壇のところにしずしずと進み出て。 村の住人たちがわくわくと見守る中、ゆっくりと白は精霊に捧げる舞を初めるのであった。 このときばかりは開拓者達も勢揃いし、龍たちと共にその様子を静かに見つめていた。 この村の門出がよりよくなるように、精霊の加護に恵まれるように。 そんな想いの中、無事儀式は成功して、祀りの場はそのまま小さな祭りの場に変わるのであった。 「ほらほら、可愛い子がいたら、ナンパでもしてきたら?」 にっこりとユリアがけしかけているのはニクス。 しかし、村人に妙齢の女性は居なく、なんというか元気いっぱいのおばさまがたと。 数人、ちょっとナンパには早すぎる女の子が居る程度なのだが。 「あら、もうナンパしてきたの?」 と、笑いをこらえきれない様子のユリア、見ればニクスの裾をしっかと掴んだ村の女の子が。 今年で三つになるおみつちゃんであった。 「‥‥迷子、らしいのだが」 そんなニクスの言葉ににっこりと笑うおみつちゃん。思わずユリアはぎゅーっと抱きしめてみたり。 そんなニクスとユリアを横目に、すたすたと賑わう村の中を歩いているのはカラスだ。 端から見れば子供にしか見えないがそれはそれ。 彼女がやってきたのは彼女の龍、鬼鴉が待っているところであった。 黒い鱗に紅の瞳、人が見れば恐怖を感じるかもしれない鬼鴉だが、今はひなたぼっこ中のようで。 黒い鱗のせいか、かなりぽかぽかと暖かい彼の周りには、多くのちびっ子たちが集まっていた。 「待たせたな、鬼鴉」 そういって、カラスがねぎらえば、片目だけをうっすらと開けて答える鬼鴉。 1人と一匹は、子供たちに囲まれたまま、もうしばらくのんびりとするようであった。 ●村の門出 あっという間に日々は過ぎていった。 人の采配、村の防備、自衛の備え、土木作業に新たな開墾。 どれも、開拓者達が手伝ったため、大幅に作業は進んだとのことで。 村人たちは、村の周囲の安全確認以外にも多くのものを残してくれたと大いに感動をしたようで。 その結果として、村人からとある提案があった。 それは、村を名付けてくれと言うものである。 そうすれば、村の第一歩に立ち会って、多くの力を残してくれた開拓者のことを忘れないというわけで。 「へーそうするんだ。わー凄いなー」 今日の晩ご飯を手伝っている和紗は、手際の良い白に尊敬のまなざしを向ければ。 「彼方さんも覚えが早いですよ」 少々てれつつ、白もそう和紗を励まして。 そんな夕ご飯の席でいよいよ村の名を決めると言うことになったのである。 しかし、村につけられる名は一つ、ここには多くの開拓者が居て。 そして、それぞれに案があったりするわけである。 眼前には、ニクスをはじめ、みんなで協力して作り上げた村と周辺の地図の写しがあった。 開拓者達は綿密に調査を繰り返し、周辺の様子はしっかりと網羅されているようで。 いよいよ、写しを見ながら、村に名前がつけられる時が来たのである! 村には一つ、大きな物見櫓が建っていた。 これは、紅明やアレンが村の防備のためと率先して作ったものでまずはこの櫓に名がつけられた。 それは、紅明が発案した明悠の字をとり、明悠楼。 つぎは、村の入り口だ。 村全てを囲うことは出来なかったが、セドリックらの働きで、村には立派な門が出来た。 門には、セドリックによって里石門という名を。 お次は村の産業となりうるだろう養蚕、きっと上質の絹がとれることだろう。 それを見越して、村ではユリアの名付けた名を借りて、彼らの折る絹織物の名を虹織と名付けて。 和紗が考えた悠野という名は、村の後ろにそびえる小さな山につけられることになった。 昇れば、芳野の街を遠くに望むことの出来る悠野山、いつの日か、村が育てばそこまで村は広がるだろう。 羽流矢の考えた芳凪は、村のそばを走る河の名に。 芳凪川と名付けられた流れは、穏やかな流れになるだろうという望みも込めて。 村から街道へと向かう道には、新郷の道。 彼らの新たな郷へと向かう道だと一言で分かる名をニクスの考えた名から貰って。 そして最後に、村の名が決められた。 村の門出を祝い、祝福してくれた白の考えた明芳の村。 それがこの村の名となったのであった。 「‥‥ジョイ村、すまん。聞かなかったことにしてくれ」 さすがにジルベリア風の名前は合わないだろうというアレンだったが。 「ふむ、だったらジョイはうちの村の牛の名前に決定だな!」 ということで、牛、改めジョイは今日も元気に草を食べているようで。 ●出会いと別れ 村を離れる前に、村では最後にささやかな祝いの席が設けられた。 たった一週間と少ししか滞在しなかった開拓者だが、村の至る所に彼らの残した名前と。 彼らの働きの跡がしっかりと残ったわけである。 村人たちが開拓者に贈った言葉は、ありがとう。そして、また来て下さい、であった。 その言葉に、開拓者たちはみな一様に頷いて。 村人たちがいつまでも見送る中、彼らはそれぞれの龍と共に、帰路につく。 開拓者達は、きっとこの村はうまくいくだろうと確信しつつ、村に別れを告げるのだった。 |