友と行く危険な道
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: やや難
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/02/12 23:19



■オープニング本文

 冬、寒さが厳しくなるこの季節にこそ必要となる物品、それは医薬品だ。
 日々、アヤカシやその他の害の厳しいこの世界では、医薬品は貴重である。
 それ故に、時には高価ともなるのだが、それでもしっかりと補充しないわけにはいかない。
 すぐに手に入れる必要があるため、危険な行程だと分かっていても進まねばならず。
 さらに、時間も限られているために、急ぎ動かねばならない。
 そんな場合にこそ、高い戦闘力を持つ開拓者の出番である。

 今回の仕事は、理穴にある深柳という名の里から首都、奏生までの荷運びである。
 荷は、主に医薬となる植物類、いわゆる生薬である。
 植物資源の豊富な理穴は、染料や製紙でも知られているが生薬もそれなりに豊富なようで。
 開拓者達は理穴の深柳の里へと赴いた後、理穴までを最短の行程で戻ってくることとなる。
 理穴からは、武天の依頼主の元へと荷が送られるのだが、その仲介を務めるのは保上明征。
 儀弐王の側近を務める彼は、先の動乱において深柳の里と縁があったため今回は仲介役を務めるようである。
 つまり、開拓者達は、深柳の里から、高価な荷を危険な最短経路を使って、都まで届けるのだ。

 街道を使用しても良いのだが、今回は強行軍を取るのにはその荷が一刻も早く必要なためである。
 しかし、荷の量がかなりの重さでもあるため、空輸することは不可能。
 街道沿いでは今回は間に合わないという判断のため、危険な魔の森周辺を突っ切ることとなったようだ。
 開拓者の数は、8名。しかし、戦力として相棒を連れて行くことが推奨されている。
 龍による空輸は出来ないものの、龍は戦力や偵察として使用できるだろう。
 また、他の相棒も荷運びの手伝いや護衛としては戦力となりうるのである。

 今回の輸送経路は、魔の森が拡大する前は街道として使われてた箇所である。
 それゆえに、道は残っていると思われる。
 だが、ちかくまで魔の森が拡大していたために、危険なアヤカシの目撃数が増加。
 魔の森の内部ではないまでも、小鬼の類や巨大な蟻などのアヤカシが多くいるだろう。
 危険な依頼ではあるが、その分報酬は大きいとのこと。

 さて、どうする?


■参加者一覧
鈴梅雛(ia0116
12歳・女・巫
井伊 貴政(ia0213
22歳・男・サ
劉 天藍(ia0293
20歳・男・陰
蘭 志狼(ia0805
29歳・男・サ
黎乃壬弥(ia3249
38歳・男・志
奏音(ia5213
13歳・女・陰
菊池 志郎(ia5584
23歳・男・シ
神喰 紅音(ia8826
12歳・女・騎


■リプレイ本文


 深柳の里にて、依頼を受けた開拓者達は、荷物の受け取りを行っていた。
 居並ぶのは八名の開拓者と、彼らの朋友たちだ。
 開拓者の友として共にある朋友でもっとも知れ渡っているのは龍だ。
 今回も大半の開拓者は龍と一緒である。
 幾種類に分かれる龍、まず目を引くのはその大きさ、巨体といってもいいだろう。
 だが、里の人々も、荷運びの馬もさほど怖れている様子は無い。
 龍は確かに恐ろしい存在である。その牙も爪も、凶器以外のなにものでもないからだ。
 だが、彼らもその武器が自分たちを向くことはないと知っている。
 あくまでもアヤカシ等、人々の敵に向けられるものなのである。
 だからこそ、訓練された運搬用の馬も人々も、さほど怖れるそぶりも見せず。
 道中の食料や、防寒などのためにさまざまな資材を含め、荷物の受け取りを済ませるのであった。
 道中は寒い。さほど雪が深いわけではないが、今は冬。冷たい空気は容赦なく開拓者達の体力を奪うだろう。
 それ故に開拓者達は、しっかりと準備を行うのであった。

 さて、危険な旅路を進む一向はやっと準備を終えて。
 里の人々に見送られながら、いよいよ出発したのであった。
「馬三頭分か、荷としちゃなかなかの大荷物だな。気合入れてかんとな」
 しっかりと荷を確認し、馬の首筋を叩きながら黎乃壬弥(ia3249)はそういって。
 龍に乗るのは、まだしばらく後、警戒が必要な危険な街道筋に入ってからでも良いだろう。
 そう一行は考えて、里からの道を進んでいた。
 さて、足下のかんじきの調子を確かめながら進む黎乃の目に移るのは他の仲間たちの姿だった。
 居並ぶ男達に目を向けてみる。
 赤揃えの具足が目立つ大柄な若武者、金瞳の陰陽師の青年、剛の者と見える銀髪のサムライ。
 身軽そうなシノビの青年に、そして自分だ。
 なかなか頼りになりそうな面々である。
 見たところ、自分が最年長であるようだが、開拓者には年齢はさほど関係ない。
 志体がもたらす優れた資質は開花する時期を選ばず、若き神童も珍しいものではないからだ。
 だが、こんどは女性陣に目を向けてみると‥‥。
「ひいなは、寒いのは、ちょっと苦手です‥‥」
 馬の横をのしのしと進む焦げ茶の甲龍にまたがって、手に息を吹きかけている少女は鈴梅雛(ia0116)。
 その実力を知るものからすれば優秀な巫女なのだが、小さな女の子としか見えない。
「クロちゃんと〜いっしょに〜、おつかい〜がんばるの〜です」
 真っ黒な毛並みの猫、と思いきやその尻尾は二股。猫又と呼ばれる朋友と共にてくてく歩いている少女。
 彼女は陰陽師の奏音(ia5213)だ。
 こちらも優秀な陰陽師であるが、黒猫と一緒にお使いをしている少女にしか見えない。
 そして、その隣を歩いているのは、茜色の髪が目立つ少女、神喰 紅音(ia8826)である。
「強行軍は気乗りしませんが、しかたないのですよ。ほうしゅ‥‥げふん、待っている人のために!」
 見たところ、他の二人と似たような年格好だが、神喰はなかなか世になれているようで。
 そんな神喰の隣を歩んでいるのは大きな人影、否人ではない。
 人の背丈ほどある巨大な石人形、土偶ゴーレムの夜叉丸であった。
 まだ若いのにしっかりしすぎている自分の相棒を見て、夜叉丸は微妙にあきれ顔のようであったり。

 このような感じで、なかなかに面白い組み合わせの一行となっているよう。
 娘がいるらしい黎乃からすると、自分の娘より幼い女性開拓者ばかりという状況は内心複雑なのだが。
 ともかく、一行の旅は始まったのであった。


「やっぱりこう寒いと、空気が澄んでるみたいだなぁ。遠くまではっきり見えますね」
 朋友の炎龍、帝釈の背にまたがり、警戒飛行をしているのは井伊 貴政(ia0213)だ。
 初日、天気が崩れることはなく、一行はしっかりと着実に歩みを進めていた。
 午前早くに出発したのだが、時刻はすでに昼過ぎだ。
 警戒のために、常時だれかが龍で周囲を警戒し、周囲を見回しているようで。
 井伊は帝釈の頭をめぐらせるとぐるりと大きく輪を描いてゆっくりと旋回する。
 彼の担当は、一行の上空を飛びながら主に魔の森の方角を警戒することであった。
 荷を運ぶ馬の足に合わせて、ゆっくりと進む眼下の仲間たちを時より確認して。
 時折、遙か遠くになにものかの影を見かけるときはあるのだが、それ以外はさしたる波乱もなく。
 その時、ちょうど先行して街道の先を偵察に行っていた一騎が戻ってくるのが見えた。
 飛んでくる龍の姿は、綺麗な銀色。劉 天藍(ia0293)と、その龍、凛麗であった。
 龍の中でも速度で他の種に遙かに勝る駿龍。今回は駿龍を駆る二人が先行偵察の役についたのである。
 劉は、凛麗を帝釈に並ばせると、口元を被った襟巻きを下げて、
「井伊さん、少し進んだところに、野営できそうなところがあった。おそらく昔の建物の跡だ」
 劉は彼らの行く先を指させば、雪をかぶった建物の跡が見えて。
 すでに天井は崩れ、壁だけが残っているようなあばら屋の跡だが、それでも何もないよりはマシだろう。
「俺はみんなに伝えてくる」
 そう言って、劉は地上へと凛麗を急降下させるのであった。

 基本、開拓者達の旅路は、馬の足に合わせた速度で行われた。
 といっても、馬には荷物を満載している上に、それを安全かつ確実に運ぶ必要があるのだ。
 なので、志体を持った開拓者であれば余裕を持ってついて行ける速度だったのだ。
 しかし馬にも、もちろん開拓者にも休息は必要で。
 初日の夜は、劉が見つけた建物の跡地にて野営をすることとなったのである。


 最低限の天露を凌げそうな廃屋の影にて。
 ぱちぱちと音を立てて燃える焚き火を囲むようにして開拓者達は野営を行っていた。
 若かろうと、開拓者であればこうした野外活動は慣れたものである。
 では開拓者達の野営風景とはいったいどのような感じなのだろうか。

 簡単な保存食を口にして、休む者は体力を回復させるためになるべく早く休み。
 また、夜間の警戒のために、見張りを立てる。これは、野営の鉄則である。
 今回は、龍たちも一緒。いつもよりも安心して夜を明かすことが出来ると言えるだろう。
「これ飲めば、少しはあったまりますよ。どうぞ」
 村からも大目に貰ってきた甘酒を焚き火で暖めて、雛に渡す神喰。
 どうやら彼女たちが最初の見張りのようだ。
 焚き火を真ん中に、ぐるりと竜たちが馬を囲むように輪を描いて集まっていて。
 かなりの大きさの龍が体を丸めて休んでいれば、ちょっとした壁のよう。
 なかなか快適なようである。
「それにしても、鈴梅さんの龍はずいぶんと暖かそうね」
「はい、毛皮とか毛布とか、なまこさんにいっぱい着せてきました」
 なまこさん? と鈴梅に聞く神喰だが、どうやらなまこさんは龍の名のようで。
 そして、なまこさんは鈴梅が言うように、毛皮に毛布と暖かい装備を完備していた。
 そこに寄りかかって火に当たっていれば、冬の野宿にも関わらずずいぶんと快適で。
 そんなこんなでしばらく待っていれば、すぐさま交代の時間。
 今回は急ぎの任務であり、しっかりと休むことは出来ないのは最初から分かっていた。
 それならば、見張りを短時間で交代して最低でも少しは休むような体制にしたようで。

 次なる見張りの組は、井伊と劉であった。
 交代を知らせ、替わりに休む神喰が
「それじゃ夜叉丸、引き続きよろしくです。お休み‥‥」
 と、言って、鈴梅とともになまこさんの毛皮に潜り込めば、傍らの土偶ゴーレムが、
「風邪など引かないように暖かくして寝るんだよ」
 と、どこかなまった口調で土偶ゴーレムの夜叉丸が応えて。
 井伊と劉はなんだか夜叉丸に驚いたようで、じーっと見つめていたりするのであった。
 ともかく、交代したなら職務は果たさねばならない。
「劉さん、酒は?」
「じゃあ、暖まる程度にすこしだけ」
 井伊が差し出した酒を少し貰って飲み干せば、胃の腑が暖まるのを感じつつ。
 そして、もふっと自分が背を預ける竜たちの毛皮を撫でながらふと劉が視線を向けた先は。
「猫又は歓迎‥‥なんだが、来ないか。少し触らせて欲しいが」
 と、女の子組で固まって、なまこさんのところで寝ている奏音の猫又だ。
 どうやら猫又のクロには聞こえていたようで、しっぽをぱたぱた振って。
 やっぱり、奏音に抱きしめられて寝ている方が良いようで、劉はすこし残念そうなのであった。

 そして、彼らの次に見張りに付いたのは蘭 志狼(ia0805)と菊池 志郎(ia5584)だ。
 見張りのついでと、蘭は周囲を回って枯れ枝を集めてきて。
 すこし火勢を増した焚き火に、なにやら菊池が兜をおいているようであった。
 薄い鉄製の兜なのだが、裏返せば即席の鍋になるという優れもので。
「ほう、それを鍋にするのか‥‥何か作るのか?」
「ええ、暖かいものを作っておけば、朝に少し皆で飲めるかも知れませんし」
 その前に、手足を濯ぎたいですが、と笑顔を浮かべてお湯を沸かす菊池。
 彼らも、他の皆と同じように朋友の龍とくっついて寒さを防いでいたり。
 こうした依頼になれば、自ずと龍の話しになったりするもので。
「先生とご一緒するのは久しぶりなんですよね」
 菊池は朋友の龍を先生と呼び、聞けば歴戦の古強者の龍だとか。
 一方、蘭の龍はどこか炎龍にしては大人しい回天という名の龍で。
 2人と2匹は、酒も飲まずに、菊池の作った味噌汁なんかを片手に見張りを務めるのだった。

 そして、夜ももうすぐ明ける頃、最後の見張りは黎乃と奏音だ。
「お邪魔しますね、先生」
 と菊池が龍の毛皮に潜り込んで仮眠を取るのを眺めつつ。
 黎乃(とその龍、定國)が視線を向けたのは、起き出してきて火の近くに座った奏音と猫又のクロ。
 そして、さっきから無言で見張りを続けている夜叉丸だ。
 とりあえず、黎乃は藁を1本抜くと、ねこじゃらしのようにクロにむけてぴこぴこ振ってみるのだが。
 クロはぷいっと。
 なかなかに気位の高い猫又のようである。といても奏音あいてにはなすがままで。
「あったかにゃんこさんで〜ぬくぬくなの〜です〜♪」
 わしゃわしゃ撫でられつつ焚き火に当たっていたりするのであった。
 今度は黎乃は土偶ゴーレムに視線を向けて。
 すると土偶ゴーレムも黎乃に気付いて、ぺこりと黙礼。礼儀正しい土偶である。
「うーん、案外面白いもんだな‥‥うちも金出して、今度何か飼ってみるかなぁ」
 黎乃は、そんな龍以外の朋友を見つつ、のんびり一杯やりながら見張りを続けるのだった。

 そして朝がやってくれば、開拓者達は菊池が作った味噌汁で英気を養い。
 二日目の旅路が始まるのであった。


 道中、何ごともなく進むかに思えた。
 だがしかし、二日目の道はもっとも人里離れたところといっていい場所である。
 となれば、開拓者たちの予想通り、アヤカシという名の障害がやってくるのだった。
 アヤカシ達は、常の生物と大きく違うところが一つある。
 アヤカシ達が餌にするのは、アヤカシではない生物たちだ。
 だから彼らは餌が無かろうと、仲間割れすることはない。
 つまり、形が違うようなアヤカシが連携するような状況もありうるのである。
 すでに何度か、アヤカシの小集団を追い散らしたり、やり過ごしたりした後で。
 最初にその一群を見つけたのは先行偵察をしていた菊池であった。
 それは街道を沿って、ぞろぞろと歩く鬼の集団だ。
 大部分は小鬼、しかもそれほど多いわけではない。
 全員で掛かれば楽勝と思われたその時、後ろから飛んできた劉が告げたのは
「井伊が見つけたんだが、怪鳥の群れがこっちに飛んでくるらしい、迎え撃たなければ」
 ここに来て開拓者達は、不幸にも同時にアヤカシを相手にすることとなったのである。

 即座に先行偵察の2人はもどり、現状を説明。
 駿龍を駆る菊池と劉、そして井伊と黎乃が怪鳥を担当。
 そして、地上では、蘭と鈴梅、神喰に奏音が鬼の群れに対処することとなったのだ。
 まず最初にやってきたの怪鳥アヤカシであった。
 龍に比べれば小さいとはいえども、大きく不気味な姿をした鳥のアヤカシ達の群れが飛来したのだ。
 それを迎え撃つのは、まず速度で優れた駿龍たちだ。
「消えろアヤカシ!」
 劉は、斬撃符を放ちながら、怪鳥たちの群れの中を飛ぶ。
 すれ違いざまに、凛麗の爪が怪鳥たちの翼を切り裂けば、アヤカシ達は森の中へと落ちていって。
 そして、菊池とその龍の隠逸は、高速回避で怪鳥の攻撃をつぎつぎに躱し。
 そこを狙い撃つのが、菊池の手裏剣だ。
 群れて一斉に襲いかかられれば危険な怪鳥だが、その連携を断ち切る働きといっていいだろう。
「井伊殿、下に!」
 黎乃が心眼で掴んだ敵の位置を知らせれば、井伊と帝釈はくるりと翼を翻し急降下。
 見事、大きな怪鳥を一撃で森へと墜落させるのであった。
 個々の連携によって、空中の敵は馬を守る本隊への到達を許されなかった。
 では、地上の戦いはどうなっているのだろうか。

「此処を通りたくば、俺を倒してからと心得よ‥‥!」
 槍を低く構え、やってきた鬼の群れへと対峙するのは蘭だ。
 彼を正面に、馬を守る形で龍や土偶ゴーレムの夜叉丸が鬼の侵攻を阻んでいた。
 多くの鬼の攻撃を槍の間合いで牽制ししのぐ蘭、その左右を固めるのは龍の回天と夜叉丸であった。
「夜叉丸ブロックです!」
 神喰の命令に従い、土偶ゴーレムの夜叉丸はその表面を硬質化させれば、鬼の武器では刃が立たず。
 その横をすり抜けてこようとする小物は、神喰自身が背の丈ほどのグレートソードを振るって撃退。
 敵の矢面に立つ蘭に対しては、龍のなまこさんに援護されながら鈴梅が回復させて。
 全力を出し切ってしまえば、この先が立ちゆかなくなるかも知れないという状況で。
 なんとか無駄なく、開拓者達は鬼を撃退しつつあった。
 だが、そんなとき、不意に奏音の近くの茂みが揺れるとそこから鬼が飛び出してきて。
 どうやら、こしゃくにも待ち伏せが居たようで、あわやとおもったその瞬間。
 奏音に付き従っていた猫又のクロが、大きく息を吸い込んでから息と同時に黒い炎をはき出した。
 黒炎破の一撃に、鬼はあっというまに焼かれて。
 そして、見れば怪鳥を退けた仲間たちがやっと戻ってくるところであった。
 これにはさすがの鬼の群れたちも追い散らされるように逃げていって。
 開拓者達は、見事アヤカシを退けたのであった。


 その後、二日目の野営も無事過ごし、三日めにもなんどかのアヤカシの襲撃を撃退して。
 そして三日目の夕方頃、予定通りに目的地が見えてきたのであった。
 いくどかの戦闘で、かなり消耗しつつも、それほど大きな被害も無く、荷物も無事に到着して。
「この度は大変な任務、ご苦労であった。感謝するぞ」
 迎えに出てきたのは、理穴の保上明征であった。
 必要であった荷を受けとると、やっと無事に依頼が完遂したわけで。
「何とか‥‥着きましたね。‥‥暖かいお風呂入って布団で眠りたいです」
 神喰の言葉の通り、全員はっと肩の荷が下りたとばかりに息をつき、ならば。
 この数日間、つきっきりで過ごした仲間と朋友をそれぞれに労い会うのであった。

 これにて、無事依頼は終了。
 きっと、仲間とも朋友との間にも、いくつもの強い絆が生まれたことだろう。