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■オープニング本文 ※このシナリオはIF世界を舞台としたマジカルハロウィンナイトシナリオです。 WTRPGの世界観には一切関係ありませんのでご注意ください。 死者が還り、悪霊が跋扈するハロウィンの祭り。 それは魑魅魍魎が跋扈して百鬼夜行が彷徨う妖しき夜の祭祀である。 トリック・オア・トリート、お菓子をくれなきゃイタズラするぞ? そんな賑やかな祭を、見ている者たちがいた。 地の底よりも深き、遙かなる深淵の暗がりから。 夢のみで行き来することの出来る、遠くて近い幻想の世界から。 海の底に沈んだ、古き世界の偉大な都市でまどろみながら。 そして宇宙の果て、次元の狭間に幽閉されて狂気の身をゆだねつつ。 それは一体如何なる者たちだろう? 彼らは、人知を超越し、狂気と恐怖をもたらす邪悪にして偉大な神々、古き支配者たちであった。 どうやら、彼らもこの祭には参加したいようだ。 トリック・オア・トリート……お菓子をほしがるだろうか? 否、彼らは何も求めない。ただただ狂気と暴力、そして理解を超えた振る舞いをするだけだ。 ではどんな悪戯を? ……目を覚ますどころか寝返るだけで地球が滅びかねない邪神たちだ。 たとえ小さな悪戯だろうが、どうやらこの世界は滅びる運命のようだ。 というわけで、今回貴方たちは、邪神の祭司である。 人の骨と皮から作られた邪悪な書物を解読した結果? 代々受け継いだ秘術を継承したから? 知られざる古代の遺跡に眠る、力を秘めた宝物によって? 死と絶望と狂気の果てに邪神と共感して? どんな理由だろうと、どうやら狂気の邪神は、貴方がお気に入りのようだ。 もしかすると、貴方はすでに邪神と同一の存在になってしまったのかも知れない。 そんな貴方たちは何をするのも自由だ。戯れに世界を滅ぼすのも自由。 そして、どんな力を持っているのかも自由である。 不死身の体、邪悪な呪法。超兵器に無限の軍勢、海の底からやって来る無数の眷属、なんでもござれ。 もちろん、狂気の果てで笑って暮しても良いし、いつも通りの生活をしていても構わない。 では物語はどうやって結末を迎えるのだろうか? 邪神を倒さんとする勇者に倒されても良いだろうし、敵を全てを返り討ちにしてもいいだろう。 世界を灰燼に還し、独りで楽しく過ごしても良いし、人の世に背を向けて隠遁生活をしても良いだろう。 手記を残したり、芸術作品に狂気を込めたりして、伝説に名を残すのもありだ。 というわけで、宇宙的で根源的な狂気の邪神たちの祭が始まる。 何をするのも自由だが、敢えて聞こう。 さテ、貴方ナら、ドうすル? |
■参加者一覧
柚乃(ia0638)
17歳・女・巫
天河 ふしぎ(ia1037)
17歳・男・シ
シルフィール(ib1886)
20歳・女・サ
鴉乃宮 千理(ib9782)
21歳・女・武
サドクア(ib9804)
25歳・女・陰
アリエル・プレスコット(ib9825)
12歳・女・魔
加賀 硯(ic0205)
29歳・女・陰
葛野 凛(ic1053)
16歳・女・泰 |
■リプレイ本文 ● ハロウィン、それは収穫を祝う祭りであると同時に還ってくる死者の霊を迎える日でもあるという。 しかし、今年はどうやら悪霊よりも遙かに厄介な者たちがやってきたようだ。 「くすっ……トリック・オア・トリートね。お菓子はいらないわ、ただ演劇を見せてくれればいいわよ」 歌うようにシルフィール(ib1886)は言った。くすくすと笑いながら。 彼女はかつて嫁いだ相手が叛乱貴族となり、家を失い開拓者となった女サムライなのだが……。 「そういえば、私の夫だった男は見事に破滅に突き進んだわね」 平然と言うシルフィール。 「……ふふっ、あまりに陳腐で、主演には不釣り合いな道化だったから途中退場してもらったけどね」 彼女の本性は、這い寄る混沌とも呼ばれる邪神の化身そのものであった。 その邪神には多くの名がある。千の貌を持つ者、無貌の神、闇夜に吼える者、大いなる使者……。 その名の多さの通り、その本性は混沌だ。そして彼女は行動を起こす。 「私は破滅の原因じゃない、火種ですらない。ただその破滅の火種を大きく育つように周囲を誘導するだけ」 くすくすと笑うシルフィール。彼女が手を伸ばした先には……。 「こんなに綺麗で、広い空間があるんだ……」 遙かな夢の深淵で微睡んでいた存在、彼はシルフィールに誘われて天儀へとやってきた。 初めて感じる青く美しい空間、そこに感動するその存在の名は天河 ふしぎ(ia1037)といった。 すぐさま彼はその空を飛び回る翼を手に入れようとする。 生まれたのは大飛行船艦隊だ。無数の滑空艇を擁する飛行船の群れ、それは全て天河自身でもあった。 「さぁ、行くんだからなっ! 数々の僕達! この広い空には邪魔者が多すぎる!」 そして空を埋め尽くした大飛行船艦隊は、無数の滅びを生み出していった。 手始めは、旗艦艦首に備え付けられた巨大な精霊砲の一閃だ。 その一撃は小さな儀の地盤さえ打ち砕いた。もちろん人々は立ち向かおうとするのだが、 「邪魔をするな! この空は僕達のものだ!」 刃向かう艦隊に襲いかかる滑空艇の群れ、その全ては武器であると同時に天河の一部でもあった。 滑空艇の翼が刃と化し、竜や飛行船を切り刻み、飛行船は大砲や爆撃で敵船や地上を焼き滅ぼしていく。 そして滅ぼしたあらゆる者たちと飲み込み融合して、天河はますます空を埋め尽くしていった。 「どうして分からないかな? 抵抗しても無駄だって……僕はただ、思う存分駆けたいだけなのに」 大空の覇者となった天河ふしぎは、空の中心にある旗艦の飛行船の中でただ1人呟いて。 そして、今日もまた全てを滅ぼすために空を征くのであった。 ● 天河ふしぎの大飛行船艦隊。それがあらゆる浮遊島を破壊していく。 そんな、アヤカシよりも遙かに恐ろしい滅びがもたらされ、世界は救いを求めていた。 そこでシルフィールは暗躍する。一つはとある武僧の元にもたらされた解呪の依頼だった。 「うーぬ、ただの解呪の依頼だと思ったんじゃが、こうなるとはな……」 古びた短剣の呪いを解こうとした鴉乃宮 千理(ib9782)。 彼女は何の因果か、ついうっかりと邪神の力を得てしまった。 「……この力使わねば邪神の存在意義に我の存在が食われてしまう」 鴉乃宮はそう見抜き、さてどうするのかとしばし考えて、 「ふむ、ならばいっそ暫く邪神として振る舞うか。時が熟すれば……」 こうしてまた1人、邪神の力を得た者が生まれたのである。 そして世界を滅びが席巻する最中、鴉乃宮は邪神の仕事に取りかかった。 まずは海辺の廃墟に拠点を置いて、その地下に広大な迷宮を作り上げる。 同時に、周辺の海賊山賊ろくでなしを支配下に置き、その存在を広く喧伝しはじめたのだ。 時は力を求める時代、その迷宮の噂はあっという間に広まった。 鴉乃宮の信者たちが広めた噂によれば、迷宮の地下には凄まじい秘宝が眠るという。 力を求め多くの開拓者が迷宮を訪れる。 しかし、鴉乃宮は信者と、生み出した化け物を使ってそれらを返り討ち。 こうして、天儀の片隅に邪神の棲まう迷宮と、その主鴉乃宮を崇める黒き翼の教団が生まれたのであった。 「お主、放っておけばそのまま死ぬぞ? だが、力をあたえてやろう……」 鴉の名を持つ邪神の化身は、そういって死の淵の人々に救いをあたえた。 だが、この邪神はきっちりと対価を取り立てる。 「じゃがの、お主はもう人ではない。人として蘇りたければ、迷宮の奥の邪神を滅ぼすしか手は無いぞ?」 そういって笑う鴉乃宮。優しい邪神はこうして、日々探求者と信者を増やし続けるのであった。 混沌と、多くの人の希望と怨嗟を呑み込んで、迷宮と邪神の力はふくれあがる。 その迷宮の奥で、鴉乃宮はひたすら時を待つのであった。 シルフィールの暗躍はまだ続く。次はある未亡人の元へとその魔の手が伸びた。 外道の名を冠した邪悪な書物が、ある日加賀 硯(ic0205)の手元にやってきたのだ。 それは陰陽師の力を増幅する単なる装備の筈だった。だが、正真正銘の完全なる原本となれば話は違う。 狂気と悪徳、全ての欲望について描かれたその本『外道祈祷書』は、加賀の心を狂気に染めたのだ。 こうして邪神の祭司が1人生まれた。陰陽師の力を遙かに超えた力を振るう邪法使いの誕生である。 かつての大和撫子らしい彼女を知る者はもういない。 そして彼女は、滅びに向かう世界で1人、何を成そうかとっくりと考えた。 「ふふ、地の底に1人、空の彼方に1人、そしてまだ三つ……狂気の力を感じますね」 かつての面影も失った加賀は狂気に染まった目に優しげな微笑みを浮べて、楽しそうに呟いた。 ● 邪神の祭司と化した加賀が掴んだ邪悪な力の脈動。その一つはまだ生まれたばかりであった。 どことも知れぬ深山幽谷の果てに、拳の道を究めんとする少女が1人。 白銀の毛並みが美しい銀狐の獣人、葛野 凛(ic1053)こそが、その力の元だ。 彼女が求めたのは「拳が生み出すもの」。だがその探求の果てで彼女は狂気に魅せられた。 「……命ヲ奪イ、壊シ、喰ラウ……ソレガ、私ノ望ミ……?」 拳の追求、それは武と力の追求だ。そしてその果てには破滅と狂気が待っていた。 狂気の道に墜ちた葛野がまず得物として狙ったのは様々な強者だ。 「立テルノナラ、マダ死合エル筈、サア立テ!!」 だが、邪神の力を得た葛野の敵は居なかった。 どんなアヤカシも、開拓者も彼女の敵では無い。拳の道を究めた果てに彼女はいるのだ。 そこで、彼女も気付いた。自分と同じ力を持つような、異質な邪神たちがいるということに。 「アレモ私ノ得物ダ……心ノ臓、止メテクレル……!」 こうして、葛野は似て非なる他の邪神を得物に定めて、各地をさすらい始めるのだった。 一方、遙かなるアル=カマルにて。 「途方もない大きさの大砂蟲の群れによってアル=シャムスが滅ぼされ……」 幼き頃から繰り返しに感じる幻視。 「……三つの赤い瞳を持つ悍ましい存在が無人の砂漠で哄笑する」 そんな幻がついに現実になる。そんな確信を胸に抱いてアリエル・プレスコット(ib9825)はやってきた。 幼くして魔術を極めた彼女は魔術兵装「光波外装」をまとい、幻視を覆すためにアル=カマルに来たのだ。 そこで彼女が見たのは絶望的な状況であった。 大地を浸食する沢山の生き人形、ドールたちだ。 幻視を現実にしないため、アリエルは戦い始めた。 魔術を放つ大砲を放ち、ドールを蹴散らし駆除していく。 戦って、戦って、戦って、戦って、戦って、戦って、戦って……。 そして最後の一匹まで駆逐したアリエル。 「これで……終わった……?」 そう呟く彼女の仮面がぽとりと外れ落ちる。 無人のアル=カマル、風も無いその荒野で彼女は自身の顔を泉に写してみると、 「赤い、瞳………」 彼女の額には、真っ赤な瞳がもう一つ。 幻視の中にあった、三つの赤い瞳を持つおぞましい存在、それは彼女自身であった。 「あはは……そうか、そうだったんだ! 私は……這い寄る混沌の化身……ふふ……あはは!!」 こうして、アリエルもまた混沌の化身となった。 シルフィールは仲間の誕生をただ微笑んで見つめていた。 数多くある異名、這い寄る混沌には燃える三眼という名もある。 つまり、シルフィールとアリエルは、その存在の根源においては同じであった。 だが人の身でありながら、燃える三眼と化したアリエルは、その存在を保っていられるのだろうか? そこでシルフィールはある存在にささやきかけた。 それは、次元の狭間に顰み微睡んでいた、ツァトゥグアと呼ばれる邪神だ。 「余はツァトゥグア……ふむ、同輩共が活発になったようだな。だが、余は破壊も殺戮も既に飽きた……」 あるときはサドクア(ib9804)とも呼ばれ人の世を歩いたその存在。 怠惰な邪神と言われるツァトゥグアは退屈していた。 そこで、シルフィールは壊れかけの邪神の器、アリエルへの助けを頼んだのだ。 「アリエル・プレスコット……よかろう、余は汝を守る。汝の『人としての自我』をのぅ」 こうして契約は果たされた。 あざ笑うトリックスター、這い寄る混沌シルフィールの導きによって。 怠惰に眠るもの、ツァトゥグアでもあるサドクアはアリエルの庇護を買って出た。 「人の意識と神の化身の力……さて、アリエルよ汝は何を成す?」 そんな邪神の問いに、燃える三眼としての力をえたアリエルは、その三眼を輝かせて応える。 「なら…この力で! この世界に、この宇宙に! 全ての多元宇宙に仇を成そうとする神々を!」 吼えるアリエルは、すでに今までの彼女では無かった。 「悉く討ち果たすのみ! そして…美しい故郷を…永遠に守る……」 こうして彼女は燃える三眼そのものと化したのであった。 あらゆる次元、あらゆる宇宙に向かおうとするアリエル。 だが、そのまえに彼女は気付いた。すぐ近く、この世界にも同胞が大勢いることに。 空を支配する飛行船団の主。地の底に坐す迷宮の支配者。狂気の邪神の祭司。 拳を極めた銀狐。そして、自分に力を貸す怠惰な邪神に、同じ這い寄る混沌の化身。 彼らをまず倒さなくては。そう決めたアリエルは、全ての邪神を倒すため動き出すのだった。 ● そして滅びに向かう世界で、人々の希望を集める巫女が1人居た。 柚乃(ia0638)、深き森の奥で静謐な湖上の神殿に坐す巫女姫だ。 曰く、光と水を司る女神の化身、最後の救世主、癒やしの歌声を持つ巫女姫……。 だがその実体は、数多の眷属を従えた古の神の祭祀一族の末裔にして、その身に邪神を宿す依り代であった。 「全てを滅ぼすのは簡単。でも、それじゃつまらないでしょう?」 子供のようにクスクスと笑う柚乃。彼女もまた、人知を越えた異質な存在なのだ。 だが、人々は彼女に最後の希望を託すしかなかった。 救いを求め、空より迫る大飛行船団や砂漠に生まれた燃える三眼の化身。 あらゆる敵を倒す狂った拳神などの破壊に世界は滅びつつあるのだ。 しかし、柚乃は動かなかった。 人を愛でて救い、癒やしと平和をあたえる巫女姫。 それは、可愛い動物やお気に入りの玩具に向ける愛情だ。 子供のように無邪気に、飽きてしまえば興味は失せるものだし、もし裏切ろうものならば絶対に許せない。 そして終に、激突の時がやってきた。 「もう、崇められるのも飽きたんじゃ無い?」 いつもまにか現れたのは黒衣の媒介者。場をかき乱し、火種を煽る混沌の使者。シルフィールだ。 彼女をじっと見つめた柚乃は、無邪気に微笑んで。 「あら? 楽しみは……そう、とっておくモノよ? まだまだ、面白くなるわ……」 くすくすとただ柚乃は笑うのだった。 彷徨う拳の求道者、葛野はあらゆる敵を倒しながら、力の眠る地へとやってきた。 そこは、恐ろしき邪神が潜むという地下迷宮だ。 信者の妨害、化け物の敵対、それを葛野は全て蹴散らしていく。 「絶望ノ果テニ人ノ世ガ乱レ、滅ビテ行ク……極上ノ贄ダ」 最深部に居たのは、邪神の力を御する鴉乃宮だった。 「貴様……刃向カウ気カ?」 「ふむ……そろそろ本気を出すのも良いと思っての」 鴉乃宮は、なんと迷宮に充ち満ちる邪悪な力を取り込んだ。 すっかり慣れ親しんだ邪神の力、それに反逆し邪神そのものを呑み込んでしまったのだ! 「これで暴走の危険も無くなったのう。じゃが、このダンジョン生活を続けるには、お主が邪魔じゃの?」 「ソノ無謀サハ気ニイッタ……サァ、オトナシク戦エ!」 迷宮の邪神と狂った拳士は、迷宮のそこで戦いを始める。 人知を越えた力は、時間も空間もねじ曲げ、そして迷宮はますます肥大する。 一個の異次元と化した迷宮の底で、戦いは果てしなく続くのであった。 そして、燃える三眼もまた敵を探して彷徨っていた。目を付けたのは邪神の祭司、加賀だ。 「貴方は誰に仕えているの?」 尋ねるアリエル。邪悪な神は数多の次元、数多の世界に数多く居る。 だが、加賀は応えなかった。ただにっこりと笑うと、 「……直接、おたずねになってみては如何でしょうか?」 そうして一際高く祈りの声を響かせると、加賀の体が爆ぜた。 その向こうに居たのは、沸き立つ玉虫色の球体だ。アリエルだからこそ知覚できた、外なる神の一柱。 全てであると同時になにものでもない恐ろしき邪神を、加賀はその身を生け贄に呼び出したのであった。 だが、全ての神を倒すと誓ったアリエルはひるまない。彼女は全ての神を殺すため戦いを始めるのだった。 「この空は、全部僕のものだ。だから、邪魔物は全部破壊するよ」 空の覇者、天河ふしぎは全てを壊しはじめた。全ては空を独り占めするために。 「これで、全部おわり。でも、おわりなんて、本当はないのに……」 天儀すら粉々に砕かれていく中で、くすくすと柚乃は笑っていた。 彼女の内の邪神は、たとえ世界が滅びようと滅びない。それ故に、柚乃もまた永遠なのだ。 「さあ、迷宮はまだまだ続くのじゃ。より深く、より凶悪に!」 迷宮の邪神、鴉乃宮は世界が滅びようと迷宮を広げ続けた。 その迷宮はあらゆる次元、あらゆる世界に繋がって、無限に人々を飲み込み続けるのだ。 「モット、モットダ! 絶命ノ声ト血ノ響キ……ソレガ私ノ望ミナノダ!!」 迷宮をひたすら奥に進みながら、戦い続ける鬼神と化した葛野は吼える。 そして全てを見届けたシルフィールが笑い続けるその横で、怠惰な邪神サドクアは、 「人も、星も、宇宙も、多元世界も神々さえもが盲目たる神の見る夢に過ぎぬ。そして、目覚めの時は近い」 退屈そうにあくびをしながら呟いた。 「いずれ全てが消えてなくなるのだ……その時まで、皆、好きな様にするがよい」 そしてサドクアは眠りについて、全てが混沌へと墜ちていった。 |