【初夢】戦いの果て!
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 普通
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/01/12 20:12



■オープニング本文

 ※このシナリオは初夢シナリオです。
  オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。

 戦ってみたい相手が、常に敵だとは限らない。
 殺したいほど憎くて愛しい仲間。
 命を削り合うほどに、技を比べたい友。
 いつの日かその技を越えたいと願う師。
 そして常に技を競い、いつの日か決着を付けたいと思う、好敵手。

 そんな相手と戦うときが来たのだ。
 ついに来た決着の時? 過去の清算? 単なる遊び? 運命の果て?
 ……理由は何だって良い。
 本来なら、決して刃を、銃を、技を向けるべき相手ではない。
 だが、今この場所でならその枷は取り払われているのだ。
 さあ武器を取って眼前の相手に立ち向かおう。
 技の極み、力の限り、そして命を尽くして相手を倒すことこそが全てなのだ。
 たとえ最期の戦いとなろうとも、貴方には戦わねばならない相手が今目の前に。

 戦いの全ては貴方にゆだねられている。
 さて、どうする?


■参加者一覧
天津疾也(ia0019
20歳・男・志
梢・飛鈴(ia0034
21歳・女・泰
バロン(ia6062
45歳・男・弓
丈 平次郎(ib5866
48歳・男・サ
闇野 ハヤテ(ib6970
20歳・男・砲
刃兼(ib7876
18歳・男・サ
ダンデ=ライオン(ib8636
22歳・男・魔
月夜見 空尊(ib9671
21歳・男・サ
秋葉 輝郷(ib9674
20歳・男・志
エリアス・スヴァルド(ib9891
48歳・男・騎


■リプレイ本文


 月が輝く真夜中に、対峙する2人の剣士の姿があった。
「ぬしと、刃交える日が来るとは……嬉しく思う」
 淡々と告げた男の名は月夜見 空尊(ib9671)だ。
 月夜の下、月夜見はすぅと目を細めて対手を見つめ、その古き剣の鞘を払った。
「月夜見と名乗るその実力……如何なるものかお手並み拝見、だな」
 対する秋葉 輝郷(ib9674)。紅の目に好奇心を浮べ、彼も真紅の剣を鞘から抜く。
 月下で対峙するこの2人は、同じ小隊の隊員で、それ故2人の戦いは模擬試合なのだ。
「いざ……尋常に……勝負だ……迦具」
 月夜見が呟くと、秋葉はちらりと自分の刀を見て、
「その『迦具』とは……刀の名か? 俺の名は「輝郷」だが」
 秋葉の刀の銘は「迦具土」だ。黄金色に輝く波紋の魔剣である。
 だが、その問いに月夜見は首を傾げて、
「迦具……? ……ふむ……ぬしの、魂の名だ」
 その言葉になにか感じるものがあったのだろう。秋葉は何も応えずにただ静かにそうか、と応え。
「では……改めて……」
「ああ、いざ、尋常に……お相手願おう」

 秋葉は紅金の魔剣を上段に。対する月夜見は白光を走らせる八又の剣を下段に構えた。
 互いの構え、足運び、呼吸を静かに計る両者。一瞬の後、仕掛けたのは秋葉だ。
 呼気とともに直刀が炎を纏う。炎魂縛武で刀はますます紅と金に輝き、そのまま秋葉は打ちかかった。
 それを見据え、月夜見は自然体の構えから刀を跳ね上げた。
 紅金の剣閃を迎え撃つ白銀の剣閃。秋葉の一撃は微かに逸らされ躱された。
 だが、秋葉の攻撃は止まらない。打ち合いながら太刀筋や足捌きを注視しつつ畳みかける。
 秋葉の切り上げ、月夜見は退いて躱す。
 勢いのまま横凪ぎ、月夜見は反転しながら秋葉の剣筋を上に逸らし回避。
 秋葉は威力を殺さずそのまま回転して袈裟懸け、月夜見は紙一重で見切り躱す。
「ふむ……ぬしの動き……」
「さすがに中々……手強いな」
 互いに手の内を探りつつ、静かながらも戦いは激化していった。
 秋葉は炎柄の羽織を翻し苛烈さを増していく。その姿はまるで炎のように華やかだ。
 対する月夜見は、月下で黒髪を踊らせる。そして銀の瞳が月のように輝けば、動きは鋭さを増していく。
 そしてついに戦況が動いた。
 秋葉の一撃を跳ね上げ、月夜見が一閃で反撃した。
 鋭い突きがまっすぐに秋葉へ、だが秋葉はその一撃に合わせて籠手払い。
 起死回生の反撃、籠手を狙っての一撃だ。だがしかし反撃は間に合わない。月夜見の速度が勝ったのだ。
 決まりかと思われたのだが、突きの一撃を食らう寸前に秋葉は受け流し。
 精霊力を纏い体を燐光が包む。月夜見の突きはわずかにいなされ、体勢が崩れた。
 一閃を食らいつつも秋葉が反撃。
 炎魂縛武で炎を纏った一撃を月夜見は刃で受け止めるも、剣をはじかれて。
「勝負……あり、か」
「ああ、紙一重だったな」
「やはり、ぬしは……炎だ……恐れず、退かず……絢爛と燃えさかる」
 炎を纏う紅の魔剣を見ながら、月夜見はただそう言うのだった。


 恋人同士は広い練武場で対峙していた。
「こうしてさしでやるんは初めてやな。これ終わったらベットの上でも一戦交え……」
 ズドン! 
「うおっ! なにすんねん!!」
 天津疾也(ia0019)の軽口に梢・飛鈴(ia0034)は短銃で応えた。
 足下でぷすぷすと煙を上げる弾痕を見て、飛び上がりつつも
「ふん、恋人相手でも容赦せんで!」
「……戦いに関してはアタシは手を抜かン。もう、お喋りもせんからナ」
 にやりと笑いながら言う天津に、ふんと返す梢。
 もう戦いは始まっているのだが、余裕な2人。さすがの実力者といえる……かもしれない。

 仕掛けたのは梢、まずは短銃や苦無の牽制だ。だが天津はそれを軽々と凌ぐ。
 畳みかける梢、旋棍に持ち替え竜巻を放ちながら一気に接近、利き腕に強烈な蹴りだ。
 だが、虚心でひらりと攻撃を躱す天津。
 笑顔のままで、翻る梢の足や揺れる胸を眺めつつ余裕の表情である。
 もちろん、勝手知ったる2人の仲だ。梢の色仕掛けも視線誘導の技と天津は知りながら眺めてるわけで。
「うむ、ええ眺めやね」
 踏み込んだ梢の衣装を浅く切り裂く剣閃で反撃する天津であった。
 だが歴戦の2人だ。その実力は高く、決着に至るまでは時間を要さなかった。
 剣の間合いと一撃の強さで天津が勝り、立ち回りと速度では梢が有利。
 ならば梢は勝機を拾うためには仕掛けなければならない。受けに回れば、地力で勝る天津が有利だからだ。
 上段で待ち構える天津、勝機と仕掛ける梢。
 飛び道具をばらまきながら飛び込んで、さらに外套を放り投げ視界を塞ぎ、天呼鳳凰拳!
 一撃必殺の技が顎を狙って放たれた。だがこれは天津の罠だった。
 斜陽で気脈を乱し、虚を突いて円月の一撃。反撃を受け梢は倒れた。そこへ刀を突きつけながら、
「兵は詭道なりってか、ま、だましあいは商売の基本なんでな」
 笑いながら天津は勝利を宣言……しようとした。
 梢には最後の手があった。転がったまま、近付いてきた天津に蟹挟み。
 完全に油断していた天津が転がれば、梢は飛びかかり、そのまま首に足を絡めて、首四の字固め。
 一瞬抵抗しようとする天津だが、しなやかな梢の太腿に挟まれて、天津はこてんと失神。
 幸せそうな顔で気絶した天津を見る梢は、
「……起きた後がまたしんどそうだナァ……」
 釈然としないまま、水でもぶっ掛けるかと盥を探しに行くのだった。


「……未熟者ならば近寄る前に一矢で倒せる」
 森の中を影のように動きつつバロン(ia6062)は呟いた。
 視線の先にはエリアス・スヴァルド(ib9891)、狙いを定め呼吸を整え、矢をつがえ……。
 一気に引き絞り放つ。揺らぎも迷いも無くただ一矢。
 だが気配を感じたのか、エリアスは跳びすさり矢を回避した。
 泥臭く、野山を転げながら確実に攻撃を凌ぐエリアス。胆力、行動力、決断力ともに並みではないようだ。
「並の戦士ならば、どうにか近付いた所でわしに攻撃を当てる事は出来ずに……」
 エリアスはバロンの位置を悟ったのだろう、盾を構え距離を詰めた。
「……至近距離からの射撃で倒される」
 距離が近付けば矢の速さと威力は増す。次々にバロンは矢を放ち、エリアスは盾で受け後退。
 近づけないエリアスは酒瓶を放ち銃で撃ち抜き煙幕として撤退、身を隠すのだった。
 追いかけるバロン。だが彼はぴたりと足を止めた。
 見れば、草木の影にいつの間にか巻菱が。エリアスの仕業だ。
「ふむ……どうやら、並の戦士以上のようだな」

「……ちっとも軌道が読めねぇぜ……」
 小さく呟くエリアス。だがその言葉は遙か遠くのバロンに届いていた。
 草木の影に身を沈め、バロンは唇の動きでエリアスの言葉を読み取ったのだ。
 老弓使いは小さく笑みを浮べた。
 それは勝利を確信した笑みでも無ければ、相手をあざ笑ったのでもない。
 嘯きすらも戦術として、わざと読み取らせることで欺こうとするエリアスの意図を読み取ったのだ。
 つまりバロンの笑みは、エリアスを相手として不足なしと称え、戦いを楽しむ笑みである。
 そしてエリアスも同じくふっと笑みを浮べて立ち上がった。
 騎士道ならぬ詭道の騎士は視線や動きでいくつもの囮や誘導、罠を仕掛けつつバロンへ接近。
 ジグザグに移動し、木々を盾にし、短銃で牽制しながら一気に近付くのだった。
 バロンは待ち構え矢を放つ。エリアスは盾で受ける。次は足、飛び上がって避けた。
 距離は縮まり、あと一歩で間合い。
 エリアスの一撃。だがそれをバロンは回避。間合い運びの妙、狩射を習得したバロンに死角は無かった。
 ぎりぎりで躱したバロンはそのまま六節で神速の2連射。
 肩と足を狙った回避不能な連撃だ。それをエリアスは両方とも見切った。
 剣の腹で弾き盾で受け、反撃するエリアス。その一撃は弓の弦を狙っていた。
 だが、それすらバロンは予想していた。
 わずかな差は、精神力の差だった。戦場を住処し、油断の一切無いバロン。
 対するエリアスはどこかで死に場所を求め、戦いを疎む心があり、それが迷いを産んだのだろうか。
 バロンはエリアスの剣撃から弓を離し、勢いのまま放り投げた。
 そして懐のナイフを木に突き刺して支え、体を引っ張り上げ枝の上に。そこで、ぱしっと弓を掴む。
 そのままぴたりと矢をつがえ、眼下のエリアスに狙いを定めて。
「ふむ、一手足りなかったのう。激流を制するは静水……力や速さだけではわしには勝てぬぞ」
「……まいった。後一歩、か……そんな気がしてたんだ」
 剣を放り投げて、どっかと座り込んだエリアスに、にやりとバロンは笑みを向けて。
 そのまま2人は余った酒で酒盛りをはじめるのだった。


 雲一つない開けた場所で、対峙する男たちがいた。
「いつものオトモダチはどうした? 本性でも見せたら捨てられたか?」
 闇野 ハヤテ(ib6970)を嘲笑したのはダンデ=ライオン(ib8636)だ。
 だが、それが決定的な幕引きの始まりとなった。ハヤテは応える。
「その濃い髪色も、意思を読み取らせない目で見てくるのも……ぜーんぶ気に入らなかった」
「そうか、ボクもテメェが気にくわなかったよ、ずっとね」
「……ようやく今夜、この関係を終わらせられるな」
「ああ、テメェとのつきあいも、これで終わりだ」
 杖と銃を向け合う2人。静かに2人の戦いは始まった。

 2人の戦いはお互いに顔の見えない撃ち合いとなった。
 ハヤテは弾丸を放ちながらふと、撃つときに顔を見なくても良かったのか、と考えた。
 そんな自問自答の一瞬の隙に、ダンデの生み出した魔法の蔦がハヤテの足に絡みつく。
「くそ……面倒な攻撃ばっかしやがって……」
「ボクは冬の花。蒲公英の花のなりそこない。そしてテメェも……風のなりそこないだ!」
 ダンデはそう叫びながらブリザーストームで動けないハヤテを攻撃する。
 さらに石を投げて惑乱しようとするが、嵐の中から閃光練弾の激しい光がダンデの目を眩ませた。
「ッチ! なんだ……」
 舌打ちをして顔を隠したダンデ、そこに氷嵐に耐えつつハヤテが接近し蹴りを一撃。
 そのまま倒れたダンデの首に暗器を当てるのだが、ハヤテは動けなかった。
(……このまま刺せば、終わるのに……だってコイツの顔は……)
 ハヤテは、ダンデの顔に誰かを重ねたのだろう。
 その隙を逃さずダンデはなんと拳でハヤテを殴りつけた!
 魔術師から殴られるとは思わなかったハヤテ。
 足でダンデに砂を掛けながら距離を取れば、ダンデの二発目は空振り。
「……似てるとか思ったんだろ。だからテメェは駄目なんだよ」
 ぺっと砂を吐き出しつつ立ち上がったダンデに、ハヤテは歯噛みして銃を再び向けるのだった。

 かろうじて顔の見える距離で杖と銃を向け合う2人。
「これで終わりだ……サヨナラ、ダンデ=ライオン」
 告げながら最後の弐式強弾撃を放つハヤテ。だがその狙いには迷いがあった。
 対するダンデはちらりと空を見上げた。じつは彼はもう限界だったのだ。
(ボクは星にも蒲公英にもなれなかったけど、それでも……約束は守るから……)
 そのままダンデは、無心でエルファイヤーを放つ。
 迷いからか、ハヤテの弾は微かに逸れ、そしてダンデの魔法がハヤテを貫いた。
「……テメェが死んだら、鎮魂歌でも歌ってやる、って言ったっけな……」
 杖を手に呟くダンデ。勝敗を見届けたのは、月と星だけであった。


 そして、夕暮れの戦場で互いに刃を向けて対峙する2人が居た。
 斬りかかったのは小さい方の影。だが大きな影がそれを受け止め距離を取る。
 小さい影はそのまま告げた。
「人もアヤカシも何もかも、散々斬って、ここまで堕ちて。だけど、おかしな話なんだが……」
 短い沈黙。だが青年、刃兼(ib7876)はそのまま吼えた。
「……あんたのことは斬りたくないんだ、平次郎殿。頼む……退いてくれ!!」
 顔を隠した大柄なサムライ、丈 平次郎(ib5866)はその叫びを聞き、首を振った。
「退くことはできない……それがお前の選んだ道ならば……俺も容赦はしない!」
 血の滲むような声で平次郎は応えた。
 二人は友だった。だが今は敵だ。
 刃兼は全てを捨てて復讐の道を選び、それ故に友であった平次郎が追っ手となったのだ。
 刃兼はかつての友を見据え、その答えを聞き、そして刀を構えた。
「なら、あんたは、敵……陽州が修羅の子、刃兼―――御首、頂戴しつかまつる」
 言葉と同時に全てを、友すらも捨てた修羅は雄叫びを上げ、太刀を構え突進し、
「………推して参る」
 空気を振るわす雄叫びの中、仮面の偉丈夫は大剣を掲げ、その一撃を受け止めるのだった。

 大剣がうなりをあげて振るわれる。それを刃兼は十字組受で受け止め、そのまま弾かれた。
 一撃が重い、重すぎる。まるで想いの全てが込められているかのようだ。
 だが刃兼は退かない。血にまみれながらもうっすらと笑みを浮べた。
 匕首を投げ、雄叫びを上げて威圧し、太刀で斬撃。だがその一撃は兜をかすめただけ。
 隙を晒した刃兼は死を覚悟した。だがトドメの一撃はこなかった。
 平次郎が躊躇したのだ。がらんと兜が脱げ落ち、その下の傷がさらされた。
 深い傷跡が刻まれた顔は、迷いと哀しみに歪んでいた。
(何故、こうなってしまったのか……)
 平次郎が知る刃兼は優しく真っ直ぐな男で、背を任せるに値する友だったのだ。
 その思いが平次郎の刃を鈍らせた。だが、それを見て刃兼は……笑った。
「……こんな時でも躊躇うなんて、な。平次郎殿らしい、というか……」
 呟きながらクックッと喉の奥で笑い、
「今あんたの眼前にいるのは、紛うことなき敵。復讐と破滅の道を選んだ、ありふれた愚か者だ……」
「……敵、か」
「ああ、敵だ……斬れ。さもなくば―――俺があんたを斬るのみ、だ!」
 そして交錯。刃兼は追っ手である平次郎へと吼えながら太刀を繰り出した。
 魂の籠もった凄まじい一撃だ。
 だが、その一撃を刀ごと平次郎の大剣はへし折った。
 そしてそのまま刃兼を袈裟懸けに切り下ろす。
「……俺は死ぬ訳にはいかない。だが、こんなにも心が痛むのか………『友』の命を奪うということは……」
 呟きを聞きながら、崩れ落ちる刃兼は笑みを浮べた。
 それは最後まで自分を友と呼んだ男への感謝の笑みだった。
『ありがとう、すまない』
 声も無く、唇の動きだけで告げた刃兼はそういって倒れた。
 そして、それを見届けた平次郎は刃兼が放っていた匕首を胸から引き抜いた。
 血に濡れる匕首を放り投げ、剣を杖代わりにして平次郎は体を支える。
 遠くの夕日がぼやけていく。それを眺めながら平次郎は、刃兼の傍らに膝をついて。
(帰らなければ……あの子の所に……だが、いったい何処に……)
 友の傍らで、問いを抱きつつも答えを終に見ぬまま、傷の剣士は剣に凭れて瞳を閉じるのだった。