賭博師求む!
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2012/09/20 19:02



■オープニング本文

 武天の芳野という街の片隅、そこには、大層立派なお屋敷がありました。
 入り口では身なりの整った立派な門番と受付が、粋で優雅にお出迎えとお見送り。
 訪れる人も皆、立派な身なりの紳士だったり瀟洒で豪華な衣装の女性だったり。
 しかも天儀風の着物姿から、ジルベリア風のドレスやスーツ姿、泰国風の御仁もいるようです。
 はてさて、何の建物なのでしょう?

 このお屋敷、実はとても大きな賭場なのです。
 もちろん賭博といえばごろつきの吹きだまり、犯罪者の巣窟だったりします。
 しかし、ここはちょっと普通とは趣が違うよう。
 やってくるお客は、大きな商家の旦那様や身分の高そうな奥方、そして武家の方々に至るまで。
 もちろん、中にはちょっと堅気じゃない方々も見受けられますが、皆それなりの人物のようです。
 ここの元締めをやっているのは、芳野の街でちょっとした顔役を務める住倉月孤という老人。
 口入れ屋から身を起こし、今では様々な業種に手を出す、遣り手の老人です。
 そんな彼は、実はこの芳野の必要悪とも言える元締め。
 ですが、堅気の人に迷惑をかけちゃならないよ、と部下たちにも厳命しているそうで。
 その言葉の通り、この賭場はなかなかに気持ちの行き届いた場所のようです。
 賭け事ですので、負けることもありますが、ここに遊びに来るのは基本的に皆さんお金持ち。
 身代持ち崩すような人は居ないようで、なかなかに優雅に日々遊戯を楽しんでいるようです。

 しかし、今回ちょっとした厄介ごとが持ち上がったとか。
「なんでぃ、腕利きの代打ちや『でぃらぁ』が皆、出払ってる? なんてぇことだい」
 厄介ごとの時に一番役立つのは経験、ということでご隠居の住倉月孤が対処にでてきたよう。
 その厄介ごとというのは、とある詐欺師たちに関わる者でした。
 詐欺師たちは、顔も良ければ腕も立ち、さらには悪知恵も働くという厄介者たちで。
 志体を持つ彼ら、もとは武芸者としてそこそこ名の知れた二人だったとか。
 ですが今では悪知恵を生かして、賭場でのイカサマで荒稼ぎをしているとのこと。
 円尾(まるお)と留市(るいち)というその二人組。
 彼らが、とうとうこの賭場へとにやってきたというわけです。

 上手く彼らに対処し逆襲できる部下が丁度居ない、そんな時。住倉月孤は考えます。
「ふぅむ、嘗められっぱなしは性に合わないねえ。イカサマが得意らしいが……」
 しばし煙管をぷかり。それからぽんと膝を打って、
「ようし、こっちもイカサマで真っ向から鼻っ柱を叩き折ってやろうじゃねぇか」
 清く正しい裏稼業の元締めである月孤老人。やはりこの世界、面子や評判が大事なのです。
 武力で叩きのめすことも出来ますが、それはちょっと無粋というもの。
 相手の得意分野でもって、完膚なきまでに叩きつぶしてこそ、名が上がるというわけです。
 最近、開拓者がお気に入りの住倉月孤老人。今回も手伝いを頼むことにしたようですが。
「しかし、お上が黙認してくれちゃあいるが、やっぱりこりゃ堅気に迷惑をかけちまうわな」
 ギルドを通じて依頼を出すには少々、御法度御禁制に触れる今回の依頼。
 住倉翁はこっそり伝手を通じて、依頼を受けてくれそうな開拓者をあたるのでした。
 そして、こんな依頼が貴方の元にこっそりと打診されたわけです。

 さて、どうする? 


■参加者一覧
川那辺 由愛(ia0068
24歳・女・陰
北條 黯羽(ia0072
25歳・女・陰
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
鴇ノ宮 風葉(ia0799
18歳・女・魔
荒屋敷(ia3801
17歳・男・サ
月酌 幻鬼(ia4931
30歳・男・サ
野乃原・那美(ia5377
15歳・女・シ
アルネイス(ia6104
15歳・女・陰
アーニー・フェイト(ib5822
15歳・女・シ
香(ib9539
19歳・男・ジ


■リプレイ本文


 武天の芳野にひっそりと、しかし絢爛豪華にそびえる屋敷にて。
 今日もその屋敷には多くの人が訪れていた。
 上品な衣服に身を包んだ彼らは、給仕が運ぶ酒を手に談笑したり、遊戯に盛り上がっていたり。
 そんな屋敷に、ここ数日新顔がちらほらとやってきているようだ。
「へぇ、ここが鉄火場ってわけね」
 ジルベリア風のローブドレス姿は鴇ノ宮 風葉(ia0799)。
 どこか名家のご令嬢といった装いで、豪華かつ優美な姿がなかなか似合っているのだが……
「ケロネイス、あの絵の描いた石の使い方でも教えなさいよ? ほら早くっ!」
「風葉様はまたそうやって人の名前を勝手に変えて、私の名前ケロネイスではございません」
 きっぱりと従者の少女、アルネイス(ia6104)に反論されていたり。
 ともかく、目立つこの二人組は、その絵の書いた石……泰国渡来の『麻雀』で遊ぶようだ。
 そんな若い女性2人を周囲の客たちは、ほほえましく眺めているのだった。

 他にも、目立つお客が数組居るようだ。
「うーん、ドレスにハイヒールっていつもと違うから何か変な感じー」
「あら、そんなこと無いわよ。良く似合ってるわ那美。さ、行きましょう?」
 体の線をはっきり見せるドレス姿の野乃原・那美(ia5377)に川那辺 由愛(ia0068)が言う。
 どうやら2人もふらりと遊ぶつもりのようだ。
「おや、そこなお嬢さん。ちょいと遊んでくれへんか?」
 にっこり笑って2人を招くのはジルベリアのポーカーゲームの親をやっている香(ib9539)だ。
 紫のドレスに身を包んだ、女性ディーラー……に見えるのだが実はこの香、男性だったり。
 しかし、完璧に女性ディーラーとして振る舞う香は、カードをぱらぱらと取り出して。
「ほな、お嬢さん方には一つ占いを披露しましょか」
 そういって場を和ませつつ、カードを並べるのだった。

「いやあ、こういうの一回着てみたかったんだよな!」
 ジルベリア製の見事なスーツを着てはしゃいでるのは荒屋敷(ia3801)だ。
 歩いている給仕から酒を受け取ると、それをクイッと飲んで上機嫌。
 そんな彼の横をすっと歩き行く令嬢が1人。嬉しげな荒屋敷の様子を見て、口元を隠して笑いながら、
「ふふ、随分と楽しそうですね……っと、こんな感じかねー。いやぁ、レイギサホーってのも疲れるね」
 一転してにやりと悪戯な笑みを浮べる少女はアーニー・フェイト(ib5822)。
 そして、目立つ容姿の女性が2人。
「さて、今日こそ来ると良いんだがねぇ……ま、来ないなら色々と出来る良い機会だがねぇ」
「そうね。私も此処では泰拳士ならぬ牌拳士……なんてね」
「はは、何処にでも居る普通の牌拳士ってわけかい。そりゃいい」
 楽しそうに笑い会うのは男装の麗人、北條 黯羽(ia0072)。
 そしてその横に侍るジルベリアの令嬢姿は水鏡 絵梨乃(ia0191)だ。
 金持ちそうな商人や、明らかにちょっと裏稼業気味の御大、どこぞのお武家様に混じって闊歩するこの面々。
 彼女たちは、皆ある任務のために潜入していた開拓者たちだ。
 狙いは、詐欺を働く円尾と留市の二人組。
 そしてとうとうその二人組はその日店にやってきた。
 客の合間を行き交う開拓者たちの眼が一瞬だけ鋭くなり、そしてふっと視線が逸らされる。
 いよいよ作戦開始。上品で上流な鉄火場での、知恵と技での騙しあいが始まるのであった。


 初めてその店にやってきたその二人組。
 円尾と留市は緊張した様子も無く卓を見回って客たちの間を歩きはじめる。
 さて、どうやってこの詐欺師の牙城を崩すのか、その先陣を切ったのは『鬼』だった。
「おぅ、そこの2人。ちょっと俺と勝負をしねぇか?」
 にやりと話しかけたのは月酌 幻鬼(ia4931)だ。興味を引かれて円尾と留市は立ち止まる。
 高価な衣装を身につけていても、その口調や気配からは明らかに獰猛な武の匂いが。
 円尾と留市は、月酌を開拓者あがりのお大尽かなにかと当たりを付けたのだろう。
「ふむ、勝負か。ここではそんなこともやってるんだな。何の勝負だね?」
 円尾が髭を撫でながら言えば、
「普通の遊びじゃ面白くねぇからな。ババ抜きなんてどうだ?」
「はっ! ババ抜きか。そりゃいい、ちょっと遊ばせて貰おうか」
 こうして客同士の遊びが始まるのだった。
 身の丈八尺に届こうという偉丈夫の月酌は、2人を相手に威圧感満々で勝負を挑む。
 だが2人とも剣気による威圧も何処吹く風といなして勝負を運んでいく。
「おら、これババだ、さっさとこれ取れ、オラ、ぁ? ……取らねぇだと?」
「はっはっは、その手には乗らんね。ふむ……こっちだな」
 なかなかの名勝負。読み合いとハッタリの応酬だ。
 勝負は結局円尾の負けとなったが、飄々と席を立つ2人。
 どうやら金には余裕があるようで次の遊戯に挑もうというわけだ。
「ふん、まぁいい。それじゃ最後にもう一つだ。じゃんけんしようぜ」
 すっと手を出す月酌に、円尾は留市にお前がやってみろと顎をしゃくって。
「グーとパー、どちらを出してほしいか?」
「なるほど、誘導ですか……ま、その二つならパーですね」
 にっと笑って留市が返す。そして2人は同時に手を出した。
 一般客の目には映らなかったが、志体を持つ者たちだけは気付く。
 お互い、相手の手を見て瞬時に手を変えているのだ。
 志体持ちだけが可能な超動体視力による戦いの結果、勝敗はあいこ。両方パーだ。
「おや、これは残念。裏をかいてくると思ったのに」
 笑いながら席を立つ留市に、鼻白んで興味を無くしたように振る舞う月酌。
 場にそぐわない迷惑な客ぎりぎりな月酌であったが何とか役目は果たしたようであった。

 この2人、場慣れしている以上に志体持ちとしても能力が高いようだ。
 なにせ月酌と同じ速度で手を変えたのだ。他の面々は改めてそれぞれの策で身構える。
 相手にとって不足は無し。そして怒濤の連戦が始まるのだった。


 次なる遊びはポーカーと決めたようだ。2人が卓の間を行けば、
「なんやお兄さん等、あんまり見かけん顔やな。自分とも遊んでくれへん?」
 声をかけたのはディーラーの香だ。笑顔の美人ディーラーに声をかけられて悪い気はしないもので。
「お? それなら少し遊ばせて貰おうか。ポーカーだな」
 そういって卓につく2人。そして2人を前に、まず香は占いを始める。
「自分、じつは占いが趣味なんや。ちょいと披露しよか」
「占いか。いいね……ちょっと占って貰おうか」
 笑う円尾に、香がカードをめくれば、
「……おや、この結果はアカンな。お兄さん等大負けしてまうわ」
「ははは、そいつは困ったねえ。しかし、折角来たんだ。すこし勝負していこうじゃ無いか」
 そうして勝負が始まるときに、卓にふらりと寄ってきたのは荒屋敷。
「おぅっ。久しぶり。今日も絶好調だぜィッ♪」
 酒の匂いと共に、やってきた荒屋敷はどう見ても金持ちのぼんぼんといった様子だ。
 そして卓には荒屋敷も加わり、ポーカーの勝負が始まるのだった。
 静かに観察する香、彼女は表情には出さなかったが驚いていた。
 ポーカーにおいてイカサマをする手段はカードの操作だ。
 デッキの底に並べ替えたカードを自在に引き抜くボトムディールに始まり多くの技術がある。
 さらにはカードを掌に隠すパームなど、円尾と留市の2人は見事な速さでそれらの技を使っていた。
 ならばと香は考えを変える。荒屋敷の協力でとことんこの2人を勝たせて油断させるのだ。
 そして香自身もイカサマを使いひたすら2人を勝たせることしばし。
「あー、今日はだめだな! さっぱり勝てねぇや!」
「お兄さん等、大負けすると思ったんやけど負けんかったね」
 降参だと卓を引き上げる荒屋敷。そして香は大量のチップを2人に渡して。
 2人は上機嫌で、次なる卓へ向かうのだった。
 だが、彼らを見つめていた他の面々が居る事にまだ彼らは気付いていなかった。

 次に2人が向かったのは天儀の遊戯、おいちょかぶだ。
 親と子に別れて掛け金を払うこの遊戯は、その速さと掛け金が跳ね上がって行くのが特徴だ。
 つまり短時間で一気に稼ぐことも可能というわけで、2人はさらに稼ぐつもりのようだ。
「那美〜あたしは先ずは見てるから。楽しみなさいよ」
「了解! 由愛さんは相手のイカサマ確認よろしくね♪」
 卓で待ち構えていたのは由愛と那美の2人だ。
 曼珠沙華柄のアバヤ姿と妖艶なドレス姿の2人に儲かって油断した2人は誘い込まれるのだった。
 暫く上機嫌で稼ぐ円尾と留市、だが彼らのイカサマを由愛は見逃さなかった。
 札を使ってのイカサマは基本はカードのイカサマと一緒だ。すり替えや隠し持つ事が主となる。
 すでに種は香とのポーカーで割れている。それを見抜いて由愛は、
「……あまり2人での札交換を繰り返すのは、美しくありませんよ?」
 と呟いた。ぎくっと顔を上げる2人に、由愛は艶然と微笑んで。
「此処からは、私も参加させてもらうわ。暫くお相手願えるかしら?」
 そうなれば、手は封じられイカサマ無しでの勝負となれば、那美に翻弄される2人。
 徐々に負けが膨らんだ2人は、すごすごとこの卓を去るのだった。

 イカサマが他の客にばれて、少々負けが込んでしまった2人。
「……円尾の兄貴、次はどうする? 妙に目端の利くやつが多いみたいだけど……」
「ち、なら短時間で稼ぐぞ。……バカラだ」
 そういって2人がやってきたのはバカラの卓だ。
 バカラは、なによりゲームの進行が早い。それ故に短時間で大金が動くのだ。
 しかもそこに居るのはディーラー以外に金の髪の貴族令嬢が1人。
 バカラでは、プレイヤーの出来ることは少ない。
 ディーラーが示すカードに応じて、プレイヤーとバンカーのどちらが勝つかを賭けるだけである。
 プレイヤーはほとんどカードにふれられない。
 ならばどうやって勝ちを拾うのか? その答えはモイライだ。
 運任せの事柄を操作しうると言うジプシーの妙技である。
 これがあれば、大金をかけて勝ちを拾えば良い、実は留市はジプシーの技を習得しているのだ。
 ……だが、しかしその狙いは防がれた。
「お兄様と同じ場所にベットしたら負けてばっかりね」
 正念場の勝負において、2人と同じ場所にかける金髪の娘、アーニー・フェイトはそういって笑った。
 彼女もまたジプシーの技を使う者。アーニーは留市のモイライを自身のモイライで相殺していたのだ。
 今度は2人と逆に張るアーニー。すると今度はアーニーが勝利した。
「……あら、やっぱりお兄様は運がないのね」
 くすくすと笑うアーニー。すでに2人は三回のモイライを使い切ってしまっていた。
 負けが込んできている、ならばイカサマで無理矢理にでも大金が稼げる手に出るしか無い。
 2人はそう決めて、最後の勝負に挑むのだった。


 最後にやってきたのは麻雀だ。
 この屋敷では、麻雀の勝負はかなり高い掛け金で行われているとか。
 麻雀も、ポーカーに劣らずイカサマの技が多い。その中でも特に2人組だからこそ出来る技も多く。
 起死回生を狙った2人は、楽そうな相手として女性2人の卓を狙って席に着くのだった。
 対面にはルールを覚えたばかりらしき金持ちの娘とその従者だ。
「お嬢さん方、まだ始めたばかりというらしいが、それなりに高額の勝負で本当に良いのかね?」
「大丈夫よ、役も規則も全部覚えたわ。さ、ちゃっちゃと始めましょう!」
 円尾の言葉に応える風葉。その言葉にしめしめと内心で笑う2人だったのだが、それからが予想外だ。
 詐欺師2人のイカサマはいわゆる通しだ。動作や符丁でお互いに意思疎通するわけだ。
 お互いの必要な牌を知り、時には牌を隠し持ったり交換したりして役を作る。
 もう一つは積み込み。牌を積むときに役を仕込む技である。
 しかし何故かこれら両方が不発。ことごとく失敗するのだ。
 通しはどうやら早々に見破られているのか防がれ逆に狙い撃たれる。
 積み込みは妨害され揃わない。どうやら相手もなかなかの手練のようだとやっと気付いた。
 全ての手を見抜かれた円尾と留市。平打ちでの勝負はじわじわと負けが込んでくる。
 そうなると、一発逆転の手を狙いたくなると言うものだ。
 そこで登場したのは最後の一組。北條と水鏡だ。
 男装の麗人とドレス姿の清楚な女性、この2人は明らかに手練れの気配。
 だがイカサマを封じられ苦戦中の円尾と留市はそれを気にする余裕は無い。
「さぁて……風葉、アルネイス。そろそろ交代だ? そこの2人。もっと大きな勝負をやろうじゃないか」
「お手柔らかにお願いしますね」
 提案したのはさらに高額の勝負。そして最後の対局だ。
 親は円尾だ。起死回生の積み込みは成功、あとは賽の目だけだ。
 祈るように振る円尾、その瞬間。とんと軽く水鏡が卓に軽く触れた。
 泰拳士の妙技か、賽子はころりと目を変えて、これで積み込みは防がれた。
 結局その局は水鏡と北條が通しを使ってあっさり勝利。詐欺師2人は崖っぷちだ。
 次の親は水鏡、賽の目は2。続く北條、賽の目は2……詐欺師たちが気付いたときにはもう遅い。
 麻雀で最も有名かつ難易度の高いイカサマの大技、2の2の天和。
「知ってますか? 炎のように力強く、宝石のように美しい紅い鳥……」
 牌が配られた時点で、すでに役を完成させる天和。さらにその役が圧倒的だった。
「……その名は……紅孔雀」
 端から倒された牌、竹の文様の索子は赤が含まれる1579の牌。それに赤い『中』が揃って紅孔雀。
 文句なしの一撃で詐欺師たちの懐はすっからかんだ。

「……ちくしょう、こんなのイカサマだっ!」
 吼えた円尾と留市、卓を蹴倒して詰め寄ろうとするのだが、
 懐の刃物を抜こうとした2人の手を押さえるのは月酌と荒屋敷。いつの間に間合いに踏み込まれたのだろう。
 そして、後頭部にはぴたりと刃物と銃口の感触。スカートの下から早業で獲物を抜いた那美とアーニーだ。
 数歩離れて、符や杖を構えているのは由愛と風葉にアルネイス。
 さらに、2人の首元にぴたりと刃を当てているのは香だ。
 ぴくりとも動けない2人の前で、飛び散る牌を空中でひょいと掴んで並べる水鏡。
「はい、空中積み込み大三元」
 もう絶句するしか無い2人を前に、静かに香がくすりと笑って。
「………せやから言うたやろ? 大負けするて」
 最後の宣告をするのだった。

 そして2人は店の者に何処かへ連れて行かれた。どうなったのかは不明だ。
「やっぱり詐欺なんてするもんじゃねぇな。働かざる者、食うべからずってぇトコかね?」
 北條はぽつりと言うが、屋敷はいつもの落ち着きを取り戻し、遊戯は続行されるようで。
「今度は普通に賭博楽しむのだ〜♪ 由愛さんも今度は一緒にね♪」
「那美ぃ〜張り切り過ぎて、全部スらないようにね?」
 由愛と那美の2人は早々に卓に戻り、他の開拓者たちもそれならばと遊戯に加わるのだった。