背水の陣 不意の襲撃
マスター名:雪端為成
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 難しい
参加人数: 10人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2012/07/09 19:17



■オープニング本文

 しとしとと続く長雨。
 貴方たち開拓者は、その雨のせいで足止めを食っていた。
 ここは、武天のとある地方。大きな河の渡し場だ。
 天気は雨、豪雨と言うほどでは無いがここ数日雨が降り続けている。
 そのため河は増水し、渡し船が出ていないのである。
 渡し守も河の対岸にいるようで、こちらの渡し場は無人。
 そんな場所で貴方たちは足止めを食っているのであった。

 渡し場にほど近くに、足止めを食らった人が使うための場所があった。
 簡素な囲炉裏に、板張りの床。それだけを備えた小屋だ。
 仕方なしに、足止め中の貴方たちはそこで夜を過ごすことになったのである。

 小屋の中でぽつぽつと会話しつつ夜を過ごす開拓者たち。
 そんな中、ある開拓者がふと思い出したのは近隣の噂。
 最近この長雨の中、渡し場の周囲ではアヤカシが出るという。
 長く続く雨の中では、大型のアヤカシの痕跡すらかき消えてしまう。
 そのためか、何度か旅人や単独の開拓者が襲われたものの、いまだ倒されていないらしい。

 そのとき、小屋の中の開拓者たちの鋭敏な感覚は何かを捕らえた。
 それは、小屋に近づいてくる複数の気配。
 ざあざあと降る雨ですら、ぴりぴりと伝わってくる殺気だ。
 この小屋は、防御には何の役にも立たないだろう。
 となると、戦いは雨の中。外で戦うことになるようだ。

 相手は、大型の鬼アヤカシ十数匹。
 中には強敵の獄卒鬼すら混じっているとの噂もあるようだ。
 雨の中、貴方たちはこの強敵と戦わなければならない。

 さて、どうする?


■参加者一覧
朝比奈 空(ia0086
21歳・女・魔
緋炎 龍牙(ia0190
26歳・男・サ
音有・兵真(ia0221
21歳・男・泰
空(ia1704
33歳・男・砂
黎乃壬弥(ia3249
38歳・男・志
ペケ(ia5365
18歳・女・シ
白 桜香(ib0392
16歳・女・巫
椿鬼 蜜鈴(ib6311
21歳・女・魔
エルレーン(ib7455
18歳・女・志
破軍(ib8103
19歳・男・サ


■リプレイ本文


「フフ、あながち噂も馬鹿に出来ないものだねぇ……」
 始めに動いたのは緋炎 龍牙(ia0190)だった。
 それまで浮べていた柔和な表情はなりを潜め、その視線と声が冷ややかさを増す。
 彼は、最近このあたりに出るというアヤカシの噂を調査していたらしく、それを伝えれば。
「こんな時までアヤカシトとは、ゆっくりする暇も無さそうですね」
 朝比奈 空(ia0086)はそう言って立ち上がる。
 他の開拓者たちも次々に立ち上がり外套を身につけたりと準備を整えて。
「……さ、狩りを始めよう」
 緋炎の言葉とともに、一団となって雨の中を歩き出すのだった。
 今回の戦いは、敵に先手を取られた遭遇戦である。
 つまり、こちらは作戦を練る時間も、連携の策を作る暇も無いというわけだ。
 そんなときは、それぞれが得意の間合いで戦えば良い。
 臨機応変に戦う。それをこなせるだけの実力が、彼らには十分備わっているようだ。

 開拓者たちそれぞれの思惑はばらばらであった。
(……チッ、河の流れさえまともなら水蜘蛛でとッととアヤカシもおいて渡るのに)
 けだるそうに、内心でつぶやく空(ia1704)。
 ちらりと他の面々に目を向ければ、戦力には不足は無さそうだ。
 しかし、この状況は気にくわない。雨は鬱陶しいし、鬼たちは手がかかりそうだ。
 そしてもう一人、雨に顔をしかめ、ぬかるむ地面を憎らしげに見つめているのは、
「今度の長雨は平和そのもので実に気楽で………と、思ったのに……はうぅ」
 はふぅと、盛大なため息と共に嫌そうな顔を浮べているペケ(ia5365)だ。
 雨に濡れれば夜の風はなおさら寒く感じられる。そこで、ペケは懐からひょいと酒瓶を取り出して。
「……雨で体温が奪われるのは問題ですがー、こいつで充分なのです」
 ぐいっとヴォトカを呷って、そのまま妙に目を据わらせて、ずんずん進むペケであった。

「面倒なことになったの……ううっ、早く帰って、あったかいおふとんでぽかぽかしたいのっ」
「ふむ、確かに最悪な状況での面倒な敵……じゃの。わらわもこんな日は布団が恋しいのう」
 エルレーン(ib7455)のぼやきを聞いてからから笑うのは椿鬼 蜜鈴(ib6311)。
 そんな彼女は、雨の中仲間たちとともに街道へと進んで、マシャエライトを発動。
「さて、気休めじゃが照明術にて少しなりとも明るうせねば我等とて危険じゃての」
「うん、これなら見える。さ……寒いけど、ッ、がんばる!」
「うむ、その意気じゃ。さて、そろそろお出でなさるかの。闇は深いて、気を付けやれや?」
 椿鬼の言葉と共に、開拓者たちは身構えて。
 鬼たちに備えて、彼らは周囲に素早く視線を走らせるのだった。


「渡しの駄賃にしちゃ、ちょっと奮発し過ぎだな。音有、桜香、抜かるなよ」
「ああ、降りかかる火の粉は払わないとな」
「はい、早めに片付けてしまいましょう……存分に戦って下さい。私が治しますから」
 黎乃壬弥(ia3249)が刀を抜きながら、二人の友人に声をかける。
 応えたのは音有・兵真(ia0221)。彼は灯りをともしたカンテラをかざして周囲を窺って。
 そして、彼はカンテラを後ろに控える白 桜香(ib0392)に手渡した。
 この三人は同じ小隊の仲間、連携に慣れた同士というわけだ。
 黎乃と音有が前衛に出て、その後ろに白が控えるという陣形を整える三名。
 彼らだけでは無い、他の開拓者たちもそれぞれがすでに準備万端に敵を待ち構えていた。
 椿鬼の魔法の火球とカンテラの灯りだけが周囲を照らす中、確かに周囲に満ちる気配。
 最初に反応したのは三名の開拓者だった。
「……来たぜ。ソコ、どけよ」
 短銃を抜いて構えた空、まだ影も見えない森の中へ銃撃。
「……来ます!」
 瘴索結界で敵を感知した白の声に、即座に黎乃と音有が反応。こちらに突進してくる鬼を相手取る。
「……来たっ! 連携、お願い……!」
 心眼で敵を捕らえたエルレーンが、別方向から来た敵集団へ前進。
 すると、エルレーンに並んで飛び出す緋炎。
「……アヤカシという存在が俺を戦いへと駆り立てる……さて、まずは小手調べだな」
 にたりと獰猛に笑顔を浮べると、エルレーンと並んで、緋炎は両手の刀を構えるのだった。

 鬼らはこのとき三方向から攻め寄っていた。なぜなら肉弾戦に優れる怪力の鬼たちは術者が苦手だからだ。
 だから、同時に包囲して攻めることで一気に後衛を倒そうという心算なのである。
 それぞれの先頭には獄卒鬼が。たった一匹でも街を破壊しうる強敵だ。
 指揮官でもあり、主戦力でもあるこの鬼。人数で劣る開拓者など恐るるに足らずと考えていたのだろう。
 果たして開拓者たちはしのげるのだろうか。その答えは、すぐに分かるだろう。

「今回は技の準備が間に合わなかったからな、壁は任せたぜ……ちゃんと避けろよ」
 短銃を手にそう嘯く空、彼は眼前の獄卒鬼にその銃を向けて乱射。
 暗視があるため、薄明かりの中でも彼の弾丸は次々に獄卒鬼に命中した。だが敵は硬い。
 そんな空の前で、彼の言うとおり壁となったのは破軍(ib8103)だった。
「生憎……味方の攻撃にやられるほど間抜けではないんでな」
 霊剣「迦具土」を抜き放つ破軍は、言葉の通り空の射線を確保しながら前進。
 そのまま、なんとたった1人で獄卒鬼の眼前に立ちはだかるのだった。
「……ガハハァ、修羅如きが1人で渡り合おうって言うのか……その慢心、死んで思い直せ!!」
 轟、と吼える獄卒鬼はその巨大な金棒を振りかざして破軍を狙う。
 だが、破軍はその一撃を受け流して、
「合戦でも……前の仕事でも、暴れ足りなかったからな。溜まった鬱憤晴らしに使わせて貰おう」
「何ィ! 嘗めるな!」
「そう、吼えるな……お前には、俺の鬱憤晴らしに付き合って貰うからな……っ!」
 彼は1人で獄卒鬼と真っ向から立ち向かうのだった。

 敵は獄卒鬼だけではない。敵はそれぞれの獄卒鬼を中心に、部下の鬼を3匹ほど連れていた。
 獄卒鬼は立った一匹でも脅威だ。だから、前衛たちは主に獄卒鬼の対処をしていた。
 一匹は破軍が。もう一匹はエルレーンと緋炎が。そして最後の一匹は、黎乃と音有が。
 だが、そうなると残る9匹の鎧鬼たちが問題だ。鎧鬼たちは、回り込んで後衛を狙おうとする。
 しかし、そこに響く声が。
「ひと〜つ、人里へ雨に乗じて侵入し。ふた〜つ、不安と恐怖を撒き散らす……」
 芝居がかった仕草で、どーんと叫ぶペケ。なんだなんだと思わず鎧鬼もペケを見れば。
「みっつ、醜い鬼アヤカシを退治てくれん開拓者!! って事で皆さん頑張ってくださいね」
「こりゃ、おんしも戦わぬか。まったく……しかも褌が緩んでおるぞ。珠の肌に傷が付いたらどうする」
 くつくつと笑いながら、思わず椿鬼が困ったような言えば、ペケはいそいそと褌を締め直してみたり。
 なんと、開拓者はこの期に及んで全くの余裕であった。
 それを見て鬼たちは激高。単純な鬼は馬鹿にされたと思ったのだろう。
 しかし、それも開拓者の思うつぼであった。
「……然様に濡れた身での雷槌はよう効くじゃろう?」
 椿鬼が放った雷撃の魔法が鎧鬼を直撃、そこへたたみかけたのはさっきまで冗談を飛ばしていたペケだ。
 シノビの速度を乗せて、たたき込まれたのは両手の鉄拳。
 奔刃術で加速し目にもとまらぬ乱打が鎧鬼を討つのだった。
 開拓者の後衛たちの反撃は止まらない。
「長引けば、この雨ですからね……最初から全力で討たせて貰います」
 いかにも後衛然とした朝比奈に襲いかかる鎧鬼、だが朝比奈は魔刀を抜き放って応戦。
 白梅香で強化された一撃が鬼の腕を両断する。思わずひるんだ次の瞬間、その頭部が消失。
 魔術師のみがなしえる精霊術の極致、灰色の精霊魔法ララド=メ・デリタが鬼の頭を灰と化したのだ。
 そして残る最後の後衛、白すらも好機と見て反撃だ。
「私が攻撃出来ないと思ってたら大間違いですよ」
 白霊弾の一撃で鎧鬼を攻撃。思いの外手強い後衛を前に、鎧鬼たちはわずかに逡巡するのだった。


「雨天に夜討とはアヤカシにしちゃ気が効いてるじゃないか……だが、まだ足りないな」
 にやりと笑って平正眼に刀を構える黎乃、彼の傍らには槍を構える音有が居た。
 2人は連携して強敵、獄卒鬼に立ち向かっていたのだが。
「……ふむ、コイツの相手は俺だけで十分だな。音有、先に鎧鬼共を頼んだ」
「分かった。向こうの方が今は危ないな、数が多いし」
 そういって、くるりと獄卒鬼に背を向けて去る音有。それに激高して襲いかかろうとする鬼だったが、
「おおっと、お前さんの相手はこの俺だ……」
 にやりと立ちはだかる黎乃。刀「鬼神丸国重」をぴたりと中断に構え、剣先はわずかに左上方。
 するするとなめらかに足を運ぶ黎乃の圧力に、なんと獄卒鬼は数歩後ずさるのだった。

 もう一匹の獄卒鬼を相手にしていたエルレーンと緋炎。
 その戦いの中で、エルレーンは心眼を使用し、後衛が襲われつつあることを悟った。
 一瞬の迷い。だが、それを見て取ったのか緋炎がずいと前に出ると、ただ一言。
「……行けっ!」
 その言葉に背を押され、エルレーンは後衛を守りに移動。妨害しようとした獄卒鬼には。
「もうッ! じゃましないでよぉッ!」
 と渾身の円月で血路を開き、一太刀を入れ、そこに緋炎が追撃。そのまま緋炎は、にやりと笑みを浮べて。
「ふん、獄卒鬼の相手を1人でやることになるとはな……まぁ、良い。そろそろ幕引きと行こうじゃ無いか」
 すでに獄卒鬼は手傷を負っている。一対一にならないようにと警戒していたが、もう大丈夫と見たのだろう。
「……俺の気が晴れるまで……いや、お前達が滅ぶまで何度でも戦うさ」
 その言葉と共に、緋炎は闇色の二刀を手に、まるで獣のように猛攻を開始するのだった。

 後衛の所へ殺到しようとしていた残る7匹の鎧鬼。
 そこに突っ込んでくる2人。音有とエルレーンだ。新たな獲物を前に反撃しようとする鬼どもだったが、
「……硬いばかりが攻撃じゃないぜ」
 その反撃をグングニルで受け止める音有。そのまま暗勁掌で鎧を打ち抜く一撃。
 たった一発で動きを止める鬼、そのまま音有は槍を構え直すと投擲!
「泰拳士の攻撃なら離れていれば大丈夫と思ったか? 届け、グングニル」
 さらにもう一匹が槍に貫かれる。そこに朝比奈や白の術が直撃。これで二匹目。
 同時に、エルレーンも前衛として鎧鬼と交戦中。
「疲れてる、ってのにッ! めんどうだなあ!」
 疲弊しつつ、紅蓮紅葉で一匹は倒したのだが、その背に向かって襲いかかる一匹が。
「っ!! しまっ……」
 振り返ったときには直撃寸前。思わずエルレーンは身を固くするのだが、
「女人の肌に傷を付けさせる訳にはいかぬてのう」
 ズドンと雷撃。椿鬼のアークラブラストが直撃しその一匹をはじき飛ばす。
「さて、窮地を好機と出来ぬで何としおる……一気に行くぞ、皆の衆!」
「……貴方達が幾ら強くても連携が取れてない攻撃に負ける気はしませんよ」
 椿鬼の檄に、白も応えて。
 残る鎧鬼はたったの3匹。後衛は一気に連携して殲滅へとかかるのだった。

 獄卒鬼との戦いも終幕を迎えようとしていた。
 桔梗でカマイタチを放つ黎乃。だがそれは狙いをそれて地面をえぐる。
 好機とその瞬間、獄卒鬼は無骨な大刀を振るって黎乃に肉薄、黎乃は鬼と体を入れ替え、思わず後ずさる。
 鬼はさらに追撃。剛力で繰り出す連打についに黎乃はその刀をはじき飛ばされるのだった。
 勝ちを確信した獄卒鬼、後ずさる黎乃を追撃! あわや、と思われたが、
「……足元に気をつけろ、滑るぞ」
 獄卒鬼が踏み込んだのは、黎乃が桔梗で地面をえぐっていた場所だった。
 そう、黎乃の動きはすべてこの布石。足場を取られた鬼相手に、黎乃は秋水一閃。
 ドラグヴァンデルの抜き打ちで獄卒鬼は討ち滅ぼされるのだった。

 破軍は苦戦を強いられていた。他二組と違って、彼は最初から1人で戦っていたのだ。
 後衛の援護があれども、その身の疲労は倍以上。怪我も少なくない。
 そんな中、とうとう破軍はその剣をはじき飛ばされてしまった。絶体絶命の危機か? 否、そうではなかった。
 次の瞬間、破軍はナイフを取り出し投擲。勝利を確信し油断した鬼の目にそれが突き立つ。
 そして、そこに間に合ったのは援護の一撃。ペケが奥義の夜で時間停止。
 強烈な拳の一撃で獄卒鬼の膝頭を粉砕した。鬼は、何が起きたか分からないまま倒れ込む。
 その隙に破軍は霊剣を回収。やっと起き上がった鬼に対して、
「蒼硬には使えなかったモノ……試し斬りさせて貰おう」
「き、貴様ぁっ! 蒼硬様を知って……」
「ああ、勝ち逃げされたがな……。先に言っておく……コイツは痛いぞ」
 そういって大上段に構えてからの唐竹割。
 彼は、すでに滅んだ仇敵の上級アヤカシへと向けるために研鑽を積んだ技で、獄卒鬼を撃破。

 そして最後の獄卒鬼は、緋炎との戦いを繰り広げていた。
 一撃離脱の戦いで主導権を握る緋炎。だが、なかなかに決定だが与えられない。
 そこを援護したのは、空だ。
 接近しながら暗視で狙いを定め、短銃で足を狙う。予期せぬ方向から討たれて獄卒鬼に隙が生まれた。
 そこに突っ込む緋炎。苦し紛れの鬼の反撃は、なんと不動を使用し、体で受け止める!
「悪あがきは終わりだ。とっとと滅びろ……」
 不動を使っていても、槍の一撃を受けて出血しながら、肉薄する緋炎。
 同時に、こっそりと空も肉薄していた。
 まず空の針短剣「ミセリコルディア」が、鬼の鎧の隙間に突き立った。
 反撃しようとした鬼だが、そこにはすでに緋炎が。彼は焔陰を発動。
 炎を纏った忍刀の一撃がついに最後の一匹にとどめを刺すのだった。


「皆さん、風邪を引かないように気をつけてくださいね。お味噌汁、飲みますか?」
 戦いの後、白は芋幹縄を煮込んで即席の味噌汁を作ってそれを振る舞ったり。
 同時に酒も振る舞われているようで、
「お、じゃあいっぱい貰おうか」
「私もいっぱい。体温維持にはこれが一番……」
 思わず飛びつく黎乃とペケに、白が
「……一人でたくさんは禁止ですよ?」
 と釘を刺したり。

 そして1人で火に当たりつつ、ぶつぶつつぶやいているのはエルレーンだ。
「はぅ……ひどい目にあったの。早くおうちにかえりた……へ、へくちっ!」
(……こんな時、やさしく私を抱きしめてあっためてくれる、すてきな男の人がいたらいいのに)
 思わずくしゃみをしつつ、そう考えるエルレーン。
 そんな彼女に、すっと味噌汁を差し出す人物が。はっとして見上げれば。
「ほれ、寂しげにしておったしのう。暖まるぞ?」
 そういって味噌汁を差し出したのは椿鬼で。嬉しくも、何となく寂しいエルレーンだったり。

 ともかく、開拓者たちは見事この苦境を凌ぎきった。
 見事な個人技能と、それが集まったからこその連携で彼らは勝利したのである。