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■オープニング本文 「まあ。美人の湯、ですか」 ろりぃ隊出資財団の女性商人は、取り引きのある行商人からもたらさせた情報に目を輝かせた。 旧姓・対馬、名は涼子。 対馬商店の娘で某有力商会に嫁ぎ姓は変わったが、もともと独立心が強く才能もあった。商才のある男性と結婚したが、あまりに嫁ぎ先の商売は盤石。涼子の才能を発揮する場はなかった。 しかし、その程度ですんなり奥方として収まりおとなしくする人物ではなく、実父から譲り受けた飛空船、対馬丸を使うなどして独自に商売をしていた。かたくなに旧姓を名乗るのはこのためで、旦那はというと実はこれも変わり者。そんな涼子にほれぼれするという「ゼロから築くぜ、安定志向は好きじゃねぇんだ」的性癖。まあ、それぞれの性格に頭を抱えていた両家とも、これで片付いてくれるならこんな幸せな事はないと八方丸く収まっているわけだが。 閑話休題。 「それはよろしいですコト」 ほほほほほ、と優雅に笑うが目は笑っていなかった。 対馬涼子、ン十歳。お肌の曲がり角。 美人の湯と聞いて指をくわえて座視などするはずがない。 「あ、お嬢さん」 もちろん、涼子とは先代からの付き合いの行商人は彼女の性格を分かっている。話の先を読んで釘をさす。 「その美人の湯には、白い大蛇のアヤカシが何匹か居座ってるようですぜ。おかげで長いこと使われてないとか」 この言葉に、涼子はにまっと笑うのみ。 「むしろ好都合ですね。‥‥お前が知る程度の情報で今まで対処がなされていない、ということはさらに何かわけありと見ますが」 「さすがお嬢様。‥‥美人の湯までは近くの村からも遠く、逆に温泉付近にいた蛇のアヤカシが村まで近寄らなくなったのでそっとしておくことに決まったという伝承が残っているらしいです」 行商人は言う。つまり、伝承となるくらい昔に決めた事らしい。 「私にその話を持ち込むということは、商売になるかもしれないということですね?」 「さすがお嬢様、その通りでして」 どうやら、アヤカシを退治すれば麓の村では宿を開業してもいいという話を得ている。もちろん、従業員は現地雇用で必要な物資も極力現地調達する事という条件付きではあるが。 「なぜ、ほかの商人は手を出さないのです?」 「美人の湯は隠れた湯です。岩場の、狭い隙間が入口になっていて大男の通行には困難が伴います。戦闘で何かあった場合、速やかな退却が難しいことなどが主な理由。おまけに美人の湯は乳白色のしっとりした湯です。湯の中にいる白大蛇は見えにくいし複数なのでとても厄介だとか」 「なるほど。だからわたくしに話を持ち込んだのですね」 涼子の頭に浮かんだのは、当然コクリ・コクル(iz0150)である。 「しっとりした湯は肌への馴染みも良く、すべすべになると評判だったそうです」 「ふふっ。‥‥私は特に興味なぞありませんが、コクリちゃんたちにまずはすべすべなお肌になってもらいましょう」 コクリの入浴した姿とか風呂上がりの様子、ぷにぷにな肌を想像したのだろう。にまっと艶やかな笑みをたたえる涼子であった。 こうして、ろりぃ隊として出動してもらえる開拓者の募集がギルドに張り出された。 条件は、出資者の強い要望で「身長おおむね155cm以下の女性。若ければなお良し」といういつもな感じ。「ろりぃ隊」としての出撃なので、新規参加者には識別称号が付く。 半面、今回は『ろりぃ隊出資財団』の女性出資者のみによる独断投資なので、報酬はいつもより少なめ。その代わり助平親父どもの登場はない。 涼子はこっそり、「討伐成功後は温泉でゆっくりして、漬かり心地も確認する事。そしてほっぺたぷにぷにさせてもらえること」という条件も沿えている。 |
■参加者一覧
静雪 蒼(ia0219)
13歳・女・巫
のばら(ia1380)
13歳・女・サ
猫宮・千佳(ib0045)
15歳・女・魔
ルンルン・パムポップン(ib0234)
17歳・女・シ
繊月 朔(ib3416)
15歳・女・巫
リィムナ・ピサレット(ib5201)
10歳・女・魔
リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386)
14歳・女・陰 |
■リプレイ本文 ● 華の小手毬隊は一列縦隊で秘湯までの岩の隙間を歩いていた。 「あ。‥‥うわあっ」 やがて、先頭を行くのばら(ia1380)の華やかな声が響いた。 「わ、こんな場所があるなんて」 岩場を抜けると、もふもふと湯気の漂う広い水場へと出た。――今回の目的地である、秘湯「美人の湯」である。のばらに続いて秘湯の領域に足を踏み入れたコクリ・コクル(iz0150)も目を丸くする。 「すごいにゃ♪ コクリちゃん、頑張ってアヤカシ倒して温泉入るにゃ〜♪」 広く白い湯に目を輝かせるのは、温泉大好き猫宮・千佳(ib0045)。今にも湯に飛び込みそうな勢いなのを、慌ててコクリが止めたり。 「温泉満喫、美人度あっぷです!」 目をキラキラさせながらルンルン・パムポップン(ib0234)も身を乗り出す。っていうか今、自分がキレーになって白馬に乗った王子様が向かえに来てくれるのを夢見たでしょう、ルンルンさん。 「ふうん、夢見がちなのね〜」 この様子を見て、リーゼロッテ・ヴェルト(ib5386)がおっとり言う。リーゼロッテもそう思ったようで。 「夢見るのは女の子の特権ですっ!」 「可愛いわね♪」 華やかに言い切るルンルンに、リーゼロッテはにっこり。 と、今度はコクリを、じー。 「あ。リーゼロッテさん、何?」 「リーゼでいいわよ。ふーん、貴女がコクリ‥‥」 淡く煙る瞳に耐えかね視線を逃がすコクリだが、こんどはリーゼの無防備にさらした白く小さな肩や前屈みの胸元が目に入り恥らう。 「可愛いわね♪」 にっこり微笑するリーゼだった。 「コクリちゃん、よろしくねー!」 今度は、リィムナ・ピサレット(ib5201)が元気良く。皆に挨拶して回る礼儀正しい娘だ。 「コクリさん久し振り。小手毬隊としてしっかりがんばりますよ! 温泉も楽しみですしね‥‥そのためにしっかりやらないと!」 狐の神威人、繊月 朔(ib3416)もやってきた。 「う、うん」 「あ、朔ねーちゃんのって、カミナギ?」 「ええ。リィムナさんもカミナギですね」 どうやらリィムナも朔も携行する武器は見た目木刀の霊刀「カミナギ」のようで。すっかり意気投合する。 そこへ、ゆらりと白羽扇を波打たせながら静雪 蒼(ia0219)がやってきた。 「それにしても、コクリはん、猫宮はんはお久しゅうに」 「うん、本当に久し振り。‥‥さあ、これでみんな揃ったよね」 きっ、と白い湯に目を向けるコクリ。 「って、蒼さんちょっと、何やってんの?」 行くぞ、と格好良く言い掛けた所、蒼の様子に気付いてまたも真っ赤になった。 「動きやすぅするために行く直前に服の裾たくし上げとかなあきまへんしな」 普段素肌をさらすことのない蒼が、裾を膝上高くまでまくって生足をさらしていたのだ。すらりと細くく、白かった。 「ともかく、アヤカシやっつけてみんなで温泉だぁ〜♪」 リィムナの元気いっぱいな掛け声に、親友の姿に恥ずかしがったコクリ以外が、おー! と気勢を上げるのだった。 ● 「‥‥現れないのです」 コクリたちがきゃいきゃいしているのを背に、のばらが腕を組んで仁王立ちしていた。 背後の仲間が時間をたっぷりかけているのは、もしかしたら蛇アヤカシが湯から上がって襲ってくるかもという算段から。盛り上がる仲間を守るように警戒していたのばらは首をひねる。 「温泉の中には入らず、踊り場の部分で戦いたいですよね」 朔が思案顔で応じた。湯に入れば、保護色で見えない敵がどこから襲ってくるか分からない。ここは湯から出して迎撃したいところ。 とはいえ、水中に本当にいるのか、どれだけいるのか、どこにいるのかが分からない。 「じゃあ私が。‥‥ルンルン忍法ジゴクイヤー」 「よし、ボクも」 ルンルンが「水蜘蛛」を使い温泉の水面に立つと、持参した「秘密です♪」な竹筒を温泉に差し入れた。何のことはないただの竹筒だが、もったいぶることでルンルンの気分が乗るのだ。理屈ではない。そして目を閉じ耳に集中して「超越聴覚」で音を探知する。コクリは心眼を使ってみる。 「‥‥ぴきーん。ニンジャ感覚に感有りです」 「ボクも何となく。ずいぶんいるね、10匹以上だ」 「コクリちゃんの心の目と私の耳、2つ揃えば水の中に隠れてたって、全てお見通し‥‥危ない」 ルンルンが言う間に、白大蛇が襲ってきた。刀で払いつつぱしゃん・ぴしゃんと軽やかな足取りで後ろにステップするルンルン。そろそろ水蜘蛛の効果も切れるのでコクリの近くまで戻った。 「じゃあ、いくのです!」 動いた戦況にのばらが反応した。すうっと息を吸い込んでから、大地を響かせるような雄たけび。「咆哮」だ。 「来てる。すぐ手前!」 「雷閃、温泉に打ち込んでみるわね」 コクリの心眼情報にリーゼロッテがいち早く反応。まだ現れないがコクリの指差す水面を目標に雷閃を放ってみた。が、これは温泉の水に当たっただけで効果がなかった様子。 ――バシャア! 敵が、出てきた。 多いっ。 何と、10匹の大蛇が一斉に湯から上がり束となって襲い掛かってきたのだっ。 「アヤカシはビリビリ痺れるといいにゃ! マジカル♪サンダーにゃ!」 「千佳ねーちゃん、わたしもっ」 千佳とリィムナがサンダーで迎撃する。 「ルンルンさん、ボクたちも」 「美人度UPのため頑張っちゃうんだからっ」 横合いからコクリが下から切り上げ、ルンルンが舞うように近寄って斬り伏せる。 それでも止め切れない。 「こ、これは多いのです」 のばらは、長い金剛剣を両手持ちで迎撃するが束になる蛇に取り付かれてしまう。 「き、気持ち悪いのです」 噛まれたり巻きつかれたり。慌ててルンルンとコクリが駆け寄り引き剥がしにかかるが、当然二人も 巻き付かれることに。「うわっ、ぬめぬめです」、「痛っ、やったな」など武器の使いにくい密接戦闘に。 「のばらさん、コクリさん! ‥‥念のため」 後ろに控えていた朔は念のために「解毒」を噛まれた仲間に使ってみる。コクリはそれと分かって「大丈夫」と手を上げた。毒はないようで、ほっとする朔。「これで神風恩寵に専念できます」と、早速右足を引いて舞いの一拍子めの動きに入る。 ここで、後方に控えていた蒼が叫んだ。 「猫宮はん、リーゼロッテはん、あっちに注意やわ!」 ――戦況は、今が展開の分かれ道であった。 ● 音と振動の激しい戦闘は、残りの白大蛇も呼び寄せていた。 蒼が叫んで指差したのは、もう隠れることもせず水面を泳いできている白大蛇たちだった。 「ほらほら、あんたたちはお肌とか関係ないんだから、さっさと上がりなさい」 湯の水面を移動中とあれば話は別。気合い十分のリーゼが雷閃を惜しみなく使ってくる。‥‥気合というのが戦闘とお肌すべすべのどちらに向かっていたのかは激しく不明だが。 「マジカル♪アローでお仕置きにゃー♪ どんどんいくにゃよ!」 すっと爪先立ちし北斗七星の杖を振るった千佳も分厚く弾幕を張る。 様相は、必死の戦い。 無理もない。 お肌すべすべのために温泉に来て、肌に噛み付かれてしまっては本末転倒。しかも全員可愛らしい女性である。仲間の肌に噛み付かれて目の色を変えないわけがない。 「ルンルンさん、ホーリーコート」 「リィムナさん、ありがとですっ」 「コクリちゃん、頑張るにゃ!」 「ホーリーコート‥‥。ありがとっ、千佳さん」 包囲される危険のあったルンルン、コクリ、のばらはリーゼと千佳、リィムナの支援により数を減じた後背の敵に何とか対応する。 「繊月はん、回復は任せますぇ」 解毒の必要性がないと分かると、蒼も戦線支援に。水筒に入れていた水を氷霊結でがっつり氷にして敵に投げる。体温が冷えれば、との狙いだがこれは打撃効果しかなかった様子。 「まずい、敵が散った」 コクリの悲鳴は、戦線拡大を意味する。もう乱戦となり、前衛だけが敵正面ではなくなっていた。 「白蛇は縁起物って聞いたんだけどねぇ。さすがにアヤカシじゃそんなこともないか」 リーゼが斬撃符に切り替え、寄って来た敵を上からざっくり。そのさま断頭台の落ちてくる刃物のようで、敵が弱っていたこともありここで真っ二つ。瘴気に帰る。 「巫女だからといって舐めないでくださいねっ!」 朔も敵の攻撃にさらされていたが、ついに抜き放った霊刀「カミナギ」を上段から切り伏せ、これを滅した。 「次はどちらからですかっ!」 腰を落として配る視線は、木刀なのに抜群の切れ味を誇るカミナギのように鋭かった。 「にゅふ♪ 魔法少女はこれくらいじゃ負けないのにゃ♪」 千佳も噛み付かれたが、近距離ホーリーアローで止めを刺す。 「参考になりそうなタイプでもないし、ささっと片付けちゃお」 リーゼの雷閃が敵を屠る。 数の差から序盤こそ手数で劣勢に回ったが、ようやく戦線は落ち着いた。のばら、コクリ、ルンルンの前衛も戦線の拡大から自由に動けるようになり次々と敵に止めを刺して回る。 「温泉ですからね、足を滑らさないようにだけ気をつけながら‥‥とと、危ない危ない」 回復支援をする朔に苦笑が浮かぶ。彼女の落ち着いた声が示すように、もう大勢は決した。 「のばらはんの倒した敵で、おしまいやね」 広い視野で戦況を確認していた蒼が、そっと口元を白羽扇で覆って満足そうにしていた。 ● 「コクリちゃん、どう?」 「よし、もう敵はいないみたい」 右側だけ髪を結った頭を傾け聞くリィムナに、心眼で確認したコクリが頷いた。 「じゃ、温泉にゃ〜っ!」 ばさーっ、と脱いだコートが舞う向こう側で、猫耳頭巾とか橙色でフリルいっぱいなマジカルにゃんこ的な衣装がぽぽいと飛んでいる。そして温泉にお尻から飛び込み〜。 「よ〜し、あたしもっ!」 同じく濃い湯気の中、リィムナも黒い上着を脱いで、下着とかと一緒にまとめて足の指で引っつかみぽいっと余所に蹴ってから助走。こちらもお尻からダイブしてざぱーん。 「気持ちい〜い! みんなも早くおいでよ〜♪」 泳ぎまくりのはしゃぎまくりで、ぶんぶん手を振ったり。 「のばらさん、朔さん、行こう?」 服を脱いだコクリものばらと朔を連れて湯の中に。 「朔ちゃん、それはダメにゃ」 と、ここで千佳の駄目出しが。ざばざば湯から出てくる。 一体何? と目を細める朔に千佳が手を伸ばし、巻いていた布をくるくる〜と取っ払う。 「ちょっと千佳さん〜」 狐尻尾を広げて回ることになる朔。そして今まで気にしていた悲劇が。 何と、足を滑らせてしまったのだ。 「朔さんっ」 コクリが慌てて朔を支えに入るが時すでに遅く抱き合ったまま温泉にどぽ〜ん。 「温泉はタオル付けちゃいけないって誰かが言ってたのにゃ♪」 千佳の方はにゃふんと仁王立ち。 が、「大丈夫?」、「コクリさんこそ」とか仲良く抱き合っているのを見て様子が変わる。 「にゃ。あたしもまぜるにゃ」 どぷーんと千佳も入って二人に抱き付いてにゃふふ♪な感じ。 「あわわ、私の触ってもつまらないですよぉ、や、やめて下さい〜」 朔の色っぽい悲鳴。見えない白い湯の中で何をやっているのやら。 一方、静かな人も。 「んー、いい湯だわー♪ 秘湯ってだけあっていい感じねー」 赤い髪を纏め上げたリーゼが湯に漬かってゆったり。細い腕を伸ばして、白くてしっとりした肌触りの湯を刷り込むように二の腕をさする。 「うちら小手毬隊の独占やね」 蒼がリーゼの横に来て至福の笑顔。 「‥‥でも、ちょっと熱いんじゃないかしら?」 「ほな、温度調節しまひょか?」 別に熱くてたまらいというわけではないのだが、「ぷにぷにな肌になる」ことも今回の目的だ。長く入っておいた方がいいとの判断である。 「隅に湧いてた冷泉で氷をつくりまひょ」 「蒼さん、これを使うです」 ルンルンが持参したマイ風呂桶を差し出す。 「じゃあ私は温泉の湯を敵に見立てて氷柱で冷まそっかな」 リーゼも作業に取り掛かる。 ● リーゼの氷柱は大量の湯に効果があったとは言いがたいが、できるだけ長く漬かっておこうとの思いは皆に伝わった。 「美人の湯‥‥」 「どうしたの、のばらさん?」 独りしっとり漬かっているのばらに気付き、コクリが近寄ってみた。 「のばらはもう少し、大きくなりたいのです」 それだけ言うと真っ赤になって口元まで隠れてしまった。 「も〜。それだけじゃ分からないよ。身長? それとも‥‥」 恥らうのばらに抱き付くコクリ。ああ、不可視の白い湯の中で何をしているのか、ばしゃんきゃあきゃあとかもみ合っている。 と、のばらとコクリが弾かれたように飛び跳ね立ち上がった。 「うふふっ、冷たおすぇ〜♪」 「あ、氷。蒼さん何やってんの〜」 「あまりに仲がええんで悪戯ですえ」 「んも〜」 仕返しとばかりに湯を掛け反撃する二人。 「‥‥きゃ、今何か、何か動いた。今度はきっとまた赤いスラ‥‥あれ?」 ルンルンも寄って来てコクリに抱きつきほっぺたをくっつけぷにぷに。もちろん赤いなにやらとかはいない。豊満なルンルンにコクリは真っ赤に。 「ほっぺたぷにぷにとはそういうことですか」 これを見た朔はぷにぷにの意味を理解。 「そうみたいね〜」 と、戻ってきたリーゼ。 朔は、リーゼのほっぺたに指を伸ばしぷにぷにしてみる。 「あ、やったな」 何だか最近明るい感じのリーゼさん。いぢわるも嫌いではないようで、朔のほっぺやらいろんなところをぷにぷにぷにぷに‥‥。 「きゃああああっ」 ここでも朔はもてあそばれ、真っ赤っかのへろへろに。うふふん、とリーゼは満足そう。 「この温泉ておねしょに効いたりしないかな♪」 そんな爆弾発言をするのは、リィムナ。泳ぎ疲れてまったりのところ、気が緩んでの発言だ。 「あ。ち、違うよ?あたしじゃなくて、えと、そう! 妹! 妹がまだしてるから!」 はっと気付いて赤くなるが、もう遅い。 「じゃ、おねしょに効くおまじないどす」 暗黒笑顔の蒼が背後から近寄り、リィムナの背筋にぴとっと氷を押し付ける。 「きゃあ、やったな!」 リィムナは振り返ると、仕返しとばかりに蒼に飛びついて全身をくすぐったり。ばっしゃんきゃあきゃあな中にも「や、やめておくれやす。ひぃ〜」とか蒼の幸せそう楽しそうな悲鳴も。 そして、湯の外でも悲鳴が。 「コクリちゃん洗いっこするにゃー♪」 「あ。駄目だよっ、千佳さんっ」 背後から伸びる手に胸とか脇とか泡まみれにされるコクリ。 「にゅ、これはチェックのしがいがあるにゃね♪」 泡の下で何をしているのか、コクリは真っ赤でぐったり。 「コクリちゃんも洗ってにゃ〜♪」 背を向ける千佳に、すでに逆らえないコクリであった。 ● ちなみに、この騒ぎは麓の村に戻っても続いた。 「ああ、ぷにぷに。幸せ‥‥」 対馬涼子は、小手鞠隊の全員を順番に抱き寄せ、頬をくっつけたりつついたり。少女の肌の柔らかさを堪能して大満足だったという。 「これはすぐに温泉宿を作らなくっちゃね〜」 どうやらそういう流れとなりそうだ。 |