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■オープニング本文 「おそらく罠かと。やりすぎたのでしょうな」 場所は泰国。ある都市の下町。 少し薄汚い少年たちを前に、一人の老紳士が言った。 「仕方ねぇじゃンかよ。オレたちは頼まれてヤってただけだ」 兵馬(ヒョウマ)がいつも手にしている模造刀を脇に置いて反論した。 彼らは、「香鈴(かりん)雑技団」。下町の身寄りのない、拾い物やちょっとした手作業でその日を何とか暮らしていた子どもたちが先月立ち上げた小さな雑技団だ。開拓者にも手伝ってもらった旗揚げ興行は好評で、小規模な公演依頼も寄せらるようになっていた。ただし、評価の声に比例して、隠れて石を投げられたり、依頼無しの公演では場所を追い払われるなど、何者かによるいやがらせも増えていた。 「請われて公演しても、面白くない奴らには面白くない、というわけか」 「左様」 リーダーの前然(ゼンゼン)がつぶやいたところで、先の老紳士が肯いた。 「しかし、俺たちとしては極力あんたらの世話になりたくない。別に俺たちを面白く思わない奴がいても、旅費さえ確保できればいつでもいなくなってやる」 「旅費は、我が主人が世話すると言っておる」 「俺たちの雑技団だ。他人の世話にはなりたくネぇ」 兵馬が話に割り込んできた。 「無論そのつもり。が、あれだけ公演していくらお金がたまりましたか? ここで、今までと同じ生活をするには申し分ないでしょう。ですが、あなたたちの夢は天儀を巡ること。仮にいま興行が成功していても、いずれ飽きられてしまいましょう」 「分かってる」 前然が押し殺した声で肯定した。 「主人が香者(コウシャ)様を養子にされ、香者様のご友人がお困りになろうと配慮なさったのです。わたくし、記利里(キリリ)が後見人として同行する事になったのは、香者様にあなた方のご活躍を報告し勉学に集中してもらうため‥‥」 「分かってる。それ以上言うな!」 声を荒げる前然。 「では、この話に乗ってこの町を離れていただけますね」 実は、香鈴雑技団に近隣の町から公演依頼が届いていたのだ。 破格の、値段で。 「アンタ、さっき罠だって言ってたじゃないか」 前然が突っ込む。 「左様。ただし、この度の依頼主は皆さんの味方であるようですな。何か嗅ぎ取ったのでしょう。『道中、苦労があるかも知れぬから』と、公演依頼金以外に前金でこれだけいただきました」 どん、と記利里はお金が入った袋を出した。 「つまり、道中何らかの苦労がある、と」 「左様」 苦笑する前然に、満足そうな笑みを浮かべる記利里。 「ついでにアンタがもう金を持っているということは、すでに依頼は受けたってことだな」 「もちろん、左様」 「てめェ、勝手に何をさらしてンだよ!」 「待て、兵馬」 仲間を止める前然。 「出資者としては、とっとと雑技団として天儀を駆けろ、というところか?」 「結構な事に、今回はまったく出資しておりませんがな」 とにかく、開拓者を雇って出発する事になるのだった。 行く手に何が待ち伏せしているかは、分からない。 「ちんぴらでしょうな」 記利里の見立てである。 どちらにせよ、正月を前に雑技団の始まった都市を離れなければならなくなった。前然たちが今まで出発しなかったのも、記念の場所の賀正のにぎわいに一華添えたかったからかもしれない。 「はん。雑技団をつくったのはここを捨てるためでもあったはずじゃンかよ。旧い年と一緒におさらばサ」 兵馬が景気付ける。 皆、面を改め肯くのだった。 |
■参加者一覧
空(ia1704)
33歳・男・砂
水津(ia2177)
17歳・女・ジ
からす(ia6525)
13歳・女・弓
チョココ(ia7499)
20歳・女・巫
春金(ia8595)
18歳・女・陰
永(ia8919)
25歳・男・シ
風月 秋水(ia9016)
18歳・男・泰
霧咲 水奏(ia9145)
28歳・女・弓 |
■リプレイ本文 ● 木々のまばらな林中の道を、少年がたった一人で歩いていた。 「これは‥‥」 少年――いや、泰拳士の風月秋水(ia9016)はそう呟いて止まり、煙管を取り出した。特に吸うわけではなく、くわえるだけ。もしかしたら、実年齢より若く見られないためそういう癖がついたのかもしれない。 今回の彼の任務は、香鈴雑疑団の護衛と演技の手伝い。すでに依頼を受けた大きな町を出発し、講演依頼のあった小さな町へと向かっている。道中、ちんぴらに狙われる可能性の高い雑技の少年たちより先行し、偵察役を申し出ていた。 足を止めたのは、待ち伏せにうってつけの場所に差し掛かったから。 「危険、だな。戻ろう」 風月、無謀ではない。仕掛けどころを察知し、引き返し前衛の仲間と合流するのだった。 「こりゃ確かに。出番のようじゃの」 春金(ia8595)が風月の報告に頷くと、早速、符を取り出した。 「人魂は小鳥にでもしておこうかの♪」 符は小鳥の式となり、飛んでいった。これで死角をくまなく探知しながら敵が隠れてないか探すつもりだ。 先行偵察の二人は、これを機会に下がり気味となる。 一方、雑技団と護衛本隊。 「キヒ‥‥。おーおぅ、誰も恨まずに出立するのかい」 先頭に立つ空(ia1704)が雑技団リーダーの前然をからかっていた。いわれのない逆恨みを買って、理不尽に大きな町を追い出される形になったことを言っているのだ。 「‥‥さあ。誰を恨んでいいのか分からないのさ」 前然は、空を信用すべき人物ではないと判断したようで、質問に質問とも回答ともつかない内容を返した。 「いやいや、立派だことよォ。ヒヒ、キヒヒ‥‥」 空に冷たい視線を送る前然。ただし、すぐに彼を見る目は変わった。 林が、目前に迫ったからだ。途端に雰囲気が変わる空。 前然は、空が事前に道程を詳しく聞いてきたことを知っている。 「先に行った奴らから何もねぇが、てめぇは下がってろ」 前然、空がこういう面では信用に足る人物だと判断している。素直に従った。 ● そしてさらに後方。雑技団の本隊。 「わあっ。弓を披露してくださるのですか?」 「ええ。からす(ia6525)殿と一緒にやりまする」 和やかなものだ。歌姫の在恋(ザイレン)がおっとり聞けば、努めて右翼を警戒する霧咲水奏(ia9145)が折り目のついた口調で答える。 「寒いですねぇ。‥‥寒いのは苦手ですが、頑張って働かないと。‥‥荷車。‥‥荷車があれば歩かなくてすむなあ」 「‥‥すいません」 「ああ。別にあなたに言ったわけでは。‥‥荷車。‥‥あ、この髪は虫の触覚じゃないんです。目視警戒しないと‥‥」 なんだかぼんやりしているわりに主張がはっきりしているのは、先頭を行くチョココ(ia7499)。口数の少ない雑技団の力持ち、闘国(トウゴク)と一緒だと何となく会話が噛みあってるっぽい。ちなみに闘国、一番荷物を持っているがさすがにチョココを背負うなどという荷車役は果たせない。 「なあ。なんであんた、笠を深く被ってんのに狐面で顔半分を隠してんだよ」 「兵馬君、でしたね。気になるならあなたもどうぞ。きっと、シノビの気分になれます」 「‥‥よく分かんないよ」 左翼を固める永(ia8919)と話していた兵馬は、天狗の面を取り出してやってみたがピンとこなかったようだ。 ところで、開拓者たちは出発前に大きな仕事を果たしていた。 香鈴雑疑団に開拓者の護衛がついたという情報を、片っ端から流して回ったのだ。 「実際町を離れるわけだし、高い金を払って妨害するなんて馬鹿らしいことしないでしょう‥‥。これで襲われる可能性は減ったわけですよ‥‥」 しんがりを守る巫女の水津(ia2177)は、そう見る。「可能性がなくなった」としないのは、それでもチンピラは素直ではない、という打算から。 「いかにちんぴらといえど、こちらがなめて掛かれば痛いことに変わりはないね」 とは、弓術士のからす。最年少ながら独特の落ち着きがある。 もっとも、 「これで人数も武装もそこそこなら、なめられたものだよね」 というのが本音ではある。 そして、本隊も林に差し掛かることになる。 「あの抜け目なさそうなおっさんが、『ここが一番の難所だ』だとよ」 前から戻ってきた前然が、そういって仲間を引き締めた。 ● そしてここで、予期せぬ事態が発生する。 林の中、最前線に変化があった。 「おおい、助けてくれ」 道の前から、二人の男が逃げてきた。襲われたと思しき方を指差しては助けを請う。春金と風月はうろんな表情で二人を迎えた。 「この先の先で盗賊に襲われた。仲間がやられたんだ、早く助けてくれ」 顔を見合わせる春金と風月。想定外の展開で一瞬、どうすればいいか迷った。 「確かに、おる。わしらだけではな。戻るのじゃ」 春金の小鳥は、ずいぶん先で待ち伏せしているちんぴら四人を確認した。得物は、弓。状況は違うが、当初の予定通り突出はせず合流を選んだ。 本隊合流後、開拓者はからすと霧咲が弓で弾幕を張りつつ、空と風水が突撃、水津・チョココ・春金・永の四人が雑技団と逃げてきた二人の護衛につく布陣を敷いた。敵の数と得物を考えてのことだ。 「不殺を信条に、『速射』」 木立に隠れた霧咲が、春金の指示した場所に矢を打ち込む。同じく身を隠しながら、からすも続いた。 「キヒ。俺が通る道を邪魔したんだ‥‥。報いは受けてくれねぇと、なァ?」 「人の嫉妬は醜い、な。直ぐに片を付ける!」 敵の応射が弓術隊の位置に集中すると、空が走り一気に距離を詰める。チョココに神楽舞で応援されノリに乗っている。風月も続いている。 動き出した戦況。 戦場が林で潜伏するちんぴら側が有利だったが、春金の遠距離索敵が奏功し開拓者が先手を打つことが可能となった。 あるいは、最初に「助けてくれ」と依頼され突出しなかったのが良かったのかもしれない。もっとも、状況的にかみ合わない部分まで気付かなかったことは、直後のピンチに結びつくことになるが。 「あっ。こちらにもおるのじゃ」 周囲の警戒を怠らなかった春金が、横合いに隠れるちんぴらに気付いた。先に逃げてきた二人が指差して方向ではない場所に隠れていたのだ。 「春金君、手柄です」 永が動いた。早駆。一瞬で新たな敵の近くまで移動する。 と、ここで本隊に変化があった。 「動くなッ! こいつがどうなってもいいのか」 突然、助けた二人が雑技団の歌姫・在恋と針子の皆美(ミナミ)を人質に捕って声を張るのだった。どちらも彼女らを背後から捕まえ、ナイフをかざしている。 「野郎!」 前然のナイフが飛び、兵馬の模造刀がうなった。子どもと女、そして老人しかいないと油断していたのだろう。被害者を装い正体を現したちんぴらは無様にも威嚇するナイフを落とした。水津の浄炎が視界を奪い驚かせる隙に、チョココの力の歪みが敵を捻り、春金の刀「河内善貞」 が式の力を帯びて唸った。 「年末にまでこんなことをしているなんて、暇人にも程がありますね」 無事、捕縛。チョココが毒舌で精神的止めを刺しておく。 「オラ、地を這えパンピー共が」 前線では、長槍「羅漢」の突きが猛威を振るう。止めを刺すと鬼の面を付けて「どうする? どうするよコイツ等? ヒヒ…痛めていいか?」などと危険な人物全開で凄みまくる。 「これに懲りたら二度と手を出すな!」 肩を並べて戦い、大地を踏みしめ手甲で拳を叩き込んでいた風月も怒る。「子どもに手を出しやがっ、て」と、収まる風もない。 そして、迎撃に出た永。 なんと、炎に包まれていた。 が、自身は焼けた風もなく、「あち、あちぃ」と慌てる敵に逆手持ちの脇差で斬り付け、戦意をくじいていた。 「子供達の手前、殺傷は出来る限り避けたかったのですが‥‥」 永の心配に、包帯を持ってきたからすが対応した。 が、しかし。 「ふふふ。傷口にヴォトカを刷り込もうか?」 うっすらと目を細め、脅す。いや、今にもやりそうだ。若干色気のある表情なのが、迫力を醸し出す。ちんぴらは慌てて「そ、それは勘弁してくれぇ」と懇願した。 「おい。お前、誘黄(ユウキ)じゃないか」 前然がやってきて驚きの声を上げる。ちんぴらの中にまだ若い少年もいたのだ。 「なぜこんなところにいる?」 遠回しに、聞いた。 「ふん。お前たちを邪魔すると、誰かが金をくれてたんだよ」 ● こうして、雑技団の一行はちんぴらを撃退して無事に目的の町に着いた。 「前然君。彼は、誰だったのですか?」 永が、聞いた。 「俺が、あの町で悪ガキのグループをつくってた時の連れ、さ」 視線を落として前然が漏らす。「変わることができなかった、昔の仲間さ」と寂しそうに続ける。 「そんなことよりアンタ、出番だろ。ばっちり盛り上げてくれよ」 そう、永の肩を叩く。 町の広場には、賀正の喜びで町に繰り出した住民でいっぱいだった。 「さぁさ、始まるよ始まるよ、この世の妙技珍技絶技の数々。まずは新春、書き始め。見事書き上げたら拍手・拍手」 道化の陳新(チンシン)がシャンシャンと鉄皿を鳴らし紹介する。 登場するは、風月とチョココと永。運ばれたのは人の背丈より長い「大筆」。 「む、ん」 「こんな大きな筆、ちゃんと使えるでしょうか‥‥?」 「子どもたちに『万』の未来を!」 風月が見事な止め払いを見せ、チョココが観客をはらはらさせながら『客』を書ききり、永が真心を込める。 そして大半紙に最後、一文字分の隙間。 って、最後の一文字誰がやるの? 「では、最後はこの町の書道家。大筆の持ち主である先生のご登場です」 陳新が紹介する。会場は馴染みの人物の登場にさらに沸く。 「新年に、素晴らしい『来』客を迎えることができた」 堂々と、『来』を書ききる。大きな拍手が沸いた。 「この町は、近くのほかの町と比べ訪れる人が少なくてな」 とは、雑技団を呼んだ町の名士の言葉。前然たちを迎えたときに、呼んだ理由をそう説明した。この演目を見て講演終了後、「本当に君たちを呼んで、良かった」としみじみ感謝されたという。 「お次は、弓の妙技をごらんに入れましょう」 登場は、からすと霧咲。この隙に雑技団の少年たちが四方に的を立てる。 「では!」 背中合わせになる二人。やがてすっと位置を外すと、円運動を基調に対を成しながら踊り始める。手にした弓は、時に外側広く回し、時に胸に抱き小さく。 と、元の背中合わせに戻った。鈴を付けた矢をそれぞれつがえる。 きりりと引いて、りん。 的に刺さった音は、見事に一つ。それでも、矢は二本刺さっている。息の合った演武に会場が沸く。 「もう一回」 再び、陳新の声。やはり舞い踊ってから、背中合わせ。放った矢の立つ音は同じく、一つ。これで四方(よも)すべての的に矢が立った形だ。 「えー、今の弓始」 霧咲が咳払いをしたかと思うと説明を始めた。 「四方に立てたる的は『東西南北(よもひろ)より来る厄』。此れを討つ矢は『猛き武』。それに付けたる鈴は『潔き心』」 一呼吸置く。上半身を前に乗り出す観客たち。 「なればこの矢は、町の皆様に相違無く。願いは力となりて厄を祓わん」 矢はいずれもまっすぐ、綺麗に目的を成している。うわあっ、と大きな歓声が沸くのだった。 ● その後、烈花と闘国が登場。次々繰り出される烈火の軽業が観客を魅了する。 そして、またも開拓者の見せ場。 「準備完了。頼んだぜ」 前然が親指を立てる。会場には、一本の綱が張られている。この上を渡る気だ。 「おおおおっほほほほほほほ‥‥」 ぽうっ、と浄炎が走ったかと思うと、水津が登場した。って、水津さん、なんだかキャラ変わってますよ。 「キヒヒッ!」 続いて、鼻の高い天狗の面を被った空が登場。こちらも炎魂縛武を纏った槍を振り回し、ド派手な登場。高い鼻を現すように、上を意識してキリキリ回る。 すると突然、ダ・ダン。 大地を踏みしめ槍でも大地を叩いた。 伏せた顔を上げると、顔は能面「風霊」に変わっていた。今度は横踏を中心になびく穂のような舞い。さらにまた、ダ・ダン。今度は鬼面で激しく舞う。 「わあああっ!」 観客の声援が高くなる。風月が登場したのだ。無論、綱を渡る気。 そっと一歩目。 いける、と風月。 「おおおおおっ、ほほほほほほ」 水津がさらにハイテンションに。火種の炎が、舞う・舞う・舞う。火山の噴火もかくやの弾けっぷり。って、風月さん、本当にこの状態で行くのか! 「む、ん」 そっと、二歩目。手堅い。 できれば皿回しを、とも思っていたが無理と判断。静かに歩を進める。 「あれ、進めば進むほどつらいんだゼ」 心配そうに見る烈花が、思わず呟いた。 「おおっほほほほ」 「キヒヒッ」 周囲の盛り上がりとは裏腹に、風月は追い詰められていた。気力も、すでに使い果たしている。 と、ここで空が反応した。 先に、最前線で肩を並べて戦った。 何となく、補助が必要であることが読み取れた。 「こいや、てめぇ!」 風月に、吠えた。 それと分かった風月は、折りしもバランスを崩しかろうじて転落を食い止めている最中だった。空の声に、先日の戦いが蘇った。 「むん!」 あるいは、疾風脚に似た体の使い方か。綱の上から、跳んだ。向かうは、槍を構える空。狙うは、跳び蹴りの美しい姿勢――。 「よし、みんな行けぇ!」 前然がここで、全員乱入の掛け声を発したッ。 ● 「おつかれじゃったの。ま、飲め」 楽屋で、裏方に専念する春金が歌姫・在恋に茶を出した。 「私は今回何もしてないし、出番もなさそうなんです」 「見ておる。準備など、裏方として頑張っておったろう」 「それより、これは?」 「んふふ、春金印の苔茶なのじゃよ♪」 にっこりと、春金。 「ああ、これはおいしいですね。例えて、春♪」 歌うように絶賛する、在恋。 「そういえば、舞台はにぎやかそうじゃ」 「風月さんの美しい跳び蹴りを空さんがきれいに受けて、みんな出てきて演舞しているところです。春金さんもせっかくだから、記念に出ればいいのに」 「記念に、ここで茶を振舞うのじゃ」 「‥‥私は、これが一番の記念」 在恋はそういうと、道中春金と一緒に遊んで、記念にもらった金魚印のお手玉を取り出すのだった。 にっこり、と。 |