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■オープニング本文 「わあっ。金魚みたい。可愛いなぁ」 珈琲茶屋・南那亭でコクリ・コクル(iz0150)が赤い浴衣を手にはしゃいでいる。 「そうじゃろうそうじゃろう。コクリちゃんが着ればまるで金魚のようじゃ」 コクリにうんうんと頷いているのは、ろりぃ隊☆出資財団の助平親父たち。 「これを着て夏祭りに行けばいいんだねっ☆」 「う……そ、そうじゃ」 嬉しそうなコクリの無邪気な笑顔が真っ直ぐに向けられた。が、なぜか親父達は喜ぶことはせずにばつが悪そうにする。 「あはっ、何してこようかな。……そうだ。お礼に、何かお土産買ってきてあげるよっ。何がいい?」 浴衣を胸にぎゅっと抱いて、コクリが首を傾げて満面の笑顔で覗き込んできた。 これで助平親父たちは素直になった。 「す、すまん、コクリちゃん!」 「騙すつもりはなかったんじゃが……実は一つ仕事をしてもらいたくて」 ぺこぺこと謝る親父達。 聞くと、最近夏祭りに「金魚掬い団」という泰拳士のならず者が出没しているらしい。 浴衣を着た可愛い女の子を狙い『金魚掬』のスキルをかまして、転倒させるのだ。 「それだけ?」 コクリ、ふしぎそうに聞いてきた。 「そう、それだけじゃ」 助平親父達、頷く。 「金目のものを盗ったり、その……襲い掛かったりさらったりは?」 「しない」 「でも、悪い人なんでしょ?」 「ああ、極悪人じゃ」 繰り返すコクリに、うんうんと力強く頷く。 「……どうしてそんなことするんだろう。よく分からないなぁ」 「それじゃとにかくコクリちゃん、浴衣を着てみてくれ」 言われたとおりに、南那亭の更衣室を借りて赤い浴衣に着替えてみる。 いつもは短いスカートで活発そうなコクリも、きゅっと帯を結んで歩幅も小さくなり、淑やかな印象で出てきた。 「これでいい?」 「おうおう、かわいらしいのう。眼福眼福」 「それでコクリちゃん、泰拳士に金魚掬されて尻餅を……」 「私に任せてもらおう」 ここで突然、店内にいた男性が立ち上がって寄って来た。袂に隠していた三節棍を取り出すとあっという間に組み上げて、コクリの足元を掬った! 「うわっ!」 これを食らって尻餅をつくコクリ。 その時だった! 「あっ!」 コクリ、大股を広げている。裾の合わせは緩くなって……いや、むしろ締まったまま足を乱しているので思いっきりずり上がって白い太股がのぞいている。股下までは見えなかったが、ギリギリといった感じで。 「おおお、眼福眼福ッ!」 「やん!」 急いで股を閉じて裾を下に引っ張るコクリ。 「つまり、こういうことだ。……ははは、夏祭りでも待ってるぞ!」 なんと、金魚掬をした男性はそんなことを言ってお代を置いて逃げて行った。金魚掬い団の一員だったらしい。 「奴らを放っておくと夏祭りに来る人が少なくなってしまう。コクリちゃん、奴らを捕まえて懲らしめてくれんか?」 というわけで、囮捜査に繰り出すことになった。 コクリと一緒に「金魚掬い団」を捕まえる人、求ム。 |
■参加者一覧
紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)
18歳・女・泰
柚乃(ia0638)
17歳・女・巫
天河 ふしぎ(ia1037)
17歳・男・シ
猫宮・千佳(ib0045)
15歳・女・魔
泡雪(ib6239)
15歳・女・シ
ラグナ・グラウシード(ib8459)
19歳・男・騎
白隼(ic0990)
20歳・女・泰
サライ・バトゥール(ic1447)
12歳・男・シ |
■リプレイ本文 ● 珈琲茶屋・南那亭の前で。 「金魚掬い団……何を考えてるんでしょうか??」 紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)が冷たい無表情で佇んでいる。彼女に抱かれた相棒のものすごいもふらさま「もふ龍」も『わけわかめもふね〜』と首を捻っている。 「いや…だからその……浴衣の女の子を金魚に見立てて掬って……恥ずかしい格好を眺めるんじゃないかな」 赤い浴衣姿のコクリ・コクル(iz0150)、真っ赤になりながら説明する。 「そういう輩は同じ泰拳士として見過ごせませんので、さくっと捕まえてふん縛っちゃいましょう」 沙耶香、持っていた団扇を怒りのあまり強く握りすぎて粉砕した。もふ龍ももふっと驚いたが、すぐに『やっつけるもふ!』と力強い。 そんな様子を見つつ、一緒にいる別の女の子。 「夏祭りに訪れる人々はきっと、この日を楽しみにしていたと思うんです」 柚乃(ia0638)が自らの右手を胸元に当て小さな顎を上げて訴えるように言い切った。桃色の浴衣「枝垂桜」を着た姿で、今度は左手を広げる。その動きに合わせて桜木の香りがほのかに漂った。 「まったく。祭り独特の高揚や場の雰囲気を幼稚な行いで壊すだなんて……」 一緒にいる鳥獣人の白隼(ic0990)も、うんうん頷いている。義憤を示すようにカツリと鳴らす踵は艶黒のハイヒール。そこから小麦色の肌の足がスラリと伸び、浴衣ドレス「闇薔薇」の裾。くるりと身を翻す背中には白銀の羽根と、翼のように頭の両側でまとめた銀糸もかくやの長髪が揺れる。 「野暮ったい連中ね」 流し目で振り返り、人差指を唇に添える。 「はい。悪さする人にはお仕置きが必要です。ふふ、容赦しませんよ」 柚乃も口元にそろえた指先を小さく添えて、とびっきりの笑み。えらく含みがあるが。 ここで別の女性が。 「お待たせにゃ〜♪」 にゃんにゃんるんるんと猫宮・千佳(ib0045)がやって来た。浴衣ドレス「闇薔薇」を着て……いや、紅薔薇の模様がにゃんにゃんな猫柄に変えられている。下駄「桜華」の足元も軽やかに、歩く音が楽しそう。 「さっさと変態纏い団だったかにゃ? それを捕まえてお祭りを堪能しようにゃー♪」 「千佳さん、それ違う……って、え?」 千佳のボケにつっこんだところで、コクリが店内から手を引かれた。 「コクリ様、ちょっと」 振り返ると泡雪(ib6239)がいた。振り向いたコクリの両耳に掛かる髪の毛に、ちょちょちょいと着け毛を施してサイドをロングにした。 「泡雪さん?」 「コクリ様は面が割れてますからね。変装です♪」 呟いたコクリの唇に、今度は淡いルージュを引く。「頬紅も少し……可愛いほうがいいですね」とかとても楽しそうな泡雪。 そんな二人の隣で。 「金魚掬い団…なんというわけのわからん奴らだ」 鏡を覗いてごそごそやっている人物がいる。うさぎのぬいぐるみを背負っているが……。 「世も末だな!」 はふう、と思いっきり溜息をつきながら顔を上げたのは、ラグナ・グラウシード(ib8459)。どうやら化粧のさいちゅ……。 「ふふん…この私の美しさに、奴らはひきつけられずにはおれまいよ」 べっとり口紅を塗って赤い女性物の浴衣を着て、いま、ふくらんだ胸の詰め物の具合をゆさゆさ揺らして調整し、鏡にウインクしたっ! 「ねー、おそろだお。うさみたん」 とかうさぎのぬいぐるみを抱えるナルシスっぷりを発揮している。 見てはいけないものを見てしまったとそっぽを向く泡雪とコクリ。 そこにはっ! 「僕は黒のストレートロングのかつらをつけて、素足に軽やかな靴……」 浴衣「藍花」に身を包んだロップイヤーの獣人、サライ(ic1447)がいた。 かつらを被って浴衣の裾からかかとを小さく上げて靴を履き、コサージュを髪に飾りながら立ち上がって、最後に夏帯「絽彩」を巻いて……。 コクリたちの視線に気付いた! 「初めましてコクリさん」 儚げな、好き者が見たらドキッとするような面差しで微笑した。 ええとー、と再び視線を遊ばせるコクリと泡雪。 今度はっ! 「べっ、別に好きで着てる訳じゃないんだぞ、女の子達だけを危険な目に遭わせておけないと思って、仕方なく、仕方なくなんだからなっ!」 天河 ふしぎ(ia1037)と目が合った。視線に気付きはわわと慌てている。 ふしぎ、浴衣ドレス「宵闇」を着て、うきうきと襟元の白レースをより可愛く手直ししていたり。 「……」 コクリと泡雪、無言。 「そ、そんなこと言って、泡雪も似合ってるんだぞ!」 誰も何も言ってないが、今度は座ってブラックニーソックスを履きだしたふしぎが真っ赤になって泡雪を褒める。 瞬間! 「あう……ちょうどこれしか……ミニスカート浴衣なんて……」 恥ずかしいです、とぐいぐいと裾を引っ張る泡雪。口元に拳を当てて視線を横に恥らう様子は、好き者が見たらドキッとするような感じで。 「……なんか、敵が釣れまくりそうだね」 コクリ、絶句する。横ではラグナが「やろうか、うさみたん!」と男らしく立ち上がっていたり。 ● 屋台の連なる夏祭り会場一帯は多くの人出で賑わっていたが、どこか華やかさが欠けていた。 「あら、みんなあまり華やかな浴衣を着てないのね」 白隼が周囲を見回し、胸をそらしながら物足りなさそうに言った。 「去年も被害があって知れ渡ってるみたいだから」 コクリ、白隼を見上げて聞いた話を伝える。 「あら、柚乃さんは?」 ここで、周囲を警戒していた沙耶香が気付く。 「私なら、ここにいますよー? ちゃんと浴衣も着てますから」 後ろから柚乃の声。振り返ると、『ラ・オブリ・アビス』で浴衣を着た神仙猫に見える姿があった。尻尾をゆらゆらさせてご機嫌な様子。 「柚乃さん可愛いのにゃ〜」 千佳、抱き付いてすりすり。 「ん? どうした?」 ラグナは仲間の様子が少しおかしいことに気付いた。 「スースーします…」 サライが頬を染めつつ浴衣の裾をしきりに気にしていたり。一体どうしたのだろう。 「その……」 ここで泡雪が声を潜めて皆の顔を見回す。 「あまり人が密集している状況では金魚掬いもできないでしょうから、まずは互いに適度な距離をとって祭りを楽しみましょうか」 もしかしたら警戒されるかもしれない、と泡雪が案を出す。 うん、とかすかに頷く一同。 「コクリ、あっちのリンゴ飴やさんも美味しそうだよ! 僕、行ってくるね」 ふしぎが自然に駆け出した。 「うさみたん、こっちが面白そうだ」 ラグナもそれと分かり、離脱。 「私は少し涼んでこようかしら」 白隼も優雅に離れる。 『イカ食べたいもふ!』 「はいはい、もふ龍ちゃん」 沙耶香もふらり。 すでに泡雪も距離を取っている。 その刹那だった! 屋台に向かっていた沙耶香は、もちろん周囲を警戒していた。 「きゃあっ!」 当然、左手からのあどけない悲鳴に気付いた。見ると、金魚の入った鉢を偶然取り落としていたのだ。これはまったく金魚掬い団は関係していない。 が、この瞬間を狙われた。 「はいっ!」 「あっ!」 『もふっ』 右手を見た一瞬を、背後からの金魚掬いが襲った。綺麗にひっくり返る沙耶香。もふ龍は宙に舞う。 次の瞬間、襲った金魚掬い団は目をひん剥いた。 沙耶香が赤い浴衣の裾から白い二本の脚をやや開き遊ばせながらひっくり返る途中、その奥に視線を取られそうになったまさにその時……。 「はあっ!」 渾身の紅砲が飛んできた。もちろん凝視していたので避けるすべはなく。 「まったく」 どしんと転んだ沙耶香の言葉は冷たい。どうと敵も倒れもふ龍が追撃にぴょんと飛び乗っている。 「きゃあっ!」 「はっ!」 同じ瞬間、やはり悲鳴に気付いた泡雪が背後から金魚掬いを食らった。 泡雪、浴衣の短い裾を押さえながら敵を見る。 多節棍を持った男がニヤリ。 そして泡雪の倒れるどしんという音。太股を乱して横たわる泡雪の姿を堪能し逃げ去ろうとするが――。 「見事な技前ですね。ですが、その熱意を別の方に向けるのがよろしいかと思いますよ」 ぱたぱたと浴衣ドレスをはたいて立ち上がる泡雪。その足元から影が敵に伸びていた。 影縛りだ。敵は動けない。 泡雪、ゆっくり近寄り捕獲しにっこり。 「きゃあっ!」 こちらはふしぎ。皆と同じタイミングで。 「くっ!」 どしん、と倒れた時にずり上がって乱れた裾を庇う。 「その声、男か? ……はっ!」 敵は騙されて怒りの声を上げ逃げようとして、ようやく足元に気付いた。 いつの間にかぞうりの先に鑽針釘が刺さっていたのだ。地面にまで刺さり、逃げる一歩目が遅れた。 「時を止めたのに気付かず、鑽針釘を投げたのにも気付かないなら逃げても無駄なんだぞ」 これでふしぎも敵捕縛。 この時、コクリたち。 「ね〜、千佳さ……あっ!」 千佳に向き合っていたコクリ、背後から金魚掬いを食らって足をおっぴろげながら宙に舞った! 「にゅふっ!」 千佳も背後から食らい、足を派手に広げながら宙に舞う。太股の奥の方に純白の何かが見えているが、泡雪などのように隠そうともしない。 そればかりか! 「しましまにゃ!」 コクリの方をただひたすらに見ている。何を見て口走ったかは、ヒ・ミ・ツ☆。 どしんどしんと尻餅をつく二人。 その時、千佳。 自分のようにコクリを凝視している男に気付く。しかも棍を手にしているッ。 「にゃにゃ!? 何を見てるにゃー! コクリちゃんのを見ていいのはあたし達だけにゃ!」 千佳、物凄い形相で金魚掬い団の男を見た! その剣幕に慌てて逃げる男。が、ストーンウォールが突然そそり立ち、びた〜ん。さらに足元から蔦が絡み付いて、お縄。 「こっちも終ったよ」 コクリの方は裾にも構わず、すぐに両手をつき倒立して金魚掬い団の首に足を絡ませびたーんと投げていた。 そして、ふたりと一緒にいたサライ。 「きゃあん……」 やはり掬われた。足をおっぴろげて宙を舞っている。 ここで、ラグナとの会話を思い出してみよう。 どうして、スースーすると言ったのか! 「ぶっ!」 サライの前に回った金魚掬い団の男が絶句している。 どうやら何かを見たらしいッ! 「見ないでくださぁい…ぐすっ…」 上目遣いで真っ赤になったまま涙目のサライを見てさらに固まる敵。 が、その隙を狙っていた。 夜で時を止めて背後に回って飯綱落としどーん。 敵を仕留めるサライだが、飯綱落としでまた裾が乱れてぱお〜ん寸前……。 「にゃん♪」 おっと、サライの前に人間大の神仙猫がバックステップしてきたぞ。 「おのれ、我が荒鷹陣を目の当たりにして逃げるとは!」 どうやら金魚掬い団、神仙猫に化けている柚乃には荒鷹陣で威嚇したらしい。下がる柚乃を追い踏み込んできた。 しかし、それは誘いの動き。 「にゃにゃにゃん!」 逆に、ラスト・リゾートで逆に敵の懐に一瞬で飛び込んだ。 そのまま戦帯「戦神」を巻いた拳で高々とアッパーカット。顎下に食らった敵が吹っ飛びダウンする。 ここでラ・オブリ・アビスを解いていつもの姿に戻る柚乃。 「戦うお猫様でした。にゃん♪」 くるんと浴衣をひらめかせ、人差指を頬に添えてウインク。おおお、と周りの人から拍手がわく。 「は、恥ずかしいい!」 もちろんこの隙に、自らの格好に気付いたサライがんしょんしょと着衣を直していたり。 ● 一方、離れた白隼。 「バレバレなんだよっ!」 突然背後から響いた声。 もちろん、背拳で敵襲に感付いていた。 敵の性癖もさることながら、わざと履いたバランスの悪いハイヒールを狙ってくるであろう事も。 くるん、と敵の棍が足元をさらう。 ――ぱしっ。 ここで片手を大地につく白隼。 「疾風脚!」 体勢を崩しながらの眼にも止まらぬ蹴りは、はっきりいって相手にじろじろ見られていた。 ――げしっ。 その分、蹴りがもろに入った。何を見られたのかは、内緒。 直後に団扇が舞う。 ことり、と大地に団扇が落ちた時。 白隼は瞬脚で敵の背後に回り、持ち替えた刃扇を天高く掲げていた。ざしゅ…と敵の切れた帯が舞う。 「ほら、舞踏は始まったばかりだよ」 かかかん、とハイヒールを響かせ回り込んで敵の浴衣の袂などを切り刻んでいく。 「ち、畜生……おわっ」 最後は、逃げようとしたところに足を掛け捕縛した。 ラグナも警戒されて襲われていない。 屋台をうろうろするばかりで、むしろ一般客にも「ねえ、あの人……」、「ちょっとアレね」、「でもうさぎのぬいぐるみ可愛い」とカ微妙に距離を置かれていた。 「きゃあっ!」 ここで悲鳴。一般の浴衣女性が金魚掬いを食らっていたのだ。 「変態ども!素直にお縄につけぃ」 敢然と敵に向かっていくラグナ。 「この化け物めっ!」 お? 敵が金魚掬いを仕掛けてきた。良かったね、ラグナさん! が、カウンターだったのでモロに入った。 これが、敵の不幸につながった。 「うさみたん!」 転ぶ最中にふっとんだうさぎのぬいぐるみをキャッチすべく、ラグナが身を捻って手を伸ばした。 ――どげし。 その、捻った足が敵に入った。ラグナの方はうさみたんを無事に掴み庇うように倒れた。敵も倒れる。 「……何なんですかね」 『わけわかめもふ〜』 ここに沙耶香登場。倒れた敵を捕縛する。 「ふ、ふん。無事に捕まえて何よりだ」 これはおまえの手柄だ、みたいな男っぷりを見せるラグナだった。 こうして、捕まえた金魚掬い団を自警団に引き渡して。 「おぅ、もう仲間はおらんのか?」 柚乃がラ・オブリ・アビスでムキムキマッチョおじさんに変身して、ナイスポーズを見せ迫りつつ拷問。捕まった人数しかいないことを聞き出し、これで任務完了。 場所は変わって。 「やはり、平和な金魚掬いが一番ですよね」 にこにこと泡雪がポイを手に普通の金魚掬いを堪能中。コクリも隣で奮戦中。 「うに、コクリちゃんこれあげるのにゃ♪ 似合いそうなものあったから買ったのにゃ♪」 イカ焼きをくわえた千佳が戻ってきて、コクリの頭に蝶の髪留めを飾った。それをちょいちょい、とネコのようにいじる千佳。 「千佳さん、あのぼったくりイカ焼き屋は通報しておきましたからね」 『ご主人、怖いもふ〜』 ぱきき、と拳を鳴らす沙耶香にガクブルもふ龍も戻ってきた。 「……破けちゃいました」 「サライさん、これ使って」 失敗したサライはコクリからポイをもらってもう一度。 「わあっ。コクリみたいなしましまの金魚もいるよ」 ふとふしぎが言ったところで、千佳とサライと泡雪、そして戻ってきた柚乃が振り向いた。 「……あれ、見たにゃ?」 「なんにも見てない、見てないんだぞ…事故、事故なんだからなっ!」 「あら、こんなところにハリセンがたくさん」 コクリの下着をはっきりと見た千佳の追及に慌てるふしぎ。しれっと皆に武器を渡す白隼。 「わあ、うさみたん、楽しいねえ楽しいねえ」 どたばたとふしぎがお仕置きされるのを尻目に、ぬいぐるみと金魚掬いをするラグナだったり。 |