滑走大飛翔温泉☆コクリ編
マスター名：瀬川潮
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| ■オープニング本文 コクリ・コクル（iz0150）が朝の温泉に来た時、更衣室で先客を見た。 眩しい朝日を背後に受け、一人の女性が着衣を脱いでいたのだ。 身を捻って腕を抜く。 肩を抜くと、するりと服が滑り落ちた。 泰服らしいが、差し込む朝日で色は分からない。ただ、シルエットだけが目に残る。 ふくよかな胸と、くびれた腰も。 やや身を屈めもぞもぞやっている時に気付いた。 薄い布が斜めに渡り目隠しになっていたことを。いや、それよりも目の前の女性の所作に、左足をかばっている様子が感じられたことに。 女性が身を上げ、両手を上げる。 肘を曲げて後ろ手に髪をいじっている。 胸と、脇の下が無防備にさらされる。背後の陽光が眩しくて輪郭しか分からないが。 はらり、とうなじ辺りでまとめていた髪を解いた。自由を得て息を抜くように広がる長い髪。 再び肘を曲げて後ろ手に髪を上げてまとめ……。 「……」 コクリに気付いた。 しばらく無言で動きを止めたままだったが、にぃ、と笑ったようだ。 嬉しそうに。 笑顔からこぼれた歯が白さが、コクリの目に焼きついた。 「コクリ・コクル……」 「うんっ。『コクリ』でいいよっ☆」 女性が聞き返すと、コクリが元気にこたえた。 今度はコクリが元気よく、急いで服を脱いでいる。白い上着と短いスカートが次々と脱衣籠に放り込まれる。 「あ。ボク、飛空船で戦った後だからこんな動きやすい格好なんだ。呂さんって、シノビさんでしょう？ 理穴には仕事で来たの？」 体をくの字に曲げて下着を足から抜きつつコクリが聞いた。 「よく私がシノビって分かるね」 女性は――先にコクリに、呂 戚史（iz0309）だと名乗っていた――は、意外そうにした。 言ったコクリの方は、少し寂しそうに身を縮めている。 「だって、何となく苦労してそうだなって……」 「苦労してたらシノビなんだ？」 「あは。そうじゃなくって、よく分からなかったらシノビさんかなって。派手なシノビさんってあまり知らないから」 戚史、「ふうん」と口元だけで感心した。コクリの方は「もちろん派手なシノビさん、親しい人にいるけど」とか。 「コクリ、面白いね」 「あ、ちょっと。呂さん、ボクまだ靴下を脱いでないよぅ」 楽しそうに呂がコクリの手を取って湯船に行く。 コクリ、黒いニーハイソックス「だけ」の姿で戚史に引きずられていたが、彼女の左足を引きずるような歩き方にはっとして抵抗するのを止めた。大人しくお尻を振りつつついて行く。 もちろん、眩しい朝日のおかげで見えるのは二人のシルエットだけ。 結局コクリは畳んだ靴下を頭の上に乗せ、戚史と並んで湯に漬かってのんびりしたとか。 理穴での陽動作戦ののちのお話。 そして後日。 神楽の都の一角のコーヒー茶屋・南那亭にて。 「だからね、コクリちゃん。今年は私の代わりに行ってほしいの」 南那亭めいど☆の深夜真世（iz0135）がコクリにおねだりしていた。 ある山地で毎年、雪狼のアヤカシを人里から遠ざけるため、山奥でスキーで滑降しつつ雪狼に襲われて反撃しつつ逃げ、最後に崖から大ジャンプして戦線離脱し下にある温泉にどぶんしてそのままゆったりするという仕事があるのだ。 「アヤカシは倒さなくていいの。逃げるだけなんだけど何もしないと飛びつかれてやられちゃうから適当に迎撃して、最後に大ジャンプして振り切るだけの簡単なお仕事なのっ！ 私、その……恋人と一緒に住むことになったからいろいろ準備があって今年はいけなくて」 もじ、と身をくねらす真世。 「……今度は本当に服を着たまま温泉か」 コクリ、理穴で戚史に黒いニーハイソックス姿のまま入浴させられそうになったことを思い出していた。 「私は飛んでる時に服を脱いで水着でどぶ〜んしたのよ♪ 人里離れてるから見られないし、あれはあれで楽しかったよ」 はい、決まりねと話をまとめる真世だった。 |
■参加者一覧
紗耶香・ソーヴィニオン（ia0454）18歳・女・泰 
天河 ふしぎ（ia1037）17歳・男・シ 
のばら（ia1380）13歳・女・サ 
荒屋敷（ia3801）17歳・男・サ 
新咲 香澄（ia6036）17歳・女・陰 
エメラルド・シルフィユ（ia8476）21歳・女・志 
猫宮・千佳（ib0045）15歳・女・魔 
八条 高菜（ib7059）35歳・女・シ 
ヴィトゥス・ルカニアス（ic1225）10歳・男・巫 |
| ■リプレイ本文 ● 「まさか、海辺のお仕事で着た水着をここで使うことになるとは……」 きゅっ、と赤い水着の腰の結び目を解けないようにしつつ言う。 「あとは、温かい服をその上に着てと……」 ばさっ、ともふもふな上着を羽織り赤いビキニ姿を隠した。 赤い髪を頭の両側でお団子にまとめた姿が更衣室から出て行く。 『もふ？』 「もふ龍ちゃんは先に温泉の方に行って荷物のみ張り番しててちょうだいね〜☆」 主人の着替えを待っていた金色のものすごいもふらさま「もふ龍」を抱いて歩く姿は、紗耶香・ソーヴィニオン（ia0454）だ。 「こ、今度はわかっているからな。水着を着ていくぞ！」 甲板に出たところ、エメラルド・シルフィユ（ia8476）真っ赤になって拳を固めて主張していた。 「え？ まさかエメラルドさん、前回すっ裸だったの？」 「コクリ、貴様ー！」 コクリ・コクル（iz0150）が素直に想像して言ったところ、真っ赤になったエメラルドにぎゅうぎゅう抱き付いて締め上げられたり。 その時、のばら（ia1380）。 「滑って飛んで、温泉でほっこり…ふふふ、良いコト尽くめの依頼ですね！」 しろくまんととマフラー、手袋などしっかり着込んでもこもこ姿だ。 「そうにゃねー♪ 温泉コクリちゃんと来たら参加しないわけにはいかないにゃ♪」 隣ではふんわりロングコートと猫耳頭巾姿の猫宮・千佳（ib0045）がいた。こちらもご機嫌。 「というわけで、温泉温泉楽しみだなっ♪」 「わっ！」 「にゅ？」 ここに突然誰かが現れ、のばらと千佳の手をがしっと掴んで走り出した。 「コクリちゃ〜ん、一緒に遊ぼうね！」 がしー、とそのままの勢いでコクリに抱きついたのは、新咲 香澄（ia6036）だった。 「か、香澄さん、千佳さんとのばらさんも」 「頑張って行こうにゃ、コクリちゃん♪」 「コクリさん、防寒は大丈夫ですか？ 少しほっぺが冷たいですよ？」 慌てるコクリに千佳がうににと抱き付きのばらはくっついたほっぺから伝わる熱を感じて心配する。 「うん、大丈……」 「こ、こらっ、香澄！ いっぺんに抱きついてくるなっ！」 エメラルド、堪えきれずにどし〜ん☆。 「出発前からもみくちゃですねー」 一歩引いて眺めていた八条 高菜（ib7059）がにこにこ心配する。 この時、エメラルドから見て高菜と反対側。 「そう、いい感じなんだぞ、ヴィトゥス」 「うん……すとっくを両手にもってこうすれば転ばないんだね」 天河 ふしぎ（ia1037）とヴィトゥス・ルカニアス（ic1225）の二人が出撃前のスキー指導をしていたのだが、さすがにエメラルドたちの転倒は気になったようで振り向いている。 この視線に香澄が気付いた。 「あ、ふしぎちゃん！ 混浴に惹かれたんでしょ？ ねぇねぇ、正直に言いなよ☆」 「そ、そんなんじゃないんだからな、香澄！」 「混……浴」 意地悪そうに声を掛ける香澄。ふしぎは照れつつわたた。ヴィトゥスはお目めまん丸にして純粋に首を傾げてたり。 「皆さん、そろそろ出発ですよー」 ここで沙耶香が声を掛ける。 「はーい、皆様よろしくお願いしますー」 ここで高菜も目をキラキラさせつつ素直な感じ。 「待て」 突然、立ち上がったエメラルドがピクリと止まる。 「……なんだろうとても嫌な予感がするのだが…」 高菜の熱視線に気付いて不安が募る。 ● 「いやっほー！」 板に座りロープで雪の斜面に下ろされた９人は一斉に滑り降りる。 「わっ、すごい速い。気持ちいいー！」 コクリ、真っ直ぐ下っている。 「コクリは初めてだな？ こうやって腰を落として、蛇行して速度の調整を……」 「ですねー。結構な運動でそのうち暑くなりますよー」 ここは昨年経験済みのエメラルドと沙耶香が寄ってきて、コクリを両脇に挟むようにざっ、ざっ、と腰を振る。コクリ、習ってお尻振り振り。 「ふふふ。見ていて和みますね〜」 後続の高菜がぽんやりと言ってみたり。「こ、こら。あまり見るんじゃない」、「よそ見したら危ないですよー」とか前で振り向いたりごちゃごちゃやってる、エメラルドと沙耶香。 「……水着、お尻のほうは全部ひもなんだ……食い込……」 「まあ、それは大変ねー」 高菜の方は、横でお尻振り振りして滑るヴィトゥスの言葉に反応しているが。 この先頭集団の横をすり抜けてのばらが下りてきた。 「よ、っと……」 「わあっ。のばらさんすご〜い☆」 のばら、コクリの前に出ると薙刀「巴御前」をストック代わりにしてお尻を振りつつ速度を落とす。見事な薙刀捌きだ。 「コクリ、温泉が僕らを待っているんだぞっ！」 ふしぎものばらと一緒に前に来て振り返り、にこっ☆。 その時だった。 ――ウォォォン……。 「アヤカシの遠吠えだね。さあ、掛かって来い」 最後尾についていた香澄が大きく隊列から離れ、狼アヤカシのやって来るほうに体を入れた。ざりりり、と思いっきり足を踏ん張って膨れるのを止め、盛り上がった山肌で見えなかった側からかなりの数が来ているのを確認。にま、と挑発するように笑うと速度を上げた。 「うにに、速いにゃねー。……鬼さんこちら♪ 手の鳴る方ににゃー♪」 香澄の後から千佳も来ていた。猛ダッシュする敵を確認すると慌てて香澄を追う。 この時、すでに香澄は陰陽刀「九字切」を抜き放ち逆手持ちしていた。 「まずは……くらい耐えてね？」 刀を持ち伸ばした人差指と中指を振り抜くように後ろに掲げ、霊魂砲ど〜ん！ ――どすっ、キャイン！ 雪が派手に舞い上がり、狼アヤカシが海老のように跳ねた。どすっ、と雪原に落ちるともがくように動いてすぐに立ち上がったが。 「うん。殺さない程度って、目の前の地面を叩けば確実かな？」 火力自慢の技の手応えに満足し加速する香澄。 「こっちに来たにゃね？ マジカル♪イシツブテにゃー」 香澄のいたところに今度は千佳がいる！ ネコネコなマジカルワンドを一閃すると石礫が飛んでって狼の顔にバシッ！ この時、隊列真ん中。 「右手の丘の裏から五匹回り込んでるよ〜」 ヴィトゥス、胸に金鎖でつながれた12個の宝石が光っているのを受け止めるように手を添えたまま皆に注意を促す。裁きの胸甲で瘴索結界を試みていたのだ。 「むん！」 姿を現した瞬間、先頭を行くのばらが薙刀を右袈裟に、左袈裟に大きく振るった。 どばばば、と地奔の衝撃波が雪を巻き上げ奔る！ 「いくぞ、コクリ」 「うんっ。雷鳴剣！」 続いてエメラルドとコクリが雷の刃をそろって放つ！ 「すり抜けてくる敵もいますね〜」 沙耶香は一瞬鋭い瞳をすると、拳を突き出し紅の波動を飛び掛ってきた狼にドゴォ！ どさどさどさっ、と狼が雪原に崩れ落ちる。しゃーっ、と置いてけぼりに滑るのばら、コクリ、エメラルド、沙耶香。四人がランダムに描くシュプールが美しい。 おっと、大きく回り込んでいた敵もいるぞ？ 「わ〜こないで〜」 味方に攻撃を任せ引いていたヴィトゥスを狙っていた！ ヴィトゥス、頭を抱えて怖がっているが……。 「えいっ！」 「……『力の歪み』ですか」 怖ろしい子、と高菜が右手を頬に添えるが、自分もその姿勢から手裏剣「薄金笹貫」をトリッキーな軌道で投げている。 「高菜さん、急がないと大群が来てるよっ！」 「にゃにゃっ、近付き過ぎにゃ！ 前の狼さんは寝てしまうにゃよー！」 後続の香澄と千佳が追いついてきた。 「そうですねー。……しかしこれ、結構スリルありますねぇ。中々面白い」 千佳がアムルリープで眠らせた狼を飛び越えてきた敵を忍刀「百舌鳥落とし」でばっさりやりつつにこにこと腰を振って身もだえする高菜だったり。 「林が近い、きっと来るよ」 そのころ戦闘はふしぎに代わっていた。 中央に一本木があり左右から林がせり出している難所に差し掛かったのだ。 「やらせはしないんだからなっ！」 ふしぎ、宝珠銃「レリックバスター」をウィマラサースで連射しつつ右に突っ込んだ。数匹飛び掛ってくるが今度は霊剣「御雷」を払い斬撃符も飛ばして斬り抜ける。 これに続いてざざざと一気に全員が駆け抜けた。 ● そして。 「……兼石さんに頼ってばかりじゃなくて…ちゃんと自分で飛びたいな」 目の前に広がる崖を見つつのばらが呟いた。 「え？ のばらさん？」 「なんて」 コクリに聞かれたようで、振り返ってうふふ。 「にゃ、そろそろジャンプにゃ？ コクリちゃん、一緒にジャンプにゃー♪そして洋服パージなのにゃ♪」 千佳がやって来た。 「……とりあえず、高菜さん警戒だなぁ」 香澄も近寄ってきたぞ。というか、高菜から離れたとも言う。 「あ。水着の紐が途中で緩まないよう気を付けなければ……」 沙耶香も寄って来た。そして千佳の言葉に不安を感じて、上着の上からぺたぺたと腰周りを気にしたり。 「綺麗な空だよね」 ふしぎも横に。 「ホント、綺麗ですよねー」 さらに高菜も。 「…ふしぎ？ 高菜？」 二人の位置は、エメラルドの左右。エメ、綺麗に並んだことがちょっと居心地悪いようで。その横からヴィトゥスも出てきた。 おっと、もう崖は目の前だ！ 「あはははっ！」 ヴィトゥス、 お尻を上げて体を屈めて加速し、じゃ〜んぷ！ 両手を広げ、胸甲やら服を脱いで黒猫褌だけになっているっ。大空に眩しい白いお尻っ。 その隣では。 「誰よりも高く、遠く…飛ぶのです！」 のばら、、しろくまんと展開！ 肌襦袢姿で脱いだまんとを両手で広げて風を受け、眼下に広がる雪原を見てわああっと顔を輝かす。 「さあ、温泉にダーイブッ！」 「百乃も連れて来たかったにゃーっ！」 「……千佳さんそれ、きっとひどいことになってたと思うよ？」 香澄がぴっちぴちの紫色の水着姿になり、千佳は白い水着の上下、コクリも白い上下に黒いニーハイソックスだったり。 ここまでは男の子だったりぺったんこな女の子だったり。 問題は、この隣。 「去年の二の舞は踏まん！」 エメラルド、今回はちゃんと水着を着てる！ 「ええと、お風呂には水着でざぶんですが……この時も水着がずれないよう気を付けますね〜」 隣では赤いビキニ姿の沙耶香がおっきな胸を包むトップの結び目とか両腰の結び目だとかをきゅっきゅっと締めなおしている。 そして、エメラルドの視線に気付いてにこっ☆。 「な、なんだこの嫌な予感は……」 エメラルドがたじろいだ瞬間だった！ 「エメラルド様〜。飛び込みいきまーす！ からのー脱衣（クロスアウト）っ！」 呼んでばさーっ、と上着を脱いだのは高菜。 「こら、高菜っ！ わざわざ呼んだということはお前……」 「え？」 エメラルドの慌てた声に振り向くふしぎッ！ はたして、高菜の姿は。 「まいくろな青い水着です、期待してた方は残念でしたー」 「だったら呼ぶなー」 「あら、期待してたんですかー？」 「はわわわわっ！」 突っかかるエメラルドにしれっと言う高菜、そして前のめりに覗き込んでいたふしぎがバランスを崩すっ！ そして、もみくちゃのまま着水！ ● どぶ〜ん！ 「高菜お前ーっ！」 ざばーっ、とまず立ち上がったのはエメラルドだった。湯煙でよく見えないが、なにやら下は裸っぽいぞ？ っていうか、まいくろな青いビキニのボトムが頭の上に乗っかってる。高菜の水着だ。 「やん、事故ですよ事故。わざとじゃないですってばー」 片足を高く上げ、右手の人差指でエメラルドのボトムをくるくる回しつつ高菜がにこにこ。エメラルドの位置からは高菜のトップだけの姿が見えているはずだ。 「ぶっ…。不可抗力、不可抗力なんだからなっ…って、また見たりとかそんな事は」 ふしぎはエメラルドの健康的な腰骨の出っ張りを見て赤っか。 その脇では。 「コクリちゃ〜ん」 「待って香澄さん。ボク、水着取れてるっ！」 香澄がコクリの上半身に抱き付いて役得役得☆しているが、コクリは下半身の水着が取れて黒いニーハイソックスだけ。 「ふに、危ないにゃ！」 「千佳さんも紐が緩んで見えてるです！」 千佳が慌ててコクリの下半身に抱きつくも、千佳のお尻は丸出しで。これはのばらが抱き付いて事なきを得る。 「う……コクリと対だけど……み、見てないんだからなっ！」 ふしぎが振り向いたのはその後なので、大丈夫。というか、白いニーハイソックスにローライズ姿だったが、コクリに合わせて脱ごうか迷って前屈みになってたり。 「いや、脱ぐのはちょっと〜」 一人でまったり肩まで使っている沙耶香は呆れているぞ？ 『もふー☆』 ここで湯船の外から健気に雪原を駆けてきたもふ龍が、ふしぎにもふ龍あたっく☆。そのまま沙耶香の隣に納まりゆったりもふもふ。 「は、と、シルフィユ様ごめんなさいっ！」 ここで高菜、ふしぎの存在に気付きエメラルドの素肌が観衆の目に晒されるのを防ぐべく立ち上がる。そして真正面から抱くっ！ 「あ、足を股の間に入れるなーっ！」 「あらでも二人とも下が脱げたからこうしてくっついて隠しあおうと……」 というか高菜さん、それ押し倒してますって。 ――ざばーん。 「あーっ！」 ここでコクリの悲鳴。 「のばらさん、透けてる、透けてるーっ！」 「…ふえ？ 襦袢が透ける…ですか？」 コクリの指摘にのばら、わたわた。 「ふしぎちゃんあっち向いて！」 「はわわわ」 「あはははっ」 香澄はふしぎに湯をばしゃばしゃ。これを見てヴィトゥスも笑顔で湯を掛けばしゃばしゃ。 「こっちも潜るにゃー！」 「千佳さんー」 「…わ、わわわ！？」 千佳とコクリとのばらは、どぼーんと湯の中に。 「それじゃもふ龍ちゃん、豚汁でも作って皆さんに振る舞う事にしますね〜☆」 『もふ。作るもふよ〜☆』 沙耶香ともふ龍は仕事仕事。 その後。 「ぼく、ママって知らないから…」 「あらあらまあまあ」 「そーか。可哀想だな、ヴィトゥスは」 ヴィトゥスと高菜とエメラルドが湯にゆっくり漬かってそんな話を。 「むむ…しかし、どうしましょうコクリさん。どうやったらエメさんたちみたいになれるのか…」 「うん……」 それを見ながらのばらとコクリが向かい合ってはふり、と溜息。 「凹凸少なくてごめんね！ 腰はほっそいよ、どこもほっそいけど」 ざば、と立ち上がって香澄が身をくねらせポーズ。彼女も二人のお仲間さん。 そこに背後からきら〜んと光る瞳。 「にゅふ♪ コクリちゃん、疲れが取れるマッサージしてあげるにゃよー♪」 「ひい、それ何か違うーっ！」 千佳がコクリを背後からどこかをふにふにふにっ。 「とりあえず甘酒を飲んでほっこりしましょう」 にこ、と気を取り直したのばら。わーい、とみんな手を伸ばす。 「雪見酒、いいよね。ついでに星も見えるといいな、今はオリオンが明るいしね」 ふいー、と顔を上げる香澄。なんとも爽やかな顔だ。 その背後で。 「……最近温泉に来ると、天国と地獄が同居している気がするんだぞ」 ふしぎがぐで〜っ、となっていたり。 「皆さん、豚汁できましたよ〜」 『美味しいもふよ〜☆』 そして沙耶香ともふ龍の声が平和に響くのだった。 |
