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■オープニング本文 「‥‥何だかなぁ」 突然だが志士の海老園次々郎(かいろうえん・じじろう)、神楽の都の開拓者ギルドで呆れかえっていた。 目の前には、「【遺跡】ろりぃ隊出撃☆」の貼り出し。最近発見された遺跡の探索依頼であることまでは良いのだが、なにやら必要以上に可愛らしい名前が付けられたものだ。 「何が、『何だかなぁ』なのさ?」 「わっ! びっくりした」 突然下から声を掛けられ飛びあがる次々郎。見ると、背の低い女の子がさも不満そうな面持ちで立っていた。 「新たな土地開拓の可能性に繋がる遺跡探索の、どこがおかしいのさ?」 少女は唇を尖らせて主張する。次々郎、「ああ。この娘、きっと一人称が『ボク』なんだろうなぁ」とか思いを巡らせる。 「ちょっと。ボクの話、聞いてる? この遺跡の探索はほかにも依頼が出てるじゃない。開拓者にとって、いま一番重要な仕事かもしれないのに、どうして呆れてるのさ」 遺跡の中、天井の低い場所に突き当たっても問題なく活動できる背の低い人を募るってのは、実はとっても大切な事なんだからね、などと続ける少女。それはそうだ。その大切さは次々郎も分かっている。 だがしかし。 「この、部隊の呼称がね‥‥」 「し、仕方ないだろう。出資者の趣味だってんだから」 真っ赤になりながら答える少女。‥‥ああ、君も苦労してるんだねぇと親近感を覚える次々郎だったり。実際、この開拓にはまださほど民間資本が流れ込んでいない状況だったりする。出資者側のご機嫌取りも必要なのだろう。 「ま、それは突っ込まないにしても、どうして女性限定なんだい? これも出資者の趣味?」 「いや、これはね」 少女は一転真顔になって説明を始める。 要約するとこの一件、開拓者ギルドに体の大きくて力のある者ばかりがいるわけではなく、各種事態に万能に対応できる事を世に広く開示し強調する意味合いがあるのだそうだ。つまり、各方面からの今後のさらなる出資を募るための宣伝活動も含まれている、と。‥‥結局、趣味半分である事は確かなのだが。 「君は、話の流れからするとこの依頼に参加するんだよね?」 「募集枠外で入れてもらったさ。身体的に恵まれなくても活躍できるってことを証明しなくちゃならないから」 あるいは出自に関わるか。次々郎はそれ以上聞かなかった。 「ただの広告搭のように扱われても、やらなくちゃならないんだ。‥‥そうしないと、いつまでたってもバカにされるから」 視線を横に外し寂しそうに笑い捨てる少女に、次々郎は心を打たれた。 「君、名前は?」 「ボクは、コクリ・コクル。‥‥これでも志士なんだ」 「私は、海老園次々郎。‥‥これでも志士さ」 にっこりと笑い合う二人。うまく仲良しになれたようだ。 「‥‥しかし、集まるかなぁ。身長制限があって、しかも女性限定だろう。仮に集まっても、戦闘とかは不利になる可能性があるぞ」 「それは一応大丈夫だよ、次々郎さん。‥‥目的はあくまで『天井の低い通路の先の調査』だから。いきなり制圧とかじゃない。もしかしたら、すぐに行き止まりになるかもだしね。強いアヤカシでもいるならひとまず逃げればいい。もう一つの目的は、『小さな少女たちも頑張っているので出資してね』だから」 またも寂しそうにするコクリ。 「なるほど。とにかく行って、無事に帰ることさえすればいいのか」 「もちろんボクも開拓者だから、何かしら調査結果は持ち帰りたいけどね」 気を使った次々郎に、コクリはにこりと元気を取り戻すのだった。 そんなこんなで、11歳少女の志士、コクリ・コクルと一緒に「ろりぃ隊」に参加する背の低い女性開拓者、求ム。 ちなみに、部隊の名前はまだ仮称なので今であれば変えられるかも。 ついでに、女装を通すなら背の低い男性開拓者も参加できる。年齢制限はないが、若く見られるよう工夫したほうが増資的には効果がありそうだ。 ‥‥現地での活動の必然性から、背の低さだけは必須であるが。 |
■参加者一覧
静雪 蒼(ia0219)
13歳・女・巫
のばら(ia1380)
13歳・女・サ
ベアトリーチェ(ia8478)
12歳・女・陰
リエット・ネーヴ(ia8814)
14歳・女・シ
ベル・ベル(ia9039)
15歳・女・シ
フレデリカ(ib2105)
14歳・女・陰 |
■リプレイ本文 ● その日、開拓者ギルドはかしましかった。 「私、リエットゆーの! 今回は宜しくだじぇ!!」 元気一杯、リエット・ネーヴ(ia8814)が全力で右腕を挙げてコクリ・コクルに挨拶した。清らかな白い上着と金髪が清楚な印象を与える少女である。 「ボクはコクリ‥‥」 「うちは静雪蒼(ia0219)言いますぇ〜、よろしゅおたのもうしますぇ〜」 返答したコクリは横合いから顔を出した蒼にあおられ言葉を失う。 「コクリはん、うちと同い年やわぁ。がんばりまひょ」 「う、うん。がんば‥‥」 ああ、蒼さん青色でまとめて瑞々しいなぁとか思うコクリだったが、またもここで言葉が途切れる。 「遺跡探索‥‥。なんとも『開拓者』って、感じですよね」 宜しくね、と今度は反対の横合いから、のばら(ia1380)がど〜ん。ぴょんこと飛び出し明朗快活な張り切りよう。ああ、この人きっと良い人なんだろうな、とコクリ。ちなみにのばらは黒のチューブトップのみの上半身で、さらした肌が健康的で眩しかったりする。 「そう。遺跡探索」 ここで、場の空気が変わった。黒基調の服にフリフリの白ひだ装束。左目の眼帯が見る者をはっとさせる。「大人びた薔薇」こと、ベアトリーチェ(ia8478)だ。 「‥‥それ自体に問題はないわ。だけど何よこの部隊名は? ふざけてるの?」 「いや、大真面目‥‥」 「何ですって?」 「ち、違うよ。出資してくれる人たちが、だよ」 ベアトリーチェの剣幕に圧されたコクリだが、誤解されたと勢いを取り戻した。 「そう。わしらがその名前がええと言ったんじゃ。な、かわいらしゅうて、ええ名前じゃろ」 「そうそう。しかもこんなにめんこい子がそろうて。『ろりぃ隊』の名前にぴったりじゃ」 脂ぎったオヤジやでぶでぶと太った中年がやってきて、醜く笑顔をつくっている。「ふざ‥‥」 「はやや〜。ろりぃ隊ですか〜。何か凄いネーミングですよ〜」 爆発しかけたベアトリーチェの隣で、赤い髪に赤い服、要所に黒を配した衣装がラブリーキュートなベル・ベル(ia9039)が声を出した。 「まぁ、それはどうでもいいですね〜。とにかく、私もそう背が大きくないですから参加するですよ☆」 いつもにこにこベルさん、その場を丸く収める 「やれやれ、どこにでもいるもんだね。‥‥助平親父って」 少し皆と離れた場所でこっそりため息を吐いたのは、フレデリカ(ib2105)。黒いフリフリな衣装で、さらりとまっすぐ長い銀髪がおしゃまな感じでたたずんでいる。 「まぁ資金出してくれるならいいや。よろしくコクリ。仲良くやろうよ」 「うん。頑張ろうね」 またもこっそり本音を呟いてから、コクリに笑いかけるのだった。 「おお。頑張ってくれよ。応援しとる。‥‥狭い場所はちっちゃな子が一番強いんだ。見る目のないほかの商人どもを見返すことのできる活躍を期待しとるぞ〜」 そう言って送り出す出資者たち。 「‥‥ね。ただのエロ親父なだけじゃなく、ちょっとは分かってくれてるみたいなんだよ」 コクリは仲間に、この仕事を取りまとめた理由の一つを説明するのだった。 ● そんなこんなで、栢山遺跡内部。 「いざゆけやれゆけ開拓者ー♪」 サムライののばらを先頭にまい進する。ちなみに彼女が歌っているのは即興の行進曲だ。 と、問題の部屋に到着した。高い位置に狭い通路の入り口がある。ろりぃ隊に任せられた調査の始発点だ。 「装備良し、松明良し、ロープ良し、食べ物良し!」 のばらは荷物を下ろして指差確認。ロープを取り出す。 「じゃ、ベルさん頼みますね」 「では、頑張るですよ〜☆」 ベルはロープを受け取ると、ほにゃほにゃ☆と愛嬌を振りまいてから出動。シノビらしさを見せ、全員始発点に到着した。 「暗いね」 フレデリカがたいまつを取り出す。 「私は、シノビらしく罠とか見るですよ〜」 「じゃ、私も〜」 ベルが言うと、同じシノビのリエットも右手を挙げた。 「うちは中衛で地図作りやわぁ」 「念のため、もう一本。‥‥因みにコクリはそのまましんがりね」 蒼が下がり、ベアトリーチェもそれに習った。コクリは最後尾を守る。 ところで、この通路。 床は平らで、特段変わったところは無い。 壁や天井は意外とでこぼこしている。さらにいうと、天井が本当に低い。 「なるほどね。私たちにお鉢が回ってくるってわけか」 おそらく最年長だという自覚のあるフレデリカが落ち着いて分析する。‥‥実は、「若く見られる方が出資者からの払いが良くなる」との情報から皆可愛らしくまとめているため、必ずしもそうでなかったりするのだが。 「フレデリカはんの言う通りやわぁ。身長的にはまったく問題なくいけそやけど、これでジャンプしよ思たら‥‥」 「え〜。蒼ねー心配性〜。私は一番小さいから‥‥」 注意した蒼に、心配無用と声を上げたリエットだったが次の瞬間、信じられないことが起こったッ! ――ごすっ。 洞窟内に、重く鈍い音が響いた。 すくっと立ち上がり振り返る、リエット。 「えへ。ぶつけちった♪」 「仕方の無い子どすえ」 額からだらだら流血する彼女に、蒼、こんなところで神風恩寵。リエット、確かに身長は低いが自身のジャンプ力をまったく考えてなかったようで。 それはそれとして、しばらく後。 「そうか」 なにやら閃くリエット。 「上が駄目なら下があるんだじぇ」 なんとこの娘、前転で前進を始めたではないか。しかも小気味いいほど元気が良く動きにキレがある。 「はっ!」 「のばらはんもっっ、い、一緒になっては危険やぇ〜」 「‥‥何やってんの。のばらねー、蒼ねー」 転がって進んでは先に行き過ぎると悟ったリエットが後転で戻ってくると、のばらも一緒に転がっていて、止めようとしていた蒼がずべしーと前のめりに倒れているのが目に入った。もちろんリエット、これが自分の引き起こした事態とは思わなかったり。ともかく、3人仲良く、埃まみれ。 ● 閑話休題。 「へえっ。ようやく遺跡らしくなってきたね」 フレデリカの赤い瞳が妖しく揺らいだのは、閉じた鉄格子で行く手を阻まれたため。 「先の様子を見ておくわ」 そう言うベアトリーチェは、いつの間にか黒い子猫を抱いていた。人魂である。「さ。行きなさい」と子猫を鉄格子の隙間から前に離すのだった。 「ん、いいわ。差し迫って危険はないわね」 「分かったよ。それじゃ、いくね〜」 報告を聞いてから、リエットが破錠術。かちん、と小さな金属音がしたかと思うと、見事鉄格子の扉が開いた。 「ところで、この遺跡には一体何があるんですかね〜?」 先に進みながら、ベルが素朴な疑問を口にした。 「お宝とかもあるんでしょうかね〜? そう言うモノが出たら嬉しいですが」 「せっかく来たんだから出来れば空振りは遠慮したいね」 続けるベルに、フレデリカが同調する。 「でも、昔の何か怪しいモノが封印されてたり、呪いがかかったモノがあったり‥‥木乃伊とかないでしょうね〜?」 ガクガクブルブルと身を縮めるベル。 と、その時だったッ! 「出たわ。大ネズミよ。‥‥この先の広間」 「数は?」 ベアトリーチェの報告に、振り返るのばら。 「十匹かしら」 「ボクも戦う。広場で囲もう」 数を聞くとコクリが迎撃ではなく強襲を指示した。 結果、敵は八匹だったが機先を制した。 「ほな、応援しますえ」 「たとえ小さくても、お飾りだけじゃなくて出来る子って所をみせてやるのですよ!」 蒼の神楽舞「速」を背に、のばらが殺到して突きの一撃でまずは一匹。 「紅き薔薇よ、彼の者を切り裂く刃となれ!」 ベアトリーチェの放った薔薇の形をした式は、カマイタチのごとく敵を切り裂く。 「油断はしないよ」 少年のような口調で、フレデリカ。こちらは黒いカードが飛んでカマイタチのように炸裂する。 「のばらねーの横は私が守るじぇ」 リエットは、短刀・天邪鬼で突き。 「みんな、気を付けるですよ〜☆」 ベルは敵に逃げられないよう、横からずばっと。 「これでおしまい。成☆敗! です」 両断剣で敵に止めを刺した後、リエットから借りた短刀・天邪鬼もスラリと抜く。「のばらねーかっこいいじぇ」とリエットも大満足の「きめぽーず!」だった。 「‥‥みんな」 「ちぃそぉてもやれることあるんはえぇおすなぁ〜♪」 遅れて出番が無かったコクリに、蒼は満足そうにほほ笑むのだった。どうやらコクリ、良い仲間に恵まれたようで。 ● そして、広間の探索。 「こういう部屋ってのは大抵何か仕掛けがあるはずよね」 ベアトリーチェの右目がきらりん☆と光った。 「罠がありそうな場所は大体決まってたりしますので入念に調べるですよ」 「ボクはアヤカシの消えたあたりを念入りに調べよう」 ベルとフレデリカも続いた。 しばらく後。 「‥‥何かしら、これ」 ベアトリーチェが壁面で何かを発見した。どれどれ、と皆が寄ってくる。壁の岩肌の隙間に小さな布が差し込まれていた。 何かのアイテムだろうか? 「取り合えず、変なものはいらないわよ」 とかいいつつ、布切れを引き抜いてみるベアトリーチェだったり。 その瞬間! ――ぷしゅ〜。 「きゃっ!」 茶色い気体が突然、噴出してきた。 「‥‥リチェさん、大丈夫?」 コクリが慌てて別の布切れを突っ込み、止めた。慌てたため言葉の最初は声にならなかった様子だ。 けほっ、とベアトリーチェ。 「この私に何てことするのかしら。責任者を呼びなさい」 不満たらたら。っていうか、りちぇさん。大丈夫なんですか? 「毒があるとかじゃなさそうだけど‥‥」 「くさい、かな」 コクリが気の毒そうに言い、フレデリカが手短に現状を表現した。 「でも、いいお香のようですえ」 蒼が上品にくんくんしてから言う。馥郁とした感じは、確かにそうかもしれない。問題は、とにかく濃厚すぎて息が詰まるような状態にある。 「‥‥こっちは何かしら」 不機嫌そうに、先ほど隙間から抜き取った布切れを見る。これが宝の地図だとすれば彼女の機嫌も直るかもしれない。 が、しかし。 「紐ショーツ、だろうね」 フレデリカの言葉に、りちぇさん、機嫌悪そうに目を細めたり。 「ところでコクリ。きみは何を詰めたの?」 コクリはフレデリカに聞かれ、真っ赤になった。 「ひ、紐ショーツ‥‥」 だってすぐ簡単に外せるものってそれしかなかったんだから、と言い訳する。 「じゃあ、これはあなたのだわね」 りちぇは不機嫌そうに、持っていた強い匂いのする紐ショーツをコクリに渡す。 「コクリ隊長。それ、はくの?」 興味深そうにリエットが聞いてくる。コクリがどうしたのかは、ヒミツ☆。 「あっ。何かありましたよ〜」 ここで、ベルが大発見をするのだった。 ● 時は移り、通路の終わり。 「目的は通路の確認だから、ここまでだと思う」 車座になって、蒼やのばらの用意してきたお弁当を食べた後、コクリが口を開いた。 通路はこの広場で終わっていた。 代わりに、下への竪穴を発見。のばらの用意したロープで降下したところ、通常の通路が二つある広間に出た。少し通路の先にも行って捜索したところ、もう高さの低い通路はどこにもなかった。ろりぃ隊でなくても、捜索可能。お役御免だ。‥‥余談だが、ここでベルがどちらの通路から来たか分からなくなり迷子になりかけた。 「ほにゃっ☆」 どうもそういう可愛らしいところもあるようで。 「ま、収穫があったからいいけどね」 フレデリカはにやりと満足そうだった。 実は、先のベルの大発見は、壁面に刻まれた三文字の謎の単語だった。 これは、その後の広間でも見受けられた。そして、今弁当を食べているこの広間でも。 「えしお」 「くぐけ」 「あおい」 の三文字が、発見した単語である。順番に意味があるかは、不明。 「これに意味があるのなら。‥‥いや、ほかにもあるなら、また来たいね」 それは、ほかの仲間も同じ思いだ。 「そのためにも、あの出資者たちに増資してもらわなくちゃならないんだけど」 口ごもるコクリ。この成果を見せ付ければ、増資は確実と思われるが。 「‥‥隊の名前、どうする?」 結局、腹案のある人がそれぞれ交渉することになった。 「じゃ、戻るよ」 「りょ〜かい、コクリ隊長」 コクリの言葉に、元気良く敬礼するリエット。 「食後のお八つもありますぇ〜。歩き食べでけるよにお饅頭やぇ♪」 蒼の用意したお八つを食べながら、ゆうゆうと帰還するろりぃ隊だった。 ● 「おお、これはいい香りだ。なんというか、ぐっと大人びたような、誘惑して欲しいようなそんな色香が漂っておる〜」 冒険者ギルドに戻り出資者に報告した一同だが、何だかベアトリーチェがモテモテ状態になっていた。遺跡の中でくらった茶色い気体は鼻が曲がるほどくさかったのだが、時とともににおいも薄れていったようだ。 そしていま、ちょうど男を誘うような大変ムーディな香りになっているようで。 「何よ、これ。私にそんな気持ち悪い顔向けないでよね」 「おお〜、もっと言ってくれ」 どうも収集がつかないようで。 「あの‥‥。先ほど説明したように、ボクたちは探索の手掛かりを掴んでるんです。だから、増資をお願いできないですか?」 「ま〜、コクリちゃん。今日もかわいいわね。そしてさすが私たちのコクリちゃんだわ。こんな可愛らしい仲間も一緒になっちゃって。‥‥しかも成果が上がってるんでしょう。もちろん増資決定ザマスよ」 ほほほほ、と中年女性。どうやら出資者にはこういうご婦人も含まれていたようで。 「そ、それと、隊の名前を変えたいんですが」 「候補は?」 「小手毬隊どやろ? 小さい可愛い花が連なってるんぇ」 「私は、『紫陽花』隊がいいですね〜☆」 蒼が主張し、ベルもほわわん、と続いた。 「『花山椒』隊。小さくてもぴりりと辛い、のですよ 」 「待って。待ちなさい。‥‥私は『山茶花隊』と言うのを提案するわ」 遺跡での活躍、特にきめぽ〜ず☆を披露してやんやの拍手をもらっていたのばらも流れに気付き主張し、最後にりちぇさんがしつこいスケベ親父どもを黙らせ何とか滑り込んだ。 「分かりました。少しお待ちなさい」 中年女性はそれだけ言うと出資者全員を集めた。小さいという意味があるのがいい、声にしてカワイイ響きのがいい、なるほど紫陽花は七変化とも言うな、ちょうど七人可愛い娘がそろっているしなど協議している。 そして、決断の下るとき。 「‥‥お待たせしました。あなたたちの隊の名前は」 ごくり、と息を飲むろりぃ隊。 「正式名称は『小手毬(こてまり)隊』で、通称は『ろりぃ隊』です」 え、それってどういうこと、と一同。 「つまり、正しくは小手毬隊だが、呼ばれるときはろりぃ隊というわけだ」 がははは、とスケベ親父ども。 「ええ〜。ボクは正式名称だけでいいと思う」 有閑マダムたちに泣き付くコクリ。 「ごめんね、私たちのコクリちゃん。こうしないとあの親父どもが納得しないのよ」 ともかく、続く。 |