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■オープニング本文 ●年末間近なう 神楽の都はぽかぽか陽気。 体を動かすにも芸術に身をゆだねるも食べるにも良い秋の昼下がりでした。 師走になると本格的に慌ただしくなりますが、仕入れ業者などはすでに年末の準備のため一足先に忙しくなっています。 「定期便、入ったぞ!」 「おおい、動ける馬をありったけ集めてくれ〜」 「ちょいと通しておくれ。ああ、あれもしなくちゃこれもしなくちゃ……」 「小回りを利かせ〜っ」 「え? 買い付け業者がまだ来てないだって」 港近くは大量輸送とその後の荷捌きでてんやわんやしていますね。 何か事故が起こらなければいいのですが。 「あっ、危ない!」 突然響く注意の声。 ――がっしゃ〜ん。 飛空船の上から大きな積み荷が落ちたようです。ひどい音が辺り一帯に響きます。 運良く下には誰もいなかったようですが……。 ――ひひ〜ん! 「うわっ!」 「放馬〜っ! 放馬〜っ!」 「ああっ。ひっかき集めた馬がすべて港の外にっ!」 なんと。 馬の群が大きな、なんとも暴力的な響きのある音に驚いて逃げ出したではありませんか。 一頭逃げれば後は右ならえのようで、時間差ですべての馬が港の柵を飛び越え逃げ出してしまいました。 大脱走です。 「誰か、誰か馬を保護してくれ〜っ!」 走る馬を止めるのは大変です。 ああ、どうなってしまうのでしょう。 ●深夜真世の秋 場所は変わって、神楽の都にたたずむ珈琲茶屋・南那亭。 「ふんふんふん♪」 メイド服の裾をひらめかせ、深夜真世(iz0135) が店内のテーブルを拭き拭きして回っています。 ――ぐきゅるる……。 「んあっ!」 突然の音に、布巾を持つ手を上げて自分のおなかを見ます。 慌ててきょろきょろと恥ずかしそうに周りを見たり。 そして、ほっ。 運よくお客さんはいません。 「んもう。最近食べ物が美味しくて困るよね〜。食べたばかりだってのにぃ」 どうやらおなかがなったようですね。お昼はちゃんと食べたというのに、まったく食いしん坊さんです。 「食欲の秋かぁ……。おやつの時間はまだだし、もうちょっと我慢だね〜」 気を取り直し、ふんふんふ〜ん♪と鼻歌交じりにまたテーブル吹き吹き。 くるくる回りながらメイド服の裾とか大きなリボンを揺らすうち、気分が乗ってきたのでしょう。外のテーブルを吹きに向かいましたよ。 と、ここで。 ――ドカカッ! 「うわあ、暴れ馬だっ!」 「何でこんなにたくさん馬がいるの!」 遠くから多くの蹄の音と民の悲鳴が聞こえてきます。 「え? 何なに何っ!」 内股で両手胸の前で重ねながら真世は跳ね上がるように海老反りになります。 見ると、遠くがどどどど……と馬の群れが向かってきていました。通行人はひかれまいと慌てて逃げ回っています。 「あ。誰も乗ってない……」 ぴぴん、と来る真世。布巾を捨ててメイド服のまま馬の通る場所まで駆け寄ります。 どどどと迫る馬の群れ。 「とうっ!」 そしてひらりと舞うフリルスカート。どどどと過ぎた後に真世はいません。 「はい。お馬ちゃん、落ち着いてくださいね〜」 真世、馬の上。 普段から何かとダメダメめいどっぷりをどっぷり見せてはいますが、さすがに霊騎に乗りなれただけあって珍しくカッコいいところを見せます。 「えっと、もう大丈夫だから安心してね♪」 ずり上がったスカートから太股を見せたまま横を向く真世。僅かに馬の速度を落とし隣を走る馬から間を開け落ち着かせます。 もう、この馬は大丈夫。 「あ。そこの人。この子の手綱をどこかに縛ってて」 そのへんの頼れそうな人に一頭を預け、他の馬を落ち着かせに行くのです。 それはそれとして真世さん。南那亭、大丈夫? もちろん、他の開拓者もこの事態に指をくわえていたわけではありません。 さあ、他の馬も探して元の場所に返してあげましょう。 |
■参加者一覧
アーシャ・エルダー(ib0054)
20歳・女・騎
雪切・透夜(ib0135)
16歳・男・騎
アイシャ・プレーヴェ(ib0251)
20歳・女・弓
泡雪(ib6239)
15歳・女・シ
アムルタート(ib6632)
16歳・女・ジ
雁久良 霧依(ib9706)
23歳・女・魔
緋乃宮 白月(ib9855)
15歳・男・泰
小苺(ic1287)
14歳・女・泰 |
■リプレイ本文 ● ここは南那亭の屋外席。 猫族少女の小苺(ic1287)が、ケーキと珈琲を前に幸せそうに座っています。 「開拓者になったのはいいけど…うぅ、早く生活費を稼がないとにゃ〜」 とか言いつつ徘徊していたところ、猫又「焔雲(フェイユン)」とともに珈琲の香りに誘われて入店。 出迎えた深夜真世(iz0135)に挨拶して今に至るようです。 「うにゃ〜このケーキは美味いにゃ♪」 とかなんとか至福の時を送る小苺。 その時でした。 ――ドドド……。 「ホントうま…ウマ?…馬にゃー!?」 暴れ馬です。 「えっ。何なに何?」 真世も出てきたと思うと、布巾を投げ出し近付き「とうっ!」と飛び乗り行ってしまいました。 「シャオも馬を捕まえにいくにゃ!」 焔雲ともども追いかける小苺でした。 実はこの時、南那亭の屋外席にひらひらのバラージドレスを着たアムルタート(ib6632)もいました。 バラージドレス姿で、ふんふん♪と気分良さそうに珈琲を飲んでいます。 「珈琲美味しい〜♪ …って、暴れ馬が!?」 がた、と腰を上げます。 「あ、真世っ!」 騒ぎの方に行ってしまった真世が通り過ぎ、ひらひらと真世の放った布巾が落ちてきます。 アムルタート、これをキャッチ。 「しょうがないな〜掃除してあげよ♪」 くるくるー、と身を翻し店員のお仕事をするのです。 今度は、真世が騎乗して走り去った後。 「あらあら、真世様ったら。霊騎を乗りこなせるようになったのが嬉しかったのですね」 買出しから南那亭に戻ってきた泡雪(ib6239)が真世を見送りました。怪我なく頑張る姿を微笑ましく見送ります。もちろん泡雪、メイド服姿です。 「……ですが、お店を留守にしてしまうのはどうなのでしょうか」 買い物袋を抱いたまま小首を傾げますが、「仕方ありませんね」とにこり。背中の大きなリボンを揺らして南那亭に向かうのです。 実は、南那亭店内には。 「よい……しょ、と」 奥の更衣室でアイシャ・プレーヴェ(ib0251)がメイド服に着替えてました。素肌の背中を見せていましたが、いまするりとメイド服に包まれたり。 そしてすらりと長い脚に純白のニーハイソックスを通し、腰を上げてぽってりした革靴の爪先をとんとん。 着替え完了です。 「じゃ、働きましょうか……って、真世さん? 暴れ馬? ふぅん…」 客席に出たところで、騒ぎに気付いた真世が外に飛び出して行きました。 「あ、飛び乗った。……まあ、最近の真世さんの腕なら問題ないでしょう」 調子に乗って落馬しないか心配といえば心配だけど、などと頬に人差指を添えて思いますが、今は自分が店を守らないと、と働き始めるのす。 そして外。 「何だか大変なことに……こんな時は手伝いませんと」 雪切・透夜(ib0135)が大通りで状況確認しています。 その時、「とうっ!」とスカートをひらめかせる真世の姿を目撃。 「……こういう時の真世は凄いな。じゃ、ヴァイスは真世の代わりに留守番を頼む」 面食らう透夜ですが、もたもたしてません。相棒のからくり「ヴァイス」に指示を出して走ります。 『主、こういう時こそ我も行くべきであろう?』 「こういう時だからこそだよ。お店も大変だもの。どっちもやらないと」 『尤もらしい事を言っているが、本心は?』 「未知の体験で視野を拡げるのにいいかなって。それに、可愛い姿も似合うだろうしね」 じーっ、と主人を見詰めると、透夜が真面目な……ああっ。にこやかに本音言った! そしてぽふりと。 『……言ってるといい』 ともかく透夜、走ります。 ● 時は遡り、別の場所。 「久し振りに南那亭で休んでいきましょうか」 小春日和の陽だまりのような笑みを見せ、猫族の緋乃宮 白月(ib9855)が横を向きました。 『はいっ、マスター。……えへへ〜、真世さんに会うのが楽しみです〜』 白月の羽妖精(上級)「姫翠」がそこに浮かんでますね。姫翠、初夏の新緑を思わせるドレスをひらめかせて喜んでいます。 ここで暴れ馬の地響きを耳にします。「放馬〜」という声で事態を理解しました。 「……南那亭より先に、一般人の方や馬に被害が出ないようにしないといけませんね」 『はいっ! マスターと一緒に力を合わせて頑張りますよー!!』 決意を瞳に宿し二人は頷き合うと、姫翠は空高く、白月は軒下の樽を足掛かりに屋根に上りました。 そのまま猫尻尾を揺らめかせ屋根伝いを跳ねて飛んで移動するのです。 そしてやはり同時刻。 「成長しましたね〜。おっと、感心している場合ではないです。馬を何とかしなくちゃ!」 アーシャ・エルダー(ib0054)が深夜真世のひらりん☆を目撃していました。 「テパ、行きますよ!」 そう。 実はアーシャ、相棒訓練の帰りで港に相棒の霊騎「テパ」を連れていく途中だったのです。 「訓練終ってから南那亭でアイシャと落ち合う予定だったから……」 ちら、と南那亭の方を見ましたが、大切な妹がすでにいるはずだからと信じ暴れ馬を追います。 「テパ。あの馬と並走します。寄せてっ!」 前を向くと、もう戦う騎士の顔に。テパとの呼吸もよろしく、あっという間に並びます。 「とうっ! ……イイ子だから、お願いだから止まってね」 コルセールコートを翻し、真世よりも華麗に飛び移ります。そして馬を落ち着かせるように首筋を撫で撫で。 まずは一頭手懐けました。 別の場所では、白の外套がひらめき黒のマイクロビキニの胸がゆっさと揺れてます。 雁久良 霧依(ib9706)が暴走する馬に軽やかに飛び乗ったのです。じっくり待ち構えて上手くタイミングを合わせましたね。 「精霊武器持ってないのが痛いわね……」 霧依、丸腰だったのを悔いてますが、まあ今日はお仕事ないんだし。 と、この時。 「さあ、大人しくして……きゃあん!」 何と、走って暴れていた馬が霧依を振り落とそうと上下に暴れ始めたではありませんか! 「ちょっ…ふあっ!ゆ、揺れるぅっ♪」 まさにロデオ状態。格好が格好だけに、ばるんばるんとおっきな胸が揺れてます。 「あっ、そういえば……」 なんだかうっとりした響きの悲鳴も上げてましたが、何とか正気を取り戻したようです。 「今日のスキル、精霊武器無しで使えるのばっかりだったわ。霧依ったらうっかりさん♪」 てへ♪ とか自分の頭をぐーでこちん。その間にもばるんばるるんしてますが、腰も上下に合わせてもう乗りこなしているようです。 と、馬の動きが鈍りましたよ。 どうやらアムルリープを使ったようで。 ● 南那亭付近で反応した人たちもそれぞれ活躍しています。 「ヴァイスにああ言った以上、失敗は許されませんね」 透夜が暴走する馬を見詰めます。 そして、腰を落としたかと思うと盾を構えるような姿勢で走る馬に突っ込んでいくではないですか。 ――ドシッ! 透夜、肩から盾で受けるように衝撃を和らげるとひらりん☆と回転し右手を伸ばして……。 「よし!」 がっしりと馬の首筋をつかみ体を支え騎乗します。 「どうどう。……よし、これで他の馬も捌ききれる」 ひひん、と馬首を巡らせ他の馬をなだめにいこうとします。 その時。 後からやって来たアーシャがやって来て走る透夜に並びました。 「透夜さん。この馬たちを町の外に連れて行きましょう」 アーシャ、別の馬数頭の先頭に立ち統率している模様。馬が先頭に従う傾向もあることを利用し纏め上げるのです。 「馬って頭いいもんね〜。普段から馬を扱う騎士としては、ここは馬の扱いの見せ所ですよねっ」 「ええ。そうですね」 アーシャと同じく騎士の透夜、すぐにピンときて草の生えているであろう町の外への最短距離を行きます。二人が先頭に立つことで、より統率された馬群になりましたよ。 「適当なところでオヤツと水を与えれば落ち着いてくれそうですね」 「あとは、上手く落ち着いた場所に馬を扱える人がいればいいのですが……」 落ち着かせる方法、その後の移送など馬上で案を講じる二人です。 別の場所。 ききき、と大通りに大回りして出現した白い影が一つ。 「後ろからだと怖がりますからね。……よっ、と」 白月が軽やかに向かってきた馬の首根っこに抱き付き、そのまま騎乗しましたよ。さすが泰拳士さん。近接格闘はお手の物ですね。 「ふぅ……。姫翠、上から町の全体を見ておいて」 『あー。後から真世さん来てる〜』 姫翠は嬉しそうに背後を指差します。 「白月さん、ありがとっ!」 「いえ。怪我人が出ると大変ですからね」 真世に並ばれ、にっこり返す白月です。すぐに真世のまくれて見える太股に赤くなる白月でしたが。 『あっ、マスター。あっちに行くと町をすぐに出ますよ? 暴走した馬もそっちで止まってます』 「姫翠ちゃんありがとっ。……白月さん、そっちに向かってみよっ!」 「ええ」 姫翠と真世の仲良しな様子を見て、にこにこ頷く白月でした。 この時、小苺。 「馬に蹴られるのはイヤにゃ。なんとかを邪魔するヤツは……にゃっ、条件を満たしてないから大丈夫のはずにゃけど」 まち中で走りつかれ小休止をしている馬に、後ろからそろ〜り、と近付きかけてはっと我に帰ってます。 後ろに立つ、蹴られる、危険。 そんな三段連想をしてくるっと前に。 おっと、馬が気付いた。逃げようとしますが……。 「いい子にするにゃ。さぁ大人しく帰るのにゃ」 撫で撫でをしてなだめるのに成功です。 そこにぬっと現れる騎馬。 「あら、ちょうどいいわ。おそらく馬の持ち主が追ってくると思うの。何とか馬をまとめましょう」 霧依でした。大人しくなった馬を連れています。 「じゃ、シャオが番をするにゃ♪」 これで町に残っている馬も何とかなりそうです。 ● 南那亭は大丈夫? 「しっかしよぅ、なんでこんなことになったんだろうな」 「人死にが出てないか心配ですわ」 「おおい、店員さぁん。珈琲一つ」 「こっちにも〜」 な、なんと。 南那亭は超満員です。 「お待たせしました。どうぞ」 アイシャが給仕をしてます。 『お待たせした……いや、お待たせしました。どうぞ』 「へえっ。からくりさんも働いてるのかぁ」 南那亭メイド服に着替えたヴァイスも貢献中です。 それにしても、どうして席に座れないくらいお客さんが入っているのでしょうか。 ちょっと時を遡ってみましょう。 そう。あれは、泡雪が買い物から南那亭に戻って買い物袋を下ろしたときでした。 その時は店に客は誰もいなくて、アイシャが「お帰りなさい、泡雪」と声を掛け、アムルタートが小さな体でジャンプして楽しそうに布巾で窓を拭いていたり、奥の更衣室でごそごそとヴァイスが着替えていたりしていました。 泡雪、おもむろに外に出るとまだ騒ぎの最中に声を張るのです。 「皆様、只今この通りを馬が暴走しております。危険ですので、充分端に寄るか、近くのお店に避難してくださいませ!」 はっ、と振り返る往来の人たち。まだ地鳴りがこちらに近寄っていることを感じ、急いで手近な建物に悲観します。もちろん、南那亭に向かう人もいます。泡雪は転んでいる人の元に駆け寄り、ささっと連れ戻ったりも。 そして――。 「いらっしゃいませ、南那亭へ。通りが落ち着くまでご休憩されてはいかがでしょう?」 な、なんという策……え? 「誰ですか、策士だなんて言った人は?」ですって? ごめんなさい、泡雪さん。 とにかく、これは大きかった。 「お。今日は変わった服装の店員もいるんだね」 「ううん、私バイト!」 片付けをしていたアムルタートも、何だか布巾は止めて銀盆を手にしましたよ。 「ねえ、注文してもいい?」 「仕方ないな〜」 頼られその気になるアムルタート。こうなると乗って来たりも。 「いらっしゃいませ〜♪ え〜っとね、メニューがこれで、お勧めがコレだよ!あとこのセットがお得で美味しいって言ってた!」 本格的にバイトをし始めました。一念発起ですね。というか、バラージドレスをひらめかせくるくる回ったり笑顔を振りまいたり、まるで舞台で踊っているようです。 「アムルタート様、お料理はできます?」 これに目を付けた泡雪、しっかりと店舗運営の戦力に組み込むべく声を掛けます。 「料理? 作れないよ! アル=カマル風の珈琲なら美味しく淹れられるけどね♪」 くるん、と振り向き笑顔で答えます。 「でしたらこれをあちらのお客様に。ヴァイスさんはこっちのお客様に」 「分かった〜♪」 『了解した』 右に左に散るアムルタートとヴァイス。 「……さすが泡雪さん」 感心して笑顔を見せるアイシャも、しっかりと働いてます。 やがて外も店内も落ち着いてきました。 「そろそろかな……」 アイシャ、おもむろに下がってたくさんの珈琲を淹れはじめましたよ? 「アイシャ、ただいま〜」 満足そうなアーシャが帰ってきました。透夜と一緒です。 「見えそうで見えないスカートの翻りっぷり、ちゃんと見ました?」 「お姉……」 「あー、そうなんです?」 透夜にそんな話を振る姉に呆れるアイシャ。そしてはぐらかす透夜。 「私も珈琲、もらおうかしら?」 「ケーキと珈琲の続きにゃ♪」 霧依と小苺もやって来ましたよ。 「苦いけど……ケーキには合うにゃ♪」 「仕事の後の珈琲は格別ね」 可愛らしく食べる小苺に、脚を組み替え優雅に飲む霧依。 と、アイシャが顔を上げましたよ。 「御疲れ様でした、真世さん!」 今度は真世が白月と一緒に帰還です。アイシャ、早速むぎゅり。 『眠りの砂も使って、たくさん頑張ってきました』 「うん。頑張ったからのんびりしよう」 にこにこみんなに報告する姫翠に、白月が優しく言います。 「頑張りましたね。はい、どうぞ」 そんな二人には泡雪が優しく接客。 「あら、真世さん。さっきは大サービスだったわね♪」 「そうそう。見えそうで見えないスカートの翻りっぷり、目撃しましたよー」 「ああん、見られた〜」 真世は霧依とアーシャからからかわれてたり。 「どう?」 『丈が短いのでな』 ヴァイスは透夜に聞かれ、運悪く短めだったスカートの丈を気にして裾を引っ張りもぢもぢ。 「真世ねぇだからマヨネーにゃ。二人いたら…マヨネーズにゃっ」 これを見た小苺がピンときてそんなことも。ちょうど真世もスカートの裾を引っ張りもぢもぢしていたもんだから。 「じゃ、私もお店をお手伝いするわ♪」 「その格好では……」 「あ、真世! 私お客さんに言われて気づいたんだけど、今日ここのバイトだったんだよ!」 立ち上がる霧依に、困った顔をする泡雪。そこへバラージドレスのアムルタートが陽気に登場。 「えっと、メイド服だとありがたいな〜」 「分かったわ」 「にゃ? シャオも?」 霧依に巻き込まれ、シャオもメイド服に。 「ひゃっほ〜い♪」 くるくる回るアムルタートは、お客に好評だからそのままとか。 「その……」 「ああ。真世もヴァイスもお疲れ様だったね」 真世、最後にちゃっかり恋人の透夜に甘えるのでした。 |