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■オープニング本文 ●年末間近なう 神楽の都はぽかぽか陽気。 体を動かすにも芸術に身をゆだねるも食べるにも良い秋の昼下がりでした。 師走になると本格的に慌ただしくなりますが、仕入れ業者などはすでに年末の準備のため一足先に忙しくなっています。 「定期便、入ったぞ!」 「おおい、動ける馬をありったけ集めてくれ〜」 「ちょいと通しておくれ。ああ、あれもしなくちゃこれもしなくちゃ……」 「小回りを利かせ〜っ」 「え? 買い付け業者がまだ来てないだって」 港近くは大量輸送とその後の荷捌きでてんやわんやしていますね。 何か事故が起こらなければいいのですが。 「あっ、危ない!」 突然響く注意の声。 ――がっしゃ〜ん。 飛空船の上から大きな積み荷が落ちたようです。ひどい音が辺り一帯に響きます。 運良く下には誰もいなかったようですが……。 ――ひひ〜ん! 「うわっ!」 「放馬〜っ! 放馬〜っ!」 「ああっ。ひっかき集めた馬がすべて港の外にっ!」 なんと。 馬の群が大きな、なんとも暴力的な響きのある音に驚いて逃げ出したではありませんか。 一頭逃げれば後は右ならえのようで、時間差ですべての馬が港の柵を飛び越え逃げ出してしまいました。 大脱走です。 「誰か、誰か馬を保護してくれ〜っ!」 走る馬を止めるのは大変です。 ああ、どうなってしまうのでしょう。 ●クジュトの秋 場所は変わって、神楽の都のとある広場。 あれあれ。 何かあるのでしょうか。結構な人が集まってますよ。 「さあて、次はある町を救った勇者の歌を。ちょっと激しい曲だけど、聞いてくれ」 人の輪の中心では、ウードを抱えた吟遊詩人、クジュト・ラブア(iz0230) が陽気に声を上げています。 「じゃ、ノッて行くよ!」 ♪ 燃える 町に異形が すべてを奪って暴れる 誰が これを許すか 今立ち上がり刃抜く ♪ たたたたん、と軽快にピックを捌いています。 歌はカッコよく、声は歯切れよく。 ♪ 踏み込む 一撃風斬る・刃 戦う 戦う沸き立つ・血潮 肩越し 呼ぶ顔勇者の・証 敵ボス 目指して戦え・つづけ ♪ 感極まるようにシャウトするクジュト。ピックを弾いて恍惚と顎を上げたりも。 と、ここで。 ――ドカカッ! 「うわあ、暴れ馬だっ!」 「何でこんなにたくさん馬がいるの!」 遠くから多くの蹄の音と民の悲鳴が聞こえてきます。 「何だって?」 がたり、と歌をやめ立ち上がるクジュト。顔を上げた先を、先頭の馬が走りすぎます。誰も乗ってないないことも確認。状況にピンときました。 「すまない。歌の続きはまた今度」 「えーっ、またぁ?」 クジュト、手を上げ騒ぎの方に走ります。見送る子どもたちはつまらなそうでしたが、クジュトが通り過ぎる暴れ馬にひらりと飛び乗るとあまりの格好良さに目を輝かせました。 「結構いるな……落ち着いてくれればいいが」 クジュトはそう言って「心の旋律」を奏でるのでした。 もちろん、他の開拓者もこの事態に指をくわえていたわけではありません。 さあ、他の馬も探して元の場所に返してあげましょう。 |
■参加者一覧
羅喉丸(ia0347)
22歳・男・泰
北条氏祗(ia0573)
27歳・男・志
ルオウ(ia2445)
14歳・男・サ
ラシュディア(ib0112)
23歳・男・騎
ジレディア(ib3828)
15歳・女・魔
ナキ=シャラーラ(ib7034)
10歳・女・吟
草薙 早矢(ic0072)
21歳・女・弓
シンディア・エリコット(ic1045)
16歳・女・吟 |
■リプレイ本文 ● 神楽の都の往来。 「おー? いい臭いがしてくんなあ!」 突然立ち止まり、くんくん、と鼻を利かせているのはルオウ(ia2445)です。 『なんですか、ボン。恥ずかしい事を大声で言わないでくださいまし』 足元から声がしますね。 「あー? いいじゃんよー。腹へんのは仕方ないじゃん?」 ルオウ、足元を見て言い返します。 『そーいう問題ではありませんわ。ああ、全くこのままでは先代様に合わせる顔が……』 そこには、白い仙猫がいます。 相棒の「雪」です。前肢で顔を洗うように、首をへにょ、と垂れていたり。 その時です。どどどど、と遠くから地響きが聞こえてくるではありませんか。 「お!あっちなんか騒がしくね? いってみようぜ!」 『って、聞いてますの? ボン! あ、ちょっ…ボンーーー!』 嬉々として騒ぎに向かっていくルオウと、『全く…』と溜め息をつきながら追う雪でした。 同じ音を別の場所で聞いた人もいます。 「ん? 何か聞こえるぜ、近藤」 浪志組隊士服を着て、同じくお手製の鬼火玉用隊士服を着せた相棒「近藤・ル・マン」とともに巡邏していたナキ=シャラーラ(ib7034)です。 「よし、超越聴覚発動! ……馬の嘶きに馬蹄の音、悲鳴……これはクジュトのウードか?」 集中するナキ。近藤はぼぼぼと燃えつつ心配そうに主人を覗き込んでいます。 「曲調は心の旋律か。アヤカシが出たって訳じゃなさそうだが……とにかく急がねえと!行くぜ近藤!」 ここが浪志組の腕の見せどころとばかりに駆け出すナキたちです。 「まあ、美味かったな……」 場所は変わって、蕎麦処の店内。 蕎麦湯を出汁で割って飲んで締めにした北条氏祗(ia0573)が爪楊枝を使っています。 くちくなった腹。そして心地良い店内のざわめき。満足感がじわりとわいてきます。 このままどこかで昼寝もいいかもしれん、などと思っていたときでした。 ――どどどど……。 「なんだ?」 はっと気付いて勘定を置き、店外へ。まどろみかけていたとはいえ、有事ともなれば体は動きます。 そして暴れ馬の集団を目の当たりに。通行人は慌てて逃げては怪我をしているようですね。 氏祇の判断は――。 「人騒がせな話だ。被害が広がる前に収拾しよう」 圧倒的な質量で迫り来る馬たちに対しどうこうせず、町の外へと走るのでした。 一体、どうするつもりでしょう? さらに別の場所。 シンディア・エリコット(ic1045)さんはお買い物中です。 「まあ、春菊がもうすぐ並び始めるのですか。お鍋の季節ですよね〜」 八百屋の店先でおかみとそんな話で盛り上がっていたり。結局タマネギとニンジンを購入して、人妖の「アンプルナ」ににこにこと手渡します。 『あれ、晩はお鍋じゃないの?』 アンプルナは温かそうな色合いの人妖羽衣をひらめかせ浮かんだまま首を傾げますが、シンディアの方は「あっ」と声を発してぷいと顔逸らし。 『ねえ』 アンプルナ、不満そうにくるっと回り込むのです。 「……夕飯は、お肉でもいいわ。スープでも美味しいわね」 シンディアは視線を遠くにしたまま呟きます。 そしてこのころにはアンプルナも気付くのです。 地鳴りが近寄っていることを。 「まあっ!」 八百屋のおかみさんは息を飲みます。 どどど、と馬の群れが通り過ぎました。 「落ち着いて、どうどう……」 おや、一頭は止まりましたよ? 乗っているのはクジュト・ラブア(iz0230)です。 「シンディアさん、お久し振りですっ! どうか手伝ってください」 クジュトはそれだけ言って、今従えた馬を使い前の馬を追いました。 「クジュト、手伝うぜ!」 馬の先頭では、回りこんだナキが横から姿を現しています。 ♪ ヨー・ヨー カリカリすんな 暴れんな 腹減っちまうぜ 疲れるぜ レッツ・ゴー飼葉桶 満腹オールオッケー ♪ ぱちん・ぱちんと指を鳴らしながら「安らぎの子守歌」を歌うナキ。 先頭はともかく、後続はかかりました。数頭、足元がおぼつきません。周りの一般人がこの隙に取り押さえます。 「ナキさん、さすがっ!」 「別の方向にもいるだろ? そっちに近藤と行くぜ」 クジュトが真っ直ぐ行くと、ナキは馬を押さえた住民に荒縄を渡しながら一頭に飛び乗り横合いに。 「これも役に立つかしら?」 シンディア、買い物袋からニンジンをナキに投げます。 「サンキュ!」 「じゃあ私は……あらあら、怖かったの? 泣かないで。こっちの人は……頭は打ってないみたいね♪ アンプルナ、治療お願いできる?」 てきぱきと指示を出し、住民の手当てを支えるシンディアです。 ● この時、羅喉丸(ia0347)はつんと袖を引かれていました。 神楽の都の、お洒落な店が並んでいる場所です。 「ん? どうしたんだ、ネージュ」 羅喉丸、連れていた相棒の羽妖精「ネージュ」の方を見ます。 「その……あれはなんだ?」 ネージュは主人の袖を掴んだまま、口元に手を添え顔を赤らめ身をよじってました。黙っていれば凛とした雰囲気を纏う戦乙女のようなのですが、こうなると女の子ですよね。 ちら、とネージュが見た店頭にはきらびやかな簪が並んでいます。 「ああ、あれは簪だな。ネージュにも……」 と、この時。 「放馬〜!」 危険を知らせる声と地鳴りが響きます。 羅喉丸の機嫌の良かった声は止まったままで、騒ぎの方を向いてしまいました。 「行きましょう、羅喉丸」 ネージュ、聡い。主人が何を考えていたか瞬時に察します。 「すまないな、ネージュ」 感謝しつつ、騒ぎの方に走る羅喉丸でした。 「ああっ!」 「お母ちゃん!」 運良く先回りできそうでしたが、迫る馬を前に避難していた親子連れが往来の真ん中で躓いているではありませんか! 「家族と……馬も怪我するぞ、これは」 これを横合いから見た羅喉丸、決意を固めた! 「間に合えっ!」 瞬脚で親子を守るように迫る馬に立ち塞がります。 が、暴れ馬は止まる気配すらありません。 「気力で凌ぐっ」 羅喉丸、激突の瞬間に気合いの八極門! ――どどど……。 「羅喉丸?」 飛んできたネージュが心配そうに主人の顔を覗きます。 「……上手くいった。俺が馬の首に抱き付いて進路を変え、俺自身も馬に取り付けた」 馬の横にしがみついていた羅喉丸、鍛え抜いた腕力でよいしょ、と馬の上になりながらにこり。振り返ると親子に怪我はなさそうです。 「よし、併せた。ネージュ、頼む」 「いい子ですね、私の言う事を聞いてくれますか」 すかさず暴れる馬の横に付けて、ネージュが投げキッス。「誘惑の唇」で横を走る一頭も従えるのでした。 おっと、この大変な時にのほほんとしている人たちもいますよ? 「ふふ、珍しいですね。ラシュディアから誘ってくれるなんて」 そう言いつつ横を見上げるジレディア(ib3828)。 「そう? ギルドの依頼のない日はこうやって一緒にいるじゃなないか。……はい。天儀の簪も、こんな色合いならジレディーにぴったりじゃないかな?」 とか何とか言いつつ、ラシュディア(ib0112)は先程二人で立ち寄った店で購入した簪をジレディアの髪に合わせています。 「最近、一人のことが多かったように思いますが……」 じ、とラシュディアの瞳を見詰めてみる。 「そ、そうかな? あはは。……でも、確かにこうやってジレディーの髪を撫でるのも久し振りな気がする」 ラシュディアはしれっとそんなこと言いつつジレディアの髪を撫でてますね。 「んもう……」 「あはは……。あ、おいしそうな屋台があるね。お腹も減ってるんじゃないかい?」 「ちょっと待って。それなら」 照れ隠しに駆け出しそうになったラシュディア、これまでの不満そうな口調とは裏腹に上機嫌のジレディアにとめられます。 「はい。あそこの木の下に座りましょう?」 何とジレディア、お弁当持参です。手を繋いで木の下に移動します。……実はお弁当、ジレディアは詰めただけで料理はラシュディアの手作りというのは内緒です。 「はい、あーん…」 ジレディアが差し出した厚焼き玉子に、ぱくっと食いつくラシュディア。ジレディアの方は恥じ入ってますね。 その時でした。 ――どどど……。 「何?」 慌ててお弁当をたたむジレディア。ラシュディアと一緒に音のするほうに行きます。 「クジュトの声? ……馬の暴走、か」 「ラシュディアさん、馬を止めるのを手伝ってください!」 クジュトの乗った馬が、暴走した馬を追ってやって来ています。 というか、二人とも進路上にいますよ! ――ふわっ…。 「あ……」 ひらりと空中浮遊する感覚に思わず声を上げるジレディア。 「……ジレディー。この状況を何とかしたいんだけど、デートを一旦中断してもいいかな?」 「私もついて行くから……」 ラシュディア、ジレディアをお姫様抱っこして馬の突進をかわしています。 「ありがとう」 「……やることは分かるわ」 とん、と下ろして馬に単身向かうラシュ。ジレディーはそうなるだろうな、と思っていたので何も言わずアクセラレート。ラシュディアは馬に飛び乗り落ち着かせようとしながら行ってしまいました。 「あらぶってますね。このままでは…」 ジレディアは周りの人たちを守ることにしました。人をひきそうな馬にはアムルリープをかけ、耳を澄まして安全な場所に誘導したりと一生懸命です。 ● さて、町の外に出てしまおうかという馬もいるようですね。 「今日の訓練は『山・平地』だぞ。一緒に頑張ろうな、夜空」 ちょうど町の外れには、篠崎早矢(ic0072)がいました。 相棒の黒い戦馬「夜空」に跨ってます。 ――どどど……。 「早矢さん! ちょっと手伝ってください!」 そこへ暴走した馬とそれを止めようとするクジュトがやってきました。 「なんだ……よし。とにかく馬をとめればいいんだな?」 こと、馬のことになると目付きが変わる早矢です。このままだと馬も怪我する、と馬首を巡らし一気に加速します。 「夜空、そっちだ、追い抜かして前に回り込め!」 早矢の指示に懸命に従う夜空ですが、なかなか追い抜かすことにはならないようで。 「くそっ。本当ならしたくはないが……」 「早矢さん?」 弓を構えた早矢に、驚きの声を上げるクジュト。 「盾をわるための打撃用鏃をつけた矢で遠くから射撃して頭をぶんなぐる。……あの馬なら面をしているから大丈夫だろう」 早矢、矢を放ちます。 ――がすっ、ひひぃん! 先頭を行く馬の後頭部を上手く弾きました。バランスを崩し速度が微妙に落ち、後続が衝突を避けるため散らばり速度が落ちます。 「それっ! 緩急をつけて三時の方角の馬を追う空気を出して、九時の馬に急旋回して道をふさげ!」 早矢、予期せぬ事態で動きの鈍る馬の中、予期してるが故の動きでこれを見事制します。まさに人馬一体。 「よし、速度を緩めたぞ!」 クジュト、早速演奏に。 「オーラ、オーラ、オーラ。……怖くない…」 早矢は降りて、馬の首を抱き締めて次々と頭絡や無口をかましていきます。 が、再び走り出す馬も。 完全に抜かれました。 と、その時。 「こちらは任せるがいい!」 一陣の風がクジュトの脇を通り抜けました。 「走龍?」 クジュトの呟きの通り、走龍です。 「これが戦なら北条二刀流で仕留めて終わりだが……」 鞍上は、氏祗。蕎麦処からまず町の外れを目指していたのは、相棒の走龍「大山祇神」に乗るためだったのです。 「よーしよし。賢いな」 氏祗、先頭を押さえこれで馬たちは諦めたようです。 「では、元の場所に戻るぞ。大山祇神はついて来い」 一頭にひらりと乗った氏祗はそのまま町に戻るようです。他の馬も、もう落ち着きました。というか、周りには先に逃げていた馬達が。このあたりで足を止め、草を食むなどのんびりしているではありませんか。 「やはり馬は良い。凛々しくも威厳を感じる生き物よ」 「そうだ。馬はいいんだ。……口で言うだけでついてくる奴もいるとは思わなかったが」 爽やかに言う氏祇。早矢も馬に乗り、夜空を従えて戻る。ついでに夜空についてくる馬もいますね。早矢はこれを見て呆れ気味です。そしてクジュトはここで馬達の番をするようで。 さて、街中で頑張っている人もいます。 「あぶねえなあ!」 咆哮一発、覚悟を決めているのはルオウです。 おかげで暴走した馬がやって来ましたよ? が、これを戦いと踏んだルオウ。こうなると彼は強いです。 「どうよ! ……おーしっ! おさまれ! どうどう」 突っ込みに対し先を取るや、ひらりと馬に飛び乗っています。そしてなだめるのにも成功。 「おらっ。そこの馬は大人しくしろよ!」 周りを走る血の気の多い馬には剣気で怯ませたりも。 『ボン。この馬、後は任せてくださいまし』 雪は縄を咥え、近くにいたシンディアを見ます。 「……もう、大丈夫よ。落ち着いて……大丈夫♪」 シンディア、雪から馬を引き取り手馴れた様子で落ち着かせます。 「やるなっ!」 「馬は故郷に居た時に、よく世話を手伝っていたの」 感心したルオウにそうこたえるシンディアです。 そこへ、騎乗したナキもやって来ました。 「眠らせた馬は仲間の浪志組隊士に任せてきたぜ。こっちのは……近藤、頼むぜ?」 ナキ、相棒の鬼火玉を振り返ります。 なんと近藤、先にシンディアに渡されたニンジンを下げているではないですか。ふよふよと飛んで馬の鼻先にニンジンを近付け気を引くと、そのまま先導して連れて行くのでした。 もう、騒ぎは時間の問題です。 ● すっかり落ち着いた広場に、クジュトの音楽が流れています。 協力した開拓者たちは、ここでうどんを食べたり音楽を聴きながら体を休めているようです。 「じゃ、俺はネージュとの約束があるから」 羅喉丸はネージュと一緒に買い物の続きに行きました。ネージュ、うれしそうですね。 「よっしゃ。そんじゃ俺は剣の舞で合わせるぜ〜」 『気に入ったらどうぞこちらへ♪』 ルオウ、剣でクジュトの曲で踊ります。雪は猫かぶりしつつおひねりもらいまくりで。 そんな背後に、「うろん屋」の屋台。 「蕎麦もいいが、うどんもいいな」 「だろ? ここのは上手いんだぜ?」 ちっち、と楊枝を使う氏祇にナキが二杯目を注文。近藤もふよふよ浮きつつずるずるやってたり。 「お姉ちゃん、この馬は大人しいね」 「だろ? 夜空っていうんだ」 早矢は夜空に寄ってくるチビッ子の相手。先の一件で馬嫌いになってないことをうれしく思いつつ。 「じゃあ、買い物の続き。肉屋さんにいきますよ」 「えー。もうちょっと聴く〜」 シンディアは音に引かれたアンプルナに」あらあら」。 ところで、いちゃラブな二人は? 「中断して悪かったね。何でもいう事を聞くから、許してくれ」 「構いません。……さ、やり直しです。いきましょうラシュディア」 頭をかいて謝るラシュディアの腕に絡みつくジレディア。 二人の一日はまだ終らないようですね。 とにかく、町の平和はばっちり守られました。 |