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■オープニング本文 「やっぱり温泉はええな」 「やっぱり温泉は極楽よな」 「まさに天が授けた生きとし生けるものたちの秘宝よな」 神楽の都の一角にある、珈琲茶屋・南那亭は今日もにぎわっている。今日のお客さんたちの話題は、年配男性を中心とした温泉談義のようで。 「へええっ、温泉に行って来たんですか。いいなぁ。私も行きたいなぁ」 ぽわわん、とそんなことを言いつつ珈琲を給仕しているのは、南那亭めいど☆の深夜真世(iz0135)。今日もメイド服の裾をひらりん☆とひらめかせながら笑顔で働いている。 「おお、真世ちゃんも行って来ればいいのに」 「温泉は気持ちええぞ〜」 「お肌もつやつやの温泉美人になって、売り上げアップも間違いなしじゃ」 「でも……。私、ここをお休みしてる時は開拓者として働いてるから」 しゅん、と寂しそうに返す真世。 と、ここで。 「真世ちゃん、だったらええ依頼があるで」 「うんうん。温泉にどぶ〜んと漬かれる仕事があるんや」 店の隅のテーブルでしきりに手招きする一団がいた。 以前にスケート依頼を持ってきた助平商人たちである。 「んも〜。また下品な笑みを浮かべてー。今度は何ですか」 「とか何とか言いつつちゃんと来てくれるところが、さすがわしらの真世ちゃんじゃの」 寄って腰に両手を添えため息をつく真世に、まったく弁明などしない商人たち。どうやら今回もそういうお話のようで。 「ある山地に狼アヤカシが群れておる地帯があっての……」 というわけで要約しよう。 ある山地で雪狼のアヤカシが幅を利かせていた。 基本的に人里から離れているので無害ではあるのだが、雪狼アヤカシどもは活動範囲が広く年に一度は麓の村近くまで来て、少なくない被害を与えるという。 当然退治すればいいのだが、雪狼は数だけではなく群れも多い。かつて開拓者を雇って、村まで接近してきた雪狼の群れを退治したことがあったが、後日別の雪狼アヤカシの群れがやってきて大暴れしたという。その様子はまるで報復で、急襲だったため新たに開拓者を雇う時間もなかったらしい。もちろん、前の開拓者は戦った雪狼アヤカシは漏れなく討ったということだったが。 ともかくそれ以降、村の近くでは騒ぎを起こさないほうが良いという流れとなった。 代わって、村とは別方向となる場所で敵と戦闘する手法がなされる。 さりとて、雪狼アヤカシは雪原では手強い敵となる。ひとつの群れを全滅させても、間髪入れず次の群れとの戦闘となることもしばしで、村から敵を離すという面では効果テキメンだった一方、作戦を担う開拓者からの不満は高かった。 「で? その話がどうして温泉にどぷ〜んになるのよ」 口を尖らせる真世に、まあまあと落ち着かせる助平商人たち。 「問題は、雪山への移動と撤退。そして、作戦の戦略目標は退治ではなく村とは遠い場所で戦闘しそこに敵戦力を集中させること」 「これらを改めて考察して編み出されたのが……」 人差し指を立てて左右から真世にずずいを身を寄せ説明する商人たち。そして――。 「それが、『スキー滑降戦術』じゃ。これなら上から下へ逃走しながら、喜んで走って付いてくるアヤカシを攻撃できる。スピーディーな戦闘が快感で、癖になるそうじゃ」 「そ、それと温泉が……」 真世、スキー履いて戦闘して快感といううたい文句にくらっと落ちかけている。 「頂上付近には小型飛空船で移動し、垂らした縄で出発点まで移動。その後は、飛空船に気付いて様子を見に森から出てきて襲ってくるアヤカシを振り切りながら撃って撃って撃ちまくり。最後は断崖絶壁が待ちうけとるが、ここからスキーでジャンプするとちょうど下にある湯量豊かで広いほかほかの温泉にどぷ〜んと無事に着水できる、というわけじゃ」 「そのまま温泉でお疲れ様、じゃの」 「崖の下はちょうどアヤカシの活動範囲外。ジャンプしながら上着を脱げば、服は濡れずに済む。下は雪じゃから放り投げた装備も無傷で済む」 「ちょっと! 空中で素っ裸になるの?」 ががん、と突っ込む真世。 「素っ裸になってもいいし、下着のままでもいいし。水着なら真世ちゃん、お得意じゃろ?」 「ちょ……何よ、それ……」 好き放題言われた真世だが、もじっと身をよじるだけ。羞恥心がまだある一方、言葉に力はない。きら〜ん、と瞳を輝かせる商人たち。 「爽快な雪遊びとほかほかの温泉が一度に楽しめるのぅ」 「あの場所は人里から遠いし、誰も見るものはおらんしの。恥ずかしゅうはないじゃろ」 「う……」 身を引き加減にとぼけた風を装う商人たち。真世は釣られるように思わず身を乗りだしていた。 「依頼仲間もみんな空中で服を脱ぐんじゃし、恥ずかしがるほうが恥ずかしいの」 「それに真世ちゃん、弓使いじゃろう? 遠距離職がお似合いの依頼じゃし、弓の稽古にもなるじゃろ?」 「くっ。わ、私、やるわっ」 さらにすっとぼけつつ魅力を話す商人たちに、ついに真世は落ちるのだった。 |
■参加者一覧
神町・桜(ia0020)
10歳・女・巫
紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)
18歳・女・泰
エメラルド・シルフィユ(ia8476)
21歳・女・志
雪切・透夜(ib0135)
16歳・男・騎
御陰 桜(ib0271)
19歳・女・シ
リィムナ・ピサレット(ib5201)
10歳・女・魔
御調 昴(ib5479)
16歳・男・砂
中書令(ib9408)
20歳・男・吟
ヴィオレット・ハーネス(ic0349)
17歳・女・砲 |
■リプレイ本文 ● 一面の銀世界を見下ろす飛空船の甲板で。 「あたしはスキーには慣れてるんだ♪」 小さないたずらっ娘、リィムナ・ピサレット(ib5201)がルンルン気分でスキー板を装着しストックを手にした。 「火縄銃は使い慣れないけど、負傷してるから遠距離で」 耐水防御を忘れずに、などと呟きつつ長身のヴィオレット・ハーネス(ic0349)が屈んで準備をする。 「あー……。ちょいまずいな、こりゃ」 二人を見比べつつ船員が頭を掻く。 片やぺったんこで、片や大変豊かな巨乳さん。 「何がまずいのよ?」 深夜真世(iz0135)が突っ込む。 「いや、昇降板に座るのにバランスがね」 説明する船員。両端を縄で縛った丸太に横一列に座って、甲板の歯車付きの装置でゆっくりスキー板を履いた開拓者全員を下ろすのだ。 「な、なぜこっちを見る、真世!」 ははあ、と得心した真世がエメラルド・シルフィユ(ia8476)の方を見るが、こういう視線に敏感なエメラルドが白い頬を真っ赤に染めて突っ込んでくる。 「桜さんを見ようと思って……」 「ん? わしを呼んだか?」 真世の言葉に振り向いたのは、「ひんぬーどんぐり」こと神町・桜(ia0020)。 「いや、ちっこい桜さんじゃなくて……」 「何! いまおぬし『ち巫っ女』というたか?」 言い訳する真世にち巫っ女・桜がつかつか近寄って爪先立ちして凄む。 その横で。 「一応日焼け止めも塗っておこうっと♪」 ぽよん、と豊かな胸を跳ね上がらせて顔を上げたももくのいち・御陰 桜(ib0271)がお肌にすりすり。どうやらこっちの桜だったようで。 「それにしても、狼アヤカシの縄張りをスキーで滑り降りながら通過……」 その隣では中書令(ib9408)がもふもふのノーザンミトンに包んだ手で、マフラー「ホワイトスワン」を颯爽と首に巻きつけた。肌も髪も雪のように白く静かな男である。 「そして倒し切るんじゃなく引き付けるだけ引き付けて逃げる戦い、ですか」 さらに横で、御調 昴(ib5479)が2丁の魔槍砲「連昴」を準備している。この様子にち巫っ女・桜が気付いた。 「ほぅ。魔槍砲をストック代わりにするか」 「僕にとって特別な魔槍砲だから、きっとこういう使い方も耐えてくれるはずです」 すっかり気に入ってそちらに駆け寄る桜。ホッとする真世。昴は自分の身長よりも長い銃を慣れた風に操りながら柔らかい笑みを湛えている。 何とも微笑ましい光景だが、ここから空気がおかしくなる。 「形としては一応退治依頼……なんですよね? もふ龍ちゃんは、温泉の近くで食材の番をしててね☆」 「もふ! 任せるもふ!」 豊かな胸を震わせて、紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)が連れて来た相棒のもふらさま・もふ龍を放し立ち上がった。 「髪はあっぷにシてまとめておくわね♪」 ももくのいち・桜が色っぽく髪をアップにして白いうなじを惜しげなくさらす。流し目が色っぽい。 「猫耳カチューシャとお手製の猫尻尾装着して猫さん気分♪」 リィムナは腋と背中全開の改造巫女服にミニ袴姿で、なぜか猫仕様。 「真世。スケートは前に滑ったけど、スキーはどう?」 雪切・透夜(ib0135)は恋人に「こっちにおいで」と手招き。 「す、滑り降りるだけでしょ?」 「まったく……。速度を落とす時は腰を使って蛇行するんだ。ほら、こういう風に」 「あんっ!」 真世の腰に手を添え指導する透夜。真世の方はいやんいやん腰を揺すっているが、「そうそう。いいよ、真世」とかですぐに手を離す。 「あ、嫌じゃなかったのに……」 「私も弓を使おうかな」 指をくわえて物足りなくする真世に、スキーはばっちりのエメラルドが胸を張る。 そして船員から準備の合図が出た。 ● そして、開拓者が横に並んで座る長椅子がゆるゆると下ろされた。 「高いにゃ〜♪」 「リィムナさん、落ちないで下さいね〜」 「ひいいっ。透夜さん、よく平気ね?」 「見晴らしが良くて最高だけど?」 ネコ化したリィムナがはしゃいぎ、横に座る沙耶香がもふ龍を抱くようにむぎゅりと抱いて落ち着かせ。横では真世がびびり透夜に抱き付き、透夜はぽふぽふ。 「重体なので真ん中か……」 「バランス云々言ってましたしね」 「……む、胸ではなく身長のバランスだぞ?」 ヴィオレットが不安そうに透夜と昴に腕を絡める。昴は真っ赤になってぼそり。隣のエメラルドの言葉で視線を下にしてさらに真っ赤っか。 「昴が二本なら、わしは薙刀一本じゃ」 「あたしは板一枚で滑るわね♪」 ち巫っ女が言えば、ももくのいちもばっちり個性を見せる。 「さあ、行きますよ」 最後に中書令が言ったところで、無事に着地した。 瞬間! ――ざっ! 「いやっ、ほーっ!」 声も高らかに全員がそろって滑り始めた。 「では『怪の遠吠え』で集まってもらいましょう」 ――ちゃちゃちゃん、ちゃちゃ♪ 中書令が琵琶「青山」を荒々しく奏で始めた。 「みんにゃー! ねこ巫女リィムナの萌え萌えリサイタル、始まるにゃー!」 高らかに宣言しながら滑るリィムナ。右手を掲げ反らす首に、首輪状にした聖鈴の首飾りがきらりん☆。 ここで、右手の森林から狼アヤカシが姿を現した。 ココロ撃ち抜く小悪魔ウインク♪ みんなあたしにメロメロにゃん♪ リィムナは自作の曲を歌いつつ、狼にウインク。 ――オンッ! ドサッ! 立て続けに2匹が彼女のウインクでメロって昇天した! 「実際は『魂よ原初に還れ』なんにゃけどね〜」 リィムナ、気持ち良さそうだ。 他の9人は逆に中書令の演奏をバックに微妙に位置取りを変え複雑なシュプールを描き出す。 「退治する敵の数の調整、お願いします」 叫んだ中書令の言葉の通り、勝ち過ぎてはいけない。 「じゃあ、かく乱行ってきます」 沙耶香が大きなお尻をくいって捻って減速しつつ右へ。武器は闘布「舞龍天翔」だけ。 「僕も得意な距離は中距離ですからね」 昴も右にぐいんと寄って続く。ストック代わりの魔槍砲はこの程度で折れたりはしない。開発に関わったときの苦労がこんなところでも役立っている。 「私だって」 真世もお尻をくねらせ続く。 「仕方ない」 エメラルドはお尻を落とし腰から足をそろえて踏み込むようにして右へ。 「来たっ」 「沙耶香さんはやらせないんだからっ!」 昴が叫ぶと真世が理穴弓を放つ。当の昴はさらに引きつけてから右手の魔槍砲でど〜ん! 「よしっ!」 一発で仕留め会心の思いで左にバンクする昴。跳ね上げる雪も小気味良く舞う。 「真世さんの続きは私が」 沙耶香、穏やかに言うと闘布の左手から紅の波動をど〜ん。激しい紅砲で狼をふっ飛ばす。 「跳んでるのもいるぞ!」 ロングボウ「ゴールドシューター」を構えるのはエメラルド。 波状攻撃で上から襲い掛かってきた敵を撃つ。 いや、撃たない。 放たれたのは矢ではなく、雷の刃。雷鳴剣だ。空中で仰け反り瘴気に返る狼。 「やりますね〜」 「こういう使い方も出来る」 感心する沙耶香にふふんと胸を反らすエメラルド。 「ふ、それ以上は近付けさせぬ。わしの術を食らうがよいのじゃ!」 ざざっ、と地面の雪が舞い新たに右に寄ってきたのは、ち巫っ女・桜。カヌーのように使っている巴型薙刀「藤家秋雅」を振るのかと思えば――。 「喰らうが良い」 かざした右手から、精霊砲どーん! 派手に狼をふっ飛ばす。もちろん一体消滅。 「やっぱり右からね♪」 ふ、と左に退くち巫っ女の影から、今度はももくのいちが軽快に腰を振って大きく右に出てきた。 「まずはた〜んの遠心力を使ってっと♪」 その勢いを乗せ手裏剣「風華」をサイドスロー。 が、倒れない。 「あらま、いつもと体勢がチガうから? でも、空中ならそんなに変わらないわよね♪」 板の弾力を使い跳躍一回転。逆さの状態からサクラ形手裏剣を投げ下ろし、これで止め。 ――ダンッ! 着地もお見事。 「調子出てきたから、オマケつけてあ・げ・る♪」 さらに手裏剣「風華」を「螺旋」で投擲。さすがに一撃で黙らせ投げキッス。 この時、ヴィオレットの叫ぶ声がした。 「前! すぐに難所がある!」 「ヴィオレットさんの言う通り。そして敵も隠れています」 超越感覚で集中していた中書令も叫んだ。 すぐ一本木と岩の地点に差し掛かる。 ● 「真世」 透夜は手を伸ばし、真世の手を取った。彼女を引き付けて一本木に差し向かうと……。 「すぐに戻っておいで」 そう言って真世を左に突き放す。自身は一本木の右へ。そっちは森に近いぞ! 「騎士としての名誉と誇りを懸けて……」 透夜、うっすらとオーラを纏いロングボウ「ウィリアム」で進行方向に出てきた敵を撃つ。真世を狙って回り込もうとしていた狼はこれで消滅した。 しかし、彼の右から狼が飛び掛っているぞ。 「兎に角近付かれて攻撃を受けるというのは避けたい所だしな」 ――ターン! ヴィオが透夜に襲い掛かった狼を撃った。弐式強弾撃できっちり仕留め、自身も右を駆け抜ける。 「不意打ちを受けないように」 同時に左を抜けたのは、昴。 一本木を抜けた後、強引に右に切って両手を掲げる。背後を左に思いっきり切ったヴィオが離脱する。 「手数で勝負です」 装弾数の多い連昴の特性を熟知する昴、両構えから二丁乱舞でヴィオレットを追う敵を一掃した。 「真世!」 「透夜さんっ」 その前では右に戻ってきた真世の手を透夜が再び取った。 「本当なら、『精霊の狂騒曲』で周囲のアヤカシ達をまとめて退治するのですが」 「その分、索敵で貢献してるじゃないか」 左を抜けた中書令に寄せつつ、単動作で次弾をこめるヴィオレットが縁の下の力持ちを労う。 「とにかく右ですね〜」 「これで仕舞いじゃの」 「気持ちイイわよね♪」 「そこで痺れてるといい」 沙耶香が紅砲で、ち巫っ女が力の歪みで、ももくのいちが明山の拳石で、エメラルドが雷鳴剣で待ち伏せ地点を駆け抜ける。 「いやっほ〜!」 10人が腰を振り、乱れた隊列を戻し滑る。 子猫のゆーわく 甘い囁き♪ 欲しいなら追いかけるにゃん♪ 魂まで蕩けさせてあげるにゃ〜♪ 最後に、リィムナのお尻ぺんぺんポーズとともに放った「魂よ原初に還れ」で追撃をシャットアウト。 さらに追いすがる狼もいるが……。 「後は突っ切ってジャンプして温泉にどぼ〜んよ」 「男女別々だろうし、楽しめるね」 見詰め合う真世と透夜。 「って、崖をダイブなのか!?」 二人の横に並んで突っ込むち巫っ女・桜。 「いってなかったっけ? んでもって、混浴よ?」 真世、間違いを正す。そりゃもうきっぱりと。 「え、一緒のお風呂、なんです?」 並んだ昴が愕然とする。 「とにかく速く。残した狼が来てます」 沙耶香が速攻で間近に迫った狼を退治しながら皆を追い抜く。 「うんっ。そしてジャンプして空中で服を脱いでね?」 「く、空中で服を脱ぐだと!? ふしだらな!」 「敵の疾走はなかなかのものです。加速してください」 真世の言葉に食ってかかるエメラルドだが、横に来て報告する中書令の言葉にぐうの音も出ない。 というか、もう崖だ! 「それーっ!」 全身に風を受け、今飛翔する! ● 「嵌めたなぁーー! 真世ぉぉーーっ!」 エメラルド、神聖な服を水浸しから守るためばっと脱ぎ大きな胸を右手で抱き左手を太股で挟むようにして隠し高々と舞う。 「楽器を濡らす訳には……」 男性用水着の白書令は琵琶を持って万歳ジャンプ。 「ええい、こうなれば自棄じゃー!」 これを見たち巫っ女・桜はつられて万歳。惜しげもなくさらし姿を披露。 「確かに濡らしたくないな」 ヴィオも脱いで火縄銃万歳のさらし姿。こちらはたぷんと反動で豊かな胸が上を向いてたり。 「沙耶香さん、近寄らないでっ!」 「仕方ないですね〜」 昴は女性と絡まらないようにしていたが、両手で腰を隠していたのを見て水着姿の沙耶香が闘布をふわり彼の前に。昴としては沙耶香の胸が目に入りドキドキ☆。 そして、ももくのいちが大らかに後方回転ひねりでばさりと着衣を脱いだッ! なんと、白い肌を晒した素っ裸だが……。 「さぁびすはココまで☆」 手裏剣を扱うようにもふらストールを波打たせ胸やら大切なトコを微妙に隠す。 そしてリィムナはクローチング姿勢でお尻ふりふり♪ 「みんにゃ、ありがとー!」 猫尻尾を引っ張り一気に脱衣! スク水型の日焼け跡くっきりの一糸纏わぬ姿になるが、これも皆の脱いだ服が微妙に大切なところを隠す。 ――どぼん、どぼ〜ん! 開脚したリィムナが、足から落ちてきたももくのいちが、こっそりビキニ姿になっている真世と男性用水着の透夜が、次々と温泉に落ちてくる。 「ぷは〜っ!」 エメラルドも無事に着水するが。 「なんだ、真世。その水着は……って、こらリィムナ、何を……きゃあああ!」 「まあいいじゃない、エメラルドさん♪」 素っ裸で胸を手で隠すエメラルドが「温泉で水着は邪道」とかいいそうなところをリィムナが抱き付いて倒す。ていうかリィムナ、胸のサイズを手の平で測ってるし。 「おっと。リィムナもおっきくなるといいな」 二人を大きな胸で抱きとめたヴィオレットは、揉まれたリィムナにちゃんと揉み返しすきんしっぷ☆。きゃあん、とリィムナがさらにその気になって次の獲物たる真世を巻き込む。 「もふ☆。ご主人様〜」 「もふ龍ちゃん、こっちですよ〜」 沙耶香はもふもふと走り寄ってくるもふ龍を迎えて料理に。 「ふぅ」 「その……中書令さんは恥ずかしくないんです?」 湯船の端に背を預けくつろぐ中書令と、端の方を向いて小さくなっている昴。どうやら水着の女性陣の嬌態から目を背けているらしい。一緒にいる透夜も目のやり場に困っていたり。 「皆さん水着が多いですが……落ち着きませんね」 「混浴とはこういうものです」 頬をぱりぽり掻く透夜に、涼やかな中書令。昴はちらっと背後を見てみる。 「イイお湯だし胸も楽だし温泉ってイイわねぇ♪ ……ん? なぁに、気になるの?」 ちょうど、ももくのいち桜がゆったりしていたのと目が合う。湯気がいろいろ隠してたが、沸騰したやかんのようになってまたも背を背ける昴。 「透夜さ〜ん」 恋人に駆け寄る真世。透夜とぴとっと肩を寄せ湯の中で手を繋いだりとまったりして大満足だったとか。 「ふぅ。戦いや崖からのジャンプはあれじゃったが、まあ結果オーライじゃの」 ここでち巫っ女・桜も来る。 「桜さん、さらしが微妙に透けて……」 ひいい、と真っ赤になり両手で顔を覆う昴。 「ま、真世しか見てないからっ」 透夜も真っ赤になって真世の方を向く。 「桜さんもチェック〜」 「リィムナ、こらっ」 そこへ揉み合うようにリィムナ・エメ・ヴィオがなだれ込む。面白そうだとももくのいちも突っ込んでくる。ち巫っ女、こうしてリィムナの餌食に。 「お味噌汁、いい味です」 騒ぎをよそに、沙耶香の料理がことことと沸き立っていた。 こうして温泉に漬かって運動もして、依頼も大成功。食事も美味しかったという。 |