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■オープニング本文 「……うにうにってしててね、吸盤のとこのいぼいぼがぐにゅぐにゅって感じでもー、気持ち悪かったのよー!」 ここは天儀の神楽の都、いつも静か……ではなく、にぎやかな珈琲茶屋・南那亭。きょうもいつものように働いてる深夜真世(iz0135)は、お客様と前回の依頼「尖月☆水着の防衛ライン」の土産話をしています。囮となったほかの女性開拓者と共に大ダコに絡まれたり水着のトップを剥がされたりときゃいきゃい……ではなく、大わらわだったみたい。 「だから、しばらく海は勘弁して〜っ、て感じなのよ?」 「ふぅん。それじゃ、川に来るかい?」 あれ? 話を聞いていた客が真世に話を振りましたよ。 「へ? ……でも、まだ天儀で泳ぐにはちょっとだけ早いじゃない?」 「いやいや。この時期の川っていったら、釣りに決まってるじゃないか」 曰く、この客の地元の清流では、鮎が大きく育ってきているとかなんとか。 「他所モンが来て、育たないうちに釣りまくったり荒らしまくったりするんで有料の鑑札を出して釣り人を制限したり、禁漁期間を設けて鮎の育ちを待ったりとちゃんと管理してるから、ウチとこの清流は自慢の釣り場なんだよ」 胸を張り、ふるさと清流自慢をするその客。ちょっと遠い目付きをしたのは、よほど愛着があるのかもしれませんね。 「へええっ。素敵なところなんだろうなぁ」 お客の幻想した光景が見えたわけではないでしょうが、真世も引き込まれるように話に釣られたようです。きらきら瞳を輝かせてます。 「よっし。あんたはいつも泰国の珍しい話をしてくれるから、そのお礼だ。オレの故郷に招待するから、存分に故郷自慢の清流と、鮎の友釣りをたのしんでくれ」 ちょうど鮎の友釣りは解禁されたばかりだら、とその客はいうのです。 「わあっ、ホントにいいの?」 「ああ。……仕事でずうっと里帰りできない、オレの分まで楽しんでくれよ。そんで、この店でまたその時の土産話をしてくれれば嬉しい」 里帰りできてない、という言葉は本当のようですね。ちょっと寂しそうな瞳をしましたが、真世の喜びようを見てすぐに吹き飛んだようです。 「村長への手紙を書くから、それを持っていけば歓迎してくれるはずだ。お仲間さんも六人までなら誘ってもいいよ。みんなとわいわいしたほうが楽しいだろうし、土産話も楽しくなるしな」 「うんっ、分かった」 「おっと。その話、待った」 真世が頷いたところで新たな人物が割って入りましたよ? 「あんた、開拓者だったね。だったら、そっち方面に行くウチの商隊の護衛もお願いできないかな。比較的安全な道なんだが、最近は思わぬところへアヤカシも出てくるようだし」 どうやら商人さんらしいですね。 「……その、護衛と言うか同行してもらう、だから賃金は安くなっちゃうんだけど」 つまり、ついでに一緒に行って仮に何かあったら助けてね、薄謝は出すから、ということみたいですね。便をうまく利用して安く上げようとするあたり、商売上手さんです。 「ん、いいよ。それじゃ、護衛と鮎の友釣りで依頼を出しとくね♪」 にこっと話をまとめる真世でした。 |
■参加者一覧
舞 冥華(ia0216)
10歳・女・砲
紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)
18歳・女・泰
草薙 慎(ia8588)
22歳・男・弓
御陰 桜(ib0271)
19歳・女・シ
彼岸花(ib5556)
13歳・女・砲
ファムニス・ピサレット(ib5896)
10歳・女・巫 |
■リプレイ本文 ● 迅鷹の高く舞う河原。 ころん、と桜の舞い散る花柄下駄が河原の石で鳴りました。 足はしっとりと淡い桃色の薄手の着物で包まれ、すらり。豊かに出たお尻の上には、意匠豊かに結われた帯。くるっと差した仕込傘が翻り、桃色の髪が流れます。 「今回のふぁっしょんは避暑地のお嬢さんっていめ〜じで品良くまとめてみたつもりなんだけどどうかしら♪」 振り向いた姿は御陰 桜(ib0271)さんです。強い日差しと川沿いの爽やかな風をいっぱいに受け、楽しくなりそうな一日に胸を膨らませています。 「うんっ。ばっちりお嬢さんだよ〜」 きゃいきゃい喜ぶ深夜真世(iz0135)さんは、半ズボンで男の子のような格好ですね。 「まよまよも桜もみんなかわええのぅ」 右半分もろ肌脱いで腕組みしうんうんと二人を眺めているのは草薙 慎(ia8588)さんですが、のんびりしてていいんですか? 「ん、一泊するからやることけっこある。天幕さくせと、夜ごはーんのさくせ……」 「そうですね。美味しい鮎を食べましょう!」 「もふ龍がぺしぺし取るもふ!」 舞 冥華(ia0216)が後でふーやれやれと運んできた天幕を下ろして、紗耶香・ソーヴィニオン(ia0454)さんが泰鍋とかフライパンとかを出して精霊のおたま片手に意気を上げていますね。沙耶香さんの朋友もふらさま、もふ龍ちゃんも元気いっぱいです。 「まず泊まる場所に天幕を組み立てそこに使わない荷物などを置いてから、ですね」 白い狼耳をぴこぴこさせて計画的なことを言っているのは、彼岸花(ib5556)さん。白く美しい長髪に飾った赤い彼岸花の簪がとっても映えててオシャレなのです。 そして、皆さん一泊する気満々で天幕をどんどん下ろしてますね。 「ん、料理はできる人で天幕はみんなでつくればい」 「……なんで僕を見るのかのぅ?」 冥華さんの視線に気付いた慎さん、いやな予感がしてるみたい。 「男手一人しかいないからこき使うしかない、なんとかしれー」 「あ、ほらほら。天幕って二人用でしょ? 何とか工夫してみんなが入れる一つのおっきな天幕にならないかな〜って思うの」 冥華さんのフォローに入る真世さん。 「釣りは初めてですので、楽しみですね」 「彼岸花ちゃんもそーなの? 私も初めてなんだけど、どういう風にしたらイイのかしら?」 「まずは水没してもいい様に水着にお着替えがいいんじゃないでしょうか?」 彼岸花さんと桜さんがきゃいきゃい話して、ファムニス・ピサレット(ib5896)さんがいきなり次善策を打ち出してますね。 「……まあ、まよまよに頼まれてしまってはのぅ」 ぽり、と頭をかいて天幕合体設置を試みる慎さんでした。 「ちょっと、壁になってください」 あああ、作業の隅では彼岸花さんと桜さんに守ってもらいながらファムニスさんが着替えを始めちゃってます。服を脱いで下着姿になると、巻きタオルを巻いて足から下着を抜いて、今度はスク水という謎の略称でどこぞの世界では知られるようなぴっちぴちのワンピース水着に足を通して……。 「どしたの? ファムニスちゃん」 「……はっ! 駄目です!」 首を捻る桜さん。ファムニスさんは屈んだまま壁になってくれてる二人のおっきな胸に見惚れていてたり。どどん、と間近になったものですから固まってしまったようですね。 「それにしても……皆さん、ご立派で……」 ぴちっ、と肩に水着を掛けて着替え完了しつつ、何とか理性を保っているのでした。 「いいけどね」 慎さんはぼやきつつも6人用天幕を完成。 後に、あのような悲劇に見舞われるとも知らずに。 ● さて、村から貸してもらった釣り道具一式の中には、竿や囮鮎、一日限りの鑑札のほか、鮎釣りの指南書も入っていました。 「……深夜、君。分かります?」 「う……。えっと、針にエサをつけるのじゃないみたいよね〜」 指南書に目を通しながら不安そうな彼岸花さん。真世さんに頼りますが、こちらもまた。 おや。 まあっ、という感じに明るい表情の人もいますよ? 「なんだ。囮の鮎で他の鮎を引っかけるって、美人局みたいだわねぇ?」 独自の解釈で桜さんが任しとけ状態です。 そして沙耶香さんが眉の根を寄せています。 「ん〜やはり、こういうのはコツというのがあるんでしょうかね〜って……もふ龍ちゃん?」 「もふ?」 傍でぱしゃり、と音がしているのに気付き振り向くと、なんともふ龍さんが水面を短い前肢でぺしっ☆と叩いて魚を弾き取っているではないですか。 が。 「あ〜。こりゃ、アユじゃなくてカワムツじゃね」 釣果を覗き込んだ慎さんが、指南書を読みながら解説します。 「もふ〜ん……」 もふ龍さん、がっかり。 「とりあえず、夜ごはーんのおかずのためにも鮎はひつよ。水没してもいーからこんじょで手にいれろー」 「おー!」 とにかく、冥華さんがのんびり口調で喝を入れてともづりなう、です。 「だ、大丈夫でしょうか……」 彼岸花さんが、囮のアユを川に入れて指南書に書かれたような場所に誘導しています。 が、なかなかかかりません。 「あ、鮎に餌だとバレれて、るんですかね?」 「うーんんん……。って、来てるよ、彼岸花さんっ!」 「わわっ!」 涙目の彼岸花さんの隣で、いきなり真世さんが指摘します。どうやらかかったようですね。ぐぅーんと長い竿がしなってます。慌てて尻尾を立てる彼岸花さんです。 「し、深夜君、重いっ!」 彼岸花さんが慌てるのも無理はありません。鮎の友釣りは二匹を釣り上げなくちゃならないんですから、引きも普通の釣りの二倍です。 そして不幸にも、淵のそばの岩に陣取ってます。 「い、今助けるねっ」 「わ、わ……」 もう遅そうですね。真世さんがむにっと抱きついたまま、一緒にどぼ〜ん。 順調な人もいます。 すぱーんとぶっこ抜いて網でキャッチするのは、桜さん。 「うふふ。いい子ねぇ」 つつもたせ……じゃなかった、囮鮎に感謝しつつ魚籠に入れ川の水に漬けておきます。 「もうちょっと頑張れるわよね」 生きのよさに、囮交代はさせずにもう一度。 「それにしても、桃がいたら水練シたいのをガマンするコトになってただろうし、港に預けてきて正解だったわね」 桜さんの大切にしている朋友の忍犬・桃さんは、よく桜さんの依頼についてきては特訓する真面目な忍犬さんです。 「帰ったら、いっぱいもふもふシてあげなくちゃね〜」 気分も上々で、釣果も上々です。 そして、思わぬ手応えに苦戦する姿がここにも。 「私の釣り好きの双子の姉さんに負けないようにっ」 紫色の長いツインテールを躍らせ、背がちっちゃくて細身のファムニスさんが踏ん張ってます。ぐぐぐ〜んと釣竿がしなってて、大物がかかったっぽいです。 「去年は、アル・カマルで大砂蟲を釣り上げたって得意そうに……」 うんしょ、と薄い胸を張って引きますが、足元がつるっと滑りました。 「きゃっ!」 どぷ〜ん。 「……うう、水着でよかったです」 そう。 すでにファムニスさんはスク水です。 「……胸がもっとあれば、踏ん張れたのでしょうか?」 ふに、と自分の薄い胸を抱いて残念がるのです。 そんなファムニスさん紐ショーツが掛けられている場所に、ひらりん、とおっきくてびしょ濡れの布胸当てが仲良く二つ掛けられました。 そして衝立から出てきたのはワンピースの水着姿の真世と、エプロンドレス姿の彼岸花さんです。 「あれ、どうしたの? 彼岸花さん」 「む、胸が苦しくて……」 普段着慣れない服だったようで、胸のサイズが違ったようですね。むぎゅりとしてぴっちぴちです。 「あらん? 彼岸花ちゃん、せくしぃじゃない」 ここで、桜さんもいったん戻ってきました。 「ちょ、御陰君……」 もじもじする彼岸花さんが可愛かったのでしょう、桜さんは喜々として抱きついてたっぷりもふもふするのです。 「あらん、イけない。……それより真世ちゃん。慎ちゃん、天幕張りに頑張ったんだから水でも持って行ってらっしゃい」 「あ……。それならこの岩清水を」 「うんっ。分かったよ、桜さん、彼岸花さん」 というわけで、移動です。 ● 「んむー、こういう自然というのはいいもんだなー」 そのころ慎さんはのんびりしてました。持参したワッフルセットを食べてますね。すでにまあまあの釣果があるので余裕です。 「まよまよの方で喋ってるのもいいかな……ん?」 呟いたところで、真世さんが「慎さ〜ん」って呼びながら駆けてきています。 「さっきは天幕張り、お疲れ様でした」 「お安い御用。それよりまよまよ、これでもどうかの?」 水を受け取り、お返しにワッフルを勧めて。思わず目が合って、うふふはははと笑い合ったり。 と、その時でした。 「あっ……」 ワッフルを取りこぼした真世さんがわたたとキャッチし直します。 が、崩した姿勢は元に戻らず。慎さんが助けますが……。 「くっ」 「きゃ〜っ!」 仲良くどぽ〜ん。 かくして、ファムニスさんの紐ショーツと彼岸花さんのおっきめ布胸当と真世さんの普通布胸当が掛けられた衝立の横に、だいぶ距離を置いて慎さんのぱんつも掛けられたり。 「うぁー……えらい目にあった」 「……どうしてメイド服なのよぅ、慎さん?」 出てきた慎さんは何故かメイド服姿です。真世さんが早速突っ込み。 「はっはっは似合うかね」 開き直ってノリノリの慎さん。ヘッドドレスまでちゃんと用意してるあたり、着慣れているというほかありませんよね。 そして、時は随分たちました。 「さて、このあたりで引き上げて料理でもしますかね〜」 にっこり沙耶香さんは、結構釣ってますね。 「なかなかいい手応えでした☆」 「もふ〜」 満足そうなところに、もふ龍さんもやってきてたり。 「……相変わらずもふ龍ちゃんはすごいわね〜」 やって来た先を見ると、川の端に石を組んで生簀にして、そこにぺしっ☆と取った魚を集めていました。 「もふ龍すごいもふ☆」 「ほとんどがカワムツだけど……。カラアゲにしましょうね」 「もふ〜ん」 落ち込むもふ龍さんでしたが、料理上手の沙耶香さんにかかればまったく問題ありません。 「鮎の方は……やっぱり塩焼きでしょうね〜」 「早く食べたいもふ!」 沙耶香さんは鮎も料理慣れているようですね。もふ龍さんもすっかり機嫌が直っています。 「う〜」 おや。 びしょびしょの冥華さんがやってきましたよ? 「はわっ! 冥華さんどうしました?」 「ん、真世にまきこまれーですいぼーつ」 沙耶香さんに言われてぼそりと言う冥華さん。 ちょっと振り返ってみましょうか? 「冥華ちゃ〜ん」 「ん?」 ごろごろした岩場で結構な釣果を出していた冥華さんの元に、真世さんがやってきました。手には手作りクッキー。 「ファムニスさんに分けてもらったの。一緒に……きゃっ!」 「ん、岩が崩れそ。冥華はそんなおもくないし……真世おもい?」 あの、冥華さん? それってば一言多いですよ? 「えーっ。私、そんな重くないよ〜」 「こっち来ちゃだめ。バランス、崩れる」 抗議に来た真世のおかげで、完全に足場の岩は崩れました。 どぷ〜ん。 「はわっ。真世さんは?」 「真世はおもい……じゃなかった。水着だったから」 というわけで、紐ショーツと布胸当・大と布胸当・並の隣に、ぱんつLv3が掛けられるのでした。……さらに離れてばんつ、ですが。 ● そして、楽しい夕食。 ファムニスさんが火種で火をおこし、沙耶香さんが飾り塩をつけた鮎をじっくりと焼いて。冥華さんは食べる専門で、真世さんも似たようなもの。 「やっぱり料理は紗耶香ちゃんに任せとけば大丈夫ね」 桜さんもご満悦です。 「空豆に点心もありますよ〜♪」 「お煎餅をお汁の具にするって話を聞いたコトあるから……」 沙耶香さんが蒸篭を持って回遊すれば、桜さんは大判鍋蓋煎餅を砕いて汁に入れたり。 「おいしい〜」 「ん、七輪、役にたった」 にこにこの真世さんに、七輪で好みの焼き加減にさらに調整する冥華さん。 「お弁当もあります」 「じゃの」 ファムニスさんと慎さんは、重箱弁当を皆に差しだし。 「し、下ごしらえはボクも手伝いました」 彼岸花さんも頑張ったようですね。芋幹縄や梅干もそそくさと出して、とっても豪華な夕食です。 やがて、深夜。 「うむ、たまにはこーいうのも良いもんだ。……ん?」 慎さんが一人酒をやりつつ、自分の納まっている個人天幕に納まっていい気分です。が、隣の女性用合体天幕から聞こえてくる声に気付きましたよ? 「あの……真世さん、一緒に寝てもいいですか? 一人だと寂しくて」 「あたしは、抱きもふらよ♪」 「うんっ、ファムニスさんいいよ。……って、わああっ。桜さんいいなぁ」 「う、着替えようのぱんちゅ……」 「ま、舞君。衝立に掛けて乾かすといいですよ」 「それじゃ、取られないよう願を掛けておきますね。はい、もふ龍ちゃん、ありがと」 紐ショーツとか布胸当の並ぶ衝立、ぱさっ、と冥華の水着が新たに掛かり、さらに沙耶香のモフラテスのお守りが掛けられました。そして、乾くよう外に。 「冥華と一緒だと、抱きつき〜するかも……。あと、蚊遣り豚せっち」 「冥華ちゃん、さっすが〜」 慎さんは羨ましそうに声だけを聞いています。 と、ここで女性用天幕が開きましたよ? 「ん」 「はっはっは」 冥華さんの差し出した蚊遣り豚に、慎さんもにこにこです。 ● そして、朝。 「んあっ!」 「んー。じゃあ、ファムニスこっちにいく……」 「あら、おハよ」 「もふ龍ちゃん……はわっ!」 「冥華そんなおもくない……」 真世さんが起きると、真世さんの胸で寝ていたファムニスさんが桜さんの胸で寝直そうとして、もふ龍さんを抱いて寝ていたはずの沙耶香さんはもふ龍さんと一緒に冥華さんを抱いて寝ていたようで。そしてそんな真世さんは彼岸花さんに抱きついて寝ていたというカオスっぷり。 が、この時。 ばさー。 何と、一気に中で動いたことで、無理に合体させた天幕が崩れたではないですかっ! とたんにきゃーきゃー騒ぎ出す女性陣。 「まー、そういうことも……」 のんびりと一人眺める慎さんです。 「って、あれ? 彼岸花さん、熟睡してこの騒ぎでも起きないよ?」 「ん、ほっぺむにむにしてみーる」 「ファムニスがこの大きな胸に聞いてみます……」 「あらあら。口紅でも塗ってあげようかシら」 「皆さん、容赦ないですね」 なんだか、崩れた天幕の中でごそごそとやっているようですね。 「ん?」 それはそれとして、迅鷹がひょ〜い、とやって来て衝立に掛けて乾かしていたものをついばんでいくのを呆然として見送る慎さんでした。 後日。 「ああ、いるいる。悪戯迅鷹だな。白いものが大好きで、とにかく干してあるさらしだのを盗んでいくんだよ」 南那亭で土産話をすると、里の男はそんなことを言って一人爆笑しました。 人騒がせな迅鷹もいたものですよね。 ともかく、楽しく7人が遊んだ土産話を楽しんでもらえるのでした。 |