尖月☆水着の防衛ライン
マスター名:瀬川潮
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2012/05/23 20:31



■オープニング本文

●南那のこと(あらすじ)
 泰国南西部に、南那(ナンナ)という地域がある。
 海に面し長大な砂浜に恵まれているため漁業と製塩業が盛んで、半面陸地に平野部が少なく作物に恵まれない土地柄である。海上交易のみで考えれば結構重要な位置にあるものの、時代はいま空輸が盛んでもてはやされている。泰の主要都市を結ぼうと思えば泰南西部の海上航路は非常に遠回りになっていることもあり、省みられることの少ないのどかな雰囲気となっている。
 長い歴史の中、穀物生産量の低さと戦略的価値の少なさから、直接戦火にさらされることは少なかった。平地が少ない分山地や森林に囲まれ陸上交通の要衝である主要道一本を城壁で閉鎖すれば対外防衛は完了することもあり早くから専守防衛の構えを見せ、逆にそれで閉鎖的となり周囲の発展からも取り残され、長く停滞していた。
 近年、長い不漁に悩まされ衰退と人材の流出が続いていたが、旅泰商人が珈琲を天儀に輸出することで活気を取り戻しつつあった。今では、開拓者の活躍もあり天儀の神楽の都に「珈琲茶屋・南那亭」を出店し珈琲の普及の糸口とし、珈琲豆交流は盛んになってきている。
 この、活気を生むきっかけとなったのが南那沿岸に浮かぶ、三日月形の島「尖月島」だった。
 旅泰が開拓者を雇い居座っていたアヤカシを退治し観光地として開発したことが、全ての始まりだった。

●南那亭にて
「ふんふん・ふん♪」
 ふくらはぎからくるぶしまで見事なラインを見せる足が、回れ右するようにうねった。上体と腰を捻ったのだろう。直後にすとんと紺色のメイド服が落ちてきた。
「よい、しょっと」
 ステップを踏みメイド服を避けて、これを拾う。続けて小さな布切れを足元に持ってくる。片足ずつ踏み換えて、ピンクでフリフリしたものを一気にずり上げる。
「ん。いい感じ」
 ぴちっ、と小さな布でまるっこいお尻を奇麗に包むと、深夜真世(iz0135)はヒップの包み具合を確認するように身を捻る。やや大きめの胸はすでにピンクのトップにまるん、まるんと包まれている。無駄に半透明の布が腰まで垂れていたり。
「……獣人さん用なの、かな?」
 新しい水着の可愛らしさにご満悦の真世だが、お尻の尾てい骨がむき出しになるローライズ仕様には首を捻るが、気を取り直して装飾用の太股飾りをつけるべく足を上げる。
 仕上げは、髪を頭の両側でまとめて……。
「この格好で珈琲給仕に出たりなんかして」
 きゃ〜とか言いつつ一人盛り上がり、いまなら開店前だからいいよね、とか店内に出てみたり。
 しかし。
「……ぶっ!」
「きゃ〜っ! 何で次々朗さんがいるの〜っ!」
 何と、店内にはすでに志士の海老園次々朗がいた。どうやら正面をすでに開けていたらしい。
「まあ、ちょうどいいか。真世、林青さんが尖月島で大ダコ退治をしてほしいって」
 何だかなぁと呆れる次々朗だったが、これ幸いと手短に説明し始めた。
 曰く、常夏の島ですでに泳げる尖月島で、水着の女性が突如現れた大ダコ数匹に襲われ命を落としたらしい。
「すぐに退治してくれって」
「そりゃいいけど、次々朗さんは?」
「真世がいない間、ここの番だ」
「いや、どうして私が確定になってるの?」
 重ねて聞いた真世に、哀れそうな視線を投げる次々朗。
「襲われたのは女性だ。大ダコの習性は不明だが、女性を一人囮にしたほうがいいだろうって話みたいだな」
「囮って……」
 絶句する真世の肩を、ぽむ、と叩く次々朗だった。


■参加者一覧
柚乃(ia0638
17歳・女・巫
煌夜(ia9065
24歳・女・志
村雨 紫狼(ia9073
27歳・男・サ
ラシュディア(ib0112
23歳・男・騎
御陰 桜(ib0271
19歳・女・シ
ミリート・ティナーファ(ib3308
15歳・女・砲
リンスガルト・ギーベリ(ib5184
10歳・女・泰
シーラ・シャトールノー(ib5285
17歳・女・騎


■リプレイ本文


「う〜ん」
 大きな姿見の前で、青色の髪が悩むように揺れていた。
「そうだ。自分で選ぶよりも……!」
 決意に横を向いた顔は、柚乃(ia0638)だった。
「だう? 柚乃お姉さんも、せっかくだからこういうのはどうかな?」
 柚乃に「どっちがいい?」と聞かれたミリート・ティナーファ(ib3308)は、くるん☆と回って見せた。長めのパレオがなびき、犬の尻尾と茶色の髪もふわん、と回る。白い肌が眩しい中、桜色のビキニトップが小さなふくらみを見せる。
「え……」
「真世お姉さんもセパレートだし、お揃いな感じかも」
 一瞬躊躇う柚乃にミリートが強調する。名前を聞いて「ん?」と振り返る深夜真世(iz0135)の水着もセパレートだ。
 が、その隣のシーラ・シャトールノー(ib5285)は違う様子。
「あたしの水着はホルターネックのワンピースよ。……でも、後ろのカットが凄く大胆なのよね」
 黒髪をかき上げ突き出したヒップは、尾てい骨が見えるくらい深々と開いていた。間抜けに振り返ってお尻を突き出している真世もやはり尾てい骨丸出しだったり。それにしてもシーラ、身長があってスタイルも良く、肌も小麦色で水着が良く似合う。
「我が水着はこれじゃ」
 シーラの隣にはリンスガルト・ギーベリ(ib5184)(以下、リンス)がいた。手にした白いぴっちぴちのワンピース――世界が世界なら白スク水と言われそうな水着を皆に差し出すように見せびらかしている。リンスは素っ裸だが、前に出した水着で隠れていたり。
 そして前屈みになって水着に足を踏み換え通す。波打つ豊かな金髪が前に垂れてことごとく大切な部分を隠すのだ。そして、きゅっと足を踏ん張り穿いた水着を上に伸ばし肩に掛けて、無事に装着。肌も水着も白いので遠目には裸に見えなくもないが。
「タコかぁ……」
 ここで、真世が誰かの溜息に気付いた。
 見ると、着替える前の煌夜(ia9065)がそのまま外に出ようとしていた。
「真世さんが囮にねぇ……。さすがに一人に押し付けるのはかわいそうね。ここは一肌脱ぎますか」
「きゃ〜っ! 煌夜さんっ。更衣室の中で脱いでよぅ」
 外に出ていきなり上着を脱ごうとした煌夜を、わたわたと真世が追う。すでに煌夜は上着をはだけて、真っ白な両肩とうなじを無防備にさらしているぞッ!
「あら、下には水着を着てるに決まってるじゃない」
 くるっ、と振り返る煌夜。そのまま高床式別荘から下の海にどぶ〜んと落ちる真世。ひらっ、と煌夜が脱いだ上着が床に舞い落ちた後には、黒のビキニにパレオ姿があった。豊かな胸が細身に映える。
「柚乃ちゃん。あたしは今回はびきにじゃなくてわんぴ〜すにしたわ♪」
 とん、と柚乃の肩を叩いたのは、御陰 桜(ib0271)。そのまま更衣室から出た。
 そして海にダイブして真世を追う。いつもと違う水着なのは、水色に桜の花を散らせた柄が大層お気に入ったから。
 どぶ〜ん、ぷは〜。
「手に取らずにはいられなかったのよねぇ♪」
 顔を出しぷるぷる水を散らしてから、自分の胸元に手をやり着込んだ水着を愛おしそうに見る。
 この様子を遠くで見ていた者がいる。
「尖月島に来るのも久しぶりだな。……相変わらず、魅力的な女性が多い」
 ラシュディア(ib0112)である。男らしく褌一丁。それはそれとして、眩しい女性たちを見て困ったように視線を余所にやる。
「ところでラシュディア。俺の装備を見てくれ、コイツをどう思う?」
 隣では、何かが声を掛けてきた。
「まるごともーもー以外には、どうとも思わないけど」
 そう。すごく、もーもーです。
「まあ、断固NOタッチなんだが美少女たちもあらぬ警戒をしてしまうしな!」
 だからこういう格好なんだぜと反り返るのは、村雨 紫狼(ia9073)。
 そして、もはやお約束の叫びが響くのだッ!


「だから見てるだけで触らないからー! 本命はキミだけだからー!!」
 紫狼の気紛れな叫びが聞こえて、びっくぅ、と身構える更衣室から出てきたばかりの女性たち。
「あれ? キミって……。紫狼さん、ラシュディアさんが本命なのかな?」
「まさかね。試しにみんなで色っぽいポーズしてみる? 見られて減るものでもないし」
 ドン引きだったが、真世が「キミ」の対象を勘違いした。煌夜がさらりと言って胸をそらせて腰をくねらせてみる。
「ろりこんさん同士だから、『キミ』は間違いなくそれぞれのろりさんよねぇ?」
 桜も髪を両手でかき上げうっふん♪なポーズ。
「それじゃ、真世お姉さんも一緒に、がお〜☆」
「が、がお〜☆」
 ミリートと真世はお尻を突き出し、同じく尾てい骨の出ているシーラは自らのお尻を気にしつつ、「あたしもやるべきかな?」とか悩んだり。
「それじゃ、私も」
 柚乃も、がお〜☆。
「って、柚乃さん可愛い〜♪」
「結局、自分で決められなくて……ミリートさんに選んで貰っちゃいました☆」
 肩から胸元までフリルのある蒼色グラデトップに、きらきら虹色パレオだけど尾てい骨は出ている。
「ふむ。ろりは今日もろりであるようじゃの」
 横ではリンスが胸を張ってまる牛もとい紫狼とラシュディアの様子を観察している。というかリンスさん、水しぶきを受けて肌色が透けてる貴女の水着も注目を集めてますよ?
「股と胸は布が厚いから透けぬのじゃ」
 あ、そうですか。

 一方、男性陣。
「……ふぅ。あ〜、同行の美少女達よ! 別にキミらに言った訳ではないっ」
 シャウトした紫狼が寄って来た。
 彼の名誉のために書いておくが、決して色っぽいポーズにひかれたのではない。誤解を解くために行ったのだ。もっとも、お色気に近寄り始めた格好で、「やっぱりね」、「ふう、やれやれ」などと誤解というか、理解されるのだが。
「実はなー俺を好きだっていう女の子が最近出来たんだがな〜うん。……脳内嫁ちゃうぞーマジな話だ!」
 むきー、ばしゃばしゃと地団駄踏み水辺でとにかく元気なまる牛さん。
「ちょっと、水しぶきをかけないでよ」
「あ〜っ、リンスちゃんの白い水着がっ!」
「はやぁ〜。どんどん透けちゃってるね」
 煌夜がうざったがり、真世が気付き、ミリートが目を丸めて状況を説明する。
「妾は誇り高き貴族、何を見られても堂々と。じゃな」
 当のリンスはふふんと半回転するだけだが。って、背中は前面が透けてますよ?
「それより、折角近くまで来るようになったいるか達に被害が出たりしてないかシら」
「そうね。せっかく囮になりに来たんだし」
 珍しく騒ぎに交じらず真面目な桜。ここのイルカとはたくさん遊んでいるので気になるのだ。シーラも目的完遂へ面を改める。
「柚乃も……いつかイルカさんにも会ってみたいですっ」
「柚乃ちゃんもきっと仲良くなれるわよん♪ とにかく、前に出た場所とかの方が遭遇できる可能性は高そうよねぇ」
 瞳を輝かせる柚乃に返して桜が動こうとした時だった。
「おおいっ! うしろうしろ〜っ!」
 まだ砂浜にいたラシュディアが叫んでいる。
「はっ!」
 全員が振り返った時には、すでに大ダコの赤い触脚が――艶かしくところどころにぼこぼこと丸い吸盤のついた――が波間から鎌首をもたげて大量に迫っていたのだった。
 その間合い、不可避。


「水中から近寄って突然触手を出す、か……」
 囮をする前に襲われたか、と目を細めるラシュディア。
「来たわね」
 シーラは反応良く一歩引き、持っていた騎士剣「ロッセ」を抜いていた。
「だうっ! 濡らさないように」
 ミリートもマスケット「シルバーバレット」を構えつつ引く。
「ミリートさん……、あっ」
 柚乃は、武器を気遣うミリートをかばって蛸の餌食になっていた。結い上げ真珠飾りでまとめた髪もろとも、どぷ〜んと水中に。アンクレットが煌く白い足だけが高々と波の上に蹴りだされていた。
 別の場所では、真世も。
「ちょっと引っ張らないで〜っ!」
 そう。
 真世の悲鳴の通り、触脚は勢い良く纏いついてぐいっと水中に引きずり込むのだ。とはいえ、真世はまだ耐えている。
 それがむしろよくなかった。
「きゃ〜っ!」
 真世の悲鳴が響く。
「返し……いやぁん。……きゃあああああっ!」
「いやー、コレはやばいw」
 何と真世、水着のトップを取られて嫌がった。が、弾けた胸にはすぐに蛸の触脚が巻き付いてポロリ的にはセーフだが吸盤内側でうにうにうに。ついでにお尻から触脚が這い股の間からにゅるんとでて持ち上げられるという事態に。紫狼が一瞬傍観者になってしまうほどのアレっぶりだ。
「水中の柚乃さんが心配だ」
 外から一気に攻め込んできたラシュディアは、柚乃がより危険と判断。ばしゃりと海に踏み込むと、一瞬のうちに蛸の懐に入り込みショートソードを突き立て、同時に捻り抜く。「影」の極意だ。これには蛸もたまらず墨を吐き力を失った。
「けほっ、ありがとうございます」
 柚乃は無事脱出。というか、もう陰陽符を構えている。真世のように太股やわき腹に絡まれ、にゅるっ……とした肌触りにぞっとしたのだろう、険しい表情でもある。水着は半脱げだが、左手で胸を支えてポロリはない。
「軟体にも効くでしょうか……?」
 素朴な疑問と共に、精霊砲ど〜ん! 波間から顔を出す別の大蛸を倒す。
 一方、堂々ポロリしている姿も。
「真世さん、せっかく『脱がしやすい』水着なのに……」
 逆光となり太陽の煌きで隠れているが、煌夜は水着のトップがなく大きな胸をさらしたまま「降魔刀」を手に仁王立ちしている。傍ではブシュウ、と墨を吐きながら大蛸が力なく沈みつつあった。ずるり、と煌夜の白い腰から、黒いビキニに包まれた腰から触脚がずり落ちていく。
「脱がして足一本が体から外れる間に叩けばいいだけでしょ?」
 蛸の脚を狙っても時間かかるだけだし頭を出した時に本体をね、と今しがた倒した蛸を見下ろす。ぱりりと帯電しているのは雷鳴剣の影響だ。
「あまりじろじろ見るものでもないわよ?」
「おおっ、俺はまよたんを助けようと……」
 最後に斜陽で、我に返り突撃して来ていた紫狼の目を眩ましていたり。
「真世お姉さん、お待たせだよっ」
 ミリートのマスケットが火を噴き、持ち上げられていた真世は「きゃああ!」とばっしゃ〜ん。大蛸は力なく波間に浮かぶこととなった。
「タコの吸盤に吸われてきすま〜くとかかなりヤよねぇ」
 おっと、その間を桜が行く。
 水面を走っているのは、もちろん「水蜘蛛」。いま、「空蝉」を使って触脚をかわした。軽やかなステップで波間を渡り、触脚を一手に引き付けていた。水着の桜柄のように、花吹雪もかくやの自由な舞を見せる。
「尖月島の平和はあたしが守る! ……なんてね♪」
 やがておもむろに胸の間から「明山の拳石」を取り出し、げしりと投げつけたりもする桜だった。
「ん……あっ……」
 思わず甘い吐息を漏らしているのは、リンス。「ぎーべり」と名札の付いた薄い胸を天に向かって反らしているのは、ずりりと吸盤付きの触脚がなでるようにウエストを滑り縛ろうとしたから。
「くっ……。肌が敏感じゃ…毎晩の様に、我が友に開は……」
 顔を真っ赤にしながらつるつるの水着の上を滑る触脚の感触に耐える。いつも意地悪してくる友人の所業のためこういうのに弱くなっているが……。
「友に比べればっ」
 気合いを入れ直し、「騎士の誓約」。
「大丈夫?」
 同時に、シーラが騎士剣で大蛸の頭を狙う。オーラを乗せたグレイブソードで一気に黙らせた。
「かたじけない」
 からまりが緩くなったリンスは、魔槍「ゲイ・ボー」で蛸の目と目の間を狙う。
「よし、足を狙うより効果的じゃ」
「そーいうこと。まだ水中にいるわよ?」
 リンスの叫びに、心眼で周囲を探っていた煌夜の声が被る。
 ようやく、自分たちのペースを取り戻し次々と大蛸を退治していくのだった。


 そして浜辺の日が暮れる。
「まあ、撒き餌で寄ってこないからもう大丈夫のはずじゃ」
 えへん、とリンスが言う。事前に用意した海老、蟹のむき身をすり潰したものを撒いては、再度の襲撃に備えていたのだ。
「ラシュディアさんは、蛸の回収ありがとね☆。ちゃんとたこ焼きにしたから」
 シーラがやって来て焼いたばかりのたこ焼きを配る。力仕事をしたラシュディアにはウインクで感謝。皆が丸いたこ焼きを早速ほお張った。
「へえっ、たこ焼きかぁ。ありがとうな、……え〜っと」
「パティシエのシーラ・シャトールノーよ、よろしくね」
 感心したラシュディアが言い淀むと、シーラは改めて自己紹介。誇らしそうに瑞々しい青に眩しい緑色のラインの入った水着に包まれた胸を反らす。と、さらに料理をだしたぞ?
「こっちは、マンゴーのクラフティと珈琲の香りを加えたシフォンケーキよ」
「わあっ。シーラさん、おいしそうだね」
 これに真世が反応する。
「ふふ、お口に合うと良いわね」
「それよりまよたん、適度なエロピンチもヒロインならば避けては通れぬわこのバカ弟子がああ!」
 微笑するシーラの影からまる牛が出てきて、さらにそこから汗だくの紫狼が出てがお〜☆。
「きゃん。だって、あの蛸胸ばっかり狙うんだもん〜」
 襲い掛かろうとするくらい勢い良くヒロイン道を指導する紫狼に、真世は「きゃ〜」。
 が、紫狼はがすっと飛んできた石を食らってばたん。
「ろりこんさん見てて手が滑ったけど、あのヒトなら大丈夫よねぇ?」
 桜が「おイタはダメよ」とばかりに。
「あれ、どうしたの? ミリートさん」
「……は〜う〜……。いっぱいとは言わずとも、せめてもう少し……」
 じ〜っと煌夜や真世の胸を見ていたミリートが、自分の胸をぽふぽふしてたり。
「……あ〜。ん? たくさん取ってきたんだな。この網で焼けばいいのか?」
 目のやり場に困ったラシュディアはミリートが槍で取ってきた海産物に気付いた。
「うん……。どっちもおいし……」
 柚乃は、シーラのお菓子をもぐもぐと。
「あれ? 柚乃さん、今度はワンピース?」
「予備を持ってきてたから……」
 真世に聞かれてそう答える柚乃。もうあの感触はこりごりという顔。
「大丈夫だった? 変な感触だったもんね〜」
「きゃっ! 真世さん……」
「わ! 何?」
「うむ、すべすべじゃ!」
 真世が柚乃の肌を撫でた背後で、真世の尾てい骨あたりのお尻をさするリンス。どうもこの露出が気になるようで。
「あん。やったな☆」
「ひゃっ! ならば……」
「こらっ、あたしもなの?」
 シーラにも波及したようで。
 ともかく、平和が戻りそんな賑やかな尖月島だったとさ。

 夜。
 高床式別荘で昼間の疲れを取る開拓者たち。
「ぎゅって抱っこし合って寝ると、あったかくて気持ちいいや♪」
「そうだよね〜。えいっ☆」
「ちょっと、私も?」
 無邪気なミリートに真世が応じる。その勢いで煌夜にも。
「はやぁ〜☆」
 真ん中のミリートは幸せそうに、やがて寝息を立てるのだった。

 開拓者の活躍で尖月島は安全になったが、風評被害回復にはしばらくかかったという。