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■オープニング本文 ●とある田舎町の騒動 橙色一色。まさにそれだけだった。 朝、町の人々が目を覚まし外へ出ると、町で一番広い通りの一帯が橙色に多い尽くされていた。 人々は寝起きのせいもあって何事かと取り乱したが、やがて少しずつ落ち着きを取り戻し、橙色の正体に気付き始めた。 「なんじゃこりゃ? 全部橙色のカボチャじゃねぇか」 町を橙色の染めあげていたのは、橙色をしたカボチャの山だった。 何故こんな事になっているのかと人々が困惑しながら話し合っていると、そのカボチャ達をかき分けるように現れた一人の男が、町の人々に向けて大声で話し始めた。 「いやぁすみません。夜が明ける前には片づけようと思っていたのですが、間に合いませんでした〜!」 笑い混じりに話す男の姿に、人々は唖然とした。 この男は何を考えているのか、何をしようとしているのか、誰にも解らなかった。 「おい、あんたがこんなとこにカボチャを集めたのか! このカボチャどうする気だ!?」 人々の疑問を、初老の男が代弁して叫んだ。周囲の人間は皆、その言葉に同調するように無言で頷いている。 洪水状態のカボチャの向こう側から聞こえた声に、男は笑顔のまま答えた。 「ハロウィンですよ! ジルベリアの伝統行事だそうです! ハロウィンではカボチャをくり貫いて顔の形にして飾るそうです。それを作ろうと思って、こうして大量のカボチャを集めてきたんですよ!」 ハロウィン。 田舎町に住む彼らにとって、それは聞き慣れない言葉だった。 ましてやそんな未知の祭りを執り行う予定なんて、誰一人として知っている者は居なかった。 「ハロウィンだぁ? そんなもんやるなんて聞いてないぞ!」 「勝手にこんなこと始めやがって、邪魔だろうが!」 人々の罵声を浴びても、男は顔色一つ変えずに笑顔を浮かべ続けていた。 罵声が一区切りつくまで男は黙って罵声を浴び続け、やがて再び口を開いた。 「皆さん落ち着いてください。カボチャを片づけきれなかったのは僕の失敗です、申し訳ありません。ですが、ハロウィンはきっと楽しい行事になります。皆さんにも是非参加して貰いたい。ですからどうか、少しだけ協力してくれませんか? 僕はどうしてもこの町でハロウィンがやりたいんです!」 しばらくの間、人々は静まり返ってじっとカボチャ男を見据えていた。 ハロウィンがどんな祭りなのかも分からない。この男が何故こんなにもハロウィンに入れ込んでいるのかも分からない。だが、彼の笑顔は本物だった。本気でハロウィンをやりたいのだと、そう訴えるだけの強い意志が篭っているのを、皆自然と感じていた。 「‥‥よし、なら思いっきりやってみろ。ただし、誰か一人でもつまんねーと思ったら、承知しねぇぞ」 やがて一人の男がそう言うと、それに続くように他の人々もひとまずは彼の突拍子も無い行動を許し、協力を名乗り出る者も現れ始めた。 この話は波紋のように町中に広がり、いつの間にやらカボチャ男とハロウィンの話は町の外にまで広がり始めた。 「こりゃあ、後には引けなくなったなぁ。気合入れて頑張るかぁ!」 カボチャ男は相変わらずの満面の笑みを浮かべながら、ハロウィン当日に向けて山積みのカボチャをくり貫き続けている。 絶対に成功させるという使命感では無く、絶対に成功するという確信が、彼にはあった。 それが何故なのかは、まだ誰にも分からない。 |
■参加者一覧
俳沢折々(ia0401)
18歳・女・陰
立花 紫(ia0666)
11歳・女・陰
山本 建一(ia0819)
18歳・男・陰
パンプキン博士(ia0961)
26歳・男・陰
ミル ユーリア(ia1088)
17歳・女・泰
クロウ(ia1278)
15歳・男・陰
詐欺マン(ia6851)
23歳・男・シ
麻績丸(ia7004)
15歳・男・志 |
■リプレイ本文 ●南瓜だらけの町で カボチャ男を名乗る人物からの依頼を受けた開拓者達は、爽やかな秋晴れに歓迎されながらその町へと足を踏み入れた。 至って普通の町並みの中、唯一異常な雰囲気を放っている橙色に染まった広場を見つけ、一行がそちらへ歩みを進めると、その橙色を掻き分けて一人の男が姿を現した。 「依頼を受けてくださった開拓者の皆さんですね。初めまして、僕がカボチャ男です。変な名前で呼び辛いかもしれませんが、どうぞよろしく」 カボチャ男は丁寧に頭を下げて挨拶をし、少なからず異質な存在をイメージしていた開拓者達は、そのあまりにも普通すぎる青年の姿に意表を突かれた。 「ふはははははは! 貴公が南瓜男であるとな? 甘い甘い南瓜より甘いのであーる! 我こそがハロウィンの王、南瓜界の貴公子、真なる南瓜を継ぐ者。即ち! プロフェッサー・パンプキンであーる!!」 そんな開拓者達の影に隠れていたパンプキン博士(ia0961)はタイミングを見計らっていたかのように突然カボチャ男の目の前に飛び出し、声高らかに名乗りを上げた。 「すごい・・・・本当のカボチャ男だ!」 今度はカボチャ男が意表を突かれた表情でパンプキン博士を見つめ、やがてその表情は感動へと変わっていった。 「こら南瓜! いきなり驚かせてどうすんのよ! おっと、あたしはミル ユーリア(ia1088)。よろしくね。この南瓜のことは気にしなくていいから」 誇らしげに胸を張るパンプキン博士を脇からどつき、ミルはその後気が付いたかのように名乗りを付け加えた。それだけで終われば良かったものの、ミルに対して言葉による反撃を始めたパンプキン博士とミルの言い争いがその場で始まってしまった。 「あ、あはは・・・・俺はクロウ(ia1278)。プロフェッサー・・・・あぁ、パンプキン博士のこと。あの人は俺の師匠で、ミルとも知り合いだから、二人のことで何かあったら言ってよ」 パンプキン博士とミルの不毛な言い争いの続く中、二人の怒声罵声を背に名乗ったクロウに、カボチャ男は微笑混じりにそうします、と答えた。 「俳沢折々(ia0401)といいます。騒がしくてごめんね、よろしく」 「詐欺マン(ia6851)と申す者でおじゃる。よろしゅうに」 クロウの隣に並び立ち、背後から聞こえてくる言い争いに苦笑しながら、今度は折々と詐欺マンが名乗った。 詐欺マンというなんとも形容しがたい雰囲気のこの男もまた、どこか癖のあるようだったが、カボチャ男はそんなこと微塵も気にしない様子で二人によろしくお願いします、と頭を下げた。 「立花 紫(ia0666)です、よろしくお願いします。私占いが趣味なんです。今回の依頼の結果、占ってみますね!」 紫は持ち物の中からタロットカードを取り出し、すぐさまその場で占いを始めた。 言い争っていた二人もそちらに興味を示し、静まり返った場にカードの擦れる音だけが響いた。 一枚のカードを手に取り、結果を言おうとする紫に、周囲の視線が一気に集まった。 「‥‥た、楽しい催し物になるといいですね」 誤魔化し混じりの苦笑を浮かべる紫を見て、皆は一瞬不安を感じたが、パンプキン博士の笑い声がそれをかき消した。 「占いは占い! 結果は我々が作り出すもの! 気合を入れてがんばるのであーる!」 パンプキン博士の言葉に同調し、皆は表情を明るくして頷き合った。 開拓者達と謎のカボチャ男は一致団結し、ハロウィンの成功を目指して行動を開始したのだった。 ●青空南瓜ランタン講座 ハロウィンの事前準備として、パンプキン博士の指導の下行う事になった南瓜ランタン作りに参加してくれる子供達を集めるため、ミルは町内を駆け回っていた。 道行く親子連れに声をかけたり、詐欺マン、クロウ、紫の調査によって知り得たハロウィンの開催に賛同している家庭を訪問したりして、徐々に参加希望者は増えていった。 「南瓜の手伝いするのは気に入らないけど‥‥皆楽しみにしてるみたいだし、いっか」 子供達を引き連れ、南瓜が山のように用意された広場へ戻ると、そこでは既に準備万端のパンプキン博士が手を拱いて待っていた。 パンプキン博士の装いに驚きの声を上げる子供達を尻目に、パンプキン博士は大声を張り上げて喋りだした。 「ふはははは! プロフェッサー・パンプキンの青空南瓜ランタン講座にようこそなのであーる!」 歓迎されているのか威圧されているのかよく分からないテンションだったが、子供達は見慣れないその姿に興味を持ち、敷かれていた茣蓙に腰を下ろすと、彫刻刀と南瓜を受け取り、熱心に話を聞き始めた。 皆興味津々といった様子で、ランタン講座は途端に盛り上がりだした。 「手元に気をつけてね、焦らずにゆっくりと‥‥そうそう上手!」 刃物の扱いに慣れていない子供達の面倒を見ながら、折々もまたランタン講座に参加していた。大勢の子供達一人一人を注意深く見守りながら、自身もまた、初めての南瓜ランタン作りを楽しんでいる。 「うわぁすごいすごい! よぉし、私も!」 楽しみ具合で言えば、折々と共に参加している紫もまた、子供達に負けない勢いだった。 子供達を見守るというよりも、一参加者として純粋に楽しんでいるようだったが、それがまた子供達を盛り上げる要因にもなっていた。 「プロフェッサー、皆楽しんでるな!大成功なんじゃないかな?」 パンプキン博士の助手として指導をしていたクロウは、熱心に南瓜と格闘している子供達の姿を見て微笑んだ。 だが彼の問いにパンプキン博士が答える事は無く、クロウは自身の隣に立っているはずのパンプキン博士のほうへ視線を移した。 「ふ、天儀広しと言えど、こと南瓜の扱いに掛けて我より優れた人間はそうそう居るまい‥‥!」 パンプキン博士は茣蓙の上にどっかりと腰を下ろし、一際大きな南瓜を目にも留まらぬ速さで彫り上げ、自身の被り物をすっかり模倣した南瓜ランタンを作り上げて余韻に浸っていた。 「はぁ‥‥すごい楽しんでる」 ●同じく青空縫い物教室 「さてと‥‥ここでいいかな」 南瓜ランタン講座が行われている場所から少し離れた広場の一角では、ミルが事前に調達してきた様々な生地や糸、その他裁縫に必要な道具が揃えられていた。ほとんどがカボチャ男による提供品だ。 ミルは南瓜ランタン講座には参加せず、当日に着用する仮装衣装を製作する事にしていた。 しばらくその場で静かに作業を続けていると、南瓜ランタン講座に参加しなかった子供達が数人寄ってきた。 「やってみる?」 ミルが誘うと、子供達は笑顔を浮かべて頷き、作り方を聞きながら思い思いの仮装衣装を作り始めた。 その場に来なかった子供達の分も出来る限り用意するため、ミルはその後も南瓜ランタン講座と、その後のわくわく南瓜饅頭作りが終わる頃まで、子供達と一緒に仮想衣装作りを続けた。南瓜ランタン講座と違って終始穏やかな雰囲気ではあったが、子供達もミルも大いに楽しんでいるようだった。 ●陰の支え 皆がハロウィンの準備を子供達と進めている頃、詐欺マンとカボチャ男は町中を巡りながら、明日のパレードで回る道順や飾り付けなどの確認を行っていた。 「ありがとうございます、地味な作業に付き合って頂いて」 「気にする事ではないでおじゃる。大事な仕事でおじゃる」 パレードルートを辿りながら、カボチャ男は改めて礼を言い、詐欺マンは短く答えた。 やがて終着地点である広場が近づき、ランタン作りを楽しんでいる子供達の笑い声が耳に入り始めた。 「一つ聞きたいのでおじゃるが‥‥汝は何故ハロウィンに拘ったのでおじゃるか?」 ふと詐欺マンがそんな事を訊くと、カボチャ男は少しの間を置いてから答えた。 「ちょっと、縁がありまして」 カボチャ男はそれしか言わなかったが、詐欺マンはそれ以上の答えを求めず、二人は広場へと戻った。 ●ハロウィン・パレード 翌日、空は変わらぬ晴天で、ハロウィンは万全の体制で開始された。 様々な装飾で飾り立てられた広場には、興味を持った大勢の子供達とその保護者が集い、主催者であるカボチャ男の話に耳を傾けていた。 まだまだ浸透していないハロウィンのことを知ってもらうべく、ハロウィンについての説明や逸話を話して聞かせ、それが終わるといよいよメインイベントである仮装パレードの準備が始まった。 昨日ミルと共に衣装を作っていた子供達は既に着替え済みで準備万端だったが、大多数の子供達は用意が無く戸惑っていた。そこへミルがすかさず用意しておいた衣装を配り、足りない分は折々が考案しておいた白い布の一部を切り抜くだけで作れるお化けの衣装を提供し、無事に子供達は全員仮装をすることが出来た。 「皆、南瓜饅頭は持ったか!? 仮装は完璧か!? 列は綺麗に作ったな!? ならばさぁ、ハロウィン・パレード開始なのであーる!」 パンプキン博士が先頭に立ち、パレードは歓声と共に広場を出発した。 カボチャ男の呼びかけに応じてくれた演奏家達による華やかな音楽と共に町を練り歩くパレードの姿は、町の人々の視線を釘付けにした。 そういった人々に、黒猫の仮装をした紫はひょこひょこと寄って行き、事前に用意しておいた南瓜の煮物を手渡して回っていた。どれも丁寧にラッピングして小分けにしてある。 「おいしいですよ?」 楽しそうに配って回る黒猫の姿に、煮物を受け取った人々は自然と笑顔になり、パレードに飛び入り参加する人々も現れた。 「さぁ! トリック・オア・トリートであーる!」 道中、事前調査でハロウィンに乗り気であるとの報告がされている家に訪問し、子供達はパンプキン博士の指導を受けながらお菓子を貰って回った。 子供達は皆笑顔で受け取り、笑顔と笑い声が町中に響いた。 「こらこら、はしゃぎすぎると転んじゃうよ。って言っても聞かないか。ま、しょうがないよね」 お化けの仮装をした折々は走り回る子供達をハラハラしながら見守っていたが、自分もその立場ならはしゃぎたくもなるという妙な納得をし、静かに(しかし目線は鋭く)見守ることにした。 「そうそう、せっかくなんだから、楽しんだもの勝ちよ。いざという時はあたし達がしっかりフォローをすればいいんだし、ね」 魔女の仮装をしたミルが折々の隣に並び立ち、微かな笑みを浮かべながらそう言った。彼女もまた、今日ばかりは目一杯楽しもうという腹らしい。 折々も笑顔を浮かべて頷き、子供達の後を追って小走りで駆け出した。 「ん、ここだな」 そんな彼女らから少し離れた場所では、クロウがとある家を訪ねていた。が、お菓子を貰おうという雰囲気ではなかった。 「どうもー、お騒がせしてます。あ、これ南瓜饅頭なんだけれど、よかったらどうぞー」 乗り気な家があれば、当然乗り気で無い家もある。クロウはそういった家に立ち寄り、南瓜饅頭の試食を配って回っていた。少しでも理解を得ようという彼らの配慮だった。 黒い鳥の仮装をしたクロウには数人の子供達が付いて回っており、時折クロウの背中に飛び乗ったりしていた。 「いいかー? ランタンは絶っ対に振り回しちゃダメだからなー‥‥って、ちょ、重いって! 定員オーバー、定員オーバーだから!」 クロウの注意も聞かず、子供達ははしゃぎ回ってクロウを振り回していた。 その様子を見ていた、ハロウィンに乗り気でない家の人は、受け取った南瓜饅頭を口に運びながら、悪くないな、と小さく呟いていた。 「順調のようでおじゃるな。よき事でおじゃる」 パレードの様子を遠巻きに見守っていた詐欺マンは、誰にでもなくそう呟いた。 トラブルが発生しないよう常に注意を巡らせておくのが彼の仕事であったが、今のところは特に何の問題も無くパレードは進行していた。 そしてこれから先も何事もなく進行し、無事にハロウィンは終わりを迎えられるだろうと、パレードに混じって一際笑顔を浮かべているカボチャ男を見ながら、詐欺マンは確信していた。 ●南瓜に隠された思い 日も傾きかけた夕暮れ時。 ハロウィン・パレードは幕を閉じ、子供達は皆、それぞれの家へと帰っていった。 広場に残されたカボチャ男と開拓者達、そして一部の協力者達によって後片付けも無事終わり、ハロウィンはいよいよその全ての工程をを終えようとしていた。 「皆さんの協力のお陰で、ハロウィンは大成功です。多くの人の理解を得ることが出来て、とても嬉しく思います。今日は本当にありがとうございました」 そう言って開拓者達に深々と頭を下げている間も、カボチャ男は絶えず笑顔を浮かべ続けていた。 やがてゆっくりと顔を上げ、カボチャ男は何かを考えるように少しずつ表情を変えていき、次の言葉を発する頃には、どこか物悲しげな顔をしていた。 「僕の住んでいた村はとても貧しく、大人も子供も、常に苦しい思いをして生きていました。僕の父はそんな村の状態を変えたくて、何か目新しい、楽しいことをしようと思い立ち、色々な遊びやお祭りを調べていました。そんな中、父はジルベリアの行商人からハロウィンの話を聞き、すぐさま実行しようとしたのです。しかし、その頃にはもう、村の人々に行事を行う気力など微塵も無く、父だけが必死に動き回っていました。結局ハロウィンが行われる事も無く、父は周囲の人々から疎外され病気になり、村は枯れてしまいました」 カボチャ男は一度言葉を区切り、一呼吸置いて続けた。 「父が成功し得なかったことを、僕はどうしてもやってみたかったんです。そして、父が目を輝かせながら僕に語って聞かせてくれたハロウィンを、この目で見てみたかった。‥‥自己満足です、結局のところ。今になって、なんだか申し訳ない気持ちすら感じてしまっています。僕は‥‥」 「皆笑顔だった。それが答えなんじゃないかな」 喉まで出掛かっていた言葉を遮られ、カボチャ男は驚き目を見開いた。 カボチャ男の言葉に割って入った折々は、さも当然と言わんばかりの平然さで、仲間達に同意を求めている。 彼女に対し、首を横に振るものは誰も居なかった。 「‥‥そうですね、大成功って言ったばかりでしたね‥‥また来年も、是非いらして下さい」 再びいつもの笑顔を浮かべ、カボチャ男は開拓者達に別れを告げた。 結局本名は分からず終いだったが、開拓者達は誰もそれ以上彼の領域に踏み込むことはしなかった。 きっとまだ彼には話していない秘密や過去があり、それは決して良いものばかりではないのだろう。 だが彼の行動によって大勢の人々が楽しい気持ちになれたことは事実であり、これからもそうなっていくだろうと、開拓者達は言い得ぬ確信を感じていた。 来年もまたこの町が橙色の南瓜達に彩られ、元気な子供達の笑い声で満たされることを願いつつ、開拓者達はまた、次の舞台へと進んでいく。 『幼子の 笑顔照らすや 南瓜行燈』 俳沢折々 |