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■オープニング本文 ●とある市場の大騒動 武天のとある商業都市。何ということのないその町で、騒ぎは起こった。 「うわぁあ! 危ねぇ、逃げろ!」 買い物客や商人でごった返していた市場に突如誰かが上げた叫び声が響きわたり、男女様々な悲鳴がそれに続いた。 声を聞いた誰もが驚いてそちらへ顔を向けると、何かから一目散に逃げている男と、辺りの物を蹴散らしながらそれを追いかける影があった。 「あれは何だ!? 牛か? 馬か? まさか、アヤカシか!?」 巻き込まれまいと逃げ出した人々は、市場を暴走しているものが何なのか考えていたが、誰もそれが何なのか言い当てることはできなかった。その姿を目にするまでは。 「あ、あれは・・・・もふらさま!?」 そう、売り物もそうでないものも関係なく蹴散らしながら爆走しているそれは、紛れもなくあのもふらさまだった。三匹のもふらさまが、まさにケモノのような形相で荒れ狂いながら駆けているのだ。 その事実に驚いている暇もなく、人々は市場を廃墟に変えながら暴走を続けるもふらさまから我先にと逃げだし、賑わっていた市場はたちまち大混乱となった。 やがてもふらさまは追いかけていた男もそっちのけで市場を駆け抜け、そのまま町外れの山に入っていくと、それっきり出てくることはなかった。 「おい、あれは一体何だったんだ?」 被害にあった商人が、最初にもふらさまに追いかけられていた男を捕まえて問いただした。 「いやぁ、俺にもさっぱり・・・・もふらさまの後ろを通り過ぎたと思ったら、突然・・・・」 男は切らせた呼吸を整えながらそう答え、その場に座り込んでしまった。 次第に落ち着きを取り戻した人々がその場に集まり始め、頭を寄せあっての原因追究が始まった。 しばらくすると、暴れたもふらさまの飼い主だと名乗る女性も現れ、自身が知りうる限りのもふらさまに関する情報を話し始めた。 「あのもふらさまは市場で買った物を運んでもらうために連れてきていたんです。普段は普通のもふらさまみたいにのんびりしているんですけど、あの子達ちょっと気難しい性格で、些細なことでもすぐ機嫌を悪くしてしまうのが玉に瑕なんです‥‥でもまさかあんなに暴れるなんて‥‥ついさっきまで大人しくしていたのに」 「本当に何の心当たりも無いのか?」 誰かが再び男に問うと、男は額に手を当てて再び記憶を探り始めた。自分が気付いていないだけで、何かやってしまっているのかもしれない。そう思って、小さな唸り声を上げながら必死に考えていると。 「そうそう、あの子達、自分の尻尾をとても大事にしているんです、もしかしたらそれで何か‥‥」 「あ」 飼い主の女性が付け足すように言った言葉。それを聞いた途端男は血相を変え、冷や汗を流しながら呟くように言った。 「あのもきゅっとした感触‥‥尻尾、だったのかな‥‥」 その一言を聞いた人々は、皆驚きやら怒りやら呆れやらの表情を浮かべ、一斉に同じ言葉を叫んだ。 「踏んだのかぁあああ!!」 虚しい叫びが半壊した市場に響き渡り、男はただ、がっくりと項垂れて謝るしかなかった。 |
■参加者一覧
瑞姫(ia0121)
17歳・女・巫
桔梗(ia0439)
18歳・男・巫
鷹来 雪(ia0736)
21歳・女・巫
雲母坂 優羽華(ia0792)
19歳・女・巫
朧 焔那(ia1326)
18歳・女・巫
羅轟(ia1687)
25歳・男・サ
ネイト・レーゲンドルフ(ia5648)
16歳・女・弓
介(ia6202)
36歳・男・サ |
■リプレイ本文 ●捜索隊出動 もふらさまが逃げ込んだ山の麓には、何とも奇妙な者達が集まっていた。 依頼の解決に名乗りを上げた八人の開拓者の内六人は巫女。残りの二人もジルベリアの弓術師と、全身を鎧で固めたサムライという、端から見たら何のために集まったのかよくわからない面子だったが、彼らの目的は実に単純明快だった。 「さ、もふらさま探しに出発です!」 瑞姫(ia0121)の号令で、一行は問題のもふらさまが残していった道筋を辿って山に入った。 三匹のもふらさまは途中まで一緒に走っていたようだったが、大きな樹木が立ちふさがっている箇所を境に三方向へ散って行ったようだった。 そこで開拓者達は事前に打ち合わせていた三班に別れ、それぞれ三方向に散って痕跡を追う事になった。 桔梗(ia0439)、介(ia6202)の男性巫女二人は、鎧のサムライ羅轟(ia1687)と共に、向かって右側の痕跡を。雲母坂優羽華(ia0792)、朧焔那(ia1326)の女性巫女二人は、ジルベリアの弓術師ネイト・レーゲンドルフ(ia5648)と共に左側の痕跡を追って散って行った。 「皆様、どうぞお気を付けて‥‥」 他の二組を見送り、白野威雪(ia0736)は瑞姫と共に、道を別っている樹木の真横を通り、そのまままっすぐ続いているもふらさまの足跡と、蹴散らされた草木で出来た道を辿っていった。 ●もふもふ毛皮とゴツゴツ鎧 「もふらさま‥‥どこ、かな。そろそろ名前、呼んでみる?」 暴走の痕跡を辿りながら、桔梗は小さく呟いた。 「もふらさま‥‥名前‥‥呼ぶ‥‥」 羅轟は桔梗の提案に頷き、事前に飼い主から聞いておいたもふらさまの名前を記した紙を取り出した。 「見せて。えーっと‥‥もんちゃん、ふーちゃん、らんちゃん、か」 羅轟から紙を受け取り、名前を確認すると、桔梗は周囲をぐるりと見回しながら名前を一匹ずつ順番に呼んだ。 「もんちゃーん! ふーちゃーん! らんちゃーん!」 「もん‥‥ちゃん‥‥ふー‥‥ちゃん‥‥らん‥‥ちゃん‥‥?」 続いて羅轟も、兜の隙間から唸る様に響く声で名前を呼び始めた。 どうにも奇妙なその光景を後ろの方から見ていた介は、小さく溜息を吐きながら頭を掻いていた。 「はぁ‥‥どうにもやり辛いねぇこういうのは。まぁ引き受けたからにはやるけどさ。お〜い! えっと、もんちゃ〜ん! ‥‥だっけ?」 介も二人に続き、凸凹な様相の三人は、もふらさまの名前を呼びつつ、足元の痕跡に注意しながら山の奥へと歩みを進めていった。 荒々しさが滲み出ていた足跡や踏み荒らされた草木も徐々に大人しくなり始め、やがて小さなもふらさまの足跡だけが手がかりとなった。 「あ、あそこ」 そうして一行が辿っていった足跡の先には、木陰で蹲って欠伸をしている黒ぶちのもふらさまの姿があった。 三人はもふらさまを驚かせないように一旦草陰に身を隠し、今後の動向を話し始めた。 「あの黒ぶちはふーちゃん、だね。予定通り、正面からそっと近づこう」 桔梗の提案に反対するものはおらず、三人は桔梗を先頭にして、ゆっくりとふーちゃんの正面に回っていった。 ふーちゃんは眠たそうにしていたにも関わらずすぐに三人の接近に気付き、暴れこそしないものの、立ち上がって警戒し始めた。 「大丈夫、怖い事は何もしない。大丈夫」 桔梗は持参したもふらのぬいぐるみを手に一歩一歩ゆっくりと近づいていき、優しく声を掛け続けた。それが功を奏してか、ふーちゃんは徐々に警戒を解き、尻尾を振りながら三人の方へ歩み寄ってきた。 上手くいった、と三人が胸を撫で下ろした瞬間。静寂を破る雄叫びが周囲に木霊した。 大柄な猪のようなケモノが数匹姿を現し、三人とふーちゃんを威嚇し始めたのだ。 「まずい、もふらが逃げるぞ!」 介の呼びかけも間に合わず、ケモノの出現に驚いたふーちゃんは暴走した時と同じような勢いで一目散に逃げ出した。 「ケモノ‥‥追い払う‥‥二人‥‥ふーちゃん‥‥追う」 逃げ出したふーちゃんを追おうとするケモノの前に羅轟が立ちふさがり、咆哮を使用してケモノを引き付けた。 桔梗と介は無言で頷き、羅轟に背を預けてふーちゃんを追った。 ふーちゃんの走りぬけた痕跡を追い、息を切らせながら二人が辿り着いたのは一本の木だった。その木の枝に、ふーちゃんは登っていた。 「なんて器用なもふらさまだ‥‥こんなのもいるんだなぁ」 介が呆れている横で、桔梗は決して高くは無い背を伸ばしながら何とかふーちゃんに降りてきてもらおうと声を掛け続けていた。 だが、ふーちゃんは既にケモノの脅威から逃れている事を知ってはいるものの、自分が今昇っている木の枝から降りる事を怖がってしまっていた。 どうにか降ろしてやれないものかと二人が考えをめぐらせていると、ケモノを追い払い終えた羅轟が二人に合流し、状況を見定めると、ゆっくりその手をふーちゃんの居る枝に向けた。 「‥‥‥飼い主殿‥‥心配‥‥帰還‥‥」 彼の長身はふーちゃんが乗り移るには丁度良く、警戒を解いたふーちゃんは羅轟の腕に飛び移り、羅轟はそのままゆっくり膝を折って地面に降ろした。 途端、羅轟の全身からフッと力が抜けるのを、桔梗らは感じた。どうやら初めてもふらさまに触れたため、緊張していたようだった。 「強力‥‥使っていた‥‥抵抗されなくて‥‥‥良かった」 「ちゃんと優しく接すれば、大丈夫。もふらさまはいい子」 ホッと胸を撫で下ろす羅轟と、その肩に手を置く桔梗を尻目に、介は黙々とふーちゃんの、山を走り回った際に出来たと思われる怪我の手当てをしていた。 「ま、俺にはこれくらいしか出来んからなぁ」 神風恩寵の風がふーちゃんを包み込み、足などに出来ていた掠り傷や切り傷は一瞬にして治癒した。 その後はケモノが追ってくる気配も無く、三人はすっかり大人しくなったふーちゃんを連れ、目一杯もふもふしつつ(主に桔梗が)、ふーちゃんを送り届けるため山を降りていった。 ●武人とは‥‥ 桔梗らが無事ふーちゃんを保護した頃。そこから少し離れた場所では切迫した空気が漂っていた。 優羽華、焔那、ネイトの三人は、もふらさまの痕跡を辿る内に、もふらさまの足跡がケモノと思われる足跡に追われている事に気づいたのだった。 「急がなあきまへんな・・・・もんちゃーん! ふーちゃーん! らんちゃーん!」 足を早めながら必死に名前を呼ぶ優羽華に続き、焔那とネイトは周囲を見回して警戒していた。もしもふらさまがケモノに襲われているのなら、一刻も早く助けなければもふらさまの命に関わる。いかに暴走して市場を破壊したもふらさまとはいえ、ケモノが束になってかかれば敵う筈が無い。 「っ! あそこです!」 そうして歩き回っている内に、縞模様のもふらさまと、それを狙う数匹の狼のようなケモノの姿をネイトが発見した。 もふらさまはケモノに抵抗できず怯え竦み、酷くは無いが微かに怪我を負っているようだった。 それを見た一行は何を言うでもなく、もふらさまを助けるべく一斉に駆けだした。 ケモノの鋭い爪がもふらさまを捕らえんとしていた寸でのところで、ネイトが即射で放った矢がケモノの前足を射抜き、ケモノは痛みに悶えながら後方へ下がった。 「あの縞模様は、らんちゃんどすな。今助けますえ!」 それに続いて、優羽華は力の歪みをらんちゃんとケモノの間に放ち、ケモノを遠ざけさせると、急いでもふらさまの近くに駆け寄った。 開拓者達の接近に気づいたケモノ達は標的を開拓者達に変え、一斉に襲い掛かってきた。 「ここは任せて頂こう」 そう言って前に進み出た焔那は、その巨体を目一杯広げ、迫り来るケモノの群を真っ正面から受け止めた。がっちりと捕まえたまま片腕を上げ、焔那はその手に握られた旋棍で一番手前のケモノの脳天に一撃を加えた。その衝撃は波紋のようにケモノ達の体に広がり、固まりになって焔那の体に突っ込んでいたケモノ達は弾き返されるように焔那の体から離れた。 「無駄な殺生はせぬ。大人しく去れ」 その言葉の意味を理解しているのかどうかは定かではないが、ケモノ達は目の前に立ち塞がっている焔那に圧倒されるかのように後ずさり、やがて山の奥へと去っていった。 「もう大丈夫。うちが治してあげますえ」 焔那がケモノを退けている間、優羽華は神風恩寵で負傷していたらんちゃんの怪我を癒していた。 発見した当初は痛々しい怪我を負って怯えた様子だったが、今はもうすっかりいい調子で、三人共肩の力が抜けていくのを感じた。 三人に対する警戒心も無いようで、優羽華が好物だと聞いて持参した練り物を一心不乱に食べている。 「‥‥武人とは如何なる時も微動だにせず‥‥かくもそう有りたいものだ」 その様子をじっと見詰めながら、焔那は抱きつきたい感情を必死に押さえ込みつつ小さく呟いた。 「いやいやいや、貴行は巫女でしょう」 小刻みに震えている大きな背を呆れ顔で見ながら、ネイトもまた小さく呟いた。 その後一行は桔梗らと同じく、一旦らんちゃんを送り届けるために山を降りた。 「あ〜、もふらさま‥‥やっぱりたまりまへんなあ」 当然ながら、道中はもふらさまが大好きな優羽華は、すっかり打ち解けたのをいいことに、気の済むまでらんちゃんをもふもふしていた。 焔那は相変わらず耐えていたが、無表情のまま明らかに不自然な悶え方をし始めたため、ネイトは更に大きな溜息を吐いて呆れ果てていた。 「武人とは‥‥」 「いやもうそれいいですから」 ●乙女二人ともふらさま 「もんちゃーん! ふーちゃん! らんちゃーん!」 「どこですか〜?」 瑞姫と雪の二人も、もふらさま達の名前を呼びながら、目の前に続く痕跡を辿っていた。 巫女が二人だけという状況は、アヤカシとの戦闘などの場合は少々危険だが、ケモノにすら遭遇していない現状にとっては、特別問題は無かった。むしろ瑞姫は早くもふらさまに会いたくてうずうずしているようで、足場の悪い場所も何のその。どんどん山の奥へ足を進めていった。 「あら? 今何か聞こえませんでしたか?」 ふと雪がそんなことを言って足を止め、じっと聞き耳を立てた。 瑞姫も一緒に耳を澄ませると、確かに何かが動いている足音と、草をかき分ける音が微かに聞こえてきた。 「もふらさまだといいのですが・・・・念のために加護結界を」 自分よりも瑞姫の安全を優先しようと考えている雪は、加護結界を使用して瑞姫の守りを固めた。 淡い光が一瞬瑞姫を包み込み、やがて見えなくなった。 「わざわざありがとうございます、気を使っていただいて・・・・」 「いいえ。さぁ、音の方へ行ってみましょう」 二人は出来るだけ音を立てないようにゆっくりと歩みを進め、先ほど音が聞こえた方へ向かった。 音は依然聞こえており、徐々に近づいていた。 「もう少しで・・・・って、きゃああああ!」 突如目の前の茂みから飛び出してきた何かに驚き、瑞姫は思わず力の歪みを放ってしまった。 飛び出してきた何かには当たらなかったものの、何かが飛び出してきた茂みの一部を捻じ曲げ、葉が辺りに舞った。 「瑞姫様! それはもふらさまです!」 雪が慌てて瑞姫の肩を押さえて声をかけ、瑞姫はハッとなって動きを止めた。 足元では、瑞姫を驚かせたもふらさまが、突如響いた悲鳴と舞い散る葉に驚いて唖然としている。 「や、やってしまいました! また暴走してしまうかも!」 「大丈夫ですよ、落ち着いていきましょう」 取り乱しかけている瑞姫を落ち着かせ、雪は飼い主から聞いておいたもふらさまの特徴を思い出しながら、徐々に唖然とした表情が元に戻ってきているもふらさまの前に腰を下ろした。 「黒毛ということは‥‥もんちゃんですね。もう、大丈夫ですよ、お怪我は無いですか?」 もんちゃんはそれを聞くとゆっくり右の前足を上げてみせた。 そこにはどうやら木の枝か何かに引っ掛けたらしい切り傷が複数ついていた。 雪が恋慈手でその傷を治療すると、もんちゃんは警戒心を解いたのか、少しずつ二人に歩み寄り始めた。 「私も‥‥よ〜しよし〜、もんちゃ〜ん、もふもふですよ〜」 寄ってきたらんちゃんの頭から背中にかけてをゆっくり撫でながら、瑞姫は優しく声をかけた。 飼い主いわく、彼女の家のもふらさまはこれが大好きなのだという。 その後も好物の食べ物を与えてやったり、何度も撫でてあげたりしているうちに、もんちゃんの警戒心も解け、二人と完全に打ち解けた。 二人はまたもんちゃんが逃げてしまわないようにそっと紐で結び、山を降りていった。 「やっぱりもふもふです〜☆」 ケモノが現れるかもしれないということもすっかり忘れ、瑞姫は笑顔でもんちゃんをもふもふし、その様子を見守る雪もまた、笑顔を浮かべていた。 ●お別れもふらさま 捜索に出た三組は、ほぼ同じタイミングで山の麓に再集結した。 それぞれ一匹ずつ見つけ出すという最適な結果を出せた事をお互いに喜びながら、開拓者達は依頼主の待つ市場へと戻って行った。 「本当にありがとうございました! 三匹共元気ですし、子供達も安心すると思います。ほら、皆さんにお礼しなさい」 飼い主に言われ、三匹のもふらさまは小さくお辞儀をした。 その可愛らしい様子に、瑞姫を始めとするもふらさま好き開拓者達は身悶えし、疲れが癒えていくのを感じた。 「あのぉ、すみません‥‥」 そこへ姿を現したのは、もふらさまの尻尾を踏んでしまった男だった。 落ち着いていたもふらさま達も、流石に警戒心を強めて毛を逆立てている。 男は尻尾を踏んでしまったことを謝りに来たのだと言い、三匹の好物である練り物を差し出して、深々と頭を下げた。 「ほんとにごめんな、これからは足元に十分気をつけるよ。飼い主さんも、申し訳なかったです」 男の誠意を感じたのか、もふらさま達はもう彼を警戒する事はせず、練り物もすっかり平らげてしまった。 飼い主の女性も彼を必要以上に咎めることはせず、笑って許していた。 「では、これで失礼します。市場の皆さんと一緒に、復旧作業を手伝わなければいけませんので。また何かありましたら、どうぞよろしくお願い致します」 そう言い残して、飼い主と三匹のもふらさまは開拓者達の下を後にした。 男も、これからは気をつけるようにと、桔梗と羅轟、介らに念を押され、復旧作業に加わるべく去っていった。 「じゃ、俺は行くぜ。この騒動のせいで怪我をした人がいるかもしれんからな。せっかくだから診てやるさ」 介がそう言って歩き始めたのをきっかけに、他の開拓者達も、復旧作業に従事している人々に別れを告げ、それぞれの場所へと去っていった。 いつかこの市場が元の活気を取り戻し、あの三匹のもふらさまと飼い主の女性が、またこの市場で買い物を楽しめる日が来ることを祈りながら、開拓者達はまた、次の舞台へと歩いて行く。 |