実枝の旅〜雨の村〜
マスター名:野田銀次
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/09/28 21:49



■オープニング本文

●土砂降りの町
 肌に纏わりつく湿気と蒸気。
 残暑の蒸し返るような暑さの中、雨音だけが響く丘の只中に、使い古された傘をさしながら立ち尽くす、一人の少女の姿があった。
 ここ一週間降り続いている雨。
 激しい降りの時もあれば、霧雨のような穏やかな降りの時もあるが、止む事だけは無い。
 今日も今日とて降りすさぶ雨の中、少女は地に落ちて弾ける雨粒をじっと見つめていた。
 緊張感と冷静さが入り混じったかのような複雑な表情を浮かべ、何かの気配を感じとろうとするかのように全身の神経を尖らせている。
 目の前に広がる雨粒の幕の向こう側にいる『何か』を探すように、ただただ静かに佇んでいる。
 少女は、何かの存在を感じていた。
 この雨の向こう側にいる何かの存在を、確かに感じていた。
 それが何なのかは分からない。分かるために、こうして毎日雨の中に立ち尽くしている。
 その『何か』がこの雨を振り続けさせている原因なのだと、少女は確信に近い感覚を覚えていた。
 しかしながら、その正体を未だ知る事は出来ず、少女の根気もいよいよ尽きようかというところまでやってきた。
 雨の被害は少女の住むこの町に甚大な被害をもたらしており、氾濫した川によって畑を潰された農家や、浸水によって家を追われた人々も数知れない。
 少女はこの雨の原因を見つけ出し、何としてもこの雨を止ませたいという一心でいたが、あくまで直感として感じ取っているだけの少女には、この雨を降らせている、人ならざる邪悪な気配を感じ取る事しか出来ない。
 どうすればここから更に一歩を踏み出せるのか。どうすれば雨を止ませる事が出来るのか。
 悩みに暮れる少女の下へふらりと現れた旅人は、町に入った途端に降られた雨にすっかりずぶ濡れになりながらも、少女から打ち明けられた悩みを聞くと、薄暗い雨雲に覆われた周囲の景色とは対照的な明るい表情を浮かべてこう言い放った。

「私が一っ走り山越えて、助っ人呼んできますよ!」

 流浪の旅人、流実枝が訪れた新たな地は、雨が降り続ける小さな田舎の村だった。


■参加者一覧
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
鬼島貫徹(ia0694
45歳・男・サ
胡蝶(ia1199
19歳・女・陰
荒井一徹(ia4274
21歳・男・サ
燕 一華(ib0718
16歳・男・志
琉宇(ib1119
12歳・男・吟
志宝(ib1898
12歳・男・志
鉄龍(ib3794
27歳・男・騎


■リプレイ本文

●降り注ぐ
 村人が避難している丘に辿り着いた一行は、二手に分かれて行動を開始した。
 一方は、実枝が出会ったという、雨の原因となっている『何か』の気配を知る事が出来る少女からの情報収集。
 もう一方は、氾濫した川の増水を少しでも食い止めるための作業に繰り出している。
「日照り続きで作物の実りに困窮していたところに、この大雨が振り出したと、そういうことか」
 少女、陽菜との話に赴いた鬼島貫徹(ia0694)、琉宇(ib1119)、胡蝶(ia1199)の三人は、村が大雨に襲われる直前まで、連日続く日照りによる被害を受けていたという事実を知った。
 この出来事が大雨の原因に何かしらの関わりを持っているのではないかという予想をしつつも、それ以上の情報は手に入らなかったため、三人は出発に向けての準備に移った。
「川の氾濫で通れなくなっている場所も多いでしょうし、僕は山に安全に行ける道順を調べてきますね」
 借り物の傘で出来る限り雨を凌ぐ態勢を取りながら、琉宇は話の場として利用していた小屋を出て行った。
 雨の中へ駆け出して行った琉宇を見送る陽菜の目は、溢れ出んばかりの不安に満ちていた。
 本当に上手くいくのかどうか自信を持てずにいる。そんな目だった。
「大丈夫、この人たちの腕は私が保障するから!」
 陽菜の頭をぽんぽんと叩きながら、空元気ではない、本心からの笑顔を浮かべつつ言う実枝。
 そんな実枝の笑顔と確信に満ちた言葉に勇気付けられたのか、陽菜の顔からは少しずつ不安感が消えていった。
(陰陽師か巫女の才能があるのかもね)
 実枝と陽菜の姿を見守りながら、胡蝶は陽菜の中に眠る才能を感じ取り、そして少しばかりの不信感を抱いていた。
 陽菜の言葉を信じていない訳ではないし、怪しんでいる訳でもないが、あまりにも確信めいている様子に、どうしてもそう感じずにはいられないようだった。
(ま、結果次第ね)
 ひとまずはそう自分に言い聞かせ、胡蝶はそれ以上勘繰る事はしなかった。
 今は唯、目の前で自分を奮い立たせようとしている少女の心を信じるだけ。
 胡蝶だけではなく、この場の全員が、その意思の元に一つとなっていた。

「ただいま〜。川の作業は一頻り終わったよ〜」
 雨の憂鬱さもものともしない明るい声を伴って戻ってきたのは、声の主である水鏡絵梨乃(ia0191)と、彼女と一緒に作業に向かっていた荒井一徹(ia4274)、志宝(ib1898)、燕 一華(ib0718)、鉄龍(ib3794)の五人だった。
 皆全身ずぶ濡れだが、一仕事終えてきたという清々しさも、どこか感じられる様子だった。
 途中で合流したのか、五人の後ろから姿を見せた琉宇も、すっかり全身を雨水に濡らして戻ってきた。
「気配がするっていう山の情報も集めてきた。地図も貰ってきたぜ」
 荒井が懐から取り出した地図には、村の周辺を広く網羅した詳細な地形情報が記されていた。
 その地図へ、鉄龍と琉宇が村人から聞いたという、雨で潰されて通れなくなってしまった道や、まだかろうじて通れる道などを細かに記していく。
 こうして完成した地図を中心に皆で頭を寄せ合い、陽菜の意見を交えつつ、目的の山へ入る道順を模索する。
 この念入りな準備のための情報収集であり、このための時間を稼ぐ意味も含めての、川の氾濫対策なのである。
「よし、こんなものか」
 やがて、寄せ合っていた頭を離した一行は互いに確かめ合うように頷き、鉄龍がそれを確認するように言いながら、円になって座っている仲間達をぐるりと見回した。
 皆、決心した表情で再度頷き、そして円の外でじっと待っていた陽菜の方へ向き直った。
「こちらの準備は整いました。行けますか?」
 優しく問う燕の言葉に、陽菜は若干の戸惑いを見せつつも、すぐにそれを振り払うように大きく深呼吸し、目をしっかりと見開いて、大きく頷いた。
「よろしくお願いします」
 それから数分と経たぬ内に、八人の開拓者と一人の少女は、相も変わらず降り注ぐ大雨の只中へと繰り出していった。
 開拓者達に村を任された実枝は、遠ざかっていく九つの背が見えなくなるまで、じっと見守り続けていた。
 彼らが、眩しい日差しを携えて再び自分の前に戻ってくる事を信じて。

●牙を向く大地
 ぬかるむ土。叩きつける雨水。おぼろげな視界。
 彼らを囲む環境の全てが、行く手を阻む敵と化していた。
 一行が気配を探して山に入った途端、雨の降りはより強くなったようにも感じるほどだった。
「なんという豪雨だ。しっかりついて来ておるか貴様等!」
「耳に水が入って気持ち悪い‥‥」
 皆に気合を入れる鬼島と、すっかり耳を垂れさせてしまっている志宝の姿は対極的だったが、どちらも雨の脅威をひしひしと感じている事に変わりは無かった。
 鬼島は鉄傘を掲げて身を覆ってはいるものの、それもほとんど気休め程度でしかない。
 他の者達も、村人達に借りた雨具の類を身に纏っているが、やはり鬼島の鉄傘と同様の効果しかないようだ。
「‥‥! 皆伏せて!」
 突如、激しい雨音を切り裂くように響いた胡蝶の叫びに、一行は考える事をせず即座に従った。
 素早く身を低くし、結界呪符「白」を行使する胡蝶のほうへ視線を向ける。
 一行の周囲を取り囲むようにして展開された白い壁が、一行の進んでいた山道の右側面から崩れ落ちてきた土砂を食い止めたのだと、驚き目を見開いている陽菜以外の全員はすぐに理解した。
「大丈夫、安心して」
 陽菜を抱えるようにして守っていた水鏡に言われ、陽菜は呆然としていた表情を何とか戻し、ゆっくりと頷くと、再び歩き始めた一行に続いた。
 志体を持つ開拓者達ならばいざ知らず、常人でしかない陽菜にとって、この劣悪な環境の中での山登りは苦難という言葉で片付けられるものですらないだろう。
 開拓者達と共に居なければ、とっくに土砂と雨水に食い潰されていたところだ。
 陽菜は幾度も開拓者達に助けられ、支えられながら山道を行く中で、実枝がなぜあそこまで開拓者を信頼していたのかを理解した。
 自分の手を取って先導してくれている燕から伝わる確かな安心感。自分を取り囲む面々からひしひしと感じる、鉄壁に囲まれているかのような感覚。
 それらを確かに感じながら、陽菜は感覚を研ぎ澄まし、徐々に近くなる気配の位置を調べ、開拓者達に伝えた。
「皆、ちょっと待って」
 気配が大分近づいたことを陽菜から伝え聞くと、琉宇は突然笛を取り出し、鬼島の鉄傘に極力身を隠しながら、怪の遠吠えを奏でた。
 もしも目標である『何か』がアヤカシなのであれば、この遠吠えを聞いて何かしらの反応を見せるのではないかという算段だったが、この雨の中での演奏は、流石の琉宇も中々に苦戦しているようだった。
 皆、じっと耳を澄まし、感覚を研ぎ澄ませて、遠吠えを聞いたであろう『何か』の反応を待った。

 そして、もしも相手が精霊の類であったらどうすべきか、という開拓者達の悩みを払拭する、開拓者達にとってもっとも分かり易い『敵』が、降り付ける暴風雨を掻き分けるようにして、その姿を開拓者達の前にその姿を晒したのだった。

●雨中の戦い
 戦闘態勢を整えるべく、山道から外れた開けた場所へと移動した一行は、木々の間を縫うようにして這ってくる巨大な白蛇の姿を目にした。
 一見美しくも見えるその姿は紛う事なくアヤカシそのものであり、気配を追っていた陽菜も、確かにこの大蛇から、自分が感じていた邪悪な気配の根源を感じると言っている。
「相手がアヤカシなら好都合だね。倒せばいいだけ!」
 刀を抜き放ち、志宝は一歩前に進み出て仲間達を見回しながら言った。
 それに続き、鬼島と鉄龍、水鏡も前に進み出て、陽菜と後衛の者達を庇うような陣形を取った。
「ゆくぞ!」
 先陣を切った鬼島に向けて、雨降大蛇も真っ向から向かってくる。
 長い体をバネのように使って飛び掛ってくる大蛇に、鬼島は己が身より剣気を溢れさせ、その圧倒的な威圧感に圧倒された大蛇は鬼島の目の前まで来たところで勢いを殺した。
 鬼島はその隙を逃さず素早く身を翻すと、動きを止めた大蛇とすれ違うように駆け抜けながら、胴に鋭い鬼切を浴びせた。
 大蛇の鱗は思いのほか頑丈で、鬼島の放った斬撃は致命傷には至らなかった。
 しかしながら大蛇の受けた痛みは相当のものだったようで、大蛇はおぞましい雄叫びを上げると、怒り狂ったように動きを荒げ、蛇のそれとは思えぬ挙動で素早く動き回り、鋭い牙を剥き出しにして開拓者達へ襲い掛かった。
 開拓者達は四方に散り、大蛇の視界から逃れるべく動き回っている。
「こうも足場が悪いとやり辛いけど‥‥」
 うねり、這い回る大蛇の死角を求めて走る水鏡だったが、すっかりぬかるんでしまっている泥の上ではいつものように動く事は出来ない。
 どうしても鈍くなってしまう動きに自分で腹を立てつつも、大蛇の動きをしっかり見定め、そして、ついに水鏡は走る事をやめた。
「可愛い子には、かっこいいとこ見せなきゃね!」
 力強く泥の大地を蹴り、頭部を持ち上げた大蛇の頭の高さまで跳ぶと、矢の如く鋭い蹴りを大蛇の顔面に叩き込んだ。
 大蛇が苦痛に悶えている間に水鏡は空中で身を反転させて着地し、反撃に出た大蛇の噛み付きを、乱酔拳の不規則なる動きで巧みに回避した。
 山登りを始める直前に飲み始めた古酒の酔いが程よく回ってきたところだった。
「人々を苦しめるアヤカシ‥‥この俺が滅する!」
 水鏡に攻撃を避けられて隙を作った大蛇の背後に回った鉄龍。その周囲にオーラが立ち込め、ぬかるみをものともしない鋭い動きで大蛇の胴にスマッシュを叩き込んだ。
 奇しくも鬼島が先ほど負わせた傷とほぼ同じ箇所に受けた強烈な一撃に、大蛇は一番の悲鳴を上げてのた打ち回り、大きく開いた口からヘドロの塊を吐き出した。
 鉄龍は後方に跳んでそれを回避したが、地に落ちたヘドロが岩石のように硬化したのを見ると、少しばかり肝が冷えたようだった。
 しかしながら大蛇の攻撃は荒く、攻撃も当てる事が出来ている。このまま追い込んでいけば倒せる。そう誰もが感じていた矢先、後方で陽菜を庇いながら援護の機を伺っていた胡蝶は突然の奇襲に言葉を失った。
「危ないっ!」
 背後から突如姿を見せた『もう一匹』の大蛇。胡蝶と陽菜に向けられたその鋭い牙を、咄嗟に庇いに入った燕の防盾術が防ぎ、咆哮を響かせながら間に割って入った荒井の方へと大蛇は矛先を変えた。
「てめぇの相手はこの俺だ!」
 猛々しい雄叫びを上げながら大剣を振るう荒井。ヘドロを吐き、噛み付かんと牙を剥く大蛇。
 陽菜を庇った胡蝶は援護に加わらんと立ち上がり、そして、傍らに寄って来た琉宇の言葉を聞いて驚いたように森の奥へ眼を向けた。
「この大蛇、一匹しか居ないよ。体の両端に顔が付いてるんだ」
 琉宇の言うとおり、二つの頭は木々の間を縫うようにして伸びた長い体の両端に付いているのが、胡蝶にも確認できた。
 そのやり取りを横目に見ていた荒井は何かを企むように不敵に笑うと、突然大蛇に背を向けて走り出し、同時に咆哮を辺りに響かせた。
 大蛇の二つの頭は同時にそれに反応し、走り回る荒井に引っ張られるような形で向かっていった。
 二つの頭が近くに寄り集まったのを見て、琉宇は荒井の企みに気付き、即座にリュートを構えると、重力の爆音を奏でた。
 爆音の射程内に入っていた二つの頭は同時に重低音による音波攻撃をくらい、その動きを押さえつけられた。二つに分かれていた脅威はたったの一撃で封じられた。
「続きますっ!」
 そこへ畳み掛けるようにして放たれた燕の斜陽の光によって、気流を乱された大蛇は攻撃力を低下させられ、その影響か動きまでも鈍っているように見える。
 奇襲から一転、千載一遇の大チャンスが、開拓者達の前に転げ出た。
「終わらせるわよ!」
 胡蝶はこの機を逃さんとばかりに素早く符を取り出し、陽菜を庇うように立ったまま、魂喰の式を放った。
 黒い巨大な犬の姿をした式が、地に伏した大蛇に向けて襲い掛かり、二つの頭を繋いでいる長い胴を噛み千切った。
 一つの意識によって繋がっていた二つの頭は、胴が途切れたことによって制御を失ったのか、規則性も何も無い縦横無尽な大暴れを始め、見境無く吐き散らしたヘドロで辺りは次々硬質な塊によって埋め尽くされていった。
「足場を作ってくれるのかい? ありがとな!」
 降り注ぐヘドロを回避しつつ、硬化したヘドロの上を飛び移りながら接近していく志宝。時折フェイントを織り交ぜて混乱させつつ、迫り来る牙を篭手払で払いのけつつ、敵の懐へと飛び込む。
 鬼島、鉄龍、水鏡、荒井もそれに続く。
 このまま一気にとどめを刺し、戦いを終わらせるために。
 胡蝶、琉宇、燕の背後に隠れている陽菜は、三人の間から少しだけ顔を覗かせて、戦いの結末を見守っていた。
(ヨンダノハ‥‥オマエタチ‥‥ゲセヌ)
 陽菜の頭の中に突如流れ込んできた謎の声。
 その声の主が、今まさに目の前でとどめを刺され、瘴気へと還っていく大蛇の発したものだと、陽菜は確信していた。
 大蛇はそれ以上何も言わず、そして答えを得る事も出来ずに瘴気へと還り、大蛇が完全に消滅するのと同時に、雨はピタリと止んだ。
 すぐさま雲も消え去り、辺りは眩しい日の光に照らされ始める。
 これ以上ないほどの祝福と鉄龍の上げる勝利の雄叫びの中、陽菜だけが、釈然としない気持ちを抱えていた。

●共存
 村に戻ると、実枝が村人から聞いたという事実を話してくれた。
 日照り続きで困り果てていたという村人の一部が、雨を降らせるための怪しげなまじないを行っていたのだという。
 どこから伝え聞いたまじないかは知らないが、それがアヤカシを呼び寄せる禁忌の術だった可能性は極めて高い。
 事実を知った陽菜は、この災害が自分達人間の手によってもたらされた可能性があるという事に酷く傷ついていたようだったが、やがて何かを決心したように晴れやかな顔になって、村を去る開拓者達と実枝を見送りに来た。
「私、アヤカシの気配を感じ取れたように、自然の声を聞いていこうと思います。まだ全然知識も無くて分からない事だらけですけど、私達の都合を自然に押し付けたりしないで済む様に、学んでいきます」
 陽菜の決意を聞いた開拓者達はそれぞれの言葉で激励を送り、実枝は陽菜の手を取って力強く応援の言葉をかけた。

 その後、実枝と開拓者達は村人達に手を貸して出来うる限りの復興作業に従事した後に、村を去った。
 琉宇の奏でる秋晴れの唄を後に残しながら。豊かな自然に囲まれて笑う陽菜と再び会える日を信じて。
 
 日の光に反射した雨水によって輝く美しい村には、燕が残していったてるてる坊主が、秋風に吹かれて静かに揺れていた。