羅字音
マスター名:西川一純
シナリオ形態: イベント
EX :相棒
難易度: 易しい
参加人数: 17人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/06/03 18:16



■オープニング本文

 天儀の中心都市たる神楽の都。
 様々な人が行き交うこの都に、開拓者ギルドは存在する。
 はてさて、今日はどんな依頼が舞い込むやら―――

「はぃぃ!? なんですか、そのトークショーって!?」
「読んで字の如くよ。私とあなたで『ぱーそなりてぃー』っていうのを担当しなさいって上からのお達し」
 ある日の開拓者ギルド。
 職員の十七夜 亜理紗と西沢 一葉のコンビは、美人職員として人気もそこそこある二人組だ。
 今日も依頼の紹介をすべく職場に来た亜理紗に、先に来ていた一葉は微妙な顔をしながら辞令を伝えたのだった。
 内容は、公開トークショーの司会。予め募集したお便りなどを、二人でコーナーとして進めていくというものである。この催し物には開拓者ギルドそのもののアピールという意味も兼ねられている。
 ちなみに拡声作用のある宝珠を用い、大勢のお客さんの前でやるという容赦のない内容だ。
「別に私たちじゃなくてもいいじゃないですか!? 人気のある記録係さんはいっぱいいらっしゃいますよぅ!?」
「そうなんだけどね‥‥扱いやすいからっていうことで白羽の矢が立ったみたい。こういうの得意だろう、って」
「無理無茶無謀です! 私、そんなのやったことありません!」
「私だってないわよ! 一応、コーナーは予め知らされてるし自由に会話してればいいんだって。特別手当も出るらしいわよ」
「う。‥‥‥‥お、おいくらくらい‥‥?」
「(ごにょごにょ‥‥)くらい」
 おそるおそる聞いた亜理紗に、一葉が耳打ちする。
 すると亜理紗は首を大きく傾けながら唸り、暫く悩む。
 そして‥‥
「‥‥‥‥‥‥‥‥や、やります‥‥」
「やるの!? 私はこれもらっても嫌なんだけど‥‥」
「‥‥先日、ちょっと外食で食べ過ぎてしまいまして‥‥」
「‥‥切実といえば切実だけどさぁ‥‥」
 呆れる一葉だったが、結局自分も承諾した。仕事は仕事と割りきって働くのが彼女なりのこだわりらしい。
 もちろん、その範疇を超えそうならば絶対拒否もありえるようだが。
「ちなみにどんなコーナーがあるんですか?」
「えっとね‥‥まずは普通のお便り、略して『ふつおたのコーナー』。各々の自慢を送ってもらって、それを元に私たちがトークする『ドヤ顔上等』。言って欲しい台詞を送ってもらって、それを私たちが読み上げる『癒してください』。こんな武器や防具があったらいいな、というのを募集する『ぼくがかんがえたさいきょうのぶぐ』。とりあえずこの四つみたいね」
「どれも嫌な予感しかしないんですけど‥‥」
 お便りを送ってもらうという性質上、どうしても採用しきれないものもあるだろう。また、公共良俗に反するようなお便りは問答無用で不採用である。
 開拓者の体験談や願望をトーク混じりに公開していく。ある意味斬新といえば斬新だが、外すとパーソナリティー二人がとても痛い子扱いされてしまうのが諸刃の剣か。
 余談だが、『ぼくがかんがえたさいきょうのぶぐ』に送られてきたものでいいアイデアがあれば実際に作られることもあるかもしれない‥‥とのことである。
「でもこれ、依頼として成立するんですか? 終始私たちが話してるだけなんですよね?」
「イベントだからいいんじゃないの? 流行るかどうかは別にして」
「このイベントは流行りませんし絶対に流行らせません!」
「‥‥そういうこと言うと返って流行るわよ‥‥」
 突如開催されることとなった、開拓者ギルドのアピールを兼ねたトークショー。開拓者たちの熱いお便りが頼りのこの企画‥‥果たしてどうなりますやら。
 字と音を羅列するから羅字音(らじおん)。お便り職人が現れる‥‥かも―――?


■参加者一覧
/ 鷲尾天斗(ia0371) / 小伝良 虎太郎(ia0375) / からす(ia6525) / ミノル・ユスティース(ib0354) / ミーファ(ib0355) / 琉宇(ib1119) / 小星(ib2034) / フランヴェル・ギーベリ(ib5897) / 黒木 桜(ib6086) / 各務 英流(ib6372) / アムルタート(ib6632) / 陸奥茜(ib6875) / 蔵眥 厳達(ib6898) / 稲鶴 燈一郎(ib6909) / 羽紫 稚空(ib6914) / 神楽鬼(ib6916) / リノ(ib6917


■リプレイ本文

●本番です
一葉「せーの」
二人「開拓者ギルドプレゼンツ! 『神楽の皆さーん、開拓者羅字音ですよ〜!』」
亜理紗「はい、というわけで始まりました。というか、始まってしまいました! 文字と音を羅列するトークイベント、羅字音。パーソナリティーの十七夜 亜理紗です!」
一葉「皆さんこんにちは。同じくパーソナリティーの西沢 一葉です。さて‥‥どう、亜理紗。今の心境は」
亜理紗「ぶっちゃけ死にたいです」
一葉「何言ってるの。お客さんいっぱい来てくれてるじゃない」
亜理紗「だからですよ! あぁぁ、顔も忘れたお父さんお母さん、娘は今職務という名の辱めを受けていますっ! 生きているなら助けてっ!」
一葉「大げさねぇ。もう逃げられないんだからしっかりトークしなさい。いつもの報告書と違って生ってこと忘れないようにね。私たちが黙ると事故になるわよ」
亜理紗「余計に痛い思いするってことですね‥‥。分かりましたよぅ」
一葉「はい、それじゃ亜理紗も諦めたところで―――」
二人「神楽のみなさーん、開拓者羅字音ですよ〜! 略してかぐらじ! 最後までお付き合い下さい♪」
亜理紗「このイベントは。開拓者ギルド。眼鏡の分鏡堂。お食事処さざなみ、の提供でお送りします」

一葉「はい、改めましてこんにちは。西沢 一葉です」
亜理紗「同じく改めましてこんにちはー、十七夜 亜理紗です」
一葉「ちなみに亜理紗、このイベントの主旨は理解してる?」
亜理紗「私たちを晒し者にするってことですね、わかります」
一葉「違うわよ! 開拓者ギルドのPRも兼ねて、開拓者さんたちのことをもっと知ってもらおうっていうのが主旨なの! 開拓者さんのことを知れば親近感が湧いて、依頼も出しやくなるかも知れないでしょ」
亜理紗「‥‥後付ですよね?」
一葉「‥‥じゃあ早速コーナーやっていきましょうか」
亜理紗「さらっとスルーしましたね!? まぁいいですけど‥‥」
一葉「まずはこのコーナーから」
二人「普通のお便り、略してふつおたのコーナー!」
亜理紗「ふつおたのこーなー!」
一葉「‥‥なんで馬鹿っぽく二回目言ったの?」
亜理紗「いえ、なんとなく」
一葉「まぁいいけど。このコーナーでは、至って普通のお便りを募集しています。日常で疑問に思ったことや感じたこと、開拓者ギルドへの不平不満叱咤異議苦情はこちらまでということでね」
亜理紗「要はなんでもありということですね!」
一葉「そういうこと。はい、それじゃ記念すべき最初のお便りね。‥‥これは亜理紗が読んで」
亜理紗「いきなりですか!? 緊張しますね‥‥え、えーっと、ペンネーム黒小人さん、ありがとうございまーす。『時々でいいからギルドはこのような面白イベントを開くべき。宴会とか大会とか。開拓者との交流になるし息抜きになると思う』とのことです」
一葉「まさにこのイベントの主旨と同じね。需要あるのかしら?」
亜理紗「主旨は後付ですよね?」
一葉「まぁアヤカシと戦ったり殺伐とした依頼ばっかりじゃ疲れるのも確かだしね‥‥」
亜理紗「またスルーされた!? とことんスルーするつもりですね!?」
一葉「少しでも朗らかな気分になってもらえるなら私たちも晒し者になってる意味もあるんじゃない?」
亜理紗「そうですね‥‥お便りがまるで無くてトークだけで保たせろとか言われてたら絶対逃げ出してましたよ、私。そういう意味では恩返ししたいです」
一葉「うん、肩肘張らずにやっていきましょ。それじゃ次のお便り。ペンネームがないから本名でいいのかしら? 琉宇(ib1119)さんからのお便りです。『ええと、報酬はなしって書いてあったけれども、貯めると何かと交換してもらえる『なんとかチケット』とかもないのかな』だって。ありがとうございます」
亜理紗「あー、確かに。記念品とかあったら嬉しいかも知れませんよね」
一葉「そんな予算降りないと思うんだけどね‥‥」
亜理紗「採用される毎じゃなくて、お便りにもあるように採用されたら1ポイント、何ポイントか貯めると景品‥‥っていうのはどうですか?」
一葉「物で釣ってるみたいにならない?」
亜理紗「そこは予算とも相談して、粗品ということで‥‥」
一葉「そうね‥‥一応上に相談してみます。琉宇さん、期待しないで待っていてくださいね。それじゃ‥‥次はこのお便り。亜理紗、読んで」
亜理紗「はーい。えっと、ペンネーム‥‥のところに鷹みたいなポーズしてる闇目玉が描いてあるんですけど、なんて読むんでしょう‥‥。しかも妙に上手いんです」
一葉「え‥‥。うーん、鷹目玉さん‥‥とか? ‥‥あら、ホントに上手い。上手くて返って不気味‥‥」
亜理紗「じ、じゃあペンネーム闇目玉さん。『よく亜理紗さんが『B・W・H! B・W・H!』って皆(特に男の人)に言われてるのを見るんだけど、意味がわからなかったので聞いてみた! 教えてください!』‥‥」
一葉「ぷくく‥‥!」
亜理紗「笑わないでください! って言うか狙って私に読ませたんですよね、一葉さん!?」
一葉「あははははっ! ご、ごめんなさい。くくく‥‥いや、こういうお便りが来るとは思ってなくて‥‥!」
亜理紗「人事だと思ってー! あんまり笑ってると一葉さんのBWH公表しますよ!?」
一葉「あはは‥‥! はー、笑ったわ。‥‥とりあえず。亜理紗ちゃぁん? そんなことをしてみなさい‥‥私はあなたをムッコロス!」
亜理紗「ちょっ!? 先輩先輩! イベント中です!」
一葉「乙女の秘密を晒し者にするような人に人権はありません!」
亜理紗「うわーん!? 闇目玉さん! BWHは乙女の秘密なので無闇に聞いたりしないようにしましょー!」
一葉「はい、じゃあ気を取りなおして次のお便りね。えー、アムルタート(ib6632)さんからのお便りです。
『天儀のギルドって色んな仕事あって面白いね♪ アル=カマルでは護衛〜とか退治して〜とかが多かったから新鮮だよ。この間もみんなでお茶摘もうぜみたいな依頼があって、茶摘みなんてしたことなかったから参加してみたんだけど、天儀って仕事しながら歌うんだね! 茶摘み歌って言うの? 楽しくて一緒に歌って踊っちゃったよ!』
 とのことです。元気な女の子みたいね」
亜理紗「私、そのアル=カマルっていうところには詳しくないんですけど、そんなに殺伐としてるんでしょうか? 殺伐度は牛丼屋さんくらい?」
一葉「なにそのたとえこわい。どうしてあなたは何かの尺度を食べ物で表したがるの?」
亜理紗「前に一人で食べに行ったら、女子供はすっこんでろって言われて泣きながら帰ったトラウマが‥‥」
一葉「みなさーん、嘘ですよー。神楽の都にそんな食べ物屋さんはありませんからねー?」
亜理紗「てへ。でもアムルタートさん、この依頼でも楽しんでいただけたら嬉しいです。もっともっと天儀を好きになってくださいね♪」
一葉「はーい、綺麗にまとめたところで次行きましょう」
亜理紗「はーい。これは‥‥ペンネーム、紫のバラの人さんからいただきました。『最近、悪人っぽい雰囲気作りがめッちゃシンドイのです‥‥もう一つの趣味は万人受けしませんしどうしたらいィでしょう?』とのことですが‥‥」
一葉「えっと? 演技しながら依頼に参加してるってことかしら。ある意味すごいけれど‥‥」
亜理紗「ありのままの自分じゃ駄目なんでしょうかね? それじゃいっそのこと、万人ウケしないことを覚悟の上でもう一つの趣味を全面に押し出してみるとか。十人中八人にはウケなくても残り二人には大ウケかもしれませんよ?」
一葉「あら。真面目な答え」
亜理紗「まぁ一応は。でも、『もう一つの趣味』っていうことは、悪役っぽいキャラ作りは趣味なんですかね?」
一葉「そうなるわね。‥‥結構可愛くない? 依頼が終わった後に自宅で『あー、あのセリフは失敗だった! 恥ずかしーい!』とか言って転げまわってる開拓者さん」
亜理紗「ただしイケメンに限る」
一葉「酷っ! あなた面食いだっけ?」
亜理紗「いいえ。言ってみただけです」
一葉「‥‥随分楽しんでるじゃないの、このイベント」
亜理紗「えへ。とりあえず紫のバラの人さーん? たまには飾らない自分で依頼に参加してみるのもいいと思いまーす。もしくは真逆の性格を演じてみるのも面白そうでーす」
一葉「他人事だと思って好き勝手言っちゃって‥‥。それじゃ、ふつおたのコーナー最後のお便り。小星さんからいただきました。『地道ぃに万商店の籤を引いては支給品を売って凌いでいる貧乏なボクです。是非、籤運を上げるいい方法やおまじないを知っていたら教えてください!』っていうことみたいだけど‥‥はい、開拓者目線としてのアドバイスをどうぞ」
亜理紗「籤をやらない!」
一葉「ちょっとぉぉぉっ!? それ解決になってないし色々まずいから!」
亜理紗「あ、やっぱまずいですか? ‥‥えっと、籤をやらないというのは引かないという意味ではなくて、『やらずに貯めて一気に引く』っていうことなんです」
一葉「あーあー、例えば一ヶ月の間に三週間我慢して、四週目に一気に四枚! とか?」
亜理紗「そうです。ザッツライッ!」
一葉「で、それは実体験?」
亜理紗「はい。福引とかで一枚一枚引くと残念賞ばっかりだったんですけど、ある時、忙しくて自然と貯まっちゃった時があったんですね。13枚くらい集まったんでバーっと一気にやったら、お米5キロが当たりました」
一葉「なんかすごいリアルなんだけど」
亜理紗「実体験ですもん。いやぁ、助かりましたよお米5キロ。やっぱり天儀人はお米ですね!」
一葉「でもそれ、後付よね?」
二人「‥‥‥‥‥‥」
亜理紗「というわけでふつおたのコーナーでした!」
一葉「皆さんからのふつうなお便り、待ってまーす」


亜理紗「ドヤ顔上等っ!」
一葉「このコーナーでは、自慢できること、これは負けないというお便りをご紹介します。まず最初はこの方」
亜理紗「‥‥‥‥」
一葉「‥‥亜理紗、台本! あなたが読むところ!」
亜理紗「へっ!? あぁすいません、そのまま一葉さんが読んでくれるのかと思って。えっと、ペンネーム黒小人さん。あ、ふつおたのコーナーでも読んだ方ですね。『無敵のアイテム、万屋湯呑(レベル14)を所持。神楽の鍛冶屋、強化番付に何故か載っている』」
一葉「ぶっ!? なんで湯呑をそんなに強化しちゃったの!?」
亜理紗「っていうかどこで使うんでしょうね? なんかアヤカシ退治すらできそうな気がします」
一葉「アヤカシの攻撃! 湯呑で防御、ノーダメージ! 湯呑で反撃! アヤカシに大ダメージで勝利! ‥‥シュールな絵になるわねぇ」
亜理紗「量産して『龍が踏んでも壊れない湯呑』という触れ込みで売ったらいかがでしょう」
一葉「無理無理。一個作るのにどれだけ運と資金が居るのよ。元が取れないわ」
亜理紗「ですよねー」
一葉「でも、それ鍛冶屋さん泣くでしょ? 湯呑を強化させられるのもアレだけど、他は武器防具が並んでる番付に湯呑ってあなた。初めて番付見る人は、『ふんふん、あれでこれでそれで湯呑で‥‥って湯呑!?』ってなるわよ」
亜理紗「あー、それは絶対なりますね。一葉さんもなかなか良いリアクションで」
一葉「普通こういう反応します。はい、次のお便りは‥‥‥‥これもあなたが読んで」
亜理紗「楽しようとしてません!? えっと‥‥うぁ、各務 英流(ib6372)さんから頂きました」
一葉「渋い顔しないの。視覚的な反応は伝わりにくいんだから」
亜理紗「いや、あの、ドヤ顔上等と言いますかですね‥‥どれだけ各務さんが私のことを好きかっていうことが紙にビッシリ書いてあるんですけど」
一葉「どれどれ‥‥文字小さっ! 何?『声が好き。髪が好き。目が好き、鼻が好き、口が好き。いいえ、お姉さまの全てが好きっ! 世界中の誰よりもお慕い申し上げておりますわっ!』全部はとても読めないから省略。これだけで尺がなくなっちゃう」
亜理紗「そこっ、ひゅーひゅーじゃありません! お客さんでも容赦しませんよ!?」
一葉「これを機にビシッと言ってあげれば? 良いにしろ悪いにしろ。各務さんのこと嫌いなの?」
亜理紗「いえ、別に嫌いじゃありませんけど‥‥」
一葉「じゃあ、好き?」
亜理紗「うーん‥‥好き、とは違うような―――」
???「そんなっ、おねえさぶはぁっ!?」
一葉「あら? 何かカエルが潰された時みたいな声が聞こえたような」
亜理紗「き、気のせいですきっと。って、お便り二つだけですか?」
一葉「思ったより人気がないみたいね。私、湯呑とか凄く好きだったのに」
亜理紗「絶望したぁっ! コーナーの格差に絶望したぁっ!」
一葉「最低限文化的なコーナーということで。以上、ドヤ顔上等のコーナーでいた。あ、でした」
亜理紗「噛みましたね‥‥?」
一葉「ニヤニヤしながらツッコまないの!」


一葉「癒してください♪」
亜理紗「おぉー。一葉さん可愛い声も出せるんじゃないですか。普段もそのトーンでいたらどうです?」
一葉「嫌。疲れるから」
亜理紗「夢のない乙女め‥‥。このコーナーでは、私たちに言って欲しい台詞を募集し、私たちが戦いに明け暮れる皆さんの癒しになるかもしれないコーナーです。24時間戦えるようになるかも知れません」
一葉「無理言わないの。じゃあまず最初のお便りね。ペンネーム、幼蕾の狩人さんから」
亜理紗「‥‥そんなペンネームで大丈夫か?」
一葉「‥‥だ、だだだ大丈夫だ。問題ない?」
亜理紗「言い淀んでるじゃないですか! 最後疑問形ですし!?」
一葉「深く詮索しないほうがいいのよ、多分。えっと、読むわよ?『フランヴェルお姉様‥‥一葉は身も心も貴女のものです‥‥どうぞ、好きにしてください‥‥』って、何言わせるのよっ!?」
亜理紗「あはははは! あはははははは! 可愛いー! 一葉さん可愛いー! きゃーわーうぃーうぃー!」
一葉「くぅ‥‥! 冒頭の亜理紗じゃないけど死にたくなったわ! 顔あっつい!」
亜理紗「くっくっく‥‥! しかもこれ、送り主さん本名出しちゃってるじゃないですか。くすくす‥‥!」
一葉「笑いすぎ! お願いだからこれ以上いじめないでぇ!」
亜理紗「わっはっは。各務さんへのリアクションに困ってる私の気持ちが少しは分かりましたか?」
一葉「わかったわよ、わかったから次行って! はい、お便り!」
亜理紗「りょーかいです。えーっと? 名前の記入欄が何故か塗りつぶされてますが‥‥読みますよ。『英流さん‥‥愛してる』‥‥ってこらぁぁぁっ!?」
一葉「あー、いーけないんだいけないんだー。お便り粗末にしちゃいけないんだー」
亜理紗「わざと名前の欄塗りつぶしましたね!? これ各務さんからのお便りでしょう!?」
一葉「えー、遠くの客席の皆さんのために説明しますと、亜理紗はお便りを地面に叩きつけて地団駄を踏んでます」
亜理紗「説明しなくていいです! うっわ、やっぱりこれ公開処刑じゃないですか!」
一葉「私だって恥ずかしい思いしたんだから素直に読みなさい!」
亜理紗「ぐぬぬ。い、『いつも私の為にありがとう英流さん』‥‥」
一葉「声が小さいわよ。いくら拡声の宝珠を使っててもそれじゃ意味ないでしょ」
亜理紗「こ、『今度デートをしましょう』‥‥」
一葉「なぁにぃ〜? 聞こえんなぁ〜?」
亜理紗「うぐぐ‥‥!『そして二人で熱い口付けを交わすの! 約束よッ!』まぁ嘘ですけどねッ!」
一葉「ぶーぶー。心と愛を込めて欲しいって書いてあるのにー」
亜理紗「も う 一 度 お 便 り 読 み ま す か !?」
一葉「目が本気じゃないのよ! わかった、わかったわよ。このコーナーはお互いの精神安定上よろしくないみたいだから閉めちゃいましょ。以上、癒してくださいのコーナでした!」
亜理紗「『もう、お兄ちゃんたらぁ♪』みたいな台詞が来ると身構えてたのにー!」


亜理紗「ぼくがかんがえたさいきょうのぶぐ」
一葉「このコーナーでは、あんな武具があったらいいな、こんな武具ができたらいいなという願望を開拓者の皆さんに送っていただき、その実現に向かって一応頑張ってみるコーナーでーす」
亜理紗「意外と人気みたいでーす」
一葉「ホントにね。結構色々アイディア送ってきてくれてて、本気度が伺えるわね。実現できるかどうかは別として」
亜理紗「ではまず最初のお便り。稲鶴 燈一郎(ib6909)さんから頂きました。『命名「八十八夜―妖炎―」。青を帯びており切っ先に行くに連れて藍色になっている大太刀』だそうです。色々物騒なことが書いてあるんですけど‥‥」
一葉「武器なんだから普通は物騒でしょ?」
亜理紗「それがですね?『強い妖気を帯びている言わば妖刀、魔剣の類。開拓者を斬ると生気・魔力を吸い、瘴気を移し狂わせ、アヤカシだと妖気を吸いとる。この行為によって剣は切味、妖力が増す』」
一葉「あー‥‥えぇ?」
亜理紗「しかも意思を持ってて、会話できるそうですよ。それなんてカオス?」
一葉「色んな意味でね。作れるかぁっ! で切り捨ててもいいんだけど、折角お便りくれたのにそれじゃあんまりだから‥‥陰陽師の立場として、この武器は実現できると思う?」
亜理紗「うーん‥‥形や色合いは大丈夫だと思いますけど、流石に特殊能力はちょっと。頑張れば『会話が出来る』『生気・妖力を吸う』『斬れば斬るほど切れ味が上がる』のどれか一つくらいなら付加できるかも知れませんが、それでも難しいですよ」
一葉「でもまぁ、ある意味このコーナーに最適のお便りよね。想像力って偉大だわ」
亜理紗「そうですかぁ? なんか思ったこと全部載せてみた、みたいな感じなんですけど」
一葉「それも大事よ? これとこれとこれを合わせたらすげくねって考えるところから色々発展していくんだから。まずは思いつかないと一歩も進まないわ。亜理紗だってこの刀みたいな武器、想像したことないでしょ?」
亜理紗「そりゃあまぁ。あー、でも言われてみれば私の術開発も同じような理由かもしれません。あんなこといいな、できたら嬉しいな、みたいな」
一葉「ならせめて制御できるようになりなさい、万年術三つ」
亜理紗「わーん、いつの間にか矛先が私に!? つ、次のお便りは、ペンネーム紫のバラの人さんからです。『命を削ると美少女にモテモテになる槍。ついでにアヤカシも一撃だけど使いすぎると獣になっちゃったりする槍』‥‥ってできるかぁっ! 色々危ないじゃないですか、この槍!?」
一葉「命を削るとっていう結構シビアな条件が付いてるのが奥ゆかしいというか何と言うか‥‥」
亜理紗「なーんかこういうことを考えそうな人に心当たりがあるようなないような‥‥。切り捨てて申し訳ないですけど、どんなアヤカシでも一撃で倒せる槍が作れるならこの世からアヤカシ被害はもっと減らせてます!」
一葉「ごもっとも。次行きましょうか。えー、『運命の赤い鎖手錠。これで拘束された二人は永遠に結ばれる‥‥(ぽっ)』」
亜理紗「ぽっ、じゃないぃぃっ! っていうか本当に書いてあるし!? 送り主の名前読んでませんけど各務さんからでしょう!?」
一葉「あ、やっぱわかる?」
亜理紗「わからいでかってやつですよ! そんなのがあったら、その‥‥私も欲しゲフンゲフン」
一葉「うん、皆まで言わないでよろしい」
亜理紗「一葉さぁん!? あえて妙なのばっかり選んでません!?」
一葉「選んだのは私じゃなくてギルドの上司よ。知ってるでしょ。まぁ亜理紗のツッコミが追いつかないみたいだからまともなの行きましょうか」
亜理紗「やっぱ楽しんでますよね‥‥?」
一葉「銀食器(ナイフとフォーク)、切ってよし刺してよし投げてよし。タライ、殴ってよし盾にしてよし仕掛けてよし。花束(ケース付き)、渡してよし物を隠してよし。蝿叩き『一撃殺虫』、アヤカシも叩き倒せる?」
亜理紗「最後の以外は凄くまともじゃないですか! こういうのがあるなら初めからやってくださいよぅ!」
一葉「流石にアヤカシをたたき殺す蝿叩きはねぇ。ドヤ顔で読んだ湯呑みたいに、恐ろしく強化してあるなら話は別なんでしょうけど」
亜理紗「ヌぁぁイフぅ! とフォぉぉぉクぁ! は天儀ではあまり見ませんけど、一般家庭にあってもおかしくないですからね。一般人の護身にも使えそうです!」
一葉「食べることに関係があるものが出たとたんこのテンションですよ」
亜理紗「すべての食材に感謝するんです! いただきますするんです!」
一葉「はいはい。でも、これは本当にいいと思うわ。特別な材料も要らないし。申請してみましょうか」
亜理紗「是非! 食器で戦う陰陽師も楽しそうです!」
一葉「自分でも使うこと前提‥‥? とりあえず次行くわよ。ふつおたの時のペンネーム闇目玉さんから。『まるごとはりねずみ。これからは防具一つで防御だけでなく攻撃も! これなら可愛いしトゲトゲで強そうで格好良いし!』だって。ふふ、可愛いわね」
亜理紗「着るとはりねずみみたいになるってことですよね? 動きづらくないですかねぇ? ひっくり返るとえらいことになるような気がしますけど」
一葉「そこは試作して詰めてもらいたいわね。私、この発想嫌いじゃないわ」
亜理紗「私もです。まるごとなんちゃらってシリーズにしやすそうですしね」
一葉「これも申請してみましょうか。バランス取りが大変そうだけど」
亜理紗「はーい。神楽の都をまるごとなんちゃらシリーズを着た人がたくさん歩いてたら面白いですね! ガクガク動物ランド、みたいな」
一葉「いや、それはちょっと嫌かも‥‥。とりあえず次、亜理紗が読んで」
亜理紗「はい。ペンネーム、幼蕾の狩人さん。‥‥こんなペンネームで―――」
一葉「それはもういいから」
亜理紗「手屁っ♪ えーっと‥‥『特定の条件下でのみ特殊効果が生じる武具』を考えてくれたみたいです。例えば、『柄頭に拡声能力のある宝珠が埋め込まれていて、咆哮使用時にプラス修正がつく刀』とか」
一葉「あらいいじゃない。普通に実現できそう」
亜理紗「他にも、『13歳以下の女の子に舐めさせると何でも言う事を聞いてくれるようになる飴玉』とか‥‥」
一葉「オィィィッ!? 一個目で止めておけばよかったのになんで付け加えちゃったかな!?」
亜理紗「うぅ‥‥これも、送ってきた人になーんか心当たりがあるような‥‥」
一葉「多分違うわよ。だって送り主は女性みたいだから」
亜理紗「なーんだ、よかったぁ‥‥って、女性がこのペンネームと内容送ってきたんですか!?」
一葉「みたいよ? ‥‥女は度胸。なんでも試してみるのかしら」
二人「‥‥‥‥アッ―――!」
亜理紗「つ、次行きましょう。小星さんからいただきました。
『ボクは陰陽師なので、とっさの時に藁人形(!)とか出してくるのが大変です。アーマーケースみたいに小さな薄い箱に収納できると安心。戦闘ではないときに人形を持ち歩いているのはちょっと『なにあの趣味』といわれそうです‥‥』
 とのことですね。これは出来るパターンじゃありませんかね?」
一葉「あのアーマーの技術が使えるなら、もっと小さい藁人形くらい楽勝よね。これもいけそうかしら。お便りの後半にある、『アーマーを騎乗せずに符で動かす』っていうのは無理そう?」
亜理紗「うーん‥‥ちょっと難しいかもです。あの大きさのものを精密に動かそうとしたら、どうしても何箇所かに符を貼って、それを同時にコントロールするという技術が必要になってきます。そもそもその符を開発するのも苦労するでしょうしね。ちょっと現実的じゃないです」
一葉「じゃあアーマーケースの亜種を検討、ということで我慢してもらいましょうか。というわけで、実現できそうな武器についてはギルドを通して申請してみます。もしこれらの武具が商店に並んだら、その時はニヤリとしてくださいね」
亜理紗「以上、ぼくがかんがえたさいきょうのぶぐのコーナーでした!」


亜理紗「お送りしてまいりました『神楽の皆さーん、開拓者羅字音ですよ〜!』略してかぐらじ! そろそろお別れの時間となりました! いやー‥‥どうでしたか、一葉さん」
一葉「何もかもが初めてだったから随分新鮮だったわね。こんな大勢のお客さんの前で会話するのも、コーナーを回すのも、大声でツッコむのも」
亜理紗「あー、私もです。皆さんからいただいたお便りがあったればこそ、こんなに楽しい時間を過ごせたんだと思います。お便りをくださった皆様に感謝です!」
一葉「ちょっと心臓に悪い時間もあったけどね」
亜理紗「あはは。でも、私たちも開拓者さんたちとの距離が縮まった気もしますし、会場の皆さんもそうだと思います。みなさーん! 開拓者の方々、面白い方ばっかりでしょー!?」
一葉「おー、すごい盛り上がり。イベントをやった意義もあったみたいね。それじゃ突然ですが、特別コーナー。『心、風に吹かれて』」
亜理紗「いいんですか? 勝手にコーナー増やして」
一葉「いいの。これはふつおたのコーナーに送られてきたお便りなんだけど、エンディングのこの暖かい空気の中で読むのがいいと思ったから。羽紫 稚空(ib6914)さんからいただきました。『桜、いつも俺のこと頼ってくれてサンキューーな。これからも一緒に‥‥いや、一生俺だけに頼ってくれ!』」
亜理紗「おぉぉぉぉ! こ、告白じゃないですか! これは熱いですよ!?」
一葉「ちなみに、お相手の方からもお便りをいただいています。はい亜理紗、読んで」
亜理紗「いえっさー! えー、黒木 桜(ib6086)さんから!
『この場を借りてお話させていただきます。稚空、いつも危ないとき身体をはって守ってくれてありがとう。だけど、自分をもっと大事にしてね。いつも私のこと助けて一緒に居てくれてありがとう。これからも、良いお友達として‥‥よかったら、これからも仲良くして、一緒に戦っていきましょうね』」
 ‥‥あー、残念‥‥! でも、もしかしたらこれがお二人のナチュラルなところなのかも知れませんしね。きっとまだまだチャンスはあるはずです!」
一葉「こんな風に、このコーナーは心温まるいいお話を集めてみました。時間いっぱいまでお便りを読んでいきたいと思います。ペンネーム、虹色のハーモニーさんからいただきました。
『私を開拓者の道に誘ってくれたのは‥‥人々を癒し、勇気づける祈りにも似たハーモニーを奏でる名も知らぬ一人の楽士。人に告げられない様々な苦しみや悲しみに打ちひしがれていた私は、そんな楽の音に、歌に、救われました。何時の日か、『全ての人が、癒され、救いに満ち溢れる様な‥‥祈りにも似た優しい歌』を。『人々を勇気づけ、明日へ向かう力を与える希望の歌』を紡げる一人前の楽士となって行きたいです』」
亜理紗「すごい‥‥素敵な話じゃないですか!」
一葉「もう一通。ペンネーム、とある天儀の開拓者さんから。
『私は広い世界に憧れて開拓者になりましたが、開拓者に登録してすぐに参加した合戦の凄さに‥‥諸先輩方の働きに‥‥その圧倒的な存在感のある後ろ姿に圧倒されて、私もあんな風に働けるのだろうか‥‥と悩んで中々一歩を踏み出せないでいました。そんな私も、小隊に入れて貰って‥‥何度かの合戦に出向いて‥‥やっとほんの少し、自分に出来る事が見えてきた気がします。まだ、どこかの誰かの為にって依頼に参加する踏ん切りがつかないでいますが、私も何時か、自分が先輩達の背中に憧れたように、後から来る人の憧れの対象になれるような人になれたらいいなって思っています』
 ‥‥この二通もまた、開拓者さんから頂いたものです。強く、凛々しく、住む世界の違う存在。開拓者はそんなものじゃなく、いつも皆さんの身近にいて、悩み、苦しみながらも前に進んでいる一人の人間なんです」
亜理紗「開拓者のことを傭兵紛いだと仰る方もいらっしゃいますが、それは開拓者のほんの一面だけです。一人一人、自分の目指す道を開拓していくのはみなさんと何も変わりません。かく言う私も、開拓者の一人です。へっぽこですけどね」
一葉「夢、希望、想い、力。それらを以て世界そのものを広げていく開拓者。どうか、彼らの未来に幸が有らんことを一緒に願ってください。それが、私の‥‥開拓者ギルド職員たちの願いです」
亜理紗「それではお時間です。またいつか、こんなイベントがあるかは分かりませんが‥‥!」
二人「羅字音、次回もお楽しみに!」