盾ありて牡羊猛る
マスター名:西川一純
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 難しい
参加人数: 7人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2014/12/16 22:21



■オープニング本文

 天に瞬く星々の、輝き受け継ぐ黄金の印。
 時は現在、場は集星。今、星座の力を持つアヤカシたちとの戦いが激化する―――


 星の一欠片(スターダスト・ワン)。それは八十八星座が描かれた黄金のメダルである。
 特別な出自を持つと思われる盾座を言葉巧みに誘導し、奇妙な協力関係を取り付けた開拓者たち。
 最終決戦へ向け、今再び星見の間へ―――
「さて、再確認よ。現在星見の間は、天秤座が呼び出した猟犬座カネス・ヴィナティキとレチクル座レティクルム、追加で配備された牡羊座アリエスが守ってる。こちらは盾座スクトゥムを連れて再突入……問題ない?」
「はい。猟犬座は屈強な男でシノビの技を使い、レティクルムは女の子、あやとりで空間に瘴気の糸を張るんでしたよね」
 ある日の開拓者ギルド。
 再突入の依頼を出すために内容の確認をしているのは、ギルド職員の西沢 一葉と鷲尾 亜理紗である。
 これまでも何度か開拓者を送ってみたのだが、やはり地の利は相手にあり撃退されてばかり。勿論、戦いで敵方のことを調べる意味もあったので全くの無駄骨ではない。
 亜理紗の移動術は解除するとすぐに脱出できるため、撤退もしやすいのだ。
「でも、盾座ね……無差別防御をやめる気がないんじゃ邪魔になっちゃうんじゃない? 彼女だけ送り返すとか器用な真似はできないんでしょうし」
「そりゃ無理ですよ。でも、彼女がいれば星見の間から導星の社に移動することもできると思うんです。一旦導星の社にたどり着いてしまえば、そこに楔を打って直にそっちに移動することができるようになると思いますよ!」
 普通の陰陽師が聞いたら卒倒しそうな台詞だが、亜理紗にはそれを行う力がある。普通の術はへっぽこのままだが、こういう常軌を逸した相手、状況には役に立ってくれる。
「とりあえず重要なのは牡羊座。彼はまんま羊のような外見だけど、言葉は話すし知能も高い。そして何より、そのモコモコの毛並みで物理・魔術問わずあらゆる攻撃をなんでも弾いてしまうみたいね」
「ん? 今なんでも弾くって言いましたよね?」
「言ったけど」
「またまた〜。どうせ盾座のシールドビットみたいに、衝撃を伴わない音は防げないとか意外と弱点あるんでしょ?」
「いいえ。本当になんでも弾くみたいよ。ちなみに毛が生えてない顔とか狙っても結果は同じ。白梅香すら通用しないから」
「……そんなのどうやって倒すんですか?」
「さぁ……それは参加者に考えてもらうべきことでしょ。あ、それより」
 一葉は亜理紗に詰め寄ると、人差し指で亜理紗の鼻を軽くつつく。
「いくら利用するとはいえ、盾座と協力するなら私にも紹介してよ。どんな子か見てみたいじゃない」
「い、いえ、向こうも石鏡のあちこちをふらふらしてますから……」
「ふーん……ま、無理にとは言わないけど……気が向いたらよろしくね」
「ですから向こうの都合次第ですってば!」
 亜理紗は言えなかった。もし盾座と一葉を会わせて、盾座が一葉のことを『ライブラ様?』等と言うことを恐れていたのだ。
 しかし、世の中何が正解かなどはわからない。会わせてもただ挨拶するだけで終わるかもしれないし、会わせることで何か道が開けることもあるかもしれない。とはいえ、それを決断するには一人は心細すぎる。
 無差別防御の盾座を加え、再び星見の間に乗り込む開拓者たち。果たして、彼女を引き込んだのは吉と出るか凶と出るか―――


 カウント・ザ・メダルズ! 現在、開拓者が使えるメダルは!
馭者座、山猫座、テーブル山座、三角座、南の三角座、海豚座、アンドロメダ座、ポンプ座
望遠鏡座、魚座、鳳凰座、矢座、時計座、彫刻具座、彫刻室座、蛇座
水蛇座、海蛇座、画架座、牡牛座、エリダヌス座、小犬座、小狐座、小獅子座
小馬座、蠍座、蝿座、六分儀座、八分儀座、大熊座、小熊座、孔雀座
竜座、顕微鏡座、カメレオン座、水瓶座、カシオペア座、ヘラクレス座、狼座、乙女座
巨嘴鳥座、コップ座、鶴座、飛魚座、炉座、祭壇座、麒麟座、一角獣座
鷲座、風鳥座、烏座、白鳥座、双子座×2、冠座、南の冠座、インディアン座
旗魚座、蜥蜴座、帆座、ペルセウス座、定規座、ケンタウルス座、コンパス座 、髪の毛座
オリオン座


■参加者一覧
鷲尾天斗(ia0371
25歳・男・砂
真亡・雫(ia0432
16歳・男・志
雪切・透夜(ib0135
16歳・男・騎
レネネト(ib0260
14歳・女・吟
各務 英流(ib6372
20歳・女・シ
アムルタート(ib6632
16歳・女・ジ
何 静花(ib9584
15歳・女・泰


■リプレイ本文

●運命の邂逅?
 星見の間へ転移するため、開拓者たちはまず盾座スクトゥム、重盾のクリムを迎えに神楽の都から石鏡へ移動する。
 無差別防御を繰り返す彼女を連れて行って大丈夫か不安はあるが、すでに賽は投げられた。そして開拓者7人+亜理紗以外に、もう一人……。
「……遅くなった」
 合流予定時間から少し遅れて、待ち合わせ場所に盾座が現れる。彼女の前にすっと歩み出たのは西沢 一葉である。
 御存知ギルド職員であり、キョンシーを操る道士であり、天秤座ライブラにそっくりな彼女。それを星座アヤカシに会わせることはリスクも大きい。
 一葉自身は自分が星座アヤカシの親玉にそっくりなどとは露とも思っていない。しかしその事実を突きつけられた時……あるいは、天秤座が一葉と同一人物であるとなった時、今までの関係や平和な時間は粉々に砕けるかもしれないのだ。
 それでも、開拓者たちと亜理紗は盾座と一葉を会わせる決意をした。
「あら可愛らしい。あなたがクリムちゃん?」
「……誰?」
「私は西沢 一葉よ。へぇ、セブンアームズってこんな外見なのねぇ」
「私の先輩で、凄く仲の良い友達なんです。クリムさんに挨拶したかったそうなんで、連れてきちゃいました」
「……ふーん? 別にボクは会いたくないけど。早く行こ」
「あらら……嫌われちゃった?」
 たはは、と苦笑いする一葉。お互い初対面のようで、特に何事も無く穏やかに挨拶は終了する。
 拍子抜けした一同は、一葉に見送られ決戦の場……星見の間へと亜理紗の術で転移していったのだった。
 一人その場に残された一葉が何を呟いたのかなど、知る由もなく。
「……事を急ぐ必要がありそうか―――」

●橋頭堡を確保せよ!
 星見の間へ転移した8人+1体を待ち受けていたのは、情報通り牡羊座、猟犬座、レチクル座であった。
 不意の出現で一瞬面食らった様子のアヤカシたちであったが、すぐに頭を切り替え戦闘態勢に入る。
「ほっほっほ……まさか敵に付くとは、愚かでおじゃるなスクトゥム」
「……別に。ボクはみんなを守るだけ。アヤカシも、人間も」
 明らかにリーダー的存在なのは牡羊座。おじゃる言葉が鬱陶しいが、事前情報が正しいのであれば苦労することになるだろう。
 じりじりと散開し、お互いの敵を確定していく二組。
 緊張が頂点に達した時……星見の間に、巨大な蛟が現れた。
『ぬおぉぉぉぉ!?』
 それは誰が発した叫びだったのであろうか。敵味方問わず全員が叫んだような気さえする。
 その巨大な蛟は、何 静花(ib9584)が水蛇座のメダルを使い呼び出したもの。必ずしも言うことを聞いてくれないのが欠点だが、それ以上にこんな閉鎖空間で蛟はヤバい!
「とりあえずごろごろしとけ」
 何にそう命じられた蛟は、しばし考えた後、巨体を横たえ本当にごろごろし始めたのだからさぁ大変。壁にぶつかるわ天井にぶつかるわでてんやわんやである。
「ちょっ!? 踊ってられないよー!」
「お姉様、クリムさん、お二人は私が命に変えてもお守りしますわーッ!」
 それでも身軽に蛟の胴を避けるアムルタート(ib6632)と、亜理紗と盾座をどさくさ紛れに抱きしめながら庇う各務 英流(ib6372)。胸を触ることも忘れない辺り完全に確信犯である。
 アヤカシ側も混乱気味であったが、牡羊座だけは格が違った。蛟にぶつかられることで自ら跳ね、まるでボールのように星見の間を高速で行き来する!
「こんなもので!」
 自分に向かってきた牡羊座を太刀でたたき落としたのは雪切・透夜(ib0135)。しかしその反動でまたバウンドし、質量兵器として牡羊座はますます飛び跳ねる。
「ほっほっほ! 麿はあらゆる衝撃を弾くのでおじゃる。いくら打ち返そうと無駄でおじゃ!」
「これは厄介ですね。しかし……?」
 ふと雪切は疑問に思う。先ほどの牡羊座の攻撃も自分の迎撃も普通に通った。盾座のオートガードが仕事をしていない。
 牡羊座の弾道に気をつけつつ星見の間に視線を走らせると……
「……邪魔……! 転がったら、だめ……!」
 盾座のシールドビット7枚が、総出で蛟の体を押さえ空間の隅っこに追いやっている。
 蛟の方に攻撃の意思はないが、あまりにも邪魔なのでオートガードより蛟の排除を優先したのだろう。涙目になっている蛟が可哀想ですらあるが、これはチャンスである。
「計算通り……!」
「嘘吐けェ! ……さて、あの糸をどう捌くかだなァ」
「任せて兄ロリ、避けるの得意〜♪」
 何へのツッコミをキッチリした後、鷲尾天斗(ia0371)とアムルタートは一気にレチクル座へと駆け出した。
 狂ったように跳ね回る牡羊座は度外視し、あやとりを持つ少女の元へ一歩を―――
「ぐォ!?」
「へぶっ!?」
 踏み出せず地面に激突した。
 何事かと思って足元を見ると、瘴気で作られた糸が二人の足を引っ掛けていたのが確認できる。勿論レチクル座の仕業である。
「レチクルはあやとりも得意ですが揚げ足取り(物理)はもっと得意なのデス」
「そういうの揚げ足取りって言わなくねェ!? ンならヘラクレス座だァ!」
「もー、転んだのなんていつ以来だろ? 私もレッツおニューのメダル! 時計座発動〜♪」
 鷲尾のヘラクレス座=発動後、3回の攻撃まで怯まなくなる(ダメージは通常通り)
 アムルタートの時計座=発動中、絶対時感を手に入れる(秒、分、時を体内時計で完璧に計れる)
 鷲尾の方はともかく、アムルタートのメダルはあまり意味が無いように思える。
 しかし二人はお構いなく今度こそ駆け出し、レチクル座に肉薄する。
「やらせませんデス」
 手元のあやとりを吊り橋のような形に変化させると、自らの目の前に同じ形の瘴気の糸を出現させる。
「アンドロメダ座を使わせたら俺に敵う奴は居ねェ! そして最強の星座はカプリコーン!」
 アンドロメダ座のメダルを使い、魔槍砲を分割し吊り橋にぶつける。
 白梅香を発動していたので一本目の糸はあっさり消滅したが、二本目の糸で弾かれてしまう。しかもレチクル座は続けざまに熊手だの蝶だのと糸を増やしていく!
「後れを取るなよアム!」
「なんだ、これ上乗れるんだー。空中にもステージ、いいね!」
 レチクル座の作り出した瘴気の糸に乗れることを発見したアムルタートは、それを逆手に取り上から強襲をかける。同時に鷲尾も回りこむようにレチクル座の背後へ……!
「えっ、あっ……た、助けて……!」
 レチクル座は外見相応の弱々しいリアクションを見せるが、それに応える者はいない。
 牡羊座は急に止まれないし、猟犬座も戦闘中である。加えて彼女は元々サポートタイプだ
 魔槍砲と鞭の連続攻撃を受け、レチクル座は消滅したのだった―――

●獣狩りだ!
「そこっ! やらせはしません!」
「チィッ! ただでさえアリエスの旦那が鬱陶しいというのに……!」
 時は少し遡り、真亡・雫(ia0432)に斬りかかられ、慌てて飛び退くのは猟犬座。
 機動力に自信がある彼も、巨大な蛟が閉鎖空間で暴れたり高速で飛来する物体(味方)があったりすると思うようにそれを発揮し得ない。
 当初は姿を消すようなこともやってみせたが、真亡の心眼で全て見破られてしまうので早々にやめてしまい、体術のみで勝負している。
「この白鳥の羽ばたきを受けるが良いですわーッ!」
 勿論敵は真亡一人ではない。各務も亜理紗とクリムを庇いつつ白鳥座のメダルで援護する。
 各務の白鳥座=冷凍ビームを放つ。(知覚+100の威力で射程2スクエア)
「ふん、このような子供騙し!」
「援護には充分です!」
 猟犬座は純粋な戦闘力で言えば今回戦っているアヤカシの中でもトップであり、牡羊座を遥かに凌ぐ。しかし飛来物(味方)との衝突を避けようとするあまり、その実力は発揮できていない。
 まぁそれは開拓者側にも同じことが言えるのだが。現に真亡は二度ほど牡羊座の体当たりをくらい、危機に陥っている。
 雷のように迸る太刀と、疾風のように舞う短刀。その邪魔をするのは、あくまで牡羊座である。
「透夜くん、牡羊座は何とかならないかな!?」
「ごめん、雫くん! もう少し時間がほしいかも! すいませんが、弱点はまだ見えませんか!?」
「んー……」
 雪切の声を受け、目を細めて飛び回る牡羊座を観察するのはレネネト(ib0260)である。
 彼女は顕微鏡座のメダルを使い、相手の弱点を調べることができる。しかしそれはあくまで視力に頼るので、高速で跳ね回る牡羊座からはなかなか弱点が見いだせない。
 事前に用意した策『砂をかけることで毛が攻撃を弾いているのかバリアのようなもので弾いているのか判別する』という作戦は、早々に牡羊座が飛び跳ね始めてしまったので結局実行できていない。
「今回ばかりは超越聴覚ではなく超越視覚が欲しかったのです」
「無い物ねだりを、されても!」
 レネネトに向かっていく牡羊座の弾道を見切り、盾で弾き飛ばす雪切。ペルセウス座で盾を強化するも、打開策には繋がらない。
 雪切のペルセウス座=自らの盾を硬い石で覆い、受防と抵抗を+100。ただし重量は倍となる
 ダメ元で、レネネトは事前に試したポンプ座を使用してみる。
 レネネトのポンプ座=前方5mの地点に1立方メートルの真空空間を作る
 しかし勢いが付いている牡羊座は真空空間をあっさり突破してしまう。
 このままでは自分たちもさることながら、猟犬座と戦闘中の真亡たち、レチクル座と戦闘中の鷲尾たちも危険に晒される一方だ。そう判断した雪切は、大技に出る決意をする。
 目配せを受けた何は、やれやれといった表情をしつつも煽りを始めた。
「なかなかやるな。しかし飛び回るだけとは、黄道十二星座にしては芸がないんじゃないか?」
「おじゃ!? そういう台詞は麿の攻撃を攻略してから言うでおじゃる!」
「その攻撃がワンパターンだと言っているんだ。如何に上等な肉でも、毎日食べれば食べ飽きる……そんなこともわからんのかこのジンギスカン」
「ムキィィィ! ま、麿をラム肉扱いとは、許せぬでおじゃ―――」
 その時、時間が止まった。牡羊座が大口を開けて抗議しようとした直後、雪切の『夜』という業で時間が停止。次の瞬間には『影』を使用、一瞬で空中に静止する牡羊座の目の前に出現する。
「堅牢な盾に不壊の防御、僕にとってはどちらも無意味……さよならだ」
 口内に聖堂騎士剣を纏った太刀を突き立て、そう呟いたところで時は動き出す。
「お……ひゃ……? ま……まほ……ふぁ……!」
 体毛のない顔ですらも攻撃を弾くのは、すでに何が殴りかかって証明していた。では、産毛すらもない口内はどうなのか。雪切は初めからその疑問を持ち、攻めるタイミングを見計らっていたのだった。
 ついに消滅した牡羊座。これで鬱陶しい飛来物もなくなり、全力で猟犬座に専念できる。
 見ればレチクル座の方も終わった模様。後は7人で猟犬座をタコ殴りである。
 と。
「ま、待って! これ以上誰かを傷つけないで……!」
 そう叫ぶのはやはり盾座。蛟が疲れてぐったりしたことで、ようやく戦闘に戻れるようになったらしい。
 これはこれで嫌なタイミング、と誰もが思った。猟犬座さえもそう思ったのだから間違いない。
 攻撃を仕掛けた方から確実にガードされる。それが火を見るより明らかである以上、全開でやれるという期待が一気にイライラに変わる。
「どっちも守るんだ……手の届く範囲は、絶対……!」
「(……この雰囲気はマズイのです)」
 盾座が瘴気を還元する方法は、このイライラである。
 邪魔をされる、攻撃を通せない、敵を庇われる。そんな人間の負の感情を本人は無意識で瘴気に還元してしまうのだ。
 つまり、この状況を続けることは人間側の方がデメリットが大きい。レネネトはそう判断し、問答無用で魂よ原初に還れを放った。
 これは衝撃を伴わない音の攻撃なので、盾座のオートガードは成立しない。しかもレネネトは盾座を味方として認識しているので、本人に効果が及ばずますます防げる道理がない。
「ぐぉぉっ……! お、おのれ……一人くらいは道連れにしてくれる……!」
 ボン、という音と共に発生した煙の中に姿を消す猟犬座。すると煙の中からレネネトの咳き込む声が聞こえ、先ほどまでレネネトがいた場所に猟犬座の姿が!
 猟犬座は術の維持で無防備な亜理紗に向かう。そのそばには真亡がいるが……!?
「退けぃ! 貴様では俺は止められん!」
「それはどうでしょう?」
 その左手に握られていたのは髪の毛座のメダル。それと天井の髪の毛座が共鳴して輝くとき、勝負は決する。
 真亡の髪の毛座=髪が数メートルまで伸び、自由自在に操ることができる。解除すると元の長さに戻る
 意外! それは髪の毛ッ!
 膨大な量となった真亡の髪が猟犬座を絡めとり、その動きを封じる……!
「たかが人間の髪、引きちぎってくれる! ……!?」
 猟犬座の視線の先、真亡は精霊力をため武器に集中させている。
 ヤバい。とにかく危険だ。そう直感した猟犬座が、反撃に出るよりも早く開拓者たちの援護が入る。
「雫くんをやらせはしない!」
「俺たちのこと忘れてねェかァ!?」
「鞭でビシバーシ♪」
「もう一度歌ってあげるのです」
「白鳥の羽ばたきといったな……あれは嘘だ」
「魚座のメダルは使えるなら使う、使えなくても使う、使うったら使う、使わないなんてとんでもない」
 何の魚座=髪がロングになり格好も心も臆病なお嬢様風味になる。30分間解除不可
 レネネト以外の攻撃は盾座のオートガードに阻まれてしまったが、隙を作るには充分。
 真亡の刀から放たれた龍の顎……閃波「白亡龍」が猟犬座に牙を剥く……!
 残り3つのシールドビットも鷲尾、雪切、アムルタートが打ち払い、盾座本人も各務が抱きつきインターセプト。
 真亡の奥義を受けた猟犬座は、メダルを残して消滅したのであった―――

●楔を打つ
 また守れなかったと落ち込む盾座をとりあえず無視し、3枚のメダルを回収した開拓者たちは、すぐさま次の行動に移る。
 即ち星見の間からその地下にある導星の社に転移し、楔を打ち込むことで次回から直接そこに行けるようにすること。勝利だけでは目的達成にならない。
「行きますよ……皆さん、心の準備はいいですか!?」
 鷲尾 亜理紗の言葉に身を硬くする一同。盾座がいることで本当に転移が可能になったらしい。
 光の渦に包まれた一行が次に目を開けた時……そこには、巨大な社……いや、神殿がそびえ立っていたのだった。
「これが……敵の本拠地……?」
 レネネトが呆けたように呟く間に、亜理紗は楔を打ち込む事に成功する。
 今日のところはこれでいい。無茶は禁物! 亜理紗はすぐに術を解除し、一行は地上へと戻ったのだった―――