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■オープニング本文 天に瞬く星々の、輝き受け継ぐ黄金の印。 時は現在、場は集星。今、星座の力を持つアヤカシたちとの戦いが激化する――― 星の一欠片(スターダスト・ワン)。それは八十八星座が描かれた黄金のメダルである。 黄金に輝く88のメダルうち、3分の2を越えたところで、物語は最終局面へ―――? 「さて、今回のアヤカシは髪の毛座コーマとオリオン座オリオンよ」 「何々……髪の毛座は黒髪ロングのお姫様みたいな女の子で、オリオン座はがっしりした体格の青年みたいな姿……と」 ある日の開拓者ギルド。 今日も今日とて星座アヤカシの依頼を担当をするのはギルド職員の西沢 一葉と鷲尾 亜理紗である。 重要な選択の一つである盾座の処遇。それも重要なのだが、集星に蔓延る星座アヤカシの撃破も疎かにはできない。 簡単そうに聞こえる今回の依頼だが、最大の敵はアヤカシとは別の所にいた。 髪の毛座は文字通り髪を生やす能力があり、それを聞きつけた中年〜壮年の男性が集星はおろか石鏡のあちこちから髪の毛座を訪ねており、その護衛までしているというのだ。 勿論髪の毛座は善意で髪を生やしているわけではなく、髪を生やし、ある程度時間が経ってからその髪を奪うことで、俗に言うぬか喜び的なやりかたで負の感情を搾取しているという。 「うわー……なんていうか別の意味でエグい。でも、そんなに髪の事気になるんですかね、男の人って」 「仮にあなたの旦那様がハゲたとして……旦那様が髪を取り戻したいって嘆いたらあなた同じこと言える?」 「…………ゴメンナサイ」 石鏡も討伐隊を送ったことはあるのだが、その度に例の野郎どもが妨害して結局撃破には至っていない。 中には後々髪を奪われるとわかっていてもなお髪の毛座の元を訪れているものまでおり、その業と覚悟は深い。 「ちなみに髪の毛座は髪を自由自在に操って攻撃してくるらしいんだけど、基本的に戦闘は苦手みたい。オリオン座は、強そうに見えるんだけどずっと体育座りしたままため息ばっかり吐いてるから強いかどうかわからないみたい」 「体育座りってなんですか?」 「こう、膝を抱えて座ることを体育座りっていうんだって。理由は知らない」 「がっしりした大の男が体育座りって……なんていうか違った意味で不気味ですねぇ……」 要は邪魔な一般人を傷つけないように注意しつつアヤカシを殲滅しろということである。言うのは簡単だが、戦場に一般人がいると邪魔にしかならないのは言うまでもない。 髪の毛座もオリオン座もその真の力は未知数。無事に撃破できるだろうか――― カウント・ザ・メダルズ! 現在、開拓者が使えるメダルは! 馭者座、山猫座、テーブル山座、三角座、南の三角座、海豚座、アンドロメダ座、ポンプ座、 望遠鏡座、魚座、鳳凰座、矢座、時計座、彫刻具座、彫刻室座、蛇座、 水蛇座、海蛇座、画架座、牡牛座、エリダヌス座、小犬座、小狐座、小獅子座 小馬座、蠍座、蝿座、六分儀座、八分儀座、大熊座、小熊座、孔雀座 竜座、顕微鏡座、カメレオン座、水瓶座、カシオペア座、ヘラクレス座、狼座、乙女座、 巨嘴鳥座、コップ座、鶴座、飛魚座、炉座、祭壇座、麒麟座、一角獣座 鷲座、風鳥座、烏座、白鳥座、双子座×2、冠座、南の冠座、インディアン座、 旗魚座、蜥蜴座、帆座、ペルセウス座、定規座、ケンタウルス座、コンパス座 |
■参加者一覧
三笠 三四郎(ia0163)
20歳・男・サ
鷲尾天斗(ia0371)
25歳・男・砂
真亡・雫(ia0432)
16歳・男・志
相川・勝一(ia0675)
12歳・男・サ
叢雲・暁(ia5363)
16歳・女・シ
レネネト(ib0260)
14歳・女・吟
各務 英流(ib6372)
20歳・女・シ
何 静花(ib9584)
15歳・女・泰 |
■リプレイ本文 ●馬鹿にして……坊主の言うこと! ある日の午後、集星のとある集落。 件の髪の毛座とオリオン座を首尾よく見つけた開拓者たちだったが、情報通り一般人が髪の毛座を取り巻いているのを見て思わずため息を吐く。 その数およそ50人。よくもまぁ集まったものだと感心する。その誰もが髪はフサフサになっているが、それはあくまで髪の毛座の能力によるものなのだろう。断固維持すべしという気迫が目に現れていた。 そんな中、まずは説得を試みようとした開拓者たちであったが――― 「頭が薄いのはなってみねェと分かンねェが……俺は薄くなったらスッパリボウズにするがなァ」 鷲尾天斗(ia0371)がそう言った瞬間、野郎どもの殺気が有頂天になった。 「薄くなったら……?」 「スッパリボウズにだとぉ……!?」 「悔しいです!」 「うわ……目は口ほどに物を言うって本当だったんですね……」 「おおう……流石の僕もこれにはびっくりだね〜。言わなくても『お前に何が分かる!』って雰囲気だもん」 同じく説得に当たっていた真亡・雫(ia0432)と叢雲・暁(ia5363)は、野郎どもの眼を見て思わずたじろいだ。 「自分たちも若い頃はそう思っていた!」 「しかし実際に薄くなってくると髪の毛一本一本すら愛おしくなるくらい未練が残るのだよ!」 「これが仮初の髪だとは百も承知! しかし我々は、それでもと言い続ける!」 「悔しいです!」 妙にかっこいいセリフを吐いているような気がする野郎どもをかき分け、髪の毛座が現れる。 長い黒髪を魅せつける魅惑の美女。はだけ気味に着崩した着物が妙に艶かしい。 「ふふ……これはこれは、開拓者はんたち。わっちを討伐しに来たのでありんすか?」 「そういうことです。平和的なように見えますが結果は人喰らいと同じ。見逃せはしません」 「えぇ〜? わっちは迷える子羊はんたちに救いの手ぇ差し伸べてるだけですわ。ほら、みなさんこーんなに喜んでくださって」 三笠 三四郎(ia0163)が毅然とした態度でぶつかるも、甘ったるい声で煙に巻こうとする髪の毛座。『いやぁん、恐ぁい』などとわざとらしく振る舞ってみせる。 「このまま此処で戦闘が始まれば、貴方達の身にも危険が及びます。そのような力で一時の夢を取り戻して、何故前に進めましょうか」 「そうそう! 髪よりも筋肉増やそうよ! 筋肉をマッスルの領域に持っていけば毛髪量なんて飾りに過ぎないよ!」 真亡は心から野郎どもの身を案じ、説得を再開する。叢雲も真亡ほど必死にとは言わないまでも代替案を提示し説得を再開する。 しかし。 「違うんだよ少年……違うんだ。我々は前に進んではいるのさ……ただ、常に後ろ髪を引かれているだけなのだ……!」 「誰が上手いことを言えと」 「それになお嬢ちゃん……この歳になって筋肉は辛い。お腹だって出っ張ってきたんだ……今更マッソゥは無理がある……」 「なんでいい発音風味に言ったかな!?」 「悔しいです!」 「おめーはさっきから五月蝿ェよ!」 鷲尾がツッコミを入れたところで、戦場に盾座スクトゥム、別名重盾のクリムが到着する。 髪の毛座は盾座を確認すると、たおやかに手など振ってみせた。 「ぬし様が盾座でありんすか。お噂は予予」 「……ボクはみんなを守るだけ。キミの事も―――」 クリムが言い終わらない内に、何者かが彼女に突撃していた。 盾で防がれる。誰もがそう思ったが、意外にもクリムは無防備なまま何者かのタックルを受け、地面を転がっていってしまったのだった。 その何者かとは…… 「危ない所でしたわ……鷲尾さんのセクハラ攻撃に巻き込まれる所でした」 各務 英流(ib6372)。開拓者の一人がやったのだが、彼女はクリムを攻撃する意図がなかったためにガードされなかった。それは以前にも実証済みである。 各務は抱きついて地面に倒れたまま、盾座の頬にそっとキスをする。 「……どうしてボクにキスなんてするの?」 「それは実験……あぁいえ、あなたに親愛の情を示すためですの。やましい気持ちなどこれっぽっちもありませんわ!」 「……そう。なら、いいけど」 「いいんですの!?」 「……うん。キミに触られるの……嫌いじゃない」 ズッキュゥゥゥンッ! 盾座が初めて見せた柔らかな笑顔に、各務の心が撃ち抜かれる。 各務の矢座=3時間の間、惚れっぽくなる。男女は問わない。 「いっ……いけませんわー!? 私にはお姉様という心に決めた方がーーーッ!?」 「……優しくしてくれなきゃ、ヤだよ……?」 「何この可愛い生き物ー!? 辛抱たまりませんわぁーーーッ!?」 「……何やってんだあいつら……」 思わず頭を抱える鷲尾であった――― ●トチ狂ってお友達にでもなりにきたのかい? その頃、集落にある家屋の軒下に、一人の男が体育座りで座り込んでいた。 がっしりとしたごつい男がいじけたようにしている姿は、お世辞にも気味の良いものではない。 別働隊の開拓者たちは取り巻きもおらずぽつんとしている彼に近づき、同じく体育座りをしてみた。 「ええと……とりあえず何故ここで体育座りしてため息ついているのでしょう。何か悩み事でもあるのでしょうかー……」 「相談くらいなら乗れるのです。解決できるかは保証しませんが」 相川・勝一(ia0675)とレネネト(ib0260)、何 静花(ib9584)がこちらに当たるらしい。3人共華奢な外見なので、オリオン座との対比で絵面が酷い。 まるで子供が大の大人を慰めているような気配がする中、オリオン座はようやく顔を上げボソリとつぶやいた。 「マリア……マリア……。僕はマリアを守れなかったんだ……。ライブラ様が、マリアは僕に不要だって……。あぁ……マリアぁ……!」 「ぼ、僕……?」 「そこはツッコまないのが優しさなのです」 大の大人がさめざめと泣き、再びカクンと頭を垂れ頑なな状態に戻る。 戦う意志は全く無いようなので、このまま一気に……というのもなんだか気まずい。 話を聞くと、オリオン座は人間の女性に恋をしたらしいのだが、それを知ったペガサス座が天秤座に報告、天秤座の指示でそのマリアという女性は連れ去られアヤカシの餌となってしまったらしい。 彼女を守るため奮戦したオリオン座であったが、多勢に無勢の上黄道十二宮まで出てきたのであえなく敗北、愛しい人を守れなかったことをこうして嘆いているようだ。 「それは気の毒に……いや、本当に……」 掛ける言葉が見つからず、最低限の慰めしかできない相川。 どうやらたまたま近くにいただけでオリオン座と髪の毛座は協力する気など全くなく、完全にぼっち状態のようである。 今まで黙っていた何が、いつになく優しくオリオン座に声をかけた。 「……お前、なに見てるんだ」 「……人生の無常さを」 「お前アヤカシだろーが。……私たちはお前らを討伐に来たんだ」 「だろうね」 「飴、食べるか」 「要らない……」 「辛いことが、あったんだな」 「マリア……マリア……」 「あいつら、元気だよな……お前は行かないのか」 そう言って、別働隊……髪の毛座と及びその取り巻きと戦っている面子を指さしてみる。 オリオン座は顔を上げてそれを見るが、すぐに塞ぎこんで呟く。 「どうでもいい……例え髪があっても神はいない……」 「誰が上手いことを言えと」 どんよりとした空気の中、何故か開拓者たちも気分が重くなってくる。 確かに同情の余地は多分にあるが、いつまでもマリアマリア言われていても困る。 ……と、そんな時だった。 「そのマリアさんと、あなたはどうなりたかったのです?」 レネネトがふと疑問に思い聞いてみる。 アヤカシと人間の恋など成立するはずがない。オリオン座はマリアとの関係の果てに何を望んだのか? すると。 「……そりゃ、最終的には食べたかったよ。幸せになりたかった」 『ん?』 レネネト、相川、何の動きが止まる。 コイツ今何と言った? 食べたかったとか言わなかったか……? 「えっと……それっておかしくないかな」 「どこが!? 人間が言っていたぞ……女を喰うのが幸せだって!」 「それは意味が違う!」 「え、違うんですか? どういう意味なんです?」 「勝一、お前は純真なままでいるといい。とにかくそういう意味じゃない!」 「じゃあどういう意味なんだ。教えてくれ、女を喰うというのは幸せなことじゃないのか!?」 「あー……うー……。レネネト、任せた」 「お断りするのです」 「お断りするということは内容は知っているということだな! 教えてくれ、マリアを喰うとはどういうことだったんだ!? 確かに食べてしまったらもう会えなくなってしまうから何か違うなーとは思っていたんだ! 教えてくれ、少女よ!」 体育座りを止めたのはいいが、自らの間違いがどういうことだったのか知りたくてレネネトに迫るオリオン座。レネネトは肩をガクガク揺らされふらふら状態になってしまう。 面倒くさい。面倒くさい上にこんなことを事細かく説明など色んな意味でできるか。 「……勝一。やぁっておしまい!」 「えぇ!? いいんですか!?」 「いーんです! それとも何か、お前が間違いを説明した上でどうすれば幸せになれたのか人生相談請け負ってみるか?」 「…………大熊座、いきますっ」 そう言って大熊座のメダルを発動させる相川。小熊座も事前に試してあるが、より効果があるのはこちらだろう。 相川の大熊座=斬撃を行う際、三本爪のオーラが発生。攻撃力+300 相川の小熊座=発動後30分間、自身が望まない限り転倒しなくなる レネネトに気をやっていたオリオン座は避けることもできず、背中をざっくりと抉られる。 続けてふらふらしながらもレネネトがヘラクレス座のメダルを使用、追撃にかかる。 レネネトのヘラクレス座=平手で触った相手を吹っ飛ばす。勢いをつけて叩くと効果が無い レネネトのインディアン座=一日の間嘘が吐けなくなる 地面を擦るようにふっ飛ばされたオリオン座。起き上がろうとするが、そこにはすでに仮面を付けた相川が先回りしていた。 「……何さんは戦わないのですか?」 「今回は優しさ担当で来たんだ、それを貫こうと思う。せめてもの情けだ……」 何の風鳥座=高級羽毛が空から複数舞い降りる 相川の大熊座による一撃で地面に叩き伏せられるオリオン座。仰向けに倒れた彼の上に、天使の羽のような羽毛が静かに舞い降り積もっていく。 「あぁ……マリア……。君に抱かれているようだよ……」 最後だけいい話風味に締め、オリオン座は瘴気へと還ったのだった――― ●まやかすなぁっ! さて、時は少々逆上り髪の毛座と対峙する面子である。 開拓者たちの説得にも応じない中高年男性陣に対し、ついにというかようやくと言うか鷲尾がキレ始めた。 「ッつーか、ジャマだからお前等纏めて燃やすぞ?」 鷲尾の一角獣座=魔槍砲での砲撃時、ドリルのようなオーラを纏い内部を抉って炸裂するようになる 一角獣座の効果で地面を深々抉った後炸裂、大地に軽いクレーターが出来る。その上で鷲尾の表情を見た一般人は、流石に背筋を凍らせた。 「髪が無くなるのと命が無くなるの。どっちがイイ?」 自称悪人だけありドスの利いた声も威圧するような顔芸……もとい表情もお手の物。これに逆らえる一般人はあまりいない。 というか、仲間の真亡や叢雲さえもちょっと引き気味である。 「いつ『なぁ〜んちゃって☆』とか言うんだろーね」 「まさにデス☆ゲーム……」 すごすごと引き下がろうとした中高年たちであったが、それは髪の毛座が許さない。自らの髪を蜘蛛の糸のように伸ばし、一般人たちの首に巻きつけて締め上げていく! 「怖い顔でありんす……わっち、泣いてしまいそうでありんす」 「くっ、人質というわけですか」 「わっちは戦うのは苦手でありんす……髪の謝礼に盾になってもらうだけでありんす」 人を木々に見立て、その森の中に身を隠す髪の毛座。一般人たちは逃げ出そうにも髪を巻き付けられ逃げられないし、開拓者たちも迂闊に攻撃に移れない。 盾座のクリムはどうしたのかといえば、戦闘そっちのけでまだ各務と乳繰り合っている最中である。 「ユリユリじゃのう……っと、三四郎、なんか上手い手はねェか!?」 「うーん……星の一欠片も事前に試したものばかりですからね……」 「あ、でも僕の南の冠座はまだ試してないよ。やってみるね!」 三笠のエリダヌス座=使用地点から直線50m、深さ1.5m、幅5mの川を作り出す。メダルを解除すると何もなかったかのように地形は元通りになる 真亡の山猫座=使用後30分、望まない限り障害物にぶつからなくなる(飛来物も含む) 叢雲の乙女座=周囲3mにドーム状のバリアを張る。自分だけしか守れない この3つに加え、起死回生を祈って叢雲が南の冠座を発動。その効果は…… 叢雲の南の冠座=8人に分裂する。身長、体重、戦闘能力などすべて8分の1となる 「これ意味あるー?」 「隙間とかには入りやすそうだねー」 「HAHAHA、全部僕の意識なんだね。変な感じ〜」 「ご飯とかたくさん食べられそう〜」 「ちっちゃくなってもおっぱいはでかいまんま〜」 「多重影分身の術! なんちゃって♪」 「これどうやって戻るの〜?」 「任意解除できるみたいだから念じればいいんじゃないかな〜」 「って五月蝿ェよ! いっぺんに喋ンな鬱陶しい!」 鷲尾に怒鳴りつけられ、きゃー♪ と散るちび叢雲たち。しかし向かった先は、髪の毛座が作り出した中高年の森の中。体が小さくなっているので侵入は楽々だ。 「ち、ちょこまかと! なんという非常識でありんす!」 髪の毛を操作し中高年をぶつけ叢雲を攻撃する髪の毛座。しかししばらくする内に、反応しない髪の毛が出てきていることに気づく。それは…… 「石化!? わ、わっちの美しい黒髪が石に……!」 「ふむ……ヒットさせるのは身体でないと効果が薄そうですね」 石化した部分を自ら切り落とし、再び髪を伸ばす。三笠のペルセウス座の石化能力は、条件が面倒な上派手さもないがこういう小回りが利くのだ。 「くぅぅっ! ここは一旦退くでありんす!」 「そうはさせませんよ」 『!?』 自分の背後で声がしたかと思った次の瞬間、髪の毛座の胸は刀で貫かれていた。 白蓮華抄を纏った刀が、その名の通り雷のような速さで急所を抉ったのだ。 「いつの……間に……!」 「心眼も使って山猫座を使うと、貴女への道筋が見えるみたいでした」 何にもぶつからないということは警戒毛(誤字に非ず)にも引っかからないということ。 黄金のメダルが地に落ちると同時に、はらはらと落ちる大量の毛髪と野郎どもの涙。 無情だがこれがあるべき姿。男たちよ、今は泣け――― ……と。 「やぁっ……ダメッ……!」 「ってまだやってたのかよ! いい加減にしろォ!」 「悔しいです!」 「だからお前は誰なんだ!?」 お後が宜しいようで―――? |