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■オープニング本文 天に瞬く星々の、輝き受け継ぐ黄金の印。 時は現在、場は集星。今、星座の力を持つアヤカシたちとの戦いが激化する――― 星の一欠片(スターダスト・ワン)。それは八十八星座が描かれた黄金のメダルである。 黄金に輝く88のメダルうち、3分の2を越えたところで、物語は最終局面へ―――? 「ふーん……敵の親玉は天秤座ライブラ。しかもあらゆる事象をバランスとして半分の位置まで持っていくってわけね。こりゃ強敵だわ」 「はい。ただ性質上、能力だと半分以下までは持って行けませんし、仮に瀕死の状態の人がいたら半分くらいまで回復させちゃうってことですからね。意外と使い所は難しいのかもしれません」 ある日の開拓者ギルド。 職員の西沢 一葉と鷲尾 亜理紗は、今日も今日とて貼りだされる星座アヤカシ絡みの依頼で忙しい。 敵の重要拠点であろう星見の間に突入した開拓者たちは、何の因果か敵の総大将である天秤座とばったり出くわしたのである。交戦してみたが、非常に厄介な能力を持っており、最強の十二星座と謳われるのも納得であった。 星見の間は通常の岩ではない不思議な岩に囲まれており、破壊は難しい。また、天秤座の発言ととある開拓者の遠見により、星見の間より更に地下に『導星の社』という総本山が控えているようだ。 現在は天秤座が呼び出した猟犬座カネス・ヴィナティキとレチクル座レティクルム、追加で配備された牡羊座アリエスが星見の間の警護に当っているらしい。黄道十二星座を持ち出す辺り、星見の間の重要性が伺える。 「それにしても、ちょっと私に似てるって? 銀髪に紅い目ねぇ」 「そうなんですよー、最初はびっくりしちゃいました。でも雰囲気とかしゃべり方全然違いますしね」 冗談めかして応えるが、亜理紗は内心穏やかではない。 報告書では『似ている』とだけ書いたが、実際は眼鏡や髪型などを含め一葉と瓜二つだったからだ。 以前、ペガサス座が亜理紗のことを見て驚いたことがある。もしそれが関係するなら、天秤座のあの姿は偶然ではない。 しかし、それにしては天秤座からの亜理紗に対する反応は薄い。殆ど知らない風だったし、亜理紗が星見の間に移動できる術を開発したことを知りもしなかったようであるし……? 「今回は二択。前回のように星見の間に突入してアヤカシの撃破に当たるか、集星に行って地上から星見の間の場所を特定するか。恐らく星見の間は地下にあるから、星の一欠片の力なり何なり借りてもらうことになるけど。どっちみち星座アヤカシとの戦いは避けられないと思うわ……あなたたち、敵の大将に目を付けられたんだから」 「そりゃそうですよね……これからは集星は安全な場所じゃなくなりますねぇ。地上から探すパターンの場合、敵の星座アヤカシに何が来るかわからないのも辛いところです」 残念ながら、集星で調査をしてから星見の間へということはできない。亜理紗の例の移動陣は展開するまでに時間が掛かる上、星座アヤカシが横行する集星では星見の間の正確な場所が分からなくなってしまうためだ。 いしのなかにいる、などとなったら目も当てられない。 「折角掴んだ反撃の糸口、手放さないようにしないとね。でも無理だけはダメよ……本当に」 「大丈夫ですよ。開拓者の皆さんが、きっと守ってくれます!」 天秤座の出自がなんであれ……今は、戦いに決着を着けるため進むしかあるまい――― カウント・ザ・メダルズ! 現在、開拓者が使えるメダルは! 馭者座、山猫座、テーブル山座、三角座、南の三角座、海豚座、アンドロメダ座、ポンプ座、 望遠鏡座、魚座、鳳凰座、矢座、時計座、彫刻具座、彫刻室座、蛇座、 水蛇座、海蛇座、画架座、牡牛座、エリダヌス座、小犬座、小狐座、小獅子座 小馬座、蠍座、蝿座、六分儀座、八分儀座、大熊座、小熊座、孔雀座 竜座、顕微鏡座、カメレオン座、水瓶座、カシオペア座、ヘラクレス座、狼座、乙女座、 巨嘴鳥座、コップ座、鶴座、飛魚座、炉座、祭壇座、麒麟座、一角獣座 鷲座、風鳥座、烏座、白鳥座、双子座×2、冠座、南の冠座、インディアン座、 旗魚座、蜥蜴座、帆座、ペルセウス座、定規座 |
■参加者一覧
三笠 三四郎(ia0163)
20歳・男・サ
鷲尾天斗(ia0371)
25歳・男・砂
真亡・雫(ia0432)
16歳・男・志
相川・勝一(ia0675)
12歳・男・サ
叢雲・暁(ia5363)
16歳・女・シ
雪切・透夜(ib0135)
16歳・男・騎
レネネト(ib0260)
14歳・女・吟
各務 英流(ib6372)
20歳・女・シ |
■リプレイ本文 ●そもそも? 「そういえば集星ってどんな土地?」 一通りの調査を終えた後、一旦集合した開拓者たち。街道沿いの町に立ち寄り甘味処で休憩中、ぜんざいをかき込みながら叢雲・暁(ia5363)はそう問うた。 その言葉にはたと固まる一行。そういえば伝承やアヤカシに関する昔話などの調査はしたが、集星がどういう所であるかということは調べていなかった気がする。 「こんなこともあろうかと調べておきましたよ」 「要約すると『田舎』なのです。特に大きな産業があるわけでもないのです」 知恵袋的な立ち位置が板についてきた三笠 三四郎(ia0163)やレネネト(ib0260)は、ここぞとばかりに集星について調べたことを解説する。 そもそも集星とは、三位湖の真東に位置する平原が大部分を占める一帯の事。北側に山がありはするが、ほぼ平原と言って差し支えない。 西はすぐさま三位湖で、陸路で石鏡の北側に行く場合はほぼ通らねばならない場所でもある。 街道沿いに多少栄えた町はあっても、やはり石鏡の他の街などに比べるとどうしても規模は見劣りする。それは集星付近に伝わる伝説というか迷信じみたものによる。 『集星は文字通り星が集まるところ。小さな流れ星が落ちてくる事が稀によくある。くわばらくわばら、隕石に当たれば死んじまうよ。あの辺りはなるべく早く通り過ぎるに限る』 実際、流星が集星に落下したという話は多いが、大きさは親指の爪先程度。それで人が死ぬような事故は起きていなくとも気分の問題ということだろう。それに関連し交通の要所でありながら栄えた町は集星の手前と集星を通り過ぎたところにある。 三位湖についても、わざわざ陸路で中間まで行ってから舟に乗ろうというものは少なく地域活性には繋がらない。 「ふむふむ……まさに田舎。特に特色があるでもなく、栄える理由もなし……と」 「さ、流石に隕石を地域の産業にはできないですもんね……」 「その上星座アヤカシがうろつくようになるまでアヤカシとの大きな戦いもなかったわけでしょー? 存在感薄いっていうか、あってもなくても……みたいな?」 真亡・雫(ia0432)や相川・勝一(ia0675)は、のどかな街の風景に視線をやりつつ呟いている。叢雲は割と失礼なことを言っているが、店内の町民が気にする様子はない。案外住人もそう思っているのかもしれなかった。 「あら、相変わらずお上手ですこと。それで何人の女性を泣かせて来たんですの?」 「いえ、地図で女性は泣かないでしょう……。お褒めの言葉は素直にお受けしますけど」 雪切・透夜(ib0135)が持ち前の絵画スキルで集星の地形をまとめていたところ、各務 英流(ib6372)がそれを覗き込みいつもの軽口を叩く。 前述のとおり主に平原で構成される集星に洞窟のようなものがあるとすれば、北側にある山しか考えられない。だがそんな地下深くまで続くような洞窟などありえないと住民たちは口をそろえる。 「倒す毎にゴールが近づいてくンなら、無理に数を倒さずに星見の間や導星の社を探し出した方がイイってモンだァ。地上を警戒しているンだったら、その近くに星見の間の入り口とかあンじゃねェかなァ」 「でも天斗さん、入り口に警備を置いたら『ここが怪しいですよ』って宣伝するようなものですから、あからさまにアヤカシが居たりはしないんじゃありません……?」 鷲尾天斗(ia0371)の意見に対し、その妻である鷲尾 亜理紗は苦笑いしながらツッコミを入れる。 と。 「んー……ねーねー、今まで星座アヤカシが……っていうかメダルを見つけた場所ってどんな感じかな?」 雪切の描いた地図を眺めていた叢雲が、ぽつりとそんなことを言い出す。 もちろんすべてを正確に覚えているわけではなかったが、亜理紗はこことここと……と指をさしつつ解説する。 すると、開拓者たちは揃って『あること』に気づく。 「……中央付近での星座アヤカシの発生が極端に少ないですね」 「言われてみれば。お姉様がお作りになられた依頼書でも、集星の南北東西と書かれていることは多くても中央というのはかなり稀なケースですわね」 相川と各務が指摘したとおり、集星の中央付近では星座アヤカシの発生及び事件が起こった例は東西南北に比べるとかなり少ない。 絶無とまでは言わないが、明らかに数が少ない。そしてその中央とは、今開拓者たちが滞在している街道沿いの町『明星』のすぐ近くであった。 「行ってみましょう。手掛かりが掴めるかもしれません」 真亡の音頭に従い、一行は明星を後にしたのだった――― ●星、集いし地 雪切の地図によれば、明星のすぐ東辺りが集星の中央に当たる。しかしそこはだだっ広い平原であり、洞窟はおろか建物の影さえ見えない。 街道からも少し離れており道も整備されていない。むしろ畑でも作ればいいのにとすら思う。 周囲を見回す開拓者たち。埒が明かないので、三笠が小熊座を、各務が六分儀座のメダルを発動させた。 前者は北極星の位置を、後者は対象と自分との距離・方角を知ることの出来る効果。今回のような探索には非常に適した効果であり、それらを発揮できる貴重な人材と言える。 「……! この感じ……前回感じた距離と大分近いですよ」 「近いどころか……ほぼ真下じゃございませんこと!?」 三笠と各務の声に、一同は身を硬くする。 この何もないだだっ広い平原の真下に、例の星見の間と導星の社があるというのか。 メダルの力を疑うわけではないが、あっさり発見できすぎではないのか……? 「!? 何か来ます! アヤカシ!?」 その時、三笠が発動していた山猫座による直感が働く。 数秒後に何かが現れる。しかし、ここは何の遮蔽物もないただの原っぱだが……!? 「違うね。おめーらはメダルの力に慣れすぎて感覚マヒってるだけだYO!」 「ふつーは地下深くにある拠点を割り出すなんてことできっこねぇっぺや!」 「……」 突如として現れた三体のアヤカシ。問答無用で攻撃してきたのだろうが、三笠の警告により開拓者たちは予め身構えていた。特に苦もなく回避し捌き切る。 「どこから……!? 超越聴覚でも何も聞こえなかったのに!」 「臭いもありませんでしたよ!? どこからかふっと湧いた感じ……!?」 現れたのはケンタウルス座ケンタウルス、コンパス座キルキヌス、そして……盾座スクトゥム。 ケンタウルス座は伝説通り人間の下半身が馬になっているので一目で分かる。コンパス座は製図用のコンパスが人型になったような細い棒のような体をしていて、右足が鋭利に尖っている。 問題は盾座。長い銀髪を一本の三つ編みとして結わえ、その瞳は真紅。顔に見覚えはないが、それはまるで天秤座のようであり……かつて参加者の一部が死闘を繰り広げたセブンアームズに酷似していた。 「……鷲尾さん。あれは……」 「……あァ。見間違えるわけねェ」 「で、でも、彼らは全滅したはずですよ……?」 レネネトと鷲尾、真亡と亜理紗はすぐにピンときた。 彼女が持つ雰囲気。手にするのは盾のみ。その在り方が、外見が、セブンアームズを想起させて止まない。 「……ボクは8人目のセブンアームズ。重盾(ちょうじゅん)のクリム」 『は……?』 盾座の放った一言にマヌケな呟きを漏らしてしまったのは何も開拓者だけではなかった。ケンタウルス座とコンパス座もまた『何言ってんだこいつ』とばかりに盾座に視線を送る。 「セブンアームズなのに8人目って……そんなの絶対おかしいよ」 「やっぱり出ましたね。邪魔するなら押し通るまでです! 相川・勝一、参る!」 微妙な表情でツッコミを入れる雪切に対し、相川の切り替えは早い。愛用の仮面を付け、すぐさま敵に斬りかかっていく。 「とにかく、オラたちの力を見せつけてやるべ!」 「へへっ、おめーら、ひとっ走り付き合えYO! ほらスクトゥム、おめーも!」 「……嫌」 「そう、嫌……ってなんでだYO!」 「ほっとくべ!」 盾座を置き去りにし、相川、真亡、鷲尾の迎撃に当たる二体の星座アヤカシ。 機動力を武器に攻撃を躱し反撃を加えてくるケンタウルス座と、全身が硬い金属でできており、片方の足を軸に回転攻撃を得意とするコンパス座。どちらもそれなりに強い。 だが、歴戦の開拓者たちを相手にするには少々役者不足。 「へへーん、僕を忘れてもらったら困るねー!」 「乙女座、ヤッテヤルデス」 叢雲とレネネトが前衛の後ろからメダルを発動させる。 叢雲の小狐座=オーラのブーメランが出現、三日月を描くように飛翔し消える レネネトの乙女座=服装が純白のウェディングドレスになる(譲渡不可) 「……レネネトさんのはハズレですね」 「乙女としては間違ってないんでしょうけどね……」 雪切は後衛を守る盾として位置についており、近くに居た苦笑い気味の亜理紗たちをガードしている。 叢雲の飛ばした小狐座ブーメランは一撃必殺の威力を持っているわけではない。頑丈な体のコンパス座が右腕を振りかぶりそれを叩き落とす。 しかしその隙に、相川がコンパス座の懐に走りこんでいた! 「白鳥座、使うのは初めてだが……蛇が出るか邪が出るか……!」 相川の白鳥座=手にした刃物に、傷口を凍結させ氷の追加ダメージを与える効果を付与する 金属の体であろうが関係ない。手にした二刀による鬼切りで切り裂くのみ! その刃がコンパス座を捉えようとしたその時……! ギィンッ! と甲高い音が響き、相川の刃が両方共小型の盾によって止められた。 やったのは勿論……! 「……シールドビット。やらせないよ」 「盾座……!」 「よくやったっぺや! 死ね、クソガキがぁぁぁっ!」 今度は逆に相川が動けない。コンパス座は左足を軸に、尖った右足で貫くべく回転蹴りを放つ……! しかし!? ギィン、と再び甲高い音。見れば盾座が相川の正面に立ち、彼を盾で守っているではないか。 「なぁに考えてんだっぺ!? ちっ!」 「君は……もしかして……」 真亡が援護に入りコンパス座を一旦退かせる。 盾座は何事もなかったかのような無表情のまま、シールドビットを呼び戻すだけだった。 「……ボクは全てを守るために生まれた。だからアヤカシも守るし、人間も守る」 「どんな理屈だっぺ!?」 「ポジティブに考えようYO! 勝手に俺達の事守ってくれるってことだYO!」 「敵も守られちゃ敵わんべ!?」 「だったらそんな心配から解放してやらァ!」 鷲座のメダルで翼を獲得し空を飛ぶ鷲尾。上空から高角度の砲撃を放つが、盾座のシールドビットが急行しケンタウルス座をガードしてしまう。 爆煙が晴れない内に走りこんだのは各務。麒麟座のメダルを発動! 各務の麒麟座=一時的に円の動きを習得し回避+300 ケンタウルス座の拳を掻い潜り、長斧の一撃を――― 「……させない」 二枚目のシールドビットを使い、各務の攻撃もガード。そして各務に反撃しようとしたケンタウルス座のバックキックを三枚目のシールドビットでガード……。 こちらのことも守ってくれるのはありがたいが、こう何度も何度も攻撃を止められるとイラッとしてしまう。しかも専守防衛の上、シールドビットは最低でも五枚はある模様。 「全てを守る……か。君にはどことなくシンパシーを感じるけど……ね!」 雪切が影を発動し、一瞬にして盾座の懐に入り込む。 盾すらも躱した雪切の太刀が、盾座を切断――― 「……甘い」 またもやシールドビットが飛来し雪切の太刀をガードしてしまう。盾座は反撃をするでもなく、タンタンとバックステップして距離を取った。 「……君は本当にセブンアームズなの? そして本当に全てを守るつもりなの……?」 「……ボクはセブンアームズたちの無念から生まれた、元となった武具すらない残留思念の塊みたいなもの。あの時届かなかった全てを……手の届く範囲くらいは、守ってみせる」 「……雫、迷うな。あの時と一緒だ……相手がアヤカシならツブす。そんだけだァ」 「で、でも天斗さん……!」 「亜理紗。何も言うな。言わないでくれ……」 ぎり、と唇を噛む鷲尾。あの悲劇を忘れたことなど無い。 しかし、だからこそ盾座の存在は許しておけない。決着は、とうの昔についているのだから。 「とにかくあのクリムちゃんを何とかしないとね! これならー、どうだー! ウララー!」 叢雲のインディアン座=ウララーと叫ぶことで射程1スクエアの範囲衝撃波を放つ。知覚+100の威力 「……!」 盾座は自前の盾でガード、ケンタウルス座とコンパス座は二枚のシールドビットが守る。しかし足を止められてしまったところに、相川と雪切が走り込む。 「厄介なやつだよ君は!」 「炉座で切り拓く……!」 雪切の炉座=手にした盾に魔法の炎を宿し、氷、吹雪などを防ぎ寒さも無効にできる。引火などはしないが範囲は自身のみであり、攻撃能力もない 盾座は雪切がかざした炎の盾に自らの盾をぶつけガードする。 「これでどうやって切り拓く気……?」 「切り拓けるさ。注意は引けたでしょう?」 「!?」 次の瞬間、アヤカシ三体とシールドビットすべてが同時に攻撃を受ける。 やったのは……レネネト!? 「魂よ原初に還れでまとめてドーンなのです」 シールドビットが弾かれたことを確認し、三笠と鷲尾がタイミングよく追撃に移る。 守るはずの盾そのものが弾かれているのではどうにもならない。それでも意地を見せるかのごとくケンタウルス座とコンパス座は身を翻そうとしたが…… 「は、はぁい。チュッ♪」 真亡が魚座のメダルで美少女に変化し、ためらいがちに投げキッスをする。 「ウホッ、いい女だYO……ぐあぁぁ!?」 「そんなのアリだっぺかー!?」 チャームの効果で注意を引き、三笠と鷲尾が攻撃を叩き込み二体を撃破。メダルだけがその場に残された。 「あぁ……! ボクは……また、守れなかった……!」 悲痛な面持ちの盾座。しかし、開拓者たちに心を痛めている暇はない。 「ペガサス座!? 誰か亜理紗さんを……間に合わない!?」 三笠の山猫座による直感がまたしても働き、ペガサス座の来襲を告げる。 亜理紗に一番近いのはレネネトだが、彼女の身体能力では庇いきれない。 例の音速を超えるすさまじい速度の蹴りが亜理紗に直撃する―――!? 「……何のつもりだい、スクトゥム」 「はぁっ、はぁっ、ボクは……守る……全てを……守る……!」 シールドビット五枚重ねがペガサス座の蹴りを止めていた。やったのは勿論盾座である。 仲間を討たれてなお敵を守るその瞳は、何を見ている……? 「……仕方ない。君だけでも助けておこうか」 そう言いつつペガサス座は盾座の背中を引っ掴み虚空に消えた。このまま戦闘継続は不利と判断したのだろう。 新たなファクター……8人目のセブンアームズ、重盾のクリムの登場で、物語はどう動く―――? |