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■オープニング本文 天に瞬く星々の、輝き受け継ぐ黄金の印。 時は現在、場は集星。今、星座の力を持つアヤカシたちとの戦いが激化する――― 星の一欠片(スターダスト・ワン)。それは八十八星座が描かれた黄金のメダルである。 メダルの数もそろそろ40に届こうかという昨今、狼座によって新たな事実が判明した。 普通のアヤカシは闇雲に負の感情を瘴気に還元していることが多いが、どうやら星座アヤカシたちはとある目的に添って行動しているらしい。意志があるなしに関わらず……だ。 その目的とは、最強の星座を蘇らせること。導星の社はそのためにアヤカシが建造したものと思われる。 そして……開拓者ギルドに保管されている星の一欠片は88星座の半数を越え、物語は新たなステージへと進む――― 「はい、というわけで祭壇座アラ―――」 「アルター」 「……ア、アルターを撃破したことにより、その力で一人二枚まで星の一欠片を持って行くことが可能になりました。また手間が増えげふんげふん、可能性が広がった感じですね!」 ある日の開拓者ギルド。 今日も今日とて星座アヤカシの依頼を紹介する職員の鷲尾 亜理紗と西沢 一葉。先日撃破した祭壇座には星座を繋ぐ力があるようで、その話で盛り上がっているところであった。 今までは二枚持って行くと反発作用を起こしどちらの効果も使えなくなってしまうという有り様だったが、これで開拓者たちも平坂 空羅のように同時に星の力を行使できるようになるというわけだ。 「とはいってもですね、専門家から『個別に使うのは大丈夫だが、二つの星座の力を合成して戦おうとするのはオススメしない』って言われてるんです。空羅は祭壇座を持っていないのに合成技を使ってましたが、それは本人の才覚だろうと」 「空羅、ね……また調べてみたんだけど、どうしても石鏡の武家の長男っていうことしかわからないのよ。武芸や学問に秀でているという話もなくて、どうして星の力にだけあれほどの才能を発揮するのかわからない」 「まぁ人間誰にでも一つくらい特技があるもんだって言いますし」 「それにしてもピンポイント過ぎない……? それがペガサス座の言う『英雄の資質』なのかしら……」 その空羅に関して、石鏡で星座アヤカシを討伐中、撃破に失敗し負傷して帰ってきたという話が出ている。 空羅が星の力を自在に使い、星座アヤカシ狩りをしているのは周知の事実。その空羅が敗れたとなると相当の相手だろうということで、ギルドはすぐさまそのアヤカシを退治するための依頼を出した。 流石の空羅も負けているだけに勝手をするなとも言えず、大人しくギルドに任せることにしたとか。 「今回のアヤカシは一角獣座モノケロスと麒麟座カメロパルダリス。どっちも馬に似たような姿よね」 「……そこはユニコーンじゃないんですね」 「ユニコーンでもいいけど、モノケロスが正式らしいわよ?」 「なるほど。えっと、どちらも体色が黒い……? 黒いユニコーンに黒麒麟……あっ……(察し)」 「もう聞くだけで強敵感バリバリなんだけど、こいつらにも厄介な特殊能力があるわ。まず、一角獣座には『女性からしかダメージを受けない』って能力があって、逆に麒麟座は『男性からしかダメージを受けない』。ちなみに一角獣座は雄、麒麟座は雌」 「ただのドスケベコンビじゃないですか!?」 「わからないわよ。女性恐怖症と男性恐怖症なのかもしれないし?」 「どっちにしろ嫌なアヤカシですね……。何々……一角獣座は主に風を操り、麒麟座は主に雷を操る。コンビネーションは希薄だが、いざとなればお互いを補佐することもある……と。面倒臭っ!」 「強敵だけど、折角星の一欠片を二つ持っていけるようになったんだし、上手く使ってもらえるといいわね」 今度の敵は伝説にも名を残す幻獣タイプ。例の平坂 空羅すら撃退し手傷を負わせた猛者共である。 付け加えると、ペガサス座も彼らには手を焼いているらしい。素直に言うことを聞くようなタマではない、ということか。 果たして、開拓者たちは二体の黒き獣たちを倒すことができるのであろうか――― |
■参加者一覧
鷲尾天斗(ia0371)
25歳・男・砂
真亡・雫(ia0432)
16歳・男・志
叢雲・暁(ia5363)
16歳・女・シ
雪切・透夜(ib0135)
16歳・男・騎
各務 英流(ib6372)
20歳・女・シ
アムルタート(ib6632)
16歳・女・ジ
何 静花(ib9584)
15歳・女・泰 |
■リプレイ本文 ●風雷の死煉 その日、その時……開拓者たちは直感的に死を予感した。様々な視線を潜り抜けてきた歴戦の開拓者たちが、それを見た瞬間に自らの死を想像させられてしまったのだ。 身を隠す物のない平原の中にあってその存在は異質。漆黒の体毛に包まれた伝説の獣。 一角獣座と麒麟座は、獲物が到着するのを今か今かと待ち構えている。そこにのんびりした雰囲気など微塵もなく、常に立ち昇る漆黒のオーラのような瘴気は遠目からでも殺意の表れであると分かる。 誰かが思わずごくりと喉を鳴らした。それが聞こえたわけでもあるまいに、二頭の獣たちは開拓者の存在を感じ取り真紅の目を輝かせ突撃してくるのだった。 「なんだ、このプレッシャーは!?」 「緊張に負けて身体が硬くなるようじゃ、ジプシー失格だもんね〜」 「今までの相手とはまた違った力を感じる……。皆さん、無事に帰れるよう頑張りましょう」 「過去との決着がつき、そして新しく歩み……それが今の自分です。だから……尚の事、頑張りませんとね」 鷲尾天斗(ia0371)に言われるまでもなく、二頭から放たれる殺意という名のプレッシャーは開拓者全員が感じている。それでもなお、アムルタート(ib6632)のように自らを鼓舞して立ち向かうしか無い。 戦闘態勢を整えた開拓者たちは、真亡・雫(ia0432)の号令により作戦通り二班に別れる。勿論、一角獣座に女性グループ、麒麟座に男性グループで当たるためである。 雪切・透夜(ib0135)の決意に満ちた表情に苛立ちでも覚えたのだろうか? 麒麟座は駆けながら天に向かって嘶く。すると晴れていたはずの空に不気味な黒雲が現れ、開拓者たちに個別の落雷が……! 『!?』 それぞれ武器や盾などで防御したが、今のは明らかに開拓者を狙った攻撃だった。 「雷を使うとは聞いてたけど、ここまで大掛かりなのいけるの!?」 「関係ありません。ザ・ボマーの異名を持つ私に出会った不幸を呪うが良いですわーッ!」 「お前いつ爆弾みたいなの使ったよ……。今回ばかりはおふざけは封印したほうが身のためだぞ!」 叢雲・暁(ia5363)、各務 英流(ib6372)、何 静花(ib9584)はアムルタートと共に一角獣座担当。麒麟座でアレなのだから、一角獣座も同等の大規模な風系の攻撃をしてくることは想像に難くない。 「メダルになっちゃったけどアヤカシとエルフの素敵ダンサーユニットが今ここに! カシオペア座、いっくよー♪」 誘導するまでもなく女性グループへ突撃してきた一角獣座。女性からしかダメージを受けないという自らの特性を全く無視している。 アムルタートは迫る一角獣座を前に、何はなくともカシオペア座のメダルを発動させた。 彼女にとって思い出深いこのメダル。一角獣座が角から放った小型の竜巻を、アムルタートはひらりと回避する! 「身体が勝手にリズムを刻んじゃうんだよ〜♪ 今ならどんな攻撃も避けられそう♪」 その効果は『使用後一度だけ、範囲攻撃や自動命中の術すら含むあらゆる攻撃を回避する』というもの。 しかしアムルタートの笑顔が一瞬凍りつく。踊りながら戦う彼女だが、当然目の前の敵や周囲は警戒している。その警戒網に、背後から猛スピードで近づいてくるものを感じ取ったのだ。 「うぁっ!?」 先ほど回避された小型の竜巻。それがブーメランのように軌道を変え背後からアムルタートを襲ったのである。 流石にこれは回避できなかったアムルタートは弾き飛ばされ宙を舞う。そこに、角を突き出した一角獣座の追撃……! 「このぉっ!」 カシオペア座のメダルを再発動、身体を捻って回避。この間わずか数秒、入り込む余地はない。 その状況をのんびり眺めていられるほど男性グループも楽ではない。麒麟座は一角獣座とは違い接近戦を好まないタイプのようで、付かず離れず雷撃を放ってくる。 「瞬風波!」 「矢座な……遠距離対策もしてあんぜェ!」 真亡は風の刃による攻撃を、鷲尾は矢座で『天から降り注ぐ無数のオーラの矢を放つ』。 しかし麒麟座は自らの周囲に電撃によるバリアフィールドを形勢、射撃を無効化しながら突っ込んでくる! 「シールドを構えて突撃、か……なんだか通じるものを感じるね」 盾を構え逆に突っ込んでいく雪切。電撃の壁を盾で無理やりこじ開け、太刀を振り上げ――― 「ぐぅっ……!?」 太刀が届こうかというその時、麒麟座の身体から新たな電撃の壁が発生、シャボン玉が広がるように雪切を巻き込みスパークする。当然最初のバリアも肥大化し、真亡と鷲尾を飲み込んだ。 そして怯んだところに体勢を変え後ろ足でのバックキック。雪切は盾で防ぐも、大きく弾き飛ばされてしまう! 「こ、こいつ……! やっぱり尋常じゃねェぞ!」 「強い……! 星の一欠片も出し惜しみなく行きましょう!」 「そうだね。女性陣も心配だし」 真亡、鷲尾、雪切はそれぞれメダルを手に発動する。 鶴座、小獅子座、ヘラクレス座。どれも彼らが使用したことのないメダル。それが果たして助けになるか……!? その効果は以下のとおりである。 真亡の鶴座=『発動後最初の反撃の時のみ攻撃力を二倍にする(カウンターは対象外)』 鷲尾の小獅子座=『足に人体には無害な浄化の炎を宿し、蹴りの時だけアヤカシに大ダメージ』 雪切のヘラクレス座=『発動後1回だけあらゆるダメージを無効にするが、3秒間無防備になる』 どれも戦闘で有効かつ優秀な効果だが、パッと分かるのは鷲尾くらいのもの。すぐに雷撃を貰ったがノーダメージだった雪切はその特性を理解したが、真亡は事前に確認しようにもどんな効果が発動しているのか自覚できていない。 戸惑う三人にも麒麟座は当然容赦しない。巨大な雷撃の柱を口から吐き出し、三人を薙ぎ払う! 「ごほっ……! な、なんとか隙を作れないかな……透夜くん……!」 「盾になるのは、得意だけれども……こう、何度も電撃を浴びると……!」 「弱肉強食……上等。けどなァ、俺達はまだ、自分を弱者と認めてねェ……!」 時は少し遡り……男性陣が大ピンチのその時、女性陣も決して穏やかではなかった。 積極的に接近し自慢の角で開拓者を串刺しにしようとする一角獣座は、真空の刃やら竜巻やらで巧みに四人を追い詰めていた。 「来いよ処女厨! 童貞なんか捨ててかかってこい!」 煽った叢雲に主に食いついているのでなんとか戦線は保たれているが、足狙いはしっかり読んでいるらしく脚部に小型の竜巻を纏い攻撃を防いでいる。 そのくせすれ違いざまに風の刃で斬り刻んだりもしてくるのでなかなか打つ手が無い。 このままではなぶり殺しに遭う。男性陣の状況も気になるので、叢雲たちは一斉にメダルを取り出した。 「狼座だよ!」 「牛飼い座ですわ!」 「飛魚座だ!」 「私は馭者座で撹乱〜♪」 アムルタートの馭者座は足にオーラの車輪を付け高速移動ができる。これまで何度も使用されてきた。 その他の三人の効果は以下のとおり。 叢雲の狼座=『地面から巨大な狼型の岩顔が出現、敵に噛み付こうとする』 各務の牛飼い座=『高級肉牛を一頭召喚する』 何の飛魚座=『何たる無慈悲! 敵の上空5mに自身が瞬間移動し殺戮者のエントリーだ!』 「アイェェェ!? ちょっと待て、攻撃に移るタイミングが!」 「牛鍋パーティーでもしてお姉様の気を引けと!? アリですわね!」 「きみたちよくこんな状況でそんなこと言ってられるねー!?」 「私は真面目にやっている!」 不意に瞬間移動してしまったので攻撃に移るしか無い何。余計なことを考えている各務。狼型の岩顔で攻撃する叢雲と三者三様だが、一角獣座はトルネード・キリクのような竜巻を発生させ叢雲の攻撃を防ぎつつ弾き飛ばす。 竜巻の中心は風がない。つまり何は全く問題なく一角獣座に攻撃できるわけで、メダルを海蛇座に切り替えオーラの毒爪を発生させ突き出した。 が、一角獣座には自慢の角がある。ジャンプしつつ頭を振り、毒爪にぶつけて何を竜巻の中に放り込み弾き飛ばした。 いくら機動力のあるアムルタートと言えどカシオペア座のメダルを使わなければ範囲攻撃は避けきれないし、それを掻い潜りながら一撃で一角獣座を葬ることは難しい。 加えて馬のような外見の二頭は立ち止まっていることはほぼ無い。接近戦重視、中距離重視という差はあれどスキル無しで追いすがるのは不可能と言っていいだろう。 現在、地面に立っている開拓者はアムルタートだけ。視線をやると男性陣も地面に転がり大ピンチ。 いつもだと最初は苦戦していても最後に大逆転という流れが多いが、今回は全くそんなイメージが湧いてこない……! 「がぁぁぁっ!?」 「うぁぁぁっ!?」 男性陣女性陣両方から悲鳴が上がる。倒れているところに電撃と竜巻を追い打ちされたのだ。 戦力を分散しなければならなかったとはいえ、まさかこの面子がここまで追い込まれるとは……! 「こんな、ところで……死ねるかァ!」 苦し紛れに放った鷲尾の砲撃。しかしそれを麒麟座は電撃バリアを張ることもなく回避。 止めを刺そうと嘶き電撃波を放――― 「でぃぃぃぃやっ!」 『!?』 不意に麒麟座の顔面が蹴り飛ばされ大きくよろける。 それはナハトミラージュを使用したアムルタート。完全に意識の外から攻撃され、麒麟座は混乱中。 本来、女性であるアムルタートは麒麟座にダメージを与えることはできないのだが、星の一欠片による効果でなら性別に関係なくダメージを与えられることが判明している。よって、馭者座の車輪で蹴りつければ通常攻撃程度のダメージは通るのだ。 「今だっ! 狐くん!」 その隙を見逃さず真亡は小狐座のメダルを使用、狐型の遠隔爆弾を呼び出し一角獣座へ向けて疾駆させる。 何に止めを刺すため歩み寄っていた一角獣座だったが、危険を察知しそれをジャンプして回避! 角を突き出し落下しつつ何を串刺しにするつもりだ! 「見よ、倒れてなお我等に干渉するこの力こそがマッポーに生きたセイザソウルなのだ! 」 何は倒れた状態から滝登+絶破昇竜脚を使用、一角獣座の横っ面を蹴り飛ばし即座に飛魚座のメダルを使用、今度は一角獣座の真上に現れ着地した一角獣座の後頭部を蹴り飛ばす! それはまさにシノビめいた動き。どうやら何と飛魚座は相性が良さげである。 「ここから反撃と行きたいね! 祭壇座……どうかな!?」 二頭のアヤカシが怯んでいる隙に叢雲も立ち上がり、新たなメダルを使用する。 その効果は『対象とした相手を20秒間(2ターン)スキル使用不能状態にする。ただし同じ対象は5分経たないと再選択できない』というもの。 女性からしかダメージを受けないという特性は消えないが、足元を覆う竜巻の防壁は消滅した……! 「攻撃の狙いどころは足ですわね。大熊座の盾爪、今こそ!」 「僕も加勢します!」 ここぞとばかりに早駆で接近し重い一撃を一角獣座の脚部に叩きこむ各務。 今までと同じことをしていてはいけない。そう考えた雪切も早駆で一角獣座に接近、首を斬り落とさんばかりの勢いで太刀を振るうが、例の特性により文字通り歯が立たない! 馬鹿めとばかりに角を構え竜巻を発生させる一角獣座。祭壇座の戒めはもう消えたのか! しかし雪切はそこで魚座のメダルを使用。次の瞬間、雪切の身体が女性のそれになり、美少年から黒髪ロングの美少女へと変化。そして手にしていた盾にオーラが発生、シールドソードへと変化! 要は『美少女化し、手持ちの盾をオーラで強化しつつ剣の機能も持たせる』ということである。 竜巻とシールドソードがぶつかり合い、激しくスパークする。やがてそれは大爆発を起こし雪切と一角獣座を吹き飛ばした。 痛み分け……と言いたいが一角獣座も麒麟座もまだまだやれる。攻略の糸口はまだ見つからない……! 「英雄の素質とか知った事かァ!」 「鷲尾さん、同時発動は危険って言われたじゃないですか!?」 「お前だってやるつもりはあったんだろうが! やれるかどうかじゃネェ! やるんだよォ!! ヤァってやるぜェ!!」 真亡の制止を振り切り鷲尾は二枚のメダルを両手に持ち同時発動させる。 いくら二枚運用できるようになったとはいえ、同時使用は止めておけとお達しがあったはず。ただ、それに縋ってでも状況の打破を目指したい気持ちは分かる。 鷲尾の手にある二枚の星の一欠片がその輝きを増し……最高潮に達したその時、激しくスパークした。 「がぁぁぁっ!? ちく……しょォ……!」 どさりと倒れる鷲尾。電撃のようにも見えたが、どうやら星の力がぶつかり合い対消滅したようだ。星の一欠片は一見無事だが、暫くの間その力を引き出すことはできないだろう。 自滅するような格好になった鷲尾を見てチャンスだと思ったのだろうか。麒麟座が鷲尾に向かって猛ダッシュする。 反撃はないと確信したのだろう。実際、今の鷲尾は寝返りさえうてない。 麒麟座の口から再び巨大な雷撃の柱が放たれようとしている。しかしみすみす仲間を見殺しにする訳にはいかないと、真亡は決死の特攻を試みた。 「よせ……雫ゥ……!」 「ここであなたを見殺しにしたら、僕は一生後悔する……そんなのは、嫌ですから……!」 雪切ならば盾で防げただろう。しかし真亡にはそれができない。 鶴座の効果も自覚できていない今、できるのは自らの身体でぶつかることだけ……! 「でやぁぁぁっ!」 せめてと発動した大技……白蓮華抄。しかしその浄化の刃も届く前に撃ち抜かれてしまうだろう。 だが、発射寸前だった麒麟座の雷撃が急速に萎み、ついには消滅してしまった!? 「星の一欠片の効果なら男女関係ないんだよね? 行っちゃえーーー!」 叢雲の祭壇座の効果で麒麟座のスキルが封じられた! そして真亡の鶴座の効果……反撃時に攻撃力二倍が加わり、浄化の刃は巨大な斬馬刀のように変化し麒麟座を一刀両断にした。 「やった、勝っ―――」 真亡の言葉はそこで途切れた。真っ二つになった麒麟座の身体から激しい稲妻が螺旋状に広がり、戦場にいた全員を飲み込んだからである。 稲妻が収まった後には、瀕死の状態で転がる開拓者たちと一角獣座。麒麟座は雌なので一角獣座も稲妻の餌食になったわけだ。ここまでくると各務の持つ盾爪も雪切のシールドも意味を成さない。 そんな中、立っていられたのはカシオペア座とヘラクレス座を使用したアムルタートと雪切のみ……。 「はぇー、流石にこんなにきつい舞踏会は勘弁かなー」 「最強の矛は最強の盾とぶつかって壊れる、か……うん、また一つ勉強になったよ」 動けなくなった一角獣座にとどめを刺したアムルタートと雪切は急いで二枚のメダルを回収し……動くこともままならない仲間たちを見渡して、どうしようかと途方に暮れるのであった――― |