特に理由のない○○が以下略
マスター名:西川一純
シナリオ形態: ショート
EX
難易度: 易しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/09/25 11:26



■オープニング本文

 天に瞬く星々の、輝き受け継ぐ黄金の印。
 時は現在、場は集星。今、星座の力を持つアヤカシたちとの戦いが激化する―――


 星の一欠片(スターダスト・ワン)。それは八十八星座が描かれた黄金のメダルである。
 星座アヤカシを打ち倒し続け、人類はついに星の一欠片の実用化に成功した。
 行動力と気力を消費することで発動するこのメダル。効果は様々だが、人により効果が違う上に不確定というのはやはり恐い。実際、マイナス面の効果も出始めている。
 使える場所も、石鏡の国の一部、集星と呼ばれる地域内に限られているのが痛い。実験も現地に行かなければならないわけだ。
「さて……黄道十二星座も2つ目の牡牛座を撃破したところで……強敵の出現よ」
「え、まさか連続で黄道十二星座ですか!?」
「いいえ。今回はエリダヌス座」
「自然(ロギア)系キターーー!?」
 ある日の開拓者ギルド。
 今日も今日とて現れる星座アヤカシ。しかし今回はテーブル山座と並び厄介だろうと前評判抜群の自然(ロギア)系である。
 星座に詳しくない人のために説明すると、エリダヌス座というのは『川』を星座に見立てたものであり、個人や物体を示すものではない。よって、アヤカシとして顕現する際もそういった『自然現象』となるのは予測済みなのだった。
「2日前、集星のとある場所に突然川が現れたの。勿論、その近辺には川なんてなかったし、たった一晩で1km以上の川が出現するなんて本来はありえない。瘴索結界を使うことで、目の前に流れる川がアヤカシであることを確認したんだって」
「か、川のアヤカシ……発想のスケールで負けた……」
 ちなみに、基点は水が怒涛の勢いで吹き出しており、終点は地面に大量の水が染み込むように忽然と消える形となっている。専門家の意見では、ベルトのように地下で循環していて水切れなどにはなるまい、とのこと。
「ところで……どう倒すかも問題なんですが、このアヤカシってどうやって人間の負の感情を吸収するんですか? そこを流れてるだけで、移動なんかはしないんでしょ?」
「しないわね。流れも穏やかで、人が入ったから突然激流になるみたいな罠要素もないし」
「え……じゃあそれこそどうやって……」
「亜理紗……普通の川でも、年に何回か不慮の事故で溺れる人とか出るでしょ?」
「気ぃ長っ! え、じゃあ人が来るかも定かじゃないのにそこを流れてるんですか!? 効率悪っ!」
「しかも、このアヤカシは水のようなもので常に流動してる。物理攻撃も魔法攻撃も大して効果が無い。さてどうすれば倒せるんでしょうか?」
「えー……? テーブル山座の時みたいに地道な攻撃ですか?」
「ブブー。正解は……『川遊びを楽しむ』でした」
「……はいぃぃ?」
 すでに攻撃はあらかた試された。テーブル山座は山としての個体だったので各種攻撃は有効(耐久力は別として)だったが、流動するエリダヌス座は攻撃するそばから回復してしまうようなもの。
 そこで専門家は、川としての在り方に着目する。人が事故で溺れたりすることで負の感情を吸収するなら、川で遊んで正の感情をばらまいたらどうなるか。
 アヤカシとして任務を果たせず、川としてのみ在る。感情がなかろうとアイデンティティが崩壊し消滅するのでは、と。
「専門家の意見では、3日も事故なく遊び倒せば消えるだろうって。注意点は『これはアヤカシなんだ』とか『アヤカシを倒すためだ』とか『警戒しなくちゃ』といった考えを持ってるとアヤカシは消えないと思われるってこと。なので、降って湧いた休暇だと思ってキャンプを楽しんできて」
「川がアヤカシだって思ったらどうしても嫌な気持ちになりますよー!? アヤカシを倒すためと思っちゃいけないって……じゃあこの依頼の正式なタイトルは……」
 特に理由のない行楽が開拓者を襲う―――!!


■参加者一覧
鷲尾天斗(ia0371
25歳・男・砂
真亡・雫(ia0432
16歳・男・志
ミリート・ティナーファ(ib3308
15歳・女・砲
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
各務 英流(ib6372
20歳・女・シ
神座真紀(ib6579
19歳・女・サ
アムルタート(ib6632
16歳・女・ジ
緋乃宮 白月(ib9855
15歳・男・泰


■リプレイ本文

●それぞれの楽しみ方
 エリダヌス座は、あえて戦う必要がないアヤカシであった。
 というより、むしろ近場で遊ぶことで倒すことができるというひどく斜め上な敵である。
 だから開拓者たちは思いっきり羽根を伸ばすことにする。遊んでお金が貰えるならこんなに楽なことはない。
「ベース基地完了! 後は遊ぶだけだぜヒャッホーィ♪」
 アムルタート(ib6632)はテントを設営し終えると、くるくる踊りながらカミーユ・ギンサの元へ。どうせなら多いほうが楽しいと、彼女らが呼んだのである。
「カミーユ、終わった? 終った?? ……よし終わったならいっくよー!」
「あ、待ってくださいまし!」
 元気なアムルタートに引っ張られ、カミーユも笑顔で走り出す。
「んー……あれはまだ相当ダメージが残ってますわね」
「分かるんですか?」
「勿論ですわお姉様! 傷つきやすい乙女心……無理をして作る笑顔! いじらしいですわ……!」
「暗黒面に引きこもうとした奴が何言ってやがんだかァ」
「私を暗黒面に引き込んだ人間が何を仰いますやら」
 各務 英流(ib6372)と話しているのは、鷲尾 亜理紗と鷲尾天斗(ia0371)。
 複雑な事情があるので説明は省くが、基本的に仲良しである。
 カミーユのことについて負い目があるのか知らないが、各務もカミーユのことを気にしているようだった。
 しかし、目の前に広がる景色ののどかなこと。秋晴れの空に涼しい風、流れる川は穏やかで魚がのんびり泳いでいる。
 この川が例のエリダヌス座なのだが、見渡すかぎりでは普通の川にしか見えない。
 もっとも、急遽出来た川なので河川敷という感じはまるでなく、平原に突如川が出現したという不可解さは現在でも充分感じ取れる。
「まァ、たまにはのんびりするのも悪くはねェかなァ。ちゃんとした新婚旅行はまた今度なァ」
 ぽん、と亜理紗の頭に手を置いて笑う天斗。亜理紗は恥ずかしそうな笑みながら、
「はいっ♪」
 と小気味よく応える。
「ギリギリギリ……」
 ハンカチを引き千切らんばかりの各務の慟哭をスルーして……だが。


 さて、順当に進んでもエリダヌス座の消滅には3日ほどかかると言われている。その間、買ってきた食料で食いつなぐでも構わないのだが、ここはやはり楽しむことを目的としている以上、現地調達・野外炊飯がよろしかろうという意見でまとまった。
 そこで名乗りを上げたのは神座真紀(ib6579)と緋乃宮 白月(ib9855)。川近くの森へと出向き、狩りをして肉を調達してきてくれるとのこと。
 森へと踏み込んだ二人。周囲にアヤカシの気配はなく、純粋な狩りができそうだ。
「それでは望遠鏡座を使ってみます。何か役に立つ効果だと良いのですけど」
 そう言って、緋乃宮は持ってきた望遠鏡座の星の一欠片を発動させる。
 遠見などで獲物を発見できればという考えのもと選択されたメダル。しかしその効果は人それぞれ。
 緋乃宮の手に光球が現れるが、それは何かを傷つけるようなものではないようだ。試しに木にぶつけてみるも、何事も無く消えてしまった。
「うーん……どんな能力なんでしょうか」
「さぁなぁ。ま、普通に狩ればええんとちゃうかな」
「そうですね。行きましょう」
 苦笑いする緋乃宮の背中をぽんぽんと叩き、神座は先を促した。
 しばらく森を進むと、草をかき分け鹿が姿を現す……!
「えぇ獲物やね。気づかれとらんみたいやし」
「一気に仕留めてしまいましょう」
 風下から走りだし、一目散に鹿をめがける神座と緋乃宮。途中、神座がアンドロメダ座のメダルを使うが、鎖などは出ず特に何も起こらない……!?
「もー、なんやの。緋乃宮くん、さっきの光球はどや?」
「ダメージが与えられるとは思えないんですが……」
 幸い弾速はある。緋乃宮は望遠鏡座を再発動、光球を鹿へと投げつけた。
 ようやく二人の存在に気づいた鹿には、それを避ける術はない。
 しかし脇腹あたりに直撃したものの、やはりダメージなどは無さそうな様子。
「うーん……ハズレかしらん」
 そんな神座の呟きを否定するかのように、緋乃宮が呻き声を上げて地面に膝をつく。
 両目を手の平で押さえて、どうしたというのだろう?
「これ、は……視覚の、乗っ取り……!?」
 今、緋乃宮の目には自分の目で見ている風景ではなく、鹿が見ている風景が見えている。
 自分が体を動かしていないのに、視線はあちらこちらを激しく行き来する。
 つまり、鹿は何も見えなくなって混乱しあちこちを見ようとしている。それを強制的に見せられている緋乃宮はまるで乗り物に酔っ払ったような状態になっていた。
「緋乃宮くん、大丈―――はぐっ!?」
 足元をふらつかせた緋乃宮が背中から背後の木にもたれかかる……というか、倒れかかる。
 勢いがあったので強かに背中を打ったのだが、緋乃宮はまるで痛くなかった。
 むしろ何もしていないはずの神座が呻き、ごほごほとむせている状態。
「……もしかして、あたしのアンドロメダ座の効果は……ダメージの身代わり……?」
 周囲の仲間が喰らうはずのダメージを一身に受ける自己犠牲の能力。
 緋乃宮にしても神座にしても、実戦で使い物になるかは微妙なラインか……?
「もう素直に狩りましょう」
「せやね……みんなお腹空かして待っとるさかい」
 はぁ、と大きくため息を吐き、二人は怯えて辺りを無闇に走り回る鹿へと向き直ったのだった―――


「そぉれっ♪ あはは、冷たーい!」
「あー、やったなぁ! ほらほらカミーユ、負けてられないぞ♪」
「こ、このような水着というものはあまり着慣れていないので、恥ずかしいですわ……!」
「そうですかぁ? 見えてるわけじゃないんですから大丈夫ですよー」
「そ、そういう問題ではありません!」
 リィムナ・ピサレット(ib5201)やアムルタートも歳相応に楽しんでいる様子。川のアヤカシとは言っても水なので、別に飲んでしまっても問題はない。
 各務が用意した水着を貸してもらい、カミーユと亜理紗も川に入っての水遊びを楽しんでいる。どうやってサイズを知ったのかは……聞かぬが花だろうか。
 一方、当の各務は……
「あぁ……素敵ですわお姉様。その白いビキニに包まれた着痩せする美乳! あれだけ食べるとは思えないくびれた腰! パレオが邪魔でお尻はよくわかりませんが、白いお御足なんてもうペロペロしたくなるにも程がありますわぁ……!」
「ただの変態じゃねェかよ……。って何描いてんだ」
「ふっ……画架座のメダルにより、今の私はどんな天才画家も凌駕しているのです! 正確に、細かに……お姉様の水着姿を絵に描きとめますのよ!」
「…………いや、確かにクソ上手ェけど……。まァいいや、絵にまで目くじら立てンのも大人気ねェからな」
 一心不乱に亜理紗を見て、一心不乱に筆を動かす各務。彼女の執念は星の一欠片の能力すらも引き寄せたのだろうか……。
 天斗はやれやれと首をふると、川辺にあった大きな石の上から再び女性陣を見下ろした。
 しかし……
「……ん? アムルタートはどこ行った?」
 先ほどまでカミーユとキャッキャウフフしていた義妹の姿が見えない。
 その呟きが終わるのと、背後に気配を感じたのはほぼ同時!
「隙ありっ♪」
「のぉあっ!?」
 背後からタックルをされ、アムルタートもろとも川に落ち盛大な水飛沫を上げる天斗。
 違うのは、彼は水着を着ていないこと。全身ずぶ濡れ状態で服が重い。
「おいコラァ!」
「にゃはははー! 兄ロリよ、川っていうのは見てるものじゃなくて泳ぐものなのだ♪」
「だからって服着たまま入らすなボケェ! 牡牛座使ってお仕置きすんぞォ!?」
「お、やるかー? 矢座で川魚狩りもできるかも知れない私に隙はなーい♪」
 楽しそうな喧騒が響く中、それを包み込むように優しい竪琴の音が響く。
 ミリート・ティナーファ(ib3308)。魚座のメダルの力により、人魚となって川中の岩の上に腰掛け竪琴を爪弾くその姿は、まさにおとぎ話の中に出てくる人魚そのもの。
 水中でも呼吸ができるようになり、泳ぐ速度も数倍になるが、陸上での活動が制限されてしまうのがネックか。
「綺麗ですね……あ、ミリートさんもですけど、音楽が、です」
「うや……あ、ありがと。そっちは何作ってるの?」
「今はテーブルです。そろそろ狩りに行ったお二人も戻ってくるでしょうし、料理を載せるテーブルがないと」
 ミリートに微笑みかけたのは真亡・雫(ia0432)。その笑顔の背後には、椅子やら製作途中のテーブルやらがゴロゴロしている。
 彼が選んだメダルは彫刻具座。しかし彫刻具が実体化するようなことはなく、彼の爪が少し伸びて硬化し、木をいともたやすく切断したり削ったりできるようになったのだった。
 まぁ問題もあり、加工できるのが木・石などに限られている。生物や金属は範疇外のようだ。
「折角水着を着たんですから、ミリートさんも泳げばいいのに」
「うーん、泳ぐのはいつでもできるけど、人魚になって……っていうのは今しかできないから。なんかね、今なら音楽でカミーユさんの心も癒せる……そんな気がするんだよ」
「ふふ……そうですね。その美しさ、きっと皆の癒しになっていますよ」
 ミリートの美しさは心の美しさなのだろう。見た目も勿論可愛いが、純粋に何かをやってみたいとか、誰かの為になりたいと思えるのは崇高なことである。
 星座が……メダルが彼女に応えたのだろうか? やはり、人により相性のいい星座は存在するようである。
「ただいまぁ。ようさん獲ってきたよ〜」
「只今戻りました。わぁ、凄いですね……これをお一人で?」
 そんな時、神座と緋乃宮、狩りに行っていた二人が大きな鹿と猪を携えて戻ってきた。
 緋乃宮は真亡によって作られたテーブルや椅子などのアウトドア用品、湯呑などの食器類に舌を巻く。
 これなら食事もなお美味しかろうと、早速料理に取り掛かるべく川にいたメンツに声をかけるが……
「た、天斗さん、しっかりしてください!」
「ぐっ……だ、大丈夫だ……! ガチロリの尊厳にかけて、メダルなんかにゃ絶対ェ負けねェ!」
「それあんまり安心できませんよー!?」
 ちなみに、天斗が牡牛座のメダルを使った時の効果は『変なスイッチが入る』という至って迷惑なもの。
 本人の気力もあり、平静を保っていたのだが……
「黒猫褌って後ろが完全にただの紐なんだよね〜ほれほれっ」
 そんな面白い状況を放っておけるわけもなく、リィムナが見せつけるように天斗に向かって尻を振る。
 すると……!
「……亜理紗」
「は、はい?」
「やっぱりメダルには勝てなかったよ……というわけでお嬢さーん!」
「天斗さんのドアホー!?」
「むぅ。あれは伝説の『大泥棒ダイブ』やね」
「知っているんですか神座さん」
「その昔、天儀を騒がせた大泥棒……その三代目が得意としていた突撃方法や。あの体勢に入ってしもうたら逃げるのは至難の業よ」
 我慢できずにリィムナへと飛びかかる天斗。流石に身の危険を感じたのか、リィムナも海豚座のメダルを発動。なんとか状況の打開ができないかと藁にもすがる。
 するとリィムナの手から超音波が発生、天斗を直撃し弾き飛ばした!
「き、期待してたのとは違うけど結果オーライ……?」
 内心ドキドキのリィムナちゃんだった。
「お姉様ッ! こいつを殺してやりたいんですが構いませんねッ!」
「構うに決まってるでしょー!? 怒りますよ!?」
「わふぅ!? な、なんでこっちに来るのー!?」
「少女……幼女……可愛い、女ぁぁぁぁ!」
「わーん、助けてぇぇぇ!?」
「こーらー、兄ロリー! いい加減にしないと矢座で撃ち抜いちゃうんだよっ! 効果確定してないけどっ!」
「お前も……可愛いな……。おじょーさーん!」
「わぁぁぁっ!? ついに兄ロリが見境がなくなったー!? カミーユ助けてー!?」
「えぇっ!? わ、わたくしですか!? 無理です無理です、今この場で無理矢理になんてされたら、わたくし一生結婚できないトラウマになってしまいますもの! ここは亜理紗さん、正妻の貫禄で何とかしてくださいましっ!」
「えー……その……。な、流されちゃうから無理かなって……」
「情けないなぁ。これからの時代、女もビシっと言ったらなあかんよ?」
「真紀ぃぃぃ! お前が欲しいぃぃぃ!」
「……そ、そないストレートに言われたら照れるやないの……」
「ダメじゃないですかー!? わーん、誰か何とかしてぇぇぇ!?」
 天斗の魔の手が亜理紗の肩に触れようとした、その時である。
 突如天斗が白目をむき、どさりと地面に倒れ伏したのだ。
 やったのは……緋乃宮と、真亡。
「やれやれ。女性にしか注意を払わないのは開拓者として失格ですね」
「ご、ごめんなさい鷲尾さん。これも皆の安全と依頼遂行のためです」
 緋乃宮はリバーブロー、真亡は首筋への当て身で暴走した天斗を止めたのだった―――


「俺は悪くねェだろ!? メダルのせいだっつーの!」
「うるさーい! ご飯ができるまで反省してるといいよ!」
 簀巻き状態にされ地面を転がる鷲尾。メダルのせいだけと言い切れないのが悲しいところである。そらリィムナも激おこプンプン丸するというものだ。
 一騒動が終わったところで、一同は料理に取り掛かる。
 狩りで手に入れた鹿肉と猪肉をメインに、バーベキューの準備は順調に進んでいく。
 やがて肉の焼ける香ばしい香りが辺りに広がり始めた時、カミーユはくすりと笑った。
「あぁ……わたくしは本当に良い友人に恵まれました」
「私もです。こんな幸せな時間が、いつまでも続けばいいのに……」
 カミーユと亜理紗の言葉に、優しく微笑む開拓者たち。
「カミーユも亜理紗も、キャンプはまだまだこれからなんだから!」
「そーそー! 夜は夜でお楽しみの女子会が待ってるのだー!」
「あは……寂しかったら私が子守唄歌ってあげる。悲しい思いなんて捨てていっちゃおうよ」
 素で開拓者たちの中に、川がアヤカシであるなどという概念はすっかり抜け落ちてしまっていた。
 それでいい……そうでなくてはならないのだが、例え仲のいい友人であってもなかなかできることではない。
 キャンプはまだ初日。明日はもっと、明後日はもっともっと楽しくなる……そんな確信めいた予感と共に、ゆっくりと夜が更けていく。
 エリダヌス座が消えるまで、そう時間はかからないだろう―――