スネーク! スネェェェク!
マスター名:西川一純
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: やや難
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/08/19 23:23



■オープニング本文

 天に瞬く星々の、輝き受け継ぐ黄金の印。
 時は現在、場は集星。今、星座の力を持つアヤカシたちとの戦いが激化する―――


 星の一欠片(スターダスト・ワン)。それは八十八星座が描かれた黄金のメダルである。
 星座アヤカシを打ち倒し続け、人類はついに星の一欠片の実用化に成功した。
 行動力と気力を消費することで発動するこのメダル。効果は様々だが、人により効果が違う上に不確定というのはやはり恐い。
 使える場所も、石鏡の国の一部、集星と呼ばれる地域内に限られているのが痛い。実験も現地に行かなければならないわけだ。
「えっと……現在判明した効果は以下のとおり。
 テーブル山座……巨乳化。行き過ぎは困るけど羨ましい。
 山猫座……獣人化。身体能力も微妙に上がる模様。ただし手も猫になるので道具が持てなくなる。可愛い。
 魚座……美少女化、チャーム。ふつくしい。
 望遠鏡座……離れた場所を遠見。身の危険を感じる。
 三角座……赤青黄の光の三角片。硬いので盾になりそう?
 鳳凰座……見た目などに変化なし。要検証。
 ポンプ座……圧縮した空気を撃ちだす空気砲。威力はそれなりだが素手でも使えるのが強みか。
 矢座……光の弓と矢。一回発射する毎に再発動が必要。射程は100mほどか。
 とりあえずこれらは前回使用者限定の効果であることを忘れてはならない……っと」
「あら、星の一欠片のまとめ? ご苦労様」
 開拓者ギルド職員、鷲尾 亜理紗と西沢 一葉。星の一欠片の事件を一手に任されている二人組だ。
 実験の成果は上々。一部不明な能力もあるようだが、実用初回としては満足の行く結果と言える。
 難を言うなら敵が戦闘タイプでなかったこと。いまいち使うタイミングを逸してしまった感はある。
「そんなあなたに今回は戦闘系よ。ただし、ちょっと特殊だけど」
「星座アヤカシが特殊でなかった試しがありません」
「ごもっとも。今回の敵は、水蛇座ヒドルス、蛇座セルペンス、海蛇座ヒドラの三本立ね」
「なにそれ恐い」
「知らないわよ。とにかく、このヘビトリオが森に出現して近隣住民が困ってるんだって」
 何が特殊かというと、この三体はいずれもステルス性能が非常に高いのだ。
 探知魔法に引っかからないのは勿論、20m以内に近づかないと目視もできない。挙句気配も希薄で感知しづらいと、見つけることからして難易度が高い困ったちゃんが揃っている。
 ちなみに、海蛇座ヒドラだけは頭が九つもあり、再生能力が高い。毒はどれも強力なものを備えているそうなので、噛まれないことが大事といえよう。
「ここでカウント・ザ・メダルズ! 現在、開拓者が使えるメダルは!」

 馭者座、山猫座、テーブル山座、三角座、南の三角座、海豚座、アンドロメダ座、ポンプ座、望遠鏡座、魚座、鳳凰座、矢座、彫刻具座、彫刻室座

「むむ……次辺り、また黄道十二星座が来そうな予感!」
「セットものが増えてきたのは何か理由があるのかしらね……。とにかく、星の一欠片を使うも良し、使わぬも良し。あなたたちだけの星座物語を紡いでね」
 とりあえず、覗きは止めてほしいなーと思う十七夜 亜理紗であった―――


■参加者一覧
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
鷲尾天斗(ia0371
25歳・男・砂
真亡・雫(ia0432
16歳・男・志
叢雲 怜(ib5488
10歳・男・砲
ファムニス・ピサレット(ib5896
10歳・女・巫
各務 英流(ib6372
20歳・女・シ
何 静花(ib9584
15歳・女・泰
緋乃宮 白月(ib9855
15歳・男・泰


■リプレイ本文

●スニーキング≒スネーキング
 集星に存在する件の森に到着した開拓者一行は、全員でまとまって行動し森の中を探索することにした。
 木の密度はそう多くないが、生い茂る葉が日光を遮り涼やかな風が流れている。
 そんなのどかな風景の中に、見えない巨大ヘビが潜んでいるとなればそれは恐い。
「気配を消す蛇……これは期待出来ますわね。早くメダルに変えてこの力でお姉様の寝所に忍び込み、亜理紗お姉様にあんな事やこんな事や、想像しただけでもぉー(ハァハァ)」
「楽しそうでいいな、お前は……」
「そういうあなたこそなんですの、そのへびのぬいぐるみは」
「重要なんだ。詳しくは語れないが最終兵器なんだ」
 あたりをきっちり警戒しながらではあるが、各務 英流(ib6372)と何 静花 (ib9584)のコンビは今日も仲良し絶好調である。
 敵は20メートルという、戦闘においては近距離と呼べる範囲に近づかなければ視認できない。
 気配も希薄で、あらゆる索敵術は効果がないのだがそこはそれ。巨体故にどうしても痕跡は消しきれない。空を飛ぶのでもない限り。
「む……これは、奴らの通った跡だろうな。比較的新しい」
「……一匹だけみたいですね。別行動を取っているのでしょうか」
 水鏡 絵梨乃(ia0191)は、不自然に倒れた草を発見し地面を調べながら呟く。
 這って進むので、砂地ほどではないにしろ跡は残る。草は自然に元に戻ってしまうが地面はそうは行かない。
 緋乃宮 白月(ib9855)も辺りを調べ、一列に並んで進んででもいない限り、この先に敵は一体だけと結論付けられた。
「問題は、戦っている最中に敵が増援として現れること……かな」
「今回も中々骨が折れる仕事だなァ。まァ、その分単純な内容なのが救いかねェ。サーチアンドデストロイだからなァ」
「巻き付かれて本当に骨が折られましたなんてことにならないでくださいね……?」
「まっかせな……げふんげふん、任せとけって。嫁……あー、うー、ちっくしょう、ろくろく発言できねェぞ!?」
 真亡・雫(ia0432)と鷲尾天斗(ia0371)は周囲を見回しながら先陣を切って地面の跡を追う。
 心配そうに声をかけたファムニス・ピサレット(ib5896)に一瞬テンションを上げた鷲尾であったが、ロリに反応する=浮気、嫁を理由に抑える=惚気と認定されると察し思わず叫んだ。
 ピエロの仮面のように、ニヤァ……と笑う各務と何。正直恐い。
「と、とにかく早く倒しちゃいましょうねっ。巨乳になるメダル……遂に私もあちらの方やこちらの方の様にばいんばいんのばるるるん! になる時がっ……! うへへへ……!」
 二言目からは小声であったが、ファニムスは緩んだ顔で含んだ笑いを浮かべていた。
「……最近俺の周りにゃ変な女子ばっかり集まってくるんですがどうすれば」
「ぼ、僕に聞かないでくださいよ……」
 頭を抱えつつ真亡に問うた鷲尾。
 同じく頭を抱えつつ白旗を振る真亡であった。
 ……と。
「おしゃべりはそこまでなのだぜ。本命じゃないけど敵の登場なの」
 銃を構えた叢雲 怜(ib5488)が敵を視認する。どうやら一番先頭に出ていたらしい。
 一見するとただの巨大な蛇に見える。蛇座セルペンスか、水蛇座ヒドルスかは分からない。
「ふふっ、では始めようか。ボクたちの星座物語を―――」
 水原の音頭に従い、一行は眼前のアヤカシに向かって駈け出したのであった―――

●スニークアタック≒スネークアタック
 ステルス性能が高いというのは伊達ではなく、交戦しだした開拓者たちですら背筋に冷たいものを走らせる。
 能力自体はそこまで高くないのだが、至近距離まで近づいてなおその気配は希薄で、ほんの少し視線を外すだけで一瞬その姿を見失いかけてしまう。
 存在感の無さが武器。これでは20mの縛りがなくても遠くからは発見できまい。
「よし……じゃあ時計座のメダル、行きます! 巻き込まれないように注意してくださいね!」
 毒液を吐いてきたりとなかなか近づけないので、真亡は星の一欠片を使用してみることにする。
 元は周囲の『動き』を加速させるアヤカシだったが、彼が使う場合の効果は―――
「えっ……時間が、止まる……!?」
 星の一欠片を発動させた途端、辺りに静寂が訪れ真亡以外の全てのものが動きを止めた。
 しかしその時間は3秒ほどで、驚いている間に世界は時間を取り戻す。
 時を止めると言えば大層に聞こえるが、3秒では大した行動は取れないだろう。
 しかし……!
「大したこと無い行動なら、いいんでしょう!」
 再び時を止めた真亡。左手にメダル、右手には顔料と香水を混ぜた特性のペイント液が入った水筒。
 時を止めると同時に右手の水筒から液体をぶちまけ、時が動き出すと同時に目の前のアヤカシに浴びせかけた!
 いくら存在感が薄いと言っても、それは本人の話。不自然に広がる毒々しい色の顔料と強烈な香水のブレンドが、蛇座か水蛇座か知らない敵の存在を浮き彫りにする。
「さァて、このメダルはどうかねェ! 変身、花道おんざろーどォ!!」
 我も続けとばかりに鷲尾がアンドロメダ座のメダルを発動させる。
 すると鷲尾の魔槍砲が半ばから突然分離し、その間をエネルギー体で構成されたチェーンが繋いだ。
 彼がアンドロメダ座を使う場合、手持ちの武装に任意で伸縮できる鎖を付加できるのだろう。
「いきなりぶっ壊れたかと思っただろォが。心臓に悪ィなァ。けどよ」
 鎖を操り、高角度から魔槍砲の砲撃を放ち、鎖を戻して元の状態に戻す。慣れればトリッキーな動きをできそうな能力である。
「近づいて殴る、真直ぐ行ってぶっ飛ばす、右ストレートでぶっ飛ばす」
 そう言いつつも、何は近づきつつ彫刻具座のメダルを発動させた。すると、何の手にトンカチとノミで構成された彫刻具が現れた!
「カエルムの権限よォーっ! 彫刻刀と言うのならば、彫って見せろおー!」
 仕方ないので、そのままの勢いで何はノミをトンカチで叩きアヤカシに一撃を加えようとする。
 しかし敵はうまく体をくねらせそれを回避。何が放った攻撃は蛇の後ろにあった木に直撃する。
 すると、スカーンといい音がして木の幹のド真ん中が繰り抜かれた。
 恐らくこれが彫刻具座の効果。彫刻をするときにだけ、対象物の硬さや守備力を無視する!
「ふーん……対生物でも彫刻っていうのは成立するのか?」
「あはは……それじゃ超クールなダンナとその相棒になっちゃうから無理なんじゃないかなぁ」
「そうでもあるがーっ! まぁいい、倒すのには摩訶不思議な力なんて必要ない!」
 とりあえずメダルの力を放棄し、何が自らの力で殴りつけようとしたその時だった。
「っ!? 避けろ!」
 突如、何の側面から別の蛇型アヤカシが現れその牙をむき出しにする。
 どうやら助走をつけて飛びかかってきたらしい。近づいてきて視認できる距離に入った時には、もう何のすぐ手前!
 水原が気配に気づいて助言するも、時すでに遅し。その牙は何の脇腹を―――
「させません」
 水原と同じく背拳を発動していたからなのか、緋乃宮も敵の接近をギリギリのところで察知した。
 しかしカットや迎撃は間に合わず、自らの身体を割りこませることでしか何を守ることができなかった!
 ずぶりと緋乃宮の腹に牙が食い込む。そしてすぐさま流し込まれる毒……!
「このっ……!」
 飛びかかった勢いを利用し、緋乃宮を地面に転がして自らも即離れる。敵がそうするだろうと瞬時に判断した水原は、真亡がしたように着色剤をぶちまけマーキングを試みる!
 それは見事に功を奏し、20m以上離れても塗料だけはこちらで視認できる。空中に塗料が浮かんでいるようで少々不気味だ。
「だ、大丈夫ですか!? 今すぐ治療と解毒を……!」
「いえ……解毒だけで大丈夫です」
「え……?」
 ファムニスが緋乃宮に駆け寄ったが、深く抉られたはずの腹の傷がもう塞がっている。パッと見どこをかじられたのか分からない。
 緋乃宮は手にしていた鳳凰座のメダルを見つめる。どうやら外見的な変化はないが、自身の回復力を大幅に高め、自分で治療……いや、再生ができるようになるようだ。
 ただ、毒はどうにもならない。体の代謝を促して回復しているようなので、逆に毒は回りやすくなっていると言っていい。
 すぐさまファニムスに解毒してもらうことで、とりあえず事なきを得る。
「過信は禁物……ですね。痛いことには違いありませんし」
 流石に部位を切断されても再生可能かなどは試したくない緋乃宮であった。
「げー、あっちが水蛇座みたいなのだぜ!」
 叢雲の言葉に、先ほど何に飛びかかった方の蛇が水を吐き出し、自らの体を洗浄したことに気づく一行。
 森を猛スピードで這いずり、ガサガサと大きな音を立てるのも構わずに水蛇座は開拓者の周りを回って威嚇する!
 援軍の到着に、蛇座も勢いを取り戻す。
 大口を開けて真亡に噛み付こうと―――
「夜な夜な丑三つ時に神社で特訓した五寸釘打ちの成果、見せて差し上げますわ!」
 いつの間にか高い木に登っていた各務が、飛び降りて長斧を蛇座の頭に叩きつける!
 彼女が選んだメダルはポンプ座。その効果は『足の裏で物体にへばりつくことができるようになる』というもの。
 つまり、まるで地面を移動するように重力に逆らって木を歩行で登ったりすることも可能なのだ。
 ポンプは何も空気を吐き出すだけとは限らない。空気を吸い込み、貼り付いたまま取れなくすることもできる。
「このまま地面に縫い止めてしまえば、隠密能力など意味がありませんわ」
 頭部を斧で強打され、深く地面に縫い止められてしまった蛇座。いくら気配が希薄でもこの状況からは逃げ出せない。
「さっさとくたばりなァ」
 鷲尾が至近距離で砲撃をぶち込み、蛇座はメダルを残して消滅したのであった。
 次の問題はやたら動きまわり、ペイントや香水を自らの水で洗い流してしまう水蛇座。そして未だ姿を表していない海蛇座ヒドラだ。
 状況が芳しくないと判断した水原は、自らも山猫座のメダルを発動させる。
 すると……
「っ! この感覚……わかる、見えないが、感じる!」
 全身が総毛立つような感覚。自らに吹き付ける風の形すら判断できるくらい、感覚が鋭くなっている。
 外見こそ変化はないが、今の水原は野生の山猫のような鋭い触覚と直感を得ていた。
「怜、そこから斜め右後ろ! 海蛇座はもうすぐそこまで来ている! ぶっ放せ!」
「な、何にも見えないんだぜ」
「いいから! 天斗、白月、水蛇座は徐々に距離を詰めてきてる。音でなんとか判断しろ!」
「へいへいっと」
「わかりました」
 テキパキと指示を出した水原は、叢雲の手を取り何もない森の空間へ銃を向けさせた。
 そちらの方向に敵がいるということなのだろう。それを察した叢雲も、ついに魚座のメダルの力を発動した。
 すると叢雲の胸が大きくなり、輪郭がより女性らしく変化。前回の真亡と同じように、本人らしさを残しつつも見惚れてしまうような美少女に変身する。
「おー、すげー! なんか胸がふにふにして変な感じなの!」
「いいから集中しろ。流石に細かくは狙えないんだからな」
「わ、わかったのだぜ」
 年上のお姉さまに導かれるまま、叢雲は虚空に狙いを定める。
 何を、どこを撃つのかわからないままの射撃に迷いが無いわけではないが……彼(今は彼女?)は引き金を引く。
 すると、銃声とともに発射されるはずの弾丸が発射されない。その代わりに、銃口からは圧縮された一直線の水流が空気を引き裂き、見えない敵の首を一つ吹き飛ばした!
「おおおおお!? なんか水鉄砲のすんごい版みたいなのだ!」
「あ、撃ち終わると男の子に戻るんだね。魚座はとりあえず女の子になるのが基本なのかな……」
 カバーに入るべく近くにいた真亡が、叢雲の変化に興味津津といった感じで見つめていた。
 そこに、リーダーを助けるためにかは知らないが、水蛇座が飛びかかる!
「おっと……ボクを忘れてもらっちゃ困るな」
 山猫座のメダルで鋭敏になった水原には、見えなくとも相手のおおまかな位置が感じ取れる。ならば飛びかかろうとしたところに合わせて殴り飛ばすことくらいは不可能ではない。
「まずい、もうヒドラが!」
 九本の頭を持った化物蛇。すでに叢雲に吹き飛ばされた首も元通りになっており、全身が見えたことから20m以内に入ったことも確実!
 できれば水蛇座との二面作戦は避けたいが……!
「もう時間がありません。ファニムスさん、テーブル山座を使ってみてください」
「ふぇっ!? で、でもあれは私が巨乳化して楽しむためのものであぁいやそのう……」
「その効果が出たらそれでも構いません。今は可能性に賭けてみたいんです」
 緋乃宮に説得され、ファニムスは渋々テーブル山座のメダルを発動させる。
 すると、空中に巨大な土の塊が突如出現しヒドラめがけて落下していく!
 押しつぶされないまでも、その重量を九本の首で支えているためヒドラの動きが大きく鈍る……!
「天斗!」
「応よォ。首は再生できても胴体の方はどうよ。キャノンストラーイク!!」
 鷲尾が放っった火線は見事に海蛇座の胴体に直撃し肉を飛び散らせたが、すぐに元通りになってしまった。その様は緋乃宮が使った鳳凰座のメダルの力を思い起こさせる。
「ちっ、胴体も再生か! やはり水蛇座を先に潰す! ファニムス!」
「巨乳が……ファニムスの……人類の夢がっ……!」
「後でボクのをいくらでも触らせてやるから、今はそのアームクロスボウを撃て!」
「うわーん、忘れないでくださいよぉ!?」
 半ばやけくそ気味に、水原に指示された辺りに矢を乱射するファニムス。その矢には小さな鈴が付けられており、対象に突き刺さることでりんりん音を鳴らし続ける。
「ふ……流石に音は水じゃ洗い流せないな」
「場所がわかればこっちのものですわ。幸い、盾もいますし!」
「あの……痛いですし毒は無効化できないんですからね?」
 まるで悪役のような顔で水蛇座に近づいていく何と各務。苦笑いをしつつそれに従う緋乃宮。決着はすぐつくだろう。
 一方……
「一気に潰れているか、塊を破壊出来るだけのパワーがあればこんなことにならなかったと思うの」
「で、こいつどうすんだァ? 一応アンドロメダチェーンで縛ってあんけどよ」
 引くに引けない状態で、プルプルと震え土塊を支える海蛇座。正直哀れというか、運がなかった。
「……と、鷲尾さんが意見を求めてますけど?」
「……ファニムス、任せる」
「ファニムスの巨乳を返せぇぇぇっ!」
 怒り心頭のファニムスはテーブル山座を再発動、おかわりの巨大な土塊を召喚。
 再生能力が高いはずのヒドラは、圧死という可哀想な結末でこの世を去った。
 むしろ蛇座や水蛇座を相手したり、海蛇座のメダルを土の中から掘り出すことのほうが大変だったという―――