【神乱】フレッド日誌４
マスター名：成瀬丈二
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| ■オープニング本文 ●現在進行形の歴史 天儀暦1009年12月末に蜂起したコンラート･ヴァイツァウ率いる反乱軍は、オリジナルアーマーの存在もあって、ジルベリア南部の広い地域を支配下に置いていた。 しかし、首都ジェレゾの大帝の居城スィーラ城に届く報告は、味方の劣勢を伝えるものばかりではなかった。だが、それが帝国にとって有意義な報告かと言えば‥‥ この一月、反乱軍と討伐軍は大きな戦闘を行っていない。だからその結果の不利はないが、大帝カラドルフの元にグレフスカス辺境伯が届ける報告には、南部のアヤカシ被害の前例ない増加も含まれていた。しかもこれらの被害はコンラートの支配地域に多く、合わせて入ってくる間諜からの報告には、コンラートの対処が場当たり的で被害を拡大させていることも添えられている。 常なら大帝自ら大軍を率いて出陣するところだが、流石に荒天続きのこの厳寒の季節に軍勢を整えるのは並大抵のことではなく、未だ辺境伯が討伐軍の指揮官だ。 「対策の責任者はこの通りに。必要な人員は、それぞれの裁量で手配せよ」 いつ自ら動くかは明らかにせず、大帝が署名入りの書類を文官達に手渡した。 討伐軍への援軍手配、物資輸送、反乱軍の情報収集に、もちろんアヤカシ退治。それらの責任者とされた人々が、動き出すのもすぐのことだろう。 ●未来進行形の歴史 そろそろ、冬も終わりが見えてきたかな？ ジルベリア本土ならいざ知らず、天儀の本国ではこれで冬というからな‥‥。 俺の名はフレッド・バナー、開拓者だ。最近色々な魔術の修行に手を出しており、自分のよって立つべき力が判らなくなっている。 実年齢は１０歳だ。外見もそれほど変わってないと思う。多分、この冬の間にそれなりに背も伸びた──と、思いたい。 さて、開拓者ギルドを通して、みんなは依頼に参加している筈だ。内容は大雑把に言えば、ジルベリアの内乱の鎮圧。 具体的に言えば、途中の町でロールアウトした『駆鎧』を最前線まで陸輸する事だ。前線に行ったら後は流れ解散。 途中までの手段は馬による。駆鎧は遠距離の行軍には向いていない、という話を聞く。 少なくとも危地に陥った時に使うのは許可されない。危地に陥らないように開拓者がいるのだから。 まず、大事なのは大きな戦力を、大帝陛下側の軍に送り届ける。 駆鎧１０騎。絶対数とすれば少ないが、膠着状態に陥った戦場では相対的に価値が大きい。 途中の森の中を突っ切る際。途中アヤカシ──それも氷細工の巨人の様な存在──アイスゴーレムという俗称で知られているが──が最低３匹は現れる事が予想される障害だ。 開拓者でも駆け出しでは逃げるのが精一杯、どこかでミスをしたら捕まる可能性が大きい。 中途半端に残って足止めとか考える開拓者もいるだろう。そうなったら美辞麗句で弔おう。 ともあれスキルや得物の相性を考えず、戦うなら腕に自信があるものでないと難しいだろう。多分、アイスゴーレムの方も死ぬまで戦うとは思わない、断言はしないけど。 多分、英雄志願がいて、駆鎧を起動させようするかもしれない。しかし『個人で占有する意図がない』『緊急事態だった』という抗弁は通らない。自分達は危機を回避する為に雇われ、それを果たせなかったのだ、負け犬の遠吠えと取られても仕方ないだろう。 森を迂回して大回りできない訳ではないが、２日以上のタイムロスが考えられる。 こちらはあまり大きな可能性ではないが、反乱が飛び火して、帝国側の後方を扼する勢力の妨害工作もあるかも知れない。少数精鋭でやるなら志体持ちだろうな、多分いない。 ●運命の女神は力を与えてくれた 話を整理するとグレフスカス辺境領と合流する経路でも首都から回してもらう事になる。一応、カチカチの石頭の記録者（そう俺の事だ）を連れて、自由人を気取っていた、帝国に復帰したい人物がいる。このキャラバンの雇用主の開拓者『ルーク・イナスント』だ。 秋の終わりに得た資金を元手に調達した、中古のワゴンの５台に立つ。４頭立てで計２０頭の馬、予備で４頭連れて行く。 このキャラバンを企画した『不良中年』に関して語るならば『自称』志士。 実際に体から炎を出した事がある。 普通の志士は得物に火炎を纏わせて威力を強化する、自分の肉体に行ってもその効果はない、つまりははったりだ。 このルーク団長はバンダナで髪を大雑把に分けている。 そんな布きれ程度の上辺よりも、三十路の半ばを越しているらしい、しかし外見は二十代にしか見えない。 悪く言えば貫禄がない。よく言えば若々しい。 まあ、見た目があてにならない開拓者もいるだろう。 娘もいるらしい。伴侶に関しては、俺は触れるべき事でないと思うので聞かない。 とはいえ、実力はある──俺は人を見る目がないので、断言したくないが。 小とはいえ、辺境の工房から、駆鎧を輸送して、ひとまとまりの戦力にする。 何かの裏技を使ったのだろう‥‥聞いたら還ってこれそうにないな。 仮にも軍需物資を預かるのだ。ルークはすでに相手につなぎを取っている、それは確実だ。 自分の感覚が正しければ、あの方角には──あいつが‥‥まあ、幾ら駆鎧の技師が少なくても、この広いジルベリアだ、最悪の予想は当たらない。 さて、２日のタイムロスを取る安全策は、前線では消極的、と言われるだろう。 でも、届かないで、奴は勇敢だったと、墓前で言われるよりはマシかも知れない。 さて、第二十六番目の開拓記──戦場に駆鎧は届くか。 |
■参加者一覧
天津疾也（ia0019）20歳・男・志 
ジェシュファ・ロッズ（ia9087）11歳・男・魔 
夏 麗華（ia9430）27歳・女・泰 
奈良柴 ミレイ（ia9601）17歳・女・サ 
ベルトロイド・ロッズ（ia9729）11歳・男・志 
ヨシュア・モンタナ（ib0027）10歳・男・騎 
ブローディア・Ｆ・Ｈ（ib0334）26歳・女・魔 |
| ■リプレイ本文 彼女はブローディア・Ｆ・Ｈ（ib0334）と名乗った。 ファミリーネームやミドルネームを略しているのは、開拓者ギルドの書類上の都合らしい。 正確にはブローディア・フランベルク・イザベラ・キサラギ・ホーレルバッハだそうだ。 端的な言い方をすれば、全てを溶かす炎の様な女性だった。 多分、あふれる色気や、胸が大きなタイプが好みならば、極上だろう。紅のコルセットに黒いガーダー、網タイツにはち切れんばかりの四肢を包んでいる。 獅子のたてがみの如く、頭を飾るは赫く波打つ長髪だ。 （自分は紋切り型で彼女を描写しているが、単純にタイプがどうのこうのいう年ではないだからだろう） 隣にたたずむは、フォイヤーパルと呼ばれる紅い火球、アヤカシではなく歴とした朋友である。 「で、取るべき道は駆鎧が１０機が全滅しかねない森の難所を通る事より、２日遅れて、戦線に運ぶ事が賢明に見えそうね、ルーク隊長？」 「ま、２日遅れただけで、全滅するほど騎士団は弱くないし。これも功名を争った事でなく、単に安全策を取った結果だからな」 ルーク隊長は少しぼんやりと応えた。 「ご理解頂けて幸いですわ」 「ここまで安全策を取って、それでもアイスゴーレムが出たら、もうどうしようもないよね？」 金髪に灰色の目をした少年、ヨシュア・モンタナ（ib0027）が、諦観したかの様に、ブローディアの意見を確認する。 「確かにそこまで治安が崩壊していれば、この仕事自体の報酬の相場が上がるだろうからな」 愛龍にまたがったヨシュアにルークが言葉をかける。 しかし、ヨシュアの騎龍は変わった印象だ。色がスミレ色というだけで、どこの龍かは判らない。後で調べると炎龍だそうだが、ぱっと見はそこまで猛々しくは見えず、かといって駿龍の様にほど素早そうに見えず、甲竜ほど頑丈そうに見えなかった。 龍の交配に関して詳しくは知らないが、まあそういう事もあるのだろう。 精霊門を抜け、ジルベリア地方都市に到着。しばらく雪に覆われた街道を行くと駆鎧が１０機整備済みだという工房が見えてきた。 ‥‥工房に隣接している塔から旗がはためいている──いやな予感とは良く当たるものだ。 「お兄ちゃん」 塔の方からキンキン声が聞こえてくる。 塔の螺旋階段を駆け下りて、馬車に向かって走ってくるのは１０歳に見える少年。俺の弟、スィエールイだ。似てないけどね、茶がかかった黒髪に、琥珀を思わせる茶色い目、黒いインナーの上から黄色いシャツと紅いマフラーを靡かせて走り寄ってくる。 「お兄ちゃんって──兄弟か？」 有り体に言って、青い大きな目をした、俺より背の低いベルトロイド・ロッズ（ia9729）が真贋を訪ねてくる。 「違う──と言いたいけどな」 俺はベルトロイドの言葉に歯切れ悪く応える。 「ああ、あれはアーマー技術者だ。開拓者でフレッドの弟だけどな」 ルークが要らん事を言い出す。 「ふーん、双子って思ったよりいるもんだね？」 「かな？」 活発そうなベルトロイドとは対照的に、おっとりとした印象を（色彩とは裏腹に──）朱い大きな目をしているジェシュファ・ロッズ（ia9087）がまるで当たり前の如く言う。 双子というのは他人に起きれば、笑い事で済んだのだが──自分自身を笑い事にするほど、自虐的な趣味はない。 「いい奴だ。腕もきちんとしているし──もっとも皇帝陛下の技術を伝達するのにはったりや外連味は不要。からくりを動かす歯車のようにきちんと回ればいいがな──それにしても、開戦が内定して、第二世代とはいえ、これだけの種類を修復出来たのは、スィーの腕だけどな」 「でも、第二世代って──ダメじゃん？」 奈良柴 ミレイ（ia9601）が愛龍の甲彦の上から、少し型落ちする第二世代という言葉に疑問符を投げかける。 「駆鎧戦だけを想定すればそうなりますけど。一般兵──志体持ちではない普通の兵士ですね──を相手に戦うなら十分な戦力です。確かに中身は第二世代ですけど、中の宝珠などは最新技術を投入していますよ、この子達は『羊の皮を被った──狼』です」 その言葉を聞いて、ミレイは艶やかな笑みを浮かべた。 洋風を思わせる金髪と、豪華絢爛な傾奇羽織が微妙なマッチングを見せている。自分の彩（いろ）を持っている、というのは二番目だろう。 「とりあえず、荷物の積み卸しの間に、ジャム入りのお茶を飲む位の時間はあるよね？ 一晩、おしゃべりする時間はないにしても」 スィエーは工房付きの食堂に一同を誘った。 暖炉では炎が冬の侵出を阻むかのように赤々と燃えている。 そこでスィエーの手により注がれた、木イチゴジャムを多めに入れたお茶。それは鼻孔を微かに擽り、ここがジルベリアである事を忘れさせそうだった。 夏 麗華（ia9430）は料理人という側面に何かを感じたのか、色々とレシピを聞いている──温厚な人だな、と思ったが、色々とチャレンジ精神が旺盛な人らしい。 ま、ジルベリアのお茶は嫌いじゃないし、泰の茶は未体験だけどね。 そうこうしている内にキャラバンに大きな荷物が１０個搭載されていた。 動き出そうという所でヨシュアが一種、憧憬にも似た、眼差しを向けているのに気付いた。やはり、騎士として、駆鎧を動かす訓練を積んでいるのだから、やはり目の前にあるは駆鎧で戦いたいのかも知れない（俺の一方的な思いこみかも知れないけれど）。 思わず、感情を抑えきれなくなったのかカンバス地の上に手を置く。 そして、火でも触ったかのように、反射的に退く。 呟く言葉は──。 「我が言葉は我が名誉、我が名誉は我が命──」 同年代の開拓者として、あまりにも潔癖すぎる言葉だったろう。 ヨシュアはその後、何も言わずに愛龍の元に戻った。 一方で、ベルトロイドが興味深げに見ているのは、駆鎧がカンバスシートを上からかぶせられ、更に上から木箱を被せられようとしている所だ。これはヨシュアの様な自分の片割れを見ているかのような視線ではなく、もっと子供っぽい何か──（自分より背が低いので勘違いしていたが、ジェシュファの話を漏れ聞くに、自分より年は上らしい、開拓者の精神年齢ってどこで決まるだろうね？） ジェシュファがスィーに開けっぴろげに、駆鎧の技術に関して尋ねているけど、スィエーも開けっぴろげに、ジリベリアの国を支える非公開の技術なので、知る事は色々と束縛を受ける事になるだろうし、それ持って国を出たら、どうなるかの保証はしない、と冗談と警告の、適度なミックスをジェシュファに向ける。 「人間探求心を失ったらお終いだよね？」 「好奇心猫を殺す、という言葉もあるんやで？」 天津疾也（ia0019）が荷物の受け渡しをした旨の確認書に、ルークに代わって署名をしながらも、ジェシュファに対しさり気なくツッコミを入れる。 「善意悪意やのうて、この国独自の特殊な技術で様々なバックアップがなければ、作れないシロモノやろ。そんなものをいじりだしたら、開拓者としての暮らしを捨てるか、技術の探求の道を放り出すか、どちらかやろう？ まあ、中には両立しとる、というスゴイやつもいるかもおうかもしれん。多分、うちらの一行の中でそれが出来るのは誰か？ と聞かれたら、いないやろうな、と思う──ほな、署名したで」 疾也が羽ペンを添えて書類を返す。 「確かに領収書、受領しました。ご武運を──」 ──スィエーの奴もきざな言葉ばかり覚えやがって‥‥。 １０機の駆鎧を載せて、街道を馬車は走り出す。呼び子笛を首からぶら下げている疾也の愛龍、疾風を先頭に。 意外と聴覚での刺激は意識を統一する上で楽な手段だ。 「ふむ、急がば回れと言うしのう、たとえ時間がかかっても、ここは確実に駆鎧を届けるべきやからな」 「無理して森を突破して、アヤカシにやられちゃったら、元も子もないからね〜。急がば回れって奴だよ〜」 マイペースだなぁ──。 左翼と右翼につける様に、空色の表皮にジェシュファのヴェルーチェルが翼を広げる。右の瞳を紫に、左の瞳を金色に輝かせた雄の駿龍。逆サイドにベルトロイドも同じく双子龍のパヒェーダが空色の翼で風を切りつつ、緑色の左瞳と、金色の右瞳のオッドアイ。その上で主人であるベルトロイド（まあ、開拓者ギルドからの借り物だから、法律的には主人ではないが、心情的には唯一のマスターなのだろう）が器用に空中でストレッチしている。寒さに備えて、という所もあるのだろうが、体を動かさないではいられないタチというのが安直なオチか？ 麗華は愛龍、飛嵐（フェイラン）の背中で如何にも重量級な胸を揺らしながら──彼女はそれで泰拳士の道を諦め、志士を志したという‥‥噂だ── 一方、斥候に出ているミレイは予想以上に戦火をさけている面々が多く、昼ではその報告に忙殺されてしまうようだ。 まあ、単純に言えば、普通の人はアイスゴーレム３匹がいるという情報が出た段階でその道を踏破する意欲は消え失せるだろう。 大荷物を抱えたら、自分達開拓者でも龍に乗っていて、尚踏破を諦めた位だ。 誰が言ったかは定かではないが、腕の立つ開拓者が後顧の憂いなくして、ようやく撃破できる戦闘力なのだから。 閑話休題 ミレイはそれら、戦闘領域から退避しようとした（と、自称する集団）の対処をルークに任せている様だ。旨い使い道だ、今度はパクろう。 とりあえず、武装戦力は出てこない。 途中の道中で、暖を取ろうとブローディアが呪文で炎を創り出そうとする事はあるが、さすがに蓮力の無駄遣いだし、自分の相棒のフォイヤーバルの一欠片で、火はつくのだから、わざわざ目立つ事はしないで欲しい、とルークは懸命に彼女に頼んでいた。 その言葉にブローディアは妖艶な笑みを浮かべるのみ。 彼女はそのまま右手に持った松明にフォイヤーバルの炎を移す。一瞬、刺激的な匂いを出すと周囲に熱と光がもたらされた。 とりあえず、今まで武装集団の大半は一般人がアヤカシに襲われているのを想定してでは、なく。他の一般人──有り体に言えば、山賊や傭兵崩れだ──に襲われる事を前提としたものであった。 少なくても龍などの朋友を持った対象と交戦する事は想定外である。 これらの開拓者との接触に、ほとんどのものは帝国勝利の願いを、こめて去っていった、少なくても開拓者が突き進んだ後ろに敵はいないだろうという、先入観の元で。 昼はペースを護って進み、夜は周囲に偵察の龍達を飛ばして安全を確保した上で休息。開拓者からは夜も進むべきだという意見と、休むべきだという意見に分かれたが、ルークの快刀乱麻を切り捨てる太刀行きで、休息するときは休む、中途半端には休まない、という形で行軍のペースを決定した。 換え馬は一時の麻薬の様に、使い潰すためでなく、少しでも行軍に余裕を持たせるために用いられるものだ。 何人かはルークが馬を使い潰す可能性を考えていたようだったが、幸か不幸かはさておき、ルークは馬は大事な道具、と考えているらしかった。脇に森を見ながら進む、一団。 そろそろ、風に乗って鬨の声が聞こえてきそうであった。 予想が命中したのか、騎士団の旗が見えてきた。 誰何の声を開拓者ギルドに依頼された貨物輸送の旨であるとの正式な書類を見せると、しばらく確認の後、自分達は問題がない、と思われたらしく、補給などの管轄に関係する後方部隊に合流すると、ルーク隊長と一部の開拓者は顔パスで入り込み、様々な書状を取り交わした、と聞く。 そして、馬車毎に駆鎧は納品されたそうだ。 ヨシュアはその後ろ姿を見えなくなるまで見送っていた。 そして、彼も愛龍に乗る。 のんびりとした声で麗華はこの旅で味わったジルベリア料理と、泰風料理のコラボを考えているが、俺はとりあえずパスする。運が良ければ極上の一品だろうが──俺はそこまで運が強くない。 「後ろ、いいかしら？」 ブローディアが俺の龍の後ろに乗ってきた。まあ、この人だけなんだよね──龍乗っていないのって。 自分は承諾した。 そして、自分達は再び天儀へと戻っていく。あの雑踏の中へと。 まだ、ジルベリアの戦況を俺は聞いていないが、そろそろ瓦版が出る頃だろうし、表に出て開拓者ギルドで話を聞くのも悪くはない、そろそろ春なのだから、色々あるだろう。 多分、またジルベリアにいく事になるだろう──予感とは、無縁の筈だが。 これが俺の４番目の開拓史となる。 |
