![]() |
|
■オープニング本文 理穴での騒動を聞き及んだ石鏡が双子の国王はアヤカシが絡んだ、昨今見ない大規模な騒動である事も踏まえ積極的に協力する旨を認めた親書を先日、送る。 「とは言え、もしも軍を派遣する場合に肝心の当方が持つ軍備については‥‥」 しかし石鏡が上層部を一同に介しての会議にて老いた一人の男性が声を上げると素直に頷いたのは齢13歳で石鏡が国王となった、布刀玉。 「うん、話は聞いているよ。でも今後の事を考えれば手をこまねいて見ているだけじゃ駄目だと思う」 「そうね、何時かは石鏡にもアヤカシの脅威が及ぶかも知れない事を考えれば」 だがそれでも先の事を見据え、確かな発言をすればその妹でやはり国王の香香背もまた頷き応じると、それを機に各所で起こる話し合い。 「ともかく、部隊の編成についてはこちらで行います故に一先ずは静かにお願いする」 しかしそんな纏まりないまま始まった話し合いは長く続く筈もなく、それを諌めるべく香香背の側近が低くも良く通る声を発し場を制すれば、静まった場の中で布刀玉が再び口を開く。 「今はまだアヤカシの動向も伺っている状態ですぐに動くと言う事はない筈だから各々、今出来る事を全力で取り組んで下さい。軍備についてはどれだけ時間が割けるか分からないけど部隊として纏まりある行動を取る為、練度の向上を主眼に訓練に励んで貰えればと」 こうして、理穴にて起き始めた絶えぬアヤカシの発生に対する石鏡内部における対応を決める初めての会議は思いの他、あっさりと終わった。 尤もこの後にも会議は幾度となく行われ、日によっては数度も開かれた事は一応補足しておく。 ●猪吠える これらの話を石鏡の軍人である、30前の青年将校『尾天歴夫(びてん・へるお)』は武人達による石鏡軍再編を巡る話し合いで、自分の意見を切り出す。 細面だが、精悍な赤毛と挑発的な眼差しが印象的な男だ。 しかし、志体を持っている訳ではない。 「勝つ為の条件、それを諸公らはどうお考えか?」 そこで誰かが発言しようとすると、タイミングに被せる様、大音声を轟かせる。 「情報、確かに相手の場所も判らず、右往左往するのは良くない」 「では──」 「補給、確かに大事かと。腹が減って、得物も無ければ、兵は犬死にするのみ」 「だから──」 「勝つ為の最大の条件、それは闘志であると俺は断言する。アヤカシの居場所をつかみ、槍衾の如く鉄砲を装備し、腹を一杯にしていたとして、兵が戦いを恐れていては何も出来ない。 確かにアヤカシは人の10倍は強い。しかし、こちらの10倍居る訳ではない。ならば、闘魂漲る多数の兵を持って押し包む。相手に殴られる前に殴ればいい」 暴論である。 歴夫の言葉を裏返せば、兵糧が尽き、アヤカシの位置を知らずとも、闘志さえあれば勝てる、と断言しているのだから。 極端すぎるというか、最低限度の考え方が、歴夫は十二分に偏っている様だ。 「では、1週間頂こう。本物の用兵というものをご覧頂く」 どうやら空気は読めるらしい。あくまで、不確定ではあるが。 具体的には、今年になって編成された、石鏡の新兵40人を闘志あふれた部隊として再編すると宣言。 その場を退出した後、自室で、しばらく酒を飲むと、思案が出てくる。 「ふむ、3週間というべきだったか? まあいい、開拓者ギルドに武人の募集をかけよう。単純に常人の3倍の力量、もっと大事なのは、常人とは比べものにならない程、アヤカシとの日々を体験している筈。新人を鍛え直す為、多少の労苦は厭わん」 志体なき新兵をアヤカシに突撃できる様、鍛え直す。 それが端的な依頼であった。 無論、石鏡の話のネタになる。 「──」 「──」 対して、双子の王達がどのような反応をしたのかは記録されていない。 ──開拓記第七章開幕 |
■参加者一覧![]() 16歳・男・サ ![]() 19歳・男・サ ![]() 17歳・男・泰 ![]() 15歳・女・泰 ![]() 26歳・男・陰 ![]() 15歳・女・巫 ![]() 25歳・男・志 ![]() 14歳・男・サ ![]() 40歳・男・サ ![]() 29歳・男・サ ![]() 22歳・女・サ ![]() 13歳・女・サ ![]() 13歳・女・陰 ![]() 12歳・女・シ ![]() 28歳・男・弓 |
■リプレイ本文 シャルロット(ia4981)を前に、パンプキン博士(ia0961)は南瓜頭の中で、脳みそをフル回転させていた。 蒼白な人形、そう見える少女が、身の丈を超える印象を与える太刀を持ち、兵達の鍛錬に出るという。 ただ、彼女の鍛錬方法は有り体に言って、兵の練度を上げるという意図を逸脱しているかに見えた。 太刀で、丸太を削りだし、巨大な木刀を造る。それでもって、兵達に生死の境を彷徨わせ、かかってこない者は『咆吼』で呼び寄せる。 「やめた方がいいのである──」 そこまでパンプキン博士が言った段階でシャルロットは、ぬいぐるみを片手で操り、容姿から連想される精緻な銀の鈴を転がすかの様な声でなく、あくまで剽げた、ぬいぐるみが喋っているつもりなのであろう、声音で答えた。 「じゃあやめる」 彼女はもとより、他の開拓者からストップが入ればやめるつもりであり、実際にパンプキン博士はストップを入れた。 だから止めた。 パンプキン博士にしてみれば、実際にやられたら今回の開拓者の内、癒し手はひとりしかおらず、単純に体力と練度をトレードする(レートは不明)行為は、通常の神経では考えたくなかった。 「サムライの雪ノ下悪食丸だ、よろしく」 16歳と自称するには少々背が足りない様な、紫の目が印象的な、少年の雪ノ下・悪食丸(ia0074)は新 兵達を前に自己紹介。この段階では上手にも下手にも出ない。 しかし、サムライ即ち開拓者という意識の出来上がっている、新兵達には劇薬の如く、染み渡る。 「よし、第一関門はクリアーだな。最初から前にいる強い相手と戦はないというのは判っているなら、一番楽なのは戦わない事だ。 しかし! 戦を舐めてかかるな、アヤカシ相手なら『開拓者』の俺も含めてここにいる全員が何百回全滅してもおかしくはないっ!! そして、命令があれば、そこに飛び込む覚悟が必要だ。 俺はそんな命令が下ってもお前達を、ひとりでも生きて家に帰す可能性を一厘でも高めたいっ!! 死にたくなかったら、必死で鍛錬に付いて来いっ!!」 と宣言、武器や道具の意味や使い方と基本から鍛える鍛錬の期間中は、新兵達と寝食を共にしていく。 まずは、新兵を並ばせて走り込みをする事から始める。 「足腰を鍛えろ、足並みを揃えて走れ、倒れそうな仲間を見捨てるな、足が動かなくなったら死ぬぞ!!」 そして、しばし時が経ち。 「よし、俺の基礎の走り込みが終わった。体力向上コースは次の当摩に頼む!!」 銀色の髪に小麦色の肌という、無国籍な印象のある青年、確実に悪食丸より頭ひとつは高い、当摩 彰人(ia0214)が底抜けに明るい笑みを浮かべて歩み出た。 「さっきのは体力コース。俺の担当は体力だけ、ではなく、互いの意気合意をも高める方向でいく。 判りやすく言うと、練兵場を百周走って。 ただし、ひとりでも脱落したら、最初から、やりなおし。生きていればいつかは出来る」 しばらく、時が経つと、新兵達は走り込みをしても食事を飲み込める様になった。 そこで、悪食丸が南風原 薫(ia0258)に、ルオウ(ia2445)と組んで配給された装備の意義を説明する。 実際、普通の人間には鎖帷子を着込んで、その上でというのは初期段階では無理だろう。 直接対峙して攻撃出来る人数には限りがあるので、射程の長い投げ槍で攻撃する事によって、より多くの人数で同時に攻撃出来るよう 「とにかく時間が無いので‥‥部隊を‥‥分割」 奏音(ia5213)が分析し、部隊を割って訓練する。 この少女は、体格がしっかりしていたり、度胸があったり‥‥比較的、アヤカシと対峙する方が向いていそうな人を、と分割しようとしたが、体格など、アヤカシ戦を前提にすると、誤差に過ぎない。それよりも度胸の方を重視して、選抜していく。 彼女は攻撃に集中し、設置した的へ、合図通りのタイミングで一斉射撃で飽和させる事に専念。 そして、結局最後は、走り込みなどの基礎訓練で、如何に重装備で如何に長時間戦え続けるかという基本の部分であった。その部分を集中した事には大きな意義があった。 「槍は近寄って刺す為にあるんじゃない。自分が殴られない位置で、敵を倒す為にある。盾で互いの身を守り、それすら抜けてきた攻撃は鎖帷子が吸収する事を期待」 一方で薫は、悪食丸の言葉に適当にうなずく。 「まあ、無理して近づくな。敵が来たら、大盾で互いを守りあうんだな? 槍を捨てるのは自由だろう、多分ね? でも、互いを守り合う盾を捨てるのは。まあ、考えてみな? 自分の隣の奴が、盾を捨てたら、どんな気分がするか。 ま、大体においてアヤカシと立ち会い、組み合って勝てる訳がない。開拓者でも運が無くても、戦える様におのおの戦術を磨く。ラッキーヒットを期待する? それなら互いを守りあえ。ラッキーヒットが一発二発出たってアヤカシは倒せない。それなら時間を稼げ。相手の足をひっかけろ、嫌がりそうな所に短刀をつっこめ、倒すんじゃない、仲間が撤退する機を作り出せ」 そこへ白蛇(ia5337)が方法論ではなく、実践形式で発展させる。白兵戦にあっては竹刀。遠距離にあっては印字打ちで、実際に盾の利点、弱点を感じてもらう。 火矢という思案もあったが、パンプキン博士経由で歴夫に打診したが、芳しくない。事故を起こした場合の人的被害を危惧したらしい。 ジルベリアの血故か、赤毛に金目という非常に派手派手しい感じと、ルオウが実体験。少年少年している体格に見合わず、もっとも場数を踏んでいる開拓者ならではの、意見をはき出す。 「アヤカシっていろんなのがいるけど、どいつもこいつもメチャクチャ強いんだよな〜。 中には火とか雷とか出してきてさ、なんじゃこりゃ〜って思うのもいてさ。 何が言いたいかって言うととにかくひとりじゃ戦わない事。ひとりで目があっちゃったらとにかく逃げる。 だから走るのには慣れといた方がいいかもね。身体鍛える事にもなって一石二鳥。 やっぱし身体が大事だからさ!」 と、今までの総括をし。 「後は目がいくつも有るわけじゃない‥‥や、いるのかもしんないけど、そういうのは置いといて、横とか後ろから攻撃するのがいいよ。 でも反撃されるのも怖いしなんか投げてやるのがいいんじゃないかな? そこで悪食丸が投げ槍を教えた意義が出てくるんだけど」 そこへ、か細い声で、今にも消え去りそうな儚さの少女、フィー(ia1048)が補足する。 「‥‥ボクが‥‥教える事は‥‥生きて‥‥帰る事‥‥‥まず‥‥絶対に‥‥英雄‥‥に‥‥なろうとしないで‥‥それと‥‥勇気と‥‥無謀‥‥を‥‥間違えない事‥‥‥間違っても‥‥一人で‥‥勝手な行動は‥‥したら‥‥自分だけじゃなくて‥‥‥他の仲間も‥‥巻き込んじゃう‥‥絶対‥‥生きて‥‥帰ってきて‥‥生きてれば‥‥反撃の‥‥機会も‥‥やってくる‥‥から‥‥」 問題なのは新兵達には英雄になる心づもりはなく、フィーの示唆をした反撃に出る気も無い事だった。 そこで薫はにやりと笑い。良く通る『小声』で。 「こんな事ぉ俺が言うなぁ、本当ぁ拙いんだろうがぁ‥‥まぁ良いか。 何かを『守る』戦いが基本に成ると思うんだがぁ、その『守る物』の範疇にきっちり自分自身も入れておいてくれ。 ‥‥もし死ぬとしても、突撃莫迦に付き合って『無駄』死にするなよ?」 その一方で、秋姫 神楽(ia0940)は新兵をひとつの『コマ』ではなく、ひとりの『人間』であるとして、識りたかった。 しかし、尾天の許可を得て、書物庫で彼女が見た新兵達の資料は新兵はものであるとして扱っていた。 名前、年、徴兵日、出身地。これだけ。 彼女が勘違いしていたのは、新兵達は志願して兵士となったのではなく、徴兵されて得物を渡された『だけ』の、常人であるという事。 背景を探れば、税金などとあるだろうが、尾天が閲覧を確認した文書にはなかった。 それを確認した上で、彼女は連日の集中訓練に、疲れた新兵達を見て回る。彼女の感覚では新兵達は身体的にはともあれ、精神的には衰弱している印象。 一発かます。 「なーに不景気な面してんの。 言いたい事があるなら話してみなさいよ、すっきりするかもしんないわよ。何、怖い?」 「あたりまえだ、自分達は開拓者でもないし、税金を払って、家族毎離散するか、自分が出るしかなかったんだ」 「アヤカシは、人を喰うわ。それはアヤカシが人を喰いたいから。 貴方には譲れない物がある。守りたい物がある。 それは仲間でも家族でも国でも良いわ。 貴方と言葉を交わした誰かが、アヤカシに喰い散らかされる。それで良いの? 誰がするんじゃないの、貴方がするのよ。誰かがしてくれるんじゃないの、貴方にしか出来ないの。貴方が守ろうと思う物は、貴方しか守ってくれない!」 と拳を握るが、相手はこういった。 「俺たちはどんなに頑張っても志体を持ったあんた達の様には考えられない。戦うんならあんた達がやってくれ、税金を払えないから首つりにされようが、途中で山賊に襲われようが、アヤカシに食われようが、死ぬ事には変わりない」 志体を持っていない。 この隔絶した能力の差。どうやっても覆せない、格の違いであった。 「でも、貴方の大事なものを守れるのは貴方しか居ない」 神楽がさじを投げれば、琴月・志乃(ia3253)がぶっちゃける。 「じゃあ、上に従ってればいいんでないかい? あんたとちごうて、上は全員の事どころか、国そのものを見ているんや。 あんたが国の視点を持てないのは当然や。望んでいないのやからな。だから、兵隊の視点で、目の前の相手を、上が望んだとおりにいじくり倒し、逃げろと言われたら逃げて、突っ込めと言われたら、突っ込むんや。考えるな」 そんな中悪食丸に、白蛇やルオウといった面々は食事を共にし、不平を分かち合う事で、兵の呼吸を飲み込んでいった。 模擬戦闘、ただし人間同士という雲野 大地(ia2230)は白蛇の報告書を読み終えた、尾天歴夫から一言で切り返された。 「断る」 「手段を選ばず戦っても良い、という前提ですが?」 「手段を選ばない、か。ならば、その選択肢には戦わない、というものも含まれるはずだ」 「アヤカシ相手に綺麗な戦いなんて無いことを知っておくべきです。手段は問いません、相手に如何にして勝つか、そこに思いを巡らすのです」 「まるで人が初陣の様に語るな。アヤカシとの戦いも行った事はある。その時は百人の熟練兵より、ひとりの初陣の開拓者の方が頼りになった。 正直、新兵全員よりは、開拓者ひとりと龍の方がありがたい。 そうしないのは、氏族に命じて開拓者を供出するように願えないからだ。 ちなみに言っておく、俺は私闘として、開拓者と戦った事はあるが、その時は一合浴びせる間もなく、半年間床についた。もし本当に開拓者に勝て、手段は選ぶな、というなら俺は開拓者を雇う」 「そこまで判っていて、新兵をぶつけるのですね?」 「俺が国王陛下に『無い物ねだり』をすれば卿は本望か? できない以上、できる範疇でやるしかない」 斉藤晃(ia3071)は酒の香が漂う息と共に──。 「なんや、考えてやんか。ただ考えることを放棄して、新兵を臆病者扱いするなら、指揮官にあるまじきものだと断じるつもりやったけど。一番槍の役割なので、相手の出鼻をいかにくじき自陣の志気を高めるためにも明確な戦果を持って闘うことが肝要である──」 と、言った所で、蔑んだ目で、歴夫が自分を見ている事に晃は気づく。 「卿は開拓者ギルドの依頼の何を見た──俺は勝つ時の投入戦力だぞ? 一番槍が出来れば、喜び勇むが。今までの所、基本予備兵力で、勝機に勝利を楽に取る為だ」 「まあ、ヨッバライの戯言や。それはさておき、指揮官つうもの闘うことが第一目的ではなく、戦場における指針を締めることが大事やからな、てめぇが予備兵力として上の指示に従っているのは、それなりに評価される事やろうな」 「まあ、時々上申はするがな。一番槍を」 「はあ、何回?」 「十回中十回」 「──まあ、それでも暴走せんのは‥‥よっぽど上が上手くやっているんやろうな」 突撃戦の意見を酒を交えて述べる。酒精の赴くまま、思いついた言葉を並べる。 そこへ訪れた祥乃(ia3886)も控えめに言葉を継げる。 「決して卑下する意味ではございませんが、新兵の方々は志体を持たず、実戦経験も皆無。彼らがアヤカシとの戦いで生き残るため、勝つためにはどうすれば良いか‥‥ひとりひとりの意識を変える意味は必ずしも無い訳ではないでしょうね」 「うむ。だが、その具体策は出ていないな」 「ならば、一案を──必要なのは自信をつけること。仲間を信じ、共に戦う心。 これは今までの直接の新兵教育で行われています。 しかし、開拓者は天儀の人々の中でも一部。開拓者ではない皆さんも戦わなければ、アヤカシには打ち勝つことは出来ない。 それが出来ない、無い物ねだり、だというのは先ほどから漏れ聞こえました、ご無礼ですが、それが無理なら次善の策を。 新兵達に大切な人がいるなら思い浮かべ、その笑顔を忘れさせないこと。 その笑顔を守るために集められた方達は、開拓者でなくとも勇士だと思います。 そのことを教授する機会に希望があるとすれば、戦闘訓練へ送り出す前でしょうか。 目隠しをした状態で集団的な模擬戦を提案します。 見えぬ状態で仲間同士で声を掛け合って模擬戦を行えば、一体感と信頼感が生まれるのではと考えます。 勿論本番となる戦いは生ぬるいものではありませんが、初等訓練の一環として共通の敵を協力して倒すこと、見えない恐怖と不安を先に経験することは必要ではないかと。 完全にとは言い切れませんが、何らかの効果はあると思います」 「興味深い。しかし、準備がかかる。出来るのは最終日くらいだろう。とはいえ、卿の自信を付けさせ、連帯感を産むというのは非常に都合が良い。やりたいものだ」 そして、梓乃の提案した目隠し戦闘が最終日のトリに行われた。後衛を自ら任じた汐未(ia5357)は前衛を晃に任せ、 歴夫率いる新兵がくさび形陣形を取るのに合わせ、鶴翼の陣で対抗しようとするが、根本的な兵の熟練度に対し、求めるものが違いすぎた。 結果、鶴翼の陣は突き破られる。その後は互いのフォローでぐだぐだになってしまったが。 梓乃は互いの勝利条件を考えておくべきだと考えた。後知恵はすばらしい者である。 しかし、この無視界戦闘は兵達に大きな練度を産んだ。 『斯くして尾天歴夫は一週間と断言した、新兵訓練の練度を同僚に見せる事がかない、評価を得た。 署名:パンギア・プロイツェフ・キンベルナイト』 開拓記第七章閉幕 |