お化け屋敷へようこそ。
マスター名:夢鳴 密
シナリオ形態: ショート
無料
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2009/08/03 00:37



■オープニング本文

 煌く太陽、青い海。水着の女の子に鼻の下を伸ばす男の子。
 白い雲、耳を劈く蝉の声。川原で食べる料理に舌鼓。
 空を彩る花火、夜を煌く祭の提灯。愛しのアノ子に想いを告げる。

 そんな―――楽しい夏。

 おっと一つ忘れちゃいないか? 夏の風物詩。
 夏と言えば‥‥そう怪談だ。
 何の気なしに入ったその入り口が実は―――なんてこともあるかもしれない。
 まさに一寸先は闇。現れるは生者か死者か。
 そんな世界に、アナタも足を踏み入れてみませんか?
 
 この夏、北面を恐怖に陥れる真夏の冒険活劇開幕!


「はぁ〜‥‥」
 手に持ったチラシを見ながら青年は大きな溜息をついた。
 北面領の飛び地に存在する楼港。そこは夜も眠らぬ歓楽街としてその周辺では少々名の通った場所。そんな歓楽街で、今一世一代の旗を揚げようとしている者がいた。それがこの男―――間宮三郎である。本来の彼の仕事は大工。元々はこの歓楽街にある建物の修繕が主な仕事なのだが、以前より自分の腕を使って何かできないかと企んでいたのだ。
「チラシはできた。カラクリも用意できた。後は‥‥やはり実際に稼動してみないとな‥‥」
 言いながら三郎はうーんと唸り声を上げる。
 確かにこのままでも十分怖い物にはなるだろう。だが、お披露目にはやはりインパクトが欲しい。自分の作った物とはいえカラクリが安全に動く保証もない。とかくこういう娯楽施設のカラクリはその安全性を問われるのだ。
「‥‥まずは大丈夫かどうか確かめてもらう必要があるか‥‥となるとやはりタフで多少無茶をしてもいい人がいいよな」
 ふむりと腕を組んだ三郎の脳裏には考えるまでもなく既に一つの選択肢しかなかった。
「先行投資、開拓者ギルドに頼んでみるか‥‥!」

●開拓者各位。
 私の名は間宮三郎、しがない大工である。
 今回本格的な夏の到来に向け、風物詩とも言える化け物屋敷を作ることとなった。
 だが、お披露目する前に本当にこれで客が来るのか、という評価を皆様にしていただきたい。
 勿論ここをこうすれば‥‥のような意見もどしどし出してくれると嬉しく思う。
 それでは‥‥皆のご来場、心よりお待ち申し上げる。


■参加者一覧
橘 琉璃(ia0472
25歳・男・巫
一ノ瀬・紅竜(ia1011
21歳・男・サ
紫焔 遊羽(ia1017
21歳・女・巫
華美羅(ia1119
18歳・女・巫
向井・智(ia1140
16歳・女・サ
瑠璃紫 陽花(ia1441
21歳・女・巫
雷華 愛弓(ia1901
20歳・女・巫
橘 琉架(ia2058
25歳・女・志


■リプレイ本文

●回想を交えて 〜はじまり〜
「はぁ〜‥‥さすがに疲れたわねー」
 言いながら橘 琉架(ia2058)はぐっと背筋を伸ばすように両腕を上げた。
「目がしょぼしょぼするですよ」
 目を擦りながら呻くのは雷華 愛弓(ia1901)。暗い所から一気に光を浴びたせいで焦点が合わないのだろう。その向かいでは半分魂が抜けたような顔でぐったりとしている向井・智(ia1140)の姿が。
「夏にはえぇんかもしれんけど…もう当分おなか一杯や…」
 智の隣でお茶を片手に呟く紫焔 遊羽(ia1017)の瞳はどこか遠くを見つめていた。
「そうか? 面白かったけどな?」
 何食わぬ顔でしれっと言うのは一ノ瀬・紅竜(ia1011)。豪胆な彼には怖いと感じることなど余りないのかもしれない。だが人間には怖い物見たさに、という心理が働くのだろう。瑠璃紫 陽花(ia1441)も怖い物が得意ではないはずなのに、気が付けばここにいた一人である。
「でも私はイマイチだったわぁー。もっとこう‥‥熱いのがあると思ったのに」
 心底残念そうな顔で言う華美羅(ia1119)は一体何を期待していたのか。ともかく彼女にとっては不満であったようだ。
「どうでもいいですけどここ私の奢りなんですよ? もう少し遠慮というものをですね‥‥」
『却下』
 橘 琉璃(ia0472)の言葉は即答で女性陣によって却下される。もう二度と甘味は奢るまい―――目の前に次々と積まれていく皿を見ながら琉璃は強く心に誓った。

 さて、楼港の街中にある甘味処で開拓者たちが何をしているのか。それはしばらく前に遡る。


 街中にひっそりと建つ謎の巨大屋敷。古ぼけたような塗装をしているが、よく見れば最近建てられた物であることがよくわかる。入り口には血で書いたような文字ででかでかと『お化け屋敷』と書かれていた。
「た‥‥楽しそうですね」
「そんな無理に強がらんでも‥‥」
 引きつった笑みで頑張って呟いた陽花に苦笑を浮かべる紅竜。
「ねぇ紅竜さん、私と一緒に回りません? 暗闇の中なら触りたい放題ですわよ?」
 妖艶な笑みを浮かべた華美羅が必要以上に強調した胸を紅竜の腕に押し付ける。細かいことは気にしない紅竜だが、これはさすがに困った表情。その横では自分の胸を見つめながら何やら陽花が呟いていたとかいないとか。
「やれやれ‥‥変わった依頼を受けたものですね。自分たちは実験台‥‥うあっ!?」
「兄様発見ー♪」
 溜息交じりの琉璃に妹の琉架が全力で体当たり。元々体力のある方ではない琉璃はそのまま押し倒される。実に仲の良い兄妹である。いつもならそんな光景を微笑ましく見つめる遊羽も今回ばかりはそれどころではないようで、既に顔が引きつっている。
「皆で行けば大丈夫やよね‥‥って智ちゃん何してるん?」
 こちらもまた引きつった顔で隣にいるはずの智に話しかけた遊羽。しかし呼ばれた智は屋敷の前で正座をしたまま一心不乱に黙祷を捧げていた。
「大丈夫大丈夫‥‥皆で行けば怖くない。怖くないったら怖くないー‥‥でも私怖がり代表っ!?」
 目を瞑ったままブツブツと呟く智の方がある意味怖いかもしれない、遊羽は深い溜息を一つついた。
「ここで立ってても始まりませんし‥‥行きません?」
 呆れた顔の愛弓の言葉で、ようやく一同は屋敷の中へと足を踏み入れることとなった。

●回想を交えて 〜其の壱〜
「でも面白かったですよねー、あのお屋敷♪」
「あぁ、さすがに最初の蒟蒻にはまいったけどな」
 目の前の白玉団子を口に運びながら言う愛弓に思い出しながら抹茶を啜る紅竜。
「あーっ! それで思い出しました! 遊羽さん愛弓さん、あそこで押すなんてヒドイですよぅ!」
 魂が抜けかかってた智が突如身を乗り出し、餡蜜を前に幸せそうな顔の遊羽と同じく白玉に夢中の愛弓に詰め寄る。
「ほえ? ゆぅ何ぞしたっけ‥‥?」
「さぁ‥‥?」
「だぁーっ!? 忘れてますよこの人たちーっ!?」
 惚ける遊羽と愛弓に頭を抱えながら叫ぶ智。
 一体何があったのか―――それは屋敷に入ってすぐの出来事だった。


 屋敷に足を踏み入れた一向を待ち受けていたのは妙に広く長い廊下だった。お化け屋敷と言うからには当然日の光も入らず、所々に蝋燭が点在するだけの暗い闇である。
「予想以上に‥‥暗いです」
 呟くように言いながら恐る恐る進む陽花の手はしっかり愛弓の着物の裾を握り締めていたりするのだが。
「足元に気を付けてくださいね? でないと転び‥‥」
「きゃっ!?」
 注意を呼びかけようと振り返った琉璃の傍で盛大に転ぶ琉架。そして再び琉璃を押し倒す格好で倒れこむ。
「またですか‥‥」
「えへ、ごめん兄様♪」
 心底疲れたような顔で言う琉璃に、てへっと舌を出す琉架。この兄妹はいつもこんな感じなのかもしれない。
 そんなやり取りの中、さっさと先頭を歩いていた紅竜の頬を生温い突風が瞬時に吹き抜ける。まるで何かが通りすぎたような、そんな風だ。
「ん‥‥? なんだ?」
 何事かと視線を巡らせた紅竜、ある一点でその動きがピタリと止まる。驚愕の表情で固まる紅竜に気付いた一同が同じように視線を向けた先、そこには―――
「‥‥こん、にゃく‥‥?」
 呆然と呟く陽花。そう一同が見たのは蒟蒻。ただし、大きさが畳二畳分ぐらいある蒟蒻だ。
「ちょっ!? あんなん無理やって!」
「安全性‥‥本当に考慮されてんだろうな、これ!?」
 涙目で叫ぶ遊羽にさすがに焦る紅竜。
「感触は好きだけど‥‥アレはさすがにごめんだわ」
 見上げて苦笑する華美羅の隣では既に陽花が固まっている。と、そこで蒟蒻がゆらりと動き出す。徐々に速度を増して迫り来る蒟蒻。そこで彼らが取った選択は―――
「今や智ちゃん! いったれ!」
「こんな時こそ生贄さんに助けて貰うです!」
 声を揃えた遊羽と愛弓が智の背中をぽんっと押して前面に立たせる。
「わたたっ‥‥よーし、こんな時こそ皆の壁の出番‥‥って無理ーっ!?」
 拳を握り締めた智がこの直後、泣きながら巨大蒟蒻に吹き飛ばされたのは言うまでもない。

●回想を交えて 〜其の弐〜
「だけど本当に変な館だったわね。アヤカシを真似て作ったんでしょうけど‥‥あ、おかわりー」
 言いながら更に追加注文をする琉架の前には空のお椀が五つ。
「はい‥‥特にあの手は‥‥許せない、です‥‥」
 こちらは何かを思い出して怒りのままに白玉を口に放り込んでいく陽花。
「ふふ、あれは‥‥今思い出しても身体が疼くわぁ♪」
 対照的に恍惚の表情を浮かべながらくねくねと身を躍らせる華美羅。
 お化け屋敷第二の仕掛け―――それは女性にとっては少し厳しいものだったかもしれない。若干一名を除いては。


「あれ‥‥? 扉ですね。開けちゃいますよ?」
 目の前に現れた扉に首を傾げた琉璃は取っ手に手を掛けようとしてふと後ろを振り返る。琉璃の着物の裾をしっかと掴んだ琉架と若干疲れ気味の紅竜。先程の一撃がショックだったのか、えぐえぐと泣いている智を宥める遊羽と愛弓と陽花。そして―――
「ふふ‥‥次こそ私の求めるモノが‥‥」
 一人怪しげな笑みを浮かべている華美羅。
「んじゃ先に行かせてもらうぜ」
 このままでは拉致があかないと感じた紅竜が言いながら扉を一気に開け放つ。開けた先には今までの廊下よりも更に細い一本の通路。最奥に入り口と同じような扉が見える。明らかに何かあることを思わせる作りだ。
 まず飛び込んだのはやはり男性陣。紅竜を先頭に琉璃が後に続く。何かが来るかもしれない、という変な緊張感を保ったまま進んでいく一行―――異変が起きたのは男性陣が通路の三分の二程度に差し掛かったときだった。
「ひゃん!?」
 艶っぽい悲鳴を上げたのは琉架。自分の腰の辺りをまじまじと眺めている。
「どうしたの?」
「いえ、今何か―――あん‥‥ちょっと、そこはやだ‥‥んっ‥‥今何か入って―――」
 首を傾げる愛弓に答えようとして再び悲鳴。自分の身体に襲い来る謎の感触に身を悶えさせる琉架。同じように愛弓や遊羽も突然艶っぽい悲鳴をあげながらその場で身悶える。智は鎧で何とか死守しているようだが、くすぐったくて身動きが取れないようだ。
「皆さん急にどうしまし‥‥んっ」
 目の前で崩れていく仲間の女性に動揺した陽花が手を差し伸べようとしたとき、自分の腰の辺りにも誰かが触っているような感覚を覚え慌ててそちらに視線を向ける。見れば数本の手が壁からにゅっと生えていて、それが陽花の腰の辺りに伸びている。更に身体の周辺からも手が伸びてきて、陽花の身体を所狭しと這い回―――らずに引っ込んだ。
「なっ‥‥」
 言葉を失う陽花。確かに自分が幼児体型なのは自覚している。しているが―――
「不愉快‥‥です」
 一方完全に趣旨を忘れている者も若干一名。
「ふふ、もっとよ‥‥もっと私を触って!」
 両手を広げて歓迎の意を示しているのは華美羅。もうこれだけが楽しみだったと言わんばかりの勢いで現れた手という手を自分の方へと引き寄せる始末。おかげで他の女性陣も難を逃れることには成功したわけだが。
「まだよ‥‥まだまだ足りないわ♪」
 細く狭い通路に華美羅の声だけがしばらく響き渡っていた。

●回想を交えて 〜其の参〜
「カラクリで言葉をしゃべらせることもできるんですねぇ」
 感心した様子で抹茶を啜る愛弓。
「いや、どう考えてもアレは人が―――」
「紅竜さん」
 呆れ顔で反論しようとする紅竜を愛弓がぴしゃりと遮る。抗議を続けようと思った紅竜だったが、愛弓の強烈な無言の圧力を感じ取り仕方なく手元の抹茶を一気に煽った。
「でも面白かったですよー」
 芋羊羹を頬張りながら笑顔で言う智。同意するように頷く遊羽はわらび餅をつついている。
「でも‥‥大丈夫だったのでしょうか‥‥あんなことになって‥‥あ、お饅頭一つ追加で」
 申し訳なさそうに呟いた陽花、裏腹に注文に遠慮はないようだ。
「少しは遠慮してください、だから‥‥」
 滝のような涙を流す琉璃。
「‥‥負けるな」
 紅竜の密かな応援も虚しく、琉璃の財布からは次々とお金に羽が生えて飛んでいくような、そんな絵が脳裏に浮かんだ。
 人語を話すカラクリ―――それはまだ今の技術では実現できない。故に今回のカラクリは生身の人間が随分と手を貸していたように思われた。

「一枚‥‥二枚‥‥」
 薄暗い闇の中、ぼぅっと光る人魂の灯りに照らされて一人の黒髪の女性が手元の皿を数えている。声はどこから聞こえてくるのかわからなくなりそうな、残響音のようにいたるところから聞こえてくるような錯覚に陥る。
「あ‥‥アヤカシ!?」
「こここ怖くなーですよ! 怖くなんてなーですよ!?」
 ガタガタと震えながら抱き合う遊羽と智。その声が聞こえているのか、チラリとこちらを見た女は再び手元の皿を数え始める。
「三枚‥‥四ま‥‥あっ」
 ガシャンと音がして黒髪の女の手から皿が零れて割れた。気まずい空気。よく見ると女の足元にはいくつかの皿の破片が散りばめられている。
「‥‥五枚‥‥六枚」
 何事もなかったかのように続ける女。色々と問いただしたい気持ちをぐっと押さえて見守る開拓者たち。だが―――
「七枚‥‥八‥‥あっ」
 再び乾いた音が響き渡り、開拓者と女の間に隙間風がぴゅうと吹いた気がした。
 しばしの沈黙―――
「‥‥数枚足りないぃぃぃっ!」
『当たり前だーっ!?』
 全員の声が絶妙のハーモニーを奏でて女に向けられた瞬間だった。
「頑張って‥‥一緒に数えてあげるから」
 どこか共感する部分があったのかもしれない。陽花が女の傍でぐっと拳を握り締めた。
「そうよ、もう少しよ!」
 更にその横から声援を送る愛弓。そんな二人の心温まる応援に女の瞳に涙がキラリと光ったような気がする。
 絶対に何か間違えてる、と一人呟いた琉璃。と、そこで琉璃がふと誰かの視線を感じて後ろを振り返る。見たところ誰かがいるようには見えない。しかし視線だけは確実に感じる。緊張感のままキョロキョロと見回す。すると―――
「なかなかえぇ突っ込みやったでぇー」
 聞き覚えのない声が響き渡り、一同は声の方へと一斉に振り向いた。
 所々草が生えた、恐らくは合戦場をイメージして作られたのだろう、そんな場所に杭が一本。その杭の先には一枚の板があり、その上に何やら丸い物体が。
「く‥‥首!?」
「首ぃっ!? な、生首なんて、ほ、本物な訳がなななな、ないですよ!?」
 驚く陽花の言葉にびくんと反応してわたわたと慌てる智。だがその他の者はおかげで冷静に生首を切ることが出来、その結果怖いとかそういうのは無くなってしまっていた。何故なら―――
「‥‥何でおしゃぶりしてんだ‥‥お前‥‥」
 最早脱力しかできなくなった紅竜の言葉。その隣から生首にゆらりと近付く華美羅。その手には何故かハリセンが握られている。
「ははは! どうや、驚いたやろう!? ‥‥って何でそない怖い顔してハリセン握っとんねん」
「私。一発芸って嫌いなの」
 にこりと笑った華美羅が手にしたハリセンを大きく振りかぶった。
「ま、待て!? これからもっと面白いネタが―――」
「問答無用!!」
「へぼあーーっ!?」
 盛大に吹き飛ばされる生首。意外とお似合いかもしれない―――華美羅を除く全員の意見が一致した瞬間だったとか。飛ばされて転がった生首の元に愛弓がとことこと近寄っていく。
「そんなんじゃ漫才大会に生き残れないですよー?」
「な、何やてっ!? どないしたらえぇんや‥‥」
「特訓ですねー。ビシバシいきますよー」
「師匠ぉ!」
「なんでやねーん」
 生首をペシンと叩く愛弓はとっても楽しそうだ。
「あ、出口♪」
「やっと終わりか‥‥」
 前方に陽の光を見つけた遊羽が嬉しそうに言うと、紅竜ががっくりと肩を落として溜息を吐いた。


●えぴろーぐ
「匍匐前進で迫ってくる子供に追い縋る首なし鎧。井戸の中の血まみれ女に鏡の迷路。後は?」
 開拓者たちから出た新たなカラクリ意見を纏めていた琉架が問い掛けるように周りを見渡す。
「簡単な物なら高い所にロープなどで張りぼてを吊るして、誰か来たらいきなり持ち上げたりするのとかどうだ?」
「あ、それいいですね♪」
 紅竜の意見に賛同する愛弓。琉架が更にそれを追記していく。
「三つ目小僧とかろくろ首とか‥‥そういうお化けらしいお化けも」
「お化けらしいのっておらかったなぁ、そういや」
 陽花の言葉に中空に視線を泳がせて思い出す遊羽。
「じゃあそれで報告しましょうか。すいませーん、お勘定」
 琉架の台詞と同時に立ち上がってわいわいと立ち去る開拓者の女性たち。
 後には伝票を眺めながらぷるぷると震える琉璃と、その肩をぽむと叩く紅竜の二人だけが残されていた。

 〜了〜