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■オープニング本文 ●聳え立つ 『城というのは権威の象徴であるとも言われ、強固な城は代々受け継がれていくものである。』 そんな文献を読んだ事があったが、この城は一体誰のものだったのか? それは定かではない。 わかっているのは、今俺の目の前に立っている城が『大いなる遺産』と関係しているという事だけだ。 ひょんな事から手に入れた古地図――その示す先にはアスレチックのような遺跡があった。 その遺跡のお宝を目指して仲間を集め乗り切ったが、そこにあったのは宝珠付きの虎のスタンプらしきもの。 そして、そこの指示通りに地図を翳せば、新たな道…つまりここへの道筋が現れたのだ。 「ちぇ…あの宝珠、案の定ギルドに持ってかれたぜ」 そして、そこにあった虎のそれは大粒の宝珠だったから仕方がない。個人で所有し、万が一一国をも脅かす力となってしまってはいけない。従ってそれは提出を義務付けられ厳重に管理部が管理し、研究などに使われる事だろう。 「あれから追っ手もぱったり来ないし…諦めたのか?」 (「答えはノー…だろうけども」) きっとどこかで見ていて、美味しい所を持っていこうと考えているに違いない。 ならば、なぜ一つ目の遺跡での戦利品を狙いに来なかったのか? そこには疑問が残る。 「まぁいい。ぐたぐた言ってても仕方ない…」 大きな大きな独り言――北面のかなり端に位置する城…実は立ち入り禁止なのだが、うまく言い包めてここの入った俺である。 「城壁は代わり映えなし。櫓もそこそこ…五階建てか」 俺は一度城を見上げて、その後重厚な門を開くのだった。 ●次なる試練 『第二の試練を訪れし者よ。この道をどう切り抜ける』 開いた先にはまた来訪者へのメッセージ――。 「へぇ、こっちの城なのに螺旋仕様とは洒落てるぜ」 吹き抜け内部の内回廊。見た目からして壁には何か仕掛けがありそうだ。まずは小手調べにと持参した小石を回廊床に投げてみる。すると、突如現れたのは突き出す槍。床に落ちた小石の重さで罠が発動したらしい。一定のリズムで横から下から槍が突き出してくる。 「じゃあ次は…」 そこで一旦その仕掛けは放置して、次の階に探りを入れる為、投げ縄を手すりに引っ掛けよじ登る。だか、今度は手摺からもトラップ発動。吹き上がるのは紅蓮の炎。俺の縄を一瞬にして灰にしてしまう。 「くそっ、解除して進むにもこの階にはそれっぽいものはない。って事はこれをクリアして行けってか?」 五階まで続く回廊には、それぞれ何らかの妨害工作が待っていることだろう。 しかし、それが何であるか調べるすべはない。だが、 ギギギギギィーー 余り時間は無い様だった。なぜなら、槍の仕掛けが鍵になっていたのだろう。気付けば奥のどんでん扉からは通常の1.5倍はあろうかという女郎蜘蛛が姿を現す。しかも、どんでんはそこだけでは無い様だ。 「まずい…また出直しか」 俺は舌打ちすると、一旦退却するのだった。 |
■参加者一覧
滝月 玲(ia1409)
19歳・男・シ
雲母(ia6295)
20歳・女・陰
シーラ・シャトールノー(ib5285)
17歳・女・騎
蓮 蒼馬(ib5707)
30歳・男・泰
笹倉 靖(ib6125)
23歳・男・巫 |
■リプレイ本文 ●槍 重厚な造りの扉を前に――今回の助っ人はたったの四名。 もう一人名乗りを上げてくれていた筈なのだが、急用が入ったようで姿がない。 「今度はお城ですか。わくわくしてきますね♪」 すっかり宝探しの魅力にとりつかれ様子で滝月玲(ia1409)が言う。 「よーニーサン、景気はどうさね。宝探しは順調…じゃねぇみたいだな」 そう言うのは初回でお世話になった笹倉靖(ib6125)だ。 「今度は何が待ち受けているのやら。全く飽きさせない事だな」 それに続いてぽつりと呟いたのは蓮蒼馬(ib5707)――その後ろにはシーラ・シャトールノー(ib5285)も続いている。 「お馴染みの顔触れでやりやすいけども…」 その先を詮無い事。人数が少ないのならば一人が二人分働けばいい。 「中には女郎蜘蛛がいるんでしょ? 気をつけないとね」 既にキサイから中の構造は聞いている。 「慎重にいきましょう」 どこにおいても冷静に…シーラの言葉に皆頷いた。 ギギギギギィィ 軋む扉を押し開いて、そこに見えたのはただっ広いフロアだった。 「どこだ? どこにいる?」 キサイがどんでん扉に視線を走らせる。だが、周囲の目視できる範囲に女郎蜘蛛の姿はない。そこで靖が瘴索結界を発動し、奴の居場所を突き止めにかかる。ぼんやりと身体が輝いて、ゆっくりと辺りを見渡せば感じられたのは複数の塊。 「うわ〜、どんでんの隣にもまだいくつかあるみたいさね。後、上にも…ここからでははっきりとは掴めないが、嫌な感じさね」 ゆっくりと目を開いて、言う程緊張している訳ではないようだが、あれ以外にもここには何かいるらしい。 「野放しにしておくのは危険だが、出て来てくれない事にはやり様がないな」 本当ならば後の危険を回避する為、ここでどうにかしたかったのだがこの状態では仕方がない。気持ちを切り替えて、まずは一階層の槍地帯へと玲が向かう。 「いいのか、行かなくて?」 それを疑問に思ってキサイが尋ねたが、 「ああ、ここは玲に任せて…俺らは今出来る事をやっておくさね」 靖は飄々と笑って答えるのだった。 「さて、じゃあ行きますか」 ひっきりなしに槍が出入りする幅ニmの仕掛け回廊――ご丁寧に全体まで届くようになっているようだが、彼は至って余裕である。 「とん、ととん…とととん、とんとん…」 じっと槍の動きを観察し、それに合わせて軽く足でリズムを取る。 この手の仕掛けというのは動力は歯車を用いたものが多く、一定のサイクルが存在する。それを見極め様としているらしい。 (「波は右から…間隔は俺一人が通れる位かな」) 隙がないように見えて、案外そうでもないようだ。 「後は俺の速さの問題か…」 リズムを身体で刻みながら意識を足へと集中する。そして、フットワークを軽くし、彼は駆け抜ける。 それは見事なタイミングだった。 彼を通す為に動いているが如く槍は一寸の狂いなく彼の視界から消えてゆく。それに続いて追いかけてくるのは下がった筈の槍。けれどそれも当らない。まるで彼が操っているかのようについてゆくだけだ。それは僅か数十秒の出来事――早駆で颯の如く駆けた彼は一人、第二階層手前まで歩を進めている。 「お見事」 それを下から見ていた蒼馬が拍手した。 「おい、けどあれじゃあおまえらは」 どうするんだよといいかけた彼だったが、玲が手摺に荒縄をかけた事で理解する。 「見ての通りよ。キサイ、頭固くなった?」 シーラにそう言われて、少しふくれる彼。そう、あそこから残りの面子を引き上げるらしい。 「解除ボタンはないみたいだから。これも一つの戦法だ」 [どんでんの向こうにも隠し通路はなし…水も、ここには無い様やね…」 それを待つ間に靖は下を調べていたようだった。白兎の動向を目で追いつつ靖が言う。 「それは?」 それに気付いて問うシーラに、 「いやーね。こういうとこにはお決まりの水攻めの罠もあるかと思って…あれで調べて…ってあぁ」 本物よりは少し小さい兎が辺りを駆けて、回廊に近付き消滅する。 「因幡の白兎…清浄な水があれば教えてくれるという便利なスキル」 「ご名答」 それを知って注釈を入れたキサイに靖が答える。 「ここにはない。けど、上にはあるみたいだな」 「みたいさね」 それは上へ向かおうとした兎が物語っていた。 ●炎と蜘蛛と荒縄と 「さて、次はこれかしら」 判り易い程手摺が黒ずんでいる部分を見つめてシーラが鎖鞭を取り出す。 「確か炎が噴出すんだっけ?」 手摺に向けて拾ってきておいた石を投げれば、どう感知しているのか突如として火柱が唸りを上げる。 「木造建築なのに間違ってるぜ…」 ぼそりと呟くキサイに苦笑する一同。 玲が水遁を発動してみたが、火柱の勢いが強過ぎで消火には至らない。油対策の鎖鞭もこれでは意味がないようだ。 「宝珠でもないか」 黒ずんだ手摺を忍眼で玲が見つめてみたが、構造まではよく判らない。いっそのこと手摺を破壊とも考えたが、原理が判らない以上、無闇に壊して火事にでもなっては大変な事である。 「ここは地道に行くしかないようだな」 そこで蒼馬が盾と石綿を取り出した。 「なら、私のも使うしかないわね」 それに続いてシーラも盾を。ここに着て判った事だが、火柱は両サイドから出てくるらしい。 結局ごり押し…魔術師でもいれば別だが、今の彼らに道はない。石綿で盾に耐熱加工を施す。 「盾の大きさからして全員は無理だ。さっきと同様誰かが先行して引き上げるか」 効率の良さと石綿の量から蒼馬が判断する。 「じゃあ、私が行ってくるわね」 そこで盾の扱いに慣れているシーラが向かう事となった。 「行った先、仕掛けがあるみたいだから気をつけて」 それは玲の助言。遠目であったからはっきりとは判らないが、何かあるのは確かなようだ。けれど、それは発動せずに終わる事となる。 彼女は覚悟を決めて、身を縮めて歩き出した。踏み出すと同時に火柱が立ち上がり、炎が彼女を襲う。 「大丈夫かよ…」 さすがのキサイもこれには心配の声。 「少しでも緩和を」 そう思い、玲は水遁でサポートした。片側だけでもと必死に水を当て相殺する。 「ここも違うか…」 そんな二人を見守りながら、靖は二匹目の兎を出現させたが、あっさりと火の中へと飛び込んでしまい苦笑い。そんな中でキサイもただ心配していた訳ではない。あの女郎蜘蛛はどこに行ったのか思考を巡らせる。普通ならば、人の存在を感知してもう襲ってきてもおかしくないのだが、アレはまだ現れない。 (「何かを待っているのか?」) もし調教され何かしらの目的を持って動いているとしたら? (「まずは脅しに。そしてもう一つは…」) 「いけたわよー」 そこで声がかかって、彼は一旦思考を停止した。 そして、第三階層。 沈黙を保っていた女郎蜘蛛が姿を現す。靖が三度目の兎を出した辺りの事だ。筒抜けになっていた城の中央部から糸を足らして、突然毒を吐きかけてくる。幸い、靖が定期的に瘴索結界で探知していたから大事には至らない。だがこちらは回廊にしかいれないのに対して、相手は糸で自由自在。飛び道具がないのは致命的である。 「くそっ、飛び移るかッ!」 瞬脚を使って助走を付ければ奴の背に飛び移る事はできる。しかしその後が問題だ。もし倒して瘴気に還れば彼は高所からまっさかさま。無事では済まない。キサイが苦無で応戦するも致命傷は与えられず身動きが取れない。 「どうするの!」 回廊に固まり、シーラが盾にて辛うじて奴の糸を防ぎつつ、作戦を練る。 (「糸を切ったところで埒があかない…でもあれはここで仕留めないと。けど、どうやって…」) こちらからはいけない。ならば相手をこちらに引き寄せるしかない。罠も何もあったものじゃないが、ここは手段を選んでいられない。 「これ借りるぞ!」 キサイはそういうと荒縄を手に取って、素早く繋いで狙いを定め奴の足に引っ掛ける。 「成程、手伝うよ」 それを知って靖も手を貸して、じわじわと回廊に手繰り寄せる。 「キシャーーー」 だかそこで蜘蛛も何かを悟って、あろう事か自分を支えていた糸を切断した。その反動で一気に重さを増す荒縄。手摺に引っ張られ、強く身体を打ち付けたが、辛うじて落下を免れる。 「ッ…くしょう…」 余りの衝撃に眉が歪む。相手は下の階層に糸を吐きつけ留まったようだ。 「蒼馬…今のうちに」 「わかった。もう少し凌いでくれ!」 そこで荒縄伝いに蒼馬が滑り降りて、彼は渾身の爆砕拳。落下の速度も乗せて打ち込んだ拳は女郎蜘蛛を確実に捕らえ消滅させる。奴の悲鳴と共に…キサイらへの負担は緩和する。だが、それだけでは終わらなかった。 ゴゴゴゴゴーーー 嫌な音がほっとしている彼らの耳に届く。 「これは水音…」 慌てて靖が兎を確認。すると、三階層と四階層の境辺りでぴょんひょん跳ねている。が、次の瞬間悪夢のような光景。その近くの壁が一部開いて大量の水が流れ出してくる。 「嘘…だろ…」 疲れ果てている所にまさかの水攻め。シーラと玲が二人を庇う。 「どうした!!」 下では蒼馬の声。 「水がくる! 手摺に掴まって!」 城に響かんばかりの声でシーラが叫んだ。 ●最終兵器 幸い、水の量はそんなに多くなかったらしい。 数秒持ちこたえれば何とか水流は収まり、濡れた床が後には残る。 「死んだと思った…」 キサイの妙な物言いに苦笑する仲間。皆安全を確認して、三階層床に倒れ込んでいる。 「あいつ…この為だったんだ。天井にスイッチがあって、ここの仕掛けの発動を担ってた」 激しく打った腹を擦りながらも、さすがにそういう事は見逃さないらしい。話によると糸が切れた時僅かな音がしたのだという。 「どうするよー、ここで引き上げる?」 消耗はかなり激しい。だが、ここまで来て逃げ帰るのは癪である。 「冗談…だけど、手段を選んではいられないぜ」 立ち上がってはみたが、少し脇腹が痛い。ヒビが入ったかもと思いつつも顔には出さない。 そして、第四階層…。 「おいおい、落とし穴…かよ」 ここに来て原始的トラップが顔を見せる。だがただの落とし穴ではないようで…。 がたんっ 踏み出したと同時に最下層では何かが開く音。 慌てて下を覗けば隠されていたどんでんから新たな女郎蜘蛛が出現したらしい。 「制限時間付って事か。俺が行こう」 キサイの疲労を見取って、ここも玲が先行する。その間、念の為シーラと蒼馬が下を警戒し、靖が縄を待つ。邪道と言われてもこの方法が一番安全なのだ。一人ずつ上へと引き上げて、最後にシーラが到着すると、そこにあったのは途切れた回廊。 「これで終わりさね? 天井しかないみたいだけど」 手が届きそうな天井に呆気に取られて靖が言う。 「こういうのはきっと何処かに隠し扉がある筈だ」 そこでシノビの二人が調査に入る。上に行く程狭まっていく造りのおかげで調べる距離は長くない。 「この真上に穴がある。それとこの手摺の裏にスイッチが一つあるだけだ」 「その他には何も」 二人の調査で判ったのはそれだけだ。 「他に何もないならとりあえず押すしかないのかもね」 槍、火、水、そして落とし穴。後は一体何が出るか。一同緊張が走る。 押したと同時に動き出したのは天井の板…そしてその先には通路を丁度塞ぐ程度の大きな塊が姿を現す。 「なぁ、あれってもしかして…」 顔が硬直するのがわかった。一見すると岩のような塊。しかしその正体は、出来ればこんな場所では会いたくない最悪の相手。床の傾斜に伴ってぐらりとこちらに転がり始める。 「逃げるぞ…」 誰の言葉だったか判らない。しかし、それに満場一致で賛成し、駆け出している。 その名は自爆霊――火炎攻撃も得意であるが、何より一定量攻撃すれば大爆発を起こしてしまう厄介な敵だ。 (「考えろ、策はある筈だ…試練というならきっと打開策がある」) そんな中でも思考を止めないキサイを見取って、仲間も時間稼ぎに入る。 「軌道さえ変えられればっ!」 振り向き様に水遁で水流を発生させた玲だが、思うようには当らない。角は軽く飛行能力で調整して相手はどんどんスピードを増している。 「踏ん張ってみましょうか?」 そういうシーラだが、あの勢いを盾で止めるのは無理だろう。 「なあ、ニーサン。四階のあれ使えないかい?」 そこで靖は走りつつ提案する。 「そうか、それだ! 蒼馬、アレを頼むっ!」 咄嗟の提案に彼も頷いて四階層まで後少し…再び荒縄の出番である。 「玲、これを上の階の手摺に! シーラは破片に気を付けて…皆は出来るだけ縄の近くに…後はタイミングだ!!」 キサイの指示の元、手早く動く。 「行くぜ! せーのッ!」 だんっ 縄を掴んだ彼らは大きく吹き抜け側へと身を投げた。それを追って飛行能力を見せる自爆霊。だが、 「あんたはそっちだ!」 蒼馬が拳を突き出して再び爆砕拳。それと同時に四階層へ吹き飛び落とし穴が発動。更に下へと落ちてゆく。そして、後は轟音が響かせた大爆発。爆風が皆を巻き上げる。そんな中で盾を構えて下からの残骸の警戒するが縄の疲労も大きく――、 『うわぁぁぁぁぁ!!』 彼らは上へと飛ばされるのだった。 「やった?」 爆風で飛ばされて誘われたのは城の天辺――屋根の上。 自爆霊が出てきたフロアには何も無く、ここへと続く梯子がかけられていただけだった。 『試練を潜り辿り着いた者達へ。尾羽を取り地図を翳せ』 そして、そこにはやはり前回と同じようにメッセージが残され、屋根瓦の代わりに鳳凰を模した透明の置物が飾られている。そこで再び地図を翳せば、 「ここまで苦労してきたのに、またそれか」 なんとなく予想はしていたものの新しい罰点の出現に一同苦笑する。 唯一戦利品となりそうなのは、この透明の尾羽だけだ。 「気をつけて」 屋根に上ってから気になる視線にシーラが小声で忠告する。人の気配はないが、どこか居心地が悪いのだ。 「とりあえず戻るかねぇ」 ぼろぼろではあったが、それでも次への道は開かれた。二匹目の女郎蜘蛛が気になったが、どうやら爆発に巻き込まれてくれたらしい。遺跡の主も最後の親切設計なのか、降りる用には縄梯子が用意してあった。 「で感想は?」 「最悪だ。死んだと思った」 「またそれか。けど、宝探しは帰るまでが宝探しだからね…追っ手がすんなり諦めたとは思えねぇから気ぃつけろよ」 どこか気の抜けた面持ちである彼に今度は靖が忠告する。 そして城の扉を開いて、彼らは唖然とした。 追っ手…ではない。立ち入り禁止の場所に入っての大騒動。 あの爆音も外に聞こえていたらしい。言い包めた筈の管理人が彼らを鬼の形相で見つめている。 「あはははは〜」 乾いた笑いを返して、一同は慌てて駆け出す。 そんな彼らの上空をまたもや鳶が円を描いていた。 |