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■オープニング本文 六六魚――鯉の別名。鱗の枚数が三十六枚ある事からそう呼ばれるようになったという。 そしてその鯉には伝説もあるが、一般的にはあまり知られておらず、もっぱら注目を浴びるのは端午の節句の縁起物――つまり鯉のぼりとしての存在。生命力の強さから『男の子が強く育つように』と親の想いと共に空を舞う。この都でも早々と空には鯉幟が優雅に宙を舞っていた。 「次は子供の日! 楽しい事がいっぱいだぜ!」 もうすぐやってくる端午の節句を前に巽が嬉そうに言葉する。 いつもの神社でいつもの二人と‥‥麗らかな日差しが彼らを包む。 「ねぇ巽っち、知ってる? コイって滝をのぼるんだよ」 『えっ』 突然聞かされたその真実にみっちゃんと巽は目を丸くした。しかし、太郎はそれに気付かずに平然としている。 「コイってあの池にいるお魚だよね?? あのお魚が滝をのぼるの?」 「うっそだ〜! あのコイにそんなことできる訳ないだろ〜」 神社の庭の池を指差してみっちゃん。それに続いて巽も言葉する。 「だってボク見たっ! コイが滝をのぼるとこ」 けれど、それに太郎は抗議した。いつもの太郎には珍しく声を荒らげて、鼻息荒く主張する。 「まじで? 本当なのか??」 その真剣さに巽も何か感じたのだろう。目をぱちぱちさせながら問い返して――その先の太郎はしっかりと首を縦に振ってみせる。 「ほんとう‥‥この近くの森の中。小さな滝‥‥そこで見た」 その言葉が引き金となった。子供とは、好奇心の塊でもある。気になり始めれば、やはり確かめてみたいと思うし、その時の行動力といったら大人の比ではない。自制心やらリスクやらを考える大人に対して、子供は本能に忠実だった。 早速それを確かめるべく、彼らは動き出す。 「近くといっても、森あぶない」 太郎の言葉――しかし、彼らにギルドへの依頼を出すお金などない。 「鬼もこないだ倒したし、武器があればいけるかも」 「いけういけう〜」 怖がりの筈のみっちゃんでさえ、好奇心には勝てないようで機嫌よく声を上げている。 ここで言う鬼とは、豆まきで開拓者が扮していた鬼の事を指すのだが、彼らの中ではそうではなかった。修羅場を潜り抜けた‥‥その記憶だけが鮮明に残ってしまっており、折角危険を予知した太郎であったが、残念ながら抑制には至らない。 『こいのぼりをみてくる』 そう拙い字で書き残して、三人は近くの森へと足を運ぶのだった。 そんな事とは露知らず、メモを見た母は近所の鯉幟の事だと勘違いし帰りを待った。 けれど、彼女達は一向に帰ってこない。徐々に不安が募り始める。鯉幟のある付近を捜しても子供達の姿は見当たらない。 「どうしたんだ? 実のおばさん??」 それをみてガキ大将の牡丹が声をかけた。 「ああ、牡丹君ね! ちょうどよかった‥‥あの、うちのみっちゃん見なかった?」 慌てた様子の彼女に驚く牡丹である。 「実ならお昼くらいに神社にいて、滝がどうとか言ってたぞ」 「滝?」 その言葉にどうにも訳が判らず、彼女は首を傾げる。 そして、兎に角神社に向った彼女を待っていたのはそこの神主だった。 「あの、どうかされたのですか?」 息を切らした状態で彼女が問う。 「いやはや、池の鯉が一匹いなくなりましてな‥‥どうやら持ち出されたようなのですよ」 「持ち出された?」 次から次へと発展する謎、彼女は訳が判らない。 「あの、それよりここに子供達が来ていませんでしたか?」 それでもそう問えば、「確かにいた」との回答が。 その後の牡丹が駆けつけて、話によれば仲間の一人が三人が何かを抱えて森の方に歩いて行くのを見たらしい。それを聞き、きっと何かやらかしたのだと彼女の勘が警鐘を鳴らす。 「またお世話におります‥‥」 そうして、彼女はこの都に来て何度目かの依頼をギルドに申請する事になるのだった。 |
■参加者一覧
柊沢 霞澄(ia0067)
17歳・女・巫
ラフィーク(ia0944)
31歳・男・泰
和紗・彼方(ia9767)
16歳・女・シ
劉 那蝣竪(ib0462)
20歳・女・シ
琉宇(ib1119)
12歳・男・吟
沖田 嵐(ib5196)
17歳・女・サ |
■リプレイ本文 ●太郎の性格 うんしょ うんしょ 森を行くのはお子様ズ。もうどれだけ歩いたか判らない。 「おなかすいた〜」 手には布が握られ、その先には何やら動く物体がある。 そして、その布は時に引き摺られたのかところどころ土で汚れている。 「もう少し、あと少しだと思う」 太郎の言葉に従って、三人はまた歩き出す。 目の前には道標があったが、彼らの身長ではそれを読み取る事は出来ない。 行き先は滝の筈であったが、なぜだか逆の道を進む彼らだった。 そんな事とは露知らず、開拓者はギルドから地図を借り出して、手早く捜索の為に割り振りを始める。 「じゃあ、僕らは先に神社へ行ってみるね」 そんな中で直接森へ向かわない事を決めたのは男性陣――琉宇(ib1119)とラフィーク(ia0944)だ。 彼らはどうやら子供達の行き先が本当に滝であったか等の裏付けを取りたいらしい。 「情報を得たらそちらにすぐ向うからよろしく頼む」 そう言って二人は早々と神社に向って歩き出す。 「天気は幸い崩れる事はなさそうです‥‥けれど、急ぎましょう‥‥」 ――とそれと入れ替わりに戻ってきたのは『あまよみ』をしていた柊沢霞澄(ia0067)だ。 「じゃあ、お母さん達待っててね」 「きっちり連れ戻してくるぜ」 不安な顔の母親達を前に馴染みの和紗・彼方(ia9767)と初顔の沖田嵐(ib5196)が声をかけ、森へと向う。 勿論先行するのはシノビの二人だ。 「早く見つけてお母さんを安心させてあげなくちゃ、ね」 そう言って緋神那蝣竪(ib0462)が早駆を行使するのだが、彼女達はあの道標の場所で正規ルートを選んでしまうのだった。 「やっぱりここの鯉を運んだのかな?」 ゆったりと泳ぐ鯉を見つめながら琉宇が言う。 彼らの目的とは、勿論鯉と子供の関連性。 鯉がいなくなったのと子供達が抱えて出て行ったとされる時間が同一ならば、三人がここの鯉を持ち出した事は確定するからだ。 「こいのぼりをみてくる。きっと、神社の鯉なら‥‥と思ったのかもしれないわ」 鯉幟の由来を知っていた那蝣竪の推測。 実は滝を登った鯉が龍になったと言う逸話があるのだ。 それを子供達が知っているかどうかは判らないが、彼女は残されたメモからそう考えたのである。 「おまたせしましたな」 そうこうするうちに、穏やかな表情を浮かべた神主が姿を現した。 「神主殿、悪いが時間がない。手早くお聞きする。そのいなくなった鯉の事だが」 そうしてラフィークの聞き込みが始まった。時間や大きさ、判っている事を全て話してもらう。 いなくなった鯉は体長は80cmの鱗が黄金色をした珍しい品種のものだったと言う。そして、その鯉は神社が出来た当初からの古株で重さは量っていないが、その体長からするに子供には重いと感じられる重さではないかという事だ。 「ちなみにこちらに運ぶ際はどうやって? 階段はきついようだが」 少し高い場所にある神社であるから運ぶのは苦労した筈だと思い、ラフィークが問う。 「ええ、それには濡れた布を使いました。一般的に鯉と言うのは生命力の強い魚。タライに入れなくとも濡れた布に包めば数時間は生きながらえるのです」 「へ〜それはそうなんだね。知らなかった。もしかして、その事子供達は知ってるのかな?」 三人の容姿を教え、今度は琉宇が尋ねる。 「知っているでしょうな。あの子達ならよくここに来ていたし、池の掃除の際はその方法を使っていますから」 「掃除?」 「はい。水を抜く時に一旦あそこから出すのです」 「成程。で、時間はどうだった?」 念の為、琉宇が手帳にメモを取りつつ聞き込みは続く。 「それは多分昼前後でしょう。朝、餌をやった時にはまだいましたから」 「ふむ。協力感謝する」 その話を聞き二人確信した。 ギルドでは先に三人を見たという少年に会っている。 その子の話によれば、お昼に帰る途中に三人を見たと言う事だった。 つまり、時間は一致‥‥鯉を持ち出した犯人は三人組で間違いなさそうである。 「これではっきりしたね。裏付け完了。僕達も急ごう」 「ああ。出来れば鯉も連れ帰りたいしな」 二人は神主に一礼し、森へ急ぐのだった。 ●森 木立のざわめき、鳥の声、彼らの歩む足音に川の流れ―― ありとあらゆる音を収集し、シノビの二人が超越聴覚で手掛りを探す。 「おーい、いたら返事しろー」 その後ろでは嵐が声かけをしながら、足元に注意を払っていた。 アヤカシが稀に出る森とあって常に警戒は怠れない。 けれど、呼掛けを中止する訳にはいかない。何かの気配に気付いてはっとするが、そこにあるのは栗鼠や兔やでその都度ふっと脱力する。 「滝の数もそう多くないようですし、きっとすぐ見つかります‥‥」 両親達に聞いて、行った事のある滝の位置は印してある。 真っ先にそこに向った一行だったが、そこに三人の姿はなかった。 加えて、この天気のよさが仇となる。鯉を運んだのなら水滴が落ちているかもと期待したのだが、乾いてしまったのかそれらしき痕跡は見当たらない。 「一体何処にいるんだ?」 子供の足に追いつかないとは‥‥困惑を隠せない嵐がポツリと呟いた。 そして、時間は過ぎる。 いくつかの滝を回った彼らであるが見つからず、気付けば後続の二人が到着する有様である。 「おかしいな〜。何処行ったんだろう?」 判った情報を共有ついでに一息つき、首を捻る。 「滝の音が煩くて聞き取りにくくしているのもあるのよね」 案外音の多い森の中――ずっと集中しておくのは思いの他骨が折れるようだ。 「じゃあ、僕がやってみようか」 そう言って琉宇はバイオリンを手に取った。そして、優雅に曲を奏でると共に歌い出す。 すると、木を駆け上がろうとしていた栗鼠が歩みを止めた。そして、二、三度首をうろうろさせ琉宇の元へやってくる。一匹、二匹と他の小動物達が徐々に彼に集まり始める。 「一体どうしたというのだ?」 それに思わずラフィークが声を出した。 「小鳥の囀り‥‥というものでしょうか‥‥」 吟遊詩人のならではのスキル――この歌により小動物を呼び寄せる効果があるのだ。 「すごいわね」 それを見て他の仲間も目を丸くする。 これを見れば、子供達も興味を持って足を止めるかもしれない。 「こいつらが話せたらいいのにな」 嵐がそれを見て言葉する。 けれど、これがいい具合に作用する事となるのだった。 「お、おおおっ!」 歩みを止めて、太郎の視線は前を横切っていく野兔に向けられる。 「ちょ、太郎! ちゃんと歩けよ〜」 「こいのぼりみるのぉ〜」 そんな彼を諌める二人であるが、その二人の視線もそちらに向けられ、意識は完全に持っていかれているようだ。 「ちょっとだけならいーかなぁ」 「うん、いいと思う」 道を外れ、握る手からも力が抜けて‥‥。 どさっ ついには布が地面に落ちた。 そして、はらりと開いたその布の中には動かなくなりつつある鯉の姿がある。 「ねぇ、こいさん。元気ないよぉ‥‥」 様子の違うその姿に三人も事態を察し、じわりと嫌な汗が流れる。 「どうしよう」 「とっ、とりあえず水‥‥水は!」 「えっと、ここに‥‥ってあれ?」 慌てて持参した竹筒の水筒をひっくり返すが、どうやら空なようでみるみる焦りが伝染する。 「どーすんだ! 太郎!」 「そんな、いわれても」 「コレじゃあこいさん、死んじゃう〜〜」 慌てる二人を見て、ついにみっちゃんの瞳が決壊する。 「ん、今の声は!!」 はっとそれに気付き顔を上げたのは那蝣竪。 「あれはみっちゃんの声だ!」 彼方もその声を聞きとって、素早く早駆を発動しその声の元へ走る。だんだん声は大きくなり、そこには泣き叫ぶみっちゃんと困り顔の二人の姿がある。 「よかった‥‥三人とも心配したんだよ」 そして、先に着いた彼方が彼らをいっぺんに抱きしめた。 すると彼女の登場に目を丸くし再びぶわぁとみっちゃんが泣き始める。 「はいはい、まずは落ち着いて‥‥で、一体何をしようとしてたの?」 呼子笛を吹いて仲間の到着を待ちながら彼女が問う。 「あのね、こいさんが‥‥こいさんが‥‥」 「こっ、これは!」 みっちゃんの言葉が終わらぬうちにラフィークがその原因を発見するのだった。 ●蘇れ 「いかん、水を!」 「わかったわ!」 瀕死に近い鯉を前にラフィークが指示を出す。 神主の言った通り濡れた布に巻いて運んでいたようだが、歩くうちに布が乾いてしまったらしい。切羽詰った状態に持参したタライを抱え那蝣竪が慌てて水を汲みに走る。 「こいさん、大丈夫だよねっ! しなないよねっ!」 「うん、きっと大丈夫だから」 彼方にしがみ付き震えるみっちゃんに彼方が言う。 「鯉に効くか判りませんが、私は閃癒を‥‥」 そして、目の前では霞澄の回復が開始された。 黄金の鯉を癒しの光が包む。その間、琉宇は少しでも皆が落ち着くようにと心の旋律を奏でている。 「くそっ、何も出来ないのか!」 そんな中、見ているしか出来ない嵐とラフィークは、太郎と巽と共に状況を見守るしかなかった。 そして――鯉は一命を取り留めて‥‥ 満身創痍の皆を余所に、鯉はタライの中で狭そうに泳いでいる。 「このバカっ、みんな心配したんだぞ!」 そして子供達には嵐の雷が落ちていた。 「まぁまぁ、お説教はいっこないでいいんじゃないかな」 それをやんわりと琉宇が止めに入る。けれど、嵐はあえて憎まれ役をかってでた。 「いや、どういう事情であれ、やっちゃならないことはある。それにもしかしたら、あの鯉死んでたかも知れないんだぞ?」 そう言って三人の顔をじっと見つめれば、子供達もわかっているようでびくりと肩を竦めて、目を伏せる。 「こいさん、ごめんなのぉ‥‥たきのぼり、みたかったから。無理させちゃったの‥‥」 「僕がさいしょ言った。ごんめなさい。みっちゃんわるくない」 「けど、俺もみたいとか思ったし‥‥ごめん」 各々小さい身体を更に小さくして、鯉に謝罪する。 その言葉に嵐もふっと表情を緩めて、 「うん。ちゃんと謝れたな。えらいぞ! これでこいつも許してくれるさ。それにあたしもその『こいのぼり』が気になるしな」 そんな三人を見取ってにこりと笑いわしゃりと撫でて、すぱっとそこでお説教は終了。 「その事だけど、それは多分異国の故事にある龍の事じゃないかしら?」 そこで那蝣竪が前に出た。 「あぁ、あたしも知ってるよ。なゆ姉‥‥鯉が滝を登って龍になるって伝説でしょ?」 それを聞いて、彼方も加わる。 『やっぱり鯉は滝登るんだ!!』 その言葉に反省ムードからガラリと一転し、子供達の目が輝き出した。 場所はさっきの騒動で滝の近くに移動している。 タライの縁を掴み、子供達はあろう事か鯉を水場に放流する。 『あぁ!!』 止める暇はなかった。ばしゃりと返したタライから鯉は池へとダイブする。 わくわく わくわく そして、泳ぎ出た鯉をしっかりと見据えニコニコ笑顔。こうなってはもう怒れない。 「あれ、連れ帰るつもりだったんだが‥‥ん?」 それを見て苦笑するラフィークの目は、池の底で動く大きな影を捉えるのだった。 ●登る ばっしゃーーん それを鯉が跳ねた音だった。そして、ぐんぐん滝に近付き遡り始める。 流れ来る水流に必死で耐えながら、体を左右に振り一直線に――。 けれど、結局途中で力尽き滝壷へと戻されそれ切りだった。 しかし、それを目撃した者は思うだろう。 『あの伝説は本当だった』と――。 「うそ、だろ?」 あの黄金色に輝く体は、さっき放流した鯉で間違いないだろう。 あの鯉が僅かではあったが滝を登って見せたのだ。 「こいさん、すごーーい!」 「本当だったんだな‥‥」 「ね、僕うそつかない」 口々にそう感想を漏らす子供達に、開拓者達も開いた口が塞がらない。 「あれ、こい戻ってきた‥‥」 しかし暫くの後、なぜだか子供達の下に戻って来て顔を上げる鯉。 「お家帰りたいの?」 慌てているような鯉を見て、みっちゃんが問う。 「かもしれないわね。住み慣れた所がいいのかも」 それを見て取りくすりと笑う那蝣竪に、三人も笑顔を返す。 「じゃあ、こいのぼりも見れた事だしみんな帰ろうか。柏餅持ったきたんだけど、ここじゃ子鬼が出るかも知れないしね」 『うんっ!!』 「おなかへったの〜」 すっかり元気を取り戻した子供達と共に、一同は鯉を連れてその森を後にするのだった。 そして――翌日。 例の神社に招待されて、子供の日を迎える彼らである。 『ええっ! あの池に主がいた!』 「おいおい、声が大きい」 そこでラフィークから告げられた推測に近い真実に、皆驚きの声を上げる。 実はあの時、彼の目が捉えたのは池の深くにいた巨大魚だったのだ。 「多分、ずっとあそこに住んでいるんだろうな。相当なでかさだった」 一瞬見たそれを思い出し彼が言う。 「成程ね。あの鯉は新顔だったから主の姿を見て吃驚したとかかしら?」 「もしくは食べられると思って滝の方に逃げ出したとかかな?」 楽しそうに笑って那蝣竪と彼方が推理する。 あの滝登りの真相――はっきりした事は鯉のみぞ知ると言った所だろうか。 「どちらにしても子供達が無事でよかったです‥‥」 霞澄は池の鯉を見つめるお子様ズを前に優しく微笑む。 「そうだな。夢も壊さず済んだようだし、子鬼も出なかったし‥‥主も気を利かせたのかも」 みっちゃん母らが作った粽を片手に嵐が言う。 「あの鯉はどんだ迷惑だったかもしれないがな」 ラフィークはそう苦笑し、空に視線を向ける。 すると、そこでは今年も勇ましく鯉幟が空を泳ぎ、子供達の行く末を見守っているようだった。 |