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■オープニング本文 あの時はよかった。だって、子供だったから‥‥。 あの人みたいに美人だったら、色々お徳なのにな〜〜。 ペットはいいよ、好き勝手やってればいいんだから‥‥。 そう思う事は無いだろうか‥‥いや、誰もがきっと思った事があるはずだ。 若返りたい、違う何かになってみたい――。 その願いを叶えるべく、ヤミメ・ダーマ博士は研究を続けていた。 薄暗い掘っ立て小屋の研究所で‥‥時に落雷に打たれ焼死しかけたり、時に台風で小屋が吹き飛び野ざらしになったり――。気付けば何度挫折しかけたかわからない。 (「なんで人間の為にこないなことせなぁかんねん!」) そう呟く自分がいたが、それでもなんでもどうしても、やらねばならぬと言う使命感に後押しされ、やっと今その試薬は完成した。 「おおっ、このレインボーな輝きはまさに変態の輝き‥‥」 よくわからない事を呟きながら、彼はそれの完成に酔いしれる。 数にしてたったの八本のみ――原料が貴重な為、それだけしか作れなかったのだ。 それを早速試そうと箱に収めて、何ヶ月振りかの外へと一歩踏み出す。 「おや、博士! やっと出てきたのかい‥‥家賃はらっとくれよ」 ――とそこへやってきたのは管理人だった。掘っ立て小屋に管理人が存在する自体おかしな話だが、それはそれとしてもう一年以上滞納している博士にとっては頭の上がらない人物である。 「いやっ、ほら‥‥もう少し待ったってんか! ほれ、これも出来たばかりやし」 「はぁ? なんだい? このキラキラしたもんは??」 博士の言葉に視線をやって、完成したばかりのそれを手に取る管理人。 「これこそ、我最高傑作‥‥変態の薬であーーる!」 ここだけあからさまに口調を変えて、彼は大きく胸を張る。 「変態? また馬鹿なもんつくってんだね、全く‥‥さっさと仕事しなよ」 「いやだからこれが仕事で‥‥」 「こんな馬鹿なもん作るのが仕事? けど、なんだか美味しそうだね」 下らんものをと言っていた管理人ではあるが、その色に魅了されたか徐にその瓶に手をかける。 「あぁぁぁ、駄目駄目! これはおばはんには効かっ、ぶばっ!!」 そう言って止めかけた博士だったが、管理人の見事なエルボーが顔面に舞い降りた。 「失礼だねぇ、わたしゃおばはんじゃないよっ!!」 管理人はそう言って手を戻す。しかし、やはりそれが気になるようで、 「やっぱりきれいだねぇ〜、これ。そうだ、これを売って少しでも家賃を返してもらおうかね〜〜。うん、それがいい考えだ」 思い立ったが吉日とばかりに、箱ごとそれを持ち去ってゆく。 「変態の薬じゃあ売れる訳ないし‥‥みらくるちぇんじ。うん、これがなうでやんぐな名前でいいかもねぇ」 などど勝手に命名し、早速販売を開始する。 そして、翌日『変態の薬』改め『みらくるちぇんじ』は見事完売した。 全て飲み干せば、好きなモノにかわるという不思議な薬として‥‥限定数八本――胡散臭さ満点のその薬だが、興味本位で買っていき、博士が気付いた時には管理人の手にはない。 「まだ試してないんやけど‥‥実験体を探す手間も省けたし、ま、いっか。てへっ」 けれど、博士はお茶目にそう笑って、ボード片手に走り出す。 (「わしが作った薬や。飲んだ奴の居場所は判る」) 一体どうして判るのか謎であるが、ともあれ結果を調査すべく彼は一目散に購入者の元に急ぐのだった。 ※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。 実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません |
■参加者一覧
天津疾也(ia0019)
20歳・男・志
剣桜花(ia1851)
18歳・女・泰
水津(ia2177)
17歳・女・ジ
雲母(ia6295)
20歳・女・陰
壬護 蒼樹(ib0423)
29歳・男・志
蒼井 御子(ib4444)
11歳・女・吟
光河 神之介(ib5549)
17歳・男・サ
フランヴェル・ギーベリ(ib5897)
20歳・女・サ |
■リプレイ本文 ●野望乱舞す 類は友を呼ぶ――そう判断しヤミメ博士は勘を頼りに都を走る。 一際禍々しいオーラを求めて、彼はそこへと向かうのだった。 「くっくっく‥‥ついに私の野望世界人民総眼鏡化計画が動き始める時‥‥」 ヤミメ博士と同様に怪しげな笑みを浮かべて、水津(ia2177)が言う。 彼女の野望は至って単純。それは眼鏡を世界中に広める事である。 「皆、判っていないのです‥‥眼鏡こそ全て。最高のおしゃれアイテムです。皆眼鏡をするべきなのです‥‥これを使って私自ら眼鏡となって世に凄さを知らしめるのです」 狂気的な笑みをレンズの奥に隠して、くいっと眼鏡を押し上げる。そんな彼女を発見し、早速博士は声をかけた。彼女の野望成就の為に‥‥モノなろうという彼女には助っ人が必要だ。 「それでは、お任せしましょう」 彼女はそう言って薬を煽り――変貌を遂げた彼女を懐にしまって、再び博士は動き出す。 『ふとった‥‥太ってしまった』 時は少し遡る。最愛なる妻が久々に戻ってくる。ジプシー妻となかなか会えない壬護蒼樹(ib0423)の喜びは束の間だった。それと言うのも彼は三十路前。そろそろお腹が弛む年頃である。筋肉隆々、高身長――恰幅のいい身体を気に入られ結婚に至った手前、今の状況は非常にまずい。 『肥ったら別れるから』 さらりと言ってのけた妻の言葉。このままではそれが現実になってしまう。 「あぁ〜〜どうしようどうしよう。何か神よ〜〜〜」 鬼気迫った状態で彼はその場に立ち尽くす。道行く人は避けて通るが気にしない。今大切なのはいかにして離婚を回避するかと言う事だ。 「理想の姿に変わる素敵な薬だよ〜〜」 「ええっ!!」 そんな彼に届いた言葉。変態の薬は彼にとって地獄に仏――彼は猛スピードで駆け寄ると、その薬を早速飲み下す。無味無臭‥‥喉を抜けると同時に身体は虹色に輝き、みるみる変態を始めてゆく。そして、一分もしないうちに彼はシュッ、スラッ、ムキッの美男子へと変貌していた。 「こ、これが僕‥‥」 ガラスに映った自分が信じられなくて、ぺたぺた触り確認する。さっきまであった余分肉は見る陰も無かった。道行くマダムも彼をちら見し頬を赤らめる。 「いける! これで‥‥って、うわぁぁぁ!!」 ぐっと確信を握り締めて、しかしどこかすうすうすると思えば、たぼたぼになったズボンがずり落ちて恥ずかしい事になっている彼であった。 一方、もう一人歓喜の声を上げた者がいる。 それは若干17歳でありながら会う子供達にはおじさんとからかわれ、目付きの悪さから悪人にされた経験を持つ光河神之介(ib5549)だ。 「これで老け顔とかおじさん怖い!とは言わせねぇ‥‥」 彼の希望は、爽やかで人気者なお兄さん。普段なら絶対買わない胡散臭さ満点の薬だったが、さっきのあれを見せられては買わざる終えない。そして、今彼も変態したばかりなのだ。 「これで口調を変えれば完璧だな」 つり目で威圧的だった目付きは穏やかになり、少し髪もさらさらになったようでどこかの雑誌の表紙を檸檬を片手に飾れそうだ。けれど、彼の目的はそこではない。あくまで狙いは子供達だ。 「よぉ! 元気一杯だなお前達!」 早速子供を発見し爽やかに声をかける。片手を軽く上げて、太陽の下輝く白い歯が眩しい位だ。そんな彼は今までの彼とは全く別人な訳で、 『え、誰?』 子供達に動揺が走る。見慣れない顔だから尚更だ。 (「よしよし、狙い通りだな」) この後の反応を楽しみにしつつ彼が口を開く。 「いいか、俺の名を聞いて驚け‥‥俺はあの光河神之介だ!!」 ババーンと踏ん反り返って言い切って、けれど返ってきたのはは冷めた眼差し。 「うっそだ〜、何寝ぼけてんの?」 「人を騙すにはもっと考えなきゃ」 「お兄ちゃん恰好いいんだから神之介の名を語るのは勿体無いよ」 口々にそう言って彼らはその場を後にする。 「いや、嘘じゃないって、お前ら〜〜」 必死で説明する彼であったが、結局誰一人彼を認めない。 「ちっくしょ〜こうなったら暴れて」 「ちょい、待ちぃな」 自暴自棄になりかけた彼であったが、ふっと現れた男にチラシと眼鏡を差し出され、気持ちを切り替えるのだった。 ●珍獣オンパレード (「うひょー、まさに天国! 猫最高!!」) 幼女達に囲まれながら子猫に変態したフランヴェル・ギーベリ(ib5897)が興奮気味に心中で叫ぶ。彼女は特殊な性格の持ち主であり、幼女に対する熱狂振りは異常な程で一歩間違えれば捕まってしまうのではないかと思える位だ。しかし、今は違う。猫の姿を借り、己の欲求を満たしまくる。姿は可愛らしさNO,1のシルバークラシックタビー‥‥いわゆるアメショー柄の子猫であり、幼女達は彼女を発見するや否や向こうから駆け寄って来てくれるのだからたまらない。 (「はぁ、もう死んでもいいかも」) 複数の幼女達に囲まれて、彼女は衝天しかかっていた。何せ多少の悪戯は動物のした事であり、咎められる訳ではない。いつもならクンクンするだけでも引かれてしまうのに、今日はそれがやり放題。彼女には至福の時の何ものでもない。 しかし、そんな時間は長く続く訳もなく、突如現れた一匹厳ついわんこによって全ては打ち砕かれる。 「うわぁ〜〜怖いよぉ〜」 その犬の発見に幼女達は彼女を置き去りに逃げたのだ。 (「あっちょっと‥‥」) 連れて行ってくれればよかったのにと思うが、もう遅い。犬と対峙して、さっきの恨みを晴らさでか。 (「くそぉ〜野良犬め! 許さないんだから!!」) そう思ったが、やはり体格差は大きかった。一蹴りで彼女の数倍の距離を詰めてくる。 「にぎゃーーーーー!!」 どんっ 慌てて逃げ出した彼女を襲う衝撃。 打ち所が悪かったのか彼女はそこで意識を手放すのだった。 「わぷっ!」 変態の蓋を開けさぁ飲もうとした時の事。足に当たった衝撃で瓶を取り落としたのは蒼井御子(ib4444)だ。師匠に認めてもらう為、カッコイイおねーさんを夢見て薬を購入した一人である。 「あぁ、まだ半分しか飲んでなかったのにぃ〜〜」 零れた液体にがっかりする彼女。しかし、それでも変態は開始していた。ぱぁと光り輝いて身体を包む。 (「やたっ、これで師匠に‥‥」) そう思ったのだが、変態後の姿に声を失う。 「あ、おかーさん。あそこに狐さんがいるよ〜」 そうなのだ。なぜだか、彼女は狐に変化していたのだ。 「ええーーー! 何で‥‥カッコイイおねーさんと違うじゃんー!!」 そして、思わず声を上げればしゃべる狐としてかなりの注目を掻っ攫う。回りに居た人々の視線は自ずと彼女へと集まっていた。それを守銭奴・天津疾也(ia0019)は見逃さない。 「今が好機やっ!!」 しゅぽんと蓋を抜いて、こちらもぐいっと飲み干して、その狐の元へと走る。 「さぁ、よってらっしゃい。見てらっしゃい。今から面白いもん見せまっせ〜」 旗を片手に小さな体で――彼は体長およそ30cm程の小さな亀に姿を変えていた。それは彼曰く、『銭亀』と言うらしい。 「なんや知らんが、おおきになぁ〜狐はん」 ぼそりとそう礼を告げると、御子もさらりと会釈し去ってゆく。それを見送って、疾也の話術に拍車がかかった。コレだけの人数――客は上々。うまくいけばかなり稼げると踏んで早速芸の披露に入る。 「ほい、ほい、ほいっとな」 短足な体に似合わぬ器用さで番傘を回して、そこに鞠を投げて貰い巧み操る。 『おおおっ!!!!!!!!!』 人でも難しいこの技に歓声が上がった。 「うまいもんだなっ」 どこかの金持ちらしい男の言葉ににやり笑いが零れる。 (「あの手の輩はぎょうさん金もっとるはずや〜」) それを見取って更に技を発展させて、傘回しからの綱渡りに挑む彼。だが、突如歓声は悲鳴へと変わった。そして、折角集めた客達はおひねりを落す前に霧散してゆく。 「あっちょっと待ってぇなぁ〜」 彼の叫びは客達に届く事は無かった。 ●最悪の事態 「な、何事ですか!」 所は変わってここは爽やかイケ面眼鏡コンテストの会場で、水津眼鏡が声を上げる。 後は結果発表を残すのみ――パートナーの神之介にも困惑が走る。怪しい男の頼みで出場したが、負ける気はしなかった。なんたって今は爽やかイケ面、最強眼鏡を誇る水津眼鏡とタッグを組めば負ける要因など無い。 「私の野望まで後一歩というのに」 歯があったならぎりっと音を立てていただろう。混乱で慌てふためく会場――喋る眼鏡という怪しい光景ではあったが、それを気にする者などいなかった。なぜなら、皆それど頃ではなかったからだ。天儀に現れたおぞましい姿のそれに、彼らは恐怖し逃げ惑っている。 「ちょっと結果は! 結果はどうです!!」 逃げようとする審査員を捕まえさせて、水津眼鏡が問う。 「えっ結果? それは勿論」 「勿論?」 「落選です。確かにあなたも眼鏡もいいが何処か古い」 『えっ、古い?』 実はこの二人――完璧ではあるのだが眼鏡の形状はあの懐かしの丸眼鏡であり、爽やか演出のスタイルは麦わら短パンで虫取り少年そのものだったのだ。どれだけ素材が良かろうと時代に合っていなければ、駄目である。けれど、彼らはそこに気付いていない。完璧だった筈の二人が優勝を逃した‥‥その事が彼らに火をつける。 そんな事は露知らず、恐怖の源である二人は至って冷静だった。 その二人と言うのは剣桜花(ia1851)と雲母(ia6295)夫妻である。 「G様の為に。桜花参ります」 「んー、変なものばかり買ってきて、あまり迷惑になるようなことするんじゃないぞ」 そう言って二人同時にあの薬を飲んだのは今し方の事。怪しい薬だろうが二人は全く気にしない。腰に手を当て湯上りの一杯な基本姿勢で、彼女達は息はぴったりにそれを飲み干す。そして、変態を終えて満足げに笑う。 「うむ、なかなかいい感じだ」 角を生やしていつかの仮装で思い描いた魔王の姿に酔うのは雲母。その横では黒光りするフォルムのあの生物になった桜花が触覚を激しく動かし歓喜に震える。 「ま、まさかのG願望‥‥」 その変態結果を見て、流石の博士も困惑していた。実は彼はGが苦手なのである。あんな研究所であるから油断すれば出くわす同居人、いや同居虫の一つなのだ。それが目の前にそびえ立っている。それだけで悪寒が走り、意識を飛ばしそうになる。 『キャーーーーー!!』 それは天儀の住人も同じようだった。巨大Gの出現に都中に悲鳴が木霊する。Gの上には優雅に足を組む魔王の姿、もはやこの世の終りを感じさせる。近隣の山をも越えた大きさなのだから尚更だ。 「天儀征服‥‥意外と簡単かもしれないちまっ」 全くちまく無いG・桜花が雲母を乗せ言う。 「そうだな。朝廷も何もかも我らの眼下‥‥たわいない」 そう微笑を浮かべて雲母も上機嫌だ。 「世間に虐げられているGの逆襲ちま! 非G道的な科学兵器を平気で使用する人間共に対する正義の鉄槌を下すちまっ!!」 G桜花がそう言ってしゃかしゃか足を動かせば、あっという間に建物は破壊され、そこに残るは瓦礫のみ。同様に雲母も数歩歩くだけで平地へと還る。 「うむむ、わしが開発したとは言え打つ手なしとは」 そんな二人の横暴を見つめ博士が苦々しく呟く。 「こらー! 元に戻せーー!!」 ――とそこへ御子狐の蹴りが炸裂した。 自分の希望通りの変態を遂げなかった上、この光景に怒りはピークに達している。 「そんな事いわれてもわしはただ」 「聞く耳もたん!!」 可愛く言って見せた所で意味は無かった。再び蹴りが入りばたんと倒れる。 「後始末はちゃんとつけない駄目なんだから!!…ってうわぁぁぁ!!」 そう言って怒鳴っていると、何が起こったか彼女の姿が徐々に解け始める。 「ん、ん〜ここは?」 やっと気付いて辺りを見回したフランヴェルだったが、辺りは彼女の知る光景ではない。 「え、ちょっ‥‥どゆこと? 幼女はボクの楽園は??」 溶けた御子には気付かずに彼女はふるふると顔を振るのだった。 そんな中、地上では呑気に親子デートを楽しんでいた蒼樹だったが、いきなりの妻の無茶振りに表情が凍りかせていた。 「あなた、素敵になったことですしあれくらい簡単に倒してくれるわよね?」 出現した敵――それを指差し彼女が笑顔で言う。その笑顔の奥には『出来なかったら別れるから』という脅しが見て取れて、彼は困惑していた。 (「しかし、あれはどう考えても無理過ぎる」) 額には滝のような汗を流しながら彼は思う。 「パパ、つよいもんね〜」 けれど、その言葉が彼の次の言葉を飲み込ませた。強い父でありたい。おろおろする彼を見て妻は笑う。この人、どうやら彼を困らせるのが好きらしい。 「頑張ってね、お父さん」 「は、はぁ」 彼は心中で絶望を抱えながら、二人を残して現場に向うのだった。 ●巨大大戦争 「どうしてこうなった!」 かばっと飛び起きた博士の前には六体の生物。 倒れる前は二体だったと記憶している。 「それはこっちが聞きたいよ」 それの横でフランヴェルが言う。 「ん〜考えられるんのは興奮物質のせいか」 少し考えて彼曰く、あの薬は脳の活発な動きに反応するらしく急激な怒りは恐怖で人体に何らかの影響を与えてしまうらしい。 「多分、怒りが巨大化を促したんやなぁ」 人事の様にいう彼に呆れる子猫。 「では、僕がこうなったのは‥‥」 その声を辿って振り向けば、そこには1cmにも満たない蒼樹がいる。 「成程、あんたは小心者か」 その言葉に面目なさげにしょげる彼。地上班は何処か平和である。 しかし、巨大班は――。 「私の野望を許しませんのです」 「おうよ、やってやるぜ」 引き続きダックを組んで言葉する水津眼鏡と神之介。彼が方向を定めれば、水津眼鏡からはビームが発射され、それがGと魔王を襲う。しかし、二人も負けていない。触覚からは洗脳電波を送り、応戦する。 「そんなの無駄や!!」 だが、銭亀はそれを甲羅に篭ってガード。反撃の機会を狙っていた。 そして、手足が出る部分から炎を噴射させ回転しなんと空中飛行を遂げる。 「くらえっ、回転甲羅火炎迅や!!」 どごぉぉぉぉん それごと雲母にぶつかって、彼女も踏ん張ったが遠心力に耐え切れず大きく後ろに倒れ込む。 「あぁ、あなたっ!!」 そこに空かさずGが滑り込んだが、ダメージが大きく目を回して‥‥みるみる元サイズに戻ってゆく。 「はっはっは〜、俺の勝利や!」 「俺ら、です」 それに満足し笑う銭亀に付け足す眼鏡。しかし、そこでタイムオーバーだった。 身体が溶ける様な感覚に襲われて、視線を落とせばへドロのような色を帯び溶けていく。それは地上班も同じだった。 これが副作用。気付いた時にはもう遅い――その後彼等が一体どうなったかは誰も知らない。ただ、ヤミメ博士の実験が失敗であった事は言うまでも無い。 |