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■オープニング本文 「全くなんという事だ‥‥」 騒ぎに乗じて捕り逃がしてしまった容疑者――その名は新海明朝。 まだ定かではないが、少し前にあった強盗殺人の容疑者で怪盗アツベバンの正体だと目されている人物である。 「聞いていたと思うが、怪盗の外見は身長170cm前後の黒髪短髪、体格はいい方との事だった‥‥。だがしかし、こないだ現れたマント男はどうだったか‥‥覚えているか?」 「はっ、遠目ではありましたが、小柄で赤髪。顔には仮面をつけておりました」 「そう、小柄で赤髪‥‥何一つ合っていない。なのに、なぜ追いかけた?」 ギロリと睨む隊長の言葉に堪らず部下が身を縮める。 「あの、お言葉ですが隊長。あの場合は仕方なかったかと‥‥それに、仲間がいると判っただけでも良いのではないでしょうか」 そんな中、一人の男は隊長に動じることなく意見する。 「成程、そういう考え方もある。だが、失態を犯した事に変わりはない。それにだ、奴は調子に乗り始めている」 「――と、言いますと?」 「これだ」 隊長はそう言うと、ポケットから一枚の文を取り出し広げて見せる。 『予告状』――その文の表紙にはそう書かれていた。 一方その頃、都外れの山中にて――渦中の人物はまだ洞穴にいた。 「どうしたらいいさね‥‥」 開拓者らの協力によって、警備隊の手を免れ一時的に都を離れた新海は、場所を転々としながら毎日そんな事を考える。 『アツベバンを捕まえたい』 自分になぜ罪を擦り付けたのか、なぜ自分の苦無を相手が持っていたのか。 判らない事だらけであるが、一つ確実なのは奴の狙いは明らかに新海だと言う事だ。 『おまえにも追われる者の苦しみを‥‥』 自分とそっくりな奴が彼を呼び出して残した言葉。 (「追われる者‥‥って事は、奴も以前なにかやって追われてるさね?」) ふと思い当たって新海が首を捻る。 「きゅう?」 ――が、そこへ彼の相棒が顔を出し、思考を中断する。 「よく見つからなかったさねっ、たまふた。いつもありがとうさぁ〜」 丸いフォルムの彼を撫でて、彼の相棒の鬼火玉・たまふたから口に銜えた文を受け取る。 それは馴染みのギルド職員からのものだった。 『新海さんへ 取り急ぎ情報を送ります。 噂で聞いた話ですが、アツベバンが大胆にも予告状を出してきたようです。 場所はなんと仁生の王の宝物庫――けどもし、これが成功しちゃったら、新海さんが本格的に悪者になっちゃう‥‥だって、仁生は志士の‥‥だから、手伝ってくれる仲間を集めておきます。警備の仕事もきてますし‥‥新海さんも大変だと思いますが、頑張って下さいね!』 走り書きで残されたその手紙を読み終えて、新海は思う。 (「こうしちゃいられないさねっ! 俺も何かしないと‥‥これは俺の問題さぁ」) そんな決意を読み取ったように、たまふたもきっと表情を引き締めるのだった。 |
■参加者一覧
ガルフ・ガルグウォード(ia5417)
20歳・男・シ
鈴木 透子(ia5664)
13歳・女・陰
雲母(ia6295)
20歳・女・陰
和奏(ia8807)
17歳・男・志
ヴェニー・ブリッド(ib0077)
25歳・女・魔
シヴ(ib0862)
27歳・女・サ
天笠 涼裡(ib3033)
18歳・女・シ
鹿角 結(ib3119)
24歳・女・弓 |
■リプレイ本文 ●予感 「うふっ、スクープの匂いがするわ」 逸る心を隠しもせず、魔術師のヴェニー・ブリッド(ib0077)が笑顔を浮かべながら道を急ぐ。そんな横を歩くのは、彼女より頭一つ分背が高いサムライのシヴ(ib0862)だった。今回の依頼を受けて、各々予告日時までに各方面の調査に当たっている。 そんな中、二人の行き先が一致した事から行動を共にしているのだが、どうにも目立って仕方がない。二人とも赤い衣装で一六二と一九〇の凸凹コンビ――歳は同じらしいのだが、成長次第でこう違うものか。 そんな二人が目指しているのは役所だった。 ギルドに集まった際に、新海の依頼記録を確認――今まで請け負った依頼を探れば、彼に逮捕された人間は自ずと浮かび上がってくる。 (「新海サンが無実だとするならば‥‥真犯人は新海サンを犯人に仕立て上げるように偽装したっとトコかな。けど、何の為に? とりあえずは手掛かりを得たいところさね」) そう考え思い当ったのが、今までの事件に関与する人物の存在――。ヴェニーもそこが気になったらしい‥‥直接聞き込みにいくのだと張り切っている。 「すいません、少しお聞きしたいのですが」 あっという間に役所に辿り着いた二人が窓口で尋ねる。 「どういったご用件でしょうか?」 「いや、今の仕事で少々気になる事があったので、以前捕縛された彼らなのだけど今どうしているかわからないさね?」 そう言ってシヴが予めメモしてきた名前の書いた紙を手渡す。それは新海が捕まえた犯人の名――鍋蓋を狙った盗賊とそれに関与していた変装の名人――が記されている。 「お待たせしました、問い合わせてみましたが、まだ皆服役中ですね」 「あら、そう‥‥じゃあ、こんな姿の行方不明者の方はいらっしゃらないかしら?」 手帳を取り出して、ヴェニーの聞き込みが続く。 しかし、ここで得られた情報にあまりいい収穫はなかった。 一方その頃、別働隊は犯行予告のあった宝物庫のある別宅へと足を運んでいた。 こちらに来ているのは二人を除く残りの五人――中でも周辺の調査に余念がないのは志士の二人。和奏(ia8807)と鹿角結(ib3119)だ。率先して辺りを調べている。その後ろを歩くのはシノビのガルフ・ガルグウォード(ia5417)と天笠涼裡(ib3033)、そして弓術師の雲母(ia6295)と続く。雲母などは、とりあえず下見といった感じで愛用の煙管を銜えたまま、辺りを見回している。 「捕まえれば言いだけの事だろう‥‥簡単な話だ」 玄関にいた見張りの許可を得て、敷地に入った雲母が誰にともなく言う。 そんな彼らを見取って、蔵を囲む警備隊の面々の顔色が変わった。 「ん? 警戒されているようだが」 その言葉に他の面子も思わず顔を向ける。それは睨むような眼光だった。 「とりあえず行ってみましょう」 和奏の言葉に促されて、 「ご苦労様です、こんにちは」 出来るだけ穏やかな笑顔で結が警備隊の一人に声をかける。 しかし、その警備隊は答えない。 「あの、お聞きしたい事があるのですが‥‥その前にどうしてそんなに私達を敵視しているのですか?」 困ったように獣耳を伏せて、結が問う。 「獣人までいるのか‥‥益々信用ならんな」 「え?」 その言葉に更に耳を伏せる。 「おいっ、そういうの差別だろ‥‥何が気にくわねぇ〜んだよっ」 その言葉と態度にガルフが動いた。 「わからないのか?‥‥おまえ達はあの容疑者と同じ身分の人間だ。だから、信用ならねぇ。蔵は我々が守る。おまえ達を扉に近付けるなと隊長のご命令だ。そういう訳だから、ここはお引取り願おう」 「なんだよ、それ。なんかむかつく言い方だなぁ〜師匠は‥‥」 「ガルフさん、ちょっと」 言いかけた言葉を遮るように割って入って、和奏がガルフを押し留める。 「わかりました、仕方ないですね。お互い警備場所が重なっては無駄になると思ったのですが‥‥そちらがそのようにおっしゃるなら私達は別の場所を警備する事にしましょう」 さっきと同じ穏やかな表情で、結は踵を返し裏口の方へと移動する。 「いいのか、それで」 こそりと問う雲母に結は歩きながら後方の警備隊に視線を飛ばし様子を伺っている。 「直接聞く事は出来ませんでしたが、調査は出来そうですので問題ないかと」 離れつつ見やれば、交代の時間らしい。玄関から新たな隊員が出入りしている。 「うん、あれが判れば十分です」 時計を確認し呟く彼女。 「なるほど、それが目的か。まぁ、私は中身の方が気になるけど‥‥」 それを察し呟く涼裡を結は見逃さない。 「あの、では時間のチェックお願いしてもよいでしょうか?」 時計を差し出し尋ねれば、彼女は快諾し近くの木へと身を隠す。 「さぁ、これで警備隊の方はなんとかなりそうですし、自分らは外周も見てしまいましょうか」 和奏の言葉に皆異論は無い様だった。 ●監視 「こんにちは、新海さん。初めましてですね」 たまふたに連れられて陰陽師の鈴木透子(ia5664)は新海の下を訪ねていた。 新海への差し入れを持参し、調査に向った仲間からの連絡を彼に伝えるべく、彼女は中継役をかって出たのだ。日が落ちるのを待ってこっそりと山に入った彼女である。 「今回はよろしく頼むさねっ」 たまふたの灯りを頼りに、洞穴の奥深くで新海が透子の持ってきた弁当をかき込みながら言う。 「で、どんな感じさね? 下の方は」 入れては咀嚼を豪快に繰り返して、新海が問う。 「真犯人に関しては未だわかりません。捕まえてみるしかないでしょうね。本当にいたらですが‥‥」 ぼそりと小声で付け加えた透子。 しかし、新海は食べるのに夢中でそれを聞いてはいない。 「予告期日は明日の夜十時だそうです。そして、私達の結論はこうです。アツベバンはあなたを誘き出すつもりなのではないかと。ですから、絶対に合図があるまで出て来ないでほしいんです‥‥って聞いてますか?」 真剣に話す透子を前に、新海は食べ切った弁当を片付け数少ない手持ちの武器を眺めている。 「ん、あぁ‥‥ちゃんと聞いてるさねっ。ようするにじっとしてろって事さぁ?」 「そういうことです。そして、着物もこちらに着替えて下さい」 持参した泰服を前に差し出して彼女が言う。 「なんで着替えなきゃならないさぁ?」 「その姿は目立ち過ぎるんです‥‥それに、相手があなたに化けてくるなら区別しやすい方がいいでしょう?」 ずいっと服を押し出して、彼を促す。 「ちょちょっと待つさねっ! さすがにあんたの前では、ちょっと‥‥」 隠れる場所のない洞穴で、しかも女性の前である。親子ほど歳が離れているとはいえ、色々憚られる。しかし、透子は動じていないようだ。何を慌てているのかと首を傾げている。 「あぁ〜わかりました、目を閉じてますから。それでいいですか?」 やっと察して目を閉じる透子だったが、それでもまだ気になるらしい。 外へと移動を試みる新海――しかし、 「うおっ!!」 それを気付かれ彼女の呪縛符が飛び、盛大にすっ転ぶ。 「逃がしませんよ、新海さん。当日もずっとご一緒させて頂きますから」 そう言う透子に僅かな不安を感じる新海だった。 ●出没 予告時間まで後数十分――辺りを緊張が包む。 幸い、今夜は晴れ。相変わらず蔵周辺は警備隊ががっちりと固め、外周にも数人巡回が回っている。けれど、そのパターンは連日同じらしかった。毎夜、密かに調べたのだから間違いない。 「いよいよだなっ。師匠の無実晴らして見せるぜっ」 外周に植えられた木から周囲を警戒しながらガルフが言う。 アツベバンを見つけたら、まずは警備隊を警戒。捕縛・誘導には他の面子が向う。先に捕まえられては偽新海が新海本人として捕まえられ、その後開拓者としての道は剥奪必至。そうなっては、本物は一生日陰暮らしを余儀なくされてしまう。それだけは絶対避けなくてはと、変装しているであろう怪盗を捕まえた後、正体を暴き新海が犯人ではなかったとはっきり証明させる必要がある。その為怪盗捕縛後の本物への連絡は、発煙筒と呼子笛でする事になっている。 「アツベバンの狙いは師匠自身か」 会議中に出た意見――予告状には何を盗むか書かれていなかった。その事から考えて、和奏と結、ヴェニーらが推察したのだ。 『目的が宝物庫の宝ではなく、新海さんが別宅周辺にいたという既成事実を作る事なら、そうそうに捕まってしまわない程度に人目につく場所に現れるはずです。だから、それを考えると北西側があやしいと思います』 和奏の言葉を頼りに北西の警戒を強める。 そして、それは的中した。 マントを纏っているが一応下は新海に合わせているようだ。皮鎧に鍋蓋を引っ下げて、屋根から屋根へと飛び移り、別宅へと接近してくる。先にそれを捕らえたのは高所で監視をしていたシノビ組。ガルフは暗視で、それを捕らえて警備隊の元へと向い、涼裡はその影に近付く為早駆を行使する。二度の早駆を要して、彼女は怪盗の横へと並んでいた。 「あなたがアツベバン? 大した事ないわね」 隣りを行く彼に向って、彼女が声をかける。それに気付いて、怪盗は素早く手持ちの武器を投擲。それは焙烙玉のようだった。わざわざ周りに知らしめるかのように‥‥それは空中で爆発し、それを避ける為一回回避を余儀なくされる。その間にも、怪盗はぐんぐん別宅へと近付いていく。それを見取って、ガルフは三角跳を使い怪盗へと跳んだ。その際、撒菱を撒布も忘れない。怪盗に気付いて、向ってくる警備隊へあくまでアクシデントを装い撒菱を巻けば下を行く警備隊の足止めとなる。 「やいアツベバン! いい加減正体を現したらどうだ! それともテメーは誰かの皮を被ってないと何も出来ねぇ臆病者か!?」 近付き様に吐き捨てるようにそう言って、蹴りを繰り出してみたが悠々と交わされ落下を開始。けれど、それはあくまで挑発。下の者が誘導に入る為の時間稼ぎ。 ひゅんっ 擦り抜けた矢に気付いて、下を見れば別宅敷地の池付近から雲母の矢の応酬。リロードの時間を短縮する為、地面に数本の矢を突き立て次から次へと間髪いれず射抜いてゆく。腰の鍋蓋を突き出して、怪盗はそれを辛うじて受け止め、板には数え切れない矢が刺さっている。 「へぇ〜、意外と丈夫なんですね。さすが支給品かな」 それを見て、和奏が呟きつつ怪盗の落下地点に向う。 そして、手にした刀に力を込めて――。 「これはどうですか? 雷鳴剣!!」 大気を震わせるような轟音と共に、雷の刃が怪盗を襲う。 「いやんっ!!」 ――と、その刃を交わす際に発せられた言葉に動揺が走る。だが、怪盗はまだ諦めてはいない。掠りはしたもののまだ動けるようで、取り囲む開拓者らを見回す。けれど、一通り見回して怪盗は落胆したようで、踵を返し宝物庫には目もくれず逃走を開始。 だが、それを阻むかのように現われたのはシヴだった。槍構えの体勢で、怪盗を牽制し、槍を突き出す。 「お待たせ。蔵の警備隊の方々には眠って頂いたわよ。入り口も扉前に石壁作っておいたから暫くは大丈夫だと思うわ」 そこへヴェニーも加わって、今や怪盗を取り囲むのは七名の開拓者達。 「もう、逃がしませんよ」 そう言って結がフェイントをかけて躍り出た‥‥まさにその時だった。 別宅の敷地外から聴こえてくるばたばたと言う足音―― その方角に思わず視線を向ければ、そこには案の定彼がいた。 猛烈な勢いで、駆けて来るその後ろには透子の姿もある。 「さっきのは焙烙玉です!! 勝手な行動は慎んで下さい〜〜!!」 陰陽符片手に透子が叫んでいる。 「そんなの関係ないさねっ! 結局怪盗が現われたのに変わりないさぁ〜だからっ」 「もう、言う事を聞いて頂かないと困りますっ!」 どうやら山側から下ってきたららしい身体には多くの草木を纏わり突かせている。そして、そんな二人が裏口を突き破り皆の元に姿を現したのだ。 「おっ、アイツがアツベバンさねっ! やっと‥‥ってうおぉぉ!!」 それを知って捕まえに走った新海に再びあの衝撃――。 『危ないっ!!』 透子の呪縛符によってつんのめる新海。その先には怪盗の姿がある。 もし、怪盗がマント下に刃物を所有し構えていればただでは済まない。だが――、 がしっ それは杞憂だった。その代わりに衝撃的に光景が目の前に展開されている。 「どういうことですか、これは‥‥」 新海と偽新海の熱い抱擁‥‥アツベバンが彼を抱き止めているではないか。しかも、かなりの密着度。どちらも固まってしまったように動かない。いや、新海自身は呪縛符の影響で動けないというのが正しいのだが、見ている仲間はその光景に言葉を失う。 そんな沈黙が破られたのは、ゆうに数分経った後のことだった。 ●正体 「やっぱりいい男よねっ」 「あなたが言わないで下さい。何か気持ち悪いから」 新海の姿のままでいう怪盗に結が注意する。 「で、一体おまえは誰なんだ? 何がしたかったんだ?」 とりあえず新海から引き剥がし縄をかけた一行は場所を移して、怪盗に尋ねる。 「そうね。敵討ちのつもりだったんだけど、あんな奴もうどうでもいいのよ。今はこの人に興味があるから」 「はぁ? 話がよく見えないな」 シヴがそれを聞き首を傾げる。 「話は簡単よ。私の旦那は変装の名人でこの人に捕まってお縄になった。その腹いせに罪人の大変さを教えてやろうかと思ってね、濡れ衣着せてみたけど、根性あるじゃない。彼に変装する為に調べてくうちに、好きになってしまったって訳。苦無は旦那がなぜか持ってたわ」 「は、はぁ‥‥それで?」 「好きになった時には身を隠しちゃってたから誘き出そうと思ったの。会えないのは悲しいもの」 そう言って偽新海は本物に擦り寄っていく。 同じ顔同士が擦り寄る‥‥何とも言いがたい光景だ。 「あぁ〜あ、これでこの人を悪人にくする計画は失敗ね。突き出すんでしょ、私を‥‥悪人同士がお似合いだと思ったのに‥‥いいわよ。覚悟は出来てるし。それにあんな牢屋すぐ出れるもの」 自信満々にそう言って怪盗はにこりと笑う。勿論その視線は新海に向けられている。 「妙な人に好かれてるなぁ〜師匠」 それを見てぽつりと呟くガルフ。今更だが、彼は新海を師匠と慕っているのだ。 「いいんじゃないか。世の中こうやって面白いのがいる方が楽しいと思うのだがな、私は」 それを傍観しつつ、雲母も呟く。 「まぁ、とにかくこれで新海さんの濡れ衣は晴らせそうですし、依頼も完了ですね」 結の言葉に皆頷く。 「あっ、役所に行く前に色々聞かせてくれるかしら‥‥その変装の極意だとか、新海さんの魅力だとか‥‥」 そんな中、思い出したようにヴェニーが彼女にインタビューを始め、役所に向ったのは朝方になる。そして、次の日都中の彼の手配書が剥がされたのだが、代りに脱走事件の一報が都を騒がしたのだった。 |