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■オープニング本文 ●来訪者 ビュウ〜〜〜 ここはジルベリアの片田舎―― 人口は僅か百名足らずのこの村に、思わぬ客が訪れる。 強い風に吹雪く雪の中、一人の男が村長の家の扉を叩く。こんな夜更けに一体誰がと思いつつ、村長が扉を開けると、そこには白を貴重とした服に身を包んだ騎士の姿があった。 「あの、あなた様は?」 訳がわからず尋ねる村長に男は丁寧に一礼すると、腰に下げていた書状を彼に手渡した。 「まさか生きてらっしゃったのか?」 その書状の差出人が亡きヴァイツァウ家の一人息子・コンラートからのモノと知り、村長は驚きを隠せなかった。確かに最近その手の噂が流れているのは聞き及んでいたのだが、場所が場所――都市から離れている事も有り、自分達には関係のない事だと思っていたのだ。だが、今目の前にある書状は間違いなく彼がしたためたものだと言う。 「さて、村長殿。こちらも一刻を争うのです‥‥今すぐに、というのはさすがに無茶と心得ております故、明日で結構。良きお返事を期待しております」 騎士はそう告げて、また吹雪く外へと出て行こうとする。 「お待ち下さい。今夜は一段と寒い。大したもてなしは出来ませぬが、こちらに御泊まり下さい。その間に、村の者達と検討させて頂きますゆえ」 「それはかたじけない」 騎士は礼儀正しく再び一礼する。 けれど、村長の心はここに在らず―― 書状の内容を目にし、村長は言葉を失くしていた。 「これはさすがに酷過ぎますよ、村長!!」 「もし村の若けぇもんが皆戦死しちまったら、この先この村はどうなるんですかっ!」 村人が声を大にして叫ぶ。 コンラートからの書状の内容――それはとんでもないものだった。 今、現在‥‥コンラートは打倒ガラドルフ大帝を掲げ、反乱軍として準備を行っている最中だという事で、その反乱軍にこの村も協力せよというもの。ここまでは普通の内容ではあるのだが、その先がいただけない。 村に住む若者を皆参戦させる事を筆頭に、食料物資に関しても村の貯えの約八割を差し出せというものなのだ。 「それでは、丁重にお断りするかのぅ」 少しの不安があったが、背に腹は変えられない。村長は中立を主張し、温和に済む様努力した。 けれど、その日を境に村には異変が生じ始める。 ●異常事態 「村長っ!! またやられただぁ〜〜!!」 そう言いながら慌てて村長宅に飛び込んできたのは、村の青年の一人である。 「今度はどうしたのじゃ!?」 声につられて青年の方を見やれば、彼の横には大きな傷を負った女性の姿がある。 肩には深く噛みつかれたような歯型があり、服は鋭い爪のようなもので切り裂かれている。 「これでもう十人を超えますだっ」 荒い呼吸を続ける彼女を急いでベッドに運ぶと、遅れて医師も駆けつける。 「どうなってしまってるだ、一体‥‥」 青年の呟き――ただの偶然なのか、あの日以来この村にはホルワウと呼ばれる狼型のアヤカシが現れ始めたのだ。しかも、狙われるのは限って女や子供といった弱者ばかり。死者はまだ出ていないものの、重傷者は多数――このままでは死者が出るのも時間の問題である。 ベッドの上で苦しむ女性を見つめ、村長は決意する。 村の貯蓄はそう多くはないが、このままにしておく訳にはいかない。 「御主、これを持って開拓者ギルドに行ってくるのじゃ」 村長の言葉に、青年はすぐさま行動を開始した。 |
■参加者一覧
樹邑 鴻(ia0483)
21歳・男・泰
皇 りょう(ia1673)
24歳・女・志
箕祭 晄(ia5324)
21歳・男・砲
和奏(ia8807)
17歳・男・志
煌夜(ia9065)
24歳・女・志
柳ヶ瀬 雅(ia9470)
19歳・女・巫
磨魅 キスリング(ia9596)
23歳・女・志
観月 静馬(ia9754)
18歳・男・サ |
■リプレイ本文 ●対策 「そういう事でしたら、村の若いもんもお手伝いさせていただきますだ」 早速集まった開拓者らの提案に、彼らを連れて戻った青年が村長と共に返答する。 ホルワウの出現に対しての情報提供と、殲滅の為の布石として村を囲う柵の制作を希望した彼ら。けれど、田舎の村とはいえ、周囲を囲うとなると大仕事だ。たった八人の開拓者らで行うには時間がかかり過ぎてしまう。 幸いというのは語弊があるが、今までの襲撃で襲われているのは女と子供。 男が襲われないという保証はないが、それでも手伝ってもらえるならそれに越した事はない。 到着早々、開拓者らと共に男衆は柵の制作に取り掛かる。 そして、人海戦術の末――僅か一日で柵の土台が完成した。 簡単な薄板をあらかじめ準備していた事と、元々あった塀や家の壁が柵代わりに利用できた事が大きい。何はともあれ、村長の家に招かれて、その晩開拓者らは被害のあった時の状況を食事の合間に聞き込んでいる。 「どの方角から現れたか、わからないか?」 軽傷だった村の女性に尋ねたのは泰拳士の樹邑鴻(ia0483)だ。 「あれは‥‥確か、裏手からだった気がするから‥‥ここから見て南かしら」 あらかじめ開いた地図に女性が指差す。 「で、襲われた後は…やっぱりこっちの方角に?」 「はっきりとは覚えてませんが多分‥‥」 「成程、するとまさかまさかの方角だな‥‥」 指差した先をずっと辿れば、そこには反乱軍の領地が広がっている。 「全く‥‥アヤカシ達とつるんでるんじゃあないだろうな」 依頼内容を読んだ時、誰もが感じた疑問――それを言葉にしたのは、サムライの観月静馬(ia9754)だった。この村がホルワウに襲われ出したのは、届いた書状に返事をした直後から。ただの偶然? 狙われる人間にしても男を避けているとするならば、その理由は‥‥。 「反乱軍‥‥初めてお話を伺った時は正当な行いに聞えましたが、どうにも怪しい所がございますわね」 巫女の柳ヶ瀬雅(ia9470)も不審を抱いているようだ。 「まぁ、けどどっちにしても今の目的はこの村を襲うホルワウの殲滅です‥‥明日の作戦の為に、よい場所を探しましょう」 淡々とそう言って、志士の和奏(ia8807)が村の地図に視線を走らせる。 彼らの作戦――それは、ごく一般的な囮作戦。 数が特定出来ていない事、何処から来ているのかさえわからない状況で出来る最善の策だ。 「あの‥‥自分は囮の対象に入るんでしょうか?」 真面目な顔でそう尋ねた和奏に、皆の視線が集まる。 「う〜〜ん、確かに難しいラインかもね」 視線を上下させながら、答えたのは志士の煌夜(ia9065)だ。 女・子供の子供の範囲に入るか否か‥‥幼く見えがちな彼であるが、一応十七歳である。 「別にどっちでもいいんじゃねぇか? やりたい方で」 そんな悩みに対して、実にあっさり回答する鴻だった。 ●決行 夜が明けて、柵は完成。 村を囲う形で張り巡らせ、ホルワウを追い込む予定地点への順路の雪は雪掻きし足場を固め、村人達には合図をするまでは家の中から出ないように通達済み。 準備万端――後は、予定通り事が進んでくれる事を祈るばかりである。 日が昇って時間が経つというのに、吐く息は相変わらず白い。 けれど、彼らは寒さをものともせず、ただじっと敵が現れるのを待つ。 出かけに志士の磨魅キスリング(ia9596)が気転を利かせ、皆に焼石を布で包んだ即席カイロを配っていたからだ。懐の中はぽかぽか温かく、寒さで凍える程ではない。 「まだかしら?」 いかにも剣の扱いは不慣れですといった面持ちで、剣を両手で抱え込み煌夜が、隣りを歩くキスリングに小声で言う。 「ん‥‥えぇ、そうね。出来れば早く終わらせたいものだわ」 少し複雑な表情で歩いていた彼女だったが、はっと我に返り返答する。 囮役二名がそんな会話をしている中、他のメンバーはと言えば――その後を静馬は辺りを警戒しながら尾行し、鴻と和奏は予定場所で待機。更に後方に雅がいつでも支援できるよう警戒待機中。志士の皇りょう(ia1673)は念の為と食料庫前でいざという時に備え、唯一の弓術師・箕祭晄(ia5324)は全体を把握出来るよう屋根から辺りを見回っている。 「ん? あの白い毛で狼みたいなのは‥‥ケン!?」 静まり返った村の中――村の入り口に接近する白い塊を発見して、晄が一人ごちる。 ケンというのは彼の相棒の猟犬の事だ。けれど、目を凝らして確認すればそれは‥‥。 「いや‥‥あれはケンじゃない! ケンはもっと可愛らしいぞぉ‥‥っと、そんなこと言ってる場合じゃないなぁ‥‥って、なななっ!!」 先頭を行く白い塊に続くように、猛スピードで村に滑り来るホルワウの群れ――。 その数、目算でも十頭を超えている。 「なんか、無茶苦茶やばそうだぞぉ、こりゃ」 晄がそれを察して、駆け出しかけたのだが、ぐっと思い留まった。ホルワウを見つけたからと言って、今動いては囮の意味がない。ここで気付かれて引き返されでもしたら、折角の作戦が水の泡だ。 (「まだだ、まだだぞぉ俺」) ホルワウの数を落ち着いて数えれば、全部で十五頭――証言通り、反乱軍領地の方角からやって来ている事がわかる。だが、その回りに指揮するようなモノは見当たらない。一瞬、何かが光って見えた気がしたが、それが何だったのか判断する事は出来なかった。 「いやぁ〜〜来ないでぇ〜〜」 囮役の為に、鎧まで外している煌夜が、悲鳴を上げながら逃げる。 半分芝居で、半分が本気だったりするのだが、それはそれ。予想していた以上の数に、さすがに動揺するものの、仕事を全うすべく予定ポイントまで駆けて行く。キスリングの方は、悲鳴こそ上げてはいないが必死であるのは明らかだった。そんなに広い村でもないのに、予定場所までの距離が遠く感じる。強靭な前足で大地を蹴って、疾走するホルワウ達――獣の脚力と開拓者とはいえ人間の脚力。一瞬の隙が危機を招く。全力で駆けて向かった先には行き止まり。村にある一番頑丈な壁に挟まれたその地点まで誘い込み、二人はさっと左右の路地に駆け込む。 「おいでなすったか。んじゃ、遠慮なく潰していくとしよう」 「お疲れ様です」 入れ替わるように、前に出たのは待機していた二人――鴻と和奏だ。駆け出し様に、鴻が飛手で先頭の一頭を狙う。かなりのスピードで突っ込んでいた手前、前の一頭はすぐに止まれず飛手の餌食となった。 キャウゥ〜〜〜ン 短い悲鳴と共に、灰色の瘴気になり霧散する体。それを見て、他のホルワウの動きが警戒態勢に入る。上体を屈め、取り囲む開拓者らを睨んでいる。 「おっと、逃がさないぜ」 後方を尾行していた静馬が、引き返そうとした数頭の前に立ちはだかる。手には、刀『河内善貞』がしっかりと握られている。そして――彼の刀が煌いた。 彼の前を突破しようとした一頭に向かって、横凪に一閃すると跳躍して逃げようとした一頭の前足が斬り落されている。 「さてっ、私達も行きましょ」 ――と、そこへ囮役の二人が呼吸を整え、戦線に復帰。 「皆様、頑張って下さいませ」 それに合わせて、雅は神楽舞【攻】を開始した。 流れるような舞で、前にいるメンバーを一人一人支援してゆく。 「ひい、ふう、みい‥‥‥、全部で十頭ですか、一人頭一頭半‥‥と、言ったところかな。ところで後の二人は?? りょうさんは待機としても晄さんは?」 ●別働隊 「りょう! 大丈夫か!!」 屋根の上から、狙いを定めて必死に矢を放つ晄。 そして、下では三頭ものホルワウ相手に奮戦しているりょうの姿があった。 巧みにホルワウの攻撃を受け流し、大きいダメージを防いでいる。 「くっ、次から次へと攻撃に隙がないな」 交互に飛び掛ってくるホルワウ達を見て、りょうが愚痴る。 晄が群れを発見したあの後、何が起こったのか? じっと動向を見つめる晄の前で群れは突然二つに分かれたのだった。 まるで誰かに指示されているように‥‥柵のせいで入り口までは一つに纏っていた群れだったが、入ったと同時に分裂――片方は囮に、もう片方はここ‥‥食料庫前にやってきたのである。 ザッ ザッ 脅威の跳躍を見せて二頭が晄のいる屋根へと飛び上がり着地する。 雪をものともしないその動きは、話に聞いていた通りのもの。雪の上だというのに、地面と同じ動きを見せる。 「てりゃあ〜〜〜!!」 武器はこの五人張のみ――接近される前に仕留めなければ、自分が危うくなってしまう。辛うじて、一頭を射止めると一対一では不利とみたか、目標を下のりょうに移し、飛び降りていくホルワウ。 「くそぉ〜〜逃げんなよぉ〜〜!!」 先程射止めた一頭に止めをさして、下の状況を確認する。 りょうは、倉庫の扉に追い込まれていた。 いかに力があろうとも、数で掛かられては成す術がない。 二頭が同時に飛びかかろうとするのを見つけ、晄が狩射を決行。 その矢は見事標的を貫いていた。 「やっぱりおかしいです」 和奏も刀『河内善貞』を使い、ホルワウのかみつきを防ぎながら言う。 「それって、どういうことよ」 鞘を使って偽二刀流で応戦しているのは煌夜だ。精霊剣を発動させてはいるが、一撃で仕留めるには至っていない。けれど彼女気にしていなかった。取り逃がし防止を念頭に、出来るだけ傷のないモノがいないよう気にかけて戦っているからだ。 「向こうで何かあったのかも‥‥」 「なんですって!!」 ブゥン 大剣『フランベルジュ』をいとも容易く振り回したのはキスリング。さっきの憂さ晴らしなのか、豪快な攻撃を仕掛けている。だが、大きさ故か少し攻撃に移る際に時間差があるらしく、それを察知したホルワウは本能で回避を繰り返していた。 出会い頭の先制は良かったものの、追い込んでからはどうも流れは拮抗しているようだ。 「ギルドで調べた通り、回避率だけは高いのですね! 厄介ですわっ!」 またもや避けられた悔しさに、思わず言葉が出る。 「ここは、一つ連携で行きましょう。かかってこい、狼達よ!!」 静馬が咆哮――その声に、ホルワウ達の視線が彼へと集まる。 「さぁ、今です」 「了解っ! 私の怒りは爆発寸前! その身を以って知りなさい!!」 ブゥン 再び、振り下ろされた剣――それには炎魂爆武のスキルが掛かっている。 二人の連携は完璧だった。威力を増した大剣に一溜りもない。 一気に数が削られて――残るは三頭。敵わないと思ったのだろう。 すり抜けるように、村の出口に向かおうと元来た道を目指し、走り出す。 「おおっとそうはいかないぜ! 食らえっ、気功波!!」 拳を繰り出して鴻が叫んだ。拳からは見えない力の波動が飛び、一頭が転倒――そこへすかさず、静馬が刀を振り下ろす。 「後、二頭か。二人が心配だ! 急ぐぞ!」 瘴気に返ったのを確認して突立てた刀を引っこ抜き、追いかける。 「なら、分かれましょう。自分は晄さんの元に向かいます。後、もう一人位こちらに‥‥」 「私が行くわっ」 走る速度をそのままに、煌夜が答える。 「では、そういうことで」 『了解!!』 二班に別れて、和奏が心眼を発動した。 走りながらということもあって、何処まで精度を保てるか‥‥数は判らずともこの際仕方がない。りょうの居るであろう倉庫付近を目指しながら、ホルワウらしき反応はないかと探ってゆく。 「どう? 和奏?」 「‥‥‥やはり倉庫の方に二人以外の反応があります。急ぎましょう!」 ぼんやりと捕らえた生体反応――その先に、二人はいた。 「大丈夫ですか!」 三頭のホルワウ相手に牽制し合うりょうと晄を見つけ叫ぶ。 「あぁ、問題ない。ただ少し梃子摺ってるだけだ」 大きく肩で呼吸しながら答える。 「はいはい、じゃあ早くやっちゃわないとねっ」 二人の前にいた三頭を挟み込む形に対峙して、煌夜が長脇差『無宿』を構える。これで数は三対四。 ここでも連携がものをいった。防戦を余儀なくされていたりょうが、実力を発揮。晄も本来の仕事がやりやすくなり‥‥三頭のホルワウは数分ののち活動を停止するのだった。 ●巡回 「お疲れ様でしただ」 残りの二頭も静馬らが討ち取って、作戦は成功した。 晄の目視による出現したホルワウの数と倒した数は一致――。 あの後、念の為りょうが心眼で辺りを検索したが反応はなく、その後‥‥数日に渡って様子を見た彼らだったが、以降ホルワウの現れる気配はない。付近の林や洞穴も、雅の瘴索結界にて調査を試みたがこちらも成果はなし。アヤカシを呼び寄せる何かがあるのかと考えた者がいたが、その線は薄いようだ。すると残された結論は――。 「疑うなと言う方が可笑しいってもんだ」 証拠はない。けれど、明らかに疑わしい‥‥限りなく黒に近いと言える。 「どっちにしても、わしらはこの村を守っていくしかないからのぉ。先に話した通りどっちにもつく事ができませんが、開拓者さんらは村の恩人です。何か出来る事があればお手伝いはさせてもらいますじゃ」 深々と頭を下げて、村人を代表し村長が言う。 「でしたら、村長さん。村人さん達を大事にしてあげて下さい。私達は開拓者‥‥これが仕事ですから。お気になさらずに、お気持ちだけありがたく受け取っておきますので」 優しい笑顔を返して雅が告げる。それに他の仲間も頷いている。 「とりあえず、用心だけは怠らないようにな」 柵をそのままに、外界からの敵に備えるよう忠告したのは静馬である。 「大丈夫だもんっ。今度は俺達がなんとかするからっ!!」 ――と、そこで声を出したのは小さな少年の一人だった。 「おっ、それは頼もしいなぁ〜」 そんな彼らを見て晄が答える。 ここ数日、滞在していた開拓者らは、巡回ついでに、落ち込んだ村人達と交流していたらしい。特に子供を元気付けようとしていた晄は、彼らと共にかまくらや雪だるま作りに勤しんだり、希望があれば自慢の弓を披露していたのだ。 「俺、にーちゃん達のように強くなるよっ! まだこんなだけど絶対ぜったい!!」 弓を引くポーズをして見せて違う少年が言う。 「僕だって、でっかい剣であんな狼『いっとうりょうだん』だもんっ」 「私も、みんな癒すんだからぁ」 無邪気にそう言って見せる子供達を目にして――大人達の澱んだ空気も浄化されていくようだ。 「原因に関しては何ともいえませんが‥‥この大戦が終われば、何かわかるかもしれませんので、それまではくれぐれもご注意下さい」 「わかりました」 そんな子供達を見つめながら、開拓者らはその村を後にして‥‥ かくて、ホルワウ殲滅作戦は、無事幕を閉じるのだった。 |