【魔法】俺のターン【罠師】
マスター名:奈華 綾里
シナリオ形態: ショート
EX
難易度: 易しい
参加人数: 4人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/10/15 04:15



■オープニング本文

※このシナリオはIF世界を舞台としたマジカルハロウィンナイトシナリオです。
 WTRPGの世界観には一切関係ありませんのでご注意ください。

 十月になると俺は警戒する。
 またあのふざけた存在が枕元に立つのではないかと――。
 そして、出来る限り奴の悪夢にとりつかれない様にと考えに考え抜いて、行き着いた答えは『寝ない事』。単純な事だ。奴が夢に出るのなら寝なければいい。
 しかし、当り前の事だけどもそれが長く続く筈もなくて…気付いたら瞼が重くなり、視界が暗くなる。ダメだ寝るな…そう思ってももう限界だった。

「キサイさん、キサイさん、起きて下さい! 僕達を手伝って下さい!!」
「ん…くそ、なんだよ一体…」
 耳元で聞こえる声にうっとおしさを感じ、目を開ける。
 するとそこにあったのは例の如く喋る南瓜頭で。
「うわっ! また出た!!」
 反射的に飛びのいた俺だったが、よく見ればいつもと違うサイズに眉を顰める。
「おまえらは…」
 そうして見下ろす俺の周りにいたのは複数のミニ南瓜達だった。
『脅かしてごめんなさい! けどどうしても時間がなくて…もう少しで大王が起きてしまうから…お願いです! 僕達を手伝って下さい!!』
「はぁ?」
 そして、それらから紡がれた言葉に俺は首を傾げる。
「あなたが大王の呪いで迷惑してるって知ってます。僕達も大王に迷惑してるんです! だから共闘して下さい!」
 必死になって訴えてくる子南瓜に、俺はなんとなく親近感を覚えた。
 しかしだ。あれは仮にも大王と名がついているのだから、彼らの上に立つ者ではないのだろうか。
「一体どういうことだよ?」
 俺はそれが少し気にかかって、頭を冷やしつつ彼らに尋ねる。
「大王はとにかくひどいんです! 自分の悪戯に父さん達を巻き込んで…再生するとはいえやりたい放題。もう我慢の限界です!!」
「ふむ…」
 横柄な態度に、相手の意思は関係なし。楽しければそれでいいというあの性格には確かに難ありだ。自分も巻き込まれているからよくわかる。
「でも、なんでお前らなんだよ? だったらおまえらの父親が訴えてくるのが普通じゃね?」
 あれの下で働いているのだろう彼らの親…一番に上がるべき声は現場からではないのかと尋ねる。
「それは無理です…大王に召喚されたらその命令は絶対だから」
 俯く子南瓜に落胆の色が見えて――俺は思案した。
 多分彼らの言っている事は本当なのだろう。それはこいつらの表情を見ればすぐ判る。ただ、俺には多分あいつが何らかの仕掛けがされている筈だ。たこ殴りにした所であれを倒せるとは思えない。
「おまえら共闘って言ったよな? 策はあるのかよ?」
 視線を合わせるようにしゃがんで俺が問う。
「勿論です。キサイさんには大王の特殊な呪いが掛ってます。夢の中で呼び寄せられたらもう大王の手中ですから…だから、その呪いを僕らが一時的に解除します。そうすれば、あなたの攻撃は通用する…そして、これです」
 服の裾からランプを取り出して子南瓜が差し出す。
「これは?」
「カボーチャのランプ…これに閉じ込める事が出来れば当分は安心なのですが…少し手順が面倒で」
「手順というと?」
「あのですね…ランプの蓋を大王の頭に乗せ、下の部分を大王の南瓜頭の底に当てて呪文を唱えないとダメなんです。呪文は『かぼかぼかぼぼぼ、かぼかぼぷきん』――古代南瓜語です」
「なんだよ、もっと大変かと思ったぜ。あ、けども…顔の底ってどういう事だ? あれ、最近人型をしているようだけども?」
 ふと嫌な思い出と共にあれの姿を思い出し、身震いする。
「そこは頭を引っこ抜いて構いません。人の体はオマケみたいなものなので」
「そ…そうかよ」
 それにさらりと答えた子南瓜に、俺の心は決まった。
 経緯はどうあれ、あれの手から逃れられるならやるしかない。毎年毎年、散々辱められてきたのだ。ここできっちり倍返しも悪くない。
「よし、わかった。俺が直々に何とかしてやるぜ。ただし、仲間が必要だ。呼ぶ事は可能か?」
『はいっ!』
 相手はあの南瓜大王だ。念には念を入れておく必要がある。子南瓜のいい返事に早速動き出す。
「あ、けど僕らは戦闘には加われませんが可能ですか?」
 呪いの解除に力がいるのだろう。俺は問題ないと返答する。
「あれを逃がさないようにしてくれればいいぜ。そういう結界とかは…」
「ならば、それは私が引き受けよう」
 突如として現れた新たな存在に咄嗟に振り返る俺。そこには布キレの胴体に浮遊する西瓜。
「今度は西瓜かよ…もう何見ても驚かねえぞ」
「成程、なかなかの度胸だ。さて、ではやるとするか」
 西瓜頭がそういい結界を展開する。それと同時に転送されたのは南瓜大王の新たな拠点で、

「な、なんだよこれはーーー!!」

 思わず叫んでしまった。ついた先は南国を思わせる温泉施設だ。
『ようこそ、スパハレス南瓜へ』と書かれた垂れ幕と共に、複数の温泉が存在しそこには南瓜頭の住人が――さらには目の前には流れるプールがあり、そこにも南瓜頭達が屯している。
「あ。悪夢だ…」
 その異様な光景に言葉が漏れる。しかし、ここで怖気付いている訳にはいかない。
「……上等だ。そっちがその気なら全部ぶちのめして大王を炙り出してやる」
 この中には子南瓜の親もいるかもしれない。けれど、子南瓜達もその位の覚悟は出来ている。
「やりましょう。未来の平和の為に」
 子南瓜連合VS大王軍 温泉リゾートの陣。
 その戦いの火蓋は今、斬って落とされようとしていた。


■参加者一覧
蓮 神音(ib2662
14歳・女・泰
綺咲・桜狐(ib3118
16歳・女・陰
シーラ・シャトールノー(ib5285
17歳・女・騎
ユウキ=アルセイフ(ib6332
18歳・男・魔


■リプレイ本文

●突入の前に
 スパパレス南瓜、そこは南瓜の楽園。
 多種多様な温泉が用意され、傷を癒す効果があるとされているものまである。
 その温泉の奥深くに南瓜大王は眠っている。一年に一回訪れる特別な日…それはハロウィン、南瓜の祭典。悪霊が何だ、幽霊が何だ。起源は別に南瓜である必要がなかったかもなど気にしない。その日は自分のものだと言わんばかりの所業を繰り返して、やっと勝ち得たポジションをそう易々と渡すものか。そして今一度またその日がやってくれば自己主張の限りを尽くす。これは自分の存在理由…ただ食べられるだけの存在では終わらない。
「…うむ、今年は向こうから来たようだな」
 ぎざぎざ口を吊り上げて南瓜大王は浮上する。
「さぁ、皆のもの…準備は良いな。
 侵入者を歓迎せよ。但し、やり方は南瓜…いや、我輩流だ。いいな」
 スパパレスにある南瓜に通達が走る。
 しかし彼の気持ちに比例することなく、辺りは不気味なほどの静けさで――
 そう彼らは知らなかった。彼らを脅かす意外な伏兵があることに……。
 

「よし、じゃあいく…ってうわぁぁ!!」
 仲間を連れてきたその後に、少し時間をくれという彼らに待ちくたびれて転寝を始めていたキサイは仰天した。集まった四名のうち二名がどういう訳か西瓜のお面を装着していたからだ。
「何言っているんですか。これも作戦ですよ? どうですかね、うまくできてるかな?」
 付け心地を確認しながらユウキ=アルセイフ(ib6332)が楽しげに言う。
「作戦ったって……さっき焙烙玉を解体させるから何を考えているのかと思えばそういう事かよ」
 突然の解体申し出にもっと強力な兵器を作るのかと期待していたのだが、なんというか……西瓜の面とは、これでよいのだろうか。
「あの…何か、気に食いませんでしたか?」
 その様子から察してユウキが心配げに声をかける。
 ちなみのこのお面作成の工程はなかなか込んだものだった。西瓜大王は結界の展開に忙しく、西瓜を出す事は出来ても後々何が起こるか判らないと言われ、彼からの供給を断念した。
 そこでベースとなったのが焙烙玉でオリーブやら木の実から色を摘出し着色を済ませて暫く放置。その後、目と口の穴をくり抜いて完成といった所なのだが、些かサイズに難がある。
「いや、作戦自体はありだと思うぞ。相手の心理をつくのは常套手段…定石だから。だけどもそれ、少し苦しくねえのかよ?」
「え、あ…」
 その問いにユウキは面の下で苦笑する。まん丸に出来た焙烙玉に小顔とはいえ、無理矢理顔を収めている。正直な所を言えば、息苦しく喋るのも辛い。
「ねぇ、あたしのはどうかしら? その、おかしかったりしないわよね?」
 そこへキサイの腕を取ってシーラ・シャトールノー(ib5285)が意見を求める。
 彼の為と頑張る事を決意したものの、やはり恥ずかしさは残るようだ。
「えっと…まあまあじゃね?」
 それにキサイはそう答えて、自然に腕を外すとふいっと視線をそっぽに向けてしまう。
 ちなみに彼女の面はざるがベース。適当な布を貼り付けて目の部分を開け、後は耳ひもをつけたシンプルなものだ。
「やっぱり変なのね…」
 その反応にふぅと息を吐き落胆する彼女。やはり縞部分をチョコで描いたのがまずかったのだろうか。だが、次に紡がれた言葉に彼女は少し救われた。
「……あ、その…おまえがんなのする必要ないんだよ! もし、そんな事して今度は西瓜に憑かれたら面倒だろうが!!」
 乱暴に言い放たれた言葉であったが…それにくすりと笑みが零れる。
「ふっふっふー、神音はこれなんだよー!」
 そこに蓮神音(ib2662)が現れた。手には自作武器が握られている。
「ふむ、それはなんか凄そうだぜ!」
「あの、あの……それはひょっとして、何かのお祭りの道具なのですか?」
 そんな中、一人状況把握が出来ていない者がいた。綺咲・桜狐(ib3118)である。
 彼女は訳が判らず気付いたらここにいた。今回は知人の姿はない。ただ、判るのは目の前にいる四人が何やら西瓜だの南瓜だの言っているという事だけだ。
「折角きて貰ったのに悪いな。経緯はこれこれこうで、俺らは南瓜大王の封印を狙っているんだ」
 そこでキサイが簡単に事情を説明し、彼女に用件を伝える。
「成程。ではそのキングと書かれた南瓜を見つければよいのですね…?」
「そうだよー。もし見つけたらすぐに教えてね!」
 彼女の問いに神音が答えて、しかし桜狐の視線のいく先は神音の武器。
(「な、ななな…なんか凄いもの持ってる」)
 キサイが褒めた武器であるが、それはとても一言では語れない。
 見たまんまを語るならば、ナイフにブッ刺した棘付き西瓜もどきと言ったところか。鞠に撒菱を接着し緑の手拭を巻き付け、棘は出した形で再度固定する為飴をコーティング。そうして出来たそれをナイフで刺してしまえば、西瓜形モーニングスターの完成である。
「これはね、以前大王と戦った時に使った武器に真似て作ったものなんだよー」
 見た目ほど重くなく、ぶんぶん振り回しつつ彼女が言う。
「トラウマ経験があるってだけで、敵も流石に動揺するだろうからな。面白いもんだぜ」
 言葉の後にくくっと笑ってこれはキサイ。
「な、成程……でも、私はそういうのないし、どうすれば…」
 そういいかけた彼女にキサイは再び笑って、
「別に何もしなくて構わないぞ。戦力でいてくれればそれでいい。それにこれは俺らの問題だから」
 そう言い切った彼に、彼女は正直ほっとする。
(「スパパレス…やっぱり温泉入りたかったし、よかったです…」)
 自分は自分のできるお手伝いをしよう。彼の言葉に僅かに力が沸いてくる。
「ところでランプの担当はどうするんですか?」
 子南瓜が気になって彼らを見上げ問う。
「それは神音が蓋を担当するよー」
「僕がランプ本体ですね。そして肝心の呪文は」
「やっぱり因縁の深いキサイさんかしら」
 三人にそう言われてキサイは仕方ないからやってやるぜと頷く。
「そ、そうですか…キサイさんが……まぁ、その頑張って下さいね」
 その言い方に違和感を覚えたが、もう決まった事だ。
 今はアレを封印する事が最優先とひとまずその事は後回し。
「もう南瓜大王と遊べなくなるのは残念だけど、子南瓜達の願いを叶える為だもん。バッチリ封印して見せるよ」
 神音の言葉に皆が頷く。
「さて、じゃあ因縁の対決に決着を付けに行くよー!」
『おー』
 張り切りモード全開で彼女を筆頭に皆の心が一丸となる。
 子南瓜軍の指揮は今まさに最高潮に達していた。

●大王を探せ
 まず初めに言っておかなくてはならない。
 二人が変装した西瓜のお面について――なぜ二人が西瓜の面を作ったのかといえば理由は結界展開中のあの人、西瓜大王に由来する。南瓜大王と西瓜大王はこれまで何度か相対して来た。犬猿の仲とまでは言わないが大王同士、やはり同等の力を持っているようで余り仲はよろしくない。そこで彼らはそれを利用する事を考えたのだ。
 自分のテリトリーに別の存在が現れたら、プライドの高い南瓜大王はどう出るだろうかと――。ユウキは本格的に、身体の部分を隠すように蝙蝠外套を引き裂いてわざとボロボロにし、西瓜大王っぽさを演出している。
「しかし、本当に南瓜だらけですねぇ」
 乗り込んだと同時に目に入った橙色の多さにユウキが言う。
「流石に暑いわね。みんなは大丈夫なの?」
 とこれはシーラだ。水着できたものの、それでも熱気は収まらない。
 神音とユウキ、キサイは通常装備であるから気遣うように問う。
「ああ、まあなんとか。けどこのままじゃ不味そうだから早く…ってあれ?」
 備え付けの館内マップを前に場所と広さを確かめていたキサイだったが、桜狐がいなくなっている事に気付いて、眉を顰める。
「桜狐おねーさんなら一っ風呂いってくるって言ってたよ」
 それに神音がそう答えて、ほっとする彼。万が一大王の手に落ちたらややこしい事になると思ったらしい。念の為状況は伝えているから問題はないだろうが、少し心配である。
「で、何処から探していくのかしら?」
 思案する彼にシーラが問う。
 マップに描かれている規模からして相当な広さだ。若干項垂れてしまいたくなる。ただ単に浸かりにきたのなら感激で心が躍るだろうが、今は緊急事態であり湯船には南瓜が浮いているのだ。なんとなく入り辛い。
 ちなみに風呂の種類はなかなかのものだった。一般的な露天風呂や檜風呂に始まり、巨大な釜を湯船にした五右衛門風呂やら洞窟の中の温泉をイメージしたテーマ風呂まで。流れるプールのような流水温泉の近くにはバブル風呂やら電気風呂まで。岩盤浴やうたせ湯もあるから老若男女楽しめる場所となっている。
「……よし、地図は頭に入った。この分だと闇雲探しても時間を食うだけだ。シーラ…あの作戦を頼む」
 そこでキサイが振り返って、シーラに視線を送り、『第一の作戦・貴方のプライド刺激します』を開始する。

「大王っていつもずるいわよね。今もそうよ、こんな所に隠れて正々堂々戦わないんだもの」
「そうですね、ことある事に自分のファンがどうとか言ってますが、実際のところそんな話聞いたことありませんし」
「ホントは寂しい一人身なんだよ。きっとそう。だから無理矢理部下を従わせていい気になってるんだよー」

 彼女に続いて、ユウキも神音も言いたい放題。日頃の鬱憤を言葉に変える。

「それにあの喋り方よ。我輩とかかっこつけているけど、ちゃらくもなったりして一貫性がないのよね」
「威厳なんて欠片もありませんよね。あるのは種ばかり…知恵のある脳は詰まっているんでしょうか?」
「えー、詰まってたらこんな事しないよ」

 その後もやいのやいのと…南瓜大王への悪口は続く。

(「ぐぬぬぬぬ、おのれおのれ…我輩の部下の前でぇ〜〜」)

 その声は勿論大王にも届いていて、一人憤慨する南瓜。辛うじて我慢しているが、温泉が沸騰しそうなほど頭に来ており、出来るものなら今すぐ飛び出したいが、そこをぐっと堪える。
(「ラスボスたるもの、これしきの悪口の挑発には絶対、絶対のらん…わ…くぅぅ」)
 ぎりりと歯を食いしばり、大王は耐える。そんな彼にご褒美は舞い降りた。
「よっこいしょ…です」
 大王のいる流れるプール脇のバブルゾーンへ。何も知らない桜狐がやってきたのだ。
「ん、やっぱり泡もいいですね。一人なのが寂しいですけど、いっぱい堪能します…」
 プールと共同の温泉施設とあって桜狐は水着を持参。ついた早々着替えて、白の紐水着から零れる白い肌がたまらない。来たと同時に何か仲間から言われた気がするが、目の前の温泉に心を奪われて余り聞いていなかったのは秘密である。
「あや…今、南瓜が勝手に動きました? いえ、気のせいでしょうか…」
 彼女が入ろうとすると、自然に南瓜達がすいっと場所を開けたが、その様子に彼女は何の疑いも抱かない。
「そういえばハロウィンという南瓜のお祭りがあるようですし、ここもそれに合せているのですね…」
 そう言ってちゃぷりと湯船に身を沈める。目の前の南瓜がにやりと笑った。
 しかし、もともと釣り上がった口元に彼女は全く気付けない。
(「おうおう、これはなんて嬉しいサプライズ♪ 大王、感激ー♪」)
 おいしい場所でご馳走様ですとばかりに大王はご機嫌だ。悪口は馬耳東風…ぷかぷか浮かんで、ただの南瓜の振りをするだけでいい。たが、残念な事に泡が些か邪魔だった。今は南瓜頭のみ。固定するものがない為、下から吹き上がる泡に右へ左へ体が揺さぶられてしまう。
(「あぁ〜、もうちょっと。もうちょっとであの柔肌に〜」)
 もどかしい気持ちが大王を襲う。彼女の近くにいる部下の南瓜頭が憎らしくさえ思えてくる。
「しかし、凄い数です…顔もそれぞれ違うのですね…」
 一方、桜狐は湯を楽しみながら南瓜観察。慌てて南瓜達は表情を変えないよう努力する。暫くそうしてお互いがそれぞれを堪能して……だが、彼女は思い出す。仲間から頼まれていた大王探しの事を――。徐に手にした一個の後頭部を確認して、

「キング…」

 目が点になった。
 それが仲間の言う大王だというのなら、見られた。色々見られた。
「ま、ままま、まさか…」
 その恥ずかしい状況にわなわなと指が震える。
「ぐふふふふふふ」
 そしてその後続いた声に彼女は確信すると同時に悪寒が走り、飛び出すと近くにおいていたタオルを身体に巻き付けて、

「最悪ですー! 変態南瓜!! 変態は滅すべし…ですーーー!!」

 キング南瓜を取り上げるととにかく尻尾で叩きまくる。
「あなたのせいでお嫁にいけなくなったらどうするんですかー! 責任とりなさいですーー!」 
「うひょひょひょひょ〜〜、こそばゆい…こそば……って痛い、結構痛いからー!!」
 初めのうちは尻尾のふわふわが当たっていたものの、回数が増えるにつれどういう訳か痛みを感じて、気付けば体が…いや、皮が削られ、身の部分に達し始めている。これでは天国から一転、地獄に落ちる彼である。
「わわわっ、どうしたの!?」
 それに気付いて、慌てて駆けつける仲間達。
「あ、この南瓜、変態なんです!! それにキングって書いてて」
 言う間も叩き続ける彼女に仲間が状況把握につとめる。
「なにっ! これがかよ!?」
「確かに名前が…ってあ!?」
 だが、大王もキサイと神音の姿に気付いてぱっと魔法を発動し、部下と入れ替わり上空へ。
 そしてくわっと閃光を放つと、親南瓜を召集し合体巨大化を計る。
「させません!!」
 そこで妨害に入ったのはユウキだった。
 お得意のアイヴィーバインドで蔦を出現させ、融合しようとする南瓜達を妨害する。
「くそっ、待ちやがれ!」
 そこでキサイが球を投げつけた。
 その球は大王に当たると弾けて、中から真っ黒な液が飛び出し大王を染める。
「くっ、これはッ!?」
「へへっ、そのインクはとれないぜ」
 必死で拭おうとする大王ににやりと笑うキサイ。
 彼の家系秘伝の染料で大王を判りやすくしたようだ。
「ほらほら、どーしたの? 神音が遊んであげるんだよー!!」
 一方神音は生き生きとした様子で南瓜達を巨悪武器でかっ飛ばし続けていた。
 どうやら以前のそれを知る南瓜もいる様で逃げようとする南瓜もそれなりにいる。だが、
「小南瓜達の為にも打撃王になるんだよー!!」
 そう叫んで彼女はそんなのお構い無しにかなり楽しそうだ。
 所々に正拳突や旋風脚を加えて、屋根まで吹っ飛んだ南瓜は場外ホームラン。屋根を貫き、結界展開中の西瓜大王のもとまで届いている。
「いやはや、全く。えらい奴に目を付けられている様だが…まぁ、自業自得だぞ。南瓜よ」
 そんな南瓜を避けつつ、西瓜がそう呟いていたがそれを聞ける筈がない。
「く〜〜〜、何たる不覚。我輩が、こんな、こんな追い詰められるとは!?」
 次々と引き剥がされていく部下達に苛立つ大王。ここで奥の手とばかりに大王はキサイに目を付ける。

「こうなっては、飛んで火に入る夏の虫…下僕一号・キサイ、カモーン!」

 合体途中の中心から命令を出して、大王の目が光る。
「くっ!」
 その光に反射的にキサイがたじろいだ。が、
「大丈夫よ、あなたはあたしが守るわ!」
 シーラが彼の前に立って閃光を盾で遮り、姫騎士復活。はね返った光が親南瓜に当たって消える。
「さんきゅー。不覚にも以前のトラウマで怯んじまったぜ」
 実際のところ、子南瓜が呪いの抑制を行っている為問題はないのだが、どうしてもあれが苦手らしい。彼の額には汗が流れる。
「いいのよ、気にしないで」
 そんなやり取りを見取って、大王はといえば更にご立腹。
「くぅ〜〜〜〜、ラブラブしおって!? 我輩の夢は合コンの場ではないぞ!!」
 そう言って、南瓜口から種鉄砲を噴射し、二人を妨害する。
 けれど、何故だか余り勢いがない。

「あら、子南瓜の影響かしら?」
「なんか手応えないよねー」
「そうですね。少し脆い気がします」

 それにそれぞれ感想を漏らす。
 唯一、桜狐だけが南瓜と相対するのが始めてである為、手応えの違いが理解できない。
「そうなのですか? しかし、空気を読まない南瓜は嫌いです…。さっさと終わらせてまた温泉を堪能するです…」
 と両手で拳を作って気合を入れ直す。
「キサイおにーさん、もしかして大王がまた何か企んでいるのかな?」
 内心は親南瓜は余り傷つけたくない神音なのだが、それでも複数の南瓜を吹き飛ばしながら問う。
「いや、これは俺の考えだけども、恐らくは」
「この場所、ですか?」
 言いかけたキサイの言葉に続けるようにユウキが言う。
「ああ…多分。おまえも判るようになったきたようだな」
「どういうことかしら?」
 二人の会話に首を傾げるシーラにキサイはにやりと笑って、
「まあ見てろよ。いい事を思いついたぜ…」
 彼はそう言うと視線を大王に向けて、

「いいか、よく聞けどて南瓜!! スパパレスだぁ〜なんだってふざけた事考えてるから罰が当たったようだぜ。
 おまえはおまえの部下を自ら弱くしてんだよ!!」
 
 そう挑発し、何処かへ走り出す。
「何をたわけた事を! こうなったらお前を踏み潰してくれるわー!!」
 そう言って南瓜大王はまんまとその誘いに乗った。
 巨大化した身体なし南瓜の集合体が彼を追うように動き出す。
「皆、五右衛門風呂へ行くぜっ! あそこでけりを付ける!」
『了解』
 それの指示に従って、皆が続く。
「え、ええ??」
 だが、温泉に先に居た桜狐はマップを見ていない。オロオロ一人残されて、
「え〜と、湯船空きましたし……もう少し浸かっていきましょうか…」
 今度は邪魔者はいない。そう判断して彼女は柚子風呂へと足を伸ばすのだった。

●南瓜は南瓜らしく
「くくくっ、逃げでばかりでは我輩は倒せんぞ〜」
 五右衛門風呂まで距離がある。それを逃げの一手に出たと勘違いしたのか南瓜大王は自分が優勢とご満悦で彼らを追いかける。さっきキサイに術がきかなかったことなど微塵も気付いていない。
「そろそろ教えてくれないかしら?」
「神音も聞きたいんだよー」
 その途中、まだ作戦が判っていない二人が声をかける。
「なんだ、シーラは料理人なのに気付かねえのかよ? あれは南瓜だぜ?」
 その様子が面白いのかキサイはにやにやとした表情で言う。
「よく考えてみて下さい。さっき相対した親南瓜達の変形、欠損具合を…南瓜が軽い衝撃で欠損すると言うのはつまり」
「まさか、この湯気とお湯で」
「そうか、わかったよ。あれはあくまで南瓜なんだねー」
 もやもやがスッキリして神音とシーラの納得の笑み。
 そしてそれを利用し作戦に出る時、人は誰しも悪戯を思いついた子供のようになるものだ。
「よし、ついたぜ。反撃開始だ!!」
 そこで彼らは封印のフォーメーションを展開した。
 五右衛門風呂はスパパレスの奥にあり、周囲は壁に囲まれサウナのような状態になっている。そして、丁寧に釜に合せた蓋まで用意されていた。だが、サイズがかなり大きく、普通であれば一人入ればいっぱいであるが、ここのは五十人は軽い。
 そんな狭いスペースでキサイは浮遊してくる巨大南瓜を鍋蓋で応戦していた。以前、近所の男からお近づきの印とかで貰ったものだ。
「親南瓜は出来るだけ釜に落としてくれよな」
 仲間にそう言いつつ、彼自身も親南瓜を湯船に落とす。
「もう逃げられんぞ、くはははは〜」
 そんな事とは知らず、大王が中に入った。勿論彼の周囲には親南瓜が取り巻き、顔は見えない。だが、逆に言えば彼らの持つ秘密兵器――ランプの存在に彼は気付けないのだからチャンスでもある。周囲の南瓜を如何にか剥いで、たった一度のそれをキサイ達は狙う。
「二人とも覚えてるか。ここは夢のフィールドだ。確かにあいつに有利に働くが場所かもしれないけども、逆に言えば俺らだって強く願えばバージョンアップは可能だという事を」
 以前大王が枕元に現れ学園世界に飛ばされた時、キサイは意思の力で悪魔祓いセットを出して見せた。とすると、ここでもそれは可能だと彼は言いたいらしい。
「敵が巨大化するなら、僕の蔦も大きくなればいい」
 強くそれを念じれば、ユウキの蔦が大木の幹の様に姿を変え、下部分の南瓜をブンブン薙ぎ払ってゆく。
「な、なにぃーーーーー!?!?? 小癪な手をッ!!???」
 そこで怯んでいる間に再び指示がとんで、
「シーラ、神音を頼む!!」
「OKよ、来て神音!」
「わかったよ♪」
 シーラの言葉に駆け出す神音。シーラはそこで盾を構えて、狙いは勿論――、

「飛んでけーーーー!!」

 シーラの盾を踏み台に神音が上へ。いつぞやも見たような光景…。
 人は違えど神音は瞬脚でスピードをつけていたし、シーラもアヘッド・ブレイクを応用して神音を盾を突き出す動きで上へ吹っ飛ばす。
「何をやっている。それでは我輩には当たっておらんぞ」
 そう笑う彼であったが、
「ふっふっふっ〜、観念するんだよ!!」
 丁度大王の真上の位置、南瓜の芯のある辺りに来た時彼女は身を翻して…巨大南瓜の上部に降り立つ。そしてランプの蓋を持ったまま正拳突を繰り出す。すると、浮遊していた巨大南瓜が徐々に高度を下げて…その頃には蔦に自らが乗って、ユウキとシーラは大王の下へ。そこでもう一度、シーラのアヘッド・ブレイクを発動し親南瓜を弾き飛ばしつつ、中心部を目指す。

「ま、まさか…そのランプは!?」

 そこでやっと大王は気が付いた。けれど、それはもう時既に遅しである。
「もう二度と出てくるなよなぁ。皆迷惑してんだ!!」
 キサイの言葉に焦る大王。もがいても部屋が狭く、思うように動けず脱出は叶わない。
 そこへ神音とユウキが黒く染まった大王を見つけてランプを押し当て、

「キサイおにーさん、今だよ!」
「いくぜ! かぼかぼかぼぼぼ、かぼかぼぷきん!!」

 その言葉に今度はランプが光った。そして、剥き出しになった大王の顔が――、

「な、なんだよ。気持ち悪いな…その顔……」

 オレンジの顔を更に赤くして、ランプで挟まれたままくるりと身体を後ろに向ける。

「いや、ほら、だってさぁ〜おまえが、熱烈な、プロポー…」
「はぁ???」

 訳が判らなかった。しかし、大王はそういい残してランプの中へと消えていく。
 そうして残ったのは変な空気――そういえばさっきの呪文、古代南瓜語だと言っていたが、どういう意味があったのだろうか。さっきの大王の言葉が無性に気なり始める。
「やりましたね、キサイさん」
「お疲れ様だよ、おにーさん」
「なんか凄かったですよー」
 ユウキに神音、いつも間にか桜狐もやってきたようでそれぞれキサイに言葉をかける。
 だがシーラは何か引っかかって、どうにも駆け寄る事ができない。
「あ、ああ…さんきゅーだぜ。だけど、一つ確かめたい…おい、子南瓜ども。出てきて教えろよ。あの呪文…出ないと五右衛門風呂の親南瓜がどうなっても知らないぜ?」
 実はあの時から気にはなっていた。
 言葉を濁したあの言い方、そういうのを見逃さないのが彼である。
「えっと、もしかしてここを選んだのは?」
「ああ、そうだぜぇ? 俺は罠師だ…気になる事を残しておくのは性に合わない。だから、そりゃっ!」
 彼は備え付けの蓋に到着時、何か仕掛けておいたのだろう。ひもを引張ると同時に五右衛門風呂に蓋が被さり、親南瓜達が人質となる。
「おまえらの親南瓜達はもういい具合に煮えてるしなぁ。脆くなったのがいい証拠…さて、あそこに調味料を入れたらどうなのだろうなあ〜」
 悪役面を見せたキサイが黒笑みを浮かべる。
 その言葉に子南瓜は白旗を上げ姿を現し、一斉に紡がれたのは謝罪の言葉。

『わーーん、ゴメンなさーーい!』
「だって聞いたら絶対手伝ってくれないから〜。だから黙ってたんですーーー! まさかキサイさんが呪文担当になるとは思わなくて〜〜、だからとうさんたちを食べないでーー!!」

 涙ながらに子南瓜達が懇願する。
「ああ、知ってるぞ。で、あれの呪文の意味は?」
「あれは…その……ごにょごょ」
 蟻の声があるならばこの位ではなかろうかという位の小さな声で彼らは呟く。
「ああ、なんだって?」

「『おまえを心の底から愛している。俺の全て捧げるからだからここに』だったか?」

 そこへ西瓜大王も現れ、彼らの代わりにさらりと意味を告げて……。
「へ…」
 その言葉にキサイはガクリと膝をついた。
 そして、勝利してなお絶望の縁へと旅立っていく魂をどうする事もできない。
「キサイさん…」
 その様子にシーラが堪らず動く。彼を繋ぎとめるよう肩をとって、
「キサイさん…好き」
「え…」
 唐突に告げられた告白にキサイが再び固まった。
 抜けかけた魂はそのままに今度は頬が僅かに染まる。
「なんだか面白い展開になってきましたね」
 そんな彼らを残りの三人は見守り、子南瓜はこっそり親南瓜を救出に向かおうと動く。
「ふっふっふ〜、そうはいかないんだよ」
 だが、そんな彼らを捕まえて神音は最高の笑顔を浮かべていた。


●南瓜の馬車はないけれど
 実のところを言えば薄々気付き始めていた。
 けれど、南瓜の世界での言葉であって本心ではないのではないかと確信が持てずにいたのだ。そして、当の本人はそれを理由にその事から目を逸らし続けてきた。従って、たとえ一流罠師といえど動揺してしまうのは必然である。
「……だ、大丈夫かよ? 南瓜の呪いが続いてるんじゃあ…」
 封印された筈のランプに視線を向けて彼が言う。
 だが、ランプはただのランプで…ユウキが大事に手にしている。
「さっきあの呪文を叫んだ時、あたし気付いたのよね。言葉は判らなかったけれど、何かちくりと心が痛んで苦しかった」
「はぁ? それは、あれが愛、の言葉…だったから、かよ?」
「そうみたい。だからたまらなくなって…駄目かしら?」
 一心にキサイを見つめる瞳に、彼自身も周りを気にしている余裕はなかった。こんなにはっきりと言われてしまっては答えない訳にはいかない。今の気持ちを伝えないと失礼だとその位は判る。
「えっと…その…」
 話し始めた彼を見取って神音が子南瓜にこそりと一言。
 すると子南瓜が魔法を使って――ふわりとシーラとキサイを包むと、一瞬にして二人の衣装が変化した。オレンジ色のドレスとオレンジ色のタキシードに…子南瓜もさっきのを悪いと思っているらしい。
「キサイおにーさんに決まらなかったとしても誰かが恥ずかしい思いをする筈だったってことだもんねー。そういうの、あまり感心しないよー」
 そう言った神音の腕に西瓜武器がまだあったことは言うまでもない。
「あうあう…一体どうなるのでしょう?」
 五割の恥ずかしさと五割ののぼせに耐えながら桜狐が呟く。
「なんかロマンチックだよねー。うまくいくのかな〜」
 とこれは神音。自分と慕うセンセーの姿を重ねて想像を膨らませていたりもする。
「でしたらこの後、南瓜の馬車とか出てきたりしないかな…?」
 シーラの想いを少なからず近くで見てきたユウキもなんとなく応援の眼差しで二人を見ている。
「…あの、シーラ。俺は、シノビで罠師だぞ。人を騙して、時には言いにくい方法で相手を貶める事もする…だから、好いてくれるのは嬉しいけど、その…いいのかよ?」
 里の事、罠師の家系の事、色々な事柄が彼の頭を駆け巡る。
「回りくどいのね。だったら、一つだけ聞かせて…今、そういうのをなしにしてどう思っているのか…」
 一方、シーラの方は実に直球だった。彼女の気の強さと騎士の精神が窺える。
「それは…嬉しいぜ。後、今のおまえ、凄く綺麗だと思う…」
 照れの隠し様がなくて、キサイは彼女を抱きしめる。
(「え〜と、しかし僕はどうしたら?」)
 そんな二人を見つめながら、ランプを手にしたユウキが視線を彷徨わせて…行き着いたのは西瓜大王の元だった。そして、しかたなく話を持ちかければ、ならば私が…という話になり、彼がランプを持ち帰る事となる。
「あの、あなたもよろしければ、入りませんか…?」
 そこで桜狐に誘われて、神音も一緒に水着に着替え温泉を楽しむことにする。
「わー、これでお肌すべすべになるのかなー」
 そうすればセンセーもきっと。神音の顔が綻ぶ。
 そうしてそれぞれにスパパレスを楽しんで――気付いたら朝になっていた。

「なんだったんだ、全く…」
 腕に残る温もりがキサイの鼓動を早くさせている。
「……」
 朝日が眩しかった。そして枕元には南瓜の種が何故だか転がっている。
(「次、会ったらどんな顔すればいいんだよ、くそっ」)
 南瓜のせいだ。全部南瓜の……あの夢はきっと共有されている。とすると……。
 キサイはどうにも出来ない気持ちを抱えて、とりあえず宿屋を後にする。

 一方子南瓜達がどうなったか言えば、
「色々大変だったけど、開拓者って面白いね〜」
 一人の子南瓜がダンスをするようにふわふわ浮かびつつ言う。
「ちょっと怖いけど、仲間になったら心強いもの」
 とこれは別の子南瓜。あれでも開拓者への印象はいいらしい。
「だからあの種残したんでしょ」
『誰か気付いてくれるかな? 呼んでくれるかな?』
 言葉を合わせて子南瓜達が楽しげだ。
「大王が遊びたくなるの、判った気がする♪」
 彼らも元は大王と同じ南瓜だ。個々の性格は違えど、楽しい事は好きなのだ。

『ハッピーハロウィン! これからは毎日が僕らの時代だー!!』

 彼らは口々にそう言うと、新たなワクワクを求め旅立ってゆくのだった。