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■オープニング本文 ● かつて鴉というシノビ一族があった。陰殻上忍四家の一家である諏訪に属する一族である。 その鴉一族は一夜にして滅び去った。北條に属する夜叉一族の夜襲によって。 その際、一人の少年のみ逃れた。名を隼人という。 隼人は復讐を誓い、修行を積んだ。そして数年。隼人は復讐を開始した。 神楽の都にむかい、隼人は開拓者に依頼を出した。内容は盗み働きのために都に潜入していた夜叉一族下忍を始末することである。 その依頼は果たされた。夜叉一族下忍――百足丸、血頭、吉川勘助の三忍は開拓者によって倒されたのである。 次に隼人が狙ったのは、百足丸を率いていた中忍と、そして残る下忍であった。が、これは失敗に終わった。下忍一人は斃したものの、中忍は討ちもらしたのである。 その中忍の報せにより、夜叉一族が動いた。隼人の顔を知る中忍と、それに従う六忍が神楽の都に送り込まれたのである。 そして―― 襲撃は成された。開拓者ギルドにむかう隼人は、夜叉七忍の手により命を絶たれたのである。 しかし隼人の最後の依頼は残された。 生き残りの鴉一族を救ってくれ。 かくして開拓者は鴉の里にむかった。 ● 一人の少女が歩を進ませていた。神楽の都の街路である。 彼女の幼馴染の少年は死んだ。想いを残したまま。その事実を少女は開拓者から聞かされた。 少年の身体には七つの傷があったという。 痛かったであろう。無念であったろう。 その痛みを―― その無念を―― 私が引き受けよう。 少女は覚悟を定めた。少年の意志を受け継ぐと。それが命をかけて救ってくれた少年に対するせめての恩返しだと少女は思った。 少女は今、歩む。開拓者ギルドへと。 彼女の名は千鶴。鴉一族の生き残りの少女であった。 ● 依頼書があった。先ほど開拓者ギルドを訪れた少年が依頼したものだ。 が、依頼主はその少年ではない。少年はある少女に頼まれたのであった。 紅鴉。そう少女は名乗っていたという。 「紅鴉、か」 一人の男がニヤリとした。細面の、色の白い若者だ。名を阿波小四郎という。 「復讐のう」 くぐもった声が流れた。腰の曲がった老人である。名を柘植現八といった。 |
■参加者一覧
亘 夕凪(ia8154)
28歳・女・シ
尾上 葵(ib0143)
22歳・男・騎
グリムバルド(ib0608)
18歳・男・騎
藤丸(ib3128)
10歳・男・シ
蒔司(ib3233)
33歳・男・シ
カルロス・ヴァザーリ(ib3473)
42歳・男・サ
ルー(ib4431)
19歳・女・志
叢雲 怜(ib5488)
10歳・男・砲 |
■リプレイ本文 ● 「復讐ってと」 貼り出された依頼書を見つめ、一人の少年が瞳を輝かせた。 十歳ほど。凛とした美貌の持ち主だ。そして、その綺麗な顔の中で輝いている瞳は異様なものであった。 右は蒼く、左は紅い。いわゆる金銀妖瞳である。 叢雲怜(ib5488)。若き砲術士は銃を片手に勇み立った。 「仇討だろ? 仇討の助っ人をするのは武門の誉れってパパ上がいってた‥気がするのだ!」 「坊の父上は立派なお人なんだねえ」 柔らかな声がふった。 はっ、と見上げた怜は、そこに一人の女を見出した。 二十代後半だろうか。怜悧な顔立ちで、落ち着いた物腰。圧倒的な存在感の持ち主だ。 無邪気に怜は肯いた。 「俺のパパ上はすっごい人なのだぜ」 「そうだろうねえ。坊を見てりゃあわかるよ」 女――亘夕凪(ia8154)は微笑むと、依頼書に眼を転じた。そして、おや、というふうに眉をひそめた。 依頼人の名は紅鴉。目的は復讐だ。個でとらえるならば何らおかしなところはない。 が、この依頼人の名と目的が重なった時、夕凪の胸にたつ漣がある。 「紅の鴉‥ねえ」 夕凪はちらりと視線を走らせた。彼女と同じ顔をしている者が二人ある。 一人は少年だ。年齢は怜と同じほどか。これも怜と同じく元気に満ち溢れている。柴犬の神威人であるためか、人懐っこい眼をしていた。 もう一人は壮年の男であった。年齢は三十歳ほどか。全身にはしる傷痕が物凄い。過ごしてきた日々の凄惨さが窺い知れた。 少年の名は藤丸(ib3128)、男の名は蒔司(ib3233)というのだが。この二人を夕凪はよく知っている。ある依頼で同行したことがあったからだ。 「これは、もしかして鴉一」 藤丸が慌てて口を閉ざした。夕凪が眼で制したからだ。 と、夕凪は背後に気配を感じた。 黒髪金瞳の若者が立っていた。右半分を覆うほどの大きな眼帯をつけているために正確にはわからないが、端正な風貌の持ち主であるらしい。のほほんとした笑みをうかべている。 「復讐、か」 若者――後に夕凪は名がグリムバルド(ib0608)であるということを知るのだが――は呟いた。その笑みと同じく、どこかのんびりとした声音である。 「依頼内容それだけで、依頼人の詳細は不明か。随分慎重なんだな。それだけ大事って事なのかね? っと、考えても仕方ねぇや」 あわわ、と欠伸をする。どうやら面倒なことが苦手であるらしい。 夕凪は苦笑をもらし――その笑みがふいに消えた。もう一人、熱心に依頼書を見つめている娘がいることに気づいたからだ。 美しい娘であった。紅髪は眼も覚めるように鮮やかで、相貌は秀麗だ。身体には豊満といってよいほどの瑞々しい肉がついたいるようだが、そうは思えぬ俊敏そうな身ごなしをもっている。 夕凪はふと問うた。 「この依頼を受けるのかい」 「ええ」 肯くと、ルー(ib4431)と娘は名乗った。 「復讐という響きが少し気になって。何故かはわからないけれど、この依頼主がそこに至ったものに触れて、一緒に道を探してみたいと思ったものだから」 「ルー‥‥さん」 我知らず夕凪は手を差し出していた。 「私は亘夕凪。ルーさんと同じくこの依頼を受ける者だ。で、ルーさん」 夕凪の眼が凄絶に光った。 「これから共に歩む道、随分と険しく長いものとなるよ」 「ええ」 ルーは、夕凪が拍子抜けするほどあっさりと肯いた。 夕凪は知らない。ルーの過去がどれほどの哀しみに彩られたものであったかを。 かつてルーは戦奴として傭兵団に売られた。そこでルーは人とした扱われず、身も心も切り刻まれたのだ。 ルーの、やや寂しげな笑みの中に、しかし夕凪は彼女と同種の凄絶な光を見た。 ● 結局のところ、紅鴉の依頼を受けた者は十人であった。ルーを除いて連れ立ち、指定の寺へとむかう。 その九人であるが。 一人、不審げに眉をひそめている者があった。二十代後半の、長身の若者である。名を尾上葵(ib0143)といった。 葵は、端麗な造りのその面に昏い翳をおとしていた。不審の翳を。そして、時折獲物を狙う肉食獣の如き鋭い眼を二人の男にむけていた。 一人は若者である。細面で色が白く、名を阿波小四郎といった。 もう一人は腰の曲がった老人だ。名を柘植現八といった。 その二人であるが、葵は見たことがなかった。それでギルドに確認してみたのだが、二人に関する記録はなかった。 と、ふいに葵は足をとめた。小四郎と現八に向き直る。 「あんさんらもお仲間やろ?」 「お仲間?」 小四郎もまた足をとめた。 「何のことだ」 ふぉふぉ、とくぐもった声がした。これは現八の発した笑い声だ。 刹那、葵の手の煙管が閃いた。それは五十センチメートルほどの長大な代物で、まともにくらえば骨折すら免れぬ。 ひらりと小四郎が跳び退り、躱した。現八はそのままだ。その顔面を煙管がかすめて過ぎた。 「やるな」 葵は感嘆した。小四郎の手練にではない。現八に対してだ。 現八は葵の一閃に身動きもならなかったように見える。が、わずかに身動ぎしたのみで煙管を躱したことを葵は見抜いていた。 「何の真似だ」 小四郎の眼に殺気の光がゆらめいた。 ふふんと笑うと、葵は煙管をくわえた。ぷかりと煙を吐く。随分と人をくった行為だが、不思議と葵には良く似合った。 「冗談だ」 ● 寺の境内の片隅に小さな人影があった。 面を被っている。縁日で売っている狐の面だ。 「お前が紅鴉か」 地の底から響くかのような声が問うた。 狐面が肯いた。声の主を見返す。 声の主は男であった。年齢は四十ほど。人間ではない。竜の神威人だ。 瞬間、紅鴉が跳び退った。男の発する気に反応した為である。それは凍りつきそうになるほどの鬼気であった。 「俺は敵ではない」 男ニヤリとした。 「なかなかに面白い。体つきからして小娘のようだが。――俺はカルロス・ヴァザーリ(ib3473)。うぬの依頼を受けた開拓者だ」 「開拓者」 紅鴉の身から急速に殺気が失せた。が、それはカルロスの言葉に安堵しての故ではない。 紅鴉の眼は三人の開拓者にむけられていた。夕凪と藤丸、蒔司の三人に。 紅鴉は狐面をとった。夕凪の顔に微笑がうかぶ。 「千鶴さん。やはりお前さんだったかい」 「里ではお世話になりました」 ぺこりと紅鴉――千鶴が頭を下げた。はじかれたように駆け寄ったのは藤丸である。満面を笑み崩れさせて、 「元気そうだね。よかったね」 抱きしめた。さすがに千鶴も戸惑いぎみで、苦笑を返す。と、藤丸の肩を一つの手がおさえた。蒔司である。 「千鶴」 蒔司がいった。その顔を見上げた千鶴の顔色が変った。蒔司の眼にうかぶいいしれぬ哀しみの色に気づいた故である。 蒔司は続けた。 「千鶴は復讐を選んだんやな」 「はい」 千鶴は大きく肯いた。 「隼人の意志を継ぎ、夜叉一族に復讐するつもりです。それが生き残り、そして隼人に救われた私のつとめだと思っています」 「そうか」 蒔司は肩をおとした。 「一族の血を護り、争いを退き静かに暮らす道もあるやろうが‥‥。その身に流れるシノビの血と一族の誇り。何より、隼人を想い望めば‥‥選ぶは修羅の道、か。ならば」 蒔司が顔をあげた。再び千鶴を見つめるその瞳に、今は哀しみの色はない。代わりに鬼火の如き蒼い炎がゆらめいている。 蒔司は静かな声音で告げた。力を尽くす、と。 それは、かつて蒔司が隼人に誓った言葉だ。それを再び蒔司は誓った。隼人が護りたかったものを護る為に。 ● 「小娘が復讐か。面白い」 カルロスはニンマリした。その声音には嘲弄の響きがまじってはいるが、その顔に嘲りの色はない。 かつて隼人は復讐の最中に敵の刃に斃れた。復讐とはそのようなものだ。憎しみは敵のみならず己の身も灼く。 では千鶴はどうなるか。 手を貸してやろうとカルロスは思った。復讐の昏き道をどこまでも歩み続けることができるように。その果てで千鶴がどのように憎しみに蝕まれ、堕ちていくのかを見届けることができるように。 「で、復讐したいが方法がわからないとぬかすか」 「はい」 千鶴はカルロスを真っ直ぐに見つめ返して肯いた。 「夜叉一族は強く、そして狡猾です。悔しいのですが、私ではとても」 「千鶴よ」 突如、白光が閃いた。次の瞬間、千鶴の首寸前で刃がぴたりととまった。蒔司の刃が。 「アカンのお、千鶴」 蒔司が苦く笑った。 「そんな腕やったら己の身一つ守ることもできんぜよ。仕方ない。わしが鍛えてやる。ええか」 「ええ、ええ」 身を乗り出しのは葵であった。 「蒔司に鍛えてもろたら、えらく強うなるやろ」 葵はすっと眼をあげた。満開の桜の花を見つめる。薄紅の色が眼に染みた。 葵は舞い散る桜の花びらを巧みに指でつまむと、 「お前は散ったらアカン。花は咲いてこそや。咲く前に散るのは風流やなくて、無残やからなあ」 で、と。葵は朗らかな顔を千鶴にむけた。 「千鶴の潜伏場所やけど、今はどこにおるんや」 「神楽の都の外れにある廃屋です」 「アカンなあ」 葵は首を振った。 「夜叉が真っ先に狙うのはそんな場所やで」 「でも」 「まあええ」 葵は千鶴を遮った。 「俺に考えがある。盗賊の被害にあった商家に住み込むいうのはどうや。夜叉が一度襲った場所であったら盲点ともなるしな」 「確かに商家なら人が沢山居て紛れ易すそうだけど」 怜が首を捻った。 「後、何のお店かよく分からないけど‥‥置屋って場所は姉ちゃんがいっぱい居て紛れ易そうな感じだよな」 「そいつはいい」 グリムバルドが腹を抱えて笑った。千鶴は人形のように可愛らしく、確かに置屋にいてもおかしくはないし、目立つこともない。 「だめよ!」 大きな声が響いた。滲んでいるのは怒りの色である。発したのはルーであった。 「置屋は籠。女は籠の鳥よ。聞けば千鶴は夜叉一族に囚われていたとか。あのような哀しい場所に千鶴を住まわすことなど」 ルーの声が途切れた。自身、戦奴として酷使されていた時のことを思い出したのだ。もう振りきったはずなのに―― 「わかったよ。ルー」 ルーの肩に優しく手をおくと、葵は千鶴を正面から見据えた。 「まずは聞きたいことがある。夜叉について知っていることのすべてを」 「すべて?」 「そうだよ」 藤丸が真剣な眼差しをむけた。 「復讐相手の規模、名前、手口。なんでもいいから。ジルベリアの絵合わせとおんなじだよ。欠片がないと絵ができない。――あっ」 何を思いついたか、眼を大きく見開くと藤丸が眼を転じた。黙したまま寂然と佇んでいた小四郎と現八にむかって。 藤丸はいった。 「あんたらも知っていることがあったら教えてよ」 「知らん。夜叉一族のことなど」 小四郎がそっぽをむいた。現八は相変わらずくぐもった声で笑っている。 「おんしら」 ふっ、と。小四郎と現八の背後に気配がわいた。蒔司だ。 蒔司はじろりと二人を睨み据えると、 「どうも同業の匂いがするのぅ」 「馬鹿な」 小四郎が口をゆがめた。そして腰の大刀に視線をおとすと、 「これが見えないのか。俺はサムライだぜ」 「ならいいがな」 カルロスが刃の光をためた眼をむけた。 ● 「やるとすりゃ里を強襲する、徐々に揺さぶる、誘き出す‥が常道だが」 夕凪がもの問いたげに千鶴を見た。 「最終的に里を狙うにしろ‥事前に潰せる兵隊は減らすに損はなかろう。先ずは地道にいくが無難かね?」 「短期決戦を目指すか、じわじわしめていくか‥‥千鶴はどうしたい?」 藤丸もまた千鶴の顔を覗き込んだ。すると千鶴はきっぱりと、 「私は夜叉一族を――少なくとも里人を除く戦闘集団を根絶やしにするつもりです。鴉一族がそうされたように」 「それだけでいいのか」 とはカルロスの問いだ。不気味な笑みをうかべると、 「自分たちが受けたのと同様の苦しみ、恐怖、絶望を精神に刻み込んでやりたくはないか」 「やりたいです。でも」 千鶴は面を伏せた。何かを迷っているようだ。 「まあ、いいじゃん」 怜が千鶴の背をポンと叩いた。若年でありながら千鶴を気遣っているのである。そして、それはそうと、と怜は続けた。 「相手は一族ってことだし、一気に殲滅できなかったら千鶴の身を狙って逆襲を仕掛けてくる可能性もあるのだぜ。何か手をうたないと」 「なら囮をつくればいい」 ルーが口を開いた。 「囮?」 「ええ。私達の誰かが紅鴉となる。それなら千鶴が狙われることもない」 「なら俺か?」 怜が自身を指差した。確かに怜は美少年で、女装をしても違和感はなさそうだ。 が、千鶴は慌ててかぶりを振った。 「だめです、そんなこと。私の身代わりなどしたら、貴方も隼人のように」 「いいんだ」 藤丸がニカッと笑った。親指を立ててみせる。 「千鶴は俺らを便利な手足と思ってくれればいいんだ」 「そんな」 千鶴は声を詰まらせた。冷酷非情であるシノビの世界で育った千鶴は、彼らのような者を見たことがない。なんて暖かく、なんて強く―― そういえば蒔司から聞いたことがある。隼人は開拓者になることを夢見ていたと。 「そう。隼人はこのような人達になろうとしていたのね」 千鶴の眸から涙が零れ落ちた。その雫を、葵の指がぬぐった。 「お前は幸せにならなあかん。涙はそれまでとっておくんや」 ● ぴたりと足がとまった。小四郎の足が。 漆黒の闇の落ちた深夜。小四郎の前に立ちはだかる人影があった。蒔司である。 「こんな時間にどこにいくんや」 「俺は」 こたえようとした小四郎の声が途切れた。背後に気配がわいたのを感得した故だ。グリムバルドが立っていた。さらには夕凪も。 ふふ、とグリムバルドが笑った。 「しくじったなあ、小四郎。蒔司が同業の匂いがするといった時、一瞬だが殺気を放ったな。あいつはまずかった」 「ぬっ」 小四郎の身が飛鳥のように空に舞った。同時に三筋の光流が疾った。 開拓者の頭上を躍り越えた小四郎は、地に降り立つなり、がくりと身を折った。その足に手裏剣が突き刺さっている。腹には槍傷。わたずに遅れて落ちた腕は夕凪が斬り落とした小四郎のものだ。 口からたらりと血を滴らせた小四郎の死微笑を見下ろし、蒔司は小さく呟いた。 「ワシは贖罪を望んでおるのかもしれんのぅ」 「舌を噛み切りおったか」 小さな影が背を返した。現八である。その背を見送るのはカルロスであった。 「葉隠」 カルロスが呟いた。現八の足がとまる。カルロスが続けた。 「以前、小次郎とかいう小僧がいた。随分と変ったシノビであったが」 「てめえのことも聞いてるぜ、カルロス」 現八が振り返った。声は老人のものではない。少年のものだ。 「開拓者の中にひどく気味の悪い奴がいたってな」 「気味が悪い、か」 ニィと笑い、カルロスは刃をたばしらせた。現八と名乗った少年の姿が真一文に断ち切れる。 いや―― 現八の姿が朧と消えた。後にはうっそりと佇むカルロスの姿のみ残されて。 「くくく。面白いぞ」 刃を引っ下げて、カルロスは魍魎のように笑った。 |