【初夢】宝島2 魔の島
マスター名:松原祥一
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/01/26 20:07



■オープニング本文

※このシナリオは初夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。




 かつて、人と魔物は同じ世界で暮らしていた。
 長い間、人魔の共存は保たれていたが、人の文明の発達と帝国の誕生を契機に、長い長い戦乱が起き、最終戦争の果てに魔物は人に負けた。
 戦いに敗れた魔物たちは地上を追われ、人の住まない過酷な環境、魔界への移住を余儀なくされる。
 それから、さらに長い長い年月が流れる。


 人界の果てにある無人島。
 魔の島と呼ばれ、強力な魔物が棲みつき、人の侵入を拒んでいる。
 この島には、莫大なお宝が眠っているという伝説がある。古代の王が残した財宝、神話の時代から受け継がれた秘宝など、人界ではお目にかかれないレアな宝物が唸っているというもっぱらな噂だ。
 噂話を聞き付けたトレジャーハンターや冒険者、果ては一国の軍隊までが魔の島に挑んだが、帰って来た者は居ない。

「面白い。魔の島の秘宝とやら、この勇者が手に入れてやる」
 今度の挑戦者は、世界を救った勇者一行である。
 少数精鋭ながら、不意を打てば魔王ですら倒す、という超弩級の難敵の出現に、さすがの魔の島も今回ばかりは攻略必至と思われた。
「むむむ‥‥先祖代々、守り抜いてきたこの島を、勇者などに蹂躙されてなるものか」
 しかし、魔の島を預かる大鬼は、あくまで徹底抗戦の構えだ。
「どうしたものかのう」
 魔界の魔王は、勇者に一度敗れた過去がある。その時の怪我が元で、今は前線に立つ事もままならず、魔王城で半ば隠居生活だ。
「冒険者を雇いましょう」
「はぁ?」
 魔軍参謀の言葉に、魔王は間抜けな声をあげる。
「いいえ、魔王様。何も冒険は人の専売特許ではございません。魔族の中にも、無茶を好んで行う冒険野郎が、結構居るのですよ」
「‥‥初めて聞いた。それは、魔王としてのわしの統制が行き届いてないということではないのか?」
 先代の勇者に敗れて五十年、自分が寝たきりだったことで魔界の秩序が緩んでいる、魔王の目に涙が浮かんだ。
「冒険者など、社会が荒んでおる証拠ではないか」
「そ、そこまで深刻に考えなくても‥‥。と、ともかくですな。正規軍を動かすには時が足りません。また、魔将軍達を派遣し、もしも敗れでもしたら、一大事です。ここは冒険者に頼る他は無いかと」
「‥‥ふむ、良いじゃろう。冒険者を集めて、魔の島の警護にあたらせよ。首尾よく勇者を撃退した暁には、望みの褒美を取らすぞ」
「は!」
 かくして、勇者撃退の依頼が、魔界の冒険者ギルドに張り出された。



■参加者一覧
不破 颯(ib0495
25歳・男・弓
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
エルレーン(ib7455
18歳・女・志
ラグナ・グラウシード(ib8459
19歳・男・騎
松戸 暗(ic0068
16歳・女・シ
草薙 早矢(ic0072
21歳・女・弓
津田とも(ic0154
15歳・女・砲
島津 止吉(ic0239
15歳・男・サ


■リプレイ本文

 砕けて四散していた。
 石の城門も、門の守備隊も全滅。
 城壁に体を預けて動かないレッサーデーモン。
「止吉!」
 漆黒の龍は悪魔族の死体のそばで人型に変身。
「‥‥すまぬ」
 暗黒龍のラグナ・グラウシード(ib8459)は瞳を見開いたままの島津 止吉(ic0239)の前でしゃがみこむ。
「おのれユウシャども‥‥魔族の土地に入り込み、殺戮の限りを尽くすのが貴様らの流儀ならば、誇り高きダークドラゴンの名に賭けて私は貴様等を滅ぼそうッ!」
「威勢だけはいいよねぇ」
 バサバサと羽音を立て、一体のハーピーが舞い降りた。妖鳥エルレーン(ib7455)は悪戯っぽい笑みを人龍に向ける。
「格好つけたって、うすのろラグナに勇者が倒せる訳ないじゃん。返り討ちで殺られるのがオチだもん、逃げた方がいいと思うけどなぁ」
「結果では無い。ふん、貧乳の鳥女に魔族の誇りは理解できんと見える」
 彼女の胸を一瞥して鼻で笑うラグナ。
「む、胸は関係ないじゃん! そーいうの、セクハラって言うんだよ!」
 腹を立ててエルレーンは飛び去る。ラグナも暗黒龍の姿に戻り、奥へと急いだ。勇者一行は既に砦の中だ。急がねば、皆殺しにされる。
「返り討ちは否定しないんだ」

「ば、化け物めぇぇ!」
 腕を斬り飛ばされたゴブリン軍曹が、血反吐を撒き散らして倒れる。
「規格外とは聞いてたけど‥‥」
 空から地上部隊を支援するガルーダの津田とも(ic0154)の眼下では、数百体の鬼達が、たった三人の前衛に押し込まれていた。遠隔攻撃が可能なものは、敵の前衛や後衛めがけて投げ槍や火球、ブレスを雨あられと浴びせたが、それらは打ち消され、そらされ、跳ね返され、敵まで届かない。
「怯むな! 奴らは不死身ではないぞ。休ませるな、攻め立てれば勝機はある!」
 ケンタウロスの篠崎早矢(ic0072)は、部隊長のオーガと並んで前線指揮を取った。言葉とは裏腹に、早矢の表情には焦りがある。攻撃が届けば戦士の鎧は凹み、かすり傷くらいは与えられる。だが何十と打撃を負わせても、倒れない。
「中尉、兵を借りるぞ。回り込んで奴らの背後を突く」
「危険だ」
 寡黙なオーガの制止を、振り切る早矢。
「我慢の限界だ。奴らはもうすぐ広場に来る。そこで仕掛けさせて貰う」
 早矢は冒険者で二人目の犠牲者だ。新兵では無い。百戦錬磨の魔界の猛者が、まるで雑兵のように斬り捨てられた。

「魔の島も大したこと無いな。‥‥いや、俺達が強すぎるのかね」
 人馬の骸から斧槍を引き抜いた戦士が一息つく。挟撃が失敗し、砦の守備隊は後退したようだ。勇者達は小休憩を取る。
「こいつは賞金首の篠崎早矢だぞ。人馬族の縄張りでもないのに何故? ‥‥用心した方がいいかもしれんな」
 一行は島の情報を収集し、オーガスレイヤーなど対応する装備を用意していた。
「誰であれ、人に仇なす魔物に変わりない。一匹たりとも逃しません」
「そうです。我々は平和に暮らしたいだけなのに、平穏を脅かす魔族の拠点。これは絶対に負けられない戦いなのです」
 気炎を吐く女騎士と僧侶。
「そうかな。話せば分かる奴も居ると俺は思うけど?」
 ポーションを飲みながら呟く勇者。緊張感の無さに魔法使いは眉を吊り上げた。
「お主ほど魔族を殺した男は居らぬというのに、傲慢な男じゃな」
 魔法使いと勇者の口論に、戦士は肩をすくめた。
「爺さんも懲りないな」
「懲りないのは貴方もでしょう? いい加減、盾を持ったらどうなんですか」
「嫌いなんだよ。視界を遮られるのがどうもな」
「好き嫌いと命とどっちが大事なんです」
「何言ってんだ、命なんかより俺の気持ちが大事に決まってる」
 実は瀕死だった戦士の傷を全快させた僧侶は、溜息をついて半分砕けた台座に腰をおろした。
(殺った!)
 台座に擬態していた松戸 暗(ic0068)の刃が僧侶の首を刈りとる。
「‥‥」
 それより一瞬早く、忍者の手刀が唸り、松戸の頭が広場の隅まで転がった。
「むねん」
 床から生えた松戸の首が呪詛を吐く。戦士は気味悪がったが、忍者は手裏剣を打ち、首を壁に縫い止めた。
「忍びとは恐ろしいもんじゃな」
「‥‥まだまだ。首を斬られたら飛んで噛み殺し、体もろとも爆散して敵を討たねば。戦士のように戦うことが、既に間違い」
 待ち構えている風だったので、罠や姦計が巡らされていると思えば、十把一絡げの雑兵力押し。忍者マスターは少々厭いていた。

「ガルーダの津田とも様、討ち死に!!」
 古代遺跡の上に立つ砦の深部で、大鬼は報告を受ける。
「冒険者の半数が、出撃から一刻も経たずにやられたか」
「これは評判通りの強敵だね♪」
 大鬼の傍らに浮かぶ少女。スク水型の日焼け跡が残るお子様体型を、申し訳ていどの黒い布切れが覆い、蝙蝠の翼に黒い尻尾。
「ねぇ大鬼ちゃん、助けてあげようか」
 大鬼の首に腕を絡ませるリィムナ・ピサレット(ib5201)。
「助ける? 俺の部下を廃人にすることがか」
 リィムナはサキュバス。砦に一番乗りした彼女は大鬼の配下を襲い、瞬く間に数十名を肉欲の虜にした。
「あはっ♪ 大鬼ちゃんのエッチ‥‥早く言ってくれたら、君にもたっぷりイイ思いさせてあげたのに♪」
「冗談ではない!」
 優秀な者ばかり、ごっそり抜いて親衛隊を作ったリィムナ。一方、部隊の要を抜かれた大鬼は、予想以上に勇者達にやられていた。大鬼としては面白い筈が無い。
「報告が聞こえなかったのか? お前の仲間もやられたのだぞ」
「うふふ、やだな。あんな小者と一緒にしないでよ」
 邪笑を浮かべる夢魔。
「左様、奴らは我らの中で最弱‥‥なんて、余計なフラグをおっ立てて無いで、あんたも仕事しなぁ!」
 鬼の呪術師、不破 颯(ib0495)はいつまでもじゃれているリィムナに言葉を荒げる。不破は砦の見取り図に呪具を並べ、今現在の勇者と味方の交戦状況を肌で感じていた。会話の間にも、鬼部隊の命を示す蝋燭の火が何本も消えた。
「奴ら、食堂や納屋にまで入ってんぞ? 何が目的だぁ?」
「お宝に決まってるよ。人間の冒険者ってね、壺の底のヘソクリから小鬼の懐の小銭まで見逃さないんだってさ」
 人の情動に詳しいリィムナの分析に、不破は体を震わせた。
「財宝目当てにやって来て、小遣い稼ぎまで余念がねぇたぁ、恐れ入った強盗野郎だぜ!!」
 激昂する不破の横で、手駒としたオークから報告を受けるリィムナ。分断に失敗したと聞いて、少女は顔を顰める。
「‥‥あーあ、結局こうなるのかぁ。正面から戦うのは得意じゃないのに」
 決戦の意を固める不破に、大鬼やラグナが同調し、リィムナもしぶしぶ手駒を配置し直す。
「待ってろ」
 命の火が消えた蝋燭に、語りかける不破。
「すぐに勇者どもも地獄に送ってやるぜっ」

 その頃、地獄。
 三途の河の渡し場では、戦いで死んだ者達が順番待ちしていた。
「‥‥はぁ、わし‥‥出番も無しかい」
 止吉は勇者達の実力を図るためとリィムナに言い含められ、真っ先に斬られた。自慢の爪には血糊一つ付いていない。
「気を落とすな。相手がアレでは仕方無い」
 一撃離脱を繰り返した早矢は、魔法使いに忍者と位置を入れ替えられ、戦士に薙ぎ倒された。彼女の後ろには忍者にやられた鬼達がぞろぞろと続いている。
「リィムナと不破が出張ってたら、こんな一方的にやられる事は無かったんだ。お偉い連中は、いつも俺達を捨て駒扱いする」
 津田の死に様は、魔法使いの巨大火球が直撃し、黒焦げだった。巧みに誘導された飛行部隊は壊滅し、彼女の後ろにも翼をもつ者の列が続いた。
「仕事だ。将たる者が軽々しく前線に出るよりは、良い」
 淡々と運命を受け入れる松戸。
「お前は良いよ、惜しかったよなぁ」
「いえ‥‥マスターの存在を忘れていた時点で、愚かとしか」
 皆一様に、表情に悔恨が刻まれている。戦場に立ったのだから、己の死を今更ギャアギャア言う気は無いが、勇者一味の誰もこの場に居ない事がたまらない。
「よぉ、お前らも来たのか」
 死神が気安く声をかけてきた。魔界に遊びに来るので、顔見知りである。
「来たくて来たんじゃねぇど?」
「無常の殺鬼は遁れ難しだ。まぁ話は聞いてるよ、災難だったな」
 渡し賃を要求する死神。
「死んでまで金か」
「ノルマがあるんでな。お得な回数券もあるぞ」
 誰が買うんだそんなもの。睨まれた死神は口端を吊り上げた。
「あんたらを倒した奴らは常連だぜ?」
 先月も勇者は死んでいると死神は教えた。
「復活の魔法か」
「そんな単純だったらいいな」
 死神は言う。
「魔王だって複数の命を持ってるだろ。連中くらいになると世界が死を許さない」
「‥‥勝てる相手では無かったと言うことか」
 意気消沈する早矢に、死神は首を振る。
「所詮は生身の人間だぜ。不可能なんてことは無い。次は頑張れよ」

「来いよ簒奪者。楽しく殺し合おうぜぇ」
 青白い呪念を込められた不破の蛇腹剣が勇者一味を囲むように伸びると、無数の刃と化して襲いかかった。
「颯ちゃんナイス♪ どんどんいくよー、メテオストラぁーイクッ!!」
 畳み掛けるように、天空から隕石を召喚するリィムナ。
「砦が、もたんぞ!」
 女騎士と剣を交える寸前だったラグナは、エルレーンが抱き抱えて間一髪、後方に跳んだ。それでも爆風は避けきれず、もつれるように壁に激突した二人は見る。眼前に巨大なクレーターが口を開き、砦の約半分が崩れ落ちていた。
「み、味方が、まだ居たのに!」
「この島ごと吹き飛ばすつもりでやったんだけどなー」
 肩で息をするリィムナ。外見と言動はアレだが、彼女は勇者一行に引けを取らない大魔族だ。
「防御したの、さすが♪ だけど、出し惜しみは無しだよ!!」
 再び詠唱に入るリィムナ。メテオの連弾に耐えられる存在など居ない。
「やらせるか!」
「それは私の台詞だぁ!」
 リィムナに突撃する女騎士の進路に立ち塞がるラグナ。聖槍に腹の中身を半分ほどもっていかれるが、龍の膂力で突進を止める。
「ラグナっ! もぅ、珍しく私が助けてあげたんだから大人しくしてよね」
「私に構うな! だから貴様は貧乳だと言うのだ! 己の為すべき事を為せ!」
 助けに入ろうとしたエルレーンをラグナは拒絶する。
「ひどいこと言うなぁ。胸は関係無いし‥‥壊れちゃえッ!!」
 妖鳥の体が分身した。高速機動で戦士の脇をすり抜け、一直線に僧侶を狙う。
「回復役は最優先で沈める。基本だよなぁ」
 そして、いつのまに距離を詰めたのか、蛇腹剣を構えた不破が僧侶の背後に回っている。短距離転移の類か。
「まず一人!」
 全ての防御を無効化する呪を編んだ蛇腹剣に、確かな手ごたえがあった。
「お前達、実は俺のこと忘れてるだろう?」
 僧侶を庇った勇者はエルレーンの剣をはじき、己の腕で不破の剣を受けた。
「だったら、あんたの腕で我慢してやらぁ」
 不破が手首を返すと、蛇腹剣は一瞬で勇者の腕に巻きつく。
「あ、そう」
 腕を切り落とされながら、残る片腕で勇者は二人の猛攻に耐え、押し返した。
「あ!」
 リィムナの眉間に棒手裏剣が突き立つ。無数の斬撃に切り刻まれる前に夢魔は霧に変じて逃げたが、呪文は中断し、忍者の視界の外まで後退を余儀なくされる。
「良い線いってるが、俺達を殺るには役者不足だ」
 有る程度は実力が拮抗していたが、一味を抑えるには手数が足りない。それに肝心の勇者を止める存在が居ない。二人がかりで何とか、という出鱈目さだ。
「潮時かなぁ。大怪我したくないしー」

「降参しろ」
 エルレーンは勇者に逃げ道を潰され、進退窮った。
「俺達が欲しいのは、君達の命じゃない。逃げるなら追わないぞ」
「何それ‥‥私たちだって、ここでいっしょうけんめい生きてるんだから‥‥それをジャマするあなたたちのほうが、よっぽどジャアクだよッ!」
 背後でラグナの絶叫が聞こえた。エルレーンは最後の大技を打つ。諦め顔で、勇者はカウンターを放った。その場に、一体のレッサーデーモンが割り込んだ。
「俺の剣を、止めた?」
 二体とも粉砕するつもりで放った勇者の剣は、禍々しい鉤爪に受け止められた。
「お前、ただのレッサーデーモンではないな」
「いんや、わしは只の雑魚だど」
 止吉は小柄な体のどこにそんな力がと思うパワーで、勇者の剣を押し返した。倒れ掛かるエルレーンを、誰かが抱きとめる。
「間に合ったようだな」
「え、魔王様‥‥?」
 神々しい鎧に身を包んだ威丈夫は、大鬼。その後ろから早矢、とも、暗も現れる。
「大鬼だと、貴様‥‥死人遣いだったのか!?」
「まさかな」
 空の小瓶を投げ捨てる大鬼。
「それは、貴様‥‥宝物庫を開いたな!」
「いかにも」
 絶句したのは勇者達。
「俺達の戦利品に手を付けたのか」
「笑止」
 大鬼が着用するのは伝説の鎧。止吉の腕に装着されているのも同じく宝物庫の武具。
「大鬼ちゃん、あたしの分は?」
「貴様は十分強い。それに、死にたくはなかろう」
 大鬼は財宝の使用権をもたない。あれば最初から使っている。勇者と冒険者に好き放題にされ、忠義の士である大鬼はキレていた。あとで腹を斬る覚悟だ。
「元より、わたくしの命は魔王様に」
 伝説のシュリケンを手にした松戸暗。
「一度死んでるしな。召喚獣みたいなもんさ」
 津田ともはロケットランチャーを背負っている。異世界だ。
「さて勇者ども。月並で悪いが、今度は先程のようにはいかんぞ」
 早矢は黄金色の人馬鎧に身を包み、黄金の弓を構えた。
「無茶苦茶だな」
 斧槍を杖代わりに立ちあがる戦士。彼の目線の先では死亡したてのラグナが、エルレーンの飲ませた霊薬で目を開いた。
「突っ込み所が多すぎるぞ」
「ココとかソコとか?」
「はいはい、指を差さない入れない」
 能天気に再開する決戦第二ラウンド。

 再度、地獄。
「お早いお帰りで」
 船着き場を掃除していた死神に、止吉は晴れ晴れとした顔だ。
「未練は立ち切れたか」
「三度目はねえだよ。もう浮世は懲り懲りだど」
 彼は最早レッサーデーモンではない。最後の戦い、一撃でノされた止吉が気づいた時には、島は消滅していた。彼はその後、数多くの戦で武勲を立て、あと少しでデーモンロードという所まで上り詰めた。
「この川の先には何があるだ?」
 死神の船に乗り、波に揺られる止吉はあの頃の下級悪魔に戻っている。
「何も無い。全てがある」
「まんずまんず」
 未知への恐怖と期待に、冒険者は久しく忘れていた心の躍動を感じた。