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■オープニング本文 開拓者ギルド。 「人質にとられた開拓者を、助けてくれませんか」 これと見込んで声をかけた開拓者たちに、職員が依頼内容を語った。内密の仕事ということで、表の張り紙には載っていない。 「穏やかじゃないな。いったい、何があったんだい?」 当たり前の質問に、職員は渋面を浮かべる。 「実は‥‥悪徳商人を調査する依頼がございまして、証拠を掴もうと開拓者の一人が商人の屋敷に潜入したまではよかったのですが」 「発見され、捕まってしまったと」 「‥‥はい」 失笑と溜息が洩れる。 「ふん。失敗したなら、なぜ自決しない。シノビの風上にも置けん軟弱者よ」 「俺も今回はパスしよう。ドジを踏んだ他人の尻拭いなんて、面白くもない」 一人が席を立つと、続けて何人かが退出した。 「‥‥はぁ」 残った数名に、職員は話を続ける。 「商人の方でも、ギルドの依頼だと察したようで、謝罪と賠償金を要求してきました。何でも、侵入者のせいで店員が多数負傷したとかで」 「ほほぅ。開拓者ギルドを脅迫するとは、そいつは余程の阿呆か?」 「‥‥不法侵入に傷害なら、当然の反応ではあるけどね」 感想はそれぞれ、職員は複雑な表情で、事情を説明した。 捕まった開拓者を役人に引き渡された場合、さすがにそれでギルドが潰れたりはしないが、それなりの問題にはなる。こちらにも落ち度があるし、金で解決するなら、小悪党一人見逃しても構わないという意見もあったようだが。 「悪党に舐められては、開拓者の股間に関わるか」 「‥‥おい、字が違うぞ」 手段は問わない。人質さえ救出すれば、あとはどうとでもなる、と職員は鋭い口調で断じた。 「ほほぅ‥‥汚れ仕事だな」 但し、商人側も開拓者の襲撃を警戒して多数の用心棒を雇っている。強硬策を取るにしろ、忍び込むにしろ、楽では無いだろう。 また、多少の騒動は揉み消す気満々であるが、大部隊を引き連れて商人の屋敷を灰にするような真似はさすがに火に油。少数精鋭にて、悪党共にギルドの力を思い知らせてほしいと職員は頼んだ。 「よろしくお頼みします」 「待て。最後に一つ確認したい。その商人は、悪党でいいんだな?」 「さあ‥‥ですが、ギルドに喧嘩を売るような人です。買ってあげなければ、失礼というものでは無いでしょうか」 さて、どうするか。 |
■参加者一覧
川那辺 由愛(ia0068)
24歳・女・陰
鷲尾天斗(ia0371)
25歳・男・砂
野乃原・那美(ia5377)
15歳・女・シ
からす(ia6525)
13歳・女・弓
无(ib1198)
18歳・男・陰
破軍(ib8103)
19歳・男・サ
月雲 左京(ib8108)
18歳・女・サ
ラグナ・グラウシード(ib8459)
19歳・男・騎 |
■リプレイ本文 アサシンマスクに隠れた口元から、笑い声が漏れた。 「人が斬れる面白そうな依頼♪ 楽しみだね〜♪」 「――人が、か。那美はいつも元気ね」 無邪気な野乃原・那美(ia5377)に、川那辺 由愛(ia0068)は町娘の扮装を脱ぎながら暖かい目を向ける。 「忍び込むなら、東側の松が良さそう。庭の見張りからは死角よ。だけど、土蔵の周囲には5〜6人の用心棒が居るみたい。どうする?」 蟲使いの集めた情報に、那美は目を輝かせる。 「由愛さんありがとうなのだ♪ 由愛さん達が越前屋に入ったら、ボクも行くのだ♪」 6人。危ない橋だが、少女に不安は無い。 仲間が越前屋に乗り込むのを見届け、那美は鼻唄まじりで装備を点検する。 「援護は、要り様かな?」 尋ねたのは、からす(ia6525)。 「要らないのだ。由愛さんと一緒に行けば良かったのに♪」 「それも考えたが、私には後方支援が似合いだ」 小柄な那美より、からすは頭一つ低いが、得物は呪弓「流逆」。室内戦は絶望的に不向きだ。由愛は残念がったが、屋敷内に通された場合、接近されないで大型弓を扱える後方が無い。 「そーそー、待機者同士。仲良く無聊を慰めようぜェ」 からすの頭をくしゃくしゃと玩ぶ、眼帯をつけた大柄な戦士。 「鷲尾殿」 今回の面子で、からすに次ぐ実力者の鷲尾天斗(ia0371)。図らずも最強の二人が、待機を選んでいた。 「いかんなぁ。お前さん、面はいいんだが、可愛げ無さすぎ。前に言わなかったか、ロリの寿命は短ェ。もっと精進しろ」 真顔で説教ぶつ鷲尾。 「難しい。私は今の私を気に入っているのでね」 「あはは♪ おかしな人達なのだ♪」 「誰か、居るのか」 越前屋の見廻りが角を曲がった時、三人の姿は消えていた。 「む?」 「おい、来たぞ」 立ち止まった見廻り、後ろからもう一人が現れる。 二人の会話を、見越しの松の枝上で那美が見ていた。 「開拓者か」 「おう。奴ら、交渉の使者とほざいたが、刀を預ける気も無いときている。俺は屋敷の応援だ、お前は土蔵を頼む」 「心得た」 二人が屋敷内に消えた直後、庭に下りた那美は耳を澄ます。近くには、槍や弓を手にした用心棒が4人。雰囲気から、迎撃態勢を整えているのが分かる。 「困ったのだ♪」 隙が無い。姿勢を低くし、動くに動けないでいると、大勢の足音が近づいてくる。 「今のうちです、番頭さん達が開拓者を抑えてくれています。私達は外へ」 用心棒が前後を護衛し、越前屋の使用人たちが庭に下りて来た。裏門から外に出る気か、越前屋の妻子らしい者も混じっている。 「シノビは度胸♪」 那美は立ち上がった。店員の一団に沿って、土蔵に接近を試みる。用心棒からはちょうど死角になるが、使用人からは丸見えだ。 「お忙しい中、失礼致します」 越前屋の店先に現れた五人。 「お話が御座いまして、ギルドからまかり越しました」 月雲 左京(ib8108)の口調は長閑だが、店内の空気が凍った。 「ふん」 左京の斜め後ろに立つ破軍(ib8103)は腰の刀に手を添えた。怯えた客や店員とは別の、四隅から発せられる殺気。 「とりあえず5人か。‥‥少しは使うようだが、雑魚に変わりはない」 「俺達は話し合いに来たんだぜ」 暖簾をくぐるラグナ・グラウシード(ib8459)の背には、2mを超す大剣。ギルドと揉めている店に、明らかに武装した開拓者が5人も来たのだから、警戒するのは当然。 「開拓者を続けていると、どうも世間とズレてしまって困ります。えーと、殴りこみでも、営業妨害でもありません。私達は正式にギルドから今回の調停を依頼された者。御主人に取次を願います」 あらためて无(ib1198)が言うと、我に返った番頭が前に出るが、隅に控えていた浪人が先に口を開いた。 「話し合いは良いが、それならば、まずは武器をお預かり致したい」 「嫌よ」 平然と突っぱねる由愛。 「何?」 「あたしは護衛だもの。どうしてもと言うなら、貴方達が店を出なさい」 「あの。店先では他の方々の迷惑でしょう。そろそろ、中に入れて頂けると嬉しいのですが?」 暢気な左京。 「‥‥」 さて。丸腰外交なんて言葉もあるが、あくまで比喩表現だ。実際の交渉の場に、完全武装で乗り込むなど言語道断である。 「そういうお話でしたら、お帰り下さい」 「後悔することになるわよ」 「是非も無いこと。ギルドの体面を慮り、主人は示談で解決するお考えでございます。そのような主人に、どうして武器を手にしたままの皆様を会わせられましょう」 毅然とした番頭に、五人は顔を見合わせる。 「でも、話し合いは」 「非常に残念ですが、お白州で話し合うことに」 公式な裁判となれば、開拓者も強制的に丸腰。捕えたシノビは役人の元に送られ、ギルドは出廷の報せを待つだけとなる。 「困りましたね」 眉間に皺を寄せる左京。 開拓者は越前屋に乗り込む前に、事件の調査を行った。 下調べ程度だが、全体像は見えている。詳しい事は知らないが、この所の戦乱などの影響でこの町に入る米の量が減った。それに目をつけた越前屋が買値を吊り上げて米の買い占めを行う。競合店は代官に訴えたが、逆に厳しい取締りを受けて倒産。代官自身か、それに近い役人が絡んでいるのは確実だが、物証を得られず、先の開拓者は強引な手段に出て敗れた。 現状で裁かれた場合、敗北は必定。賄賂の物証は無く、狼藉者の生き証人が居るのだから、ギルドに懇意な役人に話を持ち込んだとしても、結果は動かない。或いは、名探偵が居れば結果は違うかもだが、詮無いことである。 「‥‥やるか?」 破軍は左京にだけ聞こえる小声で呟く。はきとは分からないが、表と、店の奥に用心棒が集まっているようだ。少なくとも10人以上か。 「分からんな」 大剣に手をかけ、ラグナは番頭に近づいた。 「ギルドがその気になれば、勝負にもならぬ。商人なら、そのくらいの計算は出来よう。折角、我らが教えに来てやったのに、なぜ無駄な事を続ける」 確かに裁判になればギルドは負ける。 しかし、裁きの日に越前屋が天儀から消えていても、何の不思議も無いのである。 「皆様から見れば、たかが小悪党でございましょう。ですが、商人にも矜持がございます。商いで敗れたなら知らず、斯様な横車に膝をついては商人の身が立たないのでございます」 「ふん‥‥なかなか面白い。言葉だけか否か、試してやろう」 まさに一触即発。 「お騒がせして失礼致しました。そちら様の言い分、一々御尤も。出直して参ります」 「尻尾を巻いて、逃げて来た訳かい」 天斗は、面白くもなさそうにからすを膝の上に乗せて遊んでいた。 「申し開きもございません」 「左京殿が謝ることは無い。表で騒ぎを見ていた者が番屋に知らせていた。戦っている最中に、同心どもに乗り込まれたら、もっと拙いことになったよ」 「番頭を殺さなくて良かったわ」 肩をすくめる由愛。彼女は高位の陰陽師、指先一つで呪い殺せる。 「はぁ。殴りこみもいざやってみると、難しいものだねぇ」 无の声には自嘲が混じった。 「といって、強請りたかりの玄人に弟子入りする暇は無いぞ?」 破軍の言う通りだった。ギルドの出方を知った越前屋は早晩、手を打つはずだ。人質奪還は難しくなる。 「腑抜けましたか? 話は十分致しました。依頼はこれからでございます」 左京は仲間達を見回した。 「‥‥」 開拓者ギルドは、言うまでもないが武闘派である。 道理も正義も配慮するが、立ちはだかる者を力で排除する組織なのは否定できない。裏を返せば、武断派でなければ様々な厄介事、難事件を短期間で解決できない。 深夜。 昼間の影響か、越前屋の周囲だけは昼のように明るい。開拓者の襲撃に備え、篝火を焚いて用心棒が寝ずの警戒に当たっていた。 「何者だ!?」 「当ててみろ‥‥もっとも、手前ぇらの下らねぇ御託も聞き飽きたトコだ‥‥」 闇に浮かび上がる深紅の刀身、炎の霊剣を振り上げる破軍。 「宴を‥‥始めさせて貰うぞ‥‥」 五人は先刻と同様、正面から越前屋を訪れた。違ったのは、今度は刀を抜いていたことだ。 「ギルドの殴り込みだぁ!!」 「遅いっ!」 迎撃に出て来た用心棒を、左京の魔刀が薙ぎ払う。 「籠城されては面倒。このまま、越前屋に直談判と行きます」 屋敷に乗り込む左京に、破軍は短剣を投げて寄こした。 「使え。屋敷の中でシャムシールは不利だ」 「要らぬ節介です」 声が緊張していた。狭い屋内、敵味方が密着した状況は左京に良くない。 「貴様らぁ!! 戦場で乳繰り合うとは――爆発しろッ!」 この場で最大の殺気を、仲間に放つラグナ。 「馬鹿やってないで、仕事しなさい!」 由愛が呪符を向けると、今まさにラグナに横槍を入れようとした用心棒が口から大量の血を吐いて倒れた。 「ラグナさん、だから私の刀を貸すと言っているでしょう?」 大剣を持て余して苦戦するラグナに、无は溜息をつく。 「男からは借りん」 「はぁ?」 「‥‥いや、丁度良いハンデだ!」 言葉とは裏腹に、ラグナは勢いよく突撃したものの、先程から防戦一方だった。用心棒の実力は一対一ならば負ける相手ではない。ただ、地の利と数の差、得物の不利と揃えば、十二分に脅威。 「開拓者と言えど、やれるぞ。増援はまだか」 「あのォ、スイマセン〜。応援にィ来た者なんですけどォ」 用心棒が振り返ると、腰の刀を取り落としかけてモタモタする男が一人。 「何をし‥ッ!」 「へっ」 エア・スティーラーの銃口を用心棒の頭に押し付け、引き金をひく天斗。 「地獄からの応援ですけどねェ」 狂気を引っ提げて現れた天斗は、瞬く間に、五人を挟撃する間際だった表の用心棒たちを斬り捨てる。 「美味しい所を持っていくわね。でも助かったわ」 「居ねェ。やっぱ、庭か」 用心棒と五人を一瞥し、踵を返す天斗。 「おい」 「中に入っちまったら俺も動けねェし。すまんネ、ロリが俺の助けを待ってるんだヨ」 見事な逃げっぷりで、天斗は囲まれる前に離脱する。 今更だが、今回の件に限って善悪を問うならば、ギルドが悪い。 越前屋がどれだけ悪党でも、強引に捜査してしくじり、今度は襲撃して証拠隠蔽を図るやり方に正義はなかろう。 「開拓者はアヤカシだけ相手にしていれば良いのだ!」 徳兵衛は屍山血河を築いて進む開拓者の姿に戦慄を覚える。 「越後屋さんは思い違いをしていなさる。我々は決して正義では無い。私怨でアヤカシを倒すついでに世界を救う、ならず者だよ」 からすは庭の奥に立ち、用心棒に矢雨を見舞った。相当数の敵を牽制している。 「さぁて、菊ちゃんは何処かなァ〜」 弓の支援を受け、血刀ぶら下げて涼しげに庭を闊歩する天斗。己を囲む用心棒が、目に入らないかのような傍若無人ぶりだ。 「狼藉三昧を為して、言う事はそれだけか!」 同時に、三方からの打ちこみ。正面は覚悟の囮だが、天斗の左手からベイエルラントが飛んだ。 「‥‥」 「なっ」 敵の技量なら受け損なう一撃ではない、驚いたのは用心棒の方だった。側面からの一撃で天斗の左腕の包帯が切り裂かれ、闇色の肌が露わになる。 「貴様、その腕は」 「良かったナ、冥土の土産ダ。あの世で自慢しなァ」 崩れかけた体勢から用心棒の足を払った。倒れた用心棒の口に、天斗は銃口をねじ込んで、放つ。 「俺が真面目で模範的な開拓者だったら、結果は違ってたか?」 愛刀を拾い上げ、包帯で手と剣とがっちり固定する。 「――それでも俺はガチロリだ。仕方ねぇよなァ!」 哄笑をあげる天斗。 徳兵衛が雇った30人強の用心棒は、8人程では無いにしろ、全員が志体持ちで、腕が立った。明らかに過剰で、採算は度外視だ。開拓者を迎え撃つにはそれ程の戦力が必要であり、越前屋は本気だった。 正面の五人は地の利を奪われて力を生かしきれず、十五人ほどの用心棒に抑え込まれつつある。庭に回った二人は化け物のようだったが、土蔵の守りを割いて対応した。直に制圧できるだろう。 「‥‥」 熟練したシノビは、軒下に一週間でも潜む。食事から排泄まで制御し、敵地の緊張と無為に耐え抜く精神力は、超人と呼ぶに相応しい。 そこまでは不可能でも、那美も名に恥じぬ手だれ。昼間の騒ぎに乗じて潜入し、土蔵の守りが堅いと見るや軒下に隠れ、好機を伺い続けていた。 「――ここまでだ、観念しろ」 傷だらけの用心棒が、落し穴に嵌った左京に槍を突き付ける。 「そうですね。このくらい引き付ければ、十分で御座いましょう」 「チビ助。俺達が捕まっては、意味が無いのでは‥‥?」 槍を払う破軍。 「むざと虜囚の辱めを受ける気はございません」 「‥‥そうか」 程なく、屋敷内の用心棒に動揺が表れた。練力が尽きて逃げ回っていた由愛が、とびきりの笑顔を見せる。 「那美ぃ〜!」 土蔵の守りが2人に減った瞬間、シノビは猟犬の如く飛び出した。 「お待たせ〜♪ 救助も終わったし、派手に暴れるのだ♪」 菊を解放し、姿を見せる那美。 「たかが二人増えたところで」 叫んだ徳兵衛の顔が引きつる。膠着した盤面を引っ繰り返すには十分だと、彼自身が分かっていた。 「あはははは、斬られたい人から来るんだぞ♪ 来ないならこっちから行くよ〜♪」 「よくもよくも‥‥倍返しだ!」 それまで我慢した分を吐き出すように暴れるシノビ二人。その勢いは庭から屋敷内まで伝播し、決まりかけていた戦局を覆す。 騒ぎを聞き付けた役人が捕り方を引き連れて駆けつけた時には、立っているのは開拓者のみだった。 代官の裁きにより、菊を誘拐拉致した越前屋と一味は極刑。仲間を救出しに来た開拓者らは無罪放免となった。 「不正のふの字も、出ませんでしたねぇ」 无は裏帳簿を探したが、見つけらなかった。徳兵衛は何も語らないが、おそらく処分したのだろう。 「商人が帳簿を始末するなんて、余程の事です」 「越前屋の妻子が持って逃げたのかもしれないですね」 使用人と徳兵衛の妻子は屋敷に居なかった。用心棒も数名減っているらしく、襲撃前に逃がしたようだ。 「んな事より、菊ちゃん。帰ったら反省会ついでに遊ぼうかァ」 天斗は満面の邪笑。菊は小動物のように脅える。 「これだけ、手間かけさせたんだから、ただは無いわよねぇ」 「助けたお礼はお酒奢ってくれるのでいいのだ〜♪」 由愛と那美は楽しく酒宴の相談。 門扉を固く打ちつけられた越前屋の屋敷。 「越前屋様は、開拓者に目を付けられていたと噂で御座いますよ‥‥?」 帰り際、屋敷の前で噂し合う町人たちの前を、左京は通り過ぎた。 |