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■オープニング本文 ――毛の無い頭に効くという湧き水がある。 沼谷藤四郎(ぬまや・とうしろう)はそれを求めて山をひたすら登っていた。 この木々の、坂の、崖の向こうに求めるものがある。 そこへ夏の日差しが容赦なく降り注ぎ、キラリキラリと藤四郎の頭を光らせた。 「俺ァお天道様じゃねえーッ!!」 今は四十。頭髪が別れを告げ始めたのが二十九の頃。 そこから短期間で見事に禿げ上がった藤四郎を、友人達はこれでもかというほど弄った。 やれお天道様だ拝もう、やれ逆蛍だ冬でも見れるぞ。言われてきた数々の言葉――一応悪意は籠もっていないものだが――を思い返しつつ、藤四郎は咆哮を上げながら坂を駆け上る。 何をしてでも水を手に入れたい。 手に入れてフッサフサになって、友人達を見返してやりたい。 ‥‥もちろん、その湧き水の効力が迷信であることを分かった上で。 藤四郎は「信じればもしもってこともあるんじゃない?」派である。 「どりゃあッ!!」 目の前に現れた崖に何の躊躇いもなく飛びつく。 テンションだけはうなぎ上り状態である藤四郎は、「はーッ!」や「やああーッ!」などと奇声を交えつつ、普段では考えられないような判断力を駆使して崖を這い上がっていった。 「ラストぉッ!」 片腕を先に崖の上に乗せ、そこから上体を引き上げる。 さあ次は谷か?川か?それとも沼か? そう思いながら藤四郎が顔を上げると、そこには野犬が居た。 「‥‥は?」 生き物は予想していなかった。 野犬は牙を剥いて低く唸っている。 少し厄介だが、突破出来ぬ困難ではない。 「よし、行っ‥‥」 『グルルルルルッ』 『ウウヴヴヴ‥‥』 ガサガサと草陰から出てくる野犬、野犬、野犬の群。 「‥‥‥‥」 大家族だな。 藤四郎はそんなことを考えながら、崖から真っ逆さまに落ちていった。 「普通の野犬で良かった、ケモノじゃったらお前ぇ崖下まで追っかけられて食われちょったぞ」 「‥‥」 山の麓にある村にて。 あの後落下の途中で木に引っ掛かった藤四郎は、ボロボロのまま下山して村の入口で昏倒。 目覚めるとこうして村の老婆に介抱されていた。 「お前ぇのように湧き水さ求めて来る者は多いがな、髪より命の方が大事じゃろ?」 「それでも‥‥」 「ん?」 「それでも俺ァ、また風に髪をなびかせたいんだよォ――ッ!!」 「ちょッ、まだ動いたらいげねぇって!」 勢い良く立ち上がったは良いものの、藤四郎は貧血でそのままストンと座ってしまう。 そこで諦めたかと思いきや、何やらその場でぶつぶつと言っている。 「‥‥ギルドに頼んで護衛を付けてもらおう、それなら怖いものなしだ。そして湧き水ゲット!俺賢い!毛さえあればやっぱモテるな!」 老婆は皺だらけの眉間を押さえた。 |
■参加者一覧
川那辺 由愛(ia0068)
24歳・女・陰
露羽(ia5413)
23歳・男・シ
エルディン・バウアー(ib0066)
28歳・男・魔
ルーディ・ガーランド(ib0966)
20歳・男・魔
蜜原 虎姫(ib2758)
17歳・女・騎
東鬼 護刃(ib3264)
29歳・女・シ
リリア・ローラント(ib3628)
17歳・女・魔
御影 銀藍(ib3683)
17歳・男・シ |
■リプレイ本文 ●湧き水目指して 山の中、きらめき動く禿頭がひとつ。 「今度こそ湧き水まで辿り着く!」 そんな藤四郎の張り切り方を見て、川那辺 由愛(ia0068)が何度も頷いた。 「うんうん。やっぱ何とかしたいわよねぇ。その気持はよぉぉぉっく判るわ」 「わかってくれるか姉ちゃん!?」 藤四郎は武器代わりにと持って来た山登り用の杖を握って言う。あまり同意されたことがなかったのだろう。 由愛も身体にコンプレックスを持つ者だ。気持ちが分かるからこそ、彼に協力したいと思い参加した。‥‥まず、深い共感と同情を禁じ得ず、というのがあったりするが。 「‥‥髪の毛、ですか」 二人のやり取りを見ていたリリア・ローラント(ib3628)がぽつりと呟く。 そしてすうっと視線を移動させ、ルーディ・ガーランド(ib0966)――の、頭部を見た。 (ルディさんも、あと9年で髪がさよならしちゃうのかしら) 数字がリアルである。 気付くとリリアはルーディの頭をふしゃふしゃと触っていた。 「野犬については確定出来る情報はなし、か。襲ってくる原因がちょっと分からないし、出来るだけ刺激をしないで済ませ――な、なんだ?」 考え事をしていたルーディが驚いたように言う。 が、何かの別れを惜しむかのようにリリアはふしゃふしゃと撫で続けるのだった。 「毛の無い頭に効く泉‥‥。迷信でしょうが、誰か使った事あるのかな?」 「元となった出来事はあるかもしれませんね」 露羽(ia5413)はそう御影 銀藍(ib3683)に言う。 「露羽さんはこの迷信を信じてますか?」 「そうですね、私もどちらかというと信じれば派かもしれません」 シノビとしては甘いのかもしれませんけど、と露羽は頬を掻く。 「信じるだけなら害はないですよ。それにしても‥‥野犬達はどうして襲ってくるんでしょうか、山の中がテリトリーだからかな」 「もしかして子犬が産まれたせいでは?」 エルディン・バウアー(ib0066)が人差し指を立てて言う。 「子犬が産まれれば自然と気が立つというものです」 「かもしれませんね、もしくはこの両方か‥‥」 山全体がテリトリーで、且つ子犬が居るから。 もしそうなら、あの野犬の中のメスは子供を守るために、オスは縄張りを守るために牙を剥いていたのかもしれない。 そう考えた直後、上り坂を前にした藤四郎が吠えた。 「坂なんてなんのそのおおぉっ!!」 叫びながら駆け上がる藤四郎。やはりテンションが高い。 それに目をまんまるくしながら、護衛の蜜原 虎姫(ib2758)が急いでついて行く。 「藤四郎さん、藤四郎さん。もう少し、ゆっくり、いきましょ?」 「しかし嬢ちゃん、こうしてる間にも俺のフサフサ期間が短くなってると思うと‥‥!」 早く見つけてフサフサな頭で余生を送りたいということらしい。 もう一度言うが、迷信ということを藤四郎はよくわかっている。しかし行動せずにはおれないのだ。 「お水は、逃げない、です」 こくり、と頷き、虎姫は彼女なりに力説する。 「くっ、仕方ねぇ。でも早足な!早足!」 「わかった。湧き水の、場所、ついたら…どう、するです?」 「飲んで頭につけて汲んで帰る!」 「汲んで‥‥」 だから背中に桶を括り付けていたのか、と出発前から気になっていたことが分かり虎姫は手の平を打つ。 そうして虎姫は続けて訊いた。 「どうして、お水、欲しい、です?」 「‥‥」 ちょっぴり地雷だった――と思った瞬間に藤四郎のマシンガントークが始まり、数分間髪絡みの理由を切々と語られることになるのだった。 ●犬の気配 色んな意味で和やかなムードが拭いきれない一行だったが、警戒することも怠らない。 露羽は超越聴覚で周囲の音を拾い、由愛は人魂で視界を広げる。他の皆も周囲に気を配りつつ前へ進んだ。 東鬼 護刃(ib3264)は地図を見、方角を確かめ、道に視線を戻す。 この地図は彼女とルーディ、リリアが出発前に村の猟師に頼んだものだ。 しかし猟師は普段この湧き水目当てで山に入る訳ではないため、地図上の湧き水の位置はとても大まかだった。 (ま、見ればすぐ分かるそうだし心配いらぬかのぅ) 大まかだとしても描かれた山道は比較的正確だ。これは前に野犬が出た場所を迂回するのに役立つ。 しかしもし犬の縄張りが山全体に及んでいるとしたら―― 「!!」 何かが草を揺らす音に全員の動きが止まった。 続いて聞こえてきたのは低い唸り声。 「野犬か」 ルーディがリリアの前に立って言う。 草陰から姿を現したのは六頭の野犬だった。その後別の草陰から五頭、道の向こう側から四頭現れる。そして木々で視界の悪い方角からも声が聞こえるということは、他にも何頭か居るらしい。 野犬達はしばらく唸った後、引っ繰り返ったようなけたたましい吠え方をした。 「では何頭かいただいてゆくとするかのぅ」 軽いステップを踏みながら護刃が野犬と野犬の間を縫うように走り出す。 野犬の数頭がそれに反応し、地を蹴って追い始めた。 護刃は坂を駆け上がって後ろを確認する。 「いち、さん‥‥五頭か、まあまあじゃな」 彼女はいわゆる「囮役」である。 追いつかれそうになったら早駆を使い引き離すつもりだが、野犬が戦意を喪失しない程度に抑えておく。 「しばらく付き合ってもらうぞ?」 香辛料の入った袋を握って笑う。 これは十分に皆から引き離すことに成功した時に使うものだ。犬を油断させ、撒くのに一役買うだろう。 その時が来るのを待ちながら、護刃は野犬の様子を窺いつつひた走った。 「私も行きます、皆さんご武運を」 「ええ、湧き水の場所で落ち合いましょ」 そう返した由愛に片手を上げ、露羽も護刃続いて走り出した。 ついてきたのは四頭。ただし一頭だけ体の大きなものが混じっている。 露羽は彼ら、もしくは彼女らを挑発しながら距離を稼ぐ。 「‥‥はっ!」 しばらく走ったところで早駆を使用し、野犬達の前から雲隠れする。 ぎょっとしながらも野犬達は匂いを追ったが、撒いてから木の上に移動した露羽を見つけることは出来なかった。 「あちらさんからしたら、あたしらの方が縄張り荒らす侵入者ってとこかしら」 由愛が残った野犬達の様子を見て呟いた。 その時野犬の一頭が牙と目を剥いて彼女に飛びかかる。 「ほら。こっちに争うつもりはないの、とっとと逃げなさい!」 噛み付きか突進か分からぬ攻撃をヒョイと避け、由愛が取り出したのは一枚の符。 しかしこれは攻撃用ではない。 『!?』 投げつけられた大龍符から禍々しい龍が召喚された。 その龍が口を開け凄い早さで迫ってきたのを見、野犬達が左右へと散り散りになる。 見せ掛けだけの符だが、ここでは効果的なようだ。 「ふうん、肝っ玉の据わってる奴も居るみたいね」 慄きながらも残った野犬達を見て由愛が褒めるように言う。 「どこか、入ってほしくない、所‥‥ある、のかな」 一番藤四郎に近い護衛役の虎姫は野犬達を一頭一頭見ていく。 「どうして‥‥気がたってる、の?」 ちゃんとした答えが知りたくて聞いてみたが、もちろん返答はない。 次の瞬間、野犬がジャンプして襲い掛かり、思わずしゃがみ込んだ藤四郎を守るために虎姫は盾を前に出した。 「ごめん‥‥ね。虎姫、たち、用がすんだら、出てく‥‥から‥‥!」 弾かれた野犬に謝り、虎姫は藤四郎をゆっくりと立たせる。 「虎姫殿、犬と目を合わせて下さい」 エルディンが冷静な声で言う。 「興奮している今は分かりませんが、犬は自分より弱い者かどうかすぐに見極めますよ」 完全に舐められたら終わりである。エルディンは近くに居た犬と視線をしっかり合わせ、威圧した。 犬は視野の関係で正面が見づらいが、これくらいの距離があれば目を合わすことに問題はないだろう。 だがこちらの人数に対して、まだ野犬の方が多い。増援もこれ以上無いとは言い切れない。 「‥‥ルーディ殿、リリア殿」 エルディンの呼びかけに二人が頷き、杖を構えた。 「‥‥お願い、こっちに来ないでっ」 リリアが願うように言い、小石を真上へと投げる。 その小石にエルディン、ルーディ、リリアのサンダーが凄まじい雷鳴と共に落ちた。 野犬の大半はそれに怯え、完璧に戦意を失って尻尾を巻いて逃げる。 ついでに藤四郎もポカーンとした顔をしていたが、こちらに害は無い。 「まあ、雷を苦手としない個体も居るとは思いましたが」 「逃げるタイミングを失った、という風にも見えるかしら?」 残ったのはたったの二頭。 片方は群れのボスだろうか、一番貫禄がある。 もう片方はやっと腰が抜けた状態から回復した雄犬だ。 「冷静ではないみたいですね」 銀藍が苦無を握って言う。 雄犬はそんな銀藍に狙いを定めたようだった。まだ仲間がほとんど居なくなったことに気付いていないのか、ボスが近くに居ることで安心しているのか。どちらにせよ無謀だった。 銀藍は打剣を使用してから木葉隠でその身を隠す。 惑わされた雄犬だったが、もう攻撃をやめられる段階ではない。 跳んできた雄犬を刀の鞘で払い、銀藍はその足元を狙って苦無を飛ばして牽制した。 「命までは取りません、去りなさい」 地面に突き刺さった苦無は雄犬の足先の毛を数本奪った。 短な毛だ。それだけ苦無のコントロールは完璧だった。 「毛‥‥」 変なタイミングで入る藤四郎の呟き。 雄犬は後ろ足の間に尾を挟み込み、腰の引けた状態でその場から逃げ去った。 「さて、残るは――」 エルディンに答えるように吠えるボス犬。 それに覚悟を決めるような顔をし、エルディンは武器をボス犬に向ける。 「おお、神よ、罪深き私の行為をお許しください。犬に噛まれるのは危険ですから、我々の身を守るためなのです」 杖が光り輝いたかと思うと、そこから聖なる雰囲気を纏った矢が繰り出された。 またただの視覚による威嚇だと思ったのだろう、ボス犬が前に飛び出す。 しかしそれは矢だった。 空気を引き裂き飛んだ矢は、ストンッとボス犬の鼻先に突き刺さった――少なくとも、ボス犬は「鼻を射られた」と感じた。 じわりと鼻先に広がる痺れのようなもの。 一転してパニックに陥ったボス犬は横転し、砂を掻きながら無理やり起き上がると鼻血一滴も出ていない鼻を気にするようにしながら逃げていった。 「み、峰打ちのようなものか」 ホーリーアローの説明を受けて言った藤四郎の言葉に、エルディンは笑顔で頷いた。 「アヤカシにはこうはいきませんけれどね」 ●到着! 「ついたあああぁぁぁ――っ!!」 小さな祠と湧き水を見つけた藤四郎は両手を上げて子供のように喜んだ。 そこへ囮組も合流し、皆の無事を確認し合う。 やはり香辛料袋は使うことになったようだが、これのおかげで野犬を傷つけずに済んだのだ。 「これが噂の湧き水ですか」 覗き込む銀藍。そして皆を確認し、あることを言った。 「でも良かったです。けが、ないようですし」 ぴくっ 「はい。けがなくて、良かったですね」 ぴくぴくっ 「みんな、けが、ない‥‥本当に、よかった‥‥」 「そうだな、どうなることかと思ったが、けがなくてよかったね」 けがない け が な い け が な い 「‥‥あら?藤四郎さん?」 藤四郎はトラウマを熱したキリで刺激されたかのような顔をしていた。 「な、な、なんでもないっ!とにかく飲むぞー、被るぞー、汲むぞーッ!」 「そ、そうですか?もし怪我をしていたらちゃんと言ってくださいね?」 心にならささやかな傷が出来たぜベイベー、と心の中で呟き、藤四郎は湧き水を両手に掬って豪快に飲む。 その様子を見守っていた護刃が声をかけた。 「髪に拘るのも構わんが、もうちと周り見ても良いと思うんじゃがの?」 「んん?周り?」 「気付いとらんだけで、存外にお主慕うもの多かろうて」 藤四郎は自分の友人達を思い返す。 「慕われてるのか微妙なんだが、なぁ」 「どれ、ひとつ霊験あらたかなお守りでもやろう」 「?」 護刃が藤四郎の手の平にぽとんと落としたのは恋愛成就のお守りだった。 「おおおっ!これはちょっと気にはなっていたけれど四十路男が買うには勇気が要りすぎて断念した恋愛成就のお守りィ!?」 「ほっほぅ、まあ信じるも信じぬも沼谷殿次第じゃがのー?」 頂く上に信じるッ!っと藤四郎はホクホク顔でお守りを懐に仕舞った。 「虎姫は、そのままの藤四郎さんも、楽しくて、すき、ですよ」 「早速効果が!?」 虎姫も護刃のようにくすくすと笑っているのは気にしない藤四郎だった。 「私もそのままというのには賛成ですね、藤四郎殿はスキンヘッドを活かしてダンディズムを売りにするとモテますよ」 「だんでずむ?」 「ああ、それは僕も思ってたんだ。堂々としちゃえば誰も何も言わないよ。むしろ、逆にスキンヘッドに剃ったっていいんだろうし」 エルディンとルーディがお互いの主張を藤四郎に伝える。 考えが凝り固まっている時に他人の意見を聞けば、何か変わるかもしれない。 「禿なんてそんなに気になるものじゃないよ」 「そうそう、私なんて」 エルディンは柔らかな金髪をふわさっとなびかせる。 その顔に浮かぶのは、聖職者スマイル。 「こんななりでも全くモテません。フラれたことはあっても言い寄られたことは皆無です」 「!」 カッと見開かれた藤四郎の両目。彼は今何を思っているのだろうか。 とりあえずエルディンを凝視して固まっているのは確かだ。 「お、俺は毛さえあればモテモテなんだ、毛さえあれば!でも‥‥」 つまりフサフサ美形なエルディンすらモテないのなら、自分に毛が生えたところでどうなるんだ、ということらしい。 かなり不確定なものを支えにしていたようだ。 「私はそういう頭も荒々しい感じで男前だと思うんですけど‥‥」 「クッ、世の中がお前さんみたいに禿に優しい人ばかりなら良いのに!」 どれだけトラウマなんだろう、と露羽は口の端を引き攣らせる。 「きっと、好いてくれる方がいらっしゃいますよ。もっと自分に自信を持ってくださいね」 それでも微妙にしょぼくれている藤四郎の肩を由愛が叩いた。 「たった一つの例を見ただけなのにショックを受けすぎよ」 「でも、でもよう」 励ましの言葉をかけるのかと思いきや、由愛はこう言った。 「――それとも、此の程度で諦めるのかしら?」 藤四郎は単純な男である。 「‥‥」 思い込みは激しいが、今回のことは単純さに由来している。 故に。 「諦めえぇぇーんッ!そうだよな、やってみなきゃわからないよな、これだけ色んな意見があるんだしな!」 がしっ、がしっ、と開拓者ひとりひとりの手を握っていく。 「ありがとよ、俺もっと頑張るぜ!」 「ほ、ほどほどにね」 苦笑いするルーディもなんのその、立ち直った藤四郎はまたぐびぐびと湧き水を飲んだのだった。 ちなみに結果は――もし道端で彼を見かけることがあったら、確認してみるのも良いかもしれない。 |