緑眼鯰の見るもの
マスター名:真冬たい
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/07/19 17:50



■オープニング本文

「おっ、順調みたいじゃな!」
 ちょび髭を生やした男性が片手を上げてそう言った。
 視線の先では数人の男達がせっせと何かの準備を進めており、その向こうには大きな池が広がっている。
「ああ、村長。いらっしゃい」
 首にタオルを巻いた男がそれに応じる。
 村長は嬉しそうな顔をし、準備風景に視線を戻した。
「これでなんとか当日までに準備が整いそうじゃのう」
「そうですね、竿やバケツもなんとか用意出来ましたし‥‥」
「餌の方はどうじゃ?」
 男は少し離れたところにある原っぱを指さした。
「あっちで子供達にミミズを捕らせています、かなり集まりましたよ」
 その報告に村長は「ふぉふぉふぉ」と笑い、後でご褒美に饅頭をやらなくてはのうと目を細める。
 続けて男達を労おうとした時、すぐ近くから悲鳴が上がった。
「なんじゃっ!?」
 男の悲鳴だった。
 ここに居る男達は皆、屈強で落ち着きもある。
 そんな者が何も取り繕っていない大きな悲鳴を上げたことに、村長は二重に驚いた。
「なっ‥‥」
 しかしすぐに得心する。
 ――池の真ん中に居る、黒いもの。
 表面はぬらぬらと光っており、左右に小さな目玉が付いている。その目の前方から棘のように伸びたヒゲ。
 口はどこか笑っているような形で、こんな状況下でなければ愛らしいと思えたかもしれない。
 そいつは扇のようなヒレを動かし、ごぼり、と気泡を浮かべた。
「ナマズ、じゃと?」
 姿形はそれに違いない。しかしその大きさは優に人間を飲み込める程もある。
 これだけならば、常識を超えて大きなナマズだと思った‥‥否、思えたかもしれない。
 しかしその大ナマズの両眼は不気味な緑色に光り、岸辺の男達を見るその視線には食欲が含まれていた。
「‥‥に、逃げろ!そいつはアヤカシじゃ!!」
 渾身の力を込めて村長はそう叫んだ。


 翌朝、ギルドにて。
「その時は逃げることが出来たんです」
 作業をしている時とは違い、きちんと着物を着込んできた男が悔しげに言う。
「しかし数日後に村興しも兼ねた釣り大会を予定していまして‥‥その大会が中止になってしまったということと、アヤカシが出たということにショックを受けたのか、村長は寝込んでしまいました」
「お加減は‥‥」
 受付嬢が聞くと、男は眉尻を下げて「今は落ち着きました」と答えた。
 しかし大会に対してかなり力を入れていたため、落ち込み具合は半端無いのだという。
 いつもは歩く柔和な村長が、一日で疲れ果てた老人になってしまった。
 それを見ていられず、男は村の皆と相談してギルドに依頼を持ち込んだのだ。
「どうにかアヤカシを倒し、ちゃんと大会を開けるようにしてはもらえないでしょうか?」
 男はそう言い、頭を下げた。


■参加者一覧
朝比奈 空(ia0086
21歳・女・魔
氷(ia1083
29歳・男・陰
赤マント(ia3521
14歳・女・泰
九条 乙女(ia6990
12歳・男・志
霧隠 孤影(ia9099
15歳・女・シ
オラース・カノーヴァ(ib0141
29歳・男・魔
セゴビア(ib3205
19歳・女・騎
羽喰 琥珀(ib3263
12歳・男・志


■リプレイ本文

●池の周り
 しつこい蚊を追い払いつつ、オラース・カノーヴァ(ib0141)は釣り大会のセットから5メートル離れた所でストーンウォールを発動させた。
「‥‥これくらいか」
 時間をかけてゆっくりと作った壁の数は計七枚。
 やや大雑把に設置したが、壊されない限りは大丈夫だろう。
「俺は旗の回収をしよっかなー」
 様子を見ていた羽喰 琥珀(ib3263)が言う。
 旗は池を取り囲むように立てられているため、壁では覆いきれなかったのだ。
 しかし駆けて行こうとする琥珀の肩をオラースが掴んで止める。
「あまり近づくとアヤカシが出てくるかもしれない。それよりも氷を探してきてくれないか?」
「どっか行っちゃったの?」
 現地に集合した時には居た氷(ia1083)が、準備の最中にいつの間にか居なくなってしまったらしい。
 それを聞いて琥珀は元気良く頷き、氷を探しに駆けていった。

「ここに命綱着けて‥‥アレ?引っ張ったら解けた‥‥」
 セゴビア(ib3205)は解けてしまった荒縄を片手にハテナマークを沢山浮かべる。
 きちんと結んだつもりだったのだが、それが何故引っ張っただけで解けてしまったのか理解出来ない。
「ど、どうしましたかな?」
 突然緩んだ腰の縄に九条 乙女(ia6990)が振り返る。
 乙女は今回、囮役としてここに来ていた。自らを餌としてナマズ型アヤカシを誘き出そうというのだ。
 それに必要な荒縄をセゴビアに結んでもらっていたのだが、上手くいかないらしい。
 一旦セゴビアの前にしゃがみ、乙女は簡単な結び方を教えていく。
「こうして、こうして‥‥この輪の中に通して引っ張れば完成ですぞ」
「わかった、やってみるね!」
「頼みますぞ、また分からない所があれば訊――むっ、セ、セゴビア殿、ちょっとそれはきつ‥‥くっ」
 ‥‥少々のハプニングはあったが無事に結び終え、武器の薙刀にも荒縄を括り付けていく。
 あとはこの先をセゴビアと琥珀に持ってもらい、アヤカシが出てきたら引いてもらうだけだ。

 氷は池から少し離れた所にある広場に寝転がっていた。
「巨大ナマズか‥‥アヤカシも釣り大会に参加したいのかね」
 そんなことを言いつつ、ふぁ、と欠伸をひとつ。
 ここからは池がよく見える。作戦が開始されたらそれを見つつ、アヤカシが現れてから現場に向かおうと氷は考えていた。
 とどのつまりサボりである。
「‥‥お、準備出来たのか」
 姿を見つけ、走ってくる琥珀の姿が目に映る。
 仕方ない、もう少しだけ近くに寄ろう、と氷は重い腰を上げた。


●ナマズの姿
 朝比奈 空(ia0086)と霧隠 孤影(ia9099)は物陰に隠れ、池に近づく乙女を見守る。
「なかなか出てこないですー」
 波打ちすらしない水面を見て孤影が呟いた。
「そうですね‥‥しかしいつ出てくるか分かりません。油断は出来ませんよ」
 真っ白な杖を握り締め、空が引き続き様子を窺う。
 乙女は池から30センチと離れていない所まで来ていた。そこから池に沿って歩いてゆく。
 なるべく人の気配がするようにわざと足を大きく踏み出し、小石や枝を踏み鳴らす。
「て、手に汗握るね」
 そこから40メートル以上離れた所にセゴビアと琥珀は居た。
 荒縄は50メートルの長さがあるが、縛っているため少し短い。そのため長さ目一杯までは離れられなかったが、これでも十分すぎる程だろう。
 むしろ二人はアヤカシが現れてからどう行動するのか考えておかなくてはならないかもしれない。
 攻撃の射程からは遥かに離れている上、駆けつけるにも少し時間がかかるだろう。
 まあその前に別の仲間が駆けつけるかもしれないが――と考えていると、少しずつ引っ張られていた縄が止まった。
 目を凝らして見てみると、乙女が池の方を向いたまま静止している。
 アヤカシが出たのだろうか。ここからは確認出来ない。
「どうする?」
 琥珀がセゴビアを見る。
 乙女がアヤカシを発見し、危なくなった時の合図を決めていない。
「‥‥少し待とう、アヤカシを池から出すのが一番の目的だしね!それにさすがにアヤカシが池から出てきたら分かるよ」
「おっきいらしいもんねっ。‥‥って、ああっ!出てきた!」
「ええっ!?」

 乙女は緑色の目と睨み合っていた。
(これが噂の人騒がせなナマズのアヤカシ‥‥)
 大きい。
 もしこれが食えたなら、それはもう腹いっぱいになるだろう。
 じゅるりと乙女が涎を拭った時、その緑眼の持ち主――アヤカシもまた、心の中で舌なめずりをしていた。
「!!」

 ザッ‥‥バアアアァァッ!!

 水しぶきが四方に飛び、アヤカシが宙を舞って地面に着地する。
「こ、こっちですぞ!」
 驚いたのも束の間、我に返った乙女はアヤカシをなるべく池から離すために走り始める。
 その小さな背を跳ねながら追うアヤカシ。
 移動速度はアヤカシの方が早い。一飛びで稼ぐ距離が長いのだ。
「ぬおおっ」
 あと少しで追いつかれる、というところで腰の荒縄が力一杯引かれた。
 ザザザザッと凄い勢いで引きずられる乙女。
 お尻が大変痛かったため、途中から形だけでも走っている風に変更する。
「ハッ‥‥とまれ、とまれーっ!」
 乙女がそう両手を広げて大声で言うと、二人に伝わったのかピタッと引っ張る力が無くなった。
 その乙女から5メートルくらい後ろでアヤカシが動きを止めている。
「池との距離は10前後‥‥思っていたより早く里心が付いたようですな」
 近くには見物していた氷が居た。
「もう出番か、仕方ない」
 結界呪符「白」を発動させ、アヤカシの退路を断つ氷。
 しかし二枚出したところでアヤカシが動いた。
「乙女ぇ!」
 駆けつけた赤マント(ia3521)が叫ぶ。なんとアヤカシが乙女の半身を咥えてしまったのだ。
 牙は無いため噛み傷は心配無い。しかし――。
(む、むっ‥‥!)
 両腕を下げた状態で咥えられたため、なかなか自由に動けない。
 そして口内の圧力のせいで息が出来ず、乙女は目を強く瞑って耐えるしかなかった。
「こっのォ!」
 泰練気法・壱で火のような赤さを纏った赤マントが空気撃を繰り出す。
 それは横腹へと吸い込まれるようにヒットし、アヤカシは大きな音を立てて転倒した。
 アヤカシの顔側に素早く回り、赤マントは乙女を引っ張り出す。
「げほっ、ごほっ」
「大丈夫か?これは後で風呂を借りないといけないね‥‥」
「と、とりあえず今は動けます、まだ奴は生きていますぞ!」
 池に戻ろうと壁の隙間を目指して跳ねだすアヤカシ。
 その背を鋭い電撃が貫いた。
「何が起きたんだ、という顔をしているな」
 アヤカシにそう言い捨て、オラースが次のアークブラストの準備をする。
 体の表面を焦がしたアヤカシは動揺からか目測を誤り、跳ねたはいいものの壁に激突した。
「そらッ!」
 掛け声と共に赤マントが飛び掛り、天呼鳳凰拳で真っ赤な炎に包まれた腕をアヤカシの体に打ち込む。
 羽根のように広がった炎が空気に溶け、赤マントがアヤカシから離れたところでオラースの二撃目が発動する。
 雷鳴が静まると、既にアヤカシの片目は美しい緑から白へ変わり、体の半分以上に火傷を負った状態になっていた。
「そいつを倒せば鯉こくですー?」
 まだビクリビクリと動いているアヤカシを見、孤影が言う。
 返事を待たず、彼女は素早く印を結ぶ。するとあっという間に手の平の上に雷の手裏剣が出来上がった。
「行くです。必殺の雷火手裏剣です!」
 ブゥンッ!
 思い切り投げられ、電気を散らせながら回転する手裏剣。
 それはアヤカシの尾びれに命中し、地面に固定したと同時に全身に電気を駆け巡らせた。
『――』
「苦痛を訴える声を持っていないようですね」
 尾に向かって力の歪みを発したのは空だった。
 捩れ切れた尾はその場に落ち、瀕死状態のアヤカシは最後の力を振り絞って暴れ狂う。
「このっ、危ないものをっ」
 すれすれのところで鉄の棒のようなヒゲを避け、赤マントが舌打ちする。
 アヤカシは大きく跳んで距離を取ると、少し癒着してしまった口やエラから紫色の泡を出し始めた。
 泡は風に乗って飛ぶくらい軽いが、粘着質なのか草木に当たるとべっとりとその部分を覆った。
「食われた時にやられなくて良かった‥‥」
 ホッとする乙女の隣を、疾行する琥珀が通り過ぎる。
「やい、大ナマズ!俺が相手になってやる!」
 琥珀の挑発にアヤカシが残った片目をギョロリと動かす。
 かと思うと今度は大きく息を吸い込み、ブワッと泡をこちらに向けて放った。
 琥珀はそれを外套で往なし、横踏でアヤカシの注意を引きつつ攻撃を避ける。
「隙あーりっ!」
 琥珀に必死になっていたアヤカシのヒゲへと、オーラを纏ったセゴビアのスマッシュがめり込む。
 カァンッと固いが高い音が響き、右のヒゲが根元から綺麗に折れた。
 アヤカシがそれに驚いてヒゲを振ろうとするが、無いものが当たるはずがない。
 数秒経ち、孤影に背中を攻撃されてからやっと片方のヒゲが無いことに気付き、体の向きを変える。
「気をつけて、結構早いから!」
 赤マントの言葉が届いたと同時に、セゴビアに向かって左のヒゲが飛ぶ。
「うっ!」
 セゴビアはなんとか剣でそれを受け止め、弾き返してから距離を取る。
「暴れはするが‥‥もうコイツ、駄目じゃないか?」
 そう指摘したのは氷。
 スキルを用意していなかったため攻撃での加勢はあまり出来なかったが、彼はずっとアヤカシの様子を窺っていた。
 体力も判断力も何もかも底をつきつつあるのだろう、アヤカシの吐く泡はいつの間にか消え、こちらを見る緑の目に力はなかった。
「‥‥では」
 空が真剣な面持ちでアヤカシに近寄る。
「そろそろ、楽にしてあげましょう」
 放たれる精霊砲。
 ――それは、見事にアヤカシの腹を貫いた。


●少し早い魚釣り
「お、おいボウズ、大丈夫か?」
 アヤカシ討伐の報を聞き集まってきた村人が、何やら両膝を折り手を地面に付いた乙女を見つけて声をかける。
 乙女の前にはこれといって何もない。
 しかし乙女にとってはその「何もない」という事実が重大なことなのだ。
「な、ナマズー‥‥」
 乙女は巨大なナマズのアヤカシを焼いて食べようと思っていた。
 しかし倒したアヤカシは他のアヤカシの例に漏れず体が霧散し、乙女はこうして全身でがっかり感を表すことになったのだ。
 空の閃癒で体の傷は癒えたが、心の傷は深い。
「ほら、元気出して出して!」
 セゴビアが乙女の背を叩く。
「まずは着替えてから魚を焼く準備をしようっ、一足先に釣りを楽しんでも良いらしいからさ!」
「釣り‥‥魚‥‥焼く準備‥‥」
 焼き魚ですかな?と聞き、イエスが返ってくるや否や急いで着替えに行った乙女。
 それを見送り、セゴビアもるんるんと釣りに向かう。
「んに、皆で楽しく釣り大会!良いねい!」

 そこから少し離れた場所では、オラースが若い村娘を相手に何やら話し込んでいた。
「じゃあ道具はあっちの倉庫の中か」
「はい、エサも一緒に置いてあるんで好きに使ってくださいね」
 オラースは道具を借りる交渉をしていたのだ。これで釣り大会が開催出来るか否かのテストが出来そうだ。
 ‥‥ついでにナンパも兼ねていたが、他の仲間には話さないことにしておく。
 釣り道具は速やかに開拓者達へと行き渡り、数分後には皆それぞれ思い思いの場所で釣り糸を垂らしていた。
 魚の影はチラホラと見られる。
 どうやらアヤカシは人間だけがお目当てで、魚は眼中になかったらしい。
「それーっ!」
 琥珀が勢い良く竿を引き、そのまま後ろにひっくり返る。
 その顔の真横に腕ほどの長さがある魚が釣り糸と共に落ちてきた。
「うわわ、大物だ!」
「負けてられないね‥‥!」
 セゴビアも頑張るが、桶の中に増えてゆくのは小さな魚、魚、魚。
 しかし釣りより魚に興味があったセゴビアはそれでも大変満足していた。
「鯉こくー鯉こくですー」
 真剣な目をした孤影が水面を見ながら呟く。
 ここで鯉を釣る。そしてそれを鯉こくにして食べる。
 孤影の目的は当初から全くブレていなかった。
「鯉こく、ですー!」
 引っ張り上げた釣り糸の先。そこに居たのは、小振りながらもお目当ての鯉だった。
「うーん、時には機微を見定め待つ事も必要‥‥とは判ってはいても、お腹がすいているので辛いなあ」
 喜ぶ孤影を見つつ、空腹を訴える腹を撫でながら赤マントが言う。
「ああそうだっ、もし大物を釣り上げたら御相伴にあずかり‥‥」
 ‥‥たいんだけれど良い?
 と聞こうと隣の氷を見ると、氷は座り、竿をきちんと持ち、エサを付けた釣り糸を垂らしたままぐうぐうと寝息をたてていた。
 釣り糸が反応したら代わりに引いてあげよう、と決意する赤マントだった。
 そこから少し離れた所で釣りを楽しむのは空。
 エサを微かに動かしつつ、池の中の魚にアピールする。
「‥‥」
 底に引っ掛かったのとは違う感触。
 引いてみると、そこには何度もU字型に体を曲げる魚がくっ付いていた。
「意外と釣れる物なのですね‥‥本番に差支えが無ければ良いのですが」
 呟いたと同時に、池の端でパシャンという魚の跳ねる音がした。
 数と魚の元気さに関しては心配要らなさそうだ。

「おーい、おっちゃーんっ!」
 杖をつきながら遅れて様子を見にきた村長に駆け寄る少年が一人。琥珀だ。
「ほらっ!」
「こ、これは‥‥?」
 にっ、と琥珀は笑う。
「アヤカシいてもこんだけの魚いたぞー。大会だともっと釣れるだろーから、大会開催頑張れよー、おっちゃんっ」
「こっちも大漁だよー!」
 オラースとセゴビアがそれぞれの桶を持って歩いてきた。
 どちらの桶でも魚が元気に泳いでいる。
「お、おお‥‥ありがとう、胸のつかえが取れたようじゃ‥‥!」
 最初は瞬きしているだけだった村長の目に涙が溢れる。
 と、そこへ魚の焼ける良い匂いが漂ってきた。
「そうそうっ、あっちで焼き魚の準備をしてるんだ」
「村長も来るか?」
「もちろんじゃ!」
 村長が嬉しそうに頷き、セゴビアに手を貸してもらいつつ歩き出す。


 数日後、村で行われた釣り大会は大成功し、それから毎年の行事にまでなった。
 しかしそこに二度と緑色の目を持ったナマズは姿を現さなかったという。