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■オープニング本文 降り続いた秋の長雨は去り、ようやく太陽が顔を覗かせた、その日。 ある調査隊が開拓者を引き連れ、遺跡の調査に赴いていた。 ●遺跡 空洞に取り残された空気が、古を感じさせる。 揺らめく松明の炎が、長い間人の手が触れる事のなかった遺物を映しだした。 「――あったぞ!!」 探索用の重装備に身を包む男が、大声を上げた。 「おお! やはりここは未盗掘だったか!!」 大声の主の元に集まる仲間達。 「これは‥‥」 調査隊の隊長『騎村 象二郎』は手に取った宝珠をじっと見つめる。 「隊長、これは何の宝珠ですか?」 と、隊員の一人が宝珠を覗きこみ騎村に問いかけた。 「‥‥この形状、色、温かさは、『陽光の宝珠』だな」 「『陽光の宝珠』ですか‥‥そこまで高価なものではありませんね」 「まぁ、何も見つからないよりはましさ。それに冷えた体にこれは嬉しい限りだ」 「ですね。暖房用の宝珠が見つかったのも精霊様のご褒美なのかもしれませんね」 淡い光と温かな風を発する宝珠を囲み、調査隊の一同にも笑顔が浮かんだ。 「っと、お前達、おかげで目的のモノを発見できた」 と、騎村が遺跡の外から中を伺っていた開拓者達へ声をかける。 「あまり高価な物ではなかったが、報酬は約束通り――」 少し残念そうな騎村の言葉が、開拓者へとかけられた。その時――。 ごごごごごごごご――――!!! 「な、なんだ‥‥?」 突如、洞窟に響く不気味な地鳴り。 「じ、地震か!?」 そして、低く響く轟音に、調査隊に緊張が走った。 「と、とにかく落ち着いて遺跡から出るんだ!」 騎村の声と共に、調査隊、そして開拓者達は急いで大空洞へと出た。 ●大空洞 「急げ! 急いでこの洞窟から出るんだ!」 開拓者の一人が声を張り上げる。 「何かの罠か!?」 洞窟へと続く、大空洞唯一の出口へ向け、調査隊は駆ける。 しかし。 ざぱぁぁーーーん!! 突如間欠泉の如く吹きあがる水。 それは、調査隊の一行が目指していた出口からであった。 「‥‥お、おい」 「そ、そんな‥‥」 噴出した水は収まり、辺りに霧雨を振らせる。 鍾乳洞の出口であったもの。 そこは、満々と濁った水を湛える池と化していた。 「えらい事になったぞ‥‥」 そこにできた池を呆然と眺める隊員の一人が、震える声でそう呟いたのだった――。 |
■参加者一覧
北條 黯羽(ia0072)
25歳・女・陰
ジルベール・ダリエ(ia9952)
27歳・男・志
フレイア(ib0257)
28歳・女・魔
煉谷 耀(ib3229)
33歳・男・シ
浄巌(ib4173)
29歳・男・吟
八十島・千景(ib5000)
14歳・女・サ |
■リプレイ本文 ●湖畔 雲一つない秋晴れの空。 開拓者を引きつれた遺跡調査隊の一行は、湖畔にぽっかりと口を開ける遺跡の調査に赴いていた。 「‥‥」 「どうした?」 じっと洞窟の入り口を見つめる煉谷 耀(ib3229)に北條 黯羽(ia0072)が声をかけた。 「いや‥‥俺達は残ってよかったのだろうか」 「なんだ? 今さら後悔しているのか?」 「そう言う訳ではないが‥‥何か胸騒ぎが、な」 黯羽の明るい声にも、耀は表情を曇らせる。 その時――。 ごごごごごご――!! 「な、なんだ!?」 突然の轟音に、耀は耳をピンと立て辺りを伺う。 「あ、あれを見ろ!」 と、その時、黯羽が湖を指さし叫んだ。 そこには堰を切り濁流を解き放つ湖の姿。 「ま、まずいぞ! 洞窟が!!」 決壊し溢れ出した水は辺り一面を飲みこむ。もちろん、湖畔にあった洞窟も例外ではなかった。 「くっ!」 二人は避難した高台から、洞窟へ流入する濁流を呆然と見つめるしかなかった。 ●空洞 「困りましたわね」 「そんな呑気に‥‥」 じっと水面を眺めるフレイア(ib0257)の呟きに、ジルベール(ia9952)が呆れ気味に声をかけた。 空洞からの唯一の出口。 つい先ほど歩いてきた洞窟の道は、今満々と水を湛える泉と化していた。 「他に出口になりそうな道はありませんね」 と、そんな二人に八十島・千景(ib5000)が声をかける。 「ってことは、完全に閉じ込められたって事になるんか‥‥」 千景の言葉に、薄暗い大空洞をくるりと見渡すジルベール。 「とにかく、起こった事を嘆いても仕方ありません。こういう時にこそ冷静になり、対処いたしましょう」 と、そんなジルベールの肩をポンと叩き、フレイアは不安げ気三人を見つめる調査団の一行に目をやった。 「ですね。幸い外に仲間がいます。なんとか連絡をつけ脱出の手段を探りましょう」 「ええ、きっとあちらも動いてくださっているでしょうから」 顔を突き合わせ、頷きあうフレイアと千景。 「せやな。俺らが慌てとったら余計な混乱招いてまうしな。どんと構えて安心してもらお」 と、そんな二人に向けジルベールはどんと胸を叩いた。 「ふふ‥‥」 「な、なんや?」 そんな仕草にくすくすと笑いをこぼす千景に、ジルベールは何事かと問いかける。 「先程までの不安げなお顔が、今は引き締まって見えますね」 「っ! 別に不安なんかあらへんぞ‥‥?」 「そうでしたか。それは失礼しました」 その言葉は千景なりの讃辞。千景は照れた様なジルベールの顔を笑顔で見つめた。 「お二人とも、あまり時間もありませんよ。対策を練りましょう」 「はい」 「おう」 どこか和やかな雰囲気を頼もしく思いながらも、フレイアは二人に声をかけた。 ●洞窟入口 「‥‥こりゃとんでもねぇ事になったな」 満々と泥水を湛える洞窟の入口を見つめ黯羽が呟いた。 「‥‥水没か」 高台から視線を地面に落とし、耀はギリッと唇を噛む。 「とりあえず、水はこれ以上入らなさそうだが‥‥」 と、振り返った黯羽。 そこには、堰を流し終え再び平穏を取り戻しつつある湖の姿があった。 「あの時の予感がこんな形で当たるとは‥‥」 ギュッと拳を握る耀は、じっと水を湛える洞窟を睨みつける。 「起こったもんはどうしようもないさね。まずはこれからどうするか考えよう」 「‥‥うむ」 ぽんと肩に置かれた黯羽の手のぬくもりを感じながら、耀はゆっくりと頷いたのだった。 ●洞窟 「‥‥」 広い空洞を一人歩くフレイア。 「‥‥地下30mといったところでしょうか」 その手には調査団より借り受けた地図が握られていた。 「後は」 そして、フレイアは空洞にある唯一の出口へ視線を向けた。 「ここの空気が漏れだしては、あの水が浸入してきますから」 満々と泥水を湛える出口を一瞥し、フレイアは天井へと視線をやると。 「‥‥」 ぺろりと人差し指を舐め、天高く掲げた。 「――風の流れは無し、ですわね。不幸中の幸いと言う所でしょうか」 空洞に止まる空気は、フレイアの指を撫でるものではない。 「では、脱出の手段を講じるとしましょう」 そして、フレイアは突き出した指をぎゅっと握り込むと、一路遺跡へと足を向けた。 一方、出口では。 「あまりやりたくはありませんが‥‥」 愛刀を複雑な表情で見つめる千景が、徐に溜まった泥水の中へと刀を沈めた。 「はっ!」 気合一閃。千景は泥水を切り裂くように刀を振るう。 カツン――。 水面から響く小さな破砕音。 「――届いてくれるといいのですが」 僅かに届く音に希望を託し、千景は再び水中の刀を翻す。 響く音が仲間に届くようにと――。 ●地上 「‥‥」 「どうだ‥‥?」 地面に耳を押し付け、じっと瞳を閉じる耀に黯羽が声をかけた。 「‥‥」 瞳を開いた耀は、不安げに見つめる黯羽にゆっくりと首を振る。 「さすがに地下深くの音までは拾えねぇか‥‥」 耀の卓越した聴覚ですら、厚い岩盤の壁は越えられない。 黯羽は深く溜息をついた。 「せめて生存の息吹さえ感じられればと思ったのだが‥‥」 「耀のせいじゃねぇだろ。そんなに落ち込むな」 口惜しそうに地面に拳を突き立てる耀に、黯羽はそっと声をかけ。 「届くかどうかわからねぇが――」 懐から一枚の符を取り出した。 「どうする気だ?」 と、そんな黯羽に耀が問いかける。 「人魂を送る」 「‥‥そうだな。ここで待っているだけでは始まらん」 「ああ、その通りだ」 そして、立ち上がった二人は泥水で満たされる洞窟へ。 中で救助を待つ仲間がいると信じて――。 ●洞窟 「怪我人はおらんか?」 気落ちする隊員達に、ジルベールがにこりと微笑みかける。 「ああ、大丈夫だ。心配掛けてすまんな」 と、そんなジルベールに答えるのは隊長である騎村であった。 「へぇ、便利な宝珠もあるんやな」 そんな騎村達が囲む『陽光の宝珠』を感心したように眺めるジルベールは。 「きっと命を繋げって精霊様の思し召しや。絶対に俺らがなんとかしたるから、しばらく待っといてや」 にかっと人懐っこい笑みを調査団へ向けた。 「すまんな。頼らせてもらう」 「任せとき!」 座ったまま深く首を下げる騎村に背を向け、ジルベールは遺跡を出る。 「‥‥上は大丈夫やろか」 遺跡を後にしたジルベールは、小さな呟きと共にすっと視線を天井へと向けた。 その先にいる、仲間の姿を思い浮かべながら――。 ●入口 「‥‥ぐっ。限界だ」 苦しそうに顔を顰め、式を解き放つ黯羽。 「どうだ?」 そんな黯羽に、耀が真剣な瞳を向けた。 「居た。確実じゃねぇが、確かに水を振るわす音が聞こえた」 「そうか!」 ぬかるむ地面を気にもせずへたり込んだ黯羽の報告に、耀はぱぁっと表情を晴らす。 「ああ、誰かが水中で物音を立ててくれていたのかもしれないな、って、何してる?」 そんな背後からの声に振り向いた黯羽の目に映ったのは、耀の姿。 「水中を進む」 答える耀は、羽織を脱ぎ棄てコキコキと身体を鳴らし準備運動をしていた。 「行くって、あの泥水の中をか? 聞こえたとは思うが、確かじゃねぇんだぞ?」 「他に方法がない。それに生きていれば助けを待っているはずだ」 投げかけられる黯羽の言葉にも、耀の決意は揺るがなかった。 「‥‥他に方法がねぇか。確かにな」 そんな耀の決意に、黯羽も立ち上がる。 「地上は任せる。下の連中は必ず俺が連れてくる」 「ああ、任せときな。精一杯のもてなし出迎えてやるさ」 耀の揺るぎない決意の言葉に、黯羽は頼もしげにそう答えたのだった。 ●洞窟 「さぁ、今つくからな。温まってや」 大空洞内に僅かに散乱する小枝を拾い集め、ジルベールが焚き火を起こそうとしていた。 「待ってください。ジルベールさん」 しかし、火打石を持つジルベールの手を掴み、千景が止めた。 「な、なんや?」 「暖を取るのには賛成しますが、火を起こすのはダメです。忘れましたか? ここは密閉空間です」 「そ、そうやな。忘れる所やった」 「いえ、せっかく集めていただいたのに申し訳ありません」 ぺこりと頭を下げる千景に、ジルベールは慌てて火打石を懐にしまい込む。 「いやいや、小さいのに博学やな。うちの妹にも見習わせたいもんや」 「こ、これくらい常識です。ジルベールさんはもう少し見聞を広めるべきだと思います」 感心したように見つめるジルベールに、千景は若干頬を赤らめ、プイっとそっぽを向いた。 「はは。言われてもぉたな」 そんな千景に地上に残した家族を見たのか、ジルベールは軽く笑い飛ばすと。 「そやけど、なんとか暖を取らんとな」 寒そうに遺跡で身を寄せ合う調査団へと目をやった。 「この湯たんぽで暖をとりましょう」 そんなジルベールに、千景が声をかける。 「へぇ、随分準備がええねんな」 ごそごそと懐から湯たんぽを取り出す千景を、ジルベールは感心したように見つめた。 「何事も備えあれば憂いなしです」 少し自慢げに、手に取った湯たんぽをジルベールに差し出す千景。 「ふむ‥‥で、お湯は?」 「‥‥はい?」 「いや‥‥お湯はどうやって沸かすんかなと」 「‥‥え、えっと」 差し出された湯たんぽを握りしめ、きょろきょろと目を泳がせる千景。そして、シパシパと目を瞬かせるジルベール。二人はしばしの時、見つめ合う。 「お二人とも、そんな所で油を売っていませんと、お手伝いくださいな」 そんな気まずい空気を漂わせる二人に、フレイヤが呆れた様に微笑みかけた。 「そ、そうですね。暖も大切ですが今は脱出が最優先です」 「そ、そうやな。早いとこお天道様を拝まんとな」 フレイアの声に、同時に湯たんぽを離した二人。 「ふふ。その通りですわ」 そんな二人をおかしそうに眺めるフレイアの足元に、湯たんぽが甲高い金属音を響かせた。 ●洞窟 ザパっ! 人の息遣いすら耳朶を打つ静寂に包まれる空洞内に、突然の水音が木霊した。 「皆、無事か!!」 水音と共に、水面から人影が現れる。 「こりゃ、水も滴るエエ男やな」 人影に向けジルベールは声を上げた。 そこに現れたのは、冷たい水に濡れた耀であった。 「来てくださったのですね」 「む。待て。近づくな」 その姿に、思わず駆け寄ったフレイアを耀は手を突き出し制す。 「え‥‥?」 その不可解な行動に、フレイアは思わず立ち止まった。 「‥‥」 と、突然、耀が身を振るわせる。 「わわっ! 冷たい」 飛び散る水しぶきに、千景が思わず飛び退った。 耀はあらかた身体についた水を弾き飛ばし、改めて一行を見やる。 「皆、無事でよかった‥‥うん? 皆どうした?」 しかし、何か身構えるように自分を見つめる一行に、耀はかくりと小首を傾げた。 「え、えっと‥‥もう飛んできません?」 「飛んで‥‥? あ、ああ。すまない、もう大丈夫だ」 恐る恐る問いかける千景に、耀は若干頬を染めながら答える。 「そ、それはよかったです。えっと、耀さんがいらしたという事は、中は泳いでいけるのですか?」 「ああ、鍾乳石が所々にあるが、それさえ注意していれば一本道だ」 千景の問いかけに、濡れた尻尾を撫でながら耀が答える。 「何としても地上へ導かねばなりませんわね」 と、耀の答えにフレイアは調査隊の方を見やる。 そこには、耀の登場に希望を抱きながらも、どこか不安に揺れる隊員達の表情があった。 「千景さん、準備は?」 「はい、滞りなく」 ジルベールの問いかけに、千景が洞窟の一角を指し示す。 そこには、小さく切られた布の山があった。 「フレイアさんの指示で、油を染み込ませています」 「地上までは息が持たないでしょう。空気袋として使ってください」 と、フレイアは千景の言葉を継ぎ、説明した。 「用意がいいな」 「そらそうや。来てくれるって信じとったからな」 地下で進められていた準備に驚く耀に、ジルベールがにかっと微笑みかける。 「そうか‥‥では俺が先にいく。最初に脱出するのは誰からだ?」 と、ジルベールの言葉に頼もしさを感じながら耀が、一行を見渡した。 「こいつを頼む。地上で新妻が待ってるんでな」 「た、隊長!?」 そんな耀の問いかけに、騎村は一人に青年の背を押した。 「わかった。では、あんたからだ」 耀は、騎村に背を押された隊員の手を取る。 「ほな、行きますか!」 ジルベールの言葉に、一行はこくんと頷く。 そして今ここに、惨事からの救出劇が始まった。 ●地上 「では、よろしくお願いしますわ」 「おう、任された」 フレイアに連れられ脱出した隊員を黯羽が引き継いだ。 「それにしても折角の衣装が台無しだな」 折角の黒のドレスが泥水に汚れ、見るも無残な姿をさらす。 黯羽はどこか申し訳なさそうに、再び洞窟へと向かうフレイアに声をかけた。 「致し方ありませんわ。これも依頼のうちです。服の事などより人命の方が大切ですわ」 「そ、そうか。フレイアはすげぇな」 「すごい? 何がです?」 「いや、何でもねぇ。んじゃ、次の奴も頼んだぜ!」 「? 変なお人ですね。でも、賜りましたわ。この身に代えても隊員の皆様を無事に連れ戻して見せます」 「おう! 次に上がった時にゃ、熱い紅茶でも用意しとくぜ」 「それは楽しみですわ。――では」 黯羽の励ましを頼もしく胸にしまい、フレイアは再び洞窟へと舞い戻る。 今なお救出を待つ隊員達の元へ。 ●洞窟 「次の方、お手を」 「お、おう!」 千景を見る隊員は、どこか恥ずかしげにその手を取った。 「そんなに緊張されなくても大丈夫ですよ。私がついていますから」 「そ、そうだな。頼むぞ」 自分の娘程の年齢であろうか。そんな千景の励ましに、隊員は決意を固める様にこくんと頷いた。 「あ、ダメですよ。荷物は置いていってください。邪魔になりますから」 「お、おう。すまねぇ」 「ふふ。ですからそんなに緊張なさらないでください」 事あるごとに恐縮する隊員に、千景はくすりと笑みをこぼす。 「す、すまねぇ」 「大丈夫です。すぐに地上ですから」 「おう!」 その力強い答えに千景は一度頷き、隊員の手を強く引くと、水を湛える出口へと飛び込んだ。 ●地上 「これで全員だな!」 最後の一人、騎村の手を取った黯羽が歓喜の声を上げた。 「なんとか無事に脱出できましたわね」 その横では、フレイアも自身のなりなど気にする様子もなく安堵のため息をつく。 「これで嫁さんに会えるな」 と、ジルベールはまるで自分の事の様に最初に助け出された田院の方に手を置いた。 「いい経験になりました。本当に、いい経験に‥‥」 脱出の歓喜に震える一行を少し遠巻きに眺め、千景が呟いた。 「さぁ、向うに暖かい飯を用意してるぜ。冷えた体をあっためてくれよ!」 黯羽に連れられ、一行は洞窟を後にする。 こうして、この突発的な参事は、居合わせた開拓者一行の機転によって、見事に回避された。 この調査で得られた成果は小さなものであった。 しかし、隊員達、そして開拓者の皆の胸は、どこか言い知れぬ達成感に満たされたのだった。 |