事件は丑三つ時に
マスター名:真柄葉
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2009/08/31 18:57



■オープニング本文

●武天とある農村
「だぁ! またやられたっ!」
「うっ、これはひどいな‥‥」
 村人たちの視線の先、そこには無残に食い散らかされた牛が1頭その骸を晒していた。
「もう、これで6頭目よ‥‥」
 ここは武天は地方の農村。広大な草原が広がる土地を活かし、牛の放牧で生計を立てる村である。
「狼か? 熊か? 一体何なんだ‥‥」
 広大な牧草地を有するこの村は、酪農を主な生業としている。そんな農村にあって、命の次に大切といっても過言ではない。家畜の牛が次々と襲われているのだ。
「おい、みんな! 喜助のやつ、見たらしいぞ!」
 突如、牛の死骸を囲む村人達を後から呼ぶ声がする。
「見たって、まさかこいつをやらかした犯人か!」
 悲痛な面持ちで牛を見ていた村人達は、突然現れた吉報に色めき立つ。
「とにかく、喜助の家へ行こう」
 集まった村人たちは、この言葉に一度頷き、そろって喜助の家へと向かった。

「いやだ! どっかいってくれ!!」
 一人の男が部屋の隅にうずくまり、頭をかき乱し差し出される村人の手を必死に払いのける。
「どうした、一体何があったんだ! この事件に何か関係があるんじゃないか!?」
「や、やめなさいよ‥‥こんなに脅えて‥‥」
 凄む男を女性が制する。うずくまる男は同じ村人の怒声にすら脅える始末だった。
「‥‥‥‥くそっ!」
 はきすてるように怒声を上げた男が部屋を出て行く。
「‥‥喜助‥‥」
「早く出ていけ!」
 喜助と呼ばれた脅える男は、優しく声をかける女性にすら、恐怖しているようだ。
「‥‥なんでこんな村に、アヤカシなんかが‥‥」
 再び静寂に包まれた部屋で、喜助がそうぼそりと呟いたのだった。


■参加者一覧
朝比奈 空(ia0086
21歳・女・魔
水鏡 絵梨乃(ia0191
20歳・女・泰
百舌鳥(ia0429
26歳・男・サ
虚祁 祀(ia0870
17歳・女・志
レフィ・サージェス(ia2142
21歳・女・サ
ルオウ(ia2445
14歳・男・サ
箱屋敷 雲海(ia3215
28歳・女・泰
佐竹 利実(ia4177
23歳・男・志


■リプレイ本文

●一軒の民家
「喜助さん、開拓者の皆さんがお越しよ」
 部屋の隅にうずくまる一人の男に、村娘が声をかける。まだ日は高い。だが、部屋の窓は閉ざされ、陽の光を拒んでいた。
「喜助様、我々は開拓者です。村を襲う脅威を排除する為に来村いたしました。どうか、心安らかにお話を聞かせていただけませんか?」
 開拓者からの第一声は物腰柔らかに語りかけるレフィ・サージェス(ia2142)のもの。
「‥‥」
 しかし、頑なに人との接触を拒む喜助の態度は変わらない。
「解決してやるよ」
 そう言って、次に歩み出た百舌鳥(ia0429)は、更にこう続ける。
「分かりやすく言うぞ。あんたが見た奴、そいつをぶっ倒してやる。だから、な、見た事全部教えちゃくれないか?」
 百舌鳥の頼もしくも温かみのある言葉にすら喜助の態度に軟化はない。そんな彼を見つめる一行に諦めの色が浮かびだした頃、突如歩み出た朝比奈 空(ia0086)の平手が喜助の頬を張った。
「よいですか。私達が駆逐に失敗した場合、さらに酷い結果が待っているのですよ? それを止める事ができるのは、喜助さん、あなたなのです!」
 この一張りに一瞬呆然としていた喜助が意を決したようにようやく重い口を開いた。
「‥‥口だ」
「口? 口とはどういうことです?」
 短く搾り出された言葉を虚祁 祀(ia0870)が追及する。
「口だ‥‥とにかくでかい口だった‥‥それ以上は何も見てねぇ! もういいだろ! 出て行ってくれ!!」
 それだけを告げ、再び心を閉ざす喜助に、一行は諦めるように部屋から出て行くしかなかった。

●民家の軒先にて
「では、各自収集してきた情報を纏めましょうか」
 軒先に用意された机を囲むように座った一行へ、佐竹 利実(ia4177)が切り出した。
「じゃ、ボクから」
 はいっと元気よく手を上げたのは水鏡 絵梨乃(ia0191)だ。
「えっと、あの後もう一度喜助の家に行ったんだ。で、会ってきた」
「会ってきたって、喜助にか?」
 そう問い返したのはルオウ(ia2445)。
「うん、喜助ってばずいぶん謝ってた。せっかく助けに来てくれたのに無礼を働いたってな。で、色々教えてくれた。やっぱり相手はアヤカシのようだ――」
 絵梨乃の得た情報は皆が満足の行くものではなかったが、敵がアヤカシである事はこの聞きこみにより確定した。
「では、俺からも。これを見てもらえますか」
 続いて名乗りあげた利実がおもむろに立ち上がり、机より少し離された場所にある大きな布で隠された荷車まで歩いて行く。
「なんでしょうか?」
 利実の突然の行動に、レフィを初め皆がその後を追った。
「う‥‥なにこの臭い‥‥」
 辺りに漂うただならぬ臭気に祀も顔をしかめる。
「少し臭いますか? これです」
 何事も無いように利実が荷車にかぶさった布を取り払うと。
「うげぇぇ‥‥!? これ、牛‥‥?」
 箱屋敷 雲海(ia3215)が目を背けるのも無理はない。そこには見るも無残に食い散らかされた牛の骸が乗せられていた。
「ええ、昨夜襲われた牛の骸です。この喰い方から察するに敵は大して知能が高いわけではないようですね」
 一方、利実は淡々と骸を解析していく。
「てぇと? 獣みたいに食い散らかすしか能がないってのか?」
 こちらも平然な顔で骸を見つめる百舌鳥が問うと。
「その通りです。そもそも、知能が高いのであれば自分の手がかりとなるような痕跡を残したりはしません。ただ食欲を満たすためだけに、牛を襲っていると見るのが妥当ですね」
 にやりと不敵な笑みを浮かべ語る利実。
「だとしますと、私の『瘴索結界』も有効かもしれませんね」
 利実の言葉に、袖で顔を覆っていた空が口を開く。
「そうだな、それだけ単純な奴なら、瘴気隠すなんて出来るわけないしな。――ということで空はボクと組むわけだ」
 と、うんうんとしきりに頷く絵梨乃。
「一体どういう訳でそうなるのか分かりませんが‥‥二人一組の案には賛成です」
 邪な笑みを浮かべる絵梨乃の案に、空も特に異論はない。
「私はこれ以上被害が出ないよう、牛を退避させるつもりだけど、他に誰かいる?」
 続く祀の呼びかけに。
「では、拙僧がお供仕る。アのあれとはできれば出会い‥‥おほんっ!」
 ぶつぶつと言葉尻を濁し、雲海が名乗りを上げた。
「となると‥‥俺は誰と組むかねぇ」
 と、百舌鳥が残る3人、レフィ、利実、ルオウを見比べ。
「んーじゃ、レフィよろしく頼んまぁ」
 レフィを指名する。
「私ですか? かしこまりました、よろしくお願いいたします」
 百舌鳥の指名を受け、レフィはぺこりと丁寧にお辞儀する。 
「では、残った我々が最後の一組ということで」
「おう! よろしく頼むな!」
 残る利実がルオウへと声をかけ、行動班分けが決まった。

「一つ思いあたったんだがよ」
 机に戻った皆に百舌鳥がそう切り出した。
「牛っつってもアヤカシだよな? アヤカシって草食うのか?」
 この一言に皆があっと声を上げる。
「確かに、アヤカシであれば草を食むという事は考えにくいですね」
 牛の骸を分析し、その性格を暴いた利実も百舌鳥の言葉に感嘆し、そう続けた。
「草を食うアヤカシって、なんだかなぁ。確かにそんなのはいなそうだ」
 と、ルオウも相槌を打つ。
「という事は、昼間餌を食べている牛は無条件に除外できる?」
 牛を逃がす役目を受けた祀も、願ってもない目印に思わず問いただす。
「ああ、そうなるんじゃねぇかな」
「おお! これはかなり条件絞れるのでは!?」
 と、声を上げたのは共に牛を逃がす役目を負った雲海だ。
「そうね。私たちの組はその条件に合う牛を優先的に隔離する」 
「了解だ! 待っておれ、アのあれめ! 安寧なる暮らしを脅かす主を、転輪王の御名において成敗いたす!」
 熱く拳を握り閉め語る雲海に、皆もおおっと感心するように見つめる。
「拙僧以外の皆がな!!」
 こう言うまでは――

●夜半の牧場
「ふぅ‥‥やはりこう広大だと、手間がかかってしまいますね」
 ため息混じりに月明かりに照らされた広大な牧場を見渡す空。
「そうだな。って、それより、空大丈夫か? 『瘴索結界』もずいぶん使ってるだろ?」
 空と組む絵梨乃も相方をいたわるように囁いた。 
「そうですね‥‥って、あ、あの水鏡さん‥‥?」
「ん? どうした?」
「あ、いえ、その‥‥どうしてこんなに密着を?」
 身体に触れる温かい感触に振り向く空。そのすぐ目の前には、絵梨乃の満面の笑みがある。
「どうしてって、それは‥‥か弱い巫女さんを守るのがボクの役目だから!」
 戸惑いながら問う空に、そう力強く答える絵梨乃。
「えっと、それは大変有難いのですが‥‥ひあっ!?」
 空の素っ頓狂な声が上がる。密着していた絵梨乃の腕が空の細い腰へと回されたのだ。
「ちょ、ちょっと水鏡さん! あ、や‥‥っ!」
 二人の傍には人影はない。
「ふふふふふ‥‥」
 戸惑いうろたえる空に、更なる絵梨乃の魔の手が忍びよるのだった。

「いやぁ、眼福眼福」
「‥‥百舌鳥様?」
 絡む女性二人から少し離れた岩の陰に潜み、観察を続けるは百舌鳥。そんな百舌鳥をレフィは不思議そうに見つめる。
「おう、レフィ。ほれ見てみろよ、絵梨乃の奴のいつもの癖だ。おおっ! そこだ、やれ!」
 人差し指を口元に当て、百舌鳥は別の手で先の二人を指差す。
「はぁ‥‥あの、捜索はよろしいので――」
『ひやぁぁああぁぁぁ!!』
 半ば呆れ顔のレフィの言葉を、静寂の夜空に木霊す雲海の奇声が遮った。
「当たりはそっちか! レフィ、行くぜ!」
「かしこまりました!」  
 奇声を聞きつけた二人の瞳はすでに開拓者本来のもの。互いに頷き合うと奇声の方へと駆けだした。

「‥‥まさか、こちらがアヤカシに当たるとは」
 二班に分かれ無害であろう牛を逃がす役目を負っていた祀が取り乱す雲海を背に庇い、草を食む事まで見事に演じたアヤカシに向け弓を絞る。
「私一人では分が悪いか‥‥」
 眼前には牛の姿をしたアヤカシ。しかし、その異様に大きく開かれた口から覗くのは、ぞろりと生え揃った鋭い牙。唾液を滴らせ、食事を邪魔した者へ敵意をむき出し睨みつける。
「ひっひっ‥‥」
 息をすることさえ困難な雲海は、震えながらアヤカシをただ見つめるのみ。
「くっ! しっかりなさい! あなたも開拓者でしょう!」
 雲海の狼狽振りに祀は檄を発する。が、それが隙を生んだ。
「ああぁぁあ!」
 地を震わす叫びと共に、アヤカシが二人目掛けて突進する。
「っ! しまっ――」
 祀が一瞬目を離した隙にアヤカシはすでに眼前に迫っている。弓の領分は遠距離戦。接近されては本来の力は発揮できない。しかし――
「こっちむけやぁ!!」
 その緊迫に横槍を入れたのは百舌鳥の『咆哮』だった。
「ふぅ、間に合ったか。レフィ、頼む!」
 百舌鳥はアヤカシの目標が自分へと向いたことを確認すると、相方へ声をかける。
「あなたに個人的な恨みはありませんがその所業に困る人々がいるのです。申し訳ありませんが、成敗させていただきます!」
 アヤカシに対してもその丁寧な口調は変わらない。ぺこりとかしずく様にお辞儀すると、レフィは大戦斧を構え、アヤカシの前へ立ち塞がった。

「はぁはぁ‥‥間に合いましたか。お怪我はありませんか?」
 息を切らし若干乱れた服装を正しながら、祀と雲海の傍へ空がたどり着く。
「ああ、私は大丈夫。だが、雲海がこの様子で‥‥」
 祀は苦い表情で脅える雲海を見つめる。
「お怪我は‥‥よかった、なさってないようですね」
 回復の要の空は脅えてはいるが怪我をした様子のない雲海を見て、ほっと安堵のため息をついた。
「祀、待たせたな!」
 空に送れる事しばし、三人の元に駆けつけたのは絵梨乃だ。
「絵梨乃か、助かった! 前線は頼んだ!」
 友、祀の頼もしい言葉に絵梨乃がきゅぽんと小気味のいい音を響かせて、携帯していた瓢箪酒の栓を抜くと。
「あいよ! どぉれ、いっちょやるか!」
 一気にそれを呷った。

「かぁ、出遅れた!」
「これが例のアヤカシですか‥‥さて、我が剣の礎となりますかね」
 空と絵梨乃に更に遅れる事数分、利実とルオウも戦場に駆けつける。
「あのメイドさん、あのなりででっかい斧振り回してるなぁ」
 ルオウが感心するのも無理はない。二人の目の前にはおおよそ戦いには向かないであろう服装で大斧を振り回し、大立ち回りを演じているレフィの姿。
「我々もこれ以上遅れてはなりませんね。ルオウさん!」
「おう!」
 利実、ルオウ両名も遅ればせながら戦線へと加わった。

「ちょこまかと、うぜぇ! 『両断剣』くらえやっ!!」
 その体躯に似合わぬ俊敏な動きで突進を繰り返すアヤカシへ、百舌鳥の二刀が打ち込まれるが。
「くっ! 浅いか! 祀、そっち行くぞ!」
 その斬撃は後ろ足の薄皮一枚切り裂くのみ。そして、進路は祀達後方支援組へと向けられる。
「来るよ、絵梨乃! って、まだなの!?」
 弓を引き絞り、アヤカシに狙いを定めていた祀は前線を任せたはずの絵梨乃へ声をかけるが、絵梨乃は。
「はいは〜い、もうちょっとまって〜」
 へへへ〜と酒を片手に上機嫌。いまだ戦闘態勢にない。
「絵梨乃ぉ〜‥‥」
 迫るアヤカシ。友の戦闘スタイルは心得てはいるが、さすがの祀も泣き出しそうだ。
「このままでは包囲網が抜かれてしまいます‥‥仕方ありません、失礼!」
 そんなやり取りを見ていた空が突如つかつかと雲海に歩み寄り、その頬を張った。
「いつまで、そうしているおつもりですか!」
「う‥‥えっ!?」
 張られた頬を押さえ、呆然と空を見つめていた雲海の瞳に闘志の炎がともる。
「喝!! 空殿、かたじけない! ようやく目が冷め申した!! ここは拙僧にお任せあれ!」
 ぐわっと立ち上がり自らの頬を両手で張った雲海は迫り来るアヤカシを前に叫ぶ。
「アのあれよ! もはや臆する事には飽きた! いざ尋常に勝負!!」
「ふふ〜ん、程よく回ってきたぜぇ! いい感じだ、ボクも行くぞぉ!!」
 二人の泰拳士は迫り来るアヤカシを迎え撃たんと駆けだした。

「っしゃ! 当たったか!」
 百舌鳥の放つ斬撃は幾度目だろう。その一撃により片足を断ち切られたアヤカシは見る間にその速度を落とす。
「もう一撃行きますよ!」
 次いで利実が『巻き打ち』を放ち更にアヤカシの片足を落とす。
「おぉぉおお!!」
 この二人の二撃にアヤカシの悲鳴が上がった。
「破ぁぁ! いざ冥府へ! 『疾風脚』!!」
 動きを止めたアヤカシの横腹めがけ、雲海が蹴撃が突き刺さる。
「一気に畳み掛けさせていただきます! お受けなさい! この一撃があなたを冥土へと導きましょう!!」
 レフィが、振りかぶった大斧をアヤカシの頭上めがけて振り下ろす。が、その時――
「ぐぉああぉああ!!!」
 突如アヤカシの身体が腫れ上がり、そして、爆発した。
「な!?」
 突然の出来事にレフィも大斧を掲げたまま固まる。
「なんだこいつ‥‥」
 ルオウの呟きは眼前の奇異へ向けて放たれる。アヤカシはもはや牛の姿など片鱗もない。宙に浮く球体にあるのは大きな一つ目。そして、半分以上を占める巨大な口であった。
「レフィさん、危ない!」
 突然の出来事に呆然と立ちつくすレフィに、アヤカシが牙を剥く。
「間に合って! 『力の歪み』!!」
 後方より事の始終を見守っていた空が咄嗟に『力の歪み』をアヤカシの眼前へと放った。この機転により生まれた一瞬の隙をついて、レフィはアヤカシの射程を転げるように脱する。 
「朝比奈様、ありがとうございます!」
 再び大斧を掲げ、レフィもアヤカシに対峙する。
「こりゃ、まさに口だわ‥‥」
「しかしまぁ、なんとも捻りのない本体だなぁ」
「擬態の状態でも手こずったんだ、二人とも気を抜くなよ!」
 百舌鳥、絵梨乃、祀の三人も、一様に気合を入れ直す。
「んじゃ、軽く一発お見舞いしてみますかぁ」
 絵梨乃は『酔券』特有の千鳥足でアヤカシへと近づくと。脚を高々とあげ渾身の踵落しを見舞った。
「あれだけの大技を避けもしないのですか」
 絵梨乃の踵落しからの連撃に苦しげなうめき声をもらすアヤカシを見て、空がもらす。
「どうやら、これが捕食状態という奴のようですね。捕食時に速度は必要無いということでしょう」
 利実の分析はアヤカシの性質を見抜いていた。アヤカシは絵梨乃へ牙を剥こうとするが、その速度にまるで追いつけず、ただ打ち込まれるのみ。
「であれば、今が好機というわけか!」
 祀も弓に矢を番え狙いを定める。
「ですな! こちらも力技あるのみ! 一気呵成に攻め滅ぼしましょうぞ!」
 ぽきぽきと拳を鳴らし、待ち切れんとばかりに雲海もアヤカシ目指して突進する。
「はい! いざ決着を!」
 レフィの掛け声を合図に、残る一行もそれぞれの武器を手にアヤカシへと向かっていった。

その後、見事にアヤカシを打ち滅ぼした一行に、村人たちは感謝の意をこめ、最上級の牛鍋を振舞ったのだった。