【四月】デュエリスト達
マスター名:真柄葉
シナリオ形態: イベント
危険
難易度: 普通
参加人数: 50人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2010/04/19 21:19



■オープニング本文

●闘技場
『レディース アェンド ジェントルメンッ!!!』
 スピーカーを通し、突如闘技場内に鳴り響くけたたましいまでのMCの声。
『お前ら、待たせたなっ!』
 鳴り響く声にきょろきょろと場内を伺っている観客達をあざ笑うかのように、闘技場中央の穴より床がせり上がる。
『今日という日が、D・T・S界の天王山っ!!』
 せり上がった床が闘技場と一体となった時、中央に立つ一人の人影に場内の観客の視線が釘付けとなった。
『実にすがすがしい気分だな、おいっ!』
 浴びる観客達の視線に、MCは歓喜の声を上げる。
 ピシッと決めた黒の燕尾服に黒のシルクハット。陽を受けて白銀に煌めくマイクがその存在をこれでもかと主張する。
『お前ら、その開いてるのか閉じてるのかわかんねぇ様なちっちゃな瞳おっぴろげて、この瞬間を焼きつけやがれっ!!!』
 野次ともとれるMCの呼びかけにも、興奮する観客達は一際盛大な歓声を送る。
『D(舵天照)T(タクティクス)S(スターズ)、天下一決定戦、決勝っっっ!!! 今ここに、開幕だぁぁぁ!!!』
 決勝戦の開幕を宣言するMCに、割れんばかりの拍手と喝采が送られた。

『さぁて、早速決勝に残った猛者共を呼び出すぜっ!!』
 観客達の拍手と喝さいが収まるのを待って、MCが切り出す。
『お前ら、虎門にちゅうもーーくっ!!』
 闘技場の中央で、これでもかと大げさに右を指さすMC。
 さす指につられ、観客達の視線が見たもの。そこには豪奢な虎の彫刻が施された巨大な門があった。
『まったくの無名! 誰もが初戦で敗退する雑魚だと思っていたこいつ!! 並み居る強豪を次々を撃破し、ここまで成り上がった――』
 ギギィと軋み音を上げ、ゆっくりと開かれる虎門。
『奇跡のルーキー、銭金 ペ――イジっっ!!』
 そこに立つ一人の若者の姿に、観客から惜しみない拍手が送られた。

『そして、対するは――やはり来たっ! D・T・Sに生活の全てをかけるアホ!!』
 ペイジの登場を満足気に見つめたMCは、くるりと体を返し、マイクに向け叫ぶ。
『前回のD・T・S天下一決定戦、覇者っっ!!』
 MCが左を指さすと同時に開かれる、虎門と対になる豪奢な龍の門。
『世紀の変じ‥‥もとい、世紀の大盗賊――』
 門の奥から、ゆらりと姿を現す影に向け――。
『怪盗 ポ―――ンジっっっ!!』
 ビシッと影を指さし、MCが叫ぶ。

「ふんっ‥‥!」
 にやりと口元を歪め、開く門からゆっくりと歩みだした目出しバンダナを纏う変態。
 そう、覇者ポンジである。
『うおぉぉぉぉぉぉ!!!!』
 ポンジの登場と共に、会場のボルテージは一気に最高潮に達っした。
『さぁ、戦の始まりだぁぁぁぁああ!!』
 そして、MCの絶叫により、戦いの火蓋は切って落とされたのだった――。


■参加者一覧
/ 柄土 仁一郎(ia0058) / 風雅 哲心(ia0135) / 三笠 三四郎(ia0163) / 水鏡 絵梨乃(ia0191) / 六道 乖征(ia0271) / 羅喉丸(ia0347) / 柄土 神威(ia0633) / 葛切 カズラ(ia0725) / 蘭 志狼(ia0805) / 阿弥香(ia0851) / 柳生 右京(ia0970) / 出水 真由良(ia0990) / 氷海 威(ia1004) / ロウザ(ia1065) / 輝夜(ia1150) / アルティア・L・ナイン(ia1273) / クロウ(ia1278) / 巴 渓(ia1334) / 嵩山 薫(ia1747) / 剣桜花(ia1851) / 九竜・鋼介(ia2192) / ルオウ(ia2445) / 赤マント(ia3521) / 真珠朗(ia3553) / 伊予凪白鷺(ia3652) / 設楽 万理(ia5443) / バロン(ia6062) / からす(ia6525) / 浅井 灰音(ia7439) / 一心(ia8409) / 和奏(ia8807) / 向井・奏(ia9817) / 霧先 時雨(ia9845) / 此花 咲(ia9853) / 尾花 紫乃(ia9951) / ハイネル(ia9965) / レイラン(ia9966) / エアベルン・アーサー(ia9990) / ユリア・ソル(ia9996) / アレン・シュタイナー(ib0038) / 龍馬・ロスチャイルド(ib0039) / エルディン・バウアー(ib0066) / レートフェティ(ib0123) / ヘスティア・V・D(ib0161) / ロック・J・グリフィス(ib0293) / ブリジット(ib0407) / ニクス・ソル(ib0444) / 不破 颯(ib0495) / 日入 信悟(ib0812) / 岩宿 太郎(ib0852


■リプレイ本文

 剥き出しの大地を一陣の風が撫でつける。
 風に巻上げられた砂利が、ころころと『舞台』を転がった。

『お前ら、待たせたなっ! いくぜっ! D・T・Sバトォルッ! レディ――ゴオォォッ!!』
 ハウリングを引き起こす程のMCの絶叫を持って、世紀の決戦の幕が上がった――。

●開戦
「ドローっス!」
 コイントスにより先手を取ったペイジが、山札よりカードを引く。
「行くっスよ!」
 手札より、一枚のカードを場に放り投げた――。
「『陰陽師・氷海 威』を召喚!」
「微力ながら尽力いたそう‥‥」
 カードが放つ一瞬の閃光と共に、黒衣の男が姿を結んだ。
「まだまだっ! 続けて召喚! 『嵩山流十四代目総帥 嵩山 薫』来るっスっ!」
 投げ放たれたカードは、紅く明滅し爆炎を上げる。
「ふぅ‥‥もう少しマシな呼び出し方は無いのかしら?」
 ひらりと大地に降り立った薫は、紅髪を掻き揚げ嘆息する。
「更に『堕落道を極めし者 向井・奏』をフィールド効果で設置!」
「ふあぁ‥‥眠いでゴザル‥‥あ、薫殿ー」
 寝惚け眼で現れた奏は、フィールドに立つ薫の姿を見つけ、手をフリフリ。
「相変わらず眠そうな顔ね」
 そんな奏を薫は振りかえり苦笑交じりに見つめた。
「同時に『友に感化される心』を発動! 『場に奏の友がいる場合、奏に友情カウンターを一つ乗せる』!」
 そう叫ぶとペイジは、奏の背にどこから取り出したのかカウンターという名の漬物石をどっかと乗せた。
「お、重いでゴザル‥‥さすが友情の重み‥‥っ!」
「ターンエンドっス!」
 場に現れた3人の姿に満足し、ペイジは終了を宣言した。

「なかなかの布陣だなっ! 俺のターンっ! ドロー!」
 ペイジの出方を楽しげに見つめていたポンジがカードを引く。
「行くぜっ! 『世界の破壊者・巴 渓』を召喚!」
「‥‥ふんっ、随分な世界の呼びだされたもんだな。世界を巡るトリックスター巴 渓見参だ!」
 カードの生み出した闇の渦を裂き、渓が場に出現した。
「続いて、二枚行くぜっ!」
 ポンジは手は止まらない。
「『鬼の副長 柄土 仁一郎』『霹靂の黄龍 巫 神威』を連続召喚っ!」
 二枚のカードを同時に握ると、フィールドに向け投げ放つ。
「また貴方と戦う事が出来るのですね。仁一郎」
「ああ、一暴れしてやろう」
 風を裂き、背を預け合うように現れた二つの影。
『早くも出たっ! ポンジの黄金コンビ!』
 現れた二人の姿に、興奮したMCが絶叫する。
「これだけじゃ、つまんねぇだろ?」
 鼻頭を親指で弾き、口元を釣り上げるポンジは――。
「さらに『風織師 レートフェティ』をフィールド効果で設置! 『背信の囀り:味方PCの受けるマイナス属性効果を無効化する』!」
 投げ放たれたカードが翠色の風となり像を結ぶ。
「楽の音は平和の祈り。皆さん、友好的に行きましょう?」
 弦の音に導かれるように舞い降りる風の女神。
「もういっちょ! 『雅狼推参 蘭 志狼』を召喚!」
「相手にとって不足なしっ! 蘭 志狼 推して参る!!」
 場に直立不動で佇む志狼の怒気が場の空気を震わせる。
「終わりと思ったら、大間違いだぜ! 更に『六道 乖征』を召喚!!」
「‥‥それじゃ、壊しに‥‥行く」
 突如飛来した茶釜より、物理法則を無視し乖征がのそりと現れた。
「ターンエンドだっ!」
 そうそうたる面々を見つめ、ポンジが終了を宣言した。

●第2ターン
「ドロー! ‥‥こっちも二体行くっス! 『星龍の志士 風雅 哲心』!『赤マント』を連続召喚!」
 ペイジの手より放たれたのは、黒と赤の閃光。
「ふっ、ポンジ! 貴様の罪を数えてみろっ!」
「赤い旋風の相手に値する者はいるのかな?」
 折り重なる閃光より現れたのは、いきなりポンジを目の仇な哲心と赤き外套を翻す赤マントだ。
「更にここで奏のフィールド効果により、カウンターを二個追加っス!」
「おお、想いの重みは重いでゴザル‥‥」
 突如現れる巨石二つ。奏は追加された二個の漬物石に、今まさに押し潰されんとしていた。
「アタックフェイズっ! 威、薫で行くっス!」
 ペイジの宣言により、遂に戦端が開かれた。
「ふんっ! 威を志狼でブロック! PC効果『鉄壁の守護』を発動! このPCは防御時HPに+2の修正を受ける!」
 すかさずポンジも自陣のPCへ指示を出した。

 ガンっ!

「‥‥効かんな」
「くっ‥‥これまでか‥‥」
 絶え間なく歌を紡ぐレートフェティの効果により、属性修正を消した志狼のブロックが、威の攻撃を押しとどめる。
「それは計算済みっス! ここで威のPC効果を発動! 『必中の符:このPCが倒された場合、PLへ直接2点のダメージを与える』!」
 志狼の反撃に倒れる威。しかし、ペイジは威の効果を発動させた。
「我が式、舐めるべからず‥‥!」
 反撃に倒れ消えゆく威が最後の力を符に込め、解き放つ。
「舞て斬り裂け、我が符達よ‥‥!」
「ぎゃぁーー!」
「‥‥南無」
 威の直接攻撃に悶絶するポンジを、志狼は生温かく見守った。

 ポンジ:ライフ−2

「まだまだ行くっスよ!」
「もうライフはやれねぇ! 薫を仁一郎、神威でブロック! 同時にPC効果を発動! 『比翼連理:この二体を合わせ一体のPCとする。更に貫通効果を加え、攻撃力HPにそれぞれ+2』!」
「やれやれ、人使いの荒い奴だ。‥‥共に行こうか、神威!」
「ええ、お相手には申し訳ないけれど、これも戦。仕方ありませんね」
 瞳に深い憂いを帯びた神威の肩に仁一郎が手を置き、二人の影が重なった。
 まるで二体が一身となったかの様な技。二人は薫を迎え撃つ。
「そう来ると思ったっス!」
 しかし、ペイジの余裕の笑みは消えない。
「奏に乗るカウンターを全て薫に移し替える! 一つに付き攻撃力+2の効果!」
 ペイジの掛け声と共に、奏に乗るカウンターが忽然と消えた。
「ちょ、ちょっとっ!?」
 そして、カウンターは薫の背へ。
「はぅ‥‥ようやく解放されたでゴザル‥‥」
 恍惚の表情を浮かべ昇天(墓地行き)する奏。
「けっ! その程度訳もねぇ! 行け、仁一郎、神威!!」
 しかし、強化した薫でさえ『比翼連理』の前には歯が立たない。
「甘いっス! ここで薫のPC効果『嵩山流奥義・気瘴転穴孔』を発動! 対象PCの強化効果を反転させる!」
「なっ!?」
「相討ち覚悟というのが気に入らないけれど、貴方達を倒せるなら本望かしら」
 赤き気を纏う薫が駆ける。
「まさか、こんな序盤で終わるとはな」
「敵ながら天晴れと言ったところでしょうか‥‥」
 迎え撃つは二心の一体。

 ドっ!

 三人の衝突により起こる衝撃波が、会場を駆け抜けた。

「ここで『泉の修道騎士 ブリジット』を召喚っ!」
 消えゆく薫を見つめ、ペイジは更なる味方を呼び寄せる。
「掲げる剣は、精霊と共に」
 大剣を眼前に垂直に突き立てたブリジットの凛とした声が場に木霊す。
「ターンエンドっ!」

「ぐっ‥‥ドローだっ!」
 明らかに焦りの見えるポンジが山札に手をかける。
「‥‥ふっ、まだD・T・Sの神は俺を見放してないようだなっ!」
 手に持つたった一枚のカードを眺め、ポンジが不敵に微笑んだ。
「『日入 信悟』をフィールド効果で設置! 『パシリ:支払ったライフに応じた効果を得る。1点:対象のPCを手札に戻す。2点:カードを一枚引く。3点:PC1体はターン終了時まで+3/+3の修正を受ける』!」
 ポンジは手に持つ一枚のカードを、場に叩きつける。
「漢を目指す、漢の中の漢! 日入 信悟、只今参上!!」
 巻き上がる砂塵を裂いて信悟が場に現れた。
「そして、ライフを8点支払い、カードを4枚ドローだ!」
「はいはい、カードですね! 行きますよ!」
「なっ!?」
 ポンジの思い切った行動に、焦るのはペイジ。
「お命頂戴っ!」
 物騒な掛け声と共に、信悟の拳がポンジにめり込んだ。
「げはっ!?」

 ポンジ:ライフ−8

『おおっと! ポンジ一気にライフを8点減らして、残り半分だっ! 一方のペイジは今だノーダメージ!! ついに王座陥落か!?』
 戦況を煽るMCの文句にも、ポンジは顔色を変える事は無い。
「ふっ、この程度の痛みどうってことねぇ! 行くぜ! 『剣桜花(ちま)』を召喚!」
 再び手札を得たポンジは、その一枚をびりびりと細切れに破いていく。
「『場に出た剣桜花は、0/1のトークン10個となる』!」
 引き裂かれたカードの破片が形を結ぶ。
「ちま惨状!」
 まさしく惨状というにふさわしいカードから現れる、チビ桜花達。
「続けて『水鏡 絵梨乃』を召喚!」
「ふふ‥‥ボクを楽しませてくれるんだろ? 色々な意味で」
 不敵な笑みを浮かべ場のPC(女性)を見渡しながら、絵梨乃が姿を現した。
「行くぜアタックフェイズ! 渓、乖征で攻撃だ!」
「さぁ行こうか‥‥死出の旅路を‥‥」
「ぶち倒す!」
 乖征がだらりと両手を垂れ下げ幽鬼の如く。そして、渓はビシッと敵陣を指差し、戦鬼の如く駆けだした。
「来たっスね! 渓を赤マントでブロック! 続いて乖征をブリジットでブロックっス!」
「魔術師よ、貴方の命運は尽きた。我が刃に倒れよ」
「拳同士の打ち合いなら負けないよ!」
 迎え撃つは大剣を正眼に構えるブリジットと、紅き外套を翻す赤マント。

「なかなかの拳だったよ」
「そちらこそな」
 互いの拳を相手の頬にめり込ませる、渓と赤マント。
「ここで渓のPC効果発動!『ただの通りすがりだ!:渓が墓地に送られる際、ライフ1点を払う事で、相手へのダイレクトアタックを敢行する』!」
「この程度でくたばらないぞ!」
 相討ちかに見えた渓と赤マントの攻防。しかし、致命傷を負ったにもかかわらず渓の歩みは止まらない。
「喰らえ、魂の一撃!」
「ぎゃぁ!?」
 死力を尽くす渓の一撃がペイジを捕えた。

 ペイジ:ライフ−3
 ポンジ:ライフ−1

「くっ‥‥! こっちだって終わってないっスよ! 赤マントのPC効果を発動! 『赤の継承:このPCが墓地へ送られた場合、赤マントの能力:同一ターン無いで戦闘行為を行ったPCは、このPCへ反撃する事が出来ない。を受け継ぐ!」
「頼んだよ哲心‥‥がくっ」
 真っ白に燃え尽きた赤マントは、静かに瞳を閉じ自身の赤マントを高々と掲げる。
「‥‥お前の意思は受け継いだ」
 受け取るは哲心。友の形見を背負いポンジへ睨みを利かせた。

「‥‥こちらも‥‥行く」
「魔の力に堕ちた者に、私は倒せない」
 ゆらりと距離を詰める乖征を、真っ直ぐに見据えるブリジットが迎え撃つ。

 ザンッ!

 収縮する闇を裂き現れる二つの影。
 ブリジットの大剣に貫かれる乖征の姿がそこにあった。
「ぐふっ‥‥まだ死ねない‥‥僕は、独りでは死ねないから‥‥」
 口から血塊を吐き出しながらも、乖征は不敵に微笑む。
「今だっ! 乖征のPC効果を発動! 『其レハ叶ワヌ絆ノ業:このPCが墓場に置かれた場合、対象のPC一体の攻撃力を0にする』! 対象は哲心だ!」
 倒れ行く乖征越しにポンジが見据えるのは、ペイジの陣にじっと佇む哲心。
「僕の‥‥『深愛』は‥‥」
 ブリジットの一撃に沈んだ乖征の手には、禍々しい闇を放つ一枚の符。
「甘いっス! 乖征のスキルに対してブリジットの『ラ・フォンテーヌの瑠璃鏡:術属性のスキル効果を無効化する』を発動!」
「瑠璃の泉は、魔の力を反転させる!」
 眩く輝くブリジットの肢体が乖征の闇を包み込む。
「‥‥あ‥‥あぁ‥‥」
 光に包まれる乖征は、その表情を穏やかなものに変え、光粒となり消えた。

「‥‥いいだろうっ! ターンエンドだ!」
 ブリジットのカウンターを受けるも、ポンジの表情に焦りは見えなかった。

●第3ターン
「‥‥」
 引いた手札を無言で見つめ、ペイジは手札に加える。
「行くっス! 『真珠朗』をフィールド効果で設置! 『強欲への罪:各PLはドローフェイズに本来引くカード+1枚の手札を得る』!」
「お呼びですかい? それじゃ、セコくやらせてもらいますよ」
 場に呼び出された真珠朗は、ふわぁっと一欠伸。
「続いて『不動なる戦風 エアベルン・アーサー』を召喚!」
「がっはっはっ! 俺が護ってやるぜっ!」
 地震かとも思える地響きを伴い、場に降り立つエアベルンが豪快に笑う。

「‥‥攻撃はなしっス」
「ふん、賢明だな」
 奏宣言したペイジが憎々しく見つめる先には、わらわらとはしゃぐ小さな桜花の群れ。
「ターンエンドっ!」
 
「じゃぁ、ありがたくいただくぜっ!」
 真珠朗の効果により、ポンジのドローが二枚に増える。
「行くぜっ! 『触手愛玩師 葛切 カズラ』! 続けて『輝夜』を召喚!」
「ふふふ‥‥触手地獄、たーんと味わいなさい」
 呼び出されたカズラは艶やかに艶めかしく、ゆるりと場に足を下ろす。
「死して屍拾う者なし‥‥もちろん汝の事だ」
 ペイジを刀の鞘で指し、輝夜が場に舞い降りる。
「アタックフェイズ! 志狼で攻撃だ!」
「行くか‥‥」
「ブリジットで受けるっス!」
 迫りくる志狼の突進に、ペイジはブリジットを表に立たせ備える――が。
「かかったなっ! ここで絵梨乃のPC効果を発動! 『お持ち帰り:対象の女性PC1体をお持ち帰る(場より取り除く)』!」
 ペイジの対応にニヤリと口元を歪めたポンジは、絵梨乃の効果を発動させた。
「さぁ行こうか」
「え? ‥‥えぇ!?」
 突如、空間を越えブリジットの脇に現れた絵梨乃は、志狼の攻撃に備えていたブリジットの腕をむんずと掴むと。
「ふふ‥‥良いお店知ってるんだ」
 何やら意味深な言葉を残しつつ、ブリジットと共に場から消えた。

「無防備な相手に一撃を喰らわせるなど性にあわんが‥‥手加減はせんっ!」
「ぐあっ!!」
 切り裂く一閃。遮る者の無い志狼の一撃がペイジを捕える。
 
 ペイジ:ライフ−4

「更に行くぜ! 『出水 真由良』をフィールド効果で設置! 『無意識の色気:場の全ての男性PCはHP−1の効果を受ける』!」
「ポンジ様、お招きいただき光栄ですわ。‥‥あら皆様、前屈みでどうされたのでしょう?」
 ひらりと舞い降りる蒼衣の肢体。
 おっとりとポンジに礼をした真由良は、ふと場を見渡し不思議そうに小首を捻った。
『おおっと!! これはやばいっ!? PC共々観客まで前屈みだぜ!? もちろん俺もなっ!』
 場に現れた真由良の姿に、場にいる全ての男共の視線は釘付けだ。なるほど、情けないMCの解説も頷ける。
「はっはっは! ターンエンドだ!」

●第4ターン
「うぐぐ‥‥やってくれるっスね!」
 前屈みも情けないペイジは、カードを二枚ドロー。
「『虎巫女 伊予凪白鷺』を召喚!」
 突如、場に舞落ちる雪。
「世の理に、移ろうがいい‥‥」
 舞う雪を纏い異様の虎面が場に出現した。
「続けて『浅井 灰音』を召喚!」
 虎面の神者の背を見つめながら、ペイジは更なる剣を呼び寄せる。
「この蒼天に舞落ちる雪‥‥なんとも風情があるね」
 儚く消えゆく白雪を愛おしそうに眺め、蒼髪の志士、灰音が場に降り立った。

「行くっス! アタックフェイズ!」
「なに‥‥?」
 予想だにしていなかったペイジの宣言に、ポンジが訝しげに呟いた。
「哲心でアタック!」
「ようやく出番か。行くぞ!」
 友の遺衣を纏い、紅の哲心が戦場を掛ける。
「‥‥何か企んでやがるな。いいだろう、志狼でブロックだ!」
「相手にとって不足はないっ!」
 ポンジの声に、やや前屈みな志狼がすっと矢面に立つ。
「ふっ‥‥ミスプレイっス! ここで哲心に受け継がれた赤マントの効果を発動! 志狼は哲心へ反撃する事が出来ない!」
「なっ!?」
「更に哲心のPC効果『星龍光牙斬:このPCの攻撃力を二倍とし、貫通効果を得る。ただし、次ターンPC能力は半分になる』を発動っス!」
「ふんっ! それで志狼の防御を突破したつもりか! 志狼のPC効果を――」
「かかったっスね!」
 ポンジが志狼の効果をしようとした、その瞬間、ペイジの声が場に轟く。
「白鷺のPC効果を発動! 『一夜限りの看破:このPCを墓地へ送る代わりに、対象の効果一つを打ち消す』!! 対象は志狼の効果っス!」
「遮二無に振るう業など、所詮一夜のまやかしよ‥‥」
 ぼそりと呟いた白鷺は、虎面変じて虎気となり、志狼の動きを封じる。
「なんだこれは‥‥!」
「行くぞ‥‥穿て、星龍の牙! その身に刻め、星・龍・光・牙・斬っ!」
「‥‥ぐふっ!」
 反撃の術を失った志狼は、哲心の放つ光の刃に溶けた。
 しかし、突き抜けた光牙は止まらない。最奥に控えるポンジにまでその刃を向ける。
「そうはさせねぇ! 輝夜のPC効果を発動! 『長葱一閃:相手PCが貫通攻撃をしてきた場合に発動。突き抜けたPCを輝夜でブロックし、相手のHPを−3する事が出来る』!」
「なっ!」
 だが、光刃はポンジを捕える寸前でかき消えた。
「光の残滓で我は貫けん」
 目にも止まらぬ抜刀で光を撃ち払った輝夜が静かに刀を鞘に納める。
「く‥‥届かないのか」
 ほんのり香る葱の風味に包まれながら、哲心は力尽きた。
「‥‥さすがに一筋縄じゃいかないっスね。ターンエンド!」

「ドロー! ‥‥さてと」
 山札より引き抜いた二枚のカードをニヤリと眺め、ポンジが口元を緩める。
「一気にケリつけさせてもらうぜ! 『スカイフィッシュ空賊団長 亜弥香』をフィールド効果で設置! 『空賊の誇り:全てのPCは1対1でしか戦闘できない』!」
 ポンジの掲げたカードが天高く舞い上がり、視界より消えた。
「広いお空は俺のもん! 全ての宝も俺のもん! 全部かっさらってくぜっ!」
 舞い上がったカードが落下する代わりに現れたのは、勇ましき飛行士亜弥香だ。
「更に『リッター アレン・シュタイナー』をフィールド効果で設置! 『騎士の意地:各PCはそれぞれの墓場にある斬属性のカードの分だけ攻撃力+1される』!」
「さぁ、戦いの始まりだ!」
 ポンジが放り投げたカードを、大剣の一撃がなぎ払う。
「小細工はなしだ! 正面から全力でぶつかり合おうぜ!」
 自らのカードを斬り裂き、アレンが場に出現した。
「まだまだぁ! 『一対の疾風 アルティア・L・ナイン』を召喚!」
 ポンジは止まらない。再び手札からカードを抜き出すと、宙へと放り投げた。
「『疾風』の名は伊達じゃないんだよ。この力、とくと味わってもらおうか!」
 宙を舞うカードは竜巻となり、荒れ狂う風が人の姿を結ぶ。
「終わりだ! 行くぜ、アタックフェイズ! アルティアのPC効果を発動! 『風のように速き者:このPCは召喚されたターンに攻撃する事が出来る』!」
「わかったよ。迅速に禍を断つとしようか」
 ポンジの言葉にこくりと頷いたアルティアは、ペイジ陣営をキッと見つめる。
「全てのPCでアタックだ!!」
 ポンジがペイジを指差す。それに答えるは、場に集う三人、そして10匹のチビ桜花達。総勢13名にも及ぶ大攻勢だ。
「ぐっ‥‥! カズラをエアベルンで、アルティアを灰音でブロック!」
 大攻勢の勢いに押されるペイジは、自陣に構える頼もしき仲間達に指示を下すが。
「はっ! それだけか?」
 対するポンジの余裕は揺るがない。
「ここで手札より『ハイネル』のスキル効果を使用! 『ホワイトアウト:ライフを2点支払う事により、このPCを特殊召喚できる』!」

 ペイジ:ライフ−2

「敵影を確認、戦闘態勢に入る」
 突然場に出現したハイネルは、冷たく鋭い視線で輝夜を睨みつけ、その切先の前に立ち塞がる。
「退いた方がいい。貴方の残り僅かな人生を無駄にするな」
 しかし、輝夜は勢いを殺すことなく駆ける。
「目標、前方の敵。排除する」
 淡々と言葉を紡ぐハイネルは、輝夜の突撃にも顔色一つ変えることなく佇んだ。

「ふふ‥‥この触手の感触の虜になりなさい」
 自慢の触手達を振りかざし、カズラは蠢き突き進む。
「よく言ったカズラ! 行くぞ! PC効果を発動! 『触手縛:このPCをブロックしたPCの攻撃力を半減させる』!」
「愛おしい触手達の抱擁を、たっぷりと味あわせてあげる」
 妖艶に微笑むカズラの背より無数の触手が伸びる。
「甘いっす! エアベルンのPC効果を発動! 『オーラ:手札を一枚捨てる事によって、PC一体を対象とする効果を打ち消す』!」
「がっはっはっ! 面妖なるその技、俺のオーラで打ち消してやるぜっ!」
 地声で会場全てに届かんばかりに叫ぶエアベルンの筋肉が光り、輝く。
 ぶつかる触手と筋肉。実に暑苦し‥‥。

「やぁ、灰音くん。こんな所で会うなんて奇遇だね」
「アルティアさん、貴方と剣を交えるなんて‥‥楽しそうだね!」
 交える刃に似つかわしくない二人の笑顔。
「ここで灰音のPC効果を発動! 『運命の流し斬り:戦闘開始と共に、コイントスし表が出た場合攻撃力+3 裏の場合攻撃力−3する』!!」
 ポンジが叫びと共にコインを天高く弾き上げた。

 くるくる――。

「君が博打好きとは知らなかったよ」
「女は普段見せない顔も持ってるんだよ?」
 ひらひらと宙を舞うコイン。

 チャリン――。

『‥‥裏だ!! 灰音、ペナルティを負ったぞ!!』
 観客が固唾を飲んで見守ったコインの行方は、裏。
「残念だったね」
「これも運命、かな」
 アルティアの言葉にも、灰音は自嘲気味の笑みを浮かべた。

「それでお終いか? こっちにはまだまだ居るんだぜ?」
 自軍の攻勢に不敵に微笑むポンジ。
「これだけは使いたくなかったっスけど‥‥」
「なに‥‥?」
「『怨恨の代弁者 からす』を手札よりスキル効果で使用! 『黒と赤の雨:場に存在する全てのPCに3点のダメージを与える』!」
「本日の天候は、晴れ。処により黒き豪雨となるだろう‥‥ふふ」
 ペイジの振りかざしたカードが闇へと転じ、姿なき声が場に木霊す。
「なっ!?」
 降り注ぐ漆黒の血。所構わず降り注ぐその雨は、敵PCのみならず、味方さえも撃ち抜く。
「ちまー! ちま虐待反対っ!」
 なぜかいい笑顔のチビ桜花達は、死の雨に撃たれ大惨事。総勢10名にも及ぶちま達はあえなく天へと召された。
「ちま昇天‥‥ほわほわ」

「これだけじゃないっス!」
「‥‥皆、ごめん。更に手札より『和奏』をスキル効果で使用! 『無垢:一つ前に使用したカードの効果をコピーする』!!」
 申し訳なさげに自陣のPC達を見つめるペイジは、純白のカードを手に取ると。
「‥‥弓ですか。あまり使い慣れませんが、尽力させていただきますね」
 真白が漆黒に染まる。
「本日の天候は、晴れ。処により黒き豪雨となるだろう!」
 黒に染まった真白が砕け、雨の如く降り注ぐ。
「なっ!?」
 容赦なく振りかかる黒は、場に存在する全ての生命に、等しい負の慈悲を与えた。

 そして、雨が止む。

 黒き豪雨が去った会場に蒼天の輝きが蘇る。そこには、無人のフィールドだけが広がっていた。
「‥‥仕切り直しってか。いいだろうターンエンドだ!」

●第5ターン
『さぁ、わからなくなって来たぜっ! お互いのライフはポンジ9点。ペイジ11点だ!!』
 戦いもすでに中盤。一歩も譲らぬ攻防を続ける二人の状況を、MCが声高に叫ぶ。

「ドローっス!」
 振り出しに戻ったフィールドにペイジの声が響く。
「『はらぺ子剣士 此花 咲』を召喚!」
 ペイジにかざしたカードから吹き荒れる桜吹雪。
「お腹空いたのです‥‥」
 桜吹雪の終焉と共に、空腹に耐える咲が現れた。
「続いて、『狙撃手 設楽 万理』を召喚!」
「呼びましたか?」
 フィールドを射抜く一矢。涼しげに弓を構える万理が出現した。
「ターンエンドっス!」

「さぁて、どうしてくれようか‥‥ふっ」
 手にしたカードをニヤリと見つめ、ポンジがカードに手を掛けると。
「『ニクス』を召喚だ!」
「‥‥参ろう」
 漆黒のマントを靡かせるニクスを召喚した。
「続いて『黒炎の重騎士 ヘスティア・ヴォルフ』を召喚!」
「ふっ‥‥珍しく、護り専門で登場だ!」
 重厚な鎧を身に纏うヘスティアが地響きと共に場に出現した。
「頼もしい限りだな。ヘスティア・ヴォルフ」
 友の出現にニクスはその姿を頼もしく見つめる。
「こいつもいるぜ! 『爪牙騎士 レイラン』を召喚!」
「牙とは力無き人の未来の希望なり!」
 剣を真っ直ぐにかざし、レイランが登場する。
「やぁ、見知った顔が沢山いるね」
 レイランはすでに場にである友の姿を嬉しそうに見つめた。
「更に『神に愛されし者 エルディン・バウアー』をフィールド効果で設置! 『神父の微笑み:場に存在する全てのPCは攻撃力に、女性−1。男性+1の修正を受ける』!」
「慈悲深き神の言葉を説きましょう」
 神々しいまでの光が場を包み、神聖な雰囲気を身に纏う神父エルディンが場に降臨する。
「ふむ‥‥迷える子羊達の熱い視線を感じますね」
 にこやかに微笑むエルディンの聖職者スマイルが場の女性達をハートを射抜く。
「ふっ、ターンエンドだ!」

●第6ターン
「ぬぬぬ‥‥ドロー!」
 聖職者スマイルに当てられる自陣の女性達を複雑な表情で眺め、ペイジはカードを引く。
「こちらも男性PCで対抗っス! 『繊細巧心の憂人 一心』を召喚!」
「無益な殺生はしたくないのですが‥‥」
 慈悲深き光を瞳に湛え、一心が場に現れる。
「更に『白獅子 バロン』を召喚っス!」
「一心、万理。待たせたな」
 そして、先に場に立つ友の姿を頼もしく見つめる老練な弓師バロンが出現した。
「続いて『不破 颯』を召喚!」
「さぁて、頑張りますかぁ‥‥おや、同業者がいっぱいだねぇ」
 なんともやる気なさげ現れた颯は、自陣を見渡し。
「これは頼もしい限り‥‥かなぁ?」
 先人達へ弓を掲げ、礼を尽くす。
「‥‥まだっス。ターンエンド!」
 場にある味方達を見つめ、ペイジが小さく呟き終了を宣言した。

「攻撃しないとはな‥‥いいだろう、ドロー!」
 動かぬペイジをじっと見つめ、ポンジがカードを引く。
「『治癒術士 泉宮 紫乃』『霧先 時雨』を連続召喚!」
「皆と一緒なら心強いですわ」
「昔馴染みの連中と一緒に戦えるのは楽しいね。‥‥敵としてやってみたくもあったけどね」
「まぁ、時雨さん。そんなこと考えてたんですか?」
「ん? いや、まぁそれも一興かなってね」
 まるで普段の会話でも楽しむ様に現れた二人は、友の待つ戦場へ。
「更に『緋の戦衣 ユリア・ヴァル』をフィールド効果で設置! 『幼馴染の絆:同名の効果を持つPCは、その数×HP+1の効果を得る』!」
「さぁて、楽しく遊びましょうか」
 現れた赤衣の戦士ユリアが、場の友達を見据え。
「幼馴染の絆は心強し、ってね。皆、しっかり気張りなさいよ!」
 ユリアの発する頼もしき檄が、赤き祝福となり友を包んだ。
『おお! ポンジ側のPC全てが同名の効果所持! ここで一気に全てのPCにHP+5だ!!』
 ポンジの堅守コンボに、興奮するMCが叫ぶ。
「ふっ、この護り破れるかな! ターンエンドだ!」

●第7ターン
「‥‥ドロー!」
 ポンジを守る鉄壁の盾達を憎々しげに見つめ、ペイジがカードを引く。
「行くっス! 弓術師4人でアタック!」
「けっ、その程度で俺に届くとでも思ってるのか!」
 堅牢な盾に守られるポンジは、ペイジの宣言にも余裕の表情。
「甘いっス!」
 余裕のポンジを見つめ、瞳に力を宿したペイジが叫ぶ。
「ここで手札より『柳生右京』をスキル効果で使用! 『血の宴:全てのフィールド効果を破壊する』を発動!」
「なっ!?」
「邪魔な者は斬る‥‥ただそれだけだ」
 乱れ飛ぶ刃の一閃。現れた右京の神速の居合が場を支配した。

「自陣の効果まで捨てるか。いいだろう! レイランで一心を、時雨で颯を、ニクスでバロンを、ヘスティアで万理をブロックだ!」
 不利は相手も同じ。ポンジが防衛の指示を下す。
「行くっス! 一心のPC効果を発動! 『弓隊の援護射撃:攻撃に参加したPCは攻撃力に場に存在する弓術師×1を得る』!」
「命を無駄にしないでください‥‥」
 憂いを帯びた言葉。命を狩る者としての悲しみが一心の声にこもる。
「やるな! レイランのPC効果で対抗! 『零距離剣撃:このPCが相手の攻撃で生き延びた場合、攻撃力2倍の反撃を行う』!」
「そんなこと言ってると、死ぬのはきみだよ?」
 一心を迎え撃つレイランが剣をかざした。

「時雨のPC効果を発動! 『中立対等:このターン中、属性による相性をすべて無効化する』!」
「勝負ってのは大概刀を抜く前に決まるもんさ。抜いたが最後それは決着の時。それが俺の刃ってね」
 刀を鞘に納め、颯の前に時雨が立ち塞がる。
「それがどうしたっス! 颯のPC効果を発動! 『連射:このPCが攻撃を行う際、戦闘の前に防御PCに2点のダメージを与えてから戦闘を開始する』!」
「そうは問屋が卸さないってね、残念でしたぁ」
 駆ける颯は弓に矢を番え――射る。
「くっ、その程度!!」
 射かけられた矢を肩に受ける時雨は、颯を睨みつけ刀を抜いた。

「バロンのPC効果を発動! 『白獅子の眼光:白獅子の効果を持つPCをブロックしたPCは、追加で2点のダメージを受ける』!」
「我が弓隊の実力、見せてやろう!」
 老練なる隊長バロンは指揮棒の如く弓を振るう。
「無駄死にはさせねぇ! ニクスのPC効果を発動! 『一剣の賭け:このPCのHPを−2する代わりに、攻撃力を+4する』!」
「こんな無茶な戦いをしないといけないとは‥‥やれやれだ」
 捨て身の一撃を迫られたニクスが嘆息した。

「続いて万理のPC効果を発動! 『乱射:全てのPC及びPLは3点のダメージを受ける』!」
「あまり弓術師を舐めない方がいいわよ?」
 バロンの指揮に万理が弓を引き絞る。

 死戦場と化した場に鳴り響く怒声と剣撃音。そして、数多に降り注ぐ矢の雨。

「くっ‥‥ヘスティアのPC効果を発動! 『女性の味方:味方女性PCのダメージを肩代わりする』!」
「婦女子を守るは男の役目! 野郎は自力でどうにかしなっ!」
 ヘスティアが戦闘に参加していない紫乃へ及ぶダメージを全て受けとめた。

 壮絶なぶつかり合いにより巻き上がった砂塵が晴れる。

 そこに動く者は無かった。
「ちっ、お前らの死は無駄にしねぇ! 紫乃のPC効果を発動! 『回復符:幼馴染の絆を持つPCが墓場に送られた場合、1体につき、PLのライフを1回復する』!」
「志半ばで倒れた皆の気持ち、決して無駄にはしませんっ!」
 紫乃へ集まる魂の残滓達。友の遺志を新たなる生命に変える紫乃の癒しがポンジを包んだ。

 ポンジ:ライフ+2
 ペイジ:ライフ−3

「相討ちか‥‥何度リセットする気だ?」
 お互いに4体ずつPCを失った両雄。しかし、回復分だけポンジが有利だ。
「‥‥ターンエンドっス!」
 そんなポンジの言葉を聞き流し、ペイジが終了を宣言した。

「いくぜ! 『駄洒落呟く青年 九竜・鋼介』をフィールド効果で設置! 『駄洒落小話:場の全ての+効果を無効する』!」
「あ、マイクどうも。え〜、では、毎度馬鹿馬鹿しい話を一つ――」
 いきなりMCからマイクを奪ったかと思うと、鋼介の小話が会場全体に響き渡る。
「続いて『三笠 三四郎』『羅喉丸』を連続召喚!」
「私の業‥‥受ける事が出来ますか?」
「日々積み重ねた技は、決して裏切らない!」
 刀と拳の共演。二人の覇気が会場を支配した。
「更に『ルオウ』を召喚! 即座にPC効果を発動! 『疾駆の竜:このPCは貫通効果を持ち場に出た瞬間に攻撃できる。ただし戦闘後破壊される』!」
「サムライ、ルオウ見参!!」
 肩に愛猫を乗せ、赤髪の剣士が姿を現した。
「行けっ! ルオウでアタック!」
「いっくぜーー!」
 ポンジの指示より早くルオウがフィールドを駆ける。
「‥‥PLで受けるっス!」
「なにっ!?」
 今だペイジの陣には咲が残る。しかし、ペイジは咲をブロックに使わない。

 ペイジ:−7

『おおっと! まさかのダイレクトアタック! ペイジのライフが残り1に!!』
 このペイジの行動にMCまでもが、驚愕の声を上げた。
「‥‥ターンエンドだ!」

●第8ターン
「‥‥ドロー!」
 すでに瀕死のペイジがカードを引く。
「『純情可憐なG使い クロウ』『空賊騎士 ロック・J・グリフィス』を連続召喚!」
「お? あいつをボコればいいのか?」
 ポンジを指さすクロウが無邪気にペイジへ問いかけた。
「場に出たロックのPC効果発動! 『内に秘めた輝き:このPCにオーラカウンターを一つ置く。このカウンターを取り除くことによって攻撃力+3を得る。ただし、このPCは墓場に送くられる』!」
「さぁ、俺の輝きの前に屈しろ!」
 勇ましい声と共にロックが天空より舞い降りる。
「ターンエンドっス!」
 現れた二人をじっと見つめ、ペイジは終了を宣言した。

「諦めたか? 行くぞ!」
 動かぬペイジを前に、ポンジはカードを引き。
「アタックフェイズ! 全てのPCで攻撃だ!」
 場の味方達に号令を下した。
「くっ‥‥羅喉丸をクロウで、三四郎をロックで、紫乃を咲でブロック! 更にクロウのPC効果を発動! 『G縛符:攻撃中のPC全てのHPを1下げる』!」
「皆、思い存分殺っちゃえ!」
 いい笑顔のクロウの呼びかけに無数に出現するG達。そのあまりに凄惨な光景に観客の誰もが目を背ける。
「その程度! 三四郎のPC効果を発動! 『咆哮:場にある防御側PC全ては、このPCをブロックしなければならない』!」
「かかってきなさい‥‥等しく業を与えましょう!」
 異形の大群の中、三四郎が叫ぶ。
「なっ!?」
 三四郎に引き寄せられる味方達に、ペイジが驚愕する。
「くっ‥‥咲のPC効果を発動! 『はらぺ子:味方PCのカウンター及びトークンを喰らい、その効果を得る』! ロックのカウンターを咲に食わせるっス!」
「例えこの身が果てるとも、麗しき乙女の為に輝け、俺の命のオーラよ!!」
 三四郎を迎え撃つロックの体が光に包まれた。そして、その光は咲へと。
「無駄だ! こちらには鋼介がいる!」
 そう、鋼介の小話効果により咲の強化は無効化される。
「行け、羅喉丸!」
 三四郎に引きつけられたペイジ側のPC達。ポンジは残る二人に容赦ない命を下した。
「功夫の成果、PLに試すのも悪くない!」
 三四郎の脇をぬい、羅喉丸がペイジ目掛けて駆ける。
「くっ、『龍馬・ロスチャイルド』を手札よりスキル効果で使用! 『赤き楯:相手攻撃時に特殊召喚。PC2体をブロックできる。ただしターン終了時に破壊される』!」
「赤き楯の名に掛けて、主君を守らん!」
 赤鎧に身を包む、不屈の楯士が羅喉丸の行く手を遮った。
「ふんっ! 羅喉丸のPC効果を発動! 『空気撃:このPCと対象のPC一体を即座に行動終了とする』!」
「痛み分けと行くか」
「ぐっ‥‥護り抜けぬのか!」
 羅喉丸の撃に膝を折る龍馬が必死に伸ばす手を掻い潜り、紫乃がペイジを目指す。
「さぁ、もうお終いか!」
 最早後なし。押し黙るペイジに向けポンジが最後の命を下した、その時。
「‥‥手札より『ロウザ』をスキル効果で使用! 『おおあばれ!:このカードをメンコの様に使い、弾かれたカードを墓場に送る。効果範囲は戦闘中のPC及びフィールド効果に限定される』!」
「ひろい、ここ! ろうざ、うれしい! おおあばれ!」
 上空に突如現れる巨大なカード。
「ちょっ!?」
 野生パワー大爆発のロウザの攻撃(?)は、PCのみならずフィールド効果までもすべて吹き飛ばす。
「みな、あそぶ! ろうざも、あそぶ! がおおおお!」
 フィールドは一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
『斬新だ! 斬新すぎるぞロウザ! ってか、いいのか! ルール的にいいのか!?』
 そのあまりの効果にMC驚愕。開いた口が塞がらない。
「ここで手札から『岩宿 太郎』をスキル効果で使用! 『びっくり仰天:墓場に送られるPCの代わりにこのPCを墓場に送る。更にフィールドに3/3の魂トークンを残す。このトークンは攻撃に参加できない』!」
「よぉし! 気張っていきますかぁ! ‥‥え? もう出番終了? ‥‥えぇぇ!?」
 折角の気合も空回り。悲痛な叫びを上げ太郎は墓場に消えた。
「太郎の効果により、咲を復活!」
「まだ食べさせてくれるのですか?」
 場に舞い戻った咲は、盛大に鳴り響く腹の虫を宥めながら呟く。
「ぐっ‥‥ターンエンドだ!」
 一人残った咲を見つめ、ポンジが終了を宣言した。

●第9ターン
「投了するなら今のうちっス‥‥」
「けっ、ライフの差を見て物を言えよ!」
 気丈に振る舞うポンジ。しかし、その身を守る者は無い。
「‥‥行くっス! アタックフェイズ!」
 強がるポンジを悲しげに見つめペイジが攻撃を宣言。
「咲の効果で太郎の魂トークンを喰らうっス!」
「あ、またご飯。頂きますですよ」
「ぎゃぁぁ! らめぇえ! た・べ・な・い・でぇぇ!」
 ふわふわと浮遊する人魂を、咲は美味しそうに啜る。
「なっ!?」
「これで終わりっス! 咲でダイレクトアタック!!」
「うがぁぁぁ!!」
 ロックと太郎の力を喰らいパワーアップした咲が、ポンジのライフを奪い去った。

『土壇場、奇跡の大逆転!!! さまか瀕死であったペイジがポンジのライフを全て削り取ったぞぉぉ!!』
 しんと静まり返った会場にMCの声が割れんばかりに鳴り響く。
『勝者、ペーーイジ!!』
 精根尽き場に崩れ落ちるペイジに、観客達から惜しみない拍手が送られたのだった。