【凰凱】地下闘技場・漆
マスター名:久条巧
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 難しい
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2012/02/06 17:46



■オープニング本文

──事件の冒頭
 ザワザワザワザワ
 大勢の人々で賑わう街。
 ここ泰国東方にある城塞都市『凰凱』は現在、新しい年を迎え大勢の観光客や商人達が訪れている。
そんな中。

「・・・・さて、そろそろ決勝リーグ第二戦を始めるとしよう」
 楽しげに告げる一人の老人。
 彼こそが今回行なわれている地下闘技場最強拳士トーナメントの責任者、愁白葵である。
 先月から始まった決勝リーグ。
 その結果にとても満足し、いつもより笑顔があふれている。
「その手筈は全て整っています。では早速招待状を送ることにしましょう。ちなみに先月の戦歴はこのとおりです」
 と最近になって雇われた秘書官が話し掛ける。
「ふむ。どれどれ‥‥と」
 手渡されたリストを眺め、満足している愁老師。
「さて、こんげつもこの8名枠が空いているのは?」
「はい。先月の決勝リーグ所詮にてその実力が認められなかったものおよび負傷などによる棄権の為空いた枠です」
「ほほう。それはそれは。実力は伴っていたものの運悪く破れさって逝ったものも中にはいるというが。いい趣向じゃ!!」
「では、準備を 始めたいとおもいます‥‥」


■参加者一覧
雪ノ下・悪食丸(ia0074
16歳・男・サ
朝比奈 空(ia0086
21歳・女・魔
朧楼月 天忌(ia0291
23歳・男・サ
秋霜夜(ia0979
14歳・女・泰
ルオウ(ia2445
14歳・男・サ
劫光(ia9510
22歳・男・陰
日御碕・神楽(ia9518
21歳・女・泰
ジークリンデ(ib0258
20歳・女・魔


■リプレイ本文

●御騒がせ御免
──とある道場にて
「宜しくお願いします、あなたの技を食える限り食って血肉にさせていただきます」
 そう頭を下げているのは雪ノ下・悪食丸(ia0074)。
 エレに師事し、彼女の持てる技術をマスターしようというのであろう。
「まああたいは別に構わないから。それじゃあ始めよか」
 と軽く準備運動を行ったのち、エレは実践形式で悪食丸と手合わせを開始。
「ぐっ‥‥実力差が大きすぎる‥‥」
「まあまあ、基礎はしっかりとしているんだ。あとはあんたしだいだよっ!!」
 次から次へと繰り出される大技に翻弄される悪食丸。
 そのまま大会が始まるまで、悪食丸は毎日エレと手合わせを行っていた。

──一方そのころの化華山
「で、いきなり付き合えかよ、天忌ぃ‥‥」
 仏頂面でそうつぶやいているのはルオウ(ia2445)。
「ああ、悪いか」
 とさらに仏頂面でつぶやいているのは朧楼月 天忌(ia0291)。
「なんか聞きたいことがあるみたいだけど、俺にだって都合ってもんがあってだなー」
 とルオウが問いかけるが、天忌は静かに。
「いや、たいしたことじゃない。この前の試合でちょっとな‥‥」
 とつぶやく。
「え? 前回の試合? 訳もわからずいつの間にか勝ってた? それって所謂無心ってヤツじゃねーの? 俺も戦闘言語で似たような状態になってるぜ。教えてやろうか?天忌馬鹿だから暗示とかかかりやすそうだし」
 とドヤ顔で告げるルオウ。
「戦闘言語教えるだ? 言ったろ、今更他人の技使えるか。つうか今さりげなく馬鹿っていったろテメエ」
 とそのまま戦闘モードに突入する二人。
 まったくこの二人は仲がいいことで。


●始めの一歩
──秋道場
「ではよろしくお願いします」
 ぺ懲りと頭を下げているのは秋霜夜(ia0979)。
 その正面には、日御碕・神楽(ia9518)の姿がある。
 先月、霜夜は『覇王の足跡』をものにしようと考えた。
 のはいいのだが、それを父に問いかけてものらりくらりと何も教えてくれない。
 ならばと、霜夜は神楽に歩法を万部為、弟子入りしていたのである。
「もっと軽く。そう背中に翼が生えてるのをイメージするの」
 と自信の歩法を元に霜夜に手ほどきをしている神楽。
 自身もおさらいをかねて『覇王の足跡』をたどっていた。
「いいですか。移動により姿勢を崩さない攻撃的な歩法且つ、軽やかに舞うような動きを更に洗練させる。それが紅鳳院流の歩法です‥‥」
 自身にもそう言い聞かせているものの、神楽の心の仲には一つ引っ掛かっているものがあった。…
「多用してはならない、って‥‥一体どういう‥‥?」
 先日戦った仁美が告げた一言。
 それが神楽の心に残っていた。
「それに秋夜さんは言っていた‥‥『覇王の足跡』に似ている、と」
 と考えると、本物の『覇王の足跡』とどう違うのだろうと疑問を持つ神楽。
「‥‥覇王の足跡か‥‥」
 ちょうど道場にやってきていた秋夜にそう問いかける。
「はい。ぜひお願いします」
「ぜひとも父上の奥義をぷりーーーーず」
 神楽と霜夜の二人が告げる。
「ふぅ。まあいいだろう。一度しか見せないから‥‥」
 と告げて、秋夜は静かに歩法を開始した。

 それは、極限まで鍛えあげられた肉体から産み出された芸術。

「‥‥翼‥‥」
 ボソッと神楽がつぶやく。
「父様は、擂台の上で踊っていたのですか‥‥」
 その言葉にニィツと笑う秋夜。
「まあそんなところだ。が、それだけでは駄目だ‥‥」
 と告げてその場をあとにした。

──その頃の
 今日も今日とて美鈴の所に世話になっている劫光(ia9510)。
 先日から美鈴と実践さながらの組み手を続けている劫光だが、日々の鍛錬によりかなりの成果が出てきていた。
 螺旋の動きを駆使して、気の流れを見切り、円の動きにて無効化するすべを除々に身につけはじめている。。
「気の流れすらもこの業で流す事ができれば、以前された様に術を纏った一撃を弱め流す事も可能、か‥‥」
 その業をマスターする為、劫光はただひたすらに修練を続けていた。


●地上最強は誰だ
──凰凱・地下闘技場
 それでは、いよいよ始まった決勝大会。
 その戦いの記録を見ていきましょう

・白虎第一試合
 朝比奈 空 vs ルオウ
 朝比奈 空(ia0086)の対戦相手はルオウ。
 いよいよ紅道場ゆかりの戦いが始まった。
「それではお手柔らかに。よろしくお願いします」
 静かに挨拶を告げる朝比奈。
「ああ、手加減は一切無用というところだろう!!」
 と呟くルオウ。
 静かに抱拳礼を交わすと、そのまま開始線に立つ二人。

 そして試合では。
「はあはあはあはあ‥‥」
 いつもの展開ならば、魔術師である朝比奈のほうが分が悪い。
 にもかかわらず、息を切らせているのはルオウである。
 距離を取った状態での朝比奈の攻撃。
 次々と繰り出されるストーンアタックをルオウは躱しきれていない。
 さらに間合いを詰めたくても白梅香によって近寄ることはできず、ただ遠巻きに戦うことしかできていない。
「まったく‥‥めんどくさいな‥‥」
 と呟くと同時に、ルオウは『戦闘言語』を開始。
「今です!!」
 とその一瞬の隙でアムルリープを発動するが、ルオウが一瞬早かった‥‥。
 そのまま氏近距離からの乱撃によって、朝比奈まさかの敗北であった‥‥。


・白虎第三試合
 雪ノ下・悪食丸 vs 劫光
 雪ノ下・悪食丸(ia0074)の対戦相手は劫光。
「おや。この組み合わせはまいりましたね」
 とにこやかに告げる悪食丸。
「ああ。よろしく頼む」
 と劫光も告げると、そのまま開始せんへと戻っていく。
「それでは始めっ!!」
 その掛け声と同時に悪食丸は次々と攻撃を叩き込んでいく。
 だが、劫光はそけらをすべてきれいに受け流していった。
「まあここまでは。ですがここからが本気です」
 と突然悪食丸の攻撃速度があがった。
 自分の身体能力を気功と練によって底上げしているのである。
 だが、劫光は春詠拳で攻撃を受け流し、機を見て陰陽体術、北斗星君で『火輪』を使用。
「‥‥いい感じだ。ありがとう‥‥」
 と告げると、劫光は『瘴気回収』で膨れ上がった力を指先の一点に集中し悪食丸の右拳を掴んだ。
「そんな‥‥そんな‥‥」
 すばやく間合いを離す悪食丸だが、その右拳が凍結している。
「それじゃあいくか‥‥右手に燃えし火輪‥‥左手に凍れし氷柱‥‥対極の力一つとなりて彼のものを打ち砕け‥‥『螺旋竜』」
 その叫びと同時に、劫光は二つの腕を重ね、そこから最大の一撃を放つ。
「くっ‥‥食らうかよっ!!」
 劫光の技に対してカウンターで地断撃を叩き込む悪食丸。
 その直後、お互いの攻撃を受けて二人は擂台から落ちる。
「判定‥‥」
 静かに審判がそう告げたとき、劫光が擂台に登ってきた。
「勝者、劫光っ!!」
 劫光、ほんの紙一重の勝利であった。

・玄武第五試合
 秋霜夜 vs 紅美鈴
 霜夜の相手は春詠拳の使い手である紅美鈴。
「さて、よろしくお願いします」
「えええ。あ、はいよろしくお願いします」
 と丁寧に挨拶すると、霜夜は静かに身構える。
「『覇王の足跡』見えましたか?」
 と静かに問いかける美鈴にたいして、霜夜は苦笑い。
「それでは始めッ」
 と試合開始の合図が告げられる。
 『破軍』で発勁効果を上げた後、泰練気法に被せた連撃を叩き込んでいく霜夜。
 だが、それらのすべては守りの春詠拳によってすべて受け流されていく。
「‥‥以前よりも体のさばきがいいですわね。より力の、気の入った攻撃ですわ」」
 と霜夜を誉める美鈴。
「必殺!! 破鎧撃っ」
──ドッゴォォォォォッ
 激しい一撃が美鈴に直撃‥‥。
 だが、カウンターで霜夜にも同じ技が叩き込まれていた。
「こ、これは‥‥」
「同じ技ですわ。正確には『あなたの技』です。いかがかしら?」
 そのまま後方に吹き飛んでいく霜夜。
 美鈴はその場から一歩も動いていない。
「そんなぁ‥‥」
 と呟きつつ立ち上がると、再び歩法を開始。
(神楽さんの‥‥父様の‥‥)
 と何かを思い出す霜夜。
 その瞬間、歩法の速度があがる。
 重く力強い歩法から軽くやさしい歩法へ‥‥。
「それがあなたの歩法ね。いいわ‥‥」
 と美鈴が渾身の一撃を放つ。
 それにたいして、霜夜はカウンターでこちらも必殺の一撃を叩き込む。
「三連剛体撃・破鎧撃っ。止められるものなら止めてみなさいっ」
──ドゴォッ
 その一撃をまともに受けて、美鈴は擂台から飛びだす。
「いたたたた‥‥ギブアップ‥‥」
 今の一撃で折れた右腕を押さえつつ、美鈴まさかの敗北。


・朱雀第六試合
 日御碕・神楽 vs アンリエット
 神楽の相手はジルベリアの武道家・アンリエット。
「よろしくおねがいします」
「こちらこそ」
 と、お互い抱拳礼で構える二人。
「それでは始めッ!!」
 そう審判が叫んだ直後。
 神楽の視界からアンリエットが消えた。
 これはアンリエット得意の幻惑殺法。
「風水の死角をついて移動ですか‥‥私には見えていますわ」
 と静かに告げると、神楽は意識を集中する。
──ガシィッ
 と突然死角から乱打が飛んでくる。
 が、それらはすべて『螺旋』によって無力化されていく。
「そ、そんな!!」
 動揺するアンリエット。
 その刹那、神楽が必勝コンボを開始。
 『瞬脚』から剛体術による震脚。
 そして力を貯めつつ踏み込みを行い、震脚から得られる大地の力を『破軍』の気にブレンドして最大急所に最短距離から『極神点穴』による螺旋の一撃を打ちこんだ。
 
──ドッ

 その一撃で、アンリエットは静かに崩れた。
「ふう。紅鳳院流の舞の歩法とは少し違いますから‥‥秋式歩法というところですわ」

・玄武第七試合
 ジークリンデ vs わんドシ君
 ジークリンデ(ib0258)の対戦相手はわんドシ君。
 決勝ということで、前回から見せていた覆面に武胴着といういでたちである。
「では、よろしくおねがいするワン!!」
「ええ。よろしくお願いしますわ」
 と丁寧に挨拶を返すジークリンデ。

「それでは始めっ!!」
 その掛け声と同時に、激しい打撃戦が始まっ‥‥ていない。
 一定以上の間合いには決して近寄らせないジークリンデ。
 アクセラレートによる加速と、精霊拳による攻撃には、さすがのわんドシ君も手を出せない。
「こ、これはまいったワン」
 次々と叩き込まれてくる乱打にもわんドシ君はついていけない。
 魔法による加速にはまったく体術が役に立たない。
 そのまま一方的に乱打を受けていたわんドシ君がすみやかにギブアップ。
「ありがとうございました。あなたのおかげで精霊拳の道がさらに広がっていきましたわ」
「いやいや、完敗だワン。精霊力による格闘なんて想像していなかったワン‥‥」
 と楽しそうに会話を続ける二人であった。


・青龍第二試合
 朧楼月 天忌 vs 呂布
 朧楼月 天忌の対戦相手は、女性拳術家の呂布。
「ええっと‥‥よろしくですぅ」
「ああ、死ぬ気でかかってこい」
 そう呟く天忌。
 二人とも挨拶を終えると静かに構えを取る。
 そして両者ゆっくりと開始線に立つと、そのままじっと開始の合図を待つ。
「それでは始めっ!!」
 
 挨拶が終ったと同時に、天忌と呂布の二人は一進一退の攻防を繰り広げている。
 呂布の剛拳と天忌の喧嘩殺法。
 とにかくお互いの命をも削りそうな激しい消耗戦てなっていた。
 そんな中で、天忌は無我の境地を見いだしつつある。
 勝手に拳が出る。
 勝手に受け止めている自分。
 相手の動きすべてがスローモーションに見える。
「ああ、こんな感じだったかな‥‥ルオウが行っていた‥‥」
 少しずつ呂布の攻撃があたらなくなりはじめた。
「無我の境地‥‥どうだルオウ‥‥俺は馬鹿じゃねぇ‥‥」
 と呟くと同時に、なにかルオウのドヤ顔が脳裏からはなれない。
「ふざけるなルオウ!!」
 おぉっと、ここで無我の境地終了。
 再び激しい乱打戦が始まった。
 そして最後に擂台煮立っていたのは、天忌であった。
 正確には呂布がギブアップを宣言したのである‥‥。
「これ以上の消耗戦は無意味ですから‥‥」
 ということらしいが、これはこれでまた煮えきらない天忌であったとさ。
「あぁぁぁぁぁっ。納得いかねぇぇぇぇ。ルオウでもぶっ飛ばしてくるか!!」
 このあと、大会会場外でルオウvs天忌の場とルがあったとか。

──Fin

●正門横・地上最強拳士決勝一覧
 一部抜粋 
・ルオウ     :翡翠2黒炭0
・劫光      :翡翠2黒炭0
・朧楼月 天忌  :翡翠2黒炭0
・秋霜夜     :翡翠2黒炭0
・日御碕・神楽  :翡翠2黒炭0
・ジークリンデ  :翡翠2黒炭0
・朝比奈 空   :翡翠1黒炭1
・恵皇      :翡翠1黒炭0
・雪ノ下・悪食丸 :翡翠0黒炭1