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■オープニング本文 ──事件の冒頭 ザワザワザワザワ 大勢の人々で賑わう街。 ここ泰国東方にある城塞都市『凰凱』では、ここ最近になって他国からやってくる観光客が増えている。 というのも、先月まで開催されていた『凰凱擂台賽』を見る為に観光客が大勢大挙しているのである。 そしてここ凰凱中央にある『白葵』と呼ばれる貴族の屋敷でも、色々と騒がしいことが起きているようで・・・・。 「・・・・うむ。ではそろそろ始めるとしよう」 楽しげに告げる一人の老人。 彼こそがこの凰凱擂台賽の責任者の一人、愁白葵である。 今年の擂台賽からは責任者の座を後進の者たちに譲り、自刃はまた別の楽しそうな事を考えていたのである。 「老師、ナニヲハジメルノデスカ?」 ジルベリア出新の秘書官が愁老師にそう問い掛ける。 「最強の拳士を決定するのじゃよ」 ニィッと笑いつつ、楽しそうにそう告げる。 「大擂台賽の事ですか? 称号持ちのみが参加できるという」 「いやいや、そんな表の戦いではない。この世界は広い。様々な理由により表舞台に立てない拳士も存在するじゃろう。そいつらを集めて、一大決戦をやろうじゃないか?」 ははーん。 また老師の悪い癖がでたなと秘書官は思った。 「ですが、会場はどうしますか? そのような規模の戦いとなりますと、現在行なわれている擂台賽の会場をつかわないと・・・・」 と告げたとき、愁老師は床を指差した。 「かつて、この凰凱にまだ奴隷精度があった時代。そのような奴隷達や囚人を集めて地下闘技場で娯楽と賞した殺人劇が行なわれていたじゃろう・・・・」 「まさか、あの会場ですか?」 「うむ。この日の為に、ワシはひそかにあれを整備させていた。さっそく噂を流すとしよう。参加資格はとわず、命の保障もない。手に入るのは『地上最強』の称号のみ。この戦い、いったいどれだけのものが参加できるのか・・・・」 そう告げると、愁老師はそのまま部屋を出ていった。 「ふう・・・・またあの御方にも話を通しておきますか・・・・」 ──場所は変わって紅道場 「ふむ。その地上最強決定戦にワシに参加せよと?」 にこやかにそう告げているのは紅道場師範・紅老師。 「はい。愁老師のかつての頼みということです・・・・」 「まあいいじゃろう。そろそろ現役に戻ってもいいとは思っておった。で、うちの道場関係者たちも出るというと思うが・・・・」 「それは構いません。ただ、今回の決定戦、期間は1年間と非常に長い期間を戦わなくてはなりません。その間に命を落としてしまう可能性もありますが・・・・」 「そんな事を告げて引き下がるものはうちの道場にはおらんよ・・・・では」 ということで、紅老師も参戦決定。 はたしてどんな戦いになることやら・・・・。 |
■参加者一覧
雪ノ下・悪食丸(ia0074)
16歳・男・サ
恵皇(ia0150)
25歳・男・泰
秋霜夜(ia0979)
14歳・女・泰
ルオウ(ia2445)
14歳・男・サ
劫光(ia9510)
22歳・男・陰
日御碕・神楽(ia9518)
21歳・女・泰
リリアーナ・ピサレット(ib5752)
19歳・女・泰 |
■リプレイ本文 ●静かなる ──紅道場 「俺を弟子にしてくれ!!」 石畳で頭を下げつつ叫んでいるのはルオウ(ia2445)である。 その前では、紅老師と秋夜と呼ばれる人物が静かに茶を酌み交わしていた。 「ふぉっふぉっふぉっ。秋夜殿、弟子入り志願のようぢゃが」 と告げる紅老師にたいして、秋夜はフッと軽く笑みを浮かべている。 「なんとか頼む、俺はもっと強くなりたい!!」 と叫ぶルオウにたいして、秋夜は静かに一言。 「どうして強さを求める?」 と問い掛ける。 「俺は、強い奴と戦うとワクワクしてくる。そしてその為には、勝って勝って勝ちつづけなくてはならないんだ」 と力説。 「ふむ、秋夜、昔のお主を思い出すのう」 「そんな時代もありましたな、老師」 と告げると、秋夜は静かに立上がると、そのまま擂台の上に立つ。 「まずは貴様の実力見てからだな。掛かってこい、真剣勝負だ」 その言葉に、ルオウは全身武者震いした。 「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 と叫びつつ、ルオウハすぐさま擂台の上に飛び乗ると、そのまま秋夜にむかって殴りかかった!! ──その頃 「だ。駄目だ!!今はダメ。父様がなんでここにいるのか知らないけれど、父様にばれたら折檻じゃ済まない!!」 そう呟いているのは秋霜夜(ia0979)。 これ以上ここにいるとばれると感じた霜夜は、まずはもう一人の師匠であるわんドシ君の元へと走っていった。 ●厳粛なる ──凰凱・地下闘技場 そこにはすでに大勢の拳士達が集まっている。 一体どこで、どんな噂を聞いてきたのかは全く判らない。 が、そこには確実に彼等はいた。 地上最強の称号を求めて、 そしてその強さを確かなモノとする為に。 己の肉体と意地で戦う。 肉体こそが彼等の鎧 肉体こそか彼等の武器 今正に、戦いの鐘が鳴らされようとしていた。 「地上最強の称号が欲しいか!!」 擂台の最前列にある台座の上で、一人の老人がそう叫んでいる。 かれはこの地下闘技場トーナメントの主催者である愁白葵である。 「これから始まるトーナメントのルールについて説明する!!」 そう叫ぶと、愁老師は静かに皆を見渡す。 「一つ!! 武具の使用を禁ずる!!」 「一つ!! キブアップ宣言した者に対しての超過打撃を禁止する!! 以上!!」 その叫びに会場の一部がザワザワとざわめいた。 「急所攻撃は反則にならないのですか!!」 「弱い所をせめてなにが問題だ!!」 そう質問者に叫ぶ愁老師。 「いいか、今から貴様達は命を賭して戦わなくてはならない。死ぬな!! 死者はすなわち敗者である。生きている限り、勝者てあり続けなくてはならない・・・・それではこれよりトーナメントを開始する!!」 ──ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオ 観客の絶叫により闘技場全体が揺れた。 そして選手達はそれぞれ、闘技場の4角にある4つの門から出ていった。 門にはそれぞれ『白虎』『朱雀』『青龍』『玄武』と名前が刻まれている。 どの民に選手が入るのかは自由だが、その向うにある4つの広間で戦う為のクジが引かれる。 そのクジの順番に闘技場に向かい、そこで対峙した拳士と戦うというしくみになっている。 正門横にある拳士一覧には、勝者には翡翠の腕輪が、敗者には黒炭の腕輪が飾られる。 その数が多いほど、最強のなまえにちかづくということである。 ──朱雀控え室 ここには紅道場ゆかりの開拓者達が多く集まっている。 ここで一つになっていれば、同じ道場同士での潰し合いはないということなのであろう。 が、紅老師の姿がない。 「あれれ? 老師がいませんが」 「老師なら玄武の門に入っていったが」 と告げるのは恵皇(ia0150)。 「ああ、秋夜殿も一緒だったな」 と劫光(ia9510)も付け加える。 「・・・・ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」 と絶叫する霜夜。 「なにもそんなに驚くほどではないでしょう? いずれは戦う相手になるのですから」 と冷静沈着に告げるリリアーナ・ピサレット(ib5752)。 「大丈夫大丈夫。いきなりぶつかるなんてことはないから!!」 と霜夜を慰める日御碕・神楽(ia9518)。 「そうだよね・・・・きっと・・・・」 と告げていると、まずは先にクジを引きにいっていた雪ノ下・悪食丸(ia0074)が戻ってきた。 「やれやれ、1番クジかよ」 と朱文字で壱と書かれた木札を手にやってくる。 「まあそんなところだろうさ。それじゃあ俺達もクジを引いてきますか・・・・」 と告げつつ、ルオウや劫光、リリアーナがくじ引きの場所へと向かっていった。 ●そして本戦 ──凰凱・地下闘技場 すでに戦いは始まっていた。 朱雀の戦いは偶数番の為、実際には第二試合からのスタートである。 それでは、今回の戦いの記録を見ていきましょう ・朱雀第一試合 悪食丸 vs 桃白王 悪食丸の初陣は桃白王と呼ばれる拳士。 今だ無銘であるその人物の実力はというと・・・・。 「サムライが素手でも戦えるって教えてやるっ!!」 そう気合十分で挑んだ試合。 隼人と鬼腕を発動、駆使しつつ戦いを挑んでみたものの、それらの全てを桃白王に受止められ、そのままカウンターを浴びせられて無念の敗北。 だが、桃白王にもかなりの痛手を叩き込んでいた為、その実力は引けを取らない模様。 ・朱雀第八試合 恵皇 vs紅老師 地下闘技場発の戦いの相手は・・・・紅老師。 「・・・・それってありかよぉ・・・・」 はい、クジですから ということで、擂台の中央では、紅老師が静かに恵皇を見ている。 「これは訓練ではなく実践ぢゃて・・・・遠慮なく掛かってきなさい」 と告げる紅老師。 そのまま全身全霊を以って戦いを挑んだものの、わずか数分で恵皇は擂台の上で意識を失った。 「・・・・み、見えないんだが・・・・老師の技・・・・」 「まだまだ修行が足りぬの。道場で特訓ぢゃな」 ・朱雀第十三試合 リリアーナ vs『タヌタヌ仮面』 リリアーナの初陣、相手は擂台賽決勝で紅道場が苦戦したチーム・テラーの『タヌタヌ仮面』。 かなり激しい戦いに鳴るかと思いきや、『タヌタヌ仮面』の動きが思ったよりも鈍く、リリアーナの善戦で幕を閉じた。 「これが決勝だった人ですか? 」 「武、武器が使えれば・・・・」 ・朱雀第二十一試合 ルオウ vs鈴村式鬼 ルオウの初戦は実力伯仲の鈴村式鬼。 「石動さんはあんたに負けたが、俺は違うぜ・・・・」 と呟きつつ、ゴキゴキッと拳を鳴らすルオウ。 「では、その言葉を証明してください」 と試合は始まった。 『強力』と『隼人』を駆使しスピードとパワーでごり押しするルオウに対して、『無影脚』で見えない攻撃を仕掛けていく式鬼。 ともに互角の戦いであったが、最後に戦いを制したのは『ごり押し』のルオウであった。 「・・・・な、なんとか・・・・か」 ・朱雀第二十二試合 神楽 vs遠野静 神楽の愛人、相手は因縁の対決『遠野静』。 「あらららら」 「あらーーーーーーーー」 とにこにこと呟く両者。 そのまましっかりと握手を躱わすと、そのまま戦闘態勢に入る。 「それじゃあ始めましょうね」 にっこりと微笑んだその刹那!! ──ダン!! とまたしても神楽の超震脚が炸裂!! 一撃で吹き飛ばされた遠野であったとさ。 ・朱雀第三十一試合 劫光 vsレミリア 劫光の相手はレミリアと呼ばれている女性。 「・・・・相手が女性とはな・・・・」 「あら、油断していると痛い目にあいますよ」 と眉一つ動かさずに呟くレリア。 「ああ、そうだな。じゃあ本気で行かせてもらう!!」 と素早く臨戦体勢を取る劫光とレミリア。 次々と陰陽術と陰陽体術を駆使する劫光と、独自の体術と武術を駆使するレミリア。 この二人の戦いはかなり長時間に渡ったが・・・・最後に奥義を炸裂させてレミリアの顔面を焼き付けた劫光の勝利で終った。 ・朱雀第三十九試合 霜夜 vs秋夜 もふもふ仮面を付けた霜夜の相手は、霜夜のとーちゃん秋夜であった。 「・・・・まったく。こんな危険な試合に出ていいと誰が教えたかね?」 とゴキゴキッと拳を鳴らしつつ呟く秋夜。 「さて・・・・それは一体誰のことですか? 私はなぞのもふもふ仮面ですが・・・・」 と必死にシラを斬る霜夜。 (だ、だめた・・・・勝てない絶対無理。けれど試合放棄は更に無理。ということは・・・・) と静かに自分に言い聞かせつつ、ゆっくりと構える霜夜。 「まあいい。なにか考えがあってここに立っているのなら・・・・私は一人の拳士として『全身全霊を以って、貴殿を闇に葬り去る』」 その言葉に、霜夜は凍り付いた。 父様の『本気モード』の掛け声である。 (ああ・・・・霜夜は悪い子でした。母さま今までありがとう・・・・) と呟く霜夜。 そのまま一歩下がると、素早く掌打を秋夜に叩き込む霜夜。 「紅式柔体法・波動撃っ!!」 内勁を用いた一撃必殺。 これには剛体法も無力。 だが、それを静かに受止めて流す秋夜。 「?」 「霜夜。それはまだ完成していない。本来の10分の1も実力を発揮していない」 と素早くデコピン一撃。 そのまま闘技場の端まで吹き飛ばされて霜夜ノックアウト。 かくして大会初日の試合は全て終った。 ここから長く苦しい戦いが始まる・・・・。 ──Fin ●正門横・拳士一覧 一部抜粋 ・雪ノ下・悪食丸 :翡翠0黒炭1 ・恵皇 :翡翠0黒炭1 ・秋霜夜 :翡翠0黒炭1 ・ルオウ :翡翠1黒炭0 ・劫光 :翡翠1黒炭0 ・日御碕・神楽 :翡翠1黒炭0 ・リリアーナ・ピサレット:翡翠1黒炭0 |